【実施例1】
【0009】
以下に、この発明のキャスタの取付構造を台車の台盤(荷台)に適用した場合の好適実施例について図面を参照しながら説明する。
台盤1は、本実施例の場合、
図4、
図5に示すように、矩形の合成樹脂製の台盤からなっており、上面には、把持用の貫通孔H1や、スタッキングに際してキャスタ30の車輪を嵌込むH2などが適宜形成されている。
上記台盤1の裏面には補強用のリブLが格子状や輪郭状などの適宜形状に突設されており、その四隅にはキャスタ30を装着するためのキャスタ取付部2が形成されている。
【0010】
ここでキャスタ30は、上部にプレート状の取付台板31を有し、車輪Wを軸支した支持ヨーク33は軸受部32を介して取付台板31に旋回可能に取り付けた旋回キャスタを用いたが、前記支持ヨーク33を取付台板31に固定した直進用のキャスタを用いてもよい。
また、車輪は単輪でも双輪でよい。
更に、1枚の取付台板31に複数のキャスタが装着されたものも、この発明では取付用のキャスタとして用いることができる。
【0011】
台盤1の裏面には、多数の補強リブLが突設しており、四隅にキャスタ30取付用のキャスタ取付部2が設けられている。
キャスタ取付部2は、
図3に示すように、キャスタ30の取付台板31の上面と接して所定高さで取付台板31を水平に支持するため高さを揃えたリブ3a、3bからなる支承部3と、該支承部3の一方の端部に台盤1の上面から垂設すると共に支承部3の内側に向かって突出する鉤状の第1台盤側掛止部4と、前記支承部3の基端側で第1台盤側掛止部4と対峙する個所に形成された第2台盤側掛止部5と、該第2台盤側掛止部5の後方(支承部3と離間する方向)に形成された収納室7とを有している。
【0012】
支承部3は、前記補強リブLの略半分の長さとなっており、該支承部3の一方の端部で台盤1の長手方向の外端寄りに第1台盤側掛止部4が固設されている。
図示例の場合、第1台盤側掛止部4は、台盤1の上面から垂下するリブの中途位置で支承部3側へ突出し、該突出した面で前記取付台板31を下から支持するように、先端が直角に折れ曲がった鉤状からなっている。
【0013】
支承部3の他方の端部には、前記第1台盤側掛止部4に対峙して、前記取付台板31の他側を下方から掛止める第2台盤側掛止部5が形成されている。
該第2台盤側掛止部5は、その基端が台盤1の上壁面にV字状のヒンジ部6を介して前記取付台板31と離間する方向に傾動可能に取り付けられている。
上記第2台盤側掛止部5を傾動させる構造は、上記ヒンジ構造に限らず、枢着構造その他の公知の折曲げ構造を用いることができる。
【0014】
上記第2台盤側掛止部5の後方に接して収納室7が設けられている。
該収納室7は、
図3に明瞭なように、取付部材11を収納して第2台盤側掛止部5を取付台板31の掛止位置でその姿勢を拘束するための構造である。
即ち、収納室7は、第2台盤側掛止部5と所定の間隔を隔てて後方に対峙して、台盤1に固定されて垂下する後方壁部8を有している。
【0015】
第2台盤側掛止部5と後方壁部8の間隔は、取付部材11を略隙間なく嵌合しうる長さに設定されている。
また、第2台盤側掛止部5と後方壁部8の間には、その左右の側方を塞ぐ左右一対の側壁部9、9が平行に設けられている。
そして、側壁部9、9には、それぞれ第2台盤側掛止部5側で開口し後方壁部8に向かって漸次斜め上向きに傾斜する一対の長穴部10、10が形成されている。
【0016】
次に、取付部材11は、略ロール形状からなる取付部本体12と、該取付部本体12の左右両側の側壁面から外方に突出する支軸部13と、前記取付部本体12の外周壁面に設けられたカム面部14と、前記取付部本体12に突設されて外方へ延びる拘束片部15とからなっている。
該拘束片部15は取付部本体12の接線方向に延びる突片からなっている。
【0017】
本実施例では、取付部本体12は、左右側壁面に一対の大径の側板16が形成されており、該側板16から外方へ支持部13が突設されており、また側板16の環状の外周面にカム面部14が形成されている。
また、一対の側板16間は中軸部17によって連結されており、該中軸部17には、切欠部18が形成されている。
【0018】
この取付部材11は、支軸部13を長穴部10に挿入した際に、側板16の外周面が第2台盤側掛止部5と後方壁部8とに同時に接しうるように配置される。
また、カム面部14は、本実施例では、拘束片部15の平坦面の延長線上に延びる平坦面からなる補助カム面14aと、該補助カム面aに連続して折れ曲がる平坦面からな
る拘束ガイド用のカム面14bとからなっている。
【0019】
該カム面14bは、後方壁部8と平行に衝合した際に、前記拘束片部15が第2台盤側掛止部5の下端に接して覆うように変位する。
