(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、以上のような実状に鑑み案出されたもので、装置本体を分解することなく、運転時間等の様々なメンテナンスに役立つ情報に容易にアクセスできる電解水生成装置を提供することを主たる目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、水を電気分解する電解槽を有する装置本体と、前記電解槽の上流又は下流に設けられ、水を浄化する浄水カートリッジとを備え、前記浄水カートリッジには、情報を格納する記憶手段が設けられており、前記浄水カートリッジが前記装置本体と着脱されることで交換される電解水生成装置であって、前記装置本体は、装着されている前記浄水カートリッジの前記記憶手段と通信する通信手段と、前記浄水カートリッジを単位時間あたりに通過する通水量を検出する流量センサーと、時間を計数する計数手段と、前記流量センサーが検出した通水量を積算する水量積算手段とを有し、前記通信手段は、前記水量積算手段によって積算された前記通水量が、予め定められた閾値を超えたとき、前記計数手段によって計数された通算の時間を、前記浄水カートリッジの前記記憶手段に記録することを特徴とする。
【0010】
本発明に係る前記電解水生成装置において、前記通信手段は、前記水量積算手段によって積算された前記通水量を、前記通算の時間と関連づけて前記記憶手段に記録することが望ましい。
【0011】
本発明に係る前記電解水生成装置において、前記装置本体は、前記電解槽で電気分解された水を吐出する電解水モードと、前記電解槽で電気分解されなかった水を吐出する非電解水モードで運転可能であり、前記計数手段によって計数された時間に基づいて、各モード毎に運転時間を積算する時間積算手段とをさらに有し、前記通信手段は、前記時間積算手段によって積算された前記各モード毎の前記運転時間を、前記浄水カートリッジの前記記憶手段に記録することが望ましい。
【0012】
本発明に係る前記電解水生成装置において、前記通信手段は、前記水量積算手段によって積算された前記通水量が、予め定められた閾値を超えたとき、前記時間積算手段によって積算された前記各モード毎の前記運転時間を、前記浄水カートリッジの前記記憶手段に記録することが望ましい。
【0013】
本発明に係る前記電解水生成装置において、前記装置本体は、前記各モードでの運転状態が正常であるか否かを診断する自己診断手段をさらに有し、前記通信手段は、前記自己診断手段による診断結果を、前記浄水カートリッジの前記記憶手段に記録することが望ましい。
【0014】
本発明に係る前記電解水生成装置において、前記装置本体は、前記浄水カートリッジの交換回数を計数する回数計数手段をさらに有し、前記通信手段は、前記回数計数手段によって計数された前記交換回数を、前記浄水カートリッジの前記記憶手段に記録することが望ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明の電解水生成装置は、装置本体に、浄水カートリッジの記憶手段と通信する通信手段と、浄水カートリッジを単位時間あたりに通過する通水量を検出する流量センサーと、流量センサーが検出した通水量を積算する水量積算手段とを有する。通信手段は、水量積算手段によって積算された通水量が、予め定められた閾値を超えたとき、計数手段によって計数された通算の時間を、浄水カートリッジの記憶手段に記録する。浄水カートリッジは、装置本体に対して着脱により交換可能に構成されている。従って、電解水生成装置のサービスマン等は、装置本体から離脱させた浄水カートリッジの記憶手段から通算の時間についての情報を容易かつ迅速に取得でき、メンテナンスに役立てることが可能となる。また、上記通算の時間は、水量積算手段によって積算された通水量が、予め定められた閾値を超えたときに記録されるので、記憶手段の記憶容量の不足を抑制できる。また、ユーザーは、新たな浄水カートリッジに交換して電解水生成装置の使用を継続しながら、使用済みの浄水カートリッジを電解水生成装置のサービスセンター等に送付することができる。これにより、電解水生成装置の使用状況がサービスセンター等で正確に把握され、電解水生成装置の定期的な点検等に役立てることが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。
