(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のような構成の定着装置においては、回転部材の熱膨張に伴って回転部材及びベアリングが外側に移動し、これに伴って異常音が発生する恐れがある。この点、特許文献1では、外側部材をベアリングに当接させているため、回転部材及びベアリングの外側への移動を抑制することが可能である。しかしながら、上記のように外側部材をベアリングに当接させると、回転部材の熱膨張に伴ってベアリングが外側に押された時にベアリングに大きな負荷が掛かり、ベアリングが破損する恐れがある。
【0006】
そこで、本発明は上記事情を考慮し、ベアリングを破損させることなく回転部材及びベアリングの回転軸方向外側への移動を抑制し、異常音の発生を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の定着装置は、記録媒体にトナー像を定着させる回転部材と、回転軸の周りを回転可能となるように前記回転部材を支持するベアリングと、前記ベアリングの前記回転軸方向外側に配置される外側部材と、前記ベアリングと前記外側部材の間に介装される弾性部材と、を備えていることを特徴とする。
【0008】
上記のような構成を採用することで、ベアリングと外側部材が隙間を介して配置される場合と比較して、回転部材及びベアリングの回転軸方向外側への移動を抑制することが可能となる。これに伴って、異常音の発生を抑制することが可能となる。
【0009】
また、ベアリングと外側部材の間に弾性部材が介装されているため、外側部材をベアリングに当接させる場合と比較して、回転部材の熱膨張に伴ってベアリングが回転軸方向外側に押された時にベアリングに掛かる負荷を軽減させることが可能となる。これに伴って、ベアリングの破損を防止することが可能となる。
【0010】
前記弾性部材は、潤滑油を含浸していても良い。
【0011】
このような構成を採用することで、回転部材の熱膨張に伴ってベアリングが回転軸方向外側に押された時に弾性部材が回転軸方向に圧縮変形し、弾性部材に含浸された潤滑油が弾性部材から染み出すことになる。これに伴って、ベアリングとベアリングに接触する部材の間のすべり性を向上させることが可能となる。
【0012】
前記外側部材は、潤滑油を保持するタンク部と、前記タンク部から前記弾性部材へと潤滑油を案内するダクト部と、を備えていても良い。
【0013】
このような構成を採用することで、弾性部材に含浸される潤滑油が枯渇するのを簡易な構成によって抑制することが可能となる。
【0014】
前記弾性部材の少なくとも一部は、前記ダクト部に挿入されていても良い。
【0015】
このような構成を採用することで、ダクト部からの潤滑油の漏れを抑制することが可能となる。
【0016】
前記定着装置は、前記回転部材の前記回転軸方向の端部に装着されるブッシュと、前記回転部材及び前記ブッシュを貫通する支軸と、を更に備え、前記ベアリングは、前記ブッシュと前記支軸の間に介装されていても良い。
【0017】
このような構成を採用することで、ブッシュの傾きを抑制することが可能となり、異常音の発生を一層効果的に抑制することが可能となる。
【0018】
前記定着装置は、前記支軸を保持する定着フレームを更に備え、前記外側部材は、前記支軸と前記定着フレームの間に介装されていても良い。
【0019】
このような構成を採用することで、定着フレームの補強部材としての機能を外側部材に持たせることができる。そのため、定着フレームの補強部材を外側部材とは別個に設ける場合と比較して、定着装置の構成を簡易なものとすることが可能となる。
【0020】
前記ベアリングは、前記支軸の外周に設けられる内輪と、前記ブッシュの内周に設けられ、前記内輪に対して回転可能な外輪と、を備え、前記弾性部材は、前記外輪に接触せずに前記内輪に接触していても良い。
【0021】
このような構成を採用することで、弾性部材の摩耗を抑制することが可能となる。
【0022】
前記定着装置は、定着ベルトと、前記定着ベルトに圧接して定着ニップを形成する加圧部材と、前記定着ベルトを介して前記加圧部材と対向する定着ローラーと、前記定着ベルトの外径側に配置され、前記定着ベルトを加熱する熱源と、を更に備え、前記回転部材は、前記定着ベルトを介して前記熱源と対向する加熱ローラーであっても良い。
