(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6182162
(24)【登録日】2017年7月28日
(45)【発行日】2017年8月16日
(54)【発明の名称】作動ピストンおよび出口逆止弁を備えるディスペンサ
(51)【国際特許分類】
A61M 15/08 20060101AFI20170807BHJP
F04B 53/10 20060101ALI20170807BHJP
F04B 27/047 20060101ALI20170807BHJP
A61M 11/00 20060101ALI20170807BHJP
B65D 83/00 20060101ALI20170807BHJP
【FI】
A61M15/08
F04B53/10 J
F04B27/047
A61M11/00 D
B65D83/00 G
【請求項の数】19
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-558209(P2014-558209)
(86)(22)【出願日】2013年2月22日
(65)【公表番号】特表2015-516178(P2015-516178A)
(43)【公表日】2015年6月11日
(86)【国際出願番号】GB2013050439
(87)【国際公開番号】WO2013124670
(87)【国際公開日】20130829
【審査請求日】2016年1月28日
(31)【優先権主張番号】1203014.4
(32)【優先日】2012年2月22日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】514212973
【氏名又は名称】コンソート・メディカル・パブリック・リミテッド・カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100096769
【弁理士】
【氏名又は名称】有原 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100107319
【弁理士】
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100114591
【弁理士】
【氏名又は名称】河村 英文
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100154298
【弁理士】
【氏名又は名称】角田 恭子
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100170379
【弁理士】
【氏名又は名称】徳本 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100161001
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 篤司
(74)【代理人】
【識別番号】100179154
【弁理士】
【氏名又は名称】児玉 真衣
(74)【代理人】
【識別番号】100180231
【弁理士】
【氏名又は名称】水島 亜希子
(74)【代理人】
【識別番号】100184424
【弁理士】
【氏名又は名称】増屋 徹
(72)【発明者】
【氏名】アンダーソン,イアン
(72)【発明者】
【氏名】エクマン,マット
【審査官】
今井 貞雄
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第06789750(US,B1)
【文献】
特表2007−527251(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2007/0000950(US,A1)
【文献】
特開平05−184674(JP,A)
【文献】
特開平10−57487(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 15/08
A61M 11/00
B65D 83/00
F04B 27/047
F04B 53/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁付き容器組立体であって、
流体を収容するための容器であって、軸方向に延在し、開口した前端を有する、容器と、
