特許第6182167号(P6182167)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6182167部分膀胱切除前における膀胱壁の一部の置換のための、強化PGAで構成される改良吸収性パッチ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6182167
(24)【登録日】2017年7月28日
(45)【発行日】2017年8月16日
(54)【発明の名称】部分膀胱切除前における膀胱壁の一部の置換のための、強化PGAで構成される改良吸収性パッチ
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/04 20130101AFI20170807BHJP
   A61L 27/14 20060101ALI20170807BHJP
   A61L 27/58 20060101ALI20170807BHJP
【FI】
   A61F2/04
   A61L27/14
   A61L27/58
【請求項の数】11
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-561367(P2014-561367)
(86)(22)【出願日】2013年3月6日
(65)【公表番号】特表2015-511505(P2015-511505A)
(43)【公表日】2015年4月20日
(86)【国際出願番号】EP2013054540
(87)【国際公開番号】WO2013135544
(87)【国際公開日】20130919
【審査請求日】2016年2月18日
(31)【優先権主張番号】MI2012A000381
(32)【優先日】2012年3月12日
(33)【優先権主張国】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】508101395
【氏名又は名称】サンブセッティ,アントニオ
【氏名又は名称原語表記】SAMBUSSETI,Antonio
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】サンブセッティ,アントニオ
【審査官】 寺澤 忠司
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/064110(WO,A1)
【文献】 特表2009−525832(JP,A)
【文献】 特開2004−267777(JP,A)
【文献】 特表2012−501737(JP,A)
【文献】 特開平06−292716(JP,A)
【文献】 特表2009−509705(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/042553(WO,A1)
【文献】 特表2015−509799(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/00 − 2/48
A61L 27/00 −27/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
事前に細胞被覆することなく使用可能な吸収性自己支持パッチ(1)であって、部分膀胱切除およびそれに続く当該パッチ(1)の患者の体内への挿入後、当該パッチ(1)が、組織再構成過程で作られた増殖する患者の自己由来線繊維性被膜細胞によって被覆された後、膀胱壁の一部の代わりとなるパッチ(1)であり、前記パッチ(1)は、好ましくは表面にしわのある吸収性の布地(2)を含み、PGA繊維由来のモノフィラメントまたはマルチフィラメントの糸で構成され、前記布地(2)は、柔軟かつ調和的な非多孔性の熱成形された平坦なフレームによって支持され、該フレームはPGA/PLA共重合体の複数の熱成形されたラジアル補強ストリップ(3)によって形成され、前記ストリップは前記フレームの中心から外側に放射状に延伸し、実質的に硬いが弾力性と柔軟性がある、パッチ(1)。
【請求項2】
