(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示は、配管に沿った直接的蒸気注入による樹脂ラテックスおよび/または分散液を形成する方法を提供する。水酸化アンモニウムなどの中和剤の量を場合によってあらかじめ組み込んでもよい樹脂溶液を、蒸気も連続して同時に混合ゾーンに注入しながら、連続的に混合ゾーンにポンプ輸送することができる。樹脂混合物および蒸気の直接注入は、蒸気と樹脂混合物との間の直接的接触を作り出して、所望の粒径の樹脂ラテックスを得ることができる。
【0012】
樹脂混合物と蒸気の水分子との間の接触は、積極的にかつ直ちに混合されて、一つの要因としては蒸気の独特の特性(例えば、広域の乱流および大きな接触面積)により、所望の粒径を有するラテックスまたは分散液を生成する。様々な粒径を所望の粒径および品質規格に従って制御することができる。一つの要因としては蒸気の貫通および乱流の能力により即時の乳化が促進されると考えられている。脱イオン水(DIW)および樹脂混合物の混合に通常必要な追加の混合機を必要としないので、開示される方法および装置は、相対的に短い反応時間を可能にし、製造について著しい省スペースをもたらすことができる。
【0013】
したがって、結果として得られた分散液は、例えば、トナー、塗料、粉末、被膜、医薬品用化合物添加剤、薬物用封止剤、接着剤、食品添加物などを形成するのに使用することができる。
【0014】
本明細書に開示される方法は、樹脂混合物に蒸気を導入することを含む。樹脂混合物は、有機溶媒および/または中和剤と接触した樹脂を含んでもよく、樹脂混合物の各成分のうち1種または複数を樹脂と接触させることができる。樹脂混合物はまた、樹脂と接触させる界面活性剤を含むことができる。さらに、樹脂と接触させて樹脂混合物を形成する各成分は、いずれか他の成分が樹脂と接触する前、間または後に、樹脂と接触させることができ、複数の成分が使用される場合、所望の場合、同時にまたは別の時に、樹脂と接触させてもよい。
【0015】
樹脂
樹脂は架橋していても、実質的に架橋していなくてもよい。樹脂混合物は、1種、または2種もしくは3種以上などの複数の樹脂を含んでもよい。樹脂混合物中の樹脂の合計量は、樹脂混合物の約1重量%〜約99重量%、例えば約10重量%〜約95重量%、または約20重量%〜約90重量%であってもよい。
【0016】
本明細書に開示される方法に使用される樹脂は、乳化凝集(EA)トナーの形成において使用されるいかなるラテックス樹脂であってもよい。そのような樹脂は、任意の適切なモノマーで作製することができる。使用される具体的なポリマーに応じて、用いるモノマーを選択することができる。トナーを作製するための、2つの主要なタイプのEA法が知られている。第一に、アクリラート系、例えば、スチレンアクリラートのトナー粒子を形成するEAプロセスである。第二としては、ポリエステル系トナー粒子を形成するEAプロセスである。
【0017】
ラテックス樹脂またはポリマーの例証となる例として、スチレンアクリラート、スチレンメタクリラート、ブタジエン、イソプレン、アクリロニトリル、アクリル酸、メタクリル酸、ベータ−カルボキシエチルアクリラート(arylate)、ポリエステル、既知のポリマー、例えば、ポリ(スチレン−ブタジエン)、ポリ(メチルスチレン−ブタジエン)、ポリ(メタクリル酸メチル−ブタジエン)、ポリ(メタクリル酸エチル−ブタジエン)、ポリ(メタクリル酸プロピル−ブタジエン)、ポリ(メタクリル酸ブチル−ブタジエン)、ポリ(アクリル酸メチル−ブタジエン)、ポリ(アクリル酸エチル−ブタジエン)、ポリ(アクリル酸プロピル−ブタジエン)、ポリ(アクリル酸ブチル−ブタジエン)、ポリ(スチレン−イソプレン)、ポリ(メチルスチレン−イソプレン)、ポリ(メタクリル酸メチル−イソプレン)、ポリ(メタクリル酸エチル−イソプレン)、ポリ(メタクリル酸プロピル−イソプレン)、ポリ(メタクリル酸ブチル−イソプレン)、ポリ(アクリル酸メチル−イソプレン)、ポリ(アクリル酸エチル−イソプレン)、ポリ(アクリル酸プロピル−イソプレン)、ポリ(アクリル酸ブチル−イソプレン);ポリ(スチレン−アクリル酸プロピル)、ポリ(スチレン−アクリル酸ブチル)、ポリ(スチレン−ブタジエン−アクリル酸)、ポリ(スチレン−ブタジエン−メタクリル酸)、ポリ(スチレン−アクリル酸ブチル−アクリル酸)、ポリ(スチレン−アクリル酸ブチル−メタクリル酸)、ポリ(スチレン−アクリル酸ブチル−アクリロニトリル)、ポリ(スチレン−アクリル酸ブチル−アクリロニトリル−アクリル酸)など、およびそれらの混合物が挙げられるがこれらに限定されない。樹脂またはポリマーは、スチレン/アクリル酸ブチル/カルボン酸ターポリマーであってもよい。樹脂の少なくとも1つは、実質的に架橋していなくてよく、架橋した樹脂は、実質的に架橋していない樹脂および架橋した樹脂の合計重量に対して約0.05〜約10重量パーセントの量のカルボン酸を含むことができる。
【0018】