図1は、本実施形態の電解水生成装置1の構成を示している。本実施形態の電解水生成装置1は、水を電気分解する電解槽4を有する装置本体2と、電解槽4に供給される水を浄化する浄水カートリッジ5とを備えている。
図1では、装置本体2の一部を構成するケースが2点鎖線にて示され、電解水生成装置1の主要な構成が透視されている。装置本体2の外面には、ユーザーによって操作される操作部21が設けられている。
【0018】
電解槽4は、例えば、ねじ(図示せず)等を介して、装置本体2に固着されている。電解槽4の固着は、例えば、はめ込み等の手法によってなされてもよい。電解槽4の内部には電解室40が形成されている。
【0019】
浄水カートリッジ5は、装置本体2に対して着脱されることで交換可能とされている。浄水カートリッジ5は、一般に、活性炭、中空糸膜等で構成されており、その性質上、浄水カートリッジ5を通過する水の積算量が増加するにつれて徐々に浄化機能が低下する。そのため、安定した品質の電解水を得るためには、新品の浄水カートリッジ5への交換が必要となる。特に家庭用の電解水生成装置1にあっては、ユーザーが、装置本体2を分解等することなく、浄水カートリッジ5を容易に交換しうるように構成されている。例えば、蓋部材3が開放されることにより、浄水カートリッジ5は装置本体2から露出され、容易に交換可能とされている。蓋部材3は、工具等を用いることなく、容易に開放可能である。
【0020】
図2には、電解水生成装置1のブロック図が示されている。本実施形態では、浄水カートリッジ5は、電解槽4の上流に設けられている。浄水カートリッジ5には、原水が供給される。原水には、一般的には水道水が利用されるが、その他、例えば、井戸水、地下水等を用いることができる。浄水カートリッジ5は、原水を濾過により浄化し、得られた浄水を電解室40に供給する。
【0021】
浄水カートリッジ5は、電解槽4の下流に設けられていてもよい。この場合、浄水カートリッジ5は、電解槽4を通過した水を浄化する。
【0022】
浄水カートリッジ5には、情報を格納する記憶手段として、例えば、RFID(Radio Frequency Identification)タグ51が設けられている。RFIDタグ51とは、無線通信によって情報の読み書きが可能な記憶手段である。記憶手段は、有線通信によって情報の読み書きを行なう形態であってもよい。
【0023】
RFIDタグ51には、例えば、浄水カートリッジ5を特定するための固有のID情報が格納されている。浄水カートリッジ5を特定するための情報は、浄水カートリッジ5が電解水生成装置1の純正品であることを確認するための情報として用いることができる。純正品以外の浄水カートリッジ5が電解水生成装置1の装置本体2に装着された場合、電解水生成装置1は、上記情報を取得できないため、純正品の浄水カートリッジ5が装着されていないことを知得できる。このとき、電解水生成装置1は、電解水の生成動作を停止すると共に通知手段(図示せず)を用いて、ユーザーに純正品の浄水カートリッジ5への交換を促すことができる。
【0024】
電解室40の内部には、陽極給電体41及び陰極給電体42が互いに対向して配置されている。陽極給電体41と陰極給電体42との間には隔膜43が配設されている。隔膜43は、電解室40を陽極給電体41側の陽極室40aと陰極給電体42側の陰極室40bとに区分する。
【0025】
電解室40の陽極室40a及び陰極室40bの両方に水が供給され、陽極給電体41及び陰極給電体42に直流電圧が印加されることにより、電解室40内で水の電気分解が生ずる。
【0026】
隔膜43は、電気分解で生じたイオンを通過させる。隔膜43を介して陽極給電体41と、陰極給電体42とが電気的に接続される。電解室40内で水が電気分解されることにより、陰極室40bで電解還元水が得られ、陽極室40aで電解酸性水が得られる。
【0027】
