特許第6182076号(P6182076)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6182076
(24)【登録日】2017年7月28日
(45)【発行日】2017年8月16日
(54)【発明の名称】金属線圧縮体及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   F01N 3/28 20060101AFI20170807BHJP
   B21F 27/12 20060101ALI20170807BHJP
   F01N 13/08 20100101ALI20170807BHJP
【FI】
   F01N3/28 311C
   B21F27/12
   F01N3/28 311J
   F01N13/08 Z
   F01N3/28 301U
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-1085(P2014-1085)
(22)【出願日】2014年1月7日
(65)【公開番号】特開2015-129456(P2015-129456A)
(43)【公開日】2015年7月16日
【審査請求日】2016年6月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】390029735
【氏名又は名称】日本グラスファイバー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096116
【弁理士】
【氏名又は名称】松原 等
(72)【発明者】
【氏名】湯浅 和良
【審査官】 石川 貴志
(56)【参考文献】
【文献】 特開平04−066237(JP,A)
【文献】 実開昭57−181336(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 3/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
重ね用金網(11)が、長さ方向に複数回巻かれて複数の巻き層(L)状に重ねられた状態で圧縮されてなる重ね部(1a,2a)と、被せ用金網(12)が、重ね用金網(11)の幅方向の側部に前記複数の巻き層(L)を跨ぐ形で被せられた状態で圧縮されてなる被せ部(1b,2b)とを含み、
一本の材料用金網(10)の一端側の部分が被せ用金網(12)であり、材料用金網(10)の被せ用金網(12)よりも他端側の部分が重ね用金網(11)である金属線圧縮体。
【請求項2】
一本の材料用金網(10)の一端側の部分を被せ用金網(12)とし、材料用金網(10)の被せ用金網(12)よりも他端側の部分を重ね用金網(11)とし、
重ね用金網(11)を幅方向に折ることで被せ用金網(12)よりも重ね用金網(11)を幅狭にし、
被せ用金網(12)を長さ方向に巻き、その外周側に重ね用金網(11)を複数回巻くことで重ね用金網(11)を複数の巻き層(L)状に重ね、被せ用金網(12)を幅方向に折ることで重ね用金網(11)の幅方向の側部に被せ用金網(12)を前記複数の巻き層(L)を跨ぐ形で被せてから、
材料用金網(10)を被せ用金網(12)側からオス型(21)で圧縮して金属線圧縮体(1,2)を成形する金属線圧縮体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、DPF(ディーゼル微粒子捕集フィルター)のパッキン兼緩衝材や、自動車のマフラーのガスケット等として用いられる金属線圧縮体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の金属線圧縮体には、図8に示す従来例1(先行文献1)の金属線圧縮体81のように、筒状の金網80が圧縮成形機90等により筒長方向に圧縮されてなるものがある。
【0003】
また、それ以外にも、図9に示す従来例2の金属線圧縮体82のように、筒状の金網80が、筒長方向の両側から内側に丸め込まれてから、圧縮成形機90等により筒長方向に圧縮されてなるものがある。
【0004】
また、それ以外にも、図10に示す従来例3の金属線圧縮体83のように、金網80が、長さ方向に複数回巻かれてから、圧縮成形機90等により幅方向に圧縮されてなるものがある。なお、この金網80の両端は約45°にカットされており、それにより両端での結合力が強くなり剥がれ難くなるように図られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013−19347号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような従来例1〜3の金属線圧縮体81〜83では、巻き層等の層の境目が外部に露出するので、露出した層の境目でズレや割れが発生し易くなる。