ポリマーを作製するのに使用されるモノマーは限定されず、使用されるモノマーには、例えば、スチレン、アクリラート、例えば、メタクリラート、アクリル酸ブチル、β−カルボキシエチルアクリラート(β−CEA)など、ブタジエン、イソプレン、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、アクリロニトリル、ベンゼン(ジビニルベンゼンなど)などのうちいずれか1種または複数を含むことができる。既知の連鎖移動剤、例えばドデカンチオールまたは四臭化炭素は、ポリマーの分子量特性を制御するために使用することができる。モノマーからラテックスポリマーを形成するのに適切な任意の方法を制約なしで使用することができる。
【0019】
実質的に架橋していない樹脂(本明細書において非架橋樹脂とも称される)は、約0.1パーセント未満の架橋を有する樹脂を含むことができる。非架橋ラテックスは、例えば、スチレン、アクリル酸ブチル、およびベータ−カルボキシエチルアクリラート(ベータ−CEA)モノマーを含むことができるが、これらのモノマーに限定されず、本明細書においてモノマーA、BおよびCと称され、例えば、開始剤、連鎖移動剤(CTA)および界面活性剤の存在下で乳化重合によって調製される。
【0020】
実質的に架橋していない樹脂は、スチレン:アクリル酸ブチル:ベータ−カルボキシエチルアクリラートを含むことができ、ここで、非架橋樹脂モノマーは、限定されないが、モノマーの合計重量に対して、例えば、約70重量パーセント〜約90重量パーセントのスチレン、約10重量パーセント〜約30重量パーセントのアクリル酸ブチル、および約0.05重量部〜約10重量部のベータ−CEA、または約3重量部のベータ−CEAの量で存在することができる。例えば、カルボン酸は、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、ベータ−カルボキシエチルアクリラート(ベータ−CEA)、フマル酸、マレイン酸および桂皮酸で構成される群(限定されないが)から選択することができる。
【0021】
本明細書の特色において、非架橋樹脂は、モノマーの合計重量に対して約73重量パーセント〜約85重量パーセントのスチレン、約27重量パーセント〜約15重量パーセントのアクリル酸ブチル、および約1.0重量部〜約5重量部のベータ−CEAを含むことができるが、この組成物および方法はこれらの特定の種類のモノマーまたは範囲に限定されない。別の特色において、非架橋樹脂は、モノマーの合計重量に対して約81.7重量パーセントのスチレン、約18.3重量パーセントのアクリル酸ブチルおよび約3.0重量部のベータ−CEAを含むことができる。
【0022】
開始剤は、限定されないが、例えば、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウムまたは過硫酸アンモニウムであってもよいが、モノマーの重量に対して、限定されないが、例えば、約0.5〜約3.0パーセントの範囲で存在することができる。CTAは、限定されないが、モノマーAおよびBの合計重量に対して約0.5〜約5.0重量パーセントの量で存在することができる。界面活性剤は、水相の重量に対して約0.7〜約5.0重量パーセントの範囲で存在する陰イオン性界面活性剤であってもよいが、この種類または範囲に限定されない。
【0023】
樹脂は、非晶質ポリエステル樹脂、結晶性ポリエステル樹脂、および/またはそれらの組み合わせなどのポリエステル樹脂であってもよい。適切な樹脂には、非晶質ポリエステル樹脂および結晶性ポリエステル樹脂の混合物も含まれる。
【0024】
樹脂は、任意の触媒の存在下でジオールを二塩基酸と反応させることにより形成されるポリエステル樹脂であってもよい。
【0025】
結晶性樹脂の例としては、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリオレフィン、ポリエチレン、ポリブチレン、ポリイソブチラート、エチレン−プロピレンコポリマー、エチレン−酢酸ビニルコポリマー、ポリプロピレン、それらの混合物などが挙げられる。具体的な結晶性樹脂は、ポリエステル系、例えばポリ(エチレン−アジパート)、ポリ(プロピレン−アジパート)、ポリ(ブチレン−アジパート)、ポリ(ペンチレン−アジパート)、ポリ(ヘキシレン−アジパート)、ポリ(オクチレン−アジパート)、ポリ(エチレン−スクシナート)、ポリ(プロピレン−スクシナート)、ポリ(ブチレン−スクシナート)、ポリ(ペンチレン−スクシナート)、ポリ(ヘキシレン−スクシナート)、ポリ(オクチレン−スクシナート)、ポリ(エチレン−セバカート)、ポリ(プロピレン−セバカート)、ポリ(ブチレン−セバカート)、ポリ(ペンチレン−セバカート)、ポリ(ヘキシレン−セバカート)、ポリ(オクチレン−セバカート)、ポリ(デシレン−セバカート)、ポリ(デシレン−デカノアート)、ポリ(エチレン−デカノアート)、ポリ(エチレンドデカノアート)、ポリ(ノニレン−セバカート)、ポリ(ノニレン−デカノアート)、コポリ(エチレン−フマラート)−コポリ(エチレン−セバカート)、コポリ(エチレン−フマラート)−コポリ(エチレン−デカノアート)、コポリ(エチレン−フマラート)−コポリ(エチレン−ドデカノアート)、アルカリコポリ(5−スルホイソフタロイル)−コポリ(エチレン−アジパート)、アルカリコポリ(5−スルホイソフタロイル)−コポリ(プロピレン−アジパート)、アルカリコポリ(5−スルホイソフタロイル)−コポリ(ブチレン−アジパート)、アルカリコポリ(5−スルホ−イソフタロイル)−コポリ(ペンチレン−アジパート)、アルカリコポリ(5−スルホ−イソフタロイル)−コポリ(ヘキシレン−アジパート)、アルカリコポリ(5−スルホ−イソフタロイル)−コポリ(オクチレン−アジパート)、アルカリコポリ(5−スルホ−イソフタロイル)−コポリ(エチレン−アジパート)、アルカリコポリ(5−スルホ−イソフタロイル)−コポリ(プロピレン−アジパート)、アルカリコポリ(5−スルホ−イソフタロイル)−コポリ(ブチレン−アジパート)、アルカリコポリ(5−スルホ−イソフタロイル)−コポリ(ペンチレン−アジパート)、アルカリコポリ(5−スルホ−イソフタロイル)−コポリ(ヘキシレン−アジパート)、アルカリコポリ(5−スルホ−イソフタロイル)−コポリ(オクチレン−アジパート)、アルカリコポリ(5−スルホイソフタロイル)−コポリ(エチレン−スクシナート)、アルカリコポリ(5−スルホイソフタロイル)−コポリ(プロピレン−スクシナート)、アルカリコポリ(5−スルホイソフタロイル)−コポリ(ブチレンスクシナート)、アルカリコポリ(5−スルホイソフタロイル)−コポリ(ペンチレン−スクシナート)、アルカリコポリ(5−スルホイソフタロイル)−コポリ(ヘキシレン−スクシナート)、アルカリコポリ(5−スルホイソフタロイル)−コポリ(オクチレン−スクシナート)、アルカリコポリ(5−スルホ−イソフタロイル)−コポリ(エチレン−セバカート)、アルカリコポリ(5−スルホ−イソフタロイル)−コポリ(プロピレン−セバカート)、アルカリコポリ(5−スルホ−イソフタロイル)−コポリ(ブチレン−セバカート)、アルカリコポリ(5−スルホ−イソフタロイル)−コポリ(ペンチレン−セバカート)、アルカリコポリ(5−スルホ−イソフタロイル)−コポリ(ヘキシレン−セバカート)、アルカリコポリ(5−スルホ−イソフタロイル)−コポリ(オクチレン−セバカート)、アルカリコポリ(5−スルホ−イソフタロイル)−コポリ(エチレン−アジパート)、アルカリコポリ(5−スルホ−イソフタロイル)−コポリ(プロピレン−アジパート)、アルカリコポリ(5−スルホ−イソフタロイル)−コポリ(ブチレン−アジパート)、アルカリコポリ(5−スルホ−イソフタロイル)−コポリ(ペンチレン−アジパート)、アルカリコポリ(5−スルホ−イソフタロイル)−コポリ(ヘキシレン−アジパート)、ポリ(オクチレン−アジパート)であってもよい。ただし、アルカリはナトリウム、リチウムまたはカリウムのような金属である。ポリアミドの例としては、ポリ(エチレン−アジポアミド)、ポリ(プロピレン−アジポアミド)、ポリ(ブチレンアジポアミド)、ポリ(ペンチレン−アジポアミド)、ポリ(ヘキシレン−アジポアミド)、ポリ(オクチレン−アジポアミド)、ポリ(エチレン−スクシンイミド)、およびポリ(プロピレン−セバカミド(sebecamide))が挙げられる。ポリイミドの例としては、ポリ(エチレン−アジポイミド)、ポリ(プロピレン−アジポイミド)、ポリ(ブチレン−アジポイミド)、ポリ(ペンチレン−アジポイミド)、ポリ(ヘキシレン−アジポイミド)、ポリ(オクチレン−アジポイミド)、ポリ(エチレン−スクシンイミド)、ポリ(プロピレン−スクシンイミド)、およびポリ(ブチレン−スクシンイミド)が挙げられる。
【0026】
結晶性樹脂は、例えば、トナー成分の約5〜約50重量パーセント、トナー成分の約10〜約35重量パーセント、またはトナー成分の約20重量パーセント〜約35重量パーセントの量で存在することができる。結晶性樹脂は、実施形態において、例えば、約30℃〜約120℃、約50℃〜約90℃、または約60℃〜約80℃の様々な融点を有することができる。結晶性樹脂は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定した場合、例えば、約1,000〜約50,000(約2,000〜約25,000など)の数平均分子量(M
n)、および、ポリスチレン標準を使用してゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって求めた場合、例えば、約2,000〜約100,000(約3,000〜約80,000など)の重量平均分子量(M
w)を有することができる。結晶性樹脂の分子量分布(M
w/M
n)は、例えば、約2〜約6、実施形態においては約3〜約4であってもよい。
【0027】
結晶性または非晶質のポリエステルを形成するのに使用することができる重縮合触媒としては、チタン酸テトラアルキル、ジブチルスズオキシドなどのジアルキルスズオキシド、ジラウリン酸ジブチルスズなどのテトラアルキルスズ、およびブチルスズオキシドヒドロキシドなどのジアルキルスズオキシドヒドロキシド、アルミニウムアルコキシド、アルキル亜鉛、ジアルキル亜鉛、酸化亜鉛、酸化第一スズ、またはそれらの組み合わせが挙げられる。そのような触媒は、ポリエステル樹脂を生成するために使用される出発二塩基酸または出発ジエステルに対して、例えば、約0.01モルパーセント〜約5モルパーセントの量で使用することができる。
【0028】
