特許第6182164号(P6182164)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6182164ブロックコポリマーの金属除去のための方法および材料
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  • 特許6182164-ブロックコポリマーの金属除去のための方法および材料 図000005
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6182164
(24)【登録日】2017年7月28日
(45)【発行日】2017年8月16日
(54)【発明の名称】ブロックコポリマーの金属除去のための方法および材料
(51)【国際特許分類】
   C08J 3/00 20060101AFI20170807BHJP
   C08F 6/08 20060101ALI20170807BHJP
【FI】
   C08J3/00CET
   C08J3/00CEY
   C08F6/08
【請求項の数】13
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-560302(P2014-560302)
(86)(22)【出願日】2013年2月22日
(65)【公表番号】特表2015-512980(P2015-512980A)
(43)【公表日】2015年4月30日
(86)【国際出願番号】EP2013053548
(87)【国際公開番号】WO2013131762
(87)【国際公開日】20130912
【審査請求日】2015年12月9日
(31)【優先権主張番号】13/416,669
(32)【優先日】2012年3月9日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511293803
【氏名又は名称】アーゼッド・エレクトロニック・マテリアルズ(ルクセンブルグ)ソシエテ・ア・レスポンサビリテ・リミテ
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100139527
【弁理士】
【氏名又は名称】上西 克礼
(74)【代理人】
【識別番号】100164781
【弁理士】
【氏名又は名称】虎山 一郎
(72)【発明者】
【氏名】イン・ジェン
(72)【発明者】
【氏名】ウ・ヘンペン
(72)【発明者】
【氏名】ホン・ソンウン
(72)【発明者】
【氏名】ナイサー・マーク
(72)【発明者】
【氏名】ツァオ・イ
【審査官】 大村 博一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−211048(JP,A)
【文献】 特開昭51−026934(JP,A)
【文献】 特開平03−210304(JP,A)
【文献】 特開2008−308565(JP,A)
【文献】 特表2011−523504(JP,A)
【文献】 特表平10−504599(JP,A)
【文献】 ダイヤイオン セパビーズ MCI GEL,日本,三菱化学株式会社,2007年10月24日,[平成28年11月24日検索],インターネット,,URL,http://www.diaion.com/products/index.html
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 3/00−3/28;99/00
C08C 19/00−19/44
C08F 6/00−246/00;301/00
B01J 39/00−49/02
G03C 3/00
G03F 7/004−7/04;7/06
G03F 7/075−7/115;7/16−7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.非水性溶媒中のブロックコポリマーを含む溶液を提供し:
b.溶液にマクロ網状の塩基性イオン交換樹脂を添加しスラリーを形成し;そして、
c.スラリーを濾過しイオン交換樹脂を除去すること
を含み、
ブロックコポリマーが、ポリ(スチレン−b−メチル(メタ)アクリレート)、ポリ(スチレン−b−ビニルピリジン)、ポリ(スチレン−b−ポリエチレングリコール)、ポリ(スチレン−b−ジメチルシロキサン)、ポリ(スチレン−b−エチルメチルシロキサン)、ポリ(スチレン−b−ラクチド)、ポリ(スチレン−b−2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート)、ポリ(スチレン−b−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート)、ポリ(ジメチルシロキサン−b−n−ブチル(メタ)アクリレート)、ポリ(ジメチルシロキサン−b−t−ブチル(メタ)アクリレート)、ポリ(ジメチルシロキサン−b−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート)、ポリ(ジメチルシロキサン−b−メチルメタクリレート−co−t−ブチルメチルアクリレート)、ポリ(ジメチルシロキサン−b−1−エトキシエチル(メタ)アクリレート)、ポリ(ジメチルシロキサン−b−ε−カプロラクトン)、ポリ(ジメチルシロキサン−b−ラクチド)、またはポリ(プロピレンオキサイド−b−スチレン−co−4−ビニルピリジン)から選択される、ブロックコポリマー溶液の処理方法。