前記容器内に配設される弁であって、弁付き容器組立体は、前記容器に対する弁の前方軸方向移動が阻止されるように構成される、弁と、
前記弁の後方で軸方向に配設されるプランジャ要素とを備え、前記プランジャ要素は、前記容器内で軸方向に移動可能であり、前記プランジャ要素と前記弁との間で前記容器内に第1の容積を画定し、前記プランジャ要素は、前記弁に対する前方軸方向移動のとき、前記第1の容積内の流体の圧力を増加させるように構成され、
前記弁は、
前記弁の全周の周りで前記容器の内部に対して前記弁を流体的にシールする永久シール、ならびに、
前記永久シールをバイパスするチャネルであって、弁付き容器組立体の外の大気と流体連通状態にある第1の開口および弾性シールによって前記第1の容積から選択的にシールされる第2の開口を有する、チャネルとを備え、
前記弾性シールは、前記第1の容積から前記チャネルを選択的にシールするために、シール構成と開口構成との間で移動可能であり、前記シール構成では、前記弾性シールは、前記第1の容積から前記チャネルの前記第2の開口を流体的に隔離するために、前記容器に対して前記弁を流体的にシールし、前記開口構成では、前記チャネルの前記第2の開口は、前記第1の容積と流体連通状態にあり、
前記弾性シールは、前記第1の容積または第2の容積内の流体圧力が第1の圧力閾値を超えると、前記シール構成から前記開口構成に移動可能である弁付き容器組立体。
【請求項2】
前記弾性シールは、1つまたは複数の柔軟要素を備える請求項1に記載の弁付き容器組立体。
【請求項3】
前記1つまたは複数の柔軟要素は、前記弁の周りに円周方向に部分的に延在し、前記弁の残りは、前記1つまたは複数の柔軟要素の周りに円周方向に前記容器とのシールを形成する請求項2に記載の弁付き容器組立体。
【請求項4】
前記1つまたは複数の柔軟要素は、前記弁の周りに全体的に円周方向に延在する請求項2に記載の弁付き容器組立体。
【請求項5】
前記弾性シールは、少なくとも2つの柔軟要素を備える請求項2〜4のいずれか1項に記載の弁付き容器組立体。
【請求項6】
前記少なくとも2つの柔軟要素は、互いに軸方向に整列する請求項5に記載の弁付き容器組立体。
【請求項7】
前記チャネルは、少なくとも1つの軸方向チャネル部、および、前記少なくとも1つの軸方向チャネルに実質的に垂直にかつ前記少なくとも1つの軸方向チャネル部と流体連通状態で配列される少なくとも1つのさらなるチャネル部を備える請求項1〜6のいずれか1項に記載の弁付き容器組立体。
【請求項8】
前記永久シールは、前記弁の全周の周りで前記弁から外に突出する少なくとも1つのフランジを備える請求項1〜7のいずれか1項に記載の弁付き容器組立体。
【請求項9】
前記永久シールは、前記弁の全周の周りで前記弁から外に突出する少なくとも2つのフランジを備え、前記少なくとも2つのフランジは、互いに軸方向に整列した状態で配列される請求項8に記載の弁付き容器組立体。
【請求項10】
前記プランジャ要素は、プランジャストッパ、および、前記容器内で前記プランジャストッパを軸方向に移動させるための前記プランジャストッパに接続されたプランジャロッドを備える請求項1〜9のいずれか1項に記載の弁付き容器組立体。
【請求項11】
前記弁はエラストマー材料を備える請求項1〜10のいずれか1項に記載の弁付き容器組立体。
【請求項12】
前記永久シールは、前記弁と前記容器との間に溶接を備える請求項1〜11のいずれか1項に記載の弁付き容器組立体。
【請求項13】
前記溶接は無線周波数(RF)溶接である請求項12に記載の弁付き容器組立体。
【請求項14】
前記溶接は熱溶接である請求項12に記載の弁付き容器組立体。
【請求項15】
前記永久シールは、前記弁と前記容器との間に接着性接合を含む請求項1〜11のいずれか1項に記載の弁付き容器組立体。
【請求項16】
前記容器に対する前記弁の前方軸方向移動は、前記永久シールの前方で軸方向の軸方向ロケーションにおいて前記容器の内部表面から半径方向に内側に突出する1つまたは複数の形成物によって阻止される請求項1〜15のいずれか1項に記載の弁付き容器組立体。
【請求項17】
前記永久シールの後方で軸方向の軸方向ロケーションにおいて前記容器の内部表面から半径方向に内側に突出する1つまたは複数の形成物をさらに備える請求項16に記載の弁付き容器組立体。
【請求項18】
