(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記結晶性無機材の粒子は、ジルコニア、又は、ジルコニアとイットリア、カルシア、マグネシア、セリア、アルミナ、及び、ハフニアのうち少なくとも一種とを含む複合酸化物からなる粒子である請求項6〜14のいずれかに記載の排気系部品。
前記低融点ガラスは、バリウムガラス、ボロンガラス、ストロンチウムガラス、アルミナ珪酸ガラス、ソーダ亜鉛ガラス、及び、ソーダバリウムガラスのうち少なくとも一種を含むガラスである請求項16に記載の排気系部品。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【
図1】
図1は、本発明の排気系部品を模式的に示す断面図である。
【
図2】
図2は、本発明に係る排気系部品を構成する表面被覆層の縦断面を示す走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。
【
図3】
図3(a)及び
図3(b)は、本発明の排気系部品の別の一例をそれぞれ模式的に示す断面図である。
【
図4】
図4は、本発明の排気系部品に関する自動車用エンジンと、自動車用エンジンに接続されたエキゾーストマニホールドとを模式的に示す分解斜視図である。
【
図5】
図5(a)は、
図4に示す自動車用エンジン及びエキゾーストマニホールドのA−A線断面図であり、
図5(b)は、
図5(a)に示すエキゾーストマニホールドのB−B線断面図である。
【0046】
(発明の詳細な説明)
以下、本発明について具体的に説明する。しかしながら、本発明は、以下の内容に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。
【0047】
以下、本発明の排気系部品、及び、排気系部品の製造に用いられる排気系部品用塗料について説明する。
まず、本発明の排気系部品について説明する。
図1は、本発明の排気系部品の一例を模式的に示す断面図である。
図1に示す排気系部品10は、金属からなる基材11と、基材11の表面上に形成された1層の表面被覆層12とを備えている。
【0048】
図1に示す排気系部品10では、基材11の表面に形成された表面被覆層12は、シリカを含む非晶性無機材の層13と、非晶性無機材の層13の内部に分散するジルコニアを含む結晶性無機材の粒子14、結晶性無機材の粒子14と非晶性無機材の層13との反応により生成した反応生成粒子15及び気孔16とからなる。
図1に示すように、反応生成粒子や気孔は表面被覆層内で複数のサイズで分散している。また、反応生成粒子も様々なサイズや形状で表面被覆層内に存在しており、似たような形状が同一方向に向いておらず、ランダムな方向性をもって存在している。
【0049】
排気系部品10を構成する基材11の材質としては、例えば、ステンレス、鋼、鉄、銅等の金属、又は、インコネル、ハステロイ、インバー等のニッケル合金等が挙げられる。これら金属材料からなる基材は、後述するように、表面被覆層12を構成する非晶性無機材の層13と熱膨張係数を近付けることにより、表面被覆層12と金属からなる基材11との密着力を向上させることができる。
また、表面被覆層との密着性を良好にするため、サンドブラスト処理や化学薬品等の粗化処理を基材の表面に施してもよい。
【0050】
上記粗化処理により形成される基材の表面の表面粗さRz
JISは、1.5〜20μmが望ましい。上記した粗化面の表面粗さRz
JISは、JIS B 0601(2001)で定義される十点平均粗さである。
排気系部品の基材の粗化面の表面粗さRz
JISが1.5μm未満であると、基材の表面積が小さくなるため、基材と表面被覆層との密着性が充分に得られにくくなる。一方、排気系部品の基材の粗化面の表面粗さRz
JISが20μmを超えると、基材の表面に表面被覆層が形成されにくくなる。これは、排気系部品の基材の粗化面の表面粗さRz
JISが大きすぎると、基材の表面に形成された凹凸の谷の部分にスラリー(表面被覆層用の原料組成物)が入り込まず、この部分に空隙が形成されるためであると考えられる。
なお、排気系部品の基材の粗化面の表面粗さRz
JISは、(株)東京精密製、ハンディサーフE−35Bを用いてJIS B 0601(2001)に準拠して測定することができる。
【0051】
基材の形状は、平板、半円筒、円筒状の他、その断面の外縁の形状は、楕円形、多角形等の任意の形状であってもよい。
排気系部品の基材が筒状体である場合、基材の径が長手方向に沿って一定でなくてもよく、また、長さ方向に垂直な断面形状が長手方向に沿って一定でなくてもよい。
【0052】
本発明の排気系部品において、基材の厚さの望ましい下限は0.2mm、より望ましい下限は0.4mmであり、望ましい上限は10mm、より望ましい上限は4mmである。
排気系部品の基材の厚さが0.2mm未満であると、排気系部品の強度が不足する。また、排気系部品の基材の厚さが10mmを超えると、排気系部品の重量が大きくなり、例えば、自動車等の車輌に搭載することが難しくなり、実用に適しにくくなる。
【0053】
排気系部品の表面被覆層12を構成する非晶性無機材は、シリカを含む非晶性無機材であることが好ましく、シリカを20重量%以上含有していることが好ましい。
非晶性無機材は、シリカを含んでいるので、非晶性無機材の層13の内部に分散するジルコニアを含む結晶性無機材の粒子14と反応してシリカを含むジルコンが生成しやすく、特にシリカを30重量%以上含有していると、よりジルコンを生成し易い。
【0054】
また、上記非晶性無機材は、軟化点が300〜1000℃である低融点ガラスであることが好ましい。
上記低融点ガラスの種類は特に限定されるものではないが、ソーダ石灰ガラス、無アルカリガラス、硼珪酸ガラス、カリガラス、クリスタルガラス、チタンクリスタルガラス、バリウムガラス、ボロンガラス、ストロンチウムガラス、アルミナ珪酸ガラス、ソーダ亜鉛ガラス、ソーダバリウムガラス等が挙げられる。
これらのガラスは、単独で用いてもよいし、2種類以上が混合されていてもよい。
【0055】
上記のような低融点ガラスは、軟化点が300〜1000℃の範囲にあると、低融点ガラスを融解させて基材(金属材料)の表面に塗布(コート)した後、加熱、焼成処理を施すことにより、金属からなる基材の表面上に表面被覆層12を容易にしかも基材との密着性に優れた表面被覆層を形成することができる。
【0056】
上記低融点ガラスの軟化点が300℃未満であると、軟化点の温度が低すぎるため、加熱処理の際に、表面被覆層となる層が溶融等により流れ易く、均一な厚さの層を形成することが難しくなり、一方、上記低融点ガラスの軟化点が1000℃を超えると、逆に、加熱処理の温度を極めて高く設定する必要があるため、加熱により基材の機械的特性が劣化するおそれが生じる。
なお、軟化点は、JIS R 3103−1:2001に規定される方法に基づき、例えば、有限会社オプト企業製の硝子自動軟化点・歪点測定装置(SSPM−31)を用いて測定することができる。