【請求項2】
ロックコポリマー溶液の処理の結果として、アルミニウム、カルシウム、クロム、銅、鉄、マグネシウム、マンガン、ニッケル、カリウム、ナトリウム、亜鉛、スズ、カドニウム、コバルト、ゲルマニウム、鉛、リチウム、銀、またはチタンから選択される一つか二つ以上の金属イオン不純物を、当初の処理前の値よりも少なくとも5%減少させる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
溶液が、ポリマーを0.1%〜20%w/wの濃度で含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
スルホン酸陽イオン交換樹脂を添加しスラリーを形成することをさらに含み、ここでスルホン酸陽イオン交換樹脂が、ゲルタイプ、マクロ網状、または多孔性から選択される形態を有し;そして、ここでブロックコポリマー溶液の処理の結果として、アルミニウム、カルシウム、クロム、銅、鉄、マグネシウム、マンガン、ニッケル、カリウム、ナトリウム、亜鉛、スズ、カドニウム、コバルト、ゲルマニウム、鉛、リチウム、銀、またはチタンから選択される一つか二つ以上の金属イオン不純物を、当初の処理前の値よりも少なくとも5%減少させる、請求項1〜3のいずれか一つに記載の方法。
【請求項5】
ブロックコポリマー溶液の処理の結果として、露光ラティチュードパーセントが少なくとも2パーセント増加する、請求項1〜4のいずれか一つに記載の方法。
【請求項6】
前記塩基性イオン交換樹脂および/または前記スルホン酸陽イオン交換樹脂を、溶液に接触させる前に、有機溶媒と接触させることで脱水する、請求項1〜5のいずれか一つに記載の方法。
【請求項7】
a.非水性溶媒中のブロックコポリマーを含む溶液を提供し:
b.溶液をマクロ網状の塩基性イオン交換樹脂により処理すること
を含み、
ブロックコポリマーが、ポリ(スチレン−b−メチル(メタ)アクリレート)、ポリ(スチレン−b−ビニルピリジン)、ポリ(スチレン−b−ポリエチレングリコール)、ポリ(スチレン−b−ジメチルシロキサン)、ポリ(スチレン−b−エチルメチルシロキサン)、ポリ(スチレン−b−ラクチド)、ポリ(スチレン−b−2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート)、ポリ(スチレン−b−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート)、ポリ(ジメチルシロキサン−b−n−ブチル(メタ)アクリレート)、ポリ(ジメチルシロキサン−b−t−ブチル(メタ)アクリレート)、ポリ(ジメチルシロキサン−b−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート)、ポリ(ジメチルシロキサン−b−メチルメタクリレート−co−t−ブチルメチルアクリレート)、ポリ(ジメチルシロキサン−b−1−エトキシエチル(メタ)アクリレート)、ポリ(ジメチルシロキサン−b−ε−カプロラクトン)、ポリ(ジメチルシロキサン−b−ラクチド)、またはポリ(プロピレンオキサイド−b−スチレン−co−4−ビニルピリジン)から選択される、ブロックコポリマー溶液の処理方法。
【請求項8】
溶液を処理することが、溶液をマクロ網状の前記塩基性イオン交換樹脂を含む床カラムに通過させることを含む、請求項に記載の方法。
【請求項9】
溶液を処理することが、溶液をスルホン酸陽イオン交換樹脂および遊離塩基3級アミンイオン交換樹脂を含む混合床カラムに通過させることを含み、溶液並びに前記強酸性陽イオン交換樹脂および前記塩基性イオン交換樹脂を含む混合物を含むスラリーを形成し;そして、ここで、当該方法が、前記スラリーを濾過することをさらに含む、請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
記スルホン酸陽イオン交換樹脂が、ゲルタイプ、マクロ網状、または多孔性から選択される形態を有し;そして、ここでブロックコポリマー溶液の処理の結果として、アルミニウム、カルシウム、クロム、銅、鉄、マグネシウム、マンガン、ニッケル、カリウム、ナトリウム、亜鉛、スズ、カドニウム、コバルト、ゲルマニウム、鉛、リチウム、銀、またはチタンから選択される一つか二つ以上の金属イオン不純物を、当初の処理前の値よりも少なくとも5%減少させる、請求項7〜9のいずれか一つに記載の方法。
【請求項11】
ブロックコポリマー溶液の処理の結果として、露光ラティチュードパーセントが少なくとも2パーセント増加する、請求項7〜10のいずれか一つに記載の方法。
【請求項12】
a.基材を請求項1〜11のいずれか一つに記載の方法で得られた処理されたポリマーにより被覆し:
b.基材を加熱し誘導自己組織化ポリマー層を形成し;そして、
c.ブロックコポリマーの一つのブロックを除去し、それによりパターンを形成する、
ステップを含む誘導自己組織化パターンを形成する方法。
【請求項13】
ウエットエッチングまたはドライエッチングにより一つのブロックが除去される、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本特許出願は、電子材料および方法の分野に属する。より具体的には、ここで開示され請求されるのはブロックコポリマーから汚染を除去する方法である。
【背景技術】
【0002】
ナノスケールの機械装置およびシステム、電子装置およびシステム、化学装置およびシステム、ならびに、生物装置およびシステムの開発が増加するにつれて、ナノスケールの装置および成分を組み立てるために、新しい方法と材料が必要である。これらの構造のスケールがナノメートルの長さスケールになるにつれ特に顕著になり、その範囲は2〜3ナノメートル〜数10ナノメートルの範囲に広がっている。正確かつ広い範囲にわたり高い再現性と加工の自由度を有するナノスケールパターンの複製を可能とする材料と方法への特別な需要が存在する。ブロックコポリマーは2〜3ナノメートル〜数10ナノメートルの範囲の明白な区画に自己組織化するので、ブロックコポリマー材料はナノファブリケーションに有用である。
【0003】
しかしながら、ブロックコポリマーを使用した誘導自己組織化の現存する方法は制限がある。例えば、特にポリマーブロックの天然長さスケールと導かれる化学的またはグラフォエピタキシーの性質の間に僅かなミスマッチがある場合、欠損形成が問題として残っている。
【0004】
さらに、ブロックコポリマー中のブロックは、狭いモル質量分布を有することが通常好まれる。そのような分布は、アニオン重合 (R. P.Quirk et al. in “Thermoplastic Elastomers,” Hansen, Munich, Germany、 pp.74− 78, (1996)を参照)または+リビングフリーラジカル重合法、例えば、分子移動ラジカル重合(ATRP)(例えば、T. E. Patten et al., Adv. Mater. Vol.10, p. 901, 1998を参照)、または、TEMPOを使用した安定フリーラジカル重合(SFRP)(例えば、N. A. Listigovers et al. Macromolecules Vol. 29, p. 8992, 1996を参照)または同様の窒素酸化物ベースの開始剤を使用することで達成することができる。しかしながら、これらの重合方法は、例えば、アルミニウム、カルシウム、クロム、銅、鉄、マグネシウム、マンガン、ニッケル、カリウム、ナトリウム、亜鉛、スズ、カドニウム、コバルト、ゲルマニウム、鉛、リチウム、銀、またはチタンなどの金属イオン不純物を様々なレベルで含むポリマーを製造しがちである。このような不純物は、半導体製造において望ましくないといえる。
【0005】
さらに、いかなる工業的プロセスにおいても、加工変数の制御の紺安政の影響を最小限に抑えられるように、可能な限り加工における自由度を確保することが望ましい。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】R. P.Quirk et al. in “Thermoplastic Elastomers,” Hansen, Munich, Germany,pp.74− 78, (1996)
【非特許文献2】T. E. Patten et al., Adv. Mater. Vol.10, p. 901, 1998
【非特許文献3】N. A. Listigovers et al. Macromolecules Vol. 29, p. 8992, 1996