適切な非晶質樹脂としては、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリオレフィン、ポリエチレン、ポリブチレン、ポリイソブチラート、エチレン−プロピレンコポリマー、エチレン−酢酸ビニルコポリマー、ポリプロピレン、それらの組み合わせなどが挙げられる。使用することができる非晶質樹脂の例としては、スルホン酸アルカリ化ポリエステル樹脂、分岐スルホン酸アルカリ化ポリエステル樹脂、スルホン酸アルカリ化ポリイミド樹脂、および分岐スルホン酸アルカリ化ポリイミド樹脂が挙げられる。スルホン酸アルカリ化ポリエステル樹脂、例えばコポリ(エチレン−テレフタラート)−コポリ(エチレン−5−スルホ−イソフタラート)、コポリ(プロピレン−テレフタラート)−コポリ(プロピレン−5−スルホ−イソフタラート)、コポリ(ジエチレン−テレフタラート)−コポリ(ジエチレン−5−スルホ−イソフタラート)、コポリ(プロピレン−ジエチレン−テレフタラート)−コポリ(プロピレン−ジエチレン−5−スルホイソフタラート)、コポリ(プロピレン−ブチレン−テレフタラート)−コポリ(プロピレン−ブチレン−5−スルホイソフタラート)、コポリ(プロポキシ化ビスフェノールA−フマラート)−コポリ(プロポキシ化ビスフェノールA−5−スルホ−イソフタラート)、コポリ(エトキシ化ビスフェノールA−フマラート)−コポリ(エトキシ化ビスフェノールA−5−スルホ−イソフタラート)、およびコポリ(エトキシ化ビスフェノールA−マレアート)−コポリ(エトキシ化ビスフェノールA−5−スルホ−イソフタラート)の金属塩またはアルカリ塩は、実施形態において有用であり得る。ただし、アルカリ金属は、例えば、ナトリウム、リチウムまたはカリウムイオンである。
【0029】
不飽和非晶質ポリエステル樹脂は、ラテックス樹脂として使用することができる。例示の不飽和非晶質ポリエステル樹脂としては、ポリ(プロポキシ化ビスフェノールco−フマラート)、ポリ(エトキシ化ビスフェノールco−フマラート)、ポリ(ブチロキシ化ビスフェノールco−フマラート)、ポリ(co−プロポキシ化ビスフェノールco−エトキシ化ビスフェノールco−フマラート)、ポリ(1,2−プロピレンフマラート)、ポリ(プロポキシ化ビスフェノールco−マレアート)、ポリ(エトキシ化ビスフェノールco−マレアート)、ポリ(ブチロキシ化ビスフェノールco−マレアート)、ポリ(co−プロポキシ化ビスフェノールco−エトキシ化ビスフェノールco−マレアート)、ポリ(1,2−プロピレンマレアート)、ポリ(プロポキシ化ビスフェノールco−イタコナート)、ポリ(エトキシ化ビスフェノールco−イタコナート)、ポリ(ブチロキシ化ビスフェノールco−イタコナート)、ポリ(co−プロポキシ化ビスフェノールco−エトキシ化ビスフェノールco−イタコナート)、ポリ(1,2−プロピレンイタコナート)、およびそれらの組み合わせが挙げられるがこれらに限定されない。適切なポリエステル樹脂は、ポリアルコキシ化ビスフェノールA−co−テレフタル酸/ドデセニルコハク酸/トリメリット酸樹脂、またはポリアルコキシ化ビスフェノールA−co−テレフタル酸/フマル酸/ドデセニルコハク酸樹脂、またはそれらの組み合わせであってもよい。
【0030】
そのような非晶質樹脂は、約10,000〜約100,000、約15,000〜約80,000、または約24,000〜約45,000の重量平均分子量(Mw)を有することができる。
【0031】
ラテックス樹脂として使用することができる直鎖プロポキシ化ビスフェノールAフマラート樹脂の例は、Resana S/A Industrias Quimicas,Sao Paulo Brazilから商品名SPARIIで入手可能である。使用することができ、市販されている他のプロポキシ化ビスフェノールAフマラート樹脂としては、花王株式会社(日本)からのGTUFおよびFPESL−2、およびReichhold,Research Triangle Park,North CarolinaからのEM181635が挙げられる。
【0032】
実施形態において、適切な結晶性樹脂は、ドデカン二酸および1,9−ノナンジオールで形成される樹脂を含むことができる。
【0033】
そのような結晶性樹脂は、約10,000〜約100,000、約14,000〜約30,000、または約18,000〜24,000の重量平均分子量(Mw)を有することができる。
【0034】
例えば、ポリアルコキシ化ビスフェノールA−co−テレフタル酸/ドデセニルコハク酸/トリメリット酸樹脂、またはポリアルコキシ化ビスフェノールA−co−テレフタル酸/フマル酸/ドデセニルコハク酸樹脂、またはそれらの組み合わせは、ポリドデカン二酸−co−1,9−ノナンジオール結晶性ポリエステル樹脂と組み合わせることができる。
【0035】
樹脂は、約30℃〜約80℃、約35℃〜約70℃、または約45℃〜約65℃のガラス転移温度を有することができる。樹脂は、約130℃で約10〜約1,000,000Pa・s、約20〜約100,000Pa・s、または約500〜約50,000Pa・sの溶融粘度を有することができる。1種または2種以上のトナー樹脂が使用されてもよい。2種以上のトナー樹脂が使用される場合、トナー樹脂は、例えば、約10パーセント(第1の樹脂)/90パーセント(第2の樹脂)〜約90パーセント(第1の樹脂)/10パーセント(第2の樹脂)、または約40パーセント(第1の樹脂)/60パーセント(第2の樹脂)などの任意の適切な比率(例えば、重量比率)であってもよい。樹脂は乳化重合法によって形成することができる。
【0036】