陰極室40bでは、電気分解によって水素ガスが発生し、陰極室40b内の水に溶け込む。従って、陰極室40bで得られた電解還元水は、電解水素水とも称され、活性酸素の除去に有効とされる(以下、電解水素水とする)。
【0028】
装置本体2は、制御手段6と、入水部7と、出水部8と、通信手段9と、電源手段10とをさらに備えている。
【0029】
制御手段6は、電解槽4等の装置各部の制御を司る。制御手段6は、例えば、各種の演算処理、情報処理等を実行するCPU(Central Processing Unit)及びCPUの動作を司るプログラム及び各種の情報を記憶するメモリ等を有している。
【0030】
陽極給電体41と制御手段6との間の電流供給ラインには、電流検出手段44が設けられている。電流検出手段44は、陰極給電体42と制御手段6との間の電流供給ラインに設けられていてもよい。電流検出手段44は、給電体41、42に供給する電解電流を検出し、その値に相当する信号を制御手段6に出力する。
【0031】
制御手段6は、電流検出手段44から入力される信号に基づいて、陽極給電体41と陰極給電体42との間に印加する電圧をフィードバック制御する。例えば、電解電流が過大である場合、制御手段6は、上記電圧を減少させ、電解電流が過小である場合、制御手段6は、上記電圧を増加させる。これにより、給電体41、42に供給する電解電流が適切に制御されうる。
【0032】
入水部7は、浄水カートリッジ5の下流であって電解槽4の上流に設けられている。入水部7は、給水管71と、流量センサー72と、分岐部73と、流量調整弁74等を有している。給水管71は、電解水生成装置1に供給された水を電解室40に導く。流量センサー72は、給水管71に設けられている。流量センサー72は、電解室40に供給される水の単位時間あたりの流量(以下、単に「流量」と記すこともある)Fを定期的に検出し、その値に相当する信号を制御手段6に出力する。
【0033】
分岐部73は、給水管71を給水管71a、71bの二方に分岐する。流量調整弁74は、給水管71a、71bを陽極室40a又は陰極室40bに接続する。陽極室40a及び陰極室40bに供給される水の流量は、制御手段6の管理下で、流量調整弁74によって調整される。流量調整弁74は、水の利用効率を高めるために、陽極室40a及び陰極室40bに供給される水の流量を調整する。これにより、陽極室40aと陰極室40bとの間で圧力差が生ずる場合がある。
【0034】
本実施形態では、流量センサー72は、分岐部73の上流側に設けられているので、陽極室40aに供給される水の流量と陰極室40bに供給される水の流量との総和、すなわち、電解室40に供給される水の流量Fを検出する。
【0035】
出水部8は、電解槽4の下流側に設けられている。出水部8は、流路切替弁81と、吐水管82と、排水管83等を有している。流路切替弁81は、制御手段6によって制御され、陽極室40a、陰極室40bを吐水管82又は排水管83に選択的に接続する。
【0036】
通信手段9は、RFIDタグ51との間で無線通信を行ない、RFIDタグ51に格納されている浄水カートリッジ5を特定するための固有のID情報を読み取って、その情報に相当する信号を制御手段6に送信する。本実施形態の通信手段9は、上述した情報の読み取り機能に加え、RFIDタグ51に情報を書き込む機能を有するリーダー・ライター装置である。通信手段9は、浄水カートリッジ5の記憶手段との間で、有線通信によって情報の読み書きを行なう形態であってもよい。
【0037】
電源手段10は、電解槽4及び制御手段6等の装置本体2の各部に電力を供給する。電源手段10は、交流商用電源から供給された交流電力を直流電力に変換し、装置本体2の各部に供給する。
【0038】
制御手段6は、時間を計数する計数手段としての機能と、流量センサー72が検出した通水量を積算する水量積算手段としての機能とを有している。
【0039】