前記布地の糸は、50と200デニールの間に含まれるサイズを有する、請求項1に記載のパッチ(1)。
【請求項3】
前記布地(2)は、経編の布地である、請求項1または2に記載のパッチ(1)。
【請求項4】
前記布地(2)の糸は、75デニール/30フィラメント型のマルチフィラメントである、請求項1〜3のいずれかに記載のパッチ(1)。
【請求項5】
前記布地(2)は、表面にしわのある布地である、請求項1〜4のいずれかに記載のパッチ(1)。
【請求項6】
前記布地(2)の輪郭は、円形であり、好ましくは3cmと5cmの間に含まれる直径を有する、請求項1〜5のいずれかに記載のパッチ(1)。
【請求項7】
前記布地(2)の厚みは、0.1mm〜2cmの範囲であり、好ましくは0.3〜0.6mm、より好ましくは0.4〜0.53mm、さらにより好ましくは0.45mmである、請求項1〜6のいずれかに記載のパッチ(1)。
【請求項8】
前記フレームを形成する前記ラジアル補強ストリップ(3)は、0.1mmと10mmの間に含まれる厚みであり、好ましくは0.5mmと2mmの間、より好ましくは約1mmである、請求項1〜7のいずれかに記載のパッチ(1)。
【請求項9】
前記フレームのPGA/PLA共重合体は、PGAが30%およびPLAが70%で形成される、請求項1〜8のいずれかに記載のパッチ(1)。
【請求項10】
PLA/PGA共重合体(乳酸・グリコール酸共重合体)は、L−乳酸がモルで82−88%、グリコール酸がモルで18−12%である、請求項1〜8のいずれかに記載のパッチ(1)。
【請求項11】
前記フレームは、吸収可能な糸によって前記布地(2)に取り付けられ
前記吸収可能な糸は、モノフィラメントポリジオキサノン(PDO)である請求項1〜10のいずれかに記載のパッチ(1)。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔詳細な記載〕
本発明は、部分的な膀胱除去(膀胱切除)後の膀胱壁の一部を置換するための吸収性強化パッチに関するものである。
【0002】
既知のように、患者の膀胱の一部が部分的な腫瘍またはビルハルツ住血吸虫(住血吸虫)などの深刻な病気によって影響される場合、膀胱のこの部分は、膀胱全体に広がる疾患を予防するために除去しなければならない。膀胱壁のこの部分の除去によって、膀胱に穴が形成される。穴は、この穴を画定する膀胱壁の周囲に縫合されたパッチを使用して、閉じられる。
【0003】
特許出願に記載されているようなパッチは、患者の腸を裏返したものまたは合成織物由来の組織で構成されたデバイスである。例えばWO2007/039160およびPCT/EP2008/006352に記載されるようなポリプロピレンのシリコーンまたは織物は、ω-3ファミリーの脂肪酸の熱分解乱層炭素の層で覆うことにより、より生体適合性がある。
【0004】
合成パッチの目的は、穴の周囲の膀胱の組織の再生を待つ間、一時的に膀胱の一部を置換することである。それにより、それらはデイホスピタルの基盤で、その後のさらなる内視鏡的な手術によって後で除去されなければならない。しかしながら、この手術は、特に高齢患者に実施するのは必ずしも容易ではない。
【0005】
また、膀胱パッチは、常に既知の合成または天然のパッチによって達成することができない特性の組合せを有することがある:膀胱、少なくともその除去されるまでその形状を保持することを可能にするような剛性が必要で、同時に、膀胱の生理的機能中にパッチを正確な変形を確保するために、十分な弾性及び柔軟性が必要である。
【0006】
さらに膀胱パッチは、移植から除去または吸収までの全期間について、尿に対する耐薬品性および不浸透性の両方を示す必要がある。またパッチは、成長している組織の重さで崩壊してはならない。これは、典型的な小さい厚さのパッチによくある現象である。また、周囲の線維性被膜に対して密着してはいけない。
【0007】