【0057】
上記硼珪酸ガラスの種類は、特に限定されないが、SiO
2−B
2O
3−ZnO系ガラス、SiO
2−B
2O
3−Bi
2O
3系ガラス等が挙げられる。上記クリスタルガラスは、PbOを含むガラスであり、その種類は特に限定されないが、SiO
2−PbO系ガラス、SiO
2−PbO−B
2O
3系ガラス、SiO
2−B
2O
3−PbO系ガラス等が挙げられる。上記バリウムガラスの種類は、特に限定されないが、BaO−SiO
2系ガラス等が挙げられる。
また、非晶性無機材は、上述した低融点ガラスのうちの一種類の低融点ガラスのみからなるものであってもよいし、複数種類の低融点ガラスからなるものであってもよい。
【0058】
排気系部品の表面被覆層に含まれる結晶性無機材は、排気系部品の表面被覆層に含まれる非晶性無機材の軟化点よりも高い軟化点を有している。具体的には、排気系部品の表面被覆層に含まれる結晶性無機材は、950℃以上の軟化点を有していることが望ましい。
【0059】
表面被覆層12を構成する非晶性無機材の層13に分散する結晶性無機材の粒子14は、ジルコニア、又は、ジルコニアを含む結晶性無機材の粒子である。
ジルコニアを含む無機材の具体的としては、例えば、CaO安定化ジルコニア(5wt%CaO−ZrO
2、8wt%CaO−ZrO
2、31wt%CaO−ZrO
2)、MgO安定化ジルコニア(20wt%MgO−ZrO
2、24wt%MgO−ZrO
2)、Y
2O
3安定化ジルコニア(6wt%Y
2O
3−ZrO
2、7wt%Y
2O
3−ZrO
2、8wt%Y
2O
3−ZrO
2、10wt%Y
2O
3−ZrO
2、12wt%Y
2O
3−ZrO
2、20wt%Y
2O
3−ZrO
2)、ジルコン(ZrO
2−33wt%SiO
2)、CeO安定化ジルコニア等が挙げられる。
これらの中では、耐熱性及び耐腐食性に優れ、25℃での熱伝導率が4W/mK以下であるY
2O
3安定化ジルコニア、CaO安定化ジルコニア、MgO安定化ジルコニアが好ましい。
【0060】
結晶性無機材の粒子14は、ジルコニアを20重量%以上含有していることが望ましい。ジルコニアを20重量%以上含有していると、耐熱性に優れるとともに、非晶性無機材中のシリカと反応して、結晶性無機材の粒子14の表面からジルコニアとシリカとを含む反応生成粒子が析出し易いからである。
【0061】
ジルコニアの含有量が20重量%未満であると、非晶性無機材の層13との反応生成粒子15が充分に成長することができず、気孔16の移動を阻止する能力が低下するとともに、表面被覆層12の機械的強度の低下を招いてしまう。
結晶性無機材の粒子14は、ジルコニアを50重量%以上含有していることがより望ましい。
【0062】
結晶性無機材の粒子14の平均粒子径は、0.1〜150μmであることが望ましい。結晶性無機材の粒子14の平均粒子径が0.1〜150μmであると、結晶性無機材の粒子14により表面被覆層12が高温になっても結晶性無機材の粒子14により気孔16の移動が阻害され、高断熱性を維持することができる。
【0063】
結晶性無機材の粒子14の平均粒子径が0.1μm未満では、気孔16の移動を阻害するのが難しくなり、さらにジルコニア分が少ないことから乾燥後に高耐熱性を維持することは困難になる。一方、結晶性無機材の粒子14の平均粒子径が150μm超えると、表面被覆層12の表面と粒子との距離が短い箇所が多くなり、曲げなどの少しの応力でも表面にクラックが発生し易くなる。
結晶性無機材の粒子14の平均粒子径は、1〜50μmであることがより望ましく、この範囲では、高耐熱性やクラック予防に加え、反応生成粒子が外的負荷に強い形状となりやすい。すなわち、反応生成粒子の針形状が太くなりやすく、折れずに破壊されにくい。
【0064】
結晶性無機材の粒子14の平均粒子径に対する気孔16の平均気孔径の比(結晶性無機材の粒子の平均粒子径/気孔の平均気孔径)は、0.1〜10である。
結晶性無機材の粒子14の平均粒子径に対する気孔16の平均気孔径の比(結晶性無機材の粒子の平均粒子径/気孔の平均気孔径)が上記の範囲であると、表面被覆層12が高温になった際に結晶性無機材の粒子14が気孔16の移動の障害物となり、気孔16の移動が妨げられ、気孔16の合体により、断熱性能が低下するのを防止することができる。
【0065】
上記の比(結晶性無機材の粒子の平均粒子径/気孔の平均気孔径)が0.1未満であると、気孔の平均気孔径に比べて結晶性無機材の粒子の平均粒子径の比が小さいため、高温になった際に、気孔の移動を阻害する効果が小さく、気孔の合体が進行し易くなり、高断熱性を維持するのが難しくなる。
【0066】
一方、上記の比(結晶性無機材の粒子の平均粒子径/気孔の平均気孔径)が10を超えると、気孔の平均気孔径に比べて結晶性無機材の粒子の平均粒子径の比が大きくなりすぎる。すなわち、この場合、結晶性無機材の粒子14が気孔16を押しつぶして破壊してしまう可能性があり、表面被覆層12の機械的強度ならびに断熱性能を低下させる可能性がある。
結晶性無機材の粒子14の平均粒子径に対する気孔16の平均気孔径の比(上記結晶性無機材の粒子の平均粒子径/上記気孔の平均気孔径)は、0.5〜5が好ましい。
【0067】
また、結晶性無機材はジルコニアを含み、非晶性無機材はシリカを含むので、表面被覆層を形成する際に、非晶性無機材の層中で、非晶性無機材の層と結晶性無機材の粒子とが反応し、ジルコン等からなる反応生成粒子が生成し、析出する。
【0068】
図2は、本発明に係る排気系部品を構成する表面被覆層の縦断面を示す走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。このSEM写真は、結晶性無機材と非晶性無機材との反応により生じた針状に伸びた反応生成粒子を示すSEM写真である。
図2に示すSEM写真では、結晶性無機材の粒子14の表面から非晶性無機材の層13中、針状に伸びる反応生成粒子15を観察することができる。
図2に示す反応生成粒子15の形状は、針状であるが、反応条件によっては、破砕状となる。反応生成粒子15が生成すると、非晶性無機材の層13中の粒子の大きさが結晶性無機材の粒子14と反応生成粒子15との合計の大きさになるので、高温になった際に、複数の気孔16が合体するのを、より効果的に阻止することができる。
【0069】
本発明の排気系部品では、結晶性無機材の粒子14の5〜50重量%は、気孔径が0.1〜50μmの上記気孔に接していることが望ましい。
気孔16が結晶性無機材の粒子14に接触、付着していると、高温になった際にも、気孔が結晶性無機材の粒子14から離れて移動しにくく、表面被覆層12の高断熱性を維持することができる。本発明の排気系部品では、結晶性無機材の粒子14の20〜40重量%は、気孔径が1〜50μmの上記気孔に接していることがより望ましい。
【0070】
