(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6182179
(24)【登録日】2017年7月28日
(45)【発行日】2017年8月16日
(54)【発明の名称】光学積層体およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
G02B 7/02 20060101AFI20170807BHJP
G02B 3/00 20060101ALI20170807BHJP
【FI】
G02B7/02 A
G02B3/00 Z
G02B7/02 B
G02B7/02 C
【請求項の数】15
【外国語出願】
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-121053(P2015-121053)
(22)【出願日】2015年6月16日
(62)【分割の表示】特願2012-521060(P2012-521060)の分割
【原出願日】2010年12月15日
(65)【公開番号】特開2015-180963(P2015-180963A)
(43)【公開日】2015年10月15日
【審査請求日】2015年6月18日
(31)【優先権主張番号】102009055083.6
(32)【優先日】2009年12月21日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】591037214
【氏名又は名称】フラウンホッファー−ゲゼルシャフト ツァ フェルダールング デァ アンゲヴァンテン フォアシュンク エー.ファオ
(74)【代理人】
【識別番号】100079577
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 全啓
(74)【代理人】
【識別番号】100167966
【弁理士】
【氏名又は名称】扇谷 一
(72)【発明者】
【氏名】ヴィッパーマン フランク
(72)【発明者】
【氏名】デュパレ ジャック
(72)【発明者】
【氏名】ダンベルク ペーター
(72)【発明者】
【氏名】ブラオイアー アンドレアス
【審査官】
登丸 久寿
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2009/088241(WO,A1)
【文献】
特開2003−289457(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2007/0159703(US,A1)
【文献】
特開2009−003130(JP,A)
【文献】
特開平09−286038(JP,A)
【文献】
特開平08−320402(JP,A)
【文献】
実開平04−003409(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/02
G02B 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学積層体(100)であって、
第1の層(102);
第2の層(104);
前記第1の層に付随する第1のスペーサ部(106);および
前記第2の層に付随する第2のスペーサ部(108)を含み、
前記第1および/または第2の層(102;104)は光学部品(114)を含み、
前記2つのスペーサ部(106;108)は、前記光学積層体の積層方向における係合のための、および、横方向および積層方向における前記第2のスペーサ部(108)に対する前記第1のスペーサ部(106)の移動可能性のための溝および凸部(110;112)を含み、前記凸部は前記溝より小さい幅を有し、前記第1および第2のスペーサ部(106;108)は、溝(110)および凸部(112)の間で接着剤により互いに接合され、前記接着剤は、前記第1および第2のスペーサ部(106;108)の間の接合と積層方向における前記第1および第2の層(102;104)の間隔を与えるために、溝(110)を溢れることのない用量からなり、積層方向において前記凸部が完全に挿入されていない位置の範囲内で前記凸部が前記溝内で固定され前記接着剤が硬化され、
前記第1の層(102)および前記第2の層(104)間の領域によって光学的に使用される領域(116)が定められ、2つのスペーサ部(106;108)の溝(110)および凸部(112)は、前記光学的に使用される領域(116)を閉輪郭状に取り囲むように実施され、
前記第1の層(102)および前記第2の層(104)は、2つのスペーサ部が形成されたポリマーとは異なる紫外線硬化型基板ではないポリマーで形成され、2つのスペーサ部のポリマーは光不透性であることにより2つのスペーサ部のポリマーは偽光を防止し、前記第1のスペーサ部(106)は前記第1の層(102)に堅く固着され、前記第2のスペーサ部(108)は前記第2の層(104)に堅く固着される、光学積層体。
【請求項2】
前記第1および/または第2の層(102;104)の前記光学部品(114)は、レンズ、プリズム、回析構造、ホログラフィック構造または光学フィルタの群の中のいずれかである、請求項1に記載の光学積層体。
【請求項3】
前記第1のスペーサ部(106)および前記第2のスペーサ部(108)は、一体成形、射出成形、熱間鍛造、射出圧縮成形または樹脂トランスファー成形により作製される、請求項1または請求項2のいずれかに記載の光学積層体。
【請求項4】
前記第1の層(102)および前記第2の層(104)は2つのスペーサ部の間に配置される、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の光学積層体。
【請求項5】
前記接着剤は、前記第1および/または第2のスペーサの材料より大きい熱膨張係数を有する永久に弾性を有する材料である、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の光学積層体。
【請求項6】
前記永久に弾性を有する材料が導入される前記溝(110)の深さは、温度の変化によって前記第1の層(102)と前記第2の層(104)の間隔の変化が前記溝、凸部および接着剤の等方性熱膨張の結果としてのみ生じる変化より大きい結果となるように適応される、請求項5に記載の光学積層体。
【請求項7】
前記接着剤(118)は、前記第1および/または第2のスペーサの材料としても用いられるポリマーである、請求項5に記載の光学積層体。
【請求項8】
前記第1の層は結像光学系を担持するかまたは形成し、そして−40℃から80℃の温度範囲全体で、前記第2の層に対する結像光学系の光学軸の方向における前記結像光学系の像平面の間隔が、20℃における像平面の位置からの20℃における前記結像光学系の対物焦点距離の±1%より小さく逸脱するように、前記接着剤(118)の熱膨張係数および溝(110)および凸部(112)の形状が選択される、請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の光学積層体。
【請求項9】
前記第1の層は第1の結像光学系を担持するかまたは形成し、前記第2の層は第2の結像光学系を担持するかまたは形成し、−40℃から80℃の温度範囲全体で前記第2の結像光学系の対物面に対する前記第1および第2の結像光学系の共通の光学軸の方向における前記第1の結像光学系の像平面の間隔が、20℃における前記第1および第2の結像光学系の対物焦点距離の大きいほうの0%の逸脱から±1%より小さい逸脱となるように、前記接着剤(118)の熱膨張係数および前記溝(110)および前記凸部(112)の形状が選択される、請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の光学積層体。
【請求項10】
光学的に使用される領域(116)に面する溝の壁が、光学的に使用される領域から遠くで面する溝の壁より高い、請求項1ないし請求項9のいずれかに記載の光学積層体。
【請求項11】
前記スペーサ部(106;108)の配置は、それが開口部および/または口径食を定めるためのダイアフラムとして役立つように適応される、請求項1ないし請求項10のいずれかに記載の光学積層体。
【請求項12】
前記溝は、光学的に使用される領域(116)に面している壁と、光学的に使用される領域から離れて面している壁とを含み、前記接着剤による積層方向における前記第1および第2の層(102;104)の間隔は、前記溝の壁が前記凸部を含むスペーサ部(106)から離れてさらに間隔を置かれるようにされる、請求項1ないし請求項11のいずれかに記載の光学積層体。
【請求項13】
前記接着剤による積層方向における前記第1および第2の層(102;104)の間隔は、前記凸部が長さLだけ前記溝の底部から離れて間隔を置き、底部から長さLを超えて前記接着剤が溝内に含まれるようにされる、請求項10に記載の光学積層体。
【請求項14】
光学積層体(100)を製造する方法であって、
第1の層に付随する第1のスペーサ部(106)および第2の層に付随する第2のスペーサ部(108)を用いて第2の層(104)上に第1の層(102)を配置するステップを含み、2つのスペーサ部(106;108)は、光