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、低い欠損形成、低い金属イオン不純物および改善された加工自由度(ラティチュード、latitude)を有する誘導自己組織化を介したパターン製造のための方法および材料が必要とされている。これらの特徴の一つまたは全てを、ここに開示され請求されている方法および材料を使用することで得ることができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、少なくとも一つのイオン交換樹脂を使用したブロックコポリマー溶液の精製に関する。本発明は、方法に関し、ここで、当該方法は、非水性溶媒中のブロックコポリマーを含む溶液を提供し:当該溶液を塩基性イオン交換樹脂および/または強酸性型−イオン交換樹脂と弱塩基性型−イオン交換樹脂の混合物で処理することを含む。溶液中のポリマーは、0.1%〜20%w/wの濃度とすることができる。さらに、ブロックコポリマーの自己誘導組織化からパターン形成するための方法に関し、ブロックコポリマーは本発明の新規の精製方法を使用する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、加工の自由度を判断するために使用する「基準」を示す。ここで、図1は、誘導自己組織化が基準に合致した画像を製造できたかどうかを判断するために使用する「基準」を示す。1においては、ラインが直線、平行であり、基準に合致した鋭敏さを有すると考えられる。2においては、ラインは一般に平行であるが、持続性が失われていると考えられる。3においては、誘導機構がわずかしか効果がないか若しくは効果がないと考えられる;すなわち既知の非誘導の「指紋」パターンを生じている。
【発明を実施するための形態】
【0010】
ここで使用される接続詞「および(ならびに)」は包括することを意図し、そして、「または(もしくは)」は特に示されない限り排他的であることを意図しない。例えば、「または、それに代わって」という語句は、排他的であることを意図する。ここで使用される語「例(例えば)」は特に示されない限りは例を示していると理解される。ここで使用される金属イオン不純物は既知の様々な酸化状態を示すと理解される。例えば、コバルト元素は、そのままの元素の状態もしくは化合物として、−3〜+4の範囲の酸化状態を示すことができる。既知の範囲の不純物元素の酸化状態は、金属イオン不純物として理解される。
【0011】
イオン交換による非水性ブロックコポリマー溶液の精製の我々の研究の結果、いくつかの予測外の結果が得られた:(1)塩基性(アルカリ性)イオン交換樹脂は一価カチオンだけでなく二価および三価のカチオンも良好に除去することができ;(2)強酸性型−イオン交換樹脂および/または塩基性型イオン交換樹脂を使用したブロックコポリマーの非水性溶液の処理によって誘導自己組織化工程の加工の自由度が改善され;そして(3)非水性ブロックコポリマー溶液と強酸性型−イオン交換樹脂および塩基性型イオン交換樹脂の両方一緒による処理により、加工の自由度の改善において付加的な効果がある。誘導自己組織工程の加工の自由度は、少なくとも2%、または、少なくとも5%、または、少なくとも10%、または、少なくとも15%、または、少なくとも20%、増加した。金属イオンの少なくとも一つは、少なくとも5%減少した。特に、リチウムが減少した。
【0012】
したがって、ここで開示され請求されるのは非水性ブロックコポリマー溶液から金属イオンを除去する方法であって、ここで当該方法は、非水性溶媒中のブロックコポリマーを含む溶液を提供し:塩基性もしくはアルカリ性イオン交換樹脂を添加しスラリーを形成し、スラリーを濾過しイオン交換樹脂を除去することを含む。イオン交換樹脂は、弱塩基性もしくはアルカリ性イオン交換樹脂とすることができ、例えば、遊離塩基3級アミン樹脂である。ブロックコポリマー溶液の濃度は、約0.1%〜20%w/wの範囲とすることができる。
【0013】
さらに、ここで開示され請求されるのは方法であり、ここで当該方法は、非水性溶媒中のブロックコポリマーを含む溶液を提供し:塩基性イオン交換樹脂イオン交換樹脂および/または強酸性陽イオン交換樹脂により当該溶液を処理することを含む。イオン交換樹脂は、弱塩基性もしくはアルカリ性イオン交換樹脂とすることができ、例えば、遊離塩基3級アミン樹脂である。溶液中のポリマーは、0.1%〜20%w/wの濃度とすることができる。
【0014】
さらに、ブロックコポリマーの自己誘導組織化からパターン形成するための方法に関し、ブロックコポリマーは金属を減少させるための本発明の新規の精製方法を使用し精製される。
【0015】
上記の方法においては、他のイオン交換樹脂も含むことができ、例えば、一つまたはそれ以上のスルホン酸陽イオン交換樹脂を添加し、混合スラリーを形成する。当該スラリーを標準的な実験ローラーまたは他のローラーで攪拌すればよい。イオン交換ビーズへ破裂または物理的ダメージを避け、樹脂ビーズ内部に存在するであろう微粒子物質および不純物の導入を回避できる点で有利であろう。
【0016】
