特許第6182140号(P6182140)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6182140
(24)【登録日】2017年7月28日
(45)【発行日】2017年8月16日
(54)【発明の名称】多孔体の製造方法、多孔体、及び構造体
(51)【国際特許分類】
   C23C 24/04 20060101AFI20170807BHJP
   B22F 1/02 20060101ALI20170807BHJP
   B22F 3/11 20060101ALI20170807BHJP
   H01M 4/38 20060101ALI20170807BHJP
   H01M 4/24 20060101ALI20170807BHJP
   H01M 4/26 20060101ALI20170807BHJP
   H01M 4/32 20060101ALI20170807BHJP
【FI】
   C23C24/04
   B22F1/02 A
   B22F3/11 B
   H01M4/38 A
   H01M4/24 J
   H01M4/26 J
   H01M4/32
【請求項の数】23
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2014-529463(P2014-529463)
(86)(22)【出願日】2013年8月1日
(86)【国際出願番号】JP2013070944
(87)【国際公開番号】WO2014024781
(87)【国際公開日】20140213
【審査請求日】2016年4月8日
(31)【優先権主張番号】特願2012-176390(P2012-176390)
(32)【優先日】2012年8月8日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004640
【氏名又は名称】日本発條株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】平野 智資
(72)【発明者】
【氏名】瀧本 優
【審査官】 辰己 雅夫
(56)【参考文献】
【文献】 特開平03−285880(JP,A)
【文献】 特開2011−044653(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/125778(WO,A1)
【文献】 特開昭57−002847(JP,A)
【文献】 特許第2889547(JP,B2)
【文献】 特開2013−189676(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22F 3/00
C23C 24/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の溶解液に溶解可能な材料からなる第1の層と、前記第1の層の外側の少なくとも一部を金属又は合金で被覆することにより形成され、前記第1の層よりも前記溶解液に対して難溶解である第2の層とを有する複合化粉末を加熱したガスと共に加速し、少なくとも前記複合化粉末の表面を固相状態に保ったままで基材の表面に吹き付けて堆積させて皮膜を形成する皮膜形成工程と、
前記皮膜を前記溶解液に浸して、前記皮膜から前記材料を除去することにより、前記皮膜に平均気孔径が0.01mm以上0.3mm以下、且つ、多孔体に対する前記気孔の体積の比率が75%以上100%未満の気孔を形成する気孔形成工程と、
を含むことを特徴とする多孔体の製造方法。
【請求項2】
所定の温度で熱分解可能な材料からなる第1の層と、前記第1の層の外側の少なくとも一部を金属又は合金で被覆することにより形成され、前記温度において溶融しない第2の層とを有する複合化粉末を加熱したガスと共に加速し、少なくとも前記複合化粉末の表面を固相状態に保ったままで基材の表面に吹き付けて堆積させて皮膜を形成する皮膜形成工程と、
前記皮膜を前記温度に加熱して、前記皮膜から前記材料を除去することにより、前記皮膜に平均気孔径が0.01mm以上0.3mm以下、且つ、多孔体に対する前記気孔の体積の比率が75%以上100%未満の気孔を形成する気孔形成工程と、
を含むことを特徴とする多孔体の製造方法。
【請求項3】
前記複合化粉末は、前記第1の層の材料からなる線材を前記第2の層の材料によって被覆した複合化線材を切断することにより形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の多孔体の製造方法。
【請求項4】
前記皮膜形成工程は、前記複合化粉末に、最外層をなす金属又は合金と同種の金属又は合金のみからなる粉末を混合して前記基材に吹き付けることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の多孔体の製造方法。
【請求項5】
前記材料は、前記第2の層とは種類が異なる金属又は合金であることを特徴とする請求項1に記載の多孔体の製造方法。
【請求項6】
前記気孔形成工程の前に、前記皮膜を熱処理する工程をさらに含むことを特徴とする請求項に記載の多孔体の製造方法。
【請求項7】
前記溶解液は酸性溶液であり、
前記第2の層をなす金属又は合金のイオン化傾向は、前記材料のイオン化傾向よりも小さいことを特徴とする請求項5又は6に記載の多孔体の製造方法。
【請求項8】
前記材料は、アルミニウム又はアルミニウム合金であり、
前記第2の層をなす金属又は合金は、銅又は銅合金であることを特徴とする請求項に記載の多孔体の製造方法。
【請求項9】
前記溶解液は酸性溶液であり、
前記第2の層はバルブ金属からなり、
前記材料は、前記第2の層の表面に形成される不動態膜よりも前記溶解液に対して易溶解であることを特徴とする請求項に記載の多孔体の製造方法。
【請求項10】
前記材料は、銅又は銅合金であり、
前記第2の層をなす金属又は合金は、アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ニッケル合金、チタン、チタン合金、クロム、及びクロム合金のいずれかであることを特徴とする請求項に記載の多孔体の製造方法。
【請求項11】
前記材料は、水又は水溶液に溶解可能な塩化物であることを特徴とする請求項1に記載の多孔体の製造方法。
【請求項12】
前記塩化物は、塩化ナトリウムであることを特徴とする請求項1に記載の多孔体の製造方法。
【請求項13】
前記材料は、有機溶剤に溶解可能な樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の多孔体の製造方法。
【請求項14】
前記材料は、アルカリ溶液に溶解可能な樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の多孔体の製造方法。
【請求項15】
前記複合化粉末は、前記第2の層の外側に設けられた第3の層であって、前記第2の層をなす金属又は合金とは種類が異なる第2の金属又は合金からなり、前記第1の層よりも前記溶解液に対して難溶解である第3の層をさらに有することを特徴とする請求項1及び5〜14のいずれか1項に記載の多孔体の製造方法。
【請求項16】
前記材料は樹脂であることを特徴とする請求項2に記載の多孔体の製造方法。
【請求項17】
前記複合化粉末は、前記第2の層の外側に設けられた第3の層であって、前記金属又は合金とは種類が異なる第2の金属又は合金からなり、前記温度において溶融しない第3の層をさらに有することを特徴とする請求項2又は1に記載の多孔体の製造方法。
