【実施例】
【0047】
【表1】
【0048】
分子量
移動相として3.0%LiCl(Aldrich,Milwaukee,WI)と共に、J.T Baker,Phillipsburg,NJから入手したDMAcを用いて、Zorbax PSM Bimodalシリカカラム2個(Agilent,Wilmington,DE)を備えたGPCV/LS2000(商標)(Waters Corporation,Milford,MA)クロマトグラフを使用して、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって分子量を決定した。LiCl5.0%と共にDMAcに試料を溶解した。表2に示す重合度は数平均分子量に基づく。
【0049】
グルコシルトランスフェラーゼ(gtfJ)酵素の製造
種培地
発酵槽のスターター培養物を増殖させるのに使用される種培地は、酵母抽出物(Amberex695、1リットル当たり5.0グラム、g/L)、K
2HPO
4(10.0g/L)、KH
2PO
4(7.0g/L)、クエン酸ナトリウム二水和物(1.0g/L)、(NH
4)
2SO
4(4.0g/L)、MgSO
4七水和物(1.0g/L)およびクエン酸鉄アンモニウム(0.10g/L)を含有した。5N NaOHまたはH
2SO
4のいずれかを使用して、培地のpHを6.8に調整し、培地をフラスコ内で滅菌した。滅菌後の添加は、グルコース(50質量%溶液を20mL/L)およびアンピシリン(25mg/mLストック溶液を4mL/L)を含んだ。
【0050】
発酵槽培地
発酵槽において使用される増殖培地は、KH
2PO
4(3.50g/L)、FeSO
4七水和物(0.05g/L)、MgSO
4七水和物(2.0g/L)、クエン酸ナトリウム二水和物(1.90g/L)、酵母抽出物(Amberex695、5.0g/L)、Suppressor7153消泡剤(1リットル当たり0.25ミリリットル、mL/L)、NaCl(1.0g/L)、CaCl
2二水和物(10g/L)、およびNIT微量元素溶液(10mL/L)を含有した。NIT微量元素溶液は、クエン酸一水和物(10g/L)、MnSO
4水和物合物(2g/L)、NaCl(2g/L)、FeSO
4七水和物(0.5g/L)、ZnSO
4七水和物(0.2g/L)、CuSO
4五水和物(0.02g/L)およびNaMoO
4二水和物(0.02g/L)を含有した。滅菌後の添加は、グルコース(50質量%溶液を12.5g/L)およびアンピシリン(25mg/mLストック溶液を4mL/L)を含んだ。
【0051】
グルコシルトランスフェラーゼ(gtfJ)酵素発現株の作製
大腸菌(E.coli)(DNA2.0,Menlo Park CA)における発現に対して最適化されたコドンを用いて、唾液連鎖球菌(Streptococcus salivarius)(ATCC25975)からの成熟グルコシルトランスフェラーゼ酵素(gtfJ;EC2.4.1.5;GENBANK(登録商標)AAA26896.1、配列番号3)をコードする遺伝子を合成した。核酸産物(配列番号1)をpJexpress404(登録商標)(DNA2.0,Menlo Park CA)にサブクローニングし、pMP52として同定されるプラスミド(配列番号2)を産生した。プラスミドpMP52を使用して、大腸菌(E.coli)MG1655(ATCC47076(商標))を形質転換し、MG1655/pMP52として同定される株を産生した。グルコシルトランスフェラーゼ酵素発現株の作製に使用されるすべての手順は当技術分野でよく知られており、過度に実験を行うことなく、関連分野における個々の当業者によって行うことができる。
【0052】
発酵における組換えgtfJの産生
発酵槽における組換えgtfJ酵素の産生は、以下に記載のように作製された、gtfJ酵素を発現する大腸菌(E.coli)株MG1655/pMP52のプレシード培養物を調製することによって開始された。種培地のアリコート10mLを125mL使い捨てバッフル付きフラスコに添加し、20%グリセロール中の大腸菌(E.coli)MG1655/pMP52の培養物1.0mLをそれに接種した。毎分回転数300(rpm)にて3時間振盪しながら、この培養物を37℃で増殖させた。