使用の前のイオン交換樹脂を脱水することが有利である。例えば、カチオン性強酸性イオン交換樹脂は一つか二つ以上の溶媒と接触させてイオン交換上の水を置換することができる。水混和性の溶媒、例えば、メタノール、エタノール、(イソ)プロパノール、(イソ)ブタノール、プロピレングリコール、メチルエーテルなどを、吸収された水を速やかに置換するのに使用することができる。それにかかわらず、多くのタイプのイオン交換樹脂上で、吸収された水の置換にブロックコポリマーを溶かすために選択した溶液を使用することもできる。溶媒の選択は一つにはイオン交換樹脂が溶媒と反応するかどうかによることができる。例えば、スルホン酸型−イオン交換樹脂は、乳酸エチルを処理するのに使用された場合、乳酸の形成を触媒することが知られている。
【0017】
ブロックコポリマーを溶かすための溶媒および希釈液としては、ケトン、エステル、エーテルおよびアルコール、例えば、2−ヘプタノン、プロピレングリコールメチル酢酸エーテル、乳酸エチル、プロピレングリコールメチルエーテル、アニソール、メチルアニソール、酢酸(イソ)アミル、エチル酢酸セロソルブ、メチル酢酸セロソルブ、酢酸エチルおよび酢酸ブチル;ブチロラクトン;シクロヘキサノン、ジエチルオキシラートおよびジエチルマロネート、二硝酸エチレングリコールおよび二酢酸プロピレングリコール、エチル2−ヒドロキシイソブチレートおよびエチル3−ヒドロキシプロピオネートとすることができる。溶媒は単独で、もしくは互いに混合して使用することができる、さらに非溶媒もしくは他の構成要素、たとえば界面活性剤およびレベリング剤などとも混合することができる。
【0018】
工程においてスラリーを使用する一方で、ブロックコポリマーを生成するために、連続床プロセスまたは混合床カラムプロセスを簡便に使用することもできる。連続床プロセスのためには、最初にカラムはスルホン酸ベースのイオン交換ビーズを充填すればよく、その後、塩基性イオン交換ビーズを充填すればよく、またその逆でもよい。混合を避けるために、二つの床の間に中性物質を挿入すればよい。
【0019】
さらに、混合床カラムを使用することができ;その際、カラムに充填する前に、スルホン酸ベースのイオン交換ビーズと塩基性イオン交換ビーズを共にブレンドする。スルホン酸サイトにおいて金属イオンを除去するためにこのようなシステムを使用することができ、その後、迅速に塩基性カラム上の酸性剤材料を除去し、それゆえ、溶媒および溶質のダメージの可能性を減少する。
【0020】
これに制限されることはないが、安定塩基性イオン交換樹脂は、水もしくは他の溶媒で溶解もしくは膨張しないように、一般的に、架橋された材料である。材料の一つのタイプとしては、置換されたスチレンおよびジビニルベンゼンのポリマーをベースとする。このタイプのスルホン酸型イオン交換材料および塩基性イオン交換材料の両方は既知であり、そして多くがDow Chemical CompanyまたはDow Corning Companyから商業的に利用可能である、このようなイオン交換樹脂は、ゲルタイプ、マクロ網状の形態であってよく、または、様々な多孔性を有することもできる。
【0021】
例えば、商業的に強塩基性イオン交換樹脂としては、Amberjet 4200(ゲルタイプ)、DOWEX 21K XLT(ゲルタイプ)およびLewatit Monoplus M500(ゲルタイプ)を挙げることができる。
【0022】
弱塩基性イオン交換樹脂は3級アミンだけでなく、必要に応じて1級および2級アミンを含むことができる。これに制限されることはないが、キレート能を必要とする場合、エチレンジアミンをベースとすることもできる。例えば、弱塩基性イオン交換樹脂としては、Amberlite IRA−67(ゲルタイプ)、Amberlite IRA−96(マクロ網状)、Amberlite IRA−743(マクロ網状)、Amberlyst A21、(マクロ網状)、Duolite A7(多孔性が高い)、DOWEX M43(マクロ多孔性)、Lewatit MP−62(マクロ多孔性)、およびLewatit MP−64(マクロ多孔性)を挙げることができる。
【0023】
マクロ多孔性タイプの商業的に利用可能な今日スルホン酸イオン交換樹脂としては、例えば、Lewatit SCP 118、Lewatit SCP 108、Amberlyst A15およびAmberlyst A35を挙げることができる。
【0024】
前述のAmberlyte、Amberlyst、Amberjet Duolite、およびDOWEXは、Dow Chemical Companyの商標である。Lewatitは、Lanxess Companyの商標である。
【0025】