気孔16に接している結晶性無機材の粒子14が5重量%未満では、結晶性無機材の粒子14が気孔16の移動抑制に寄与せず、気孔16の合体が発生して断熱性能が低下してしまう。一方、気孔16に接している結晶性無機材の粒子14が50重量%を超えると、表面被覆層12中の結晶性無機材の粒子14の含有量が多すぎるため、表面被覆層12の機械的強度または断熱性能が低下する。
【0071】
0.1μm未満の気孔16が結晶性無機材の粒子14と接触する場合を想定すると、気孔が小さい分、それだけ接触する気孔の数が増える。気孔の数が増えるということは、表面被覆層内でのクラックなどの亀裂発生箇所が増えるということになり、品質の低下や機械的強度が低下するといった問題が発生する。一方、気孔径が50μmを超える気孔16が結晶性無機材の粒子14と接触している場合には、気孔16はすでに移動で合体している場合が多い。このように、表面被覆層12に大きな気孔径の気孔16が形成されている場合、表面被覆層12の固体部が少ないため、表面被覆層12の機械的特性が低下する。また、このように大きな気孔16は、気孔内で対流熱伝達および放射伝熱によって放熱効果が促進されるため、断熱性が低下する。
【0072】
この場合、上記したように、気孔16が結晶性無機材の粒子14から伸びている反応生成粒子15を介して気孔16と接触していてもよい。
反応生成粒子15が生成した場合には、反応生成粒子15が結晶性無機材の粒子14の表面から、その周辺に向かって伸びているため、気孔16に接触し易く、気孔16との接触機会が多くなる。このため、気孔16が移動しにくくなり、複数の気孔16が合体するのをより効果的に防止することができる。
【0073】
反応生成粒子15の平均粒子径は、0.01〜25μmであることが望ましい。反応生成粒子15の平均粒子径が0.01〜25μmであると、表面被覆層12が高温になった場合であっても、結晶性無機材の粒子14から伸びる反応生成粒子15が気孔の移動を阻害するので、気孔16同士の合体を防止することができる。反応生成粒子15の平均粒子径は、0.1〜15μmであることがより望ましく、この範囲では反応生成粒子15の先端が太くなりやすくなり、機械的な強度が強い。
ここで、反応生成粒子の平均粒子径とは、一つの粒子から生成された反応生成粒子の先端から先端までの距離が最も大きい距離を反応生成粒子径とし、異なる反応生成粒子径を100個計測し、それを平均化したものを反応生成粒子の平均粒子径とする。
【0074】
反応生成粒子15の平均粒子径が0.01μm未満であると、気孔16の移動阻止の効果が小さい。また、反応生成粒子15の平均粒子径が25μmを超えると、表面被覆層12中に存在する反応生成粒子15の大きさが大きいため、必要以上に表面被覆層12を厚くする必要性が生じ、それにより表面被覆層12の曲げ応力が増加するためクラックが生じ易くなる。
【0075】
上述したように、表面被覆層12を構成する非晶性無機材の層13には、原料である排気系部品用塗料中に含まれる造孔材に起因する気孔が分散しているが、表面被覆層12の気孔率は、30〜80%であることが望ましい。
表面被覆層12の気孔率が30〜80%であり、これら気孔16が良好に分散していると、表面被覆層12中の熱の伝達を気孔16により効果的に遮断することができ、良好な断熱性を維持することができる。
【0076】
表面被覆層12の気孔率が30%未満であると、気孔16の割合が少なすぎるため、断熱性が劣化してしまい、一方、表面被覆層12の気孔率が80%を超えると、気孔16の割合が多くなりすぎるため、例えば、表面被覆層12の表面に気孔16が露出し易くなり、気孔率を保つのが難しくなるとともに、気孔16同士の距離が近くなり、気孔16同士が合体し易くなり、表面被覆層12が高温になった際に、高断熱性を維持するのが難しくなる。
【0077】
表面被覆層12中の気孔16の平均気孔径は、0.1〜50μmであることが望ましい。表面被覆層12中の気孔16の平均気孔径が0.1〜50μmであると、表面被覆層12中の熱伝達を気孔16により有効に阻止することができ、表面被覆層12の高断熱性を維持することができる。表面被覆層12中の気孔16の平均気孔径は、小さいほうが、気孔内の放射伝熱、対流伝熱による熱移動を低減することができるため、1μmに近ければ近いほど望ましく、具体的には、1〜50μmがより望ましく、1〜5μmがさらに望ましい。平均気孔径が1〜5μmの範囲では、もっとも気孔内の熱移動を低減させることが可能である。
【0078】
気孔16の平均気孔径が0.1μm未満であると、このような大きさの気孔16を形成するのは技術的に難しく、このような気孔16を形成するには、非常に小さい造孔材を使用するなど特別な材料を使う必要があるため、材料コストが急激に増加してしまい、好ましくない。
一方、気孔径50μmを超えていると気孔16はすでに移動で合体している場合が多い。このように、表面被覆層12に大きな気孔径の気孔16が形成されている場合、表面被覆層12の固体部分が少ないため、表面被覆層12の機械的特性が低下する。また、100μmを超える径の気孔16は、気孔内で対流熱伝達および放射伝熱のよって放熱効果が促進されるため、断熱性が低下する。
【0079】
表面被覆層12の厚さは、50〜2000μmであることが望ましく、250〜2000μmであることがより望ましい。
表面被覆層12の厚さが50μm未満であると、表面被覆層12の厚さが薄すぎるため、排気系部品として使用した際に、充分な断熱性能を発揮できなくなる。一方、表面被覆層12の厚さが2000μmを超えると、表面被覆層12が厚すぎるため、熱衝撃を受けた際に、表面被覆層12の基材11との接合面と雰囲気に露出している表面との温度差が大きくなり易く、表面被覆層12が破壊され易くなる。
【0080】
表面被覆層12の室温での熱伝導率は、0.05〜2W/mKが望ましい。
表面被覆層12の室温での熱伝導率が0.05〜2W/mKであると、本発明の排気系部品10は、断熱性に優れており、高温においても、熱伝導率が上がりにくいので、排気ガス等の温度が低下するのを防止することができる。
表面被覆層12の室温での熱伝導率が0.05W/mK未満の表面被覆層12を実現するのは、技術的観点及び経済的観点の両者のバランスを考慮すると容易ではなく、一方、表面被覆層12の室温での熱伝導率が2W/mKを超えると、低温領域での排気管の保温性が不充分となり、例えば、排気管に用いた場合、触媒コンバータの温度が触媒活性化温度まで達するまでの時間が長くなってしまい、望ましくない。
排気系部品の表面被覆層の室温での熱伝導率は、レーザーフラッシュ法によって測定することができる。
【0081】
なお、本発明の排気系部品において、半円筒の基材又は円筒形状の基材を用いる場合にも、基材11の表面には、
図1に示す排気系部品10における表面被覆層12が形成されている。表面被覆層12は基材11の両面に形成されていてもよい。
【0082】
表面被覆層12が基材11の両面に形成されている場合であっても、表面被覆層12の厚さは、50〜2000μmであることが望ましい。
【0083】
次に、本発明の排気系部品の製造方法について説明する。