制御手段6によって積算された通水量は、制御手段6のメモリに記憶される。そして、積算された通水量が、予め定められた閾値を超えたとき、制御手段6によって計数された「通算の時間」が、装置本体2に装着されている浄水カートリッジ5のRFIDタグ51に記録される。このRFIDタグ51に記録される「通算の時間」は、電解水生成装置1の使用頻度を示す情報として、電解水生成装置1の修理や定期的な点検等に役立てることができる。
【0040】
これにより、電解水生成装置1のサービスマン等は、装置本体2から離脱させた浄水カートリッジ5のRFIDタグ51から「通算の時間」についての情報を容易かつ迅速に取得でき、メンテナンスに役立てることが可能となる。
【0041】
小型化及び低コスト化が要求されるRFIDタグ51は、通常のメモリ等と比較して、記憶容量が少ない傾向にある。本発明では、水量積算手段によって積算された通水量が、予め定められた閾値を超えたときに、上記「通算の時間」が記録されるので、記録の頻度が制限され、RFIDタグ51の記憶容量の不足を抑制できる。また、ユーザーは、新たな浄水カートリッジ5に交換して電解水生成装置1の使用を継続しながら、使用済みの浄水カートリッジ5を電解水生成装置1のサービスセンター等に送付することができる。これにより、電解水生成装置1の使用状況がサービスセンター等で正確に把握され、電解水生成装置1の定期的な点検等に役立てることが可能となる。
【0042】
通信手段9は、上記「通算の時間」の記録にあたって、制御手段6によって積算された通水量を「通算の時間」と関連づけて記憶手段に記録するのが望ましい。このような構成は、上記通水量の閾値が複数定められており、各閾値毎に「通算の時間」を記録する形態で特に有効である。
【0043】
装置本体2は、吐水管82から電解水を吐出する「電解水モード」と吐水管82から電気分解されなかった水を吐出する「非電解水モード」で運転可能である。「電解水モード」には、吐水管82から還元性の電解水素水を吐出する「水素水モード」と、吐水管82から電解酸性水を吐出する「酸性水モード」とが含まれる。各モードは、ユーザーによって選択可能に構成されている。例えば、ユーザーは、
図1に示される装置本体2の外面に設けられた操作部21を操作することにより、装置本体2の運転モードを切り替えることができる。このとき、操作部21は、運転モードを切り替える旨の信号を制御手段6に出力する。
【0044】
制御手段6は、操作部21から入力された信号に応じて、電解槽4、流量調整弁74及び流路切替弁81等を制御して、装置本体2の運転モードを切り替える。
【0045】
「水素水モード」では、流路切替弁81によって、陰極室40bと吐水管82とが接続され、陽極室40aと排水管83とが接続される。これに伴い、陰極室40bで生成された電解水素水が吐水管82から吐出され、陽極室40aで生成された電解酸性水が排水管83から排出される。このとき、流量調整弁74によって、陰極室40bに供給される水が増量される。
【0046】
一方、「酸性水モード」では、流路切替弁81によって、陽極室40aと吐水管82とが接続され、陰極室40bと排水管83とが接続される。これに伴い、陽極室40aで生成された電解酸性水が吐水管82から吐出され、陰極室40bで生成された電解水素水が排水管83から排出される。このとき、流量調整弁74によって、陽極室40aに供給される水が増量される。
【0047】
装置本体2の運転モードが「水素水モード」又は「酸性水モード」のとき、制御手段6は、陽極給電体41及び陰極給電体42に印加する直流電圧の極性を制御する。例えば、制御手段6は、流量センサー72から入力される信号に基づいて、電解室40に供給される水の流量Fを積算し、所定の流量に達すると陽極給電体41及び陰極給電体42に印加する直流電圧の極性を切り替える。これに伴い、陽極室40aと陰極室40bとが相互に入れ替わる。直流電圧の極性の切り替えにあたっては、制御手段6は、流量調整弁74及び流路切替弁81を同期して動作させる。これにより、例えば、「水素水モード」では、陰極室40bと吐水管82とが常に接続され、陰極室40bで生成された電解水素水が吐水管82から吐出される。
【0048】