樹脂は、約30℃〜約200℃(約50℃〜約150℃、または約70℃〜約100℃など)の高温で形成することができる。しかし、樹脂は室温で形成することもできる。
【0037】
例えば、樹脂混合物の間で実質的に一様な濃度にしてより良好な品質管理を可能にするために、樹脂混合物をPIEゾーンへポンプ輸送する前に、樹脂混合物の撹拌を行ってもよい。任意の適切な撹拌デバイスを使用することができる。実施形態において、撹拌速度は、約10回転/分(rpm)〜約5,000rpm、約20rpm〜約2,000rpm、または約50rpm〜約1,000rpmであってもよい。撹拌速度は一定であってよいが、撹拌速度を変えることもできる。しかし、機械式または磁性式の揺動は本明細書に開示される方法においては必要でない。
【0038】
樹脂混合物に樹脂を溶解するのを助けるために、任意の適切な有機溶媒を樹脂混合物中の樹脂と接触させることができる。本明細書に開示される方法に適切な有機溶媒としては、例えば約1重量%〜99重量%、約20重量%〜80重量%、または約20重量%〜約50重量%の量の、アルコール、ケトン、アミド、ニトリル、エーテル、スルホン、スルホキシド、ホスホルアミド、ベンゼンおよびベンゼン誘導体、エステル、アミンおよびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0039】
有機溶媒は水に混和しなくてもよく、約30℃〜約100℃の沸点を有することができる。任意の適切な有機溶媒を転相剤または溶媒反転剤として使用することができる。有機溶媒は、樹脂の約1重量%〜約25重量%(樹脂の約5重量%〜約20重量%、または樹脂の約10重量%〜樹脂の約15重量%など)の量で使用することができる。
【0040】
適切な塩基性中和剤としては、無機塩基性剤および有機塩基性剤の両方が挙げられる。
【0041】
塩基性剤は、樹脂の約0.001重量%〜50重量%(樹脂の約0.01重量%〜約25重量%、または樹脂の約0.1重量%〜5重量%など)の量で存在するように、例えば、水酸化ナトリウム薄片などの固体として使用することができる。
【0042】
上記のように、塩基性中和剤は酸性基を有する樹脂に添加することができる。様々な実施形態において、塩基性中和剤の添加は、それにより約5〜約12、約6〜約11、または約7〜8のpHに、酸性基を有する樹脂を含む乳剤のpHを増加させることができる。酸性基の中和によって、分散液の形成を増強することができる。
【0043】
中和率は、約25%〜約500%(約50%〜約450%、または約100%〜約400%など)であってもよい。
【0044】
先に論じたように、ラテックス分散液を形成するのに使用される樹脂混合物を形成する前に、界面活性剤を樹脂と接触させることができる。1種または2種以上の界面活性剤を使用することができる。界面活性剤は、イオン性界面活性剤および非イオン性界面活性剤から選択することができる。トナーを形成するのに使用される樹脂を形成するためのラテックスは、場合によって窒素などの不活性ガス中で、界面活性剤または共界面活性剤を含有する水相中で調製することができる。ラテックス分散液を形成するために樹脂と共に使用される界面活性剤は、固体の約0.01〜約15重量パーセント、固体の約0.1〜約10重量パーセント、または固体の約2〜約5重量パーセントの量の、イオン性または非イオン性界面活性剤であってもよい。
【0045】
具体的な界面活性剤またはそれらの組み合わせ、ならびに使用されるそれぞれの量の選択は、当業者の理解の範囲内にある。
【0046】
幾つかの実施形態において、蒸気は、連続的に水を注入する方法として、ならびにPIEゾーン用の広域の乱流源のための供給源として、同時に役立つことができる。多種類の蒸気をすべて使用することができる。例えば、蒸気の幾つかの分類としては、含湿蒸気、飽和蒸気、または過熱蒸気のいずれかが挙げられ得る。
【0047】
蒸気は、約80℃〜約150℃(約90℃〜約130℃、または約100℃〜約120℃など)の温度で樹脂混合物に導入することができる。樹脂混合物に導入される蒸気の圧力は、約0.04bar〜約35bar(約0.1bar〜約20bar、または約0.7bar〜約4.5barなど)であってもよい。
【0048】
従来のPIE法では、樹脂混合物へ液相水を添加し、乳化プロセスを推進するために機械的揺動を使用する。液相水の代りに、または、それに加えて、本明細書に開示される方法では、乳化プロセスを推進するために蒸気、または気相水の注入を使用する。
【0049】
図1は、本明細書に開示される蒸気の連続的な直接注入によるポリマーラテックスおよび/または分散液を調製するための装置の実施形態を示す。この実施形態において、装置1は、機械式混合機3、樹脂ポンプ4、脱イオン水(DIW)入口5、熱交換器6、高温浴7、蒸気入口8、樹脂混合物流れ入口9、転相乳化(PIE)ゾーン10、およびラテックス樹脂流れ出口11を場合によって備える、樹脂混合物容器2を備える。樹脂混合物は、まず、機械式混合機3を用いて原料を連続的に供給することによって樹脂混合物容器2内で調製することができ、次いで、ポンプ4によってPIEゾーン10に向けてポンプ輸送される。DIWは、DIW入口流5(水または蒸気を含んでいてもよい)を通って装置1に進入し、場合によって熱交換器6に輸送することができる。次いで、熱交換器6はDIWを蒸気に加熱し、幾つかの実施形態においては、高温の油浴7を使用してこの伝熱を達成することができる。次いで、蒸気は、熱交換器6から蒸気入口8を通してPIEゾーン10に輸送される。次いで、蒸気入口8からの蒸気と樹脂混合物流れ入口9からの樹脂混合物は、PIEゾーン10で混合される。ここで、ポリマーラテックスおよび/または分散液が直ちに形成され、ラテックス出口11を通って装置を出る。