まず、本発明の排気系部品の製造において用いる排気系部品用塗料について説明する。上記排気系部品用塗料は、排気系部品の製造に用いられる原料組成物である。
【0084】
本発明の排気系部品用塗料は、シリカを含む非晶性無機材とジルコニアを含む結晶性無機材の粒子と造孔材の粒子とを含み、
上記結晶性無機材の粒子の平均粒子径は0.1〜150μmであって、
上記非晶性無機材100重量部に対する結晶性無機材の粒子の重量は30〜180重量部であり、
上記造孔材の粒子の平均粒子径は0.1〜25μmであって、
上記非晶性無機材100重量部に対する上記造孔材の粒子の重量は0.001〜1重量部であることを特徴とする。
【0085】
本発明の排気系部品用塗料を用いることにより、上記した本発明の排気系部品を製造することができるが、その用途は、上記排気系部品の製造に限られるものではなく、塗膜を形成するための他の用途に用いてもよい。
上述のように、上記排気系部品用塗料は、シリカを含む非晶性無機材と、ジルコニアを含む結晶性無機材の粒子と、造孔材の粒子とを含む。
【0086】
シリカを含む非晶性無機材の種類、材料、材質、その特性等については、本発明の排気系部品において説明したので、省略する。上述したように、本発明の排気系部品用塗料を調製する際には、上記非晶性無機材の粉末を用いる。本発明の排気系部品用塗料を調製する際には、各原料を調合した後、湿式粉砕を行うが、非晶性無機材の粉末は、最初に適当な粒径に調節したものを用い、原料の調合後、湿式粉砕により目的の粒子径のものを得る。
非晶性無機材は、基材表面に塗布、焼成後、溶融して塗膜(非晶性無機材の層)となるので、厳密に非晶性無機材の粒径をコントロールする必要はないが、排気系部品用塗料中に非晶性無機材の粒子が均一に分散している必要がある。
この点から、非晶性無機材の湿式粉砕後の最終的な平均粒径は、0.1〜100μmが好ましく、1〜20μmがより好ましい。1〜20μmの範囲では、粒子表面に帯電している電気による影響が少ないためと推測しているが、粒子が均一に分散しやすい。
【0087】
ジルコニアを含む結晶性無機材についても、その種類、材料、材質、その特性等については、本発明の排気系部品において説明したので、省略する。本発明の排気系部品用塗料を調製する際には、各原料を調合した後、湿式粉砕を行うが、結晶性無機材の場合も、最初に適当な粒径に調節したものを用い、湿式粉砕により、目的の粒子径のものを得る。
結晶性無機材の湿式粉砕後の最終的な平均粒径は、0.1〜150μmが好ましい。
【0088】
湿式粉砕後の結晶性無機材の粒子の平均粒子径は0.1〜150μmであり、表面被覆層を形成した後に非晶性無機材の層に分散する結晶性無機材の粒子径は、非晶性無機材の層を形成する前の湿式粉砕後の結晶性無機材の粒子径とほぼ変わらないと考えられる。表面被覆層を形成した後の非晶性無機材の層に分散する結晶性無機材の粒子の平均粒子径は0.1〜150μmであり、表面被覆層12が高温になっても結晶性無機材の粒子14により気孔16の移動が阻害され、高断熱性を維持することができる。湿式粉砕後の結晶性無機材の粒子の平均粒子径は1〜50μmであることがより望ましい。
【0089】
結晶性無機材の粒子14の平均粒子径が0.1μm未満では、気孔16の移動を阻止するのが難しくなり、さらにジルコニア分が少ないことから乾燥後に高耐熱性を維持することは困難になる。一方、結晶性無機材の粒子14の平均粒子径が150μm超えると、表面被覆層12の表面と結晶性無機材の粒子14との距離が短い箇所が多くなり、曲げなどの少しの応力でも表面にクラックが発生し易くなる。特に、結晶性無機材の粒子14の平均粒子径が500μm超えるとその傾向が顕著になる。
【0090】
非晶性無機材100重量部に対する結晶性無機材の粒子の重量は30〜180重量部に設定されている。
非晶性無機材に対して、このような重量割合の結晶性無機材の粒子を使用することにより、製造された排気系部品を構成する非晶性無機材の層中に結晶性無機材の粒子が適切な割合で分散し、表面被覆層の耐熱性、断熱性を担保することができる。非晶性無機材100重量部に対する結晶性無機材の粒子の重量は60〜150重量部に設定されていることが望ましい。
【0091】
非晶性無機材100重量部に対する結晶性無機材の粒子の重量が30重量部未満であると、非晶性無機材の層中に分散する結晶性無機材の粒子の量が少ないため、高音域で内部に分散している気孔が移動し易くなり、断熱性が低下する。
一方、非晶性無機材100重量部に対する結晶性無機材の粒子の重量が180重量部を超えると、相対的に非晶性無機材の量が少なくなり、塗膜の形成(表面被覆層の形成)が難しくなり、基材からの剥離が発生し易くなる。
【0092】
本発明の排気系部品用塗料における造孔材について説明する。
上記造孔材は、基材表面に上記排気系部品用塗料を用いて塗膜を形成した後、加熱、焼成により表面被覆層を形成した際、表面被覆層内に気孔を形成するために用いられている。
【0093】
上記造孔材としては、例えば、酸化物系セラミックを成分とする微小中空球体であるバルーン、球状アクリル粒子、グラファイト等のカーボン、炭酸塩、発泡剤等を用いることができるが、本発明においては、形成された表面被覆層は、高い断熱性能を有することが望ましく、そのためには、気孔は、なるべく小さい径のものが均一に分散していることが望ましい。
【0094】
このような観点から、造孔材は、カーボン、炭酸塩、又は、発泡剤が望ましい。
炭酸塩、発泡剤としては、CaCO
3、BaCO
3、NaHCO
3、Na
2CO
3、(NH
4)
2CO
3等が挙げられる。
さらに、これらの造孔材のなかでは、グラファイト等のカーボンが好ましい。カーボンは、粉砕等の処理により、排気系部品用塗料中に細かい粒子として分散させることができ、加熱、焼成により分解し、好適な気孔径を有する気孔を形成することができるからである。
【0095】
上記観点から、造孔材の粒子の平均粒子径は0.1〜25μmに設定されている。
造孔材の粒子の平均粒子径が0.1〜25μmであるので、形成される非晶性無機材の層中の気孔の径を、0.1〜50μmにすることができる。造孔材の粒子の平均粒子径は0.5〜10μmに設定されていることが望ましい。
【0096】
造孔材の粒子の平均粒子径が0.1μm未満であると、排気系部品用塗料中に造孔材を良好に分散することが難しくなり、その結果、形成される非晶性無機材の層中の気孔の分散度合いが低下し、高温になった際、気孔が合体し易くなる。一方、造孔材の粒子の平均粒子径が25μmを超えた場合には、非晶性無機材の層中に形成される気孔の径が大きくなりすぎ、非晶性無機材の層の断熱性が低下する。
【0097】
非晶性無機材100重量部に対する造孔材の粒子の重量は0.001〜1重量部に設定されている。非晶性無機材100重量部に対する造孔材の粒子の重量を、0.001〜1重量部に設定しているので、排気系部品用塗料中に良好に分散し、基材の表面に塗膜を形成し、加熱、焼成により表面被覆層を形成した際に、気孔が良好に分散した表面被覆層を形成することができる。非晶性無機材100重量部に対する造孔材の粒子の重量は0.005〜0.5重量部に設定されていることが望ましい。