特に誘導自己組織化への使用のためのブロックコポリマーは、誘導自己組織化中に領域(ドメイン)を形成できるブロックコポリマーであればいずれでもよい。ミクロ領域は、自己組織化しやすい同じタイプのブロックにより形成される。典型的には、この目的で使用されるブロックコポリマーは、モノマー由来の繰り返し単位が、組成的、構造的、またはその両方で異なっているブロック中に配置されており、相分離し、領域を形成することができるポリマーである。ブロックが一つのブロックを分離するために使用できる異なる特性を有し、一方では、他のブロックが表面上で無傷のまま保持され、したがって表面上でパターンが形成される。したがって、ブロックは、プラズマエッチング、溶液エッチング、水性アルカリ溶液等を使用した現像液によるエッチングなどにより、選択的に除去されることができる。有機モノマーをベースとするブロックコポリマーにおいては、一つのブロックはポリジエンを含むポリオレフィンモノマー、ポリ(アルキレンオキシド)を含むポリエーテル、例えば、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(プロピレンオキシド)、ポリ(ブチレンオキシド)またはそれらの混合物からできればよく、かつ他のブロックは、ポリ((メタ)アクリレート)、ポリスチレン、ポリエステル、ポリオルガノシロキサン、ポリオルガノゲルマン、および/またはそれらの混合物を含む異なるモノマーからできればよい。ポリマー鎖中のこれらのブロックは、モノマー由来の一つか二つ以上の繰り返し単位を各々含むことができる。必要とされるパターンのタイプおよび使用される方法によっては、異なるタイプのブロックコポリマーを使用することができる。例えば、それらは、ジブロックコポリマー、トリブロックコポリマー、ターポリマー、またはマルチブロックコポリマーから成ることができる。これらのブロックコポリマーにおブロックは、それら自身、ホモポリマーまたはコポリマーから構成されることができる。異なるタイプのブロックコポリマーも、また、自己組織化に使用することができ、例えば、例えば、樹枝状ブロックコポリマー、超分岐ブロックコポリマー、グラフトブロックコポリマー、有機ジブロックコポリマー、有機マルチブロックコポリマー、線状ブロックコポリマー、星形ブロックコポリマー、両親媒性無機ブロックコポリマー、両親媒性有機ブロックコポリマー、または、少なくとも異なるタイプのブロックコポリマーから成る混合物である。
【0026】
有機ブロックコポリマーのブロックは、例えば、C2−30オレフィン、C1−30アルコール由来の(メタ)アクリレートモノマー、Si、Ge、Ti、Fe、Alをベースとしたものを含む無機含有モノマーなどのモノマー由来の繰り返し単位を含むことができる。C2−30オレフィンベースのモノマーであれば、他の一つのオレフィン性モノマーと組み合わせて、高い耐エッチング性などのブロックを作ることができる。このタイプのオレフィン性モノマーの具体例としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1,3−ブタジエン、イソプレン、ジヒドロピラン、ノルボルネン、無水マレイン酸、スチレン、4−ヒドロキシスチレン、4−アセトキシスチレン、4−メチルスチレン、α−メチルスチレンまたは、それらの混合物が挙げられる。高エッチング性単位の例としては、(メタ)アクリレートモノマー、例えば、(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、イソペンチル(メタ)アクリレート、ネオペンチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、または、それらの混合物由来のものを挙げることができる。
【0027】
有機ブロックコポリマーのブロックは、例えば、C2−30オレフィン、C1−30アルコール由来の(メタ)アクリレートモノマー、Si、Ge、Ti、Fe、Alをベースとしたものを含む無機含有モノマーなどのモノマー由来の繰り返し単位を含むことができる。C2−30オレフィンベースのモノマーであれば、他の一つのオレフィン性モノマーと組み合わせて、高い耐エッチング性などのブロックを作ることができる。このタイプのオレフィン性モノマーの具体例としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1,3−ブタジエン、イソプレン、ジヒドロピラン、ノルボルネン、無水マレイン酸、スチレン、4−ヒドロキシスチレン、4−アセトキシスチレン、4−メチルスチレン、α−メチルスチレンまたは、それらの混合物が挙げられる。高エッチング性単位の例としては、(メタ)アクリレートモノマー、例えば、(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、イソペンチル(メタ)アクリレート、ネオペンチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、または、それらの混合物由来のものを挙げることができる。
【0028】