請求項1〜17のいずれか1項に記載の弁付き容器組立体を備える鼻ディスペンサ。
【請求項19】
弁付き容器組立体を使用する方法であって、
i)前記第1の容積内に流体を収容する請求項1〜17のいずれか1項に記載の弁付き容器を設けるステップと、
ii)前記流体に加圧するために、前記弁に対して軸方向に前方に前記プランジャ要素を移動させるステップであって、それにより、前記弾性シールが前記開口構成に移動し、前記チャネルによる前記弁を通した前記流体の圧出を可能にする、移動させるステップとを含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弁付き容器組立体に関し、特に、自己開口弁を有する弁付き容器組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
GB2400040(Bespak plc)は、たとえば、鼻ディスペンサにおいて、計量された投与量の薬剤の送出を容易にしようとするバイアルなどの容器用の閉鎖部材を記載する。特に、GB2400040は、流体用の容器またはバイアルを記載し、容器は、流体を格納するための内部を画定するケーシングおよび閉鎖部材を備える。閉鎖部材は、本体、および、格納条件でケーシングの出口をシールする少なくとも1つの弾性突出部を備え、容器の内部の圧力が増加すると、少なくとも1つの弾性突出部は、出口を通した流体の流出に対処するために偏向する。述べる1つの実施形態では、閉鎖部材は、閉鎖部材の外周の周りで容器に対して閉鎖部材をシールするシール部分を有し、容器の内部の圧力は、閉鎖部材を容器に入るように変位させることによって増加する。述べる別の実施形態では、容器は、分注装置の一部である。しかし、この実施形態では、シール部分は、閉鎖部材に対して分離し、容器内の圧力を増加させるために容器の内部で変位可能である栓を形成する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
流体を分注するための代替の弁付き容器組立体を提供することが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、添付特許請求の範囲において規定される。
【0005】
本発明の第1の態様によれば、弁付き容器組立体が提供され、弁付き容器組立体は、
流体を収容するための容器であって、軸方向に延在し、開口した前端を有する、容器と、
容器内に配設される弁であって、弁付き容器組立体は、容器に対する弁の前方軸方向移動が阻止されるように構成される、弁と、
弁の後方で軸方向に配設されるプランジャ要素とを備え、プランジャ要素は、容器内で軸方向に移動可能であり、プランジャ要素と弁との間で容器内に第1の容積を画定し、プランジャ要素は、弁に対する前方軸方向移動のとき、第1の容積内の流体の圧力を増加させるように構成され、
弁は、
弁の全周の周りで容器に対して弁を流体的にシールする永久シール、および、
永久シールをバイパスするチャネルであって、弁付き容器組立体の外の大気と流体連通状態にある第1の開口および弾性シールによって第1の容積から選択的にシールされる第2の開口を有する、チャネルとを備え、
弾性シールは、第1の容積からチャネルを選択的にシールするために、シール構成と開口構成との間で移動可能であり、シール構成では、弾性シールは、第1の容積からチャネルの前記第2の開口を流体的に隔離するために、容器に対して弁を流体的にシールし、開口構成では、チャネルの第2の開口は、第1の容積と流体連通状態にあり、
弾性シールは、第1の容積または第2の容積内の流体圧力が第1の圧力閾値を超えると、シール構成から開口構成に移動可能である。
【0006】
一実施形態では、弾性シールは、好ましくは、1つまたは複数の柔軟要素を備え、好ましくは、1つまたは複数の柔軟要素は、弁の周りに円周方向に部分的に延在し、弁の残りは、前記1つまたは複数の柔軟要素の周りに円周方向に容器とのシールを形成する。代替的に、好ましくは、前記1つまたは複数の柔軟要素は、前記弁の周りに全体的に円周方向に延在する。
【0007】
弾性シールは、少なくとも2つの柔軟要素を備えることができ、少なくとも2つの柔軟要素は、互いに軸方向に整列することができる。
【0008】
一実施形態では、チャネルは、好ましくは、少なくとも1つの軸方向チャネル部、および、前記少なくとも1つの軸方向チャネルに実質的に垂直にかつ少なくとも1つの軸方向チャネル部と流体連通状態で配列される少なくとも1つのさらなるチャネル部を備える。