【0053】
2L振とうフラスコに種培地0.5Lを装入することによって、発酵槽を開始するための種培物を調製した。プレシード培養物1.0mLを無菌的に、フラスコ内の種培地0.5Lに移し、37℃および300rpmにて5時間培養した。上述の発酵槽培地8Lを37℃で含有する14L発酵槽(Braun,Perth Amboy,NJ)に、光学濃度550nm(OD
550)>2にて種培養物を移した。
【0054】
大腸菌(E.coli)MG1655/pMP52の細胞を発酵槽内で増殖させ、培地のグルコース濃度が0.5g/Lに下がった時に、グルコースの供給(MgSO
4・7H
2O 1質量%を含有する50質量%グルコース溶液)を開始した。1分当たり供給物0.36グラム(供給物g/分)にて供給を開始し、各時間で供給物0.42、0.49、0.57、0.66、0.77、0.90、1.04、1.21、1.41、1.63、1.92、2.2g/分に連続的にそれぞれ増加した。その後、グルコース濃度が0.1g/Lを超えたときにグルコース供給を減らすか、または一時的に停止することによって、その速度を一定に維持した。YSIグルコース分析器(YSI,Yellow Springs,Ohio)を使用して、培地のグルコース濃度をモニターした。
【0055】
細胞がOD
55070に達した時に、0.5M IPTG(イソプロピルβ−D−1−チオガラクト−ピラノシド)9mLを添加して、グルコシルトランスフェラーゼ酵素活性の誘導を開始した。溶存酸素(DO)濃度を空気飽和度25%にて制御した。最初にインペラー攪拌速度(400〜1200rpm)によって、後に通気速度(2〜10標準リットル/分、slpm)によって、DOを制御した。pHを6.8で制御した。NH
4OH(14.5%(質量/体積、w/v))およびH
2SO
4(20%(w/v))をpH制御に使用した。背圧を0.5バールで維持した。様々な間隔(20、25および30時間)にて、Suppressor7153消泡剤5mLを発酵槽内に添加し、泡立ちを抑えた。IPTGを添加して8時間後に、遠心分離によって細胞を収集し、−80℃で細胞ペーストとして保存した。
【0056】
細胞ペーストからのgtfJ粗製酵素抽出物の製造
上記で得られた細胞ペーストを50mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.2)に150g/Lで懸濁し、スラリーを調製した。そのスラリーを12,000psiでホモジナイズし(Rannie型装置、APV−1000またはAPV16.56)、ホモジネートを4℃に冷却した。適度に力強く攪拌しながら、細胞ホモジネート1リットル当たり、フロック(floc)溶液(Aldrich番号409138、50mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)中にて5%)50gを添加した。攪拌を弱めて、15分間軽く攪拌した。次いで、4500rpmにて3時間、5〜10℃で遠心することによって、細胞ホモジネートを清澄化にした。粗製gtfJ酵素抽出物を含有する上清を30キロダルトン(kDa)カットオフ膜で濃縮した(約5倍)。gftJ酵素溶液中のタンパク質の濃度は、ビシンコニン酸(BCA)タンパク質アッセイ(Sigma Aldrich)によって4〜8g/Lであると決定された。
【0057】
実施例1〜3および比較例A〜D
実施例1〜3
ポリマーP1:
ショ糖(15質量%の水溶液状)3000g、デキストランT−10 60g、未変性エタノール2L、および1M KH
2PO
4 1Lを合わせることによって、水溶液20リットルを調製した。10%KOHを添加して、pHをpH6.8〜7.0に調整した。次いで、脱イオン水を添加して、体積を20Lにした。このように調製された溶液中の緩衝剤濃度は50mMであった。
【0058】