【0050】
図2は、本明細書に開示される直接的蒸気注入によってラテックスを調製するための、連続法のPIE混合ゾーンの例示の実施形態を示す。この実施形態において、PIEゾーンは「T字」型の継手を形成し、樹脂混合物は樹脂混合物入口9から輸送され、熱交換器6(図示せず)からの蒸気は、蒸気入口8を通してPIEゾーン10に輸送される。次いで、蒸気および樹脂混合物は、樹脂混合物流れと蒸気流れの合体から結果として生じ得る広域の乱流により少なくとも部分的に混合される。次いで、ラテックスおよび/または分散液が形成され、ラテックス出口11を通って「T字」形PIEゾーン10を出る。
【0051】
図2はPIEのT字形のゾーンを図示するが、本開示は特に形状において限定されない。Y字形などの様々な形状の可能性のあるPIE形ゾーンも使用することができる。
【0052】
樹脂混合物が室温にある場合、蒸気を樹脂混合物に導入することができる。代替として、樹脂混合物をほぼ室温から約60℃、例えば約30℃から約50℃、または約35℃から約40℃の温度に加熱する場合、蒸気を樹脂混合物に導入することができる。水蒸気の形態の蒸気はかなりの量の熱を持つ。熱の移動は、水蒸気が樹脂と接触するときに生じる。上記したように、蒸気は、約80℃〜約150℃(約90℃〜約130℃、または約100℃〜約120℃など)の温度で樹脂混合物に導入することができる。樹脂混合物に導入される蒸気の圧力は、約0.04bar〜約35bar(約0.1bar〜約20bar、または約0.7bar〜約4.5barなど)であってもよい。
【0053】
溶媒は、蒸気を導入すると自発的に蒸発し得る。
【0054】
その初期段階では、樹脂混合物は「油中水相」であってもよい。樹脂混合物中への水蒸気の連続的注入などの注入は、樹脂混合物を同時に加熱、混合するのに使用することができる。樹脂混合物は局部的にはそれほど濃厚でなくなり、一方、微小ゾーンでは気相水分が樹脂混合物中にまで拡大し、混合効率の高い広域の乱流によって同時に混合される。水蒸気と樹脂混合物との間の接触面が大きいので、PIEが急速に生じ、「水中油相」分散液を形成する。
【0055】
その上、運動エネルギーを有する蒸気圧下の蒸気の氾濫を、樹脂混合物と水との間でのさらなる剪断および/または混合を導入するのに使用して乳化を促進することができる。剪断および混合を、気相の蒸気によりマクロの規模および分子レベルで起こすことができる。プロセスでの蒸気の使用は、乳化プロセスの運動論的安定化の条件を満たす。
【0056】
本明細書に開示される方法によって製造されたラテックスまたは分散液は、約1500nm以下(約5nm〜約1000nm、または約50nm〜約500nm、または約100nm〜約300nmなど)の寸法を有する水性媒体中の乳化樹脂粒子を含むことができる。本明細書に開示される方法に従って製造されたラテックスの粒径分布は、約60nm〜約300nm(約100nm〜約250nm、または約100nm〜約200nmなど)であってもよい。ラテックス分散液の粗大物含有率は、約0重量%〜約1重量%(約0.1重量%〜約0.5重量%、または約0.2%〜約0.4%など)であってもよい。本開示のラテックス分散液の固形分含有量は、約5重量%〜約50重量%(約10重量%〜約45重量%、または約30重量%〜約40重量%など)であってもよい。
【0057】
ラテックス分散液中に形成される粒子の寸法は、樹脂混合物中の溶媒比率、および/または中和剤比率によって制御することができる。ラテックス分散液の固形分濃度は、樹脂混合物と水との比率によって制御することができる。本明細書に開示される方法は、ラテックスまたは分散液を形成するのに使用される予め作製された樹脂などの出発樹脂と同じ分子量特性を保持する、乳化樹脂粒子を製造することができる。
【0058】
乳化後、追加の界面活性剤、水および/または中和剤を添加して乳剤を希釈してもよい。乳化後、分散液を室温、例えば約20℃〜約25℃に冷却してもよい。乳化後、ラテックスまたは分散液を蒸留または加熱してラテックスまたは分散液中の残存溶媒を除去してもよい。
【0059】
本開示のラテックスまたは分散液の実施形態は、結晶性および/または非晶質のポリエステル樹脂を使用して、超低融点EAプロセスなどの低融点EAプロセスに適した寸法を有する粒子などの、EAプロセスに適した粒子を製造するために使用することができる。ラテックス分散液の実施形態は、均質化または濾過を使用せずに低い粗大物含有率で製造することができる。
【0060】
先に論じたように、本明細書に開示される幾つかの方法に従って製造されたラテックス分散液は、EAトナーなどのトナーを形成するのに使用することができる。ラテックス分散液は、EA合体プロセスの粒子凝集の前などにプレトナー混合物に添加することができる。ラテックスまたは分散液、ならびにバインダー樹脂、ワックス分散液などのワックス、着色剤、および任意の他の所望のまたは必要な添加剤(界面活性剤など)は、プレトナー混合物を形成することができる。