【0023】
このような構成を採用することで、定着装置の熱容量を小さくすることが可能となる。
【0024】
本発明の画像形成装置は、上記したいずれかの定着装置を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、ベアリングを破損させることなく回転部材及びベアリングの回転軸方向外側への移動を抑制し、異常音の発生を防止することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
まず、
図1を用いてカラープリンター1(画像形成装置)の全体の構成について説明する。
【0028】
カラープリンター1は、箱型形状のプリンター本体2を備えており、プリンター本体2の下部には用紙(記録媒体)を収納した給紙カセット3が設けられ、プリンター本体2の上部には排紙トレイ4が設けられている。
【0029】
プリンター本体2の中央部には、中間転写ベルト6が複数のローラー間に架設され、中間転写ベルト6の下方には、レーザー・スキャニング・ユニット(LSU)で構成される露光装置7が配置されている。中間転写ベルト6の下側には、4個の画像形成部8がトナーの色(例えば、マゼンタ、シアン、イエロー、ブラックの4色)ごとに設けられている。各画像形成部8には、感光体ドラム9が回転可能に設けられており、感光体ドラム9の周囲には、帯電器10と、現像器11と、一次転写部12と、クリーニング装置13と、除電器14とが、一次転写のプロセス順に配置されている。現像器11の上方には、各画像形成部8と対応するトナーコンテナ15が、トナーの色(例えば、マゼンタ、シアン、イエロー、ブラックの4色)ごとに設けられている。
【0030】
プリンター本体2の一側(図面上右側)には、用紙の搬送経路16が上下方向に設けられている。搬送経路16の上流端には給紙部17が設けられ、搬送経路16の中流部には中間転写ベルト6の一端(図面上右端)に二次転写部18が設けられ、搬送経路16の下流部には定着装置20が設けられ、搬送経路16の下流端には排紙口21が設けられている。
【0031】
次に、このような構成を備えたカラープリンター1の画像形成動作について説明する。カラープリンター1に電源が投入されると、各種パラメーターが初期化され、定着装置20の温度設定等の初期設定が実行される。そして、カラープリンター1に接続されたコンピューター等から画像データが入力され、印刷開始の指示がなされると、以下のようにして画像形成動作が実行される。
【0032】
まず、帯電器10によって感光体ドラム9の表面が帯電された後、露光装置7からのレーザー光(矢印P参照)により感光体ドラム9の表面に静電潜像が形成される。次に、この静電潜像を、トナーコンテナ15から供給されるトナーによって現像器11が対応する色のトナー像に現像する。このトナー像は、一次転写部12において中間転写ベルト6の表面に一次転写される。以上の動作を各画像形成部8が順次繰り返すことによって、中間転写ベルト6上にフルカラーのトナー像が形成される。なお、感光体ドラム9上に残留したトナー及び電荷は、クリーニング装置13及び除電器14によって除去される。
【0033】
一方、給紙部17によって給紙カセット3又は手指しトレイ(図示せず)から取り出された用紙は、上記した画像形成動作とタイミングを合わせて二次転写部18へと搬送され、二次転写部18において、中間転写ベルト6上のフルカラーのトナー像が用紙に二次転写される。トナー像を二次転写された用紙は、搬送経路16を下流側へと搬送されて定着装置20に進入し、この定着装置20において用紙にトナー像が定着される。トナー像が定着された用紙は、排紙口21から排紙トレイ4上に排出される。
【0034】
次に、定着装置20について詳細に説明する。以下、説明の便宜上、
図2における紙面手前側を定着装置20の前側とする。各図に適宜付される矢印Fr、Rr、L、R、U、Loは、それぞれ定着装置20の前側、後側、左側、右側、上側、下側を示している。