【請求項18】
前記気孔形成工程の後、前記気孔が形成された前記皮膜にめっき層を形成する工程をさらに含むことを特徴とする請求項1〜1のいずれか1項に記載の多孔体の製造方法。
【請求項19】
金属又は合金又は金属間化合物からなるセル壁を有し、該セル壁の間に気孔が形成された多孔体であって、
前記気孔の平均気孔径が0.01mm以上0.3mm以下、且つ、前記多孔体に対する前記気孔の体積の比率が5%以上100%未満であり、前記気孔は、前記多孔体の厚み方向における径よりも、該厚み方向と直交する面における径が大きい扁平形状をなすことを特徴とする多孔体。
【請求項20】
前記セル壁は、互いに異なる金属又は合金を複数層重ねた層構造を有することを特徴とする請求項19に記載の多孔体。
【請求項21】
前記セル壁に形成されためっき層をさらに有することを特徴とする請求項19または20に記載の多孔体。
【請求項22】
前記セル壁は、金属又は合金からなり、
前記セル壁の表面に形成された金属間化合物層をさらに有することを特徴とする請求項19〜21のいずれか1項に記載の多孔体。
【請求項23】
金属又は合金により形成された基材と、
前記基材上に形成された、請求項19〜22のいずれか1項に記載の多孔体と、
を備えることを特徴とする構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多孔体の製造方法、多孔体、及び多孔体を備える構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、金属等の無機材料からなる多孔質構造を有する部材(以下、多孔体ともいう)は、自動車用電池の電極部材、フィルタ、触媒担体等、様々な用途に用いられている。金属からなる多孔体(以下、金属多孔体ともいう)の製造方法としては、芯材となる樹脂に骨材となる金属をめっきし、加熱により芯材を除去して気孔(空孔)を形成するめっき法、骨材となる金属と発泡剤とを混合し、過熱により発泡させて気孔を形成する発泡法、骨材となる金属粉末とスペーサ粉末を混合して焼結した後、スペーサ粉末を加熱により除去して気孔を形成するスペーサ法等が知られている(非特許文献1参照)。例えば、特許文献1には、樹脂発泡体、不織布、フェルト、織布等からなる樹脂製3次元網目状多孔体に金属めっきを施す方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−82483号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】財団法人 機械システム振興協会(委託先 財団法人 素形材センター)、「ポーラス金属の利用技術の可能性に関する調査研究報告書」要旨、第5〜8頁、平成18年3月、[平成24年6月16日検索]、インターネット<URL:http://www.sokeizai.or.jp/japanese/17porous/porousyoushi.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、めっき法においては、樹脂によって形成された網目状の3次元構造体の隙間や、3次元構造体が除去された後のスペースが気孔となる。このため、一部の気孔の形状は線形状になってしまい、例えば径が0.3mm以下に制御されたセル状の微小な気孔を形成することが困難である。
【0006】
また、発泡法においては、やはり、径が例えば0.3mm以下の微小な気孔を形成することが困難であると共に、気孔径を制御することも困難である。
【0007】
一方、スペーサ法においては、スペーサ粉末の径を調節することにより、めっき法や発泡法よりも径が小さな(例えば数10μm〜0.3mm程度)の気孔を形成することは可能である。しかしながら、スペーサ法の場合、金属多孔体における気孔率をあまり高くすることができず、高くても例えば70%程度に留まってしまう。
【0008】
また、セラミックスのように、延性が金属ほど大きくない材料からなる多孔体を作製する場合、微小な気孔を形成したり、気孔径を制御することが困難である。
【0009】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、気孔径及び気孔率を容易に制御することができ、且つ、従来よりも気孔径が小さく、気孔率が高い多孔体を形成することができる多孔体の製造方法、多孔体、及びこのような多孔体を備える構造体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る多孔体の製造方法は、所定の溶解液に溶解可能な材料からなる第1の層と、前記第1の層の外側の少なくとも一部を金属又は合金で被覆することにより形成され、前記第1の層よりも前記溶解液に対して難溶解である第2の層とを有する複合化粉末からなる皮膜を形成する皮膜形成工程と、前記皮膜を前記溶解液に浸して、前記皮膜から前記材料を除去することにより、前記皮膜に気孔を形成する気孔形成工程と、を含むことを特徴とする。
【0011】
また、本発明の多孔体の製造方法は、所定の温度で熱分解可能な材料からなる第1の層と、前記第1の層の外側の少なくとも一部を金属又は合金で被覆することにより形成され、前記温度において溶融しない第2の層とを有する複合化粉末からなる皮膜を形成する皮膜形成工程と、前記皮膜を前記温度に加熱して、前記皮膜から前記材料を除去することにより、前記皮膜に気孔を形成する気孔形成工程と、を含むことを特徴とする。
【0012】
上記多孔体の製造方法において、前記複合化粉末は、前記第1の層の材料からなる線材を前記第2の層の材料によって被覆した複合化線材を切断することにより形成されていることを特徴とする。
【0013】
上記多孔体の製造方法において、前記皮膜形成工程は、前記複合化粉末をガスと共に加速し、少なくとも前記複合化粉末の表面を固相状態に保ったままで基材の表面に吹き付けて堆積させることを特徴とする。
【0014】
上記多孔体の製造方法において、前記皮膜形成工程は、前記複合化粉末に、最外層をなす金属又は合金と同種の金属又は合金のみからなる粉末を混合して前記基材に吹き付けることを特徴とする。
【0015】
上記多孔体の製造方法において、前記皮膜形成工程は、前記複合化粉末を型に充填して圧力を印加することを特徴とする。
【0016】
上記多孔体の製造方法において、前記材料は、前記第2の層とは種類が異なる金属又は合金であることを特徴とする。
【0017】
上記多孔体の製造方法は、前記気孔形成工程の前に、前記皮膜を熱処理する工程をさらに含むことを特徴とする。
【0018】
上記多孔体の製造方法において、前記溶解液は酸性溶液であり、前記第2の層をなす金属又は合金のイオン化傾向は、前記材料のイオン化傾向よりも小さいことを特徴とする。
【0019】
上記多孔体の製造方法において、前記材料は、アルミニウム又はアルミニウム合金であり、前記第2の層をなす金属又は合金は、銅又は銅合金であることを特徴とする。
【0020】
上記多孔体の製造方法において、前記溶解液は酸性溶液であり、前記第2の層はバルブ金属からなり、前記材料は、前記第2の層の表面に形成される不動態膜よりも前記溶解液に対して易溶解であることを特徴とする。
【0021】
上記多孔体の製造方法において、前記材料は、銅又は銅合金であり、前記第2の層をなす金属又は合金は、アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ニッケル合金、チタン、チタン合金、クロム、及びクロム合金のいずれかであることを特徴とする。
【0022】