【0098】
非晶性無機材100重量部に対する造孔材の粒子の重量が0.001重量部未満であると、表面被覆層中の気孔の割合が少なすぎるため、表面被覆層が良好な断熱特性を発揮することができず、一方、非晶性無機材100重量部に対する造孔材の粒子の重量が1重量部を超えると、造孔材の割合が多すぎるため、形成される表面被覆層中に気孔を良好に分散するのが困難となり、大きな気孔が形成され易くなり、表面被覆層が良好な断熱特性を発揮することができない。
【0099】
本発明の排気系部品用塗料では、非晶性無機材、結晶性無機材、造孔材のほかに、分散媒、有機結合材等を配合することができる。
上記分散媒としては、例えば、水や、メタノール、エタノール、アセトン等の有機溶媒等が挙げられる。排気系部品用塗料に含まれる混合粉末又は非晶性無機材の粉末と分散媒との配合比は、特に限定されるものでないが、例えば、非晶性無機材の粉末100重量部に対して、分散媒が50〜150重量部であることが望ましい。基材に塗布するのに適した粘度となるからである。
上記排気系部品用塗料に配合することのできる有機結合材としては、例えば、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、分散媒と有機結合材とを併用してもよい。
【0100】
次に、上記した排気系部品用塗料の調製とそれを用いた排気系部品の製造方法について説明する。
【0101】
(1)金属からなる基材を準備する工程
金属からなる基材(以下、金属基材又は金属材料ともいう)を出発材料とし、まず、金属基材の表面の不純物を除去するために洗浄処理を行う。
上記洗浄処理としては特に限定されず、従来公知の洗浄処理を用いることができ、具体的には、例えば、アルコール溶媒中で超音波洗浄を行う方法等を用いることができる。
【0102】
また、上記洗浄処理後には、必要に応じて、金属基材の表面の比表面積を大きくしたり、金属基材の表面の粗さを調整したりするために、金属基材の表面に粗化処理を施してもよい。具体的には、例えば、サンドブラスト処理、エッチング処理、高温酸化処理等の粗化処理を施してもよい。これらは単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
この粗化処理後に、さらに洗浄処理を行ってもよい。
【0103】
(2)表面被覆層を形成する工程
まず、結晶性無機材、非晶性無機材、造孔材等を混合し、排気系部品用塗料を調製する。
具体的には、例えば、結晶性無機材の粉末と、非晶性無機材の粉末とをそれぞれ所定の粒度、形状等になるように調製し、各粉末を所定の配合比率で乾式混合して混合粉末を調製し、さらに水を加えて、ボールミルで湿式混合することにより排気系部品用塗料を調製する。
ここで、混合粉末と水との配合比は、特に限定されるものでないが、混合粉末100重量部に対して、水100重量部程度が望ましい。金属基材に塗布するのに適した粘度となるからである。また、必要に応じて、上記排気系部品用塗料には、上記したように、有機溶剤等の分散媒及び有機結合材等を配合してもよい。
【0104】
(3)次に、金属基材の表面に、排気系部品用塗料をコートする。
上記表面被覆層用の排気系部品用塗料をコートする方法としては、例えば、スプレーコート、静電塗装、インクジェット、スタンプやローラ等を用いた転写、ハケ塗り、又は、電着塗装等の方法を用いることができる。
また、排気系部品用塗料中に、上記金属基材を浸漬することにより、上記排気系部品用塗料をコートしてもよい。
【0105】
(4)続いて、排気系部品用塗料をコートした金属基材に焼成処理を施す。
具体的には、排気系部品用塗料をコートした金属基材を乾燥後、加熱焼成することにより表面被覆層を形成する。この際、造孔材は、上記焼成により分解するか、発泡して気体に変化し、表面被覆層中に気孔が形成される。上記造孔材は、600〜1000℃で気体に変化することが望ましい。
上記焼成温度は、非晶性無機材の軟化点以上とすることが望ましく、配合した非晶性無機材の種類や造孔材の種類にもよるが700℃〜1100℃が望ましい。焼成温度を非晶性無機材の軟化点以上の温度とすることにより金属基材と非晶性無機材とを強固に密着させることができ、金属基材と強固に密着した表面被覆層を形成することができるからである。
【0106】
上記手順により、本発明の排気系部品の一例である、
図1に示した排気系部品10を製造することができる。
【0107】
図3(a)は、排気系部品を構成する基材の筒状体を半分に切断した部材(以下、半割部材という)を模式的に示した断面図であり、
図3(b)は、基材が筒状体である場合の排気系部品を模式的に示した断面図である。
図3(b)に示す排気系部品30では、排気管のように筒状体からなる基材31の内側に
図1に示した表面被覆層と同じ構成からなる表面被覆層32が形成されている。
このため、排気管に表面被覆層を形成した際には、断熱性能に優れた排気管となる。従って、この排気管を用いることにより、エンジンの始動時から短時間で触媒活性化温度まで昇温することができ、触媒コンバータの性能をエンジン始動時から充分に発揮させることができる。
【0108】
このような基材が筒状体であり、表面被覆層が筒状体の内面に形成された排気系部品を製造する方法の例を以下に示す。
図3(b)に示した排気系部品(筒状体)30が長い場合には、その内部全体に表面被覆層を形成することは、不可能ではないが、難しいので、通常は、排気系部品を構成する基材の筒状体を半分に切断した排気系部品(半割部材)20(
図3(a)参照)を使用する。
この場合、基材21の表面に表面被覆層22を構成する非晶性無機材の層23を形成した後、2個の排気系部品(半割部材)20を合体させて基材31の内面に表面被覆層32が形成された筒状体からなる排気系部品30を作製する。
【0109】
まず、金属基材として、筒状体を半分に切断した第1の半割部材及び第2の半割部材を準備する。次に、第1の半割部材及び第2の半割部材について、それぞれ、面積の小さい内側の表面に排気系部品用塗料をコートする。続いて、第1の半割部材及び第2の半割部材に焼成処理を施すことにより、第1の半割部材及び第2の半割部材の表面に表面被覆層を形成し、その後、第1の半割部材及び第2の半割部材を溶接等により接合して筒状体にする。
上記手順により、金属基材が筒状体であり、表面被覆層が筒状体の内面に形成された排気系部品を製造することができる。
【0110】
また、金属基材が筒状体であり、表面被覆層が筒状体の外面に形成された排気系部品を製造してもよい。この場合には、金属基材として、筒状体の金属基材を用いてもよいし、上述したような第1の半割部材及び第2の半割部材を用いてもよい。
【0111】
以下に、本発明の排気系部品、及び、排気系部品用塗料の作用効果について列挙する。