吸収可能ではない上述のパッチの代わりとなる解決は、三次元マトリックスの使用によって表され、一般的に生体吸収性材料において、病変組織の一部に移植される生体組織を得るために、体外で増殖される罹患器官の幹細胞を移入するために基質として作用する。この手順は、優れた結果が互換性および機械的性能の観点から得ることができるが、長い実行時間およびコストがかかるとともに、非常に複雑である。
【0008】
上記の欠点を克服するために、出願人は、PGA繊維中の吸収性のパッチを開発し、前述した従来技術の限界を克服することができ、PGA繊維の細片で補強する。特許出願WO2011/064110を参照する。しかしながら、出願人によって行われたテストは、おそらく移植後に成長している新組織の重量によって、このパッチが頻繁に膀胱の内部に向かって崩壊する傾向にあることを示している。この崩壊は、線維性被膜についての移植および密着の点で、密着を作成する新組織の不均一な成長につながる。
【0009】
また、PGAホモポリマーの繊維と全体で行われるこのパッチは、膀胱新組織の成長時と同様に30日程度の吸収時間を有する。これは、新たな組織の重量の下でパッチの崩壊につながる吸収のこの期間中に、機械的特性の低下を伴い、その結果として上記時間の空間の中で減少した剛性を与える。
【0010】
US2005/0113938は、組織の再構築のための生体適合性の移植を開示しており、膀胱組織とは異なり、PGA/PLAの発泡体により形成される。PGA/PLAの繊維によって形成された織物要素またはメッシュで補強されている。
【0011】
しかし、このインプラントは、上記発泡体および上記補強要素の双方の持つ高い多孔率の点から、膀胱壁の代替物としてはふさわしくない。高い多孔率は、一方では、増殖する新組織のインプラントへの定着を確実にするが、他方で、自己新組織が増殖する間、膀胱からの好ましくない尿漏れを引き起こす。
【0012】
また、上述の先行技術の解決は、除去された膀胱の一部について、適応および準拠の可能性が少ない。それは、手術中に、除去された膀胱の一部がわずかではあるが、曲率を有する場合である。
【0013】
本発明の目的は、膀胱壁の一部を置換するための特定のパッチを供給し、部分的膀胱切除術を後に続けることによって、少なくとも部分的に、従来技術の欠点を排除することであり、除去のための後続の外科手術を必要としない。
【0014】
本発明の別の目的は、外科医のための実用的かつ同時に作成が簡単かつ速いパッチを提供することである。
【0015】
本発明のさらに別の目的は、特に尿に対する不透過性及び耐性に関して、信頼性があるパッチのようなものを提供することである。それは、移植されると膨らませず、良好な機械的強度を有する。特に、その機能時に膀胱変形の良好な性能を確保するために、細胞組織が、その上に成長するとき、可縮性を示さない。
【0016】
本発明のさらなる目的は、前記組織の成長に負の影響を与えることなく、さらに除去された膀胱部分の新たな生物学的壁組織によって定着される得るパッチを提供することにある。これは、線維性被膜に付着せず、可能な漏れおよび/または液体の放出を示すことなく、信頼性が高く、尿や不浸透性、それに耐性がある。
【0017】
さらに別の目的は、膀胱の生理機能の間のデバイスの正確な変形のため弾性/可撓性のパッチを提供することであるが、吸収の時間の間に成長する新組織をサポートするよう改良された剛性が提供され、新組織の均質な成長を可能にする。
【0018】
さらなる目的は、除去される膀胱壁の部分が手術中に曲率を示す場合に、除去される膀胱壁の部分の形状に適合するために、手術の間に成形される高い能力を発揮するようなパッチを提供する。
【0019】
これらの目的は、添付の独立請求項1に記載されている特徴を有する本発明に従って達成される。
【0020】
事前に細胞被覆することなく使用可能である本発明における自己支持パッチは、膀胱部分切除術の前に膀胱壁の一部を置換するため、吸収性の物質(生体吸収性)から構成され、布地の形態であり、星型のラジアルアームを有するフレームによって支持される。
【0021】
このパッチは、付与される膀胱の正確な変形を保証するのに適しており、同時に新しい細胞組織が成長するときに非崩壊性である。