【0009】
好ましくは、永久シールは、弁の全周の周りで前記弁から外に突出する少なくとも1つのフランジを備える。永久シールは、好ましくは、弁の全周の周りで前記弁から外に突出する少なくとも2つのフランジを備え、少なくとも2つのフランジは、互いに軸方向に整列した状態で配列される。
【0010】
前記プランジャ要素は、好ましくは、プランジャストッパ、および、容器内でプランジャストッパを軸方向に移動させるためのプランジャストッパに接続されたプランジャロッドを備える。
【0011】
前記弁はエラストマー材料を備えることができる。
【0012】
前記永久シールは、弁と容器との間に溶接(weld)を備えることができる。1つの好ましい実施形態では、前記溶接は無線周波数(RF)溶接である。代替の好ましい実施形態では、前記溶接は熱溶接である
【0013】
一実施形態では、前記永久シールは、弁と容器との間に接着性接合を含む。
【0014】
別の好ましい実施形態では、容器に対する弁の前方軸方向移動は、永久シールの前方で軸方向の軸方向ロケーションにおいて容器の内部表面から半径方向に内側に突出する1つまたは複数の形成物によって阻止される。弁付き容器組立体は、永久シールの後方で軸方向の軸方向ロケーションにおいて容器の内部表面から半径方向に内側に突出する1つまたは複数の形成物をさらに備えることができる。
【0015】
本発明の第2の態様によれば、本発明の第1の態様の弁付き容器組立体を備える鼻ディスペンサが提供される。
【0016】
本発明の第3の態様によれば、弁付き容器組立体を使用する方法が提供され、方法は、
i)第1の容積内に流体を収容する本発明の第1の態様による弁付き容器を設けるステップと、
ii)流体に加圧するために、弁に対して軸方向に前方にプランジャ要素を移動させるステップであって、それにより、弾性シールが開口構成に移動し、チャネルによる弁を通した流体の圧出を可能にする、移動させるステップとを含む。
【0017】
本発明の実施形態は、添付図面を参照して以降でさらに述べられる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1A〜1Cは、その動作の種々のステージにおける、本発明のある実施形態による弁付き容器組立体の断面図であり、
図1Aは作動前の弁付き容器組立体を示し、
図1Bは送出中の弁付き容器組立体を示し、
図1Cは送出後の弁付き容器組立体を示す。
【
図2A】弁がシール構成にある、本発明の一実施形態による代替の弁を有する弁付き容器組立体の部分断面図である。
【
図2B】弁が開口構成にある、
図2Aの弁付き容器組立体を示す図である。
【
図3】本発明の代替の実施形態による弁付き容器組立体の部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1A〜1Cは、本発明の一実施形態による弁付き容器組立体10の動作の種々のステージを示す。弁付き容器組立体10は、好ましくは円柱である容器12、容器12内に配設された弁14、および容器12内に配設されたプランジャ要素32を備える。容器12は、開口前端12aと開口後端12bとの間で長手方向軸に沿って延在する。以降で、「前方への(forward)」または「前の(front)」または同様なものに対する言及は、容器12の開口前端12aを参照し、同様に、「後方への(rearward)」または「後の(rear)」または同様なものに対する言及は、容器12の開口後端12bを参照し、「軸方向の(axial)」または同様なものに対する言及は、容器の長手方向軸に平行な方向を示すと考えられる。
【0020】
弁14は、容器12内で開口前端12aにまたはその近くに配設され、弁14の全周の周りで容器12の内部との液密シールを形成する永久シール16を備える。永久シール16は、無線周波数(RF)溶接または熱溶接などの、弁14と容器との間の永久固定によって、または、適した接着剤などの代替の固定手段によって形成され得る。代替の実施形態では、弁14は、エラストマーとすることができ、永久シール16は、弁14のエラストマーの性質によって形成されてもよく、永久シール16は容器12に当接する。この代替の実施形態では、弁14は、軸方向に前方に移動せず、また開口前端12aを通して容器12を確実に出ないように容器12内に軸方向に保持されなければならない。たとえば、