(1)本発明の排気系部品では、金属からなる基材の表面上に表面被覆層が形成されている。表面被覆層は、シリカを含む非晶性無機材の層と、上記非晶性無機材の層の内部に分散したジルコニアを含む結晶性無機材の粒子、上記結晶性無機材の粒子と上記非晶性無機材の層との反応により生成した反応生成粒子及び気孔とからなり、上記表面被覆層中には、気孔が存在するため、上記気孔が固体内部の熱伝導を妨げ、優れた断熱特性が得られる。
【0112】
(2)本発明の排気系部品では、表面被覆層中に、結晶性無機材の粒子が分散しており、結晶性無機材の粒子の平均粒子径に対する上記気孔の平均気孔径の比(上記結晶性無機材の粒子の平均粒子径/上記気孔の平均気孔径)は、0.1〜10であるので、表面被覆層が高温になった際に、結晶性無機材の粒子が気孔の移動の障害物となり、気孔の移動が妨げられ、気孔の合体により、断熱性能が低下するのを防止することができる。そのため、長期間にわたって表面被覆層の高断熱性を維持することができる。
【0113】
(3)本発明の排気系部品では、表面被覆層中の結晶性無機材の粒子は、表面被覆層を機械的に強化する役割を果たし、かつ、気孔の合体を防止することができるため、表面被覆層の機械的強度の劣化によりクラック等が発生するのを防止し、クラック等が発生してもクラックの伸展を防ぐことができる。
【0114】
(4)本発明の排気系部品では、上記表面被覆層は、上記結晶性無機材の粒子と上記非晶性無機材の層との反応により生成した破砕状又は針状の反応生成粒子を含有しているので、この反応生成粒子により気孔の移動が阻害され、表面被覆層は、高い断熱性能を維持することができる。
このように、本発明の排気系部品は、断熱性かつ耐熱性に優れているため、例えば、排気管等の排気系部品として好適に使用することができる。
【0115】
(5)本発明の排気系部品では、上記結晶性無機材の粒子の5〜50重量%は、気孔径が0.1〜50μmの上記気孔に接しているので、高温になった際にも、気孔が結晶性無機材の粒子から離れて移動しにくく、その結果、気孔の合体を防止することができ、表面被覆層の高断熱性を維持することができる。
【0116】
(6)本発明の排気系部品では、表面被覆層に含まれる結晶性無機材は、ジルコニアを20重量%以上含有している。
ジルコニアは、耐熱性に優れた結晶性無機材である。そのため、排気系部品の表面被覆層が高温に曝される場合であっても、排気系部品の表面被覆層に存在するジルコニアが軟化しにくいため、表面被覆層が金属からなる基材から剥離することを防止することができる。
また、ジルコニアは、耐腐食性に優れた結晶性無機材でもある。そのため、排気系部品の表面被覆層が高温の排ガスに直接曝される場合には、排ガス中に含まれる窒素酸化物(NOx)及び/又は硫黄酸化物(SOx)によって、排気系部品の表面被覆層が腐食することを防止することができる。
【0117】
(7)本発明の排気系部品では、表面被覆層の厚さは、50〜2000μmである。
表面被覆層の厚さが上記した厚さであると、上記表面被覆層の厚さに対する孔の大きさや結晶性無機材の大きさとの比率が好適な範囲となり、断熱性能及び機械的特性をより良好に維持することができる。
【0118】
(8)本発明の排気系部品では、表面被覆層の室温での熱伝導率は、0.05〜2W/mKである。
排気系部品の表面被覆層の室温での熱伝導率が0.05〜2W/mKであると、表面被覆層を経て排気系部品の外部に熱が伝導伝熱される速度を遅くすることができる。そのため、排気系部品の断熱性をより高くすることができる。
【0119】
(9)本発明の排気系部品では、上記表面被覆材層の気孔率は、30〜80%であり、上記気孔の平均気孔径は、0.1〜50μmである。
表面被覆層中に含まれる気孔により、表面被覆層の断熱性を維持するには、気孔率及び気孔の平均気孔径は、適切な範囲であり、その結果、本発明の排気系部品の良好な断熱性を維持することができる。
【0120】
(10)本発明の排気系部品用塗料は、前記排気系部品用塗料は、シリカを含む非晶性無機材とジルコニアを含む結晶性無機材の粒子と造孔材の粒子とを含み、前記結晶性無機材の粒子の平均粒子径は0.1〜150μmであって、前記非晶性無機材100重量部に対する結晶性無機材の粒子の重量は30〜180重量部であり、前記造孔材の粒子の平均粒子径は0.1〜25μmであって、前記非晶性無機材100重量部に対する前記造孔材の粒子の重量は0.001〜1重量部であるので、上記した特性を有する排気系部品に用いられる塗料として好適に使用することができる。
【0121】
(実施例)
以下、本発明の排気系部品、及び、排気系部品用塗料をより具体的に開示した実施例を示す。なお、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。
【0122】
(実施例1)
(1)基材の準備
金属からなる基材として、長さ40mm×幅40mm×厚さ1.5mmの平板状のステンレス基材(SUS430製)を材料として、アルコール溶媒中で超音波洗浄を行い、続いて、サンドブラスト処理を行って基材の表面(両面)を粗化した。サンドブラスト処理は、♯100のAl
2O
3砥粒を用いて10分間行った。
表面粗さ測定機((株)東京精密製 ハンディサーフE−35B)を用いて、金属基材の表面粗さを測定したところ、金属基材の表面粗さは、Rz
JIS=8.8μmであった。
上記処理により、平板状の基材を作製した。
【0123】
(2)表面被覆層用の排気系部品用塗料の調製
非晶性無機材の粉末として、旭硝子株式会社製K4006A−100M(Bi
2O
3−B
2O
3系ガラス、軟化点770℃)35重量部を準備した。なお、非晶性無機材の排気系部品用塗料全体に対する配合割合は、34重量%である。上記配合割合とは、水等を含む排気系部品用塗料の全体の重量に対する割合を百分率で示したものである。また、上記非晶性無機材の粉末は、平均粒子径が15μmで、シリカを25重量%含有していた。
また、結晶性無機材の粒子として、イットリアを8重量%含有するイットリア安定化ジルコニアを20重量部を準備した。結晶性無機材の粒子の平均粒子径は、25μmであった。
【0124】
さらに、有機結合材として、信越化学工業株式会社製のメチルセルロース(製品名:METOLOSE−65SH)0.5重量部を準備した。
表面被覆層形成に用いる排気系部品用塗料の調製にあたっては、さらに水を46重量部加えて、ボールミルで湿式混合することにより排気系部品用塗料を調製した。
なお、排気系部品用塗料の調製にあたっては、造孔材としてカーボンを0.005重量部加えた。なお、造孔材の平均粒子径は、1μmであった。
塗布対象、塗布面、結晶性無機材の種類と平均粒子径と配合割合、非晶性無機材の配合比、造孔材の平均粒子径と配合比とを表1に示す。
【0125】
ここで結晶性無機材と非晶性無機材及び造孔材が粒子として形状を保てたまま取り出せる場合、レーザー回折法を用いた装置((株)島津製作所製 SALD−300V)により、各粒子径を測定すればよく、平均粒子径は前記装置を使用して100個の粒子を計測し、その粒子径の平均値を平均粒子径とすればよい。