【0022】
パッチの内部および外部表面は、培養細胞の播種がなく、この状態において、パッチは、培養組織細胞による事前の被覆が存在せず、成長する組織の移植を奨励するのに適している任意の表面処理が存在しない状態で、患者に移植される。
【0023】
実際には、前述のパッチは、患者内の挿入後に足場として作用するのに適していることが見出されており、その上に自己由来線維性被膜細胞のみを成長させ、その挿入後に行われる患者の組織再構築の過程によって生成される。
【0024】
織物は、マルチフィラメントまたは超軽量のモノフィラメント糸を用いることによって構成される。マルチフィラメントまたは超軽量のモノフィラメント糸は、PGA(ポリグリコリドまたはポリグリコール酸)、好ましくはホモポリマーの繊維から得られる。
【0025】
PGAは、高い結晶化度によって特徴付けられる生分解性熱可塑性ポリマーであり、ホモポリマーの場合にはおよそ45−55%である。PGAは、加水分解的に不安定であり、生理学的条件にさらされたときに、ランダムな加水分解プロセスによって劣化し、いくつかのクラスの酵素(具体的にエステラーゼのファミリーに属する)によっても劣化する。それにもかかわらず、この材料は、少なくとも2カ月の期間の尿と接触して劣化させないために特に適している。
【0026】
PGAは、4−6カ月(12カ月に達することもある)の範囲の劣化の時間を有するが、4週間後には既にその機械的強度を失い始め、完全に5カ月目で失われている。しかし、これは、膀胱組織の細胞成長と相性が良く、尿へ耐性があり、この期間中に任意の腫れ(体積および寸法内の増加)を示さない。
【0027】
本パッチの織物を作るために好ましいPGA繊維は、ホモポリマーに由来のものである。それは、非常に剛性があり、7GPaに等しい高い値の引張弾性率と少なくとも4.5グラム/デニールの最小引張強さを特徴とする。
【0028】
これらの特性のおかげで、PGA繊維の使用によって得られた織物は、それらから得られた織物の柔軟性を可能にしながら、十分な機械的整合性を有することが見出された。
【0029】
本発明の吸収性パッチの織物は、さまざまな方法でPGAマルチフィラメント又はモノフィラメントを織ることによって製造することができ、編み織物、織布又は不織布織物を作成する。
【0030】
これは、いずれの場合にも、上述した他の製造されたタイプに比べてより多くのしわの面を備えているという点で、編み織物、より詳細には縦編みを使用することが好ましい。
【0031】
むしろ発泡体よりも織物の使用は、新組織の成長を促進するような多孔性と組み合わせて、新組織の成長中に尿がデバイスから逃げることを可能にしないような不透過性を有することが有利である。
【0032】
パッチの織物が組織化されることがさらに好ましい。実際、組織化は、複数の表面にしわ織物を作ることに加えて、非組織化織物と比較して、尿へのより大きな剛性及び不透過性を付与することが見出されている。実際には、組織化された織物の網目の間に存在する微細孔をさらに被覆することが考えられている。
【0033】
織物の組織化は、さまざまな方法で行うことができる。当該分野で公知の方法に従って得られたしわの表面を有するモノフィラメントを使用することによって、繊維の凸部を得るための繊維のヒートセット処理によって、フィラメントに大きな容積を付与する。組織化の後者の方法が好ましい。
【0034】
前記織物のフレームは、実質的に平面で、実質的に硬いが弾力性と柔軟性のある複数のラジアルストリップ、アームによって形成され、必要であれば、外科医によって手動で湾曲させることができる。これらのストリップは、星型構成のフレームになるように配置される。前記ストリップが線やスターの腕のようなフレームの中心点から半径方向外側に開始して延びている。
【0035】
フレームは、BIOSTARと呼ばれ、クリスチャン・シューによる申請者を代表して作製した。
【0036】
フレームは、グリコール酸と乳酸の共重合体の注入によって得られる。PGA/PLA(ポリ(乳酸・グリコール酸)共重合体)として示され、熱形成される。