さらに、「非電解水モード」では、流路切替弁81によって、陽極室40a又は陰極室40bのいずれか一方が吐水管82と接続され、他方が排水管83と接続される。そして、制御手段6は、陽極給電体41及び陰極給電体42への電解電流の供給を停止する。これに伴い、電気分解されることなく陽極室40a及び陰極室40bを通過した非電解水が吐水管82及び排水管83から吐出される。
【0049】
制御手段6は、時間を計数する計数手段としての機能と、計数した時間に基づいて、各モード毎に運転時間を積算する時間積算手段としての機能とを併せ持っている。時間積算手段は、「水素水モード」及び「酸性水モード」での運転時間を個別に積算してもよく、両モードをまとめて「電解水モード」として積算してもよい。各モード毎に積算された運転時間は、装置本体2の運転履歴として、装置本体2の修理やメンテナンスに有用である。例えば、装置本体2に故障が発生した場合、電解水生成装置1のサービスマンは、ユーザーから説明された症状等と各モード毎に積算された運転時間とを併せて確認することにより、故障の原因を迅速かつ正確に判定し、早期に適格な対策を講ずることが可能となる。
【0050】
例えば、通常の使用状態と比較して、「水素水モード」での運転時間が非常に大きいと判断される電解水生成装置1にあっては、「水素水モード」での運転に関連する故障原因等を優先的に検証することができる。このように、各モードでの運転時間に応じて、故障原因の検証に優先順位を設けることにより、故障の原因を迅速かつ正確に判定できる可能性が高まる。
【0051】
本発明では、制御手段6によって積算された各モード毎の運転時間は、装置本体2に装着されている浄水カートリッジ5のRFIDタグ51に記録される。本実施形態では、各モード毎の運転時間は、まず制御手段6のメモリに記憶された後、通信手段9によって、RFIDタグ51に記録される。
【0052】
これにより、電解水生成装置1のサービスマン等は、装置本体2から離脱させた浄水カートリッジ5のRFIDタグ51から各モード毎に積算された運転時間についての情報が取得される。これらの電解水生成装置1の修理やメンテナンスに役立つ情報を活用することにより、電解水生成装置1の修理やメンテナンスが容易となる。また、ユーザーは、新たな浄水カートリッジ5に交換して電解水生成装置1の使用を継続しながら、使用済みの浄水カートリッジ5を電解水生成装置1のサービスセンター等に送付することができる。これにより、電解水生成装置1の使用状況がサービスセンター等で正確に把握され、電解水生成装置1の定期的な点検等に役立てることが可能となる。
【0053】
各モード毎の運転時間のRFIDタグ51への記録は、例えば、制御手段6が計数している時間に基づいて、定期的に行なうことができる。いずれかの運転モードでの運転時間が予め定められた値を超えたとき、その運転時間をRFIDタグ51に記録するように構成されていてもよい。また、制御手段6によって積算された通水量が、予め定められた閾値を超えたとき、各モード毎の運転時間をRFIDタグ51に記録するように構成されていてもよい。
【0054】
制御手段6は、以下に示されるように、各種センサーと協働して、電解水生成装置1の装置本体2を診断する機能を発揮する。
【0055】
電解槽4の内部で各給電体41、42にスケールが過度に付着すると、給電体41、42に供給される電解電流が変動する。従って、制御手段6は、電流検出手段44から入力される信号を監視することにより、電解槽4の状態が正常であるか否かを診断することができる。
【0056】
流量調整弁74には、位置センサー74aが設けられている。位置センサー74aは、流量調整弁74の位置を検出し、それに相当する信号を制御手段6に出力する。制御手段6は、位置センサー74aから入力される信号を監視することにより、流量調整弁74の動作状態が正常であるか否かを診断することができる。
【0057】
流路切替弁81には、位置センサー81aが設けられている。位置センサー81aは、流路切替弁81の位置を検出し、それに相当する信号を制御手段6に出力する。制御手段6は、位置センサー81aから入力される信号を監視することにより、流路切替弁81の動作状態が正常であるか否かを診断することができる。なお、流量調整弁74と流路切替弁81とが、一体的に構成されている形態にあっては、単一のセンサーによって流量調整弁74及び流路切替弁81の位置を検出する構成であってもよい。