図2の矢印Yは、用紙の搬送方向を示している。各図に適宜付される矢印Iは前後方向内側を示し、各図に適宜付される矢印Oは前後方向外側を示している。
【0035】
図2に示されるように、定着装置20は、定着ユニット22と、定着ユニット22の左側に設けられるIHユニット23と、を備えている。
【0036】
まず、定着ユニット22について説明する。
図2、
図3に示されるように、定着ユニット22は、箱型形状の定着フレーム24と、定着フレーム24の左端側に配置される加熱ローラー25(回転部材)と、加熱ローラー25の右側に配置される定着ローラー26と、加熱ローラー25の右上側且つ定着ローラー26の左上側に配置されるテンションローラー27と、加熱ローラー25、定着ローラー26及びテンションローラー27に巻き掛けられる定着ベルト28と、定着ベルト28の右側に配置される加圧ローラー29(加圧部材)と、加熱ローラー25の前後両端部にそれぞれ装着されるブッシュ30と、加熱ローラー25及び各ブッシュ30を貫通する支軸31と、各ブッシュ30と支軸31の間に介装される第1ベアリング32(ベアリング)及び第2ベアリング33(
図2、
図3では図示せず)と、各第1ベアリング32の前後方向外側に配置される外側部材34と、第1ベアリング32と外側部材34の間に介装されるスポンジ35(弾性部材)と、を備えている。
【0037】
定着フレーム24(
図3等参照)は、固定フレーム部37と、固定フレーム部37に左右方向スライド可能に支持される可動フレーム部38と、を備えている。固定フレーム部37の前後両壁部40の左縁部には、係合溝41が設けられている。可動フレーム部38の前後両板42は、固定フレーム部37の前後両壁部40の前後方向内側に配置されている。なお、固定フレーム部37の前後両壁部40は、
図3を除いて記載が省略されている。
【0038】
加熱ローラー25(
図2、
図3等参照)は、前後方向に長い円筒状を成している。加熱ローラー25は、前後方向に延びる回転軸Aの周りを回転可能に設けられている。つまり、本実施形態では、前後方向が加熱ローラー25の回転軸方向である。
【0039】
定着ローラー26(
図2等参照)は、定着ベルト28を介して加圧ローラー29と対向している。定着ローラー26は、定着フレーム24の可動フレーム部38(
図3参照)に回転可能に支持されている。
【0040】
テンションローラー27(
図2等参照)は、コイルバネ(図示せず)によって右上側に付勢されており、定着ベルト28を右上側に押圧している。これにより、定着ベルト28に一定の張力が付与されている。テンションローラー27は、定着フレーム24の可動フレーム部38(
図3参照)に回転可能に支持されている。
【0041】
定着ベルト28(
図2等参照)は、可撓性を有するベルトによって形成されている。定着ベルト28は、例えば、基材層と、この基材層に周設される弾性層と、この弾性層を被覆する離型層と、によって構成されている。定着ベルト28の基材層は、例えばニッケルやステンレス等の金属やPI(ポリイミド)等の樹脂によって形成されている。定着ベルト28の弾性層は、例えばシリコンゴムによって形成されている。定着ベルト28の離型層は、例えば、PFA等のフッ素系樹脂によって形成されている。なお、
図2において、定着ベルト28の各層(基材層、弾性層、離型層)は特に区別されずに表示されている。
【0042】
定着ベルト28の下側には、定着ベルト28の温度を検出するための第1サーミスター43が配置されると共に、定着ベルト28の過昇温を防止するための第1サーモスタット44が配置されている。定着ベルト28の右上側には、定着ベルト28の外周面から用紙を分離するための分離部材45が設けられている。定着ベルト28は、加熱ローラー25、定着ローラー26及びテンションローラー27を介して定着フレーム24の可動フレーム部38(
図3参照)に回転可能に支持されている。
【0043】
加圧ローラー29(
図2等参照)は、例えば、円筒状の芯材46と、この芯材46に周設される弾性層47と、この弾性層47を被覆する離型層(図示せず)と、によって構成されている。加圧ローラー29の芯材46は、例えば鉄やステンレスやアルミニウム等の金属によって形成されている。加圧ローラー29の弾性層47は、例えばシリコンゴムやシリコンスポンジによって形成されている。加圧ローラー29の離型層は、例えばPFA等のフッ素系樹脂によって形成されている。