上記多孔体の製造方法において、前記材料は、水又は水溶液に溶解可能な塩化物であることを特徴とする。
上記多孔体の製造方法において、前記塩化物は、塩化ナトリウムであることを特徴とする。
【0023】
上記多孔体の製造方法において、前記材料は、有機溶剤に溶解可能な樹脂であることを特徴とする。
上記多孔体の製造方法において、前記材料は、アルカリ溶液に溶解可能な樹脂であることを特徴とする。
【0024】
上記多孔体の製造方法において、前記複合化粉末は、前記第2の層の外側に設けられた第3の層であって、前記第2の層をなす金属又は合金とは種類が異なる第2の金属又は合金からなり、前記第1の層よりも前記溶解液に対して難溶解である第3の層をさらに有することを特徴とする。
【0025】
上記多孔体の製造方法において、前記材料は樹脂であることを特徴とする。
上記多孔体の製造方法において、前記複合化粉末は、前記第2の層の外側に設けられた第3の層であって、前記金属又は合金とは種類が異なる第2の金属又は合金からなり、前記温度において溶融しない第3の層をさらに有することを特徴とする。
【0026】
上記多孔体の製造方法は、前記気孔形成工程の後、前記気孔が形成された前記皮膜にめっき層を形成する工程をさらに含むことを特徴とする。
【0027】
本発明に係る多孔体は、金属又は合金又は金属間化合物からなるセル壁を有し、該セル壁の間に気孔が形成された多孔体であって、前記気孔の平均気孔径が0.01mm以上0.3mm以下、且つ、前記多孔体に対する前記気孔の体積の比率が30%以上100%未満であることを特徴とする。
【0028】
本発明に係る多孔体は、金属又は合金又は金属間化合物からなるセル壁を有し、該セル壁の間に気孔が形成された多孔体であって、前記気孔の平均気孔径が0.01mm以上1mm以下、且つ、前記多孔体に対する前記気孔の体積の比率が85%以上100%未満であることを特徴とする。
【0029】
本発明に係る多孔体は、金属又は合金又は金属間化合物からなるセル壁を有し、該セル壁の間に気孔が形成された多孔体であって、前記気孔は、前記多孔体の厚み方向における径よりも、該厚み方向と直交する面における径が大きい扁平形状をなすことを特徴とする。
【0030】
上記多孔体において、前記気孔の前記厚み方向と直交する断面における平均気孔径が0.01mm以上1mm以下であり、前記多孔体に対する前記気孔の体積の比率が30%以上100%未満であることを特徴とする。
【0031】
上記多孔体において、前記セル壁は、互いに異なる金属又は合金を複数層重ねた層構造を有することを特徴とする。
【0032】
上記多孔体は、前記セル壁に形成されためっき層をさらに有することを特徴とする。
【0033】
上記多孔体は、前記セル壁は金属又は合金からなり、前記セル壁の表面に形成された金属間化合物層をさらに有することを特徴とする。
【0034】
上記多孔体において、前記気孔は、所定の溶解液に溶解可能な材料からなる第1の層と、前記第1の層の外側の少なくとも一部を金属又は合金で被覆することにより形成され、前記第1の層よりも前記溶解液に対して難溶解である第2の層とを有する複合化粉末をガスと共に加速し、少なくとも前記複合化粉末の表面を固相状態に保ったままで基材の表面に吹き付けて堆積させることにより皮膜を形成し、該皮膜を前記溶解液に浸して、前記皮膜から前記材料を除去することにより形成されたことを特徴とする。
【0035】
上記多孔体において、前記セル壁は金属又は合金からなり、前記気孔は、所定の温度で熱分解可能な材料からなる第1の層と、前記第1の層の外側の少なくとも一部を金属又は合金で被覆することにより形成され、前記温度において溶融しない第2の層とを有する複合化粉末をガスと共に加速し、少なくとも前記複合化粉末の表面を固相状態に保ったままで基材の表面に吹き付けて堆積させることにより皮膜を形成し、該皮膜を前記温度に加熱して、前記皮膜から前記材料を除去することにより形成されたことを特徴とする。
【0036】
本発明に係る構造体は、金属又は合金により形成された基材と、前記基材上に形成された上記多孔体と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0037】
本発明によれば、第1の層及び第2の層を有する複合化粉末からなる皮膜を形成し、該皮膜から第1の層をなす材料を除去することによって皮膜に気孔を形成するので、多孔体に形成される気孔の径及び気孔率を容易に制御することができると共に、従来よりも気孔径が小さく、気孔率が高い多孔体を形成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1図1は、本発明の実施の形態1に係る多孔体の製造方法を示すフローチャートである。
図2図2は、図1に示す多孔体の製造方法において用いられる複合化粉末を示す断面図である。
図3図3は、図1に示す皮膜形成工程において使用されるコールドスプレー装置の概要を示す模式図である。
図4図4は、図1に示す皮膜形成工程により形成された皮膜を模式的に示す断面図である。
図5図5は、本発明の実施の形態1に係る多孔体を備える構造体を模式的に示す断面図である。
図6図6は、本発明の実施の形態4において用いられる複合化粉末を示す断面図である。
図7図7は、本発明の実施の形態4に係る多孔体を備える構造体を模式的に示す断面図である。
図8図8は、本発明の実施の形態5に係る多孔体の製造方法を示すフローチャートである。
図9図9は、本発明の実施の形態6に係る多孔体の製造方法を示すフローチャートである。
図10図10は、本発明の実施の形態6に係る多孔体の製造方法を説明する模式図である。
図11図11は、本発明の実施の形態6に係る多孔体を備える構造体を模式的に示す断面図である。
図12図12は、本発明の実施の形態7に係る多孔体を備える構造体を模式的に示す断面図である。
図13図13は、本発明の実施の形態9に係る多孔体の製造方法において用いられる複合化粉末の作製方法を説明する模式図である。
図14図14は、皮膜形成工程により形成された皮膜の断面を撮像した電子顕微鏡写真である。
図15図15は、実施例に係る多孔体の断面を撮像した電子顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、本発明を実施するための形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の実施の形態により本発明が限定されるものではない。また、以下の説明において参照する各図は、本発明の内容を理解し得る程度に形状、大きさ、及び位置関係を概略的に示してあるに過ぎない。即ち、本発明は各図で例示された形状、大きさ、及び位置関係のみに限定されるものではない。
【0040】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る多孔体の製造方法を示すフローチャートである。
まず、工程S1において、多孔体の原料となる複合化粉末を作製する。図2は、工程S1において用いられる複合化粉末を模式的に示す断面図である。図2に示すように、複合化粉末10は、粒径が例えば5〜100μm程度の粉末であり、内側の心材層11と、心材層11の周囲を覆う被覆層12とを含む。心材層11は金属又は合金、塩化物、樹脂等の材料によって形成され、被覆層12は金属又は合金によって形成されている。なお、心材層11を金属又は合金によって形成する場合、被覆層12とは種類が異なる金属又は合金が用いられる。複合化粉末10については後で詳述する。
【0041】