【0037】
成形熱は、圧力下または真空下で、シートまたはフィルムから成るプラスチック材料の熱間成形する技術である。例えば、プラスチックポリマーのシートまたはフィルムを米津し、この予熱された材料をこの金型に敷設する。あるいは、冷却を促す空気による外部から加わる高圧によって金型のプラスチックフィルムを押すことによる。あるいは、油圧プレスを用いて、機械的に作動されるモールドおよび反モールド系を用いることによる。
【0038】
この技術は、表面及び/又は要素のバルク内にある穴なしで、均質かつ非多孔性要素を可能にし、溶融紡糸、電界紡糸などの繊維を得るための特定の方法を使用することによって代わりに形成されるPGA/PLAの繊維を得るために使用することができない。
【0039】
乳酸はキラル分子であるため、特定の略語で示された(PDLA、PLLA、PDLLA)異なる種類のポリマーがある。DおよびLは、2つの立体異性体を示す。PLLA(ポリ(L−乳酸))は37%の結晶化度、50と80度の間のガラス転移温度、173−178℃の融点を有する。異性体DおよびLのラセミ混合物の重合に由来しているポリマー(PDLLA)は非晶質である。
【0040】
用語ポリ(乳酸)、すなわちPLAは、上述したポリマーのすべてのさまざまなタイプを識別することを、ここでは意図している。
【0041】
織物よりも剛性を有するが、同時に柔軟、弾性および調和的であるフレームが得られると、それはPGA繊維の表面に取り付けられ、膀胱の外側に向けられ、MONOTIME(登録商標)などの低速吸収のポリジオキサノン(PDO)におけるモノフィラメントを有する吸収性の糸の縫合糸をフレームに縫い合わせる。
【0042】
PGA繊維およびPGA/PLA内のフレームは約1ヶ月吸収され、ポリタンパク質カプセルの再形成の時間と実質的に同じであるので、新しい組織の成長の同じ速度で吸収されるよう、移植されたパッチがその後除去される必要がないことは明らかである。
【0043】
より具体的には、最初の1月(5−6カ月後に完了)で実質的な吸収を示す熱形成されたPGA内のフレームは、その剛性を維持し、(膀胱新組織の成長時間である)上記1カ月で一定した機械的特性を維持し、時間の前記空間の膀胱新組織の重量の下で、PGA繊維の非崩壊性を確保する。
【0044】
また、PGAの繊維の吸収後の150日(約)の間に、吸収時のフレームの残りのPLA/PGAの存在は、合計180日で、膀胱の新組織が最適な輪郭、一貫性、形状および寸法に達するので、最初の30日後に形成された新組織の改善のためのインセンティブを提供する。
【0045】
したがって、フレームは、除去部分の元のものと一致する形状および輪郭を新組織に与えるために崩壊しないよう、30日間で、吸収のために必要なパッチを形成する織物を支持する目的を有する。
【0046】
本発明の更なる特徴は、以下の詳細な添付の図面に示されるように、純粋に非限定的な例として、実施形態によってより明確に説明する。
図1は、本発明による補強されたパッチの上からの平面図である。
図2は、図1の強化パッチの下からの平面図である。
図3は、パッチの一部の拡大横断面図であって、図1の平面III-IIIに沿って取られた断面である。
図4は、本発明によるパッチの膀胱に対する概略的な適用を示す斜視図である。
【0047】
ここでの用語「パッチ」は、培養細胞が成長される足場として使用されるものとは異なる基質を同定することを意図している。これらの細胞によって取り込まれた後に患者に移植される。
【0048】
図1において、パッチ1は、この形状が本発明の目的のために結合されていない場合でも、実質的に丸い形状で表現される。パッチ1は、PGAにおけるモノフィラメントまたはマルチフィラメント、好ましくはマルチフィラメントから得られる不織布(布地)2で構成される。
【0049】
