【実施例1】
【0011】
図1〜3に示すフレーム回転構造10は、ベッドサイドの固定側フレーム1と開閉用の回転側フレーム11との間に設けられて、回転側フレーム1の回転とロックとを制御する構成からなっている。
【0012】
前記固定側フレーム1は、固定部材2に突設されてベッドサイドに沿って略水平に伸びる取付軸部2aに固定されており、固定部材2の先端側には固定側筒部3を有している(
図6〜
図9参照)。
前記回転側フレーム11は、可動部材12に突設されて、閉止位置でベッドサイドに沿って略水平に伸びる取付軸部12aに固定されており、可動部材12の先端側には可動側筒部13を有している(
図3参照)。
【0013】
上記可動側筒部13は上下に貫通する中空部を有しており、上端が可動側筒部13の上方に突出し基端が中空部内に挿入される押圧操作部15が収納されている。
即ち、中空部の上部に配置された第1中空部13a内で昇降しうるように収納されている。
また、該第1中空部13aには上記押圧操作部15を
回転ロック方向となる上向きに付勢するコイルスプリング6が内蔵されている。
図示例では、コイルスプリング6の上部が押圧操作部15の下方に形成された環状の溝に挿入されてコイルスプリング6の上部を嵌合しており、該コイルスプリング6の下端は第1中空部13aの底部13a’上に支持されており、押圧操作部15を回転ロック方向となる上向きに付勢している。
【0014】
前記第1中空部13aの底部13a’には、小径の第2中空部13bが貫通形成されており下部で前記第1中空部13aとほぼ同径で底部が開口された第3中空部13cと連通している。
そして、第2中空部13bには、前記押圧操作部15に固定されて軸線に沿って下方に伸びる柱状の作動部材17が摺動可能に貫挿されている。
また、第3中空部13cには回転軸部16の上部が略隙間なく嵌合し、第3中空部13cの内壁には、前記回転軸部16が上下方向に動かないように拘束する係止突部13dが突設されている。
ここで回転軸部16は、可動部材12の回転と共に回転するものであり、回転軸部16は可動部材12に固定し、または連動して回転するように回転方向に拘束されて一体に回転するように取付けられている。
【0015】
前記固定側筒部3は、前記回転軸部16の中空部と連通して上下に貫通する中空部を有しており、固定側筒部3の内壁の上方に第1軸受部7、下方に第2軸受部8を設けて、前記回転軸部16の可動側筒部13から垂下する部分をその軸線を中心に回転可能に軸受している(
図5(a)(b)参照)。
ここで、回転軸部16は、上部が大径となり、第1軸受部7と接する部分を過ぎた下方が小径の軸部からなっている。
【0016】
図示例の場合、第1軸受部7は上下が開放された貫通孔を有する同一断面の環状体からなっており、第2軸受部8は、上部が開口して内部に大径の収納部8aを設けた有底の環状体で、底面に前記回転軸部16を貫挿して軸受けする軸受孔8bを有している。
【0017】
そして、回転軸部16の上部は前述の第3中空部13cに隙間なく嵌合し、中途位置の環状の凹部に前記係止突部13dが嵌合し、前記凹部を超えた下部は前記第1軸受部7と接して回転する上部回転面26aがわずかに小径となって内側に窪む段差が形成され、該段差に第1軸受部7の上面の内壁角部が掛け止められている。
また、前記回転軸部16の下部は小径の下方軸部27となって固定側筒部3の下部まで伸びている。
【0018】
第2軸受部8はその外壁面が、固定側筒部3の下方の内壁面に固定されており、その内壁面で中央に向かって突出する段部によって 第2軸受部8が上向きに移動しないように拘束されている。
そして、回転軸部16の下方軸部27は、前述のように、前記第2軸受部8の軸受孔8bに挿入され、挿入部分の外壁面が下部回転面26bとなって軸受される。
【0019】
回転軸部16には、前記下方軸部27に沿って、昇降係合部18と、ガイド部20とが上下に摺動自在に取付けられている。
本実施例では、昇降係合部18と、ガイド部20とが摺動部9を介して下方軸部27上を摺動する。
ここで、摺動部9は、筒体の下端に環状のフランジ9aが設けられ、筒体の中央の貫通穴9bに前記下方軸部27が貫挿されており、摺動部9は、下方軸部27に沿ってその軸方向で上下に摺動しうるようになっている。
【0020】
前記固定側筒部3には、その上方寄りの中途位置の内壁面に、筒状の係合固定受部4が固設されている。
この係合固定受部4は、内壁面に内歯部5を有している(
図7、
図9参照)。
【0021】
一方、前記昇降係合部18は、
図10から
図12に示すように、筒体の上部に前記内歯部5と噛合する大径の外歯部19を有している。
外歯部19の内側には、横断面が多角形(図示例では正方形)の掛止中空部18aが形成されており、外歯部19の下部の小径の筒体には、前記掛止中空部18aより大きい外周を有する拡開中空部18bが形成されている。
前記掛止中空部18aと拡開中空部18bとは上下に連通しており、回転軸部16の下方軸部27が貫挿する。