図3に示すように、弁14は、永久シール16が弁14と容器12との間でもはやシールしなくなるように容器12に対して軸方向に前方に移動することを防止され得る。
図3に示す実施形態では、容器の内部表面から半径方向に内側に突出するリブ13は、容器12に対する弁14の前方軸方向移動を阻止する。1つまたは複数のリブ13あるいは代替の形成物は、容器12に対する弁14の前方軸方向移動を防止するために使用され得る。リブ13または代替の形成物は、容器12の内周の周りに部分的にまたは全体的に延在することができる。さらなる実施形態では、さらなるリブまたは代替の形成物が、永久シール16の後方で軸方向に配設されて、容器12に対する弁14の軸方向後方移動を阻止することができる。
【0021】
永久シール16の後方で軸方向に、弁14は、弾性シール22を有し、弾性シール22は、弁14から半径方向に延在し、弁14の全周の周りに延在する一対の軸方向に整列した柔軟要素22a、22bで形成される。以下でより詳細に述べるように、弾性シール22は、シール構成(
図1Aに示す)と開口構成(
図1Bに示す)との間で移動可能であり、シール構成では、弾性シール22は、容器12に対して弁14を流体的にシールし、開口構成では、弾性シール22は、容器12に対して弁14を流体的にシールしない。
【0022】
弁14とプランジャ要素32との間では、流体薬剤などの流体を収容し得る第1の容積24が画定される。
【0023】
チャネル18は、弁14を貫通して通り、容器12の外の大気に放出する第1の開口20a、および、弾性シール22によって第1の容積24からそれぞれ選択的にシールされる2つの第2の開口20bを有する。
図1A〜1Cに示す実施形態では、チャネル18は、第1の軸方向チャネル部18aおよび第1の軸方向チャネル部18aに実質的に垂直に配列される第2のチャネル部18bを有する。第1の開口20aは第1の軸方向チャネル部18aに連結され、2つの第2の開口20bは第2のチャネル部18bに連結される。
図1A〜1Cに示す特定の実施形態では、チャネル18は断面がT状である。
【0024】
弾性シール22がシール構成にあるとき、第1の容積24は、弁14によって容器内に流体的にシールされる。逆に、弾性シール22が開口構成にあるとき、第1の容積24は、チャネル18によって大気と流体連通状態にある。そのため、弾性シール22がシール構成と開口構成との間で移動可能であるため、全体として弁14もまたシール構成と開口構成との間で移動可能である。その理由は、弁14が、弾性シール22の構成に応じてチャネル18によって大気に対して第1の容積24を、選択的に、流体的に隔離し流体的に接続するからである。
【0025】
弾性シール22は、弾性シール22に当たる力が所定の閾値を超えると、シール構成から開口構成に移動する。こうした力は、弾性シール22に作用する流体の流体圧力が所定の閾値を超えると起こることになる。たとえば、第1の容積が流体(流体薬剤など)で充填された場合、弾性シール22は、流体の圧力が所定の閾値を超えると、シール構成から開口構成に移動することになる。圧力が所定の閾値を超えると、弾性シール22の柔軟要素22a、22bは、撓むかまたは偏向して、容器12から離れるように移動し、流路を開口し、流体が弾性シール22をバイパスすることを可能にする。代替のコンポーネントは、柔軟要素22a、22bの代わりに、所定の力が加わると弁14と容器12との間の流路を開口するために変形する、偏向する、撓む、またはその他の方法で移動する弾性シール22を形成することができる。
図1Bに示す実施形態では、柔軟要素22a、22bは、第1の容積内の流体の圧力が所定の圧力閾値を超えていることに起因することが予想されるように、前方向に撓むか偏向しているのが示される。
【0026】