次いで、このように調製されたpH調整溶液に、上記で調製された酵素抽出物200mlを装入し、周囲温度にて144時間静置した。325メッシュスクリーンを使用して、ブフナー漏斗で40ミクロンの濾紙に、得られたグルカン固形物を収集した。脱イオン水に濾過ケークを再懸濁し、ショ糖、フルクトースおよび他の低分子量、可溶性副生成物を除去するために上記のように、さらに2回濾過した。最後に、メタノールでさらに2回の洗浄を行い、漏斗上で完全に濾過ケークをしぼり、真空中で室温で乾燥させた。収量403グラムで白色のフレーク状固形物が得られた。このように製造されたポリマーを本明細書においてP1と呼ぶ。
【0059】
数および質量平均分子量はそれぞれ、64,863および168,120ダルトンであることが判明した。
【0060】
重水素化DMSO 1mLに、ポリマー25〜30mgを溶解した。
13C NMRスペクトル(CPDulクリオプローブを備えたBruker Avance500MHz NMR分光計)から、デキストランプライマーの組み込みのために、98.15、73.57、71.63、70.17、65.79および60.56ppmでの共鳴ピークの存在、および99.46、81.66、72.13、71.09、69.66、および60.30ppmでのポリ(α(1→3)グルカン)の予想される個々の炭素原子6個と一致する共鳴が示された。これらの共鳴は、デキストラン約5%を含有するポリ(a(1→3)グルカン)の存在と一致した。
【0061】
ポリ(α(1→3)グルカン)紡糸溶液の調製
ドライボックス内で、100mL広口ガラス瓶にポリマーP1 8g、無水N−メチルモルホリンNオキシド(NMMO)46gを装入した。形成された混合物に、没食子酸プロピルエステル0.344gおよび硫酸ヒドロキシルアミン0.086gを含有する脱イオン水21gを添加した。容器はキャップを備えており、ポリプロピレン製攪拌棒は、そのキャップ通じてセプタムを通して取り付けられていた。次いで、容器を110℃に加熱し、断続的に手作業での混合を、6時間にわたって1時間毎に約5分間行った。1時間後、内容物を混合し続けると同時に、真空を適用して水を除去した。6時間後、水0.6gを除去した結果、ポリ(α(1→3)グルカン)固形物10.75%の繊維形成性の薄い琥珀色の溶液が得られ、以下に示す条件下でそれを繊維に押出し成形することができた。
【0062】
ポリ(α(1→3)グルカン)繊維の紡糸
駆動ロール10をフィラメント経路から取り除いて、上述の
図1に示される装置に変更を加えた。紡糸延伸は、噴射速度よりも速く巻き取ることによって達成された。100および325メッシュスクリーンからなるフィルターアセンブリを有する紡糸パックを通じて、直径0.003インチの単口紡糸口金に、調製された紡糸溶液を速度0.30ml/分で供給した。表1に示す温度で氷酢酸を含有する、横断2.5フィート長さの凝固浴に浸漬する前に、1.75インチ(実施例1および2)または0.75インチ(実施例3)に、押出されたフィラメントを通した。凝固浴から取り出すと、凝固されたフィラメントは、表1に示す巻取り速度で、横断ロッド(traverse rod)を有する、張力制御された巻取装置に向けられた。
【0063】
試験片の長さが1インチであることを除いては、ASTM標準D2101−82に準拠する方法および装置を使用して、テナシティ、伸びおよび初期弾性率などの物理的性質を測定した。
【0064】
表1は、このように製造されたフィラメントの特性を示す。これらは、製造された繊維のデニールを含み、テナシティ(T)(グラム/デニール(gpd))、破断点伸び(E%)および初期弾性率(M)(gpd)などの物理的性質は、試験片の長さが1インチであることを除いては、ASTM標準D2101−82に準拠する方法および装置を使用して測定された。表1に示す結果は、3〜5個の個々のフィラメント試験の平均である。
【0065】
比較例A〜D
セルロース紡糸溶液の調製