これにより、カム面14bによって収納室7内で動きを規制された取付部材11は、その側板16により第2台盤側掛止部5と後方壁部8との間隔を維持するので第2台盤側掛止部5は後方へ傾動することができない。
更に、拘束片部15が第2台盤側掛止部5の下端に接してこれを覆うので、第2台盤側掛止部5の取付台板31の掛止姿勢が強固に保持される。
【0020】
また取付部材11は、支軸部13が長穴部10に挿入されており、長穴部10は傾斜しているので、支軸部13が長穴部10から抜け落ちることもない。
また、前記長穴部10の開口は第2台盤側掛止部5の近傍に形成されているので、支軸部13の挿入に際して中軸部17が第2台盤側掛止部5と衝合するおそれがある。
その場合は、中軸部17に切欠部18を形成することで、中軸部17が第2台盤側掛止部5に衝合せずに収納室7内に嵌合させることができる(
図7(b)参照)。
【0021】
取付部材11の収納室7への取付け方法は、
図6から
図9に示す。
即ち、キャスタ30の取付台板31は後端が上方となるよう斜めに傾斜させ、第2台盤側掛止部5を後方に傾動させることで掛止めると共に、第1台盤側掛止部4との間隔を広げることができる。
次いで、上記広がった間隔から取付台板31の先端を第1台盤側掛止部4の上方に通過させ、第2台盤側掛止部5を前方へ傾動させて前記間隙を元に戻すと共に、キャスタ30の取付台板31を支承部3に接するように水平に挿入する。
そして、前記取付台板31の先端を第1台盤側掛止部4に掛止め、第2台盤側掛止部5を垂直姿勢に戻して、前記取付台板31を、第1台盤側掛止部4と第2台盤側掛止部5とで水平に支持することができる(
図6参照)。
【0022】
次いで、長穴部10に取付部材11の支軸部13を挿入して、該長穴部10にガイドされながら取付部材11を収納室7内に嵌合する。
この際に、本実施例では、取付部材11は拘束片部15が垂直姿勢に向いた時に中軸部17の横幅が最も薄くなるように設定されており、第2台盤側掛止部5とぶつかることなく取付部材11を収納室7内に嵌合することができる(
図7、
図8参照)。
この際に拘束片部15と補助カム面14aとは同一面状となっているので、補助カム面14aは後方壁部8と平行に接し取付部材11は第2台盤側掛止部5を垂直に維持することができる。
【0023】
そして、収納室7内で取付部材11を90度回転させることで、カム面14bが後方壁部8と平行に接し、拘束片部15が第2台盤側掛止部5の下端に接して第2台盤側掛止部5を垂直姿勢に保持することができる。
また、取付部材11も、中軸部17が第2台盤側掛止部5と拘束片部15の間を横に塞ぐように変位するので、第2台盤側掛止部5と拘束片部15とに挟持され、同時に、支軸部13が長穴部10から抜け落ちることがない(
図9参照)。
【0024】
また、上記実施例では、先に取付台板31を第2台盤側掛止部5および第1台盤側掛止部4に掛止める場合を説明したが、この発明では、取付部材11を先に収納室7にセットし、その後に取付台板31を第2台盤側掛止部5および第1台盤側掛止部4に掛止めるようにしてもよい(
図8(c)参照)。
即ち、収納室7にセットされた取付部材11は、拘束片部15が垂直姿勢の状態であり、中軸部17の切欠部18が第2台盤側掛止部5側に対峙しているので取付部材11をセットしたまま切欠部18のスペースを利用して第2台盤側掛止部5を図中後方へ傾動することができる。
【0025】
そこで、上記傾動した第2台盤側掛止部5にキャスタの取付台板31の他方の端部を掛止め、第2台盤側掛止部5の後傾により広がった第1台盤側掛止部4との隙間から取付台板31の一方の端部を差し込み、第2台盤側掛止部5を前方へ傾動させながら前記取付台板31を第1台盤側掛止部4と、垂直姿勢に変位した第2台盤側掛止部5とに水平に掛止めることができる。
その後、
図9に示したように、収納室7内で取付部材11を90度回転させることで垂直姿勢の第2台盤側掛止部5を拘束することができる。
【0026】
上記実施例では、台盤や取付部材は合成樹脂製の場合を例示したが、それらの素材は上記実施例に限定されない。
また、キャスタの取付台板の形状によっては、先に一方の端部を第1台盤側掛止部に掛止めてから、第2台盤側掛止部を後方に傾けて第1台盤側掛止部との間隔を広げ、前記取付台板の他方の端部を差し込んで略水平姿勢にしてからその端部を垂直姿勢に戻した第2台盤側掛止部に掛止めるようにしてもよい。
【0027】
また、上記実施例では、キャスタの被取付体として台車の台盤を例に説明したが、この発明では、キャスタを取り付ける台盤を備えた被取付体であれば、その構造や用途は特に限定されない。
その他、要するにこの発明の要旨を変更しない範囲で種々設計変更しうること勿論である。