シール構成と開口構成の両方において、永久シール16は、所定の場所に留まり、弾性シール22の前方で軸方向に弁14と容器12との間にシールを維持する。そのため、流体接続は、弾性シール22が開口構成にあるときに第1の容積24と大気との間にのみ形成される。さらに弾性シール22が開口構成にあるとき、流体は、チャネル18を通して永久シール16をバイパスするために、いくつかの軸に沿って流れなければならない。したがって、この配置構成は、真直ぐのチャネルと対照的に第1の容積24と大気との間に迷路経路を提供する。迷路配置構成の利益は、弾性シール22が、短い期間の間、意図せずに開口構成に移動する場合、第1の容積から大気まで流体が流れる可能性が実質的に減少することである。弁14と容器12との間で作用する弾性シール22を有する1つの利点は、これが、(特に、容器12の内部表面がシリコン処理されるとき(それはしばしば行われる))低摩擦配置構成を提供し、所望されるときの開口において弾性シール22をより信頼性の高いものにする。その理由は、摩擦が、所定の圧力閾値についての影響が小さいからである。
【0027】
図1Aは、作動前の弁付き容器組立体10を示す。第1の容積24は流体を収容し、弾性シール22はそのシール構成にある。容器12から流体を分注するようにデバイスを作動させるために、ユーザは、軸方向前方力をプランジャ要素32に加えて、流体の圧力を所定の閾値を超えるように増加させる。弁14は、容器12内で軸方向に固定されるため、軸方向に静止したままであり、流体が圧縮されない性質のせいで、プランジャ要素32に加えられる力によって作用される。したがって、弾性シール22は、所定の閾値より大きい流体によって作用され、弾性シールは、シール構成から開口構成に移動する。
【0028】
開口構成にあるとき、固定された弁14に対するプランジャ要素32のさらなる軸方向前方移動は、
図1Bの矢印50で示すように、流体を、第1の容積からチャネル18の第1の開口20aを通して流出させる。
【0029】
固定された弁14に対するプランジャ要素32の継続した軸方向前方移動は、第1の容積24内の流体の全てを、チャネル18を通して排出させ、第1の容積は、
図1Cに示すように、実質的にゼロに減少する。この時点で、分注動作が終了する。
【0030】
プランジャ要素32は、容器12の開口後端12bを通してアクセスされ、またさらに、容器12内でのその軸方向移動を可能にするためにプランジャロッドまたは同様なものを含むことができる。
【0031】
本発明の代替の実施形態は
図2Aおよび
図2Bに示され、弁付き容器組立体10は代替の弁14’を備える。代替の弁14’を除いて、弁付き容器組立体10は、
図1A〜1Cに関して上述した組立体とそれ以外は同一である。実際には、
図3に関連して上述されるリブまたは代替の形成物もまた、
図2Aおよび
図2Bに関して述べた実施形態に関して使用され得る。代替の弁14’は、
図1A〜1Cに関して上述したシールと同一である永久シール16を有し、弾性シール22を備える。
図2Aおよび
図2Bに示す弾性シール22は、一対の柔軟要素22a’、22b’で形成され、それぞれが、弁14’から半径方向に延在し、互いに軸方向に整列した状態で配列される。しかし、
図1A〜1Cの弾性シール22と違って、
図2Aおよび
図2Bの弾性シール22'は、弁14’の周りに全体的に円周方向に延在するのではなく、弾性シール22とそれ以外は同一である。代わりに、弾性シール22'は、弁14’の円周の周りに部分的に延在し、弁14’から半径方向に延在する一対のフランジ28a、28bで形成される第2の永久シール28は、弁14'の円周の残りの周りに延在する。第2の永久シール28は、それが延在する円周の範囲にわたって弁14'と容器12との間の永久シールを維持する。
【0032】
弁14'は、チャネル18を有し、チャネル18は、永久シール16をバイパスし、第1の軸方向チャネル部18aおよび第1の軸方向チャネル部18aに実質的に垂直に配列される第2のチャネル部18bで形成される。第1の開口20aは第1の軸方向チャネル部18aに連結され、単一の第2の開口20bは第2のチャネル部18bに連結される。
図2Aおよび
図2Bのチャネル18は、断面がT状である
図1A〜1Cのチャネル18と対照的に、断面がL状である。しかし、いずれかのチャネル配置構成がいずれかの実施形態で使用され得る。代替的に、永久シール16の内側で半径方向にある内側半径方向位置によって外側半径方向位置から永久シール16をバイパスする他のチャネル配置構成が使用され得る。
【0033】
好ましい実施形態では、弁14、14'は、容器12との液密シールを達成することができる変形可能エラストマー材料から作られる。
【0034】
弾性シール22’および第2の永久シール28は、弾性シール22’がシール構成(