ドライボックス内で、100ml広口ガラス瓶に、寸断されたWhatman#1濾紙から得られたセルロース5gおよび無水NMMO 54gを装入した。形成された混合物に、没食子酸プロピルエステル0.13gおよび硫酸ヒドロキシルアミン0.033gを含有する脱イオン水7.6gを添加した。容器はキャップを備えており、ポリプロピレン製攪拌棒は、そのキャップ通じてセプタムを通して取り付けられていた。次いで、容器を115℃に加熱し、手作業での混合を4時間にわたって時折(5〜10分/時)行った。その時点で溶解が完了し、セルロース固形分7.5%で繊維形成性の薄い琥珀色の溶液が得られ、以下に示す条件下にて、それを繊維に押出し成形することができた。
【0066】
セルロース繊維紡糸
紡糸口金への紡糸溶液の供給速度が0.2ml/分であり、かつエアギャップが1.25インチ(比較例A〜C)または1.75インチ(比較例D)であったことを除いては、上述のように実施例1〜3で用いられた装置および手順を用いて、セルロースフィラメントを製造した。凝固浴は長さ4.8フィートであり、水のみを含有した。凝固したセルロース繊維は、
図1に示される駆動ロール10に巻き取られた。残りの条件を表1に示す。
【0067】
実施例1〜3に記載の物理的性質を決定した。結果を表1に示す。
【0068】
【表2】
【0069】
実施例4〜17および比較例E〜M
紡糸溶液の調製
溶解性の決定
下記の実施例に記載の溶解プロセスが完了した後に、バイアル内の溶液を目視検査することによって、溶解性を決定した。目視検査によって、粒子または曇りが確認されない場合には、ポリ(α(1→3)グルカン)は完全に溶解していると言える。粒子または曇りの検出は、不完全な溶解性の指標であるとみなされる。
【0070】
紡糸に適した溶液を調製する観点から、完全な溶解性によって付与される均一性は非常に好ましい。
【0071】
下記のデータの表において、完全な溶解を意味する「S」、または完全ではない溶解を意味する「N」によって、溶解性が示される。
【0072】
ポリマーの合成
ポリマーP2
ショ糖15%を含有する水溶液3リットル、デキストランT−10 9g、未変性エタノール300ml、および1モル KH
2PO
4(pH6.8〜7.0)50mlを容器内で合わせた。10%KOHでpHを調整し、脱イオン水を添加して、体積を3リットルにした。次いでこの溶液に、上記で調製された酵素20.1ml(0.67体積パーセント)を装入し、周囲温度にて144時間静置した。325メッシュスクリーンを使用して、ブフナー漏斗で40マイクロメーターの濾紙に、得られたグルカン固形物を収集した。脱イオン水に濾過ケークを再懸濁し、ショ糖、フルクトースおよび他の低分子量、可溶性副生成物を除去するために上記のように、さらに2回濾過した。最後に、メタノールでさらに2回の洗浄を行い、漏斗上で完全に濾過ケークをしぼり、真空中で室温にて乾燥させた。収量25.5グラムで白色のフレーク状固形物が得られた。このように製造されたポリマーを本明細書においてP2と呼ぶ。
【0073】
P3
デキストランT−10 9g、未変性エタノール300ml、およびリン酸カリウム緩衝液(10%KOHを使用してpH6.8〜7.0に調整された)150mlと、ショ糖15%を含有する水溶液3リットルを容器内で合わせた。脱イオン水を添加して、体積を3リットルにした。次いで、上記で調製された酵素30ml(1体積%)を溶液に装入し、周囲温度にて72時間静置した。325メッシュスクリーンを使用して、ブフナー漏斗で40ミクロンの濾紙に、得られたグルカン固形物を収集した。脱イオン水に濾過ケークを再懸濁し、ショ糖、フルクトースおよび他の低分子量、可溶性副生成物を除去するために上記のように、さらに2回濾過した。最後に、メタノールでさらに2回の洗浄を行い、漏斗上で完全に濾過ケークをしぼり、真空中で室温にて乾燥させた。収量55.4グラムで白色のフレーク状固形物が得られた。このように製造されたポリマーを本明細書においてP3と呼ぶ。
【0074】
P4
グルカンプライマー