続く工程S2において、多孔体のベースとなる基材を作製する。基材の材料は、後述するコールドスプレー法による皮膜形成が可能な材料であれば特に限定されない。好ましくは、金属又は合金によって基材を形成すると良い。この場合、基材の材料は、被覆層12をなす金属又は合金(及び、心材層11が金属又は合金である場合には、心材層11をなす金属又は合金)と同種であっても良いし、異なる種類であっても良い。また、基材のサイズや形状も、コールドスプレー法による皮膜形成が可能な面を有していれば、特に限定されない。
【0042】
続く工程S3において、複合化粉末10を用いたコールドスプレー法により、基材上に皮膜形成を行う。コールドスプレー法とは、原料の粉末をガスと共に加速し、固相状態のままで基材の表面に吹き付けて堆積させることにより皮膜を形成する成膜方法であり、例えば、図3に示すコールドスプレー装置60によって行われる。
【0043】
図3は、コールドスプレー装置60の概要を示す模式図である。図3に示すように、コールドスプレー装置60は、圧縮ガスを加熱するガス加熱器61と、複合化粉末10を収容し、スプレーガン63に供給する粉末供給装置62と、加熱された圧縮ガス及びそこに供給された複合化粉末10を基材21に向けて噴射するガスノズル64と、ガス加熱器61及び粉末供給装置62に対する圧縮ガスの供給量をそれぞれ調節するバルブ65及び66とを備える。
【0044】
圧縮ガスとしては、ヘリウム、窒素、空気などが使用される。ガス加熱器61に供給された圧縮ガスは、例えば50℃以上であって、被覆層12の融点よりも低い範囲の温度に加熱された後、スプレーガン63に供給される。圧縮ガスの加熱温度は、好ましくは300〜900℃である。
【0045】
一方、粉末供給装置62に供給された圧縮ガスは、粉末供給装置62内の複合化粉末10をスプレーガン63に、該スプレーガン63から所定の吐出量で吐出されるように供給する。
【0046】
加熱された圧縮ガスは、末広形状をなすガスノズル64により超音速流(約340m/s以上)にされる。この際の圧縮ガスのガス圧力は、1〜5MPa程度とすることが好ましい。圧縮ガスの圧力をこの程度に調節することにより、基材21とその上に形成される皮膜22との間の密着強度の向上を図ることができるからである。これらのスプレー条件(圧縮ガスの温度及び圧力、複合化粉末10の吐出量等)は、圧縮ガスに直接接触する最外層である被覆層12の特性に応じて決定される。
【0047】
スプレーガン63に供給された複合化粉末10は、圧縮ガスの超音速流の中に投入されて加速され、少なくとも複合化粉末10の表面を固相状態に保ったまま基材21に高速で衝突して堆積し、皮膜22を形成する。
【0048】
なお、複合化粉末10を基材21に、少なくとも複合化粉末10の表面を固相状態に保ったまま衝突させて皮膜22を形成できる装置であれば、図3に示すコールドスプレー装置60に限定されるものではない。
【0049】
図4は、工程S3により基材21上に皮膜22を形成した構造体を模式的に示す断面図である。工程S3においては、心材層11を被覆層12で被覆した粉末を基材21上に堆積させるので、皮膜22は、被覆層12をなす金属又は合金により形成されたセル壁24の間(即ち、セル内)に心材層11をなす材料23が充填された構造を有する。なお、皮膜22の形成時に複合化粉末10を基材21に衝突させた際の衝撃により複合化粉末10が変形するため、材料23で満たされた各セルは、皮膜22の厚み方向(複合化粉末10の堆積方向)における径よりも、該厚み方向と直交する面(基材21の皮膜形成面)における径の方が大きい扁平形状となっている。
【0050】
続く工程S4において、皮膜22を所定の溶解液に浸して心材層11をなす材料23を除去することにより、皮膜22に気孔(空孔)を形成する。
【0051】
溶解液は、心材層11をなす材料23及び被覆層12をなす金属又は合金の種類に応じて調製される。即ち、心材層11を溶解させ、且つ、被覆層12は溶解させ難い溶解液となるように、成分、濃度、温度等が決定される。具体例として、心材層11がアルミニウム、被覆層12が銅である場合には、溶解液として塩酸が用いられる。また、心材層11が銅又は銅合金、被覆層12がニッケル又はニッケル合金である場合には、溶解液として濃硝酸が用いられる。
【0052】
図5は、材料23を除去した後の皮膜の構造を模式的に示す断面図であり、実施の形態1に係る多孔体を備える構造体を示す。皮膜22から、セル壁24を残して材料23のみを除去することにより、材料23で満たされていた各セルが気孔25となる。それにより、セル構造を有する多孔体26が作製される。なお、上述したように、材料23で満たされた各セルは扁平形状をなしていたため、材料23を除去した後の気孔25も扁平形状となる。
【0053】
このように作製された多孔体26は、基材21上に固定された構造体1の状態で各種用途に適用しても良い。この際、基材21を所望の形状又は厚さにカットしても良い。或いは、基材21をカット又は溶解するなどして多孔体26から除去し、多孔体26を単独で使用しても良い。基材21を溶解させる場合には、基材21を心材層11と同じ材料(金属又は合金)で作製し、工程S4において、基材21を心材層11と共に溶解させても良い。なお、基材21を所望の形状又は厚さにカットする場合には、工程S4において材料23を除去する前にカットしても良い。
【0054】
次に、図2に示す複合化粉末10について詳しく説明する。
複合化粉末10は、金属又は合金、塩化物、樹脂等の材料によって形成された粉末の周囲を、金属又は合金で被覆することにより作製される。なお、被覆法としては、めっき法やCVD法等、公知の種々の手法を用いることができる。この際、加熱による金属間化合物の形成を抑制するため、金属又は合金の温度がなるべく上昇しない被覆方法(例えばめっき法)を用いることが好ましい。
【0055】
心材層11の材料としては、例えば、マグネシウム、マグネシウム合金、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金、亜鉛、亜鉛合金、ニッケル、ニッケル合金、鉄、鉄合金、チタン、チタン合金、錫、錫合金等の金属又は合金、塩化ナトリウム等の塩化物、ウレタン等の樹脂が用いられる。
【0056】
被覆層12の材料としては、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金、亜鉛、亜鉛合金、ニッケル、ニッケル合金、鉄、鉄合金、チタン、チタン合金、クロム、クロム合金、ニオブ、ニオブ合金、モリブデン、モリブデン合金、銀、銀合金、錫、錫合金、タンタル、タンタル合金、タングステン、又は、タングステン合金が用いられる。なお、心材層11を金属又は合金によって形成する場合、被覆層12としては、心材層11とは種類が異なる金属又は合金を使用する。
【0057】
心材層11をなす材料及び被覆層12をなす金属又は合金の組み合わせは、工程S4において用いられる溶解液を考慮して決定される。例えば、心材層11を金属又は合金によって形成する場合、溶解液として酸性溶液を用い、被覆層12をなす金属又は合金の方が心材層11をなす金属又は合金よりもイオン化傾向が小さくなるように、各材料を選択すると良い。具体的には、心材層11としてアルミニウム又はアルミニウム合金、被覆層12として銅又は銅合金、溶解液として塩酸の組み合わせが挙げられる。
【0058】