図2Aに示す)にあるときに、弾性シール22’と第2の永久シール28の組合せが、第1の容積24からチャネル18の第2の開口20bを流体的に隔離し、したがって、大気から第1の容積24を流体的に隔離するように、互いに対して配列される。開口構成(
図2Bに示す)では、弾性シール22’は、永久シール16の軸方向位置と第2の永久シール28の軸方向位置との間で、弁14’を円周方向に囲む環状部に第1の容積24を流体接続する流路を可能にする。
【0035】
代替の実施形態では、軸方向リブまたは同様の形成物(図示せず)が、それぞれの円周方向に第2の開口20bの両側の弁14’上に配列されて、第2の開口20bの周りに円周方向境界を形成し、容器12をシールする軸方向チャネルを形成することができる。この実施形態では、軸方向チャネルは永久シール16によって前方端で境界付けられることになり軸方向チャネルは、弾性シール22’ によって後方端で境界付けられることになる。第2の開口20bが、境界付けられた軸方向チャネル内に配設されるため、第2の永久シール28は、必要でないことになる。しかし、第1の容積24から大気への意図せずに流体が流れるリスクを最小にするために第2の永久シール28が依然として存在することが好ましい。
【0036】
本発明の弁付き容器組立体10は、上述した方法のうちの1つの方法によって容器12内の所定の場所に弁14を固定することによって形成され得る。流体が、その後、容器12内に導入され、プランジャ要素32が、プランジャ要素32と弁14との間の第1の容積24内に流体を収容するために挿入され得る。
【0037】
弁の第1の開口20aは、そこから出る流体を分配するためのスプレーヘッド、ノズル、または他の適したアプリケータを備えることができる。
【0038】
さらなる弁14、14'は、第1の弁14、14'の後方で軸方向に容器内に含まれて、2つ以上の物質の分離および容器からの2つ以上の物質の後続の圧出(連続的であるとすることができる)を可能にすることができる。
【0039】
本発明の弁付き容器組立体10では、第1の容積24内に収容される物質は、制限された数の用具、たとえば、弁14および容器12と接触状態にあるだけである。弁付き容器組立体10の用具と第1の容積24内に収容される物質との間の接触が制限されることによって、抽出可能物および溶出可能物を決定することがより容易になる。
【0040】
本発明の容器組立体10は、容易でかつ費用効果的な製造を提供し、必ずしも専門的な充填または組立て装置を必要としない。
【0041】
本明細書の説明および特許請求の範囲全体を通して、語「備える(comprise)」および「含む(contain)」ならびにそれらの変形は、「含むが、それに限定されない(including but not limited to)」を意味し、それらは、他の成分、添加物、コンポーネント、整数、またはステップを排除することを意図されない(また、排除しない)。本明細書の説明および特許請求の範囲全体を通して、単数は、文脈が別途要求しない限り、複数を包含する。特に、不定冠詞が使用される場合、本明細書は、文脈が別途要求しない限り、複数ならびに単数を企図するものとして理解される。
【0042】
本発明の特定の態様、実施形態、または例に関連して述べられる特徴、整数、特性、化合物、化学成分またはグループは、本明細書で述べられる任意の他の態様、実施形態、または例に、それらと矛盾しない限り、適用可能であると理解される。本明細書(任意の添付特許請求の範囲、要約、および図面を含む)で開示される特徴の全ておよび/またはそのように開示される任意の方法またはプロセスのステップの全ては、こうした特徴および/またはステップの少なくとも一部が互いに排他的である組合せを除いて、任意の組合せで組み合わされ得る。本発明は、任意の先の実施形態の詳細に制限されない。本発明は、本明細書(任意の添付特許請求の範囲、要約、および図面を含む)で開示される特徴の任意の新規な特徴または特徴の任意の新規な組合せ、あるいは、そのように開示される任意の方法またはプロセスのステップの任意の新規なステップまたはステップの任意の新規な組合せに拡張される。
【0043】
読者の注意は、本出願に関連して本明細書と同時にまたは本明細書の前に出願され、本明細書に関して公開された全ての論文および文書に向けられ、全てのこうした論文および文書の内容は、参照により本明細書に組込まれる。