電磁攪拌子を使用して500mlエルレンマイヤーフラスコにおいて、粉砕されたポリマーP3 25グラムを37%HCl(EMD HX0603−4)500ml中に懸濁し、2時間加水分解させた。水50mlを加えたNaOH固形物を使用して、ゆっくりと酸を中和し、氷浴で冷却しながら加水分解グルカンを溶解状態で維持した。次いで、塩を除去するために、低レベルで一晩水道水を流しながら、500MWカットオフ膜(Specta/Por Biotech Cellulose Ester(CE)MWCO 500〜1,000D)を使用して、溶液を透析した。次いで、溶液を回転蒸発器(rotovap)に置き、真空下にて室温で乾燥させた。このように製造された材料を本明細書においてP3−Hと呼ぶ。
【0075】
P3−Hを4.6g使用し、デキストランが省かれることを除いては、ポリマーP1を製造するために用いられる材料および手順が繰り返された。このように製造された材料を本明細書においてP4と呼ぶ。収量309グラムで白色のフレーク状固形物が得られた。
【0076】
P5
攪拌かつ温度制御しながら、150ガロンのガラス裏張り反応器において、容器内でショ糖75kg、デキストランT−10 500g、10%KOHを使用してpH7.0に調整されたリン酸カリウム緩衝液3.4kg、および未変性エタノール50リットルを合わせることによって、水溶液約394kgを調製した。次いで、上記で製造された酵素32単位/リットルを溶液に装入し、続いて脱イオン水をさらに1リットル装入した。得られた溶液を25℃で穏やかに72時間混合した。得られたグルカン固形物をZwagフィルターに移し、母液を除去した。水を約150kgの水で3回置き換えることによって、ケーキを洗浄した。最後に、メタノール100リットルでさらに2回置き換え洗浄を行った。その材料を60℃のジャケットを用いて真空下で乾燥させた。収量:6.6kg白色のフレーク状固形物。このようにして製造された材料を本明細書においてP5と呼ぶ。
【0077】
P6
P3−Hを2.0g使用し、デキストランが省かれることを除いては、ポリマーP3を製造するための材料および手順が繰り返された。収量68グラムで白色のフレーク状固形物が得られた。このように製造された材料を本明細書においてP6と呼ぶ。
【0078】
実施例4
無水NMMOと水の50/50(質量)混合物8gを没食子酸プロピル(0.08M)と硫酸ヒドロキシルアミン(0.026M)の水溶液0.15mlと合わせることによって形成された混合物に、ポリマーP2 0.5gを添加した。このように合わせた成分を40mlガラスバイアルに装入した。装入後、バイアルをシリコーン製セプタムで蓋をし、バイアルを計量した。次いで、セプタムに攪拌棒を取り付けた。110℃に予熱された加熱ブロック内にバイアルを置き、手作業で時折攪拌しながら、それを30分間維持した。30分後、110℃で加熱し続けながら真空を適用して、表2に示すレベルまで水を除去した。蒸留除去された量を計量することによって、最終的な含水量を決定した。NMMOの蒸留は無視できる。ポリマーは完全に溶解され、薄い琥珀色であった。最終固形分は8.9%であった。
【0079】
実施例5
無水NMMOと水の50/50(質量)混合物8.5g中にポリマーP4 1.0gを懸濁し、それに没食子酸プロピル(0.016M)と硫酸ヒドロキシルアミン(0.005M)の水溶液0.15mlを添加した。シリコーン製セプタムを備えた40mlガラスバイアル内に成分を装入した。バイアルに装入した後、その内容物を計量した。次いで、セプタムを通して攪拌棒を挿入した。次いで、110℃に予熱された加熱ブロック内にバイアルを置き、手作業で時折攪拌しながら、それを60分間維持した。60分後、110℃で加熱し続けながら真空を適用して、表2に示すレベルまで水を除去した。ポリマーは完全に溶解され、薄い琥珀色であった。最終固形分は8.1質量%であった。
【0080】
実施例6
無水NMMO 46g、没食子酸プロピル(0.08M)と硫酸ヒドロキシルアミン(0.026M)の水溶液21mlを含有する混合物中に、ポリマーP1 8.0gを懸濁した。100ml広口ガラスバイアルに成分を挿入した。挿入後、バイアルをセプタム/撹拌子で蓋をし、アセンブリを計量した。次いで、手作業で時折攪拌しながら、110℃で混合物を30分間加熱した。30分後、110℃で加熱し続けながら真空を適用して、表2に示すレベルまで水を除去した。ポリマーは完全に溶解され、薄い琥珀色であった。最終固形分は10.9%であった。