【0044】
加圧ローラー29は、定着ベルト28に圧接しており、定着ベルト28と加圧ローラー29の間には定着ニップ48が形成されている。加圧ローラー29は、モーター等によって構成される駆動源50に接続されており、駆動源50によって加圧ローラー29を回転させることができるようになっている。なお、
図2において駆動源50は模式的に表示されており、
図2における駆動源50の図面上の位置と駆動源50の実際の位置は必ずしも一致していない。
【0045】
加圧ローラー29の右上側には、加圧ローラー29の温度を検出するための第2サーミスター51が配置されると共に、加圧ローラー29の過昇温を防止するための第2サーモスタット52が配置されている。
【0046】
各ブッシュ30(
図4、
図5等参照)は、略円筒状を成している。各ブッシュ30の外周面の前後方向外側の端部には、回転検知用ギア53が設けられている。回転検知用ギア53は、回転検知機構(図示せず)に接続されている。
【0047】
各ブッシュ30の外周面の前後方向内側の端部は、加熱ローラー25の前後両端部の内周面に嵌合している。このような構成により、加熱ローラー25の回転に伴って各ブッシュ30が加熱ローラー25と一体に回転するようになっている。各ブッシュ30の内周面の前後方向外側の端部には第1嵌合部54が設けられ、各ブッシュ30の内周面の前後方向内側の端部には第2嵌合部55が設けられている。
【0048】
支軸31(
図4、
図5等参照)は、前後方向に沿って伸びており、定着フレーム24の前端側から後端側まで設けられている。支軸31の軸心は、加熱ローラー25の回転軸Aと一致している。支軸31の外周面には、各ブッシュ30よりも前後方向内側に内側溝部56が設けられており、この内側溝部56にはストッパー57が嵌合している。ストッパー57は、各ブッシュ30の前後方向内側の面に当接している。支軸31の外周面には、各ブッシュ30よりも前後方向外側に外側溝部58が設けられている。
図3に示されるように、支軸31の前後両端部は、定着フレーム24の固定フレーム部37の前後両壁部40に設けられた係合溝41に左右方向スライド可能に係合している。
【0049】
各第1ベアリング32(
図4、
図5等参照)は、ボールベアリングによって構成されており、内輪61と、内輪61の外径側に配置される外輪62と、内輪61と外輪62の間に介装されるコロ63と、を備えている。各第1ベアリング32の内輪61は、支軸31の外周面に嵌合している。各第1ベアリング32の外輪62は、各ブッシュ30の内周面に設けられた第1嵌合部54に圧入されている。各第1ベアリング32の外輪62は、各第1ベアリング32の内輪61に対して回転可能に設けられている。
【0050】
各第2ベアリング33(
図5参照)は、各第1ベアリング32よりも前後方向内側に配置されている。各第2ベアリング33は、ボールベアリングによって構成されており、内輪部64と、内輪部64の外径側に配置される外輪部65と、内輪部64と外輪部65の間に介装されるコロ部66と、を備えている。各第2ベアリング33の内輪部64は、支軸31の外周面に嵌合している。各第2ベアリング33の外輪部65は、各ブッシュ30の内周面に設けられた第2嵌合部55に圧入されている。各第2ベアリング33の外輪部65は、各第2ベアリング33の内輪部64に対して回転可能に設けられている。
【0051】
以上のような構成により、加熱ローラー25が各ブッシュ30を介して各第1ベアリング32及び各第2ベアリング33に回転可能に支持されている。
【0052】
各外側部材34(
図4〜
図6等参照)は、定着フレーム24の可動フレーム部38の前後両板42に固定されている。各外側部材34には、前後方向に沿って貫通穴70が形成されており、この貫通穴70を支軸31が貫通している。このような構成により、各外側部材34が支軸31と可動フレーム部38の前後両板42の間に介装されており、各外側部材34を介して支軸31が可動フレーム部38の前後両板42に保持されている。