また、排気管に表面被覆層を形成し、結晶性無機材や反応生成粒子を形状を保ったまま取り出せない場合、次のような3次元計測X線CT装置を使用することで粒子径を計測することができ、そのデータから平均粒子径を算出すればよい。
この場合、表面被覆層を3.1mmサイズに切り抜いたサンプルを、三次元計測X線CT装置(ヤマト科学(株)製 TDM1000−IS/SP)で計測し、それを三次元ボリュームレンダリングソフト(NVS(日本ビジュアルサイエンス(株))製 VG−Studio MAX)で画像処理を施すことにより粒子径を計測することができる。ここで粒子径とは、1つの粒子表面を2点取り、その2点間の直線距離が最も大きい値を粒子径とする。上記計測方法により、表面被覆層から100箇のサンプルを採取して、粒子径を測定し、その粒子径の平均値を平均粒子径とすればよい。
【0126】
(3)排気系部品の製造
平板状の基材の片側表面に、調製した排気系部品用塗料を用いてスプレーコート法により塗布を行い、乾燥機内において70℃で20分乾燥した。続いて、空気中、850℃で90分間、加熱焼成処理することにより、厚さ500μmの表面被覆層を形成した。
【0127】
(実施例2〜5)
塗布対象となる基材の種類、用いる結晶性無機材の種類と平均粒子径、配合割合、非晶性無機材の配合割合、造孔材の平均粒子径と配合割合、形成する表面被覆層の厚さを、表1及び表2に示したように変更した他は、実施例1と略同様の方法により表面被覆層を形成した。塗布対象、塗布面、結晶性無機材の種類と平均粒子径と配合割合、非晶性無機材の配合割合、造孔材の平均粒子径と配合割合とを表1に示す。
【0128】
(比較例1〜4及び参考例1)
塗布対象となる基材の種類、用いる結晶性無機材の種類と平均粒子径、配合割合、非晶性無機材の配合割合、造孔材の平均粒子径と配合割合、形成する表面被覆層の厚さを、表1及び表2に示したように変更した他は、実施例1と略同様の方法により表面被覆層を形成した。塗布対象、塗布面、結晶性無機材の種類と平均粒子径と配合割合、非晶性無機材の配合割合、造孔材の平均粒子径と配合割合とを表1に示す。
【0129】
【表1】
【0130】
実施例1〜5、比較例1〜4及び参考例1で製造された排気系部品について、表面被覆層の特性(気孔率、熱伝導率、膜厚、初期成膜性、連続高温試験結果、耐熱衝撃性試験結果、及び、総合判定結果)をまとめて表2に示した。
なお、上記表面被覆層の気孔率、熱伝導率、膜厚、初期成膜性、連続高温試験結果、耐熱衝撃性試験結果、及び、総合判定結果は、以下に示す方法により行った。
【0131】
(表面被覆層の熱伝導率の測定)
実施例1〜5、比較例1〜4及び参考例1の各排気系部品の表面被覆層の熱伝導率(25℃)をレーザーフラッシュ装置(熱定数測定装置:NETZSCH LFA457 Microflash)を用いて測定した。
なお、基材(ステンレス基材)の熱伝導率(25℃)を同様に測定したところ、基材(ステンレス基材)の熱伝導率は25W/mKであった。
【0132】
(表面被覆層の気孔率の測定)
表面被覆層を3.1mmサイズに切り抜いたものを、三次元計測X線CT装置(ヤマト科学(株)製 TDM1000−IS/SP)で計測し、それを三次元ボリュームレンダリングソフト(NVS(日本ビジュアルサイエンス(株))製 VG−Studio MAX)で画像処理を施すことで気孔体積を計測することができるため、気孔率を算出することができる。上記計測方法により、実施例1〜5、比較例1〜4及び参考例1により製造した排気系部品の表面被覆層から100箇のサンプルを採取して、その気孔率の平均値を排気系部品の表面被覆層の気孔率とした。
【0133】
(膜厚の測定)
株式会社フィッシャー・インストルメンツ製のデュアルスポープMP40にて膜厚を測定した。
【0134】
(初期成膜性の評価)
基材表面に形成する表面被覆層に関し、走査型電子顕微鏡(Hitachi製、FE−SEM S−4800)を用いて、基材と表面被覆層の界面に注目した10枚のSEM写真を撮影し、それらのSEM写真に基材と表面被覆層との間に空隙が形成されており、剥離は発生していることが観察されたものを「×」とし、基材と表面被覆層との間に空隙が全く形成されていないものを「○」とした。
【0135】
(連続高温試験)
実施例1〜5、比較例1〜4及び参考例1の各排気系部品について、連続高温試験を行って表面被覆層の耐熱性を評価した。
40mm×40mmのテストピースを準備し、半分(40mm×20mm)に表面被覆層を形成させる。その状態で、表面被覆層を上側に向け、続いて水平方向から90°傾斜させた状態で、焼成炉内に投入し、1000℃で15分間保持した。その後、各排気系部品の基材の表面において下部への垂れ、並びに、脱落又は変質について確認した。下部への垂れは、表面被覆層の形成部と未形成部との境界線が評価の前後で変化しているか確認することにより行った。表面被覆層の脱落又は変質については目視で確認した。
表2の「連続高温試験結果」の欄には、耐熱性試験で排気系部品の表面被覆層の膜厚変化(下部への垂れ)、脱落及び変質のいずれかが生じたものを「×」、排気系部品の表面被覆層の膜厚変化(下部への垂れ)、脱落及び変質のいずれも生じなかったものを「○」と示した。
【0136】
(耐熱衝撃性試験結果)
以下の耐熱衝撃性試験を行い、実施例1〜5、比較例1〜4及び参考例1の各排気系部品の耐熱衝撃性を評価した。
各排気系部品を焼成炉で900℃に加熱し、その後、900℃の排気系部品を室温の炉外に取り出して、排気系部品を取り出した後から2分間の平均降温速度が200〜210℃/minになるように、ファンにて強制冷却させることを1サイクルとして、これを50サイクル行った。その後、各排気系部品の表面被覆層に剥離が存在しているかを目視で確認した。
表2の「耐熱衝撃性試験結果」の欄には、耐熱衝撃性試験で排気系部品の表面被覆層に剥離が存在したものを「×」、排気系部品の表面被覆層に剥離が存在しなかったものを「○」と示した。
【0137】
(総合判定)
上記した初期成膜性、連続高温試験結果、耐熱衝撃性試験結果及び熱伝導率の測定結果に基づき、全てが○のものを合格、上記の特性に一つでも×のあるものを不合格とした。なお、熱伝導率については、0.6W/mK未満のものを良好、0.6W/mK以上のものを不良と評価した。
【0138】
【表2】
【0139】
実施例1〜5の排気系部品では、表面被覆層の気孔率は、30〜70%、熱伝導率は、0.10〜0.40W/mKと低く、断熱性に優れており、膜厚が250〜2000μmと適切な範囲であり、初期成膜性の結果が良好で表面被覆層の剥離はなく、基材との密着性に優れていることがわかった。また、連続高温試験結果、耐熱衝撃性試験結果も良好で、高温になっても気孔の合体が生じにくく、耐熱性、耐熱衝撃性、耐久性に優れていることが判明した。
特に、実施例5に示しているように、基材表面に厚い表面被覆層を形成しても、初期の成膜性は、良好であり、熱伝導率が0.20W/mKと極めて断熱性に優れた表面被覆層を形成できることが判明した。