或いは、溶解液として酸化性の強酸溶液を用い、被覆層12として表面に不動態膜を形成する所謂バルブ金属を用い、心材層11として、上記強酸溶液に対して溶解し易い金属又は合金を用いても良い。具体的には、心材層11として銅又は銅合金、被覆層12としてアルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ニッケル合金、チタン、チタン合金、クロム、及びクロム合金のいずれか、溶解液として濃硝酸の組み合わせが挙げられる。
【0059】
また、心材層11を、水又は水溶液に溶解可能な塩化物によって形成しても良い。この場合、被覆層12をなす金属又は合金の種類は特に限定されない。具体的には、心材層11として例えば塩化ナトリウムを用いる場合、溶解液として水を用いれば良い。
【0060】
また、心材層11を、有機溶剤に溶解可能な樹脂によって形成しても良い。この場合も、被覆層12をなす金属又は合金の種類は特に限定されない。有機溶剤としては、アセトン、エタノール、トルエン等、任意のものを用いることができる。具体的な組み合わせとしては、心材層11として例えばポリエチレン系樹脂を用いる場合、溶解液としてアセトンを用いれば良い。
【0061】
また、心材層11を、アルカリ溶液に溶解可能な樹脂によって形成しても良い。この場合、アルカリ溶液の成分、濃度、温度等は、心材層11を溶解させ、且つ、被覆層12は溶解させ難い溶液となるように決定される。具体的な組み合わせとしては、心材層11がポリエチレン系樹脂、被覆層12がニッケルである場合には、溶解液として90℃程度に加熱した水酸化ナトリウム水溶液が用いられる。
【0062】
複合化粉末10全体のサイズは、上述したコールドスプレー法に適用可能なサイズ(例えば10〜300μm程度)であれば特に限定されない。また、心材層11の径D及び被覆層12の厚さdは、多孔体26において実現したい気孔25の径(気孔径)、セル壁24の太さ(壁の厚さ)、多孔体26に対する気孔25の体積の比率(気孔率)等に応じて決定される。即ち、気孔径を制御したい場合には、心材層11の径Dを調節すれば良い。また、セル壁24の太さを制御したい場合には、被覆層12の厚さdを調節すれば良い。さらに、気孔率を制御したい場合には、心材層11の径Dと被覆層12の厚さdとの比率を調節すれば良い。具体例として、心材層11を平均粒径が約30μmのアルミニウム粉末とし、被覆層12を厚さ約0.5μmの銅めっき層とすることにより、約95%の気孔率を実現することができる。
【0063】
以上説明したように、実施の形態1によれば、複合化粉末10を用いてコールドスプレー法により形成した皮膜22から心材層11をなす材料23を除去するという簡単な工程で、基材21上に多孔体26を作製することができる。
【0064】
また、本実施の形態1によれば、複合化粉末10における心材層11の径D、被覆層12の厚さd、及びこれらの比率を調節することにより、多孔体26における気孔径、セル壁24の太さ、及び、気孔率を容易に制御することができる。なお、本実施の形態1において、気孔径とは、多孔体26の厚み方向と直交する断面1mm2当たりで計数した気孔25の個数をkとした場合に、1/(√k)で与えられる平均気孔径のことをいう。
【0065】
具体的には、実施の形態1によれば、気孔径を約0.01mm以上約1mm以下の範囲で制御することができる。従って、従来は実現が困難であった、例えば0.3mm以下、0.02mm以下、さらには、0.01mm以下の微小な気孔を形成することも可能である。例えば、気孔径が好ましくは0.01mm以上0.1mm以下である小気孔径の多孔体26を、例えば触媒や放熱部材等に適用する場合、大きな比表面積を確保することができるので、触媒や放熱部材等の性能を向上させることが可能となる。
【0066】
また、実施の形態1によれば、気孔率を約30%以上100%未満の範囲で制御することができる。従って、従来は実現が困難であった75%以上、或いは85%以上という高い気孔率を実現することも可能である。例えば、気孔率が好ましくは75%以上である高気孔率の多孔体26を例えばフィルタ等に適用する場合、流体の圧力損失を低く抑えることが可能となる。
【0067】
さらには、実施の形態1によれば、気孔径及び気孔率を、上述した範囲で同時に制御することができる。例えば、気孔径を0.01mm以上0.3mm以下の微小な径としつつ、気孔率を30%以上100%未満の所望の範囲に制御することができる。或いは、気孔率を85%以上100%未満の高気孔率にしつつ、気孔径を0.01mm以上1mm以下の所望の径に制御することができる。従って、例えば、気孔径が0.01mm以上0.3mm以下、且つ気孔率が85%以上という、気孔径が微小で高気孔率の多孔体を作製することも可能である。
【0068】
また、多孔体26は、金属又は合金からなるセル壁24の内側(セル内)に気孔25が形成されたセル構造を有している。このようなセル構造においては、気孔率に対するセル壁24の表面積の比率が、網目状といった他の多孔構造よりも高くなる。従って、このような多孔体26を例えば触媒の担体として用いることにより、触媒作用の効率を向上させることが可能となる。
【0069】
また、多孔体26において、セル壁24はコールドスプレー法により形成されているため、それ自体が非常に緻密であると共に、基材21に強く密着している。従って、セル壁24において良好な電気伝導率及び熱伝導率が得られると共に、セル壁24と基材21との間においても良好な電気伝導率及び熱伝導率を確保することが可能となる。従って、このような多孔体26、又は多孔体26を備える構造体1を電池等における電極部材として用いることにより、電池等の効率を向上させることが可能となる。また、構造体1をヒートシンクとして用いることにより、ヒートシンクに設けられる回路基板の熱交換効率を向上させることが可能となる。
【0070】
また、上述したように、多孔体26におけるセル壁24は非常に緻密であると共に、基材21と強く密着しているので、従来の多孔体よりも高い耐久性を得ることができる。従って、このような多孔体26、又は多孔体26を備える構造体1を各種モジュールに適用した場合、当該モジュールを従来よりも長寿命化させることが可能となる。
【0071】
また、実施の形態1によれば、コールドスプレー法による皮膜形成が可能な基材であれば、基材の形状やサイズによらず、所望の基材上に多孔体を製造することができる。従って、多孔体を用いたモジュール等の設計の自由度を広げることが可能となる。
【0072】
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2について説明する。
本実施の形態2においては、コールドスプレー法により皮膜形成を行う際に(図1の工程S3参照)、被覆層12(図2参照)をなす金属又は合金のみからなる粉末(以下、単層の粉末という)を複合化粉末10に混合した混合粉末を用いることを特徴とする。例えば、心材層11がアルミニウム、被覆層12が銅からなる複合化粉末10を用いる場合、該複合化粉末10に銅粉末を混合する。
【0073】
このように、単層の粉末を複合化粉末10に混合することにより、皮膜22(図4参照)における材料23とセル壁24との比率を変化させることができる。これより、皮膜22から材料23を除去した後の多孔体26(図5参照)におけるセル壁24の太さや気孔率を、さらに容易に制御することが可能となる。
【0074】
(実施の形態3)
次に、本発明の実施の形態3について説明する。
本実施の形態3においては、心材層11(図2参照)をなす材料を除去する際に(図1の工程S4参照)、皮膜を溶解液に浸す代わりに、皮膜を加熱することを特徴とする。
【0075】