本実施例では、下方軸部27は横断面が前記掛止中空部18aの断面に対応した多角形(図示例では正方形)からなっているので、回転軸部16の回転は下方軸部27を介して昇降係合部18を回転させる。
【0022】
前記固定係合受部4と昇降係合部18との係合により回転軸部16の回転が拘束されるが、本実施例では、内歯部5と外歯部19は、共に、上から下向きに漸次拡開するテーパ状に形成されており、前記噛合による係合時に、面接触することで、ぐらつくことなく、より強固に回転を規制することができる。
【0023】
ガイド部20は筒状からなっており、昇降係合部18の下方で、昇降係合部18と一体に昇降し、また回転軸部16と連動して回転するように取付けられる。
本実施例では、
図5に明瞭なように、摺動部9の筒体が下方軸部27に外嵌した状態で、前記下方軸部27に外嵌した昇降係合部18の拡開中空部18bの空間に隙間なく嵌合されており、昇降係合部18の下端が摺動部9のフランジ9a上に載置される。
【0024】
前記昇降係合部18の下方、図示例では外歯部19の下方で拡開中空部18bに対応する昇降係合部18の外壁面に、ガイド部20が隙間なく外嵌しており、下端が前記摺動部9のフランジ9a上に載置される。
【0025】
上記摺動部9と、昇降係合部18と、ガイド部20とは、作動部材17と一体に昇降するようになっている。
即ち、作動部材17の下部には径方向に伸びる貫通孔17aが穿設されており、連結ピンPが嵌挿されて左右に伸びている。
本実施例では、連結ピンPはスプリングピンを用いているが、その他のピンやねじを有するものでもよい。
【0026】
回転軸部16には、前記作動部材17で連結ピンPが取付けられた位置における昇降範囲に対応して、縦穴16aと連通する長孔16bが180度間隔で一対穿設されている。
そして、前記連結ピンPは、上記長孔16bを介して左右外方へ突出しているので、回転軸部16が回転すると連結ピンPは長孔16bを介して回転軸部16および作動部材17と共に回転する
【0027】
次に、前記摺動部9と、昇降係合部18と、ガイド部20には、同様に180度間隔で前記連結ピンPを挿通させる孔が穿設されて前記連結ピンPを貫挿している。
図中、符号eは、連結ピンPを通すための孔で、前記作動部材17の貫通孔17aと同径で、摺動部9、昇降係合部18、ガイド部20にそれぞれ連通可能に穿設された一対の孔を示す。
これにより、作動部材17の昇降が連結ピンPを介して摺動部9と昇降係合部18とガイド部20に伝達されるので、作動部材17と一体に摺動部9と昇降係合部18とガイド部20とが昇降する。
本実施例では、昇降係合部18と摺動部9とが下方軸部27に沿って摺動し、ガイド部20は昇降係合部18と摺動部9によって昇降するが、この発明では昇降係合部18と摺動部9とガイド部20とが作動部材17と共に上下に変位する構成であればよい。
【0028】
ガイド部20は、
図13から
図15に示すように筒状からなっており、外周面で隆起する凹凸係合部21を有している。
そして、前述のように、連結ピンPで摺動部9および昇降係合部18と共に作動部材17に固定されており、凹凸係合部21は固定側筒部3の内壁面寄りに位置している。
本実施例では、ガイド部20は、昇降係合部18に外嵌して凹凸係合部21が前記外歯部19より内壁面寄りとなるが、ガイド部20の肉厚を厚くして、直接に摺動部9に固定したり、回転軸部16に沿って摺動させるなどしてもよい。
【0029】
前記固定側筒部3の内壁面には、前記昇降係合部18のロック解除位置で、前記ガイド部20の凹凸係合部21の凹部22に係脱可能に係合する係合突部25が設けられている。
前記ガイド部20は、その外周面に沿って環状に隆起する帯状の凹凸係合部21が形成されている。
この凹凸係合部21は、縦断面において、中間位置が径方向(厚み方向)に最も隆起し、下方が中間位置に向かって漸次隆起する傾斜面21aとなり、上方が中間位置との間に掛止段部が形成された凹部22と、前記中間位置と同一面で隆起し前記凹部22より上方位置まで延びる突部23との複数の組み合わせからなっている。
【0030】
前記係合突部25は、先端25aが固定側筒部3の軸線に向かって出没するプランジャからなっており、
図5(b)に示すように作動部材17が最も下降した位置で前記凹部22と整合しうるように位置決めされている。
また同時に、この位置で、前記昇降係合部18と固定係合受部4とは、上下に離間したロック解除状態となるように配置される(
図5(b)参照)。
【0031】
また、上下のスプリング6、14に付勢されて作動部材17が上昇した位置では、前記昇降係合部18の外歯部19と固定係合受部4の内歯部5とが係合するロック状態(
図3参照)となる。
そこで、上記ロック状態から、押圧操作部15の押し下げにより作動部材17を下降させると、これに伴って昇降係合部18の外歯部19が固定係合受部4の内歯部5から外れる。
【0032】