この不織布2はモノフィラメント由来の場合、好ましくは、120および160デニールの間に含まれるデニール数を有するPGAのモノフィラメントから構成される。デニールは、モノフィラメントの直径を指す。この場合において、生じた織物2は、好ましくは、240と320デニールの間に含まるデニール数(線形質量密度と定義される)またはグラムを有する。その用語デニールのDは、織物の重量を示し、IDは、重量9000グラムで糸の9000メートルに相当する(P(g)/L(9000m))。
【0050】
前記パッチ1は、好ましくは、上部3および下部4の面を有している。上面は、患者の内部組織と接触するように意図された膀胱の外側に向いた面を示し、一方下面は、膀胱の内部に向いている。
【0051】
実際、組織化は、組織化が定義されていない繊維製品2にとって良く、線維性被膜についてパッチの更なる非接着性を改善する。パッチ1の不織布2は、PGAの繊維のマルチフィラメント糸で作られている場合、この糸は、約50−200デニールの寸法を有する。
【0052】
織物2は、好ましくは75デニール/30フィラメント糸(互いに平行に)で構成される。75デニールは、75g/10000ヤード(10000ヤード〜9000メートル)の糸の寸法であり、30は各糸を形成する小さい繊維の数である。
【0053】
また、織物2は、経編織物であることを特徴とする。経編技術は、織布または不織布織物を生じず、フェルト状の材料でもない。
【0054】
経編の方法は、縦編みのために機器上で実行され、糸が平行経糸である。糸は、平行の糸であり、好ましく30針/インチの密度で、同時に編まれる。
【0055】
この場合、織物2の織りは、間隙空間が、200ミクロン未満、好ましくは約160ミクロンである。約0.02mmに等しい穴の平均面積に対応する。これは、尿に対する不透過性を保証し、尿の漏れを避ける。
【0056】
好ましくは、経編のこのプロセスの製造パターンが型である。
ウェールズインチあたり(WPI)29−30
インチ毎のコース(CPI)62−68
この製造パターンでは、繊維2上で示した好ましい糸が得られる、以下の特徴を有する。
平均断面積(mm)0.020
有効径(ミクロン)140−180
気孔率70−80%
表面密度、mg/cm 16−18。
【0057】
繊維1の上3および下4の面(図2)は、線維性被膜に対して非接着性を高めるために、縦編み工程に加えて、組織化に影響されるため、非常にしわが現れる。
【0058】
一般に、本パッチ1の製造に使用される織物2の厚さは、0.1mmおよび2cmの間で変えることができる。好ましい実施形態において、上記厚さは、0.3−0.6mmであり、より好ましくは約0.4−0.53mm、さらにより好ましくは0.45mmである。
【0059】
織物2は、好ましくは、任意の形状及び寸法で作ることができたとしても、3−5cmから始まる直径を有する円形の形状を有し、例えば200mmの辺を有する角型または寸法100mm×200mm、200mm×300mmを有した長方形であり、さらに大きな寸法の布帛から形成することができる。例えば、10cm×15cm。
【0060】
織物2は、平坦または平面構造を有したフレームによって支持され、複数のラジアル補強ストリップ5によって形成される。平面的な恒星のような構成を取るように外側に移動するフレームの中心から外れる。
【0061】
このフレームは、組織の成長の重量の下で、織物2のための支持構造として機能し、実質的に平坦又は僅かに湾曲した形状を維持することが可能になり、したがって自己支持パッチを得る。
【0062】
フレームのPGA/PLA共重合体が構成され、相対的なラジアルストリップ5は、例えばPGAの30%およびPLAの70%によって形成することができる。
【0063】
特に、PLA/PGA共重合体((乳酸・グリコール)酸共重合体)は、(L-乳酸・グリコール)共重合体(PLLA/PGA)として特に好ましく、L-乳酸はモルで82−88%であり、グリコール酸は、モルで18−12%である。この共重合体は、名前RESOMER(商標登録)LG 855Sによって商業的に知られている。
【0064】