これに制限されることはないが、ブロックコポリマーの例としては、ポリ(スチレン−b−メチル(メタ)アクリレート)、ポリ(スチレン−b−ビニルピリジン)、ポリ(スチレン−b−ブタジエン)、ポリ(スチレン−b−イソプレン)、ポリ(スチレン−b−メチルメタクリレート)、ポリ(スチレン−b−アルケニル芳香族化合物)、ポリ(イソプレン−b−エチレンオキシド)、ポリ(スチレン−b−(エチレン−プロピレン))、ポリ(エチレンオキサイド−b−カプロラクトン)、ポリ(ブタジエン−b−エチレンオキシド)、ポリ(スチレン−b−t−ブチル(メタ)アクリレート)、ポリ(メチルメタクリレート−b−t−ブチルメタクリレート)、ポリ(エチレンオキサイド−b−プロピレンオキシド)、ポリ(スチレン−b−テトラヒドロフラン)、ポリ(スチレン−b−イソプレン−b−エチレンオキシド)、ポリ(スチレン−b−ジメチルシロキサン)、ポリ(メチルメタクリレート−b−ジメチルシロキサン)、ポリ(スチレン−b−ポリエチレングリコール)、ポリ(スチレン−b−エチルメチルシロキサン)、ポリ(スチレン−b−ラクチド)、ポリ(スチレン−b−2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート)、ポリ(スチレン−b−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート)、ポリ(ジメチルシロキサン−b−n−ブチル(メタ)アクリレート)、ポリ(ジメチルシロキサン−b−t−ブチル(メタ)アクリレート)、ポリ(ジメチルシロキサン−b−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート)、ポリ(ジメチルシロキサン−b−メチルメタクリレート−co−t−ブチルメチルアクリレート)、ポリ(ジメチルシロキサン−b−1−エトキシエチル(メタ)アクリレート)、ポリ(ジメチルシロキサン−b−ε−カプロラクトン)、ポリ(ジメチルシロキサン−b−ラクチド)、およびポリ(プロピレンオキサイド−b−スチレン−co−4−ビニルピリジン)または、上記ブロックコポリマーの少なくとも一つを含む組合せ物を挙げることができる。
【0029】
当該新規の方法により処理されるブロックコポリマーは、さらに、例えば、引例として組み込まれる2011年9月21日の米国特許出願第13/243,640号、米国特許第7,560,141号、米国特許第7,521,094号、米国特許第2009/0179002号、米国特許第7,471,614号、米国特許第2010/0124629号、米国特許第2008/0299353号、米国特許第2009/0087653に記載されているような自己組織化プロセスのいずれか一つにおいて、さらに使用されることができる。
【0030】
ブロックコポリマー要的は基材上に被覆することができフィルムを形成し、加熱されブロックコポリマーが自己整列されることができ、特に、基材上の特性がブロックコポリマーの誘導に使用される。その後、自己整列したコポリマーは、ウエットまたはドライエッチングされ、ブロックの一つが除去され、それにより基材上にパターンが形成される。
【0031】
全ての目的のために、上記に示された書類はここで引例として完全に組みこまれる。以下の具体的な本発明の実施例によって、組成物を製造し利用するための詳しい方法を提供する。しかしながら、これらの例は、あらゆる方法において発明の範囲を制限または限定することを意図するものでなく、本発明を実行するために、もっぱら使用されるべき条件、パラメータまたは値を提供するものではない。
【実施例】
【0032】

以下の例においては、スチレン−b−メチルメタクリレートブロックコポリマー(S−MMA)は、以下のようにDorval(Montreal)、Quebec、カナダまたはAZ Electronic Materials(70,Meister Avenue,Somerville,NJ)のポリマーソース(PSI)から得られた。Amberlyst A15(A15)は、強い酸性であり、スルホン酸、マクロ網状のポリマー性イオン交換樹脂であり、Dow Chemical Companyから利用可能である。Amberlyst A21(A21)は、ビーズ形状の弱塩基性 (3級アミン) イオン交換樹脂であり、Dow Chemical Companyから利用可能である。電子グレートのプロピレングリコールメチル酢酸エーテル(PGMEA)は、AZ Electronic Materialsから利用可能である。ブロックコポリマーは、ポリスチレンおよびポリ(メチルメタクリレート)のブロック単位を含む、これらは、一般に、使用する個々のブロックの分子量を示され、そして文字「b」はブロックコポリマーであることを示す。例えば、18k−b−21k S−MMAは、Mw21,000ダルトンのメチルメタクリレート繰り返し単位のブロックと化学的に結合したMw18,000ダルトンのスチレン繰り返し単位のブロックを含むブロックコポリマーを示す。