前記ロック状態でガイド部20より相対的に下方に位置していた係合突部25の先端25aは、ガイド部20の下降時に前記凹凸係合部21の傾斜面21aによって内側に押し込まれながら反発力を高めて、隆起部を通過し、厚み方向に窪んだ凹部22で前記先端25aが反発力によって凹部22の掛止段部に突入する。
これにより、前記コイルスプリング14によるロック方向(上方向)への付勢力に抗して作動部材17の上方への動きを規制するので、前記ロックの解除状態を保持することになる。
【0033】
そこで、回転側フレーム11を介して可動部材12を回転すると、前記係合突部25は凹部22から前記回転方向に隣接する突部23上に変位する。
そのため、隣接する凹部22と突部3の隣接する側壁部分は、係合突部25の先端25aが乗り越えやすいように、可動部材12による開方向の回転方向に傾斜する傾斜面21bに形成することが好ましい。
【0034】
上記構成からなっているので、押圧操作部15に力がかからない場合には、スプリングの付勢力で作動部材17が
図3、
図5(a)に示す上方位置にあり、昇降係合部18と固定係合受部4とが係合したロック状態となるので、回転側フレーム11は固定されたフレーム閉位置にある。
【0035】
押圧操作部15を下に押し込むことで、作動部材17が下降し、連結ピンPを介して摺動部9、昇降係合部18、ガイド部20が同時に下降する。
これにより、前記固定係合受部4から昇降係合部18が下方にずれてロック解除状態となり、またガイド部20の下降で凹凸係合部21に接して係合突部25の先端25aが固定側筒部3の内壁面側に押し込められて付勢力を高め、凹凸係合部21の凹部22が係合突部25の先端25aと整合した位置で凹部22に先端25aが係合して、ロック解除状態を維持する。
【0036】
そこで、回転側フレーム11を回転させると、前記昇降係合部18と共にガイド部20が回転し、凹凸係合部21も回転するので、係合突部25の先端25aが凹部を乗り越えて係合を脱して突部23の外壁面上と接触する。
これにより前記スプリング6、14の付勢力により作動部材17を介して押し込まれていた押圧操作部15が元の位置まで上昇する。
作動部材17の上昇により、昇降係合部18の外歯部19が固定係合受部4の内歯部5と噛合して、前記ロック状態になるので、回転側フレーム11が所定角度回転した状態で、ロック状態に戻る。
従って、前記凹凸係合部21に形成された隣接する凹部22の間隔分だけ回転側フレーム11を回転して固定フレーム3を所定角度だけ開くことができる。
図示例では、凹部22は、22.5度間隔で、閉位置から開位置に向かう最初だけ45度回転しうるように形成されているが、上記角度は任意に設定できる。
【0037】
本実施例では、可動部材12は、固定部材2と同一線上に配置される0度を中心にして、+方向(外向き)に22.5度間隔で6段階(0〜+135度)回転し、−方向に6段階(0〜−135度)回転するようになっている(
図2参照)。
図2で実線で示す可動部材12の位置を0度(閉じた位置)とする閉位置ロックの場合、押圧操作部15はスプリング5で押し下げられており、作動部材17を介してロック部材18も上昇しており、一方の旋回ロック構成部4と他方の旋回ロック構成部14とが係合して、可動部材12の回転がロックされる。
【0038】
即ち、回転側フレーム11が固定側フレーム1と段違いで平行に延びる閉位置にあるとき、凹凸係合部21は係合突部25の上方にあり、固定係合受部4の内歯部5と昇降係合部18の外歯部19とが係合(噛合)して回転側フレーム11がロックされている。
そして、押圧操作部15により作動部材17が下降すると、ガイド部20の基準位置となる凹部の底面(説明上、22aとする)に係止突部25が突入し係合する。
これにより作動部材17の上昇は規制されロック解除姿勢に維持されるが凹部22の凹底部が長ければその分回転軸部16を回転させることができる。
本実施例では、前記凹部22aは、ガイド部20の軸線を中心とした45°間隔の長さの凹底部を有しているので、回転軸部16を45度回転させることができる(
図14、15参照)。
更に回転軸部16を回転して、前記係合突部25が凹部22aを乗り越えて隣接する突部23aに接すると、前記ロック解除姿勢の規制が解除されるので昇降係合部18が上昇し、回転した外歯部19が前記内歯部5と係合して回転がロックされる。
同様にして、次に、作動部材17を下降すると、前記突部23aに隣接する凹部22bに係合突部25が係合する。そして、前記凹部22b以降の凹部22c・・は22.5度の間隔になっているので、
図2に示すような間隔で、可動部材12を回転させて、回転側フレーム11を段階的に回転させて開くことができる。
【0039】
上記実施例では、回転側フレームおよび可動部材が上方に配置され、固定フレームおよび固定部材が下方に配置された例を示したが、上下が逆に配置されるものでもよい。
また、
図15では図示中央の突部23を中心に左右いずれにも回転しうるようになっているが、いずれか一方だけ回転するようにしてもよい。
その他、この発明は上記実施例に限定されるものではなく、要するに、この発明の要旨を変更しない範囲で種々設計変更しうる。