【0058】
電源手段10には、電源手段10の動作時の温度を検出する温度センサー10aが設けられている。温度センサー10aは、スイッチング素子等の温度を検出し、それに相当する信号を制御手段6に出力する。制御手段6は、温度センサー10aから入力される信号を監視することにより、電源手段10の動作状態が正常であるか否かを診断することができる。
【0059】
上述した制御手段6、電流検出手段44、位置センサー74a、位置センサー81a及び温度センサー10aによって、上記各モードでの装置本体2の運転状態が正常であるか否かを診断する自己診断手段が実現される。
【0060】
通信手段9は、制御手段6、電流検出手段44、位置センサー74a、位置センサー81a及び温度センサー10aによる「診断結果」を、浄水カートリッジ5のRFIDタグ51に記録するのが望ましい。「診断結果」の記録は、例えば、制御手段6が予め定められた時間を計数する毎に、又は、制御手段6が予め定められた通水量を積算する毎に実行されるのが望ましい。このRFIDタグ51に記録される「診断結果」は、電解水生成装置1の運転状態を示す情報として、電解水生成装置1の修理や定期的な点検等に役立てることができる。
【0061】
制御手段6は、浄水カートリッジの「交換回数」を計数する回数計数手段として機能する。制御手段6は、計数した「交換回数」をメモリに記憶する。そして、通信手段9は、制御手段6によって計数された「交換回数」を、浄水カートリッジ5のRFIDタグ51に記録するのが望ましい。このRFIDタグ51に記録される「交換回数」は、電解水生成装置1の使用履歴を示す情報として、電解水生成装置1の修理や定期的な点検等に役立てることができる。
【0062】
既に述べたように、電解水生成装置1の修理や定期的な点検等に有用な、上記「通算の時間」、「診断結果」及び「交換回数」は、RFIDタグ51に記録される。従って、これらの情報に関しても、装置本体2を分解等することなく、浄水カートリッジ5のRFIDタグ51から取得可能である。
【0063】
以上のような構成を有する本実施形態の電解水生成装置1によれば、浄水カートリッジ5が装着される装置本体2に、浄水カートリッジ5のRFIDタグ51と通信する通信手段9と、浄水カートリッジ5を単位時間あたりに通過する通水量を検出する流量センサー72と、時間を計数する計数手段及び流量センサー72が検出した通水量を積算する水量積算手段として機能する制御手段6とを有する。通信手段9は、制御手段6によって積算された通水量が、予め定められた閾値を超えたとき、制御手段6によって計数された「通算の時間」を、浄水カートリッジ5のRFIDタグ51に記録する。これにより、電解水生成装置1のサービスマン等は、装置本体2を分解等することなく、浄水カートリッジ5のRFIDタグ51から「通算の時間」についての情報を容易かつ迅速に取得でき、メンテナンスに役立てることが可能となる。
【0064】
以上、本発明の電解水生成装置1が詳細に説明されたが、本発明は上記の具体的な実施形態に限定されることなく種々の態様に変更して実施される。すなわち、電解水生成装置1は、少なくとも、水を電気分解する電解槽4を有する装置本体2と、電解槽4の上流又は下流に設けられ、水を浄化する浄水カートリッジ5とを備え、浄水カートリッジ5には、情報を格納するRFIDタグ51が設けられており、浄水カートリッジ5が装置本体2と着脱されることで交換される電解水生成装置であって、装置本体2は、装着されている浄水カートリッジ5のRFIDタグ51と通信して、情報の読み取りを行なう通信手段9と、浄水カートリッジを単位時間あたりに通過する通水量を検出する流量センサー72と、時間を計数する計数手段と、流量センサー72が検出した通水量を積算する水量積算手段とを有し、通信手段9は、水量積算手段によって積算された通水量が、予め定められた閾値を超えたとき、計数手段によって計数された通算の時間を、浄水カートリッジ5の記憶手段に記録するように構成されていればよい。