【0081】
比較例E
ポリマーP1 10.0gをNMMO/水溶液混合物中に懸濁したことを除いては、実施例6の材料および手順を用いた。ポリマーは完全には溶解しなかった。最終固形分は13.7%であった。
【0082】
比較例F
表2に示す異なる値に、NMMO/H
2O比を調節したことを除いては、実施例6の材料および手順を再現した。得られた溶液は薄い琥珀色であった。いくつかの粒子が存在することから、ポリマーは完全に溶解していないことが示された。最終固形分は11.0%であった。
【0083】
比較例G
表2に示す異なる値に、NMMO/H
2O比を調節したことを除いては、実施例6の材料および手順を再現した。得られた溶液は薄い琥珀色であった。いくつかの微粒子が存在することから、ポリマーは完全に溶解していないことが示された。最終固形分は10.8%であった。
【0084】
比較例H
表2に示す異なる値に、NMMO/H
2O比を調節したことを除いては、実施例6の材料および手順を再現した。さらに、水を真空蒸留した後、真空を止め、混合物を窒素で覆い、時折混合しながら、110℃でさらに60分間加熱を続けた。得られた溶液は薄い琥珀色であった。いくつかの粒子が存在することから、ポリマーは完全に溶解していないことが示された。最終固形分は10.8%であった。
【0085】
実施例7
NMMO 6g、および没食子酸プロピル(0.08M)と硫酸ヒドロキシルアミン(0.026M)の水溶液6mlを含有する混合物中に、ポリマーP3 0.5gを懸濁した。シリコーン製セプタムおよび攪拌棒が取り付けられた40mlガラスバイアル内に成分を装入した。バイアルに装入した後、その内容物に蓋をし、計量した。次いで、時折手作業で攪拌しながら、混合物を110℃で30分間加熱した。30分後、110℃で加熱し続けながら真空を適用して、表に示すレベルまで水を除去した。水を真空抽出した後、真空を止め、混合物を窒素で覆い、時折混合しながらさらに3時間、110℃で加熱し続けた。得られた溶液は完全に透明であり、薄い琥珀色であった。最終固形分は5.6%であった。
【0086】
実施例8
NMMO 5g、および没食子酸プロピル(0.08M)と硫酸ヒドロキシルアミン(0.026M)の水溶液5mlを含有する混合物中に、ポリマーP3 0.5gを懸濁した。実施例7の装置および手順を繰り返した。得られた溶液は完全に透明であり、薄い琥珀色であった。最終固形分は6.3%であった。
【0087】
実施例9
NMMO 4gおよび没食子酸プロピル(0.08M)と硫酸ヒドロキシルアミン(0.026M)の水溶液4mlを含有する混合物中に、ポリマーP3 0.5gを懸濁した。実施例7の装置および手順を繰り返した。得られた溶液は完全に透明であり、薄い琥珀色であった。最終固形分は8.7%であった。
【0088】
比較例I
NMMO 3gおよび没食子酸プロピル(0.08M)と硫酸ヒドロキシルアミン(0.026M)の水溶液3mlを含有する混合物中に、ポリマーP3 0.5gを懸濁した。実施例7の装置および手順を繰り返した。3時間後、グルカンポリマーはいくらかの粒子を有するゲル状であり、薄い琥珀色であった。最終固形分は10.1%であった。
【0089】
実施例10
風袋引きされた20×125mm組織培養チューブに、97%NMMO 3.17gを移した。(過剰量の)脱イオン水1.63gをチューブに添加した。チューブをセプタムで蓋をし、予め穴が開けられたTeflon(登録商標)被覆シリコーンセプタムにプラスチック製攪拌棒を挿入した。形成された混合物を約1分間攪拌した。攪拌後、硫酸ヒドロキシルアミン0.4質量%および没食子酸プロピル1.7質量%を含有する安定化水溶液0.12mlをチューブに添加し、さらに混合を2〜5分間行った。ポリマーP5 0.25gをチューブに添加し、得られた混合物を室温でさらに2〜5分間混合し、スラリーが形成された。
【0090】