【0061】
プレトナー混合物を調製することができ、その結果得られる混合物のpHは、例えば、酢酸、硝酸などの酸によって調節することができる。混合物のpHは約4〜約5となるように調節することができる。加えて、混合物を均質化することができる。混合物が均質化される場合、均質化は毎分約600〜約4,000回転の混合速度で混合することにより達成することができる。均質化は、例えば、IKA ULTRA TURRAX T50プローブホモジナイザーを含む任意の適切な手段によって達成することができる。
【0062】
本明細書に開示される方法によって製造されたラテックス分散液のプレトナー混合物への添加または組み込みを含む、上記混合物の調製の後、凝集剤を混合物に添加することができる。凝集剤を樹脂混合物容器に添加するか、PIEゾーンの前に樹脂混合物流れに注入するか、または直接PIEゾーンへ注入してもよい。任意の適切な凝集剤を、トナーを形成するために使用することができる。凝集剤は、樹脂のガラス転移温度(TG)未満の温度で混合物に添加することができる。
【0063】
凝集剤は、例えば、混合物中の樹脂の約0.01重量パーセント〜約8重量パーセント(約0.1重量パーセント〜約1重量パーセント、または約0.15重量パーセント〜約0.8重量パーセントなど)の量でトナーを形成するのに使用される混合物に添加することができる。上記によって、凝集に十分な量の薬剤を得ることができる。
【0064】
粒子の凝集およびその後の合体を制御するために、凝集剤は、経時的に計量して混合物に添加することができる。例えば、薬剤を約5〜約240分(約30〜約200分など)の時間にわたり計量して混合物に添加することができるが、所望の場合または必要に応じて使用する時間には長短があってよい。毎分約50回転〜毎分約1,000回転、または毎分約100回転〜毎分約500回転などの撹拌条件下に混合物を維持しながら、薬剤の添加を行ってもよい。薬剤の添加はまた、上記の樹脂のガラス転移温度未満の温度(約30℃〜約90℃、または約35℃〜約70℃など)で混合物を維持しながら行ってもよい。
【0065】
所定の望ましい粒径を得るために、粒子は、樹脂混合容器内で凝集させるか、または樹脂混合容器から下流で注入することができる。所定の望ましい寸法とは、形成前に決定された得ようとする所望の粒径を指すことができ、そのような粒径に到達するまで、粒径は成長プロセス中にモニターされる。試料を成長プロセス中に取り、例えばコールターカウンターで平均粒径を分析することができる。このように、高温を維持する、または、例えば、約30℃から約99℃に徐々に温度を上昇させ、約0.5時間〜約10時間(約1時間〜約5時間など)の時間、撹拌を維持しながらこの温度に混合物を保持することにより凝集を進めて、凝集した粒子を得ることができる。所定の望ましい粒径に達したら、その時に成長プロセスは停止される。所定の望ましい粒径は、最終のトナー粒子の所望の寸法内とすることができる。
【0066】
凝集剤の添加後の粒子の成長および成形は、任意の適切な条件下に達成することができる。例えば、成長および成形は、凝集が合体とは別に生じる条件下で行うことができる。別々の凝集および合体段階に関して、凝集プロセスは、上記の樹脂のガラス転移温度未満であってもよい、例えば、約40℃〜約90℃(約45℃〜約80℃など)の高温で剪断条件下に行うことができる。
【0067】
トナー粒子の所望の最終寸法が達成されたら、混合物のpHは塩基を用いて約3〜約10(約5〜約9など)の値に調節することができる。
【0068】
pHの調節は、トナーの成長を凍結する、すなわち停止するために使用することができる。トナーの成長を停止するために使用される塩基としては、例えば、アルカリ金属水酸化物(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、それらの組み合わせなど)などの任意の適切な塩基が挙げられ得る。実施形態において、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)を、上に示した所望の値にpHを調節するのを助けるために添加することができる。
【0069】
凝集および直接的蒸気注入の後であるが、しかし合体の前に、樹脂被膜を凝集した粒子に施してその上にシェルを形成することができる。トナー樹脂を形成するのに適切であると上述した任意の樹脂をシェルとして使用することができる。
【0070】
シェルを形成するために使用することができる樹脂としては、上記の結晶性ポリエステル、および/または、コアとしての使用のために上記した非晶質樹脂が挙げられるがこれらに限定されない。複数の樹脂を任意の適切な量で使用することができる。
【0071】
シェル樹脂は、当業者の理解の範囲内の任意の方法によって凝集した粒子に塗布することができる。シェルを形成するために使用される樹脂は、上記の任意の界面活性剤を含む分散液中にあってよい。この樹脂を有する分散液は、凝集した粒子を覆ってシェルが形成されるように上記の凝集した粒子と組み合わせることができる。実施形態において、シェルは、形成された凝集体を覆って最大約5ミクロン、約0.1〜約2ミクロン、または約0.3〜約0.8ミクロンの厚さを有することができる。