一般に、フレームの厚みおよび相対ストリップ(アーム)は、0.1および10mmの間、好ましくは0.5および2mmの間で変化し得る。好ましい実施形態では、厚さは約1mmである。
【0065】
織物2の上面3上に配置されるフレームと補強ストリップ5は、吸収性縫合糸6を用いて取り付けられ、織物2の上面3上の同じ数の区画を定める。これらの縫合糸6によって、望ましくない反応を与える可能性のある接着剤材料の使用を回避することができる。
【0066】
好ましい実施形態では、フレームおよび繊維2の包括パッチ1の全体の厚みは、これが本発明の目的のために結合されていない場合でも、約1.45mmである。
【0067】
出願人は、驚くべきことに、PGA/PLAの熱成形された星形形状のフレームと組み合わせて、組織化されている上述のようPGA織物2で作られたパッチ1は、尿の存在下で良好な機械的一貫性、十分な剛性および柔軟性を示す。それにより、胃内容排出または同一の充填時に膀胱の正確な変形を保証することができ、それは同時に尿の漏れに対する良好な気密性を示すことを見出した。
【0068】
また、上記織物2および非多孔質フレームは、成長する新組織と接触したときに、中性であることが見出されている。これは、周囲の組織を成長する細胞によって移植されたデバイスの急速な定着を伴う。同時に、密着性は、繊維、フレームおよび生物学的分子を構成するポリマー間の低減された相互作用によって減少することが見出され、これにより患者の内部組織との非融合を保証することができる。
【0069】
実際、本発明のパッチは、他の既知のパッチで見つけることができない性質の組み合わせを有する。より具体的にはWO2011/064110に記載されている;
−十分な剛性、膀胱新組織(約1ヶ月)の成長の円弧の間、一定であり、パッチの吸収までその形状を維持することを可能とし、同時に成長する新組織の重量の下で崩壊しない。
−上記パッチが提供される膀胱の生理的機能中にパッチの正確な変形を確実にするための十分な弾力性と柔軟性;
−尿への耐薬品性及び不透過性;
−多孔質ではない場合、新組織により覆う;
−成長する組織の重量の下での非崩壊性;
−線維性被膜への非密着性;
−布、例えばPGA/PLAで作られた補強を有する同じ使用を目的とし、類似のデバイスと比較して大きな剛性;
−必要に応じて外科医によって手動で湾曲させることができるハーモニックPGA/PLAでの熱成形した補強による手術中の大きな追従性。
【0070】
織物強化材を有する類似の織物デバイス(PGAに完全に構成される)を使用して出願人が実施した試験は、WO2011/064110に記載されており、広く医療分野で成功して使用される。この後者のポリマーが、膀胱壁の置換のために有利に使用することができないことを示している。
【0071】
より具体的には、前臨床研究は、モノフィラメントPGAにおいて、矩形パッチ(約10cm×15mmの寸法を有する)が移植されたブタの膀胱に実施され、PGAにおける同じ織物から採取された補強ストリップを有する、50と200の間のPGA中に存在する織物と同様のデニール数を有し、瘢痕の分析の手段、組織内のパッチの統合の分析の手段、腎臓の機能の分析の手段、局部効果の欠如の分析の手段による吸収(1ヶ月)の時点での膀胱の一部の代わりに、デバイスの動作を評価する。動物は、実験室の分析によって、制御の下で維持され、超音波スキャンは、血の手術の日で始まり最初の月の終わる(PGAの吸収時)。
【0072】
14日後には、デバイスが、膀胱の壁に取り付けられ、インプラントのサイトが、その近傍の膀胱壁の肥厚とリモデリングを示したことが超音波スキャンを経由して観察される。
【0073】
インプラントから2ヵ月後の検査では、パッチが移植される膀胱の領域に対する腸および子宮の密着を実証し、暗い色の領域の存在は移植領域の傷跡を特徴づける。すなわち、リモデリングの指標である。
【0074】
また、この移植領域の組織学的検査は、瘢痕が成熟した肉芽組織によって形成され、残りのパッチが組み入れられたことを示している。
【0075】