【0007】
具体的には、例えば、従来例3の金属線圧縮体83の場合、図11(a)に示すように、金網80の巻き層L,L・・の境目が外部に露出するので、圧縮して成形する際には、図11(b)に示すように、その境目でズレD1が発生し易い。また、更に、成形後には、図11(c)に示すように、巻き層L,L・・の境目で剥がれ易く、それにより、割れD2が発生し易い。
【0008】
そして、そのようなズレD1や割れD2は、金属線圧縮体83が低密度であるほど、また、大径であるほど、発生し易い。そして、そのようなズレD1や割れD2が発生した場合、金属線圧縮体83の内側にDPF(ディーゼル微粒子捕集フィルター)やマフラー用パイプ等を挿入する際に、そのズレD1や割れD2で引っかかり易くなり、めくり上がり易くなってしまう。
【0009】
そこで、ズレや割れを発生し難くすることを目的とする。さらに、後述するように、重ね用金網を巻き、被せ用金網を被せる一連の作業をし易くし、成形後に分解され難くすることも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するため、本発明の金属線圧縮体は、重ね用金網が、長さ方向に複数回巻かれて複数の巻き層状に重ねられた状態で圧縮されてなる重ね部と、被せ用金網が、重ね用金網の幅方向の側部に前記複数の巻き層を跨ぐ形で被せられた状態で圧縮されてなる被せ部とを含み、一本の材料用金網の一端側の部分が被せ用金網であり、材料用金網の被せ用金網よりも他端側の部分が重ね用金網であることを特徴とする
【0015】
すなわち、重ね用金網と被せ用金網とは、一体に形成されている。重ね用金網を巻き、被せ用金網を被せる一連の作業がし易くなる点、及び成形後に分解され難くなる点で、一体に形成されていることが好ましいからである
【0016】
また、本発明の金属線圧縮体の製造方法は、一本の材料用金網の一端側の部分を被せ用金網とし、材料用金網の被せ用金網よりも他端側の部分を重ね用金網とし、重ね用金網を幅方向に折ることで被せ用金網よりも重ね用金網を幅狭にし、被せ用金網を長さ方向に巻き、その外周側に重ね用金網を複数回巻くことで重ね用金網を複数の巻き層状に重ね、被せ用金網を幅方向に折ることで重ね用金網の幅方向の側部に被せ用金網を前記複数の巻き層を跨ぐ形で被せてから、材料用金網を被せ用金網側からオス型で圧縮して金属線圧縮体を成形することを特徴とする
【0017】
重ね用金網及び被せ用金網の材質は、特に限定されないが、鉄、銅、アルミニウム及びそれらの合金を例示する。それらの中でも、耐熱性及び耐食性に優れている点で、ステンレス鋼であることが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、重ね用金網の側部に被せ用金網を複数の層を跨ぐ形で被せるので、層の境目が外部に露出しない。そのため、層の境目でズレや割れが発生し難い。さらに、重ね用金網と被せ用金網とは、一体に形成されているので、重ね用金網を巻き、被せ用金網を被せる一連の作業がし易くなり、成形後に分解され難くなる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】(a)は実施例1の金属線圧縮体が設置されたDPFを示す側面断面図、(b)は金属線圧縮体を示す斜視図、(c)は金属線圧縮体を示す一部断面の斜視図である。
図2】実施例1の金属線圧縮体の製造手順を(a)〜(c)に示す側面図である。
図3】実施例1の金属線圧縮体の製造手順を(d)〜(f)に示す側面図である。
図4】実施例1の金属線圧縮体の製造手順を(g)(h)に示す側面図である。
図5】実施例1の金属線圧縮体の製造手順を(i)〜(k)に示す側面図である。
図6】(a)は実施例2の金属線圧縮体が設置されたマフラーを示す側面断面図、(b)は金属線圧縮体を示す斜視図、(c)は金属線圧縮体を示す一部断面の斜視図である。
図7】実施例2の金属線圧縮体の製造手順を(i)〜(k)に示す側面図である。
図8】従来例1の金属線圧縮体の製造手順を(a)〜(d)に示す側面図である。
図9】従来例2の金属線圧縮体の製造手順を(a)〜(d)に示す側面図である。
図10】従来例3の金属線圧縮体の製造手順を(a)〜(d)に示す側面図である。
図11】(a)は、従来例3の金属線圧縮体を示す斜視図、(b)はその金属線圧縮体にズレが発生したときを示す側面端面図、(c)は割れが発生したときを示す側面端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の金属線圧縮体を図面を参照に説明する。
【実施例1】
【0021】
図1〜5に示す金属線圧縮体1は、DPF(ディーゼル微粒子捕集フィルター)30の外面とその格納容器31の内面との間に設置されるパッキン兼緩衝材ある。この金属線圧縮体1は、材料用金網10をプレス成型して作るメッシュリングである。