【0053】
各外側部材34には、貫通穴70よりも上方にタンク部71が形成されている。タンク部71は、可動フレーム部38の前後両板42よりも前後方向外側に位置している。タンク部71の上面側は開放されている。タンク部71には、例えばシリコンオイルなどによって構成される潤滑油(図示せず)が保持されている。
【0054】
各外側部材34には、貫通穴70よりも上方且つタンク部71よりも下方に、ダクト部72が設けられている。ダクト部72の上面側は開放されている。ダクト部72は、可動フレーム部38の前後両板42を横切るようにして前後方向(水平方向)に沿って延びている。ダクト部72の前後方向外側の端部は、タンク部71の底部と連通している。ダクト部72の前後方向内側の端部は、各スポンジ35に向かって開口されている。このような構成により、ダクト部72がタンク部71と各スポンジ35を接続しており、ダクト部72によってタンク部71から各スポンジ35へと潤滑油が案内されるようになっている。
【0055】
各スポンジ35は、吸液性を有しており、潤滑油を含浸している。各スポンジ35は、円筒状を成しており、支軸31の外周に装着されている。各スポンジ35の外周面の前後両端部には、段差部74が設けられている。
【0056】
各スポンジ35の前後方向内側の端部は、各第1ベアリング32の外輪62に接触せずに内輪61に接触している。各スポンジ35の前後方向外側の端部は、各外側部材34の前後方向内側の端部に当接している。各スポンジ35の前後方向外側の面の上端部には、前後方向外側に向かって突部75が突設されている。突部75は、各外側部材34のダクト部72の前後方向内側の端部に挿入されている。
【0057】
次に、IHユニット23(
図2参照)について説明する。IHユニット23は、ケース部材81と、ケース部材81内に収納され、定着ベルト28の左端部の外径側に配置されるIHコイル82(熱源)と、ケース部材81内に収納され、IHコイル82の外周に沿って設けられるアーチコア83と、を備えている。IHコイル82には、定着ベルト28を介して加熱ローラー25が対向している。
【0058】
上記のように構成された定着装置20において、用紙にトナー像を定着させる際には、駆動源50によって加圧ローラー29を回転させる。このように加圧ローラー29が回転すると、加圧ローラー29に圧接する定着ベルト28が加圧ローラー29に従動して回転すると共に、加熱ローラー25、定着ローラー26及びテンションローラー27が定着ベルト28に従動して回転する。
【0059】
また、用紙にトナー像を定着させる際には、IHコイル82に高周波電流を流す。これに伴って、IHコイル82が磁界を発生させ、この磁界の作用によって定着ベルト28に渦電流が発生し、定着ベルト28が発熱する。つまり、IHコイル82によって定着ベルト28が誘導加熱される。同様に、IHコイル82によって加熱ローラー25が誘導加熱され、加熱ローラー25からの伝熱によって定着ベルト28が加熱される。この状態で、用紙が定着ニップ48を通過すると、用紙とトナー像が加熱及び加圧されて、用紙にトナー像が定着される。
【0060】
ところで、上記のようにIHコイル82によって定着ベルト28を誘導加熱すると、定着ベルト28に接触する加熱ローラー25も加熱され、加熱ローラー25が熱膨張する。これに伴って、加熱ローラー25、各ブッシュ30、各第1ベアリング32及び各第2ベアリング33(以下、「加熱ローラー25等」と称する)が前後方向外側に移動し、異常音が発生する恐れがある。しかしながら、本実施形態では、各第1ベアリング32と各外側部材34の間に各スポンジ35が介装されているため、各第1ベアリング32と各外側部材34が隙間を介して配置される場合と比較して、加熱ローラー25等の前後方向外側への移動を抑制することが可能となる。これに伴って、異常音の発生を抑制することが可能となる。
【0061】
また、各第1ベアリング32と各外側部材34の間に各スポンジ35が介装されているため、各外側部材34を各第1ベアリング32に当接させる場合と比較して、加熱ローラー25の熱膨張に伴って各第1ベアリング32が各ブッシュ30によって前後方向外側に押された時に各第1ベアリング32に掛かる負荷を軽減させることが可能となる。これに伴って、各第1ベアリング32の破損を防止することができる。