本実施の形態3において、複合化粉末10の心材層11は、所定の温度で熱分解可能な材料によって形成され、被覆層12は、該温度で溶融しない金属又は合金によって形成される。具体的には、心材層11として約500℃で熱分解するポリエチレンを用い、被覆層12として該500℃では溶融しない銅を用いる。
【0076】
工程S3において、上記複合化粉末10を用いて基材21上に皮膜22を形成した後(図4参照)、工程S4において、例えば電気炉により皮膜22を約500℃に加熱し、材料23を熱分解して除去する。それにより、セル構造を有する多孔体26(図5参照)を得ることができる。
【0077】
(変形例)
次に、本発明の実施の形態3の変形例について説明する。
複合化粉末10の心材層11として、例えば、蒸気による加水分解可能な樹脂材料を用いても良い。このような樹脂材料の具体例として、ポリエチレンテレフタレート(PET)が挙げられる。また、被覆層12としては、当該樹脂材料に対する加水分解処理における反応性が高くない金属又は合金を用いることができる。
【0078】
この場合、PETを心材層11とする複合化粉末10により基材21上に皮膜22を形成した後、150℃以上に加熱された水蒸気で満たされたチャンバ内に基材21及び皮膜22を載置し、皮膜22を水蒸気に曝露する。それにより皮膜22中のPETからなる材料23が加水分解されて除去される。なお、加水分解により皮膜22中に残ったPETの重合前の原料物質は、皮膜22を洗浄することにより除去すれば良い。
【0079】
(実施の形態4)
次に、本発明の実施の形態4について説明する。
実施の形態4においては、図1に示す多孔体の製造方法において、多層からなる複合化粉末を用いることを特徴とする。
【0080】
図6は、本実施の形態4において用いられる複合化粉末30の構造を示す断面図である。図6に示す複合化粉末30は、心材層31と、その周囲に形成された第1被覆層32及び第2被覆層33とを有する。心材層31は、図2に示す心材層11と同様、所定の溶解液に溶解可能な金属又は合金、塩化物、樹脂等の材料からなる。一方、第1被覆層32及び第2被覆層33は、上記溶解液に対して心材層31よりも溶解し難く、且つ、互いに異なる種類の金属又は合金からなる。これらの第1被覆層32及び第2被覆層33は、心材層31に対してめっき法等による被覆を順次施すことにより形成される。
【0081】
実施の形態4においては、このような複合化粉末30を用いてコールドスプレー法により基材上に皮膜を形成し(工程S3)、該皮膜を上記溶解液に浸して心材層31をなす材料を除去することにより気孔を形成する(工程S4)。各工程S3、S4の詳細については、実施の形態1と同様である。
【0082】
図7は、工程S4により作製された多孔体42を含む構造体2を示す断面図である。基材41上に形成された皮膜から心材層31をなす材料を除去することにより、図7に示すように、セル壁43の間に気孔44が形成された多孔体42が作製される。このセル壁43は、第1被覆層32をなす金属又は合金45及び第2被覆層33をなす金属又は合金46からなる層構造を有している。
【0083】
このような多孔体42において、例えば、第2被覆層33(金属又は合金46)を銅などの導電性の高い金属又は合金で形成し、第1被覆層32(金属又は合金45)を白金などの触媒用の金属で形成することにより、触媒を担持させた多孔体を容易に作製することができる。なお、この場合、複合化粉末30の心材層31は、例えば、銅及び白金よりもイオン化傾向が大きいアルミニウムで形成すれば良い。
【0084】
以上説明したように、実施の形態4によれば、複合化粉末30の層数を増やすことにより、層構造を有するセル壁からなる多孔体を容易に作製することが可能となる。なお、複合化粉末における被覆層を3層以上にすることにより、セル壁をさらに多層化することも可能である。
【0085】
(変形例)
上記実施の形態4においても、実施の形態3と同様に、心材層31を熱分解可能な材料(例えばポリエチレン等の樹脂)によって形成しても良い。この場合、工程S4においては、皮膜を加熱して心材層31をなす材料を熱分解により除去すれば良い。或いは、実施の形態3の変形例と同様に、心材層31を加水分解可能な材料(例えばPET)によって形成しても良い。
【0086】
(実施の形態5)
次に、本発明の実施の形態5について説明する。
図8は、実施の形態5に係る多孔体の製造方法を示すフローチャートである。なお、図8に示す工程S1〜S4は、実施の形態1において説明したものと同様である。
【0087】
工程S4に続く工程S5において、基材21上に残ったセル壁24(図5参照)にめっき処理を施すことによりめっき層を形成して、セル壁24をコーティングする。めっき層をなす金属又は合金は特に限定されず、多孔体の用途に応じて選択すれば良い。例えば、銅によって形成されたセル壁24に対してパラジウムめっきを施すことにより、ニッケル水素電池の負極材料として使用することができる。
【0088】
このように、気孔25が形成された多孔体26にめっき処理を施すことによっても、図7に示す多孔体42と同様に、セル壁を多層化(複数層化)することができる。
なお、本実施の形態5における工程S5を、実施の形態2〜4に適用しても良い。
【0089】
(実施の形態6)
次に、本発明の実施の形態6について説明する。
図9は、実施の形態6に係る多孔体の製造方法を示すフローチャートである。また、図10は、実施の形態6に係る多孔体の製造方法を説明する模式図である。なお、図9に示す工程S1〜S3は、実施の形態1において説明したものと同様である。ただし、複合化粉末10としては、心材層11及び被覆層12が、種類が互いに異なる金属又は合金により形成されたものを用いる。より詳細には、例えばアルミニウムと銅や、アルミニウムとニッケルのように、互いに接触する界面に金属間化合物が形成可能な金属又は合金の組み合わせで、心材層11及び被覆層12からなる複合化粉末10を用意する。
【0090】
工程S3に続く工程S6において、基材21上に形成された皮膜22(図4参照)に熱処理を施す。それにより、図10に示すように、心材層11をなす材料(合金又は金属)23と被覆層12をなす金属又は合金により形成されたセル壁24との界面に、金属間化合物層51が形成される。例えば、心材層11をアルミニウム、被覆層12をニッケルめっきで形成した場合、500〜600℃で加熱することにより、材料23とセル壁24との界面に金属間化合物が形成される。
【0091】
続く工程S7において、金属間化合物層51が形成された皮膜22を所定の溶解液に浸し、未反応部分の材料23を除去することにより、皮膜22に気孔を形成する。なお、未反応部分の材料23を溶解させる溶解液の具体例については、実施の形態1の工程S4で説明したものと同様である。
【0092】
図11は、それによって形成された多孔体を備える構造体3を示す断面図である。材料23を除去することにより、セル壁24の表層(気孔52との接触面)が金属間化合物層51で覆われた多孔体53が形成される。
【0093】
金属間化合物層51の厚さは、工程S6における熱処理の時間及び温度によって制御することができる。例えば図11には、セル壁24の表層のみを材料23と反応させて金属間化合物層51を形成した場合を示したが、工程S6における熱処理を十分に行うことにより、セル壁24全体を反応させても良い。この場合、金属間化合物のみからなるセル壁24(多孔体)を基材21上に形成することができる。
【0094】