【0033】
例1〜7:
表1および2に示されたポリマーは、2%w/wの濃度でPGMEAに溶解された。イオン交換樹脂をポリマー溶液に加え、示された割合を有する混合物を形成した。得られた混合物を実験室ローラーに置き20時間の間混合し、そして0.2μmのテフロン膜で濾過し、イオン交換ビーズを除去した。誘導結合プラズマ質量分析法(ICP−MS)を分析に使用し、その結果を表1および表2にリストした。示されるように、表1は、例1〜3で示されたイオン交換処理における示された19の金属の不純物濃度を10億分の質量部ppbで示した。示されるように、表2は、例4〜7で示されたイオン交換処理におけるリストされた19の金属の不純物濃度を10億分の質量部ppbで示した。全てのケースにおいて、未処理のサンプルの不純物レベルと比較して、イオン性不純物は十分に減少した。
【0034】
例8〜11:
一つのサンプルは例5に従い製造し、ここで、ポリマーとしてはポリ(スチレン−b−メチルメタクリレート)(21k−b−21k)であるが、ただし、イオン交換処理を行っていない。二つのサンプルは例5に従い製造したが、ただし、A21およびA15の組み組合せの処理を行う代わりに、これらの二つのサンプルは、各々、A21(20%w/w)およびA15(20%w/w)により別々の処理を受けた。一つのサンプルは例5のように製造された。
【0035】
表3のリソグラフパターンはリフトオフプロセスを使用して作成された。リフトオフプロセスは、Cheng et al.,ACS Nano 2010,4(8),4815−4823に示されている。スピン−オン−カーボン下層反射防止材料を2800rpmで200mmシリコンウエハ上にコートした。コートされたフィルムをホットプレート上で225℃で2分間ベーク処理し、厚さ120nmのフィルムが得られた。反射防止コーティングSHB−A940(信越化学)をカーボン下層の上にコートし、その後、220℃で90秒間ベーク処理した。得られたスタックは、ARX3538(JSR Micro、JSRより、日本)をコートし、110℃で1分間ベーク処理するフォトレジスト処理に使用した。その後、得られた70nmフィルムを193nmスキャナー、Nikon 306D上で、1mJ/cm刻みで露光範囲46〜64mJ/cmで110℃1分の露光後ベーク処理で露光し、AZ(登録商標)300MIF(AZ(登録商標)Electronic Materialより利用可能)現像液により30秒間現像した。その後、パターン化されたウエハは115℃、1分間のベークでフラッド(flood)露光し、その後、加熱された温度200℃で5分間ベーク処理した。中性層製剤AZ(登録商標)NLD−089(AZ Electronic Materials)をウエハ上に3000rpmでスピンコートし、215℃で5分間ベーク処理し、厚さ10nmのフィルムを形成した。コートされたフィルムをAZ 300MIFで90秒間パドル現像し、そして、脱イオン水で30秒間洗浄した。その後、例8〜11の材料を得られたトポグラフィー上に3400rpmでスピンコートし27nmの厚さのフィルムを形成し、その後250℃、5分間アニールした。ウエハをCD SEM, Applied Materials Nano 3Dで分析した。異なるブロックの自己組織化は、名目ピッチ25nmを与えた。得られたリソグラフィーは、図1の例示されたリソグラフにより判断され、1は許容、2は部分的に許容、3は許容できないの、1〜3でランク付けした。露光のラティチュード(Exposure Latitude)は、1の値の有する全て露光により(ただし、「2」の埋め込まれた値もまたカウントした)最大エネルギー範囲を使用して計算した。したがって、たとえば、表3における例9において、上記の露光エネルギー範囲は、46〜56mJ/cmであり、中心露光エネルギーは51mJ/cmであった。露光ラティチュードパーセントは、範囲および中心露光エネルギーであり、例えば、例9は19.6%である。
【0036】
表3に見られるように、イオン交換樹脂で処理された3つのサンプルは、未処理で測定された露光ラティチュードを超えて改善された露光ラティチュードを示した(2mJ/cm/60mJ/cm)。しかしながら、組み合わされたイオン交換樹脂で処理されたサンプルは、最善の露光ラティチュードパーセント27.0%を示した。
【0037】
本発明は特定の例を参照して示し表現したが、本発明の分野における通常の知識を有する者にとって明らかな変更と修飾は、特許請求の範囲に示されて発明特定事項の思想、範囲および意図の範囲内にある。
【0038】
【表1】
【0039】
【表2】
【0040】
【表3】
図1