【0062】
また、各スポンジ35が潤滑油を含浸している。そのため、加熱ローラー25の熱膨張に伴って各第1ベアリング32が各ブッシュ30によって前後方向外側に押された時に各スポンジ35が前後方向に圧縮変形すると、各スポンジ35に含浸された潤滑油が各スポンジ35から染み出すことになる。これに伴って、各第1ベアリング32及び各第2ベアリング33と支軸31の間のすべり性を向上させることが可能となる。
【0063】
また、各外側部材34は、潤滑油を保持するタンク部71と、タンク部71から各スポンジ35へと潤滑油を案内するダクト部72と、を備えている。このような構成を採用することで、各スポンジ35に含浸される潤滑油が枯渇するのを簡易な構成によって抑制することが可能となる。
【0064】
また、各スポンジ35の突部75が各外側部材34のダクト部72に挿入されているため、ダクト部72からの潤滑油の漏れを抑制することが可能となる。
【0065】
また、各第1ベアリング32及び各第2ベアリング33は、各ブッシュ30と支軸31の間に介装されている。このような構成を採用する場合に、上記のように各第1ベアリング32と各外側部材34の間に各スポンジ35が介装されることで、各ブッシュ30の傾きを抑制することが可能となる。これに伴って、異常音の発生を一層効果的に抑制することが可能となる。
【0066】
また、各外側部材34は、支軸31と定着フレーム24の可動フレーム部38の間に介装されている。このような構成を採用することで、可動フレーム部38の補強部材としての機能を各外側部材34に持たせることができる。そのため、可動フレーム部38の補強部材を各外側部材34とは別個に設ける場合と比較して、定着装置20の構成を簡易なものとすることが可能となる。
【0067】
また、各スポンジ35は、各第1ベアリング32の外輪62(回転部)に接触せずに内輪61(非回転部)に接触している。そのため、各スポンジ35の摩耗を抑制することが可能となる。
【0068】
また、定着ベルト28を介してIHコイル82と対向する加熱ローラー25を回転部材としている。このような構成を採用することで、定着装置20の熱容量を小さくすることが可能となる。
【0069】
本実施形態では、加熱ローラー25を回転部材とする場合について説明したが、他の異なる実施形態では、定着ローラー26、テンションローラー27、定着ベルト28又は加圧ローラー29等を回転部材としても良い。つまり、用紙にトナー像を定着させるのに用いられる部材であれば、どの部材を回転部材としても構わない。
【0070】
本実施形態では、スポンジ35によって弾性部材が構成される場合について説明したが、他の異なる実施形態では、コイルバネや板バネ等によって弾性部材が構成されても良い。
【0071】
本実施形態では、定着ベルト28に内設される複数のローラー(加熱ローラー25、定着ローラー26及びテンションローラー27)に定着ベルト28が巻き掛けられる方式の定着装置20に本発明の構成を適用する場合について説明した。一方で、他の異なる実施形態では、定着ベルト28に内設される1個のローラーに定着ベルト28が周設される方式の定着装置や、定着ベルト28に内設される押圧部材に対して定着ベルト28を摺動させる方式の定着装置に本発明の構成を適用しても良い。
【0072】
本実施形態では、定着ベルト28と加圧ローラー29を圧接させて定着ニップ48を形成する場合について説明したが、他の異なる実施形態では、ローラー同士又はベルト同士を圧接させて定着ニップを形成しても良い。
【0073】
本実施形態では、IHコイル82を熱源として用いる場合について説明したが、他の異なる実施形態では、ハロゲンヒーターやセラミックヒーター等のヒーターを熱源として用いても良い。
【0074】
本実施形態では、カラープリンター1に本発明の構成を適用する場合について説明したが、他の異なる実施形態では、モノクロプリンター、複写機、ファクシミリ、複合機等の他の画像形成装置に本発明の構成を適用しても良い。