例えば、アルミニウムの心材層11とニッケルめっきで形成した被覆層12とからなる複合化粉末10を用いる場合、アルミニウムとニッケルとの反応により形成された金属間化合物の層は、セラミックスのように、耐食性及び耐熱性に優れた層となる。このような金属間化合物は一般に、金属と比較して脆いので、通常は多孔質体とすることが困難である。しかしながら、実施の形態6によれば、耐食性及び耐熱性に優れた金属間化合物からなり、且つ、気孔径が微小な多孔質体を、比較的容易に作製することが可能となる。
【0095】
本実施の形態6に係る多孔体の製造方法は、実施の形態2、4、5と組み合わせても良い。実施の形態6に係る多孔体の製造方法を例えば実施の形態2と組み合わせる場合、複合化粉末10に混合する単層の粉末の量を調節して皮膜22におけるセル壁24の太さを制御すると共に、工程S6における熱処理の条件(時間及び温度)を制御することにより、金属間化合物層51の厚さをより簡単に調節できるようになる。
【0096】
また、本実施の形態6に係る多孔体の製造方法を実施の形態4と組み合わせる場合、複合化粉末30(図6参照)の各層をなす金属又は合金を適宜選択することにより、工程S3で形成された皮膜に対し、所望の界面(心材層31をなす金属又は合金と第1被覆層32をなす金属又は合金との界面、或いは、第1被覆層32をなす金属又は合金と第2被覆層33をなす金属又は合金との界面)に金属間化合物層を形成することができる。後者の場合には、材料として、心材層31が樹脂材料で形成された複合化粉末30を用いることができる。
【0097】
また、本実施の形態6に係る多孔体の製造方法を実施の形態5と組み合わせる場合、金属間化合物層51の表面がめっきによりさらに覆われた多孔体を得ることができる。
【0098】
(実施の形態7)
次に、本発明の実施の形態7について説明する。
図12は、実施の形態7に係る多孔体を備える構造体を模式的に示す断面図である。図12に示すように、構造体4は、基材21と、該基材21の両面に形成された多孔体26とを備える。
【0099】
各多孔体26は、実施の形態1と同様に、複合化粉末10(図2参照)を用いたコールドスプレー法により、基材21の両面に皮膜22を順次形成した後、各皮膜22を溶解液に順次浸して、心材層11をなす材料を除去することにより作製されたものである。
【0100】
このような構造体4は、例えば、基材21を巻回可能な薄板により形成し、基材21の両面に多孔体26を形成した後で、シート状の絶縁部材と共に巻回することにより、電極部材として使用することができる。
【0101】
(実施の形態8)
次に、本発明の実施の形態8について説明する。
上記実施の形態1〜7においては、コールドスプレー法により基材21、41上に皮膜22を形成した(図1の工程S3参照)。しかしながら、複合化粉末10、30からなる緻密な皮膜を形成することができれば、コールドスプレー法以外の手法を用いても良い。例えば、複合化粉末10、30を金型に充填し、圧力を印加して押し固める金型プレスや、複合化粉末10、30を成形モールドに充填して圧力を印加する冷間等方圧加圧法等の高圧粉末成形技術により、複合化粉末10、30を所望の形状に成形することができる。この際、複合化粉末10、30からなる皮膜を基材21、41上に形成しても良いし、複合化粉末10、30からなる皮膜を単独の成形体として作製しても良い。
【0102】
このような複合化粉末10、30からなる皮膜を、実施の形態1と同様に、心材層11、31及び被覆層12、32、33に応じて選択される溶解液に浸して心材層11を除去することにより、多孔体を作製することができる。或いは、実施の形態3と同様に、心材層11、31を熱分解によって除去しても良い。
【0103】
本実施の形態8によれば、複合化粉末10、30における心材層11、31の径D、被覆層12、32、33の厚さd、及びこれらの比率を調節することにより、多孔体における気孔径、セル壁の太さ、及び、気孔率を容易に制御することができる。
【0104】
具体的には、気孔径を約0.01mm以上約1mm以下の範囲で制御することができる。従って、従来は実現が困難であった、例えば0.3mm以下、0.02mm以下、さらには、0.01mm以下の微小な気孔を形成することも可能である。なお、本実施の形態8において、気孔径とは、多孔体の任意の断面1mm2当たりで計数した気孔の個数をkとした場合に、1/(√k)で与えられる平均気孔径のことをいう。
【0105】
また、実施の形態8によれば、気孔率を約30%以上100%未満の範囲で制御することができる。従って、従来は実現が困難であった75%以上、或いは85%以上という高い気孔率を実現することも可能である。
【0106】
さらには、実施の形態8によれば、気孔径及び気孔率を、上述した範囲で同時に制御することができる。例えば、気孔径を0.01mm以上0.3mm以下の微小な径としつつ、気孔率を30%以上100%未満の所望の範囲に制御することができる。或いは、気孔率を85%以上100%未満の高気孔率にしつつ、気孔径を0.01mm以上1mm以下の所望の径に制御することができる。従って、例えば、気孔径が0.01mm以上0.3mm以下、且つ気孔率が85%以上という、気孔径が微小で高気孔率の多孔体を作製することも可能である。
【0107】
また、複合化粉末10、30からなる皮膜を高圧粉末成形技術により作製する場合には、複合化粉末10、30に対して方向によらず概ね等しい圧力が作用するので、複合化粉末10、30が特定の方向に揃って変形することはない。従って、厚み方向における断面と、厚み方向と直交する断面とにおいて、平均気孔径が概ね等しい多孔体を得ることができる。
【0108】
(変形例)
上記実施の形態8においても、実施の形態5と同様に、心材層を除去することによって気孔が形成された多孔体に対し、さらにめっき処理を施すことにより、セル壁を多層化(複数層化)しても良い。
【0109】
(実施の形態9)
次に、本発明の実施の形態9について説明する。
上記実施の形態1〜8においては、基材21上に皮膜22(図4参照)を形成する際に、心材層11、31の周囲を被覆層12、又は、第1被覆層32及び第2被覆層33で被覆した複合化粉末10、30を用いた(図2図6参照)。しかしながら、必ずしも心材層11、31の周囲全体が被覆層12等で覆われている必要はなく、被覆層12等の一部から心材層11、31が露出していても良い。或いは、複合化粉末10、30の代わりに、円柱状の心材層の外周面のみを被覆層の材料で覆った複合化粉末を用いても良い。以下、そのような複合化粉末の作製方法を説明する。
【0110】
図13は、実施の形態9における複合化粉末の作製方法を説明する模式図である。まず、マグネシウム、マグネシウム合金、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金、亜鉛、亜鉛合金、ニッケル、ニッケル合金、鉄、鉄合金、チタン、チタン合金、錫、錫合金等の金属又は合金、塩化ナトリウム等の塩化物、ウレタン等の樹脂からなる線材を作製する。なお、これらの材料は、実施の形態1における心材層11の材料と共通である。線材の作製方法は特に限定されず、伸線加工や引き抜き加工等、公知の種々の方法を用いることができる。
【0111】
続いて、図13(a)に示すように、上記材料からなる線材71の外周面を、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金、亜鉛、亜鉛合金、ニッケル、ニッケル合金、鉄、鉄合金、チタン、チタン合金、クロム、クロム合金、ニオブ、ニオブ合金、モリブデン、モリブデン合金、銀、銀合金、錫、錫合金、タンタル、タンタル合金、タングステン、又は、タングステン合金等からなる被覆層72によって被覆する。なお、これらの材料は、実施の形態1における被覆層12の材料と共通である。線材71を金属又は合金によって形成する場合、被覆層72としては、線材71と種類が異なる金属又は合金を使用する。また、被覆層72の形成方法は特に限定されず、めっき法やCVD法等、公知の種々の方法を用いることができる。