ガラスシールドの後ろで、Pierce Reacti−therm加熱モジュール(Pierce Biotechnology,Rockford,IL)内に50℃でチューブを置いた。セプタムを通して挿入された針を通じて入れられる窒素ブランケットでチューブの内容物を覆った。断続的に5〜10分毎に手で攪拌しながら、チューブをブロックにおいて50℃で30〜45分間加熱した。ポリマー固形物は、完全に湿潤していることが確認された。次いで、断続的に攪拌しながら、15分間にわたって温度を100℃に上げ、次いで100℃で30〜60分間維持し、溶解を開始した。攪拌を維持しながら、次いで温度を115℃に上げ、断続的に攪拌しながら真空下にて、表2に示す濃度まで余分な水を除去し、溶液の形成を完了した。最終組成物を表2に示した。ポリマーは完全に溶解した。固形分6.84質量%は、水の質量減少によって、かつ留出物がごく少量のNMMOを含有したことのGC−MSでの確認によって、検証された。
【0091】
実施例11〜17および比較例J〜P
表2に示す変更を加えて、実施例10で用いられた材料および手順を繰り返した。結果を表2に示す。
【表3】
【0092】
以上、本発明を要約すると下記のとおりである。
1.N−メチルモルホリン−N−オキシド(NMMO)、水、およびポリ(α(1→3)グルカン)を含む溶液であって、ポリ(α(1→3)グルカン)の濃度が、前記溶液の全質量に対して5〜20質量%の範囲であり、前記ポリ(α(1→3)グルカン)が、少なくとも10,000Daの数平均分子量(M
n)を特徴とし;かつNMMOと水の質量比が12〜1.6の範囲である、溶液。
2.等方性溶液の状態である、上記1に記載の溶液。
3.前記ポリ(α(1→3)グルカン)において、前記ポリマーにおける反復単位の少なくとも90モル%がグルコース反復単位であり、かつグルコース反復単位間の結合の少なくとも50%がα(1→3)グリコシド結合である、上記1に記載の溶液。
4.前記ポリ(α(1→3)グルカン)において、前記ポリマーにおける反復単位の100モル%がグルコース反復単位であり、かつグルコース反復単位間の結合の少なくとも100%がα(1→3)グリコシド結合である、上記3に記載の溶液。
5.ポリ(α(1→3)グルカン)の濃度が10〜15質量%の範囲である、上記1に記載の溶液。
6.前記ポリ(α(1→3)グルカン)の数平均分子量が50,000〜70,000ダ
ルトンの範囲である、上記1に記載の溶液。
7.ポリ(α(1→3)グルカン)繊維を製造する方法であって、N−メチルモルホリン−N−オキシド(NMMO)と水の混合物に、得られた溶液の全質量に対して、ポリ(α(1→3)グルカン)を5〜20質量%溶解して、溶液を形成する工程であって、前記ポリ(α(1→3)グルカン)が少なくとも10,000Daの数平均分子量(M
n)を特徴とし、前記溶液中のNMMOと水の質量比が12〜1.6の範囲である工程と;紡糸口金を通して前記溶液を流して、それによって繊維を形成する工程と、液体凝固剤を使用して、このように形成された繊維からNMMOを抽出する工程とを含む、方法。
8.前記溶液が等方性溶液の状態である、上記7に記載の方法。
9.前記ポリ(α(1→3)グルカン)における反復単位の少なくとも90モル%がグルコース反復単位であり、かつグルコース反復単位間の結合の少なくとも50%がα(1→3)グリコシド結合である、上記7に記載の方法。
10.前記ポリ(α(1→3)グルカン)における反復単位の100モル%がグルコース反復単位であり、かつグルコース反復単位間の結合の少なくとも100%がα(1→3)グリコシド結合である、上記9に記載の方法。
11.前記溶液中のポリ(α(1→3)グルカン)の濃度が、10〜15質量%の範囲である、上記7に記載の方法。
12.前記溶液中のポリ(α(1→3)グルカン)の数平均分子量が、50,000〜70,000ダルトンの範囲である、上記7に記載の方法。
13.前記液体凝固剤が氷酢酸である、上記7に記載の方法。
14.前記液体凝固剤が、少なくとも75質量%の水の濃度を有する、N−メチルモルホリンNオキシドと水の混合物である、上記7に記載の方法。