これらの現象は、除去された膀胱の広大な部分が同じ寸法の細胞組織の新たな壁により置き換えられることを示し、デバイス自体が瘢痕組織に統合されることを見ると、パッチが崩壊しなければならないことを示している。また、新たな壁、すなわち瘢痕の組織の組成物は、尿路上皮で覆われていない主に成熟した肉芽組織であることが示されている。
【0076】
したがって、PGA繊維のストリップで補強されたPGA繊維内のデバイスは、膀胱の細胞の再生の期間中に不十分な機械的な整合性(剛性)を示す。それは、成長する組織が吸収されるが他の方向に成長する。結果は、非対称および異常形状を有する傾向がある膀胱であり、元のものとは異なり、潜在的に他の周囲の臓器を刺激する。
【0077】
これは、おそらくPGA繊維中の補強材を有したPGA繊維のパッチが、一般的に新組織の成長時の間に減少する低い剛性を有するという事実による。
【0078】
反対に、PGA/PLAで行われた現在の熱成形されたフレームは、その吸収性にもかかわらず、膀胱新組織の成長期間中に一定のままである十分な剛性を示している。
【0079】
本発明のパッチ1は、制御された環境、すなわち汚染が制御された状態であり、綺麗な部屋で製造される。製造が完了したら、パッチ1は、汚染を避けるために、タイベックのシートで閉じた二重ブリスターに入れられ、EtO(エチレンオキサイド)のベースに滅菌サイクルに送られる。この時点で、パッチは、手術に使用する準備ができている。
【0080】
図3において、膀胱40は、相対的な尿管20,20’および尿道21とともに概略的に示されている。
【0081】
手術において、外科医は、腫瘍の影響を受けた領域を除去し、除去穴を覆うために、除去穴の周囲において、膀胱40の壁にパッチ1の周囲を接続する縫合ステッチ7によってパッチ1を付与する。一般的に、本パッチ1は、影響を受ける領域が尿管20,20’および尿道21が含まれていないときに使用されるが、それらから離れている。
【0082】
縫合糸のステッチ7は、生体吸収性(吸収性)材料中のモノフィラメント糸を使用して、湾曲した円筒状の針で構成され、ポリマーまたはPGAとの共重合体に由来する。この選択の理由は、同じタイムスパンで吸収されるパッチと縫合の必要性にある。
【0083】
しかしながら、問題になっている場合および外科医の裁量でパッチのニーズに適合させる生体吸収性ポリマーの他の縫合糸がある。
【0084】
膀胱40内の縫合糸のステッチ7の通過穴は、その組織が数時間で再構築される点で、液体の漏洩の危険性を構成するものではない。尿(液体)の漏れを回避するために、縫合糸のステッチ7の穴は、密閉することができ、通常利用可能に商業的に、そのようなGlubran2TMの例のような手術用接着剤のcc(ドロップ)で閉じられる。
【0085】
この接着剤はまた、これが必要ではない場合でも、上記で示した同様の目的のために織物2のフレームに存在する縫合糸6で任意に使用することができる。
【0086】
本発明のパッチの利点の一つは、除去された領域の再生の間、完全に吸収可能である点で、線維性被膜への付着の危険性を有していないということであり、したがって後続の手術によって移植された器官から除去を必要としない。
【0087】
本発明のパッチの使用は、後の手術を必要とすることなく、膀胱の感染部分の除去が、疾患の克服を保証するのに十分であるビルハルツ住血吸虫のような膀胱の局所感染症の治療に特に有利である。
【0088】
また、このパッチは、事故後の膀胱の壁の、病変、傷害、血腫、または類似の病態の治療にも使用することができる。
【0089】
多数の細部の修正および変更が、当業者の範囲内で、添付の特許請求の範囲によって開示された本発明の範囲内において、この実施形態に対して行われ得る。
【図面の簡単な説明】
【0090】
図1】本発明による補強されたパッチの上からの平面図である。
図2図1の強化パッチの下からの平面図である。
図3】パッチの一部の拡大横断面図であって、図1の平面III-IIIに沿って取られた断面である。
図4】本発明によるパッチの膀胱に対する概略的な適用を示す斜視図である。
図1
図2
図3
図4