【0112】
続いて、図13(b)に示すように、線材71を被覆層72で被覆した複合化線材70を所望の長さに切断する。それにより、円柱状をなす心材層74の外周面が被覆層75で覆われ、心材層74の端面が露出した複合化粉末73が得られる。
【0113】
ここで、線材71(心材層74)をなす材料及び被覆層72(被覆層75)をなす金属又は合金の組み合わせは、実施の形態1又は3と同様に、心材層の除去工程(図1及び図8の工程S4、又は図9の工程S7参照)において用いられる溶解液の種類や熱分解温度等に応じて決定される。或いは、実施の形態6と同様に、界面に金属間化合物が形成可能な金属又は合金の組み合わせを選択しても良い。
【0114】
また、線材71(心材層74)の周囲に形成される被覆層は、被覆層72(被覆層75)の1層に限定されない。即ち、実施の形態4と同様に、被覆層72とは種類が異なる金属又は合金からなる1層以上の被覆層を、被覆層72の外周面にさらに形成しても良い。
【0115】
線材71の径d1及び被覆層72の厚さd2は、完成した多孔体(例えば、図5に示す多孔体26)において実現したい気孔のサイズ、セル壁の厚さ、気孔率等に応じて決定される。例えば、気孔のサイズを制御する場合には、線材71の径d1や複合化粉末73の長さLを調節すれば良い。また、セル壁の厚さを制御する場合には、被覆層72の厚さd2を調節すれば良い。さらに、気孔率を制御する場合には、線材71の径d1と被覆層72の厚さd2との比率、又は、複合化粉末73の径D2と長さLとの比率を調節すれば良い。
【0116】
複合化粉末73の径D2及び長さLは、コールドスプレー法や高圧粉末成形技術に適用可能なサイズ(例えば10〜300μm程度)の範囲内で適宜決定される。例えば、上記気孔率を複合化粉末73の径Dと長さLとの比率により制御する場合、長さLを長くするほど気孔率を低くすることができ、長さLを短くするほど気孔率を高くすることができる。ただし、長さLを短くし過ぎると、複合化粉末73の表面積に対する被覆層75の表面積の割合が低下し、コールドスプレー法や高圧粉末成形技術により皮膜22を形成する際に、他の複合化粉末73との間で被覆層72同士が結合し難くなるおそれがある。そのため、皮膜22において複合化粉末73の被覆層72同士を確実に結合させ、多孔体26を安定的に作製するためには、複合化粉末73の径D2と長さLとの比D2/Lの範囲を、0.5≦D2/L≦2程度とすることが好ましい。例えば径D2を約30μmとした場合、長さLを15〜60μm程度にすると良い。
【0117】
以上説明したように、本実施の形態9によれば、線材71に被覆層72を形成した複合化線材70を切断して粉末状にするので、予め粉末状にされた心材層11に被覆層12を形成する場合と比べ、複合化粉末73を非常に簡単に、短時間且つ安価に作製することができる。例えば、本実施の形態9によれば、アルミニウムからなる被覆層75を有する複合化粉末73を容易に作製することができる。従って、複合化粉末73及びこれを用いて作製した多孔体の製造の手間やコストを低減することが可能となる。
【0118】
また、本実施の形態9によれば、複合化粉末73のサイズ(径D及び長さL)や、心材層74の径d1及び被覆層75の厚さd2を容易且つ精度良く調節することができる。従って、多孔体における気孔のサイズ、セル壁の厚さ、及び気孔率を容易且つ精度良く制御することが可能となる。
【0119】
また、本実施の形態9によれば、線材71に対して被覆可能な材料であれば被覆層72として用いることができるので、複合化粉末73における心材層74と被覆層75との材料の組み合わせの幅を広げることができる。従って、心材層の除去工程において適用する方法の選択の幅を広げることができる。
【0120】
例えば、樹脂からなる線材71にアルミニウムからなる被覆層72を形成した複合化線材70により複合化粉末73を作製した場合、心材層の除去工程において心材層74の樹脂を有機溶剤により溶解し、或いは、熱分解することにより、アルミニウムからなる多孔体を短時間に作製することができる。
【0121】
また、本実施の形態9によれば、心材層74の外側に複数の被覆層を設ける場合においても、各被覆層の材料の選択の幅を広げることができると共に、各層の層厚や層数を容易に制御することができる。
【0122】
以上実施の形態1〜9において説明した多孔体は、各実施の形態において説明した適用例の他、以下に例示する種々の用途に使用することができる。
例えば、ヒートシンクの表面を上記実施の形態1〜5又は8、9に係る多孔体で形成することにより、熱交換性能を向上させることができる。
【0123】
また、上記実施の形態1〜6又は8、9に係る多孔体を備える構造体を各種機器の筐体や壁部材に用いることにより、吸音又は防音性能を向上させることができる。
また、上記実施の形態1〜5又は8、9に係る多孔体を触媒フィルタに適用することにより、熱伝導率や耐衝撃性を向上させることができる。
【実施例】
【0124】
以下、本発明の実施例を説明する。本実施例においては、上記実施の形態1に係る多孔体の製造方法により、基材上に多孔体を作製する実験を行った。
【0125】
複合化粉末としては、平均粒径が約30μmのアルミニウム粉末に銅メッキを施した粉末を用意した。複合化粉末全体の平均粒径は、約32μmであった。
【0126】
このような複合化粉末を用い、スプレー条件を、不活性ガス(窒素)の温度を約500℃、ガス圧力を5MPaに設定して、コールドスプレー法により、純アルミニウム(A1050)からなる基材上に皮膜を形成した。
【0127】
図14は、基材上に形成された皮膜の断面を撮影したSEM(走査型電子顕微鏡)写真である。図14に示すように、皮膜の内部には、セル構造をなす銅(Cu)と、セル構造の間(セル内)に充填されたアルミニウム(Al)とが観察される。
【0128】
その後、皮膜を以下の条件で溶解液に浸すことにより、アルミニウムを除去した。
液の種類:塩酸
濃度:50%
温度:30℃
浸している時間:5分
【0129】
図15は、アルミニウムが除去された後の皮膜の断面を撮影したSEM写真である。図15に示すように、アルミニウムが除去された後の領域は気孔となり、銅からなるセル壁のみが基材上に残った。このようにして作製された多孔体において、厚さ方向(皮膜の堆積方向)における気孔の径(平均値)は約10μmであり、厚さ方向と直交する面における気孔の径(平均値)は約30μmであり、扁平形状の気孔が形成されていることが確認された。
【符号の説明】
【0130】
1、2、3、4 構造体
10、30、73 複合化粉末
11、31、74 心材層
12、72、75 被覆層
21、41 基材
22 皮膜
23 材料
24、43 セル壁
25、44、52 気孔
26、42、53 多孔体
32 第1被覆層
33 第2被覆層
45、46 金属又は合金
51 金属間化合物層
60 コールドスプレー装置
61 ガス加熱器
62 粉末供給装置
63 スプレーガン
64 ガスノズル
65、66 バルブ
70 複合化線材
71 線材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15