【0072】
凝集した粒子を覆うシェルの形成は、約30℃〜約80℃の、実施形態においては約35℃〜約70℃の温度に加熱しながら行うことができる。シェルの形成は、約5分〜約10時間(約10分〜約5時間、または約30分〜約2時間など)の時間で行ってもよい。
【0073】
例えば、トナープロセスは、高速でブレンドしながらワックス分散液および着色剤の存在下で、ポリマーラテックスを任意の凝固剤と混合することによりトナー粒子を形成することを含むことができる。結果として得られた、例えば約2〜約3のpHを有する混合物は、ポリマー樹脂のTg未満の温度への加熱によって凝集してトナーの寸法の凝集体を与えることができる。場合によって、形成された凝集体に追加のラテックスを添加し、形成された凝集体を覆うシェルを与えることができる。混合物のpHは、約7のpHが達成できるまで、例えば、水酸化ナトリウム溶液の添加によって変化させることができる。
【0074】
所望の粒径への凝集および任意のシェルの塗布の後、粒子を所望の最終形状に合体することができる。合体は、例えば、トナー粒子を形成するのに使用される樹脂のガラス転移温度以上であってもよい、約45℃〜約100℃、約55℃〜約99℃、または約60℃〜約80℃の温度に混合物を加熱することによって、および/または、例えば、毎分約100回転〜毎分約1,000回転(毎分約200回転〜毎分約800回転、または毎分300〜600回転など)の撹拌速度に撹拌を減少させることによって達成することができる。融合した粒子は、所望形状が達成されるまで、SYSMEX FPIA 2100分析計などで形状因子または円形度を測定することができる。
【0075】
使用する温度は高くても低くてもよく、その温度はバインダーに使用される樹脂の関数であることが理解される。合体は、約0.01時間〜約9時間(約0.1時間〜約4時間など)の時間にわたって達成することができる。
【0076】
凝集および/または合体の後、混合物は室温(約20℃〜約25℃など)に冷却することができる。その冷却は、所望に応じて、速くても遅くてもよい。適切な冷却の方法は、反応器のまわりのジャケットに冷水を導入することを含む。冷却後、トナー粒子は、水で洗浄し、次いで乾燥することができる。乾燥は、例えば、凍結乾燥を含む乾燥に適切な任意の方法によって達成することができる。
【0077】
ワックスは、トナー粒子の形成においてラテックスまたは分散液、着色剤などと組み合わせることができる。ワックスを含む場合、ワックスは、例えば、トナー粒子の約1重量パーセント〜約25重量パーセント(トナー粒子の約5重量パーセント〜約20重量パーセント、または約10重量パーセント〜約18重量パーセントなど)の量で存在することができる。
【0078】
本明細書に記載されるトナー粒子は、着色剤をさらに含むことができる。着色剤には、顔料、染料、染料の混合物、顔料の混合物、染料と顔料の混合物などが含まれる。
【0079】
望ましい場合または必要な場合、トナー粒子は他の任意の添加剤を含むことができる。例えば、トナーは、正または負の電荷制御剤を、例えば、トナーの約0.1〜約10重量パーセント(トナーの約1〜約3重量パーセントなど)の量で含むことができる。
【0080】
流動補助添加剤を含む形成の後に、トナー粒子に外部添加剤粒子をブレンドしてもよく、この場合、添加剤は、トナー粒子表面に存在し得る。
【0081】
トナー粒子は、約17,000〜約80,000ダルトンの範囲の重量平均分子量(Mw)、約3,000〜約10,000ダルトンの数平均分子量(M
n)、および約2.1〜約10のMWD(トナー粒子のM
wとM
nの比率、ポリマーの多分散性、または幅の尺度)を有することができる。
【実施例】
【0082】
材料調製
30gの非晶質樹脂1、N−メチル−N−エタノールパーフルオロオクタンスルホンアミド(Mw=44120、Tg開始=56.8℃)を30gのメチルエチルケトン(MEK)と3gのイソプロピルアルコール(IPA)との混合物と混合した。次いで、この溶液を60℃の水浴中で混合し樹脂を溶解した。
【0083】
実施例1
30gの試料1を100mLのプラスチックボトルに移した。10%の水酸化アンモニウム0.88g(中和率(ration)85%)をプラスチックボトルに添加し、次いで、混合物を振盪によって十分に混合した。
【0084】
次いで、樹脂混合物を、
図1および2の装置内に例示したように樹脂混合物流れ入口を通ってPIEゾーンへポンプ輸送した。蒸気を約100℃の温度で発生させ、PIEゾーンに注入して樹脂混合物と接触させた。ラテックスの乳化がPIEゾーンで直ちに生じ始め、ラテックス出口で収集した。
【0085】
図3に示すように、得られた分散液は、平均粒径約30nm〜約300nmを有していた。大半の粒子は、40nm〜150nmの間の寸法を有している。
【0086】
この結果は、開示された連続法および装置が良好であり、また、柔軟で単純な構造を有していたことを実証し、この方法および装置は、外部の混合機を用いずに必要とするラテックスの粒度範囲を首尾よく調製できることを示した。開示された方法および装置が、スケールアップ、スケールダウンのいずれも可能であることは、これらの結果から理解されよう。