【0022】
この金属線圧縮体1は、重ね用金網11が、長さ方向に複数回巻かれて複数の巻き層L,L・・状に重ねられた状態で圧縮されてなる重ね部1aと、被せ用金網12が、重ね用金網11の幅方向の側部に前記複数の巻き層L,L・・を跨ぐ形で被せられた状態で圧縮されてなる被せ部1bとを含んでいる。そして、この金属線圧縮体1の軸線方向の一方側の内周側には、DPF30の端面の外周部を嵌め込むための凹部1cが凹設されている。
【0023】
その金属線圧縮体1は、次に示す手順で製造する。
[1]まず、図2(a)に示す一本の筒状の材料用金網10を用意する。その材料用金網10は、直径0.1〜0.2mmのステンレス鋼線を編んだもの(丸編品)である。そして、その材料用金網10の一端側の部分を被せ用金網12とし、材料用金網10の被せ用金網12よりも他端側の部分を重ね用金網11とする。
【0024】
[2]次に、図2(b)に示すように、その筒状の材料用金網10を潰して径方向に平たくすることで、二重シート状にする。そして、被せ用金網12と重ね用金網11との間に切れ目13を、幅の半分程度にまで入れる。
【0025】
[3]次に、図2(c)に示すように、二重シート状の重ね用金網11を幅方向(下方)に折ることで、重ね用金網11を四重シート状にする。これにより、一端側の被せ用金網12(二重)よりも、他端側の重ね用金網11(四重)の方が幅狭になる。
【0026】
[4]次に、図3(d)(e)に示すように、圧縮成形機20の軸材22に、被せ用金網12を巻く。このとき、被せ用金網12は、きっちり一重(一周)に巻くことが好ましい。
【0027】
[5]次に、図3(f)に示すように、被せ用金網12の外周側に、重ね用金網11を複数回巻くことで、図4(g)に示すように、重ね用金網11を複数の巻き層L,L・・状に重ねる。なお、このとき、重ね用金網11(四重シート状)の端部は、解ける心配がある場合等には、幅方向に捩っておくとよい。
【0028】
[6]次に、図4(h)に示すように、被せ用金網12を幅方向(下方)に折ることで、重ね用金網11の幅方向側の一方の側部(上側部)に被せ用金網12を、前記複数の巻き層L,L・・を跨ぐ形で被せる。
【0029】
[7]次に、図5(i)に示すように、その材料用金網10を巻いた軸材22を、圧縮成形機20のメス型23の内側にセットする。
【0030】
[8]次に、図5(j)に示すように、メス型23にオス型21を被せる。これにより、材料用金網10をオス型21で被せ用金網12側から圧縮して、金属線圧縮体1を成形する。なお、このオス型21には、金属線圧縮体1に凹部1cを形成するための凸部21cが設けられている。
【0031】
[9]次に、図5(k)に示すように、圧縮成形機20を開いて、金属線圧縮体1を取り出す。
【0032】
本実施例1によれば、重ね用金網11の幅方向側の側部(上側部)に被せ用金網12を、複数の巻き層L,L・・を跨ぐ形で被せるので、巻き層L,L・・の境目が外部に露出しない。そのため、圧縮して成形する際には、巻き層L,L・・の境目でズレが発生し難くまた、成形後には、巻き層L,L・・の境目で割れが発生し難い。
【0033】
そのため、金属線圧縮体1が低密度である場合や、大径である場合にも、ズレや割れが発生し難い。よって、金属線圧縮体1の内側にDPF30を挿入する際に、ズレや割れで引っかかりめくり上がる、といった問題も発生し難い。
【実施例2】
【0034】
図6,7に示す金属線圧縮体2は、マフラー40のパイプの外面と排気管41の内面との間に設置されるガスケットである。この金属線圧縮体2は、実施例1と同様、重ね部2aと被せ部2bとを含んでいる。具体的には、この金属線圧縮体2は、実施例1と比較して、内周側に凹部1cを備えていない点で相違し、その他の点で同様である。
【0035】
その金属線圧縮体2の製造方法は、図7に示すように、オス型21に凹部1cを形成するための凸部21cが設けられていない点で相違し、その他の点で同様である。また、被せ用金網12については、図7(i)に示すように、重ね用金網11の幅方向の一方の側部(上側部)に被せるのに加え、他方の側部(下側部)にも延ばして被せることが好ましい。
【0036】
本実施例2によれば、マフラー40に用いるガスケットにおいても実施例1と同様の効果を得ることができる。
【0037】
なお、本発明は前記実施例の構成に限定されるものではなく、発明の趣旨から逸脱しない範囲で適宜変更して具体化することもできる。
【0038】
1 金属線圧縮体(パッキン兼緩衝材)
1a 重ね部
1b 被せ部
2 金属線圧縮体(ガスケット)
2a 重ね部
2b 被せ部
10 材料用金網
11 重ね用金網
12 被せ用金網
21 オス型
L 巻き層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11