【0140】
一方、比較例1の排気系部品では、表面被覆層中に結晶性無機材が配合されていないため、耐熱性に劣るとともに気孔が合体し易いと考えられ、連続高温試験結果、耐熱衝撃性試験結果が不良で、不合格であり、比較例2では、結晶性無機材の配合量が多すぎ、非晶性無機材の配合量が少なすぎるため、初期成膜性が不良で、基材との密着性に問題があった。
比較例3では、結晶性無機材の配合量が少ないため耐熱性が低下し、連続高温試験結果が不良となっている。比較例4では、結晶性無機材としてシリカを殆ど含まないアルミナを使用しており、反応生成粒子が生成しないため、熱伝導率が低く、不良となった。参考例1では、表面被覆層の厚さが3000μmと厚すぎるため、耐熱衝撃性の結果が不良となった。
【0141】
以下、本発明の排気系部品の具体的な例について、図面を参照しながら説明する。
本発明の排気系部品は、自動車用エンジン等の内燃機関に接続される排気系を構成する部材として使用される排気管である。ここで説明する排気系部品の構成は、基材が筒状体であること以外は、上述した排気系部品と同じである。
【0142】
具体的には、本発明の排気系部品は、例えば、エキゾーストマニホールド等として好適に使用することができる。
以下、自動車用エンジン等の内燃機関に接続されるエキゾーストマニホールドを例にして、本発明の排気系部品について説明する。
【0143】
図4は、本発明の排気系部品に係る自動車用エンジンと、自動車用エンジンに接続されたエキゾーストマニホールドとを模式的に示す分解斜視図である。
また、
図5(a)は、
図4に示す自動車用エンジン及びエキゾーストマニホールドのA−A線断面図であり、
図5(b)は、
図5(a)に示すエキゾーストマニホールドのB−B線断面図である。
【0144】
図4及び
図5(a)に示すように、自動車用エンジン100には、エキゾーストマニホールド110(
図1及び
図2に示した排気系部品)が接続されている。
自動車用エンジン100のシリンダブロック101の頂部には、シリンダヘッド102が取り付けられている。そして、シリンダヘッド102の一方の側面には、エキゾーストマニホールド110が取り付けられている。
【0145】
エキゾーストマニホールド110は、グローブ状の形状を有しており、各気筒の数に応じた分岐管111a、111b、111c及び111dと、分岐管111a、111b、111c及び111dを結合する集合部112とを備える。
このエキゾーストマニホールド110には、触媒担体を備えた触媒コンバータが接続される。エキゾーストマニホールド110は、各気筒からの排ガスを集合させ、さらに、触媒コンバータ等に排ガスを送る機能を有する。
そして、自動車用エンジン100から排出された排ガスG(
図5(a)中、排ガスをGで示し、排ガスの流れる方向を矢印で示す)は、エキゾーストマニホールド110内を通って、触媒コンバータ内に流入し、触媒担体に担持された触媒により浄化され、出口から排出されることとなる。
【0146】
図5(b)に示すように、エキゾーストマニホールド110(本発明の排気系部品)は、金属からなる基材120と、基材120の表面上に形成された表面被覆層130とを備えている。
図5(b)に示すエキゾーストマニホールド110(本発明の排気系部品)において、基材120は筒状体であり、表面被覆層130は、基材120の内面上に形成されている。
【0147】
本発明の排気系部品(エキゾーストマニホールド)においては、表面被覆層の構成として、上述した排気系部品における表面被覆層と同様の構成を採用することができる。
図5(b)に示すエキゾーストマニホールド110には、表面被覆層130として、
図1に示した排気系部品10における表面被覆層12と同様の構成を有する例を示しており、非晶性無機材13中に図示はしていないが、結晶性無機材の粒子と反応生成粒子と気孔とが分散している。
【0148】
本発明の排気系部品(エキゾーストマニホールド)において、表面被覆層は、基材の内面上全体に形成されていることが望ましい。排ガスと接触する表面被覆層の面積が最大となり、耐熱性に特に優れるからである。しかしながら、表面被覆層は、基材の内面上の一部にのみ形成されていてもよい。
また、本発明の排気系部品において、表面被覆層は、基材の内面上に加えて外面上に形成されていてもよいし、基材の外面上のみに形成されていてもよい。
【0149】
ここまでは、本発明の排気系部品として、エキゾーストマニホールドを例に説明してきたが、本発明の排気系部品は、エキゾーストマニホールドに限定されず、排気管、触媒コンバータを構成する管、又は、タービンハウジング等としても好適に使用することができる。
上記エキゾーストマニホールドを構成する分岐管の数は、エンジンの気筒数と同じであればよく、特に限定されない。なお、エンジンの気筒としては、例えば、単気筒、2気筒、4気筒、6気筒、8気筒等が挙げられる。
【0150】
本発明の排気系部品を製造する場合には、基材の形状が異なる他は、
図1を用いて説明した本発明の排気系部品と同様であり、上述した排気系部品と同様の方法により排気系部品を製造することができる。
なお、本発明の排気系部品において、基材の内面に表面被覆層を形成する場合、上述したように、第1の半割部材及び第2の半割部材からなる基材を用いることが望ましい。
【0151】
ここで説明した本発明の排気系部品においても、
図1を用いて説明した排気系部品及び排気系部品用塗料の効果(1)〜(10)と同様の効果を発揮することができる。
【0152】
本発明の排気系部品において、表面被覆層は、必ずしも基材の表面上全体に形成されている必要はない。
例えば、本発明の排気系部品を排気管として用いる場合において、表面被覆層を基材としての筒状体の内面に形成してもよいが、筒状体の内面に形成する場合には、基材としての筒状体の内面の表面全体に形成する必要はなく、少なくとも排ガスが直接接触する部分に表面被覆層を形成すればよい。
【0153】
本発明の排気系部品は、上記基材の表面上に形成された1層の表面被覆層とを備えた排気系部品であって、上記表面被覆層は、シリカを含む非晶性無機材の層と、上記非晶性無機材の層の内部に分散したジルコニアを含む結晶性無機材の粒子、上記結晶性無機材の粒子と上記非晶性無機材の層との反応により生成した反応生成粒子及び気孔とからなり、上記反応生成粒子は、破砕状又は針状の粒子であり、上記結晶性無機材の粒子の平均粒子径に対する上記気孔の平均気孔径の比(上記結晶性無機材の粒子の平均粒子径/上記気孔の平均気孔径)は、0.1〜10であり、上記表面被覆層は、上記非晶性無機材、造孔材及び上記結晶性無機材の粒子を含む排気系部品用塗料を基材上に塗布、加熱することにより形成されていることが必須の構成要素である。
係る必須の構成要素に、上述した種々の構成(例えば、表面被覆層の構成、基材の形状、エキゾーストマニホールド等)を適宜組み合わせることにより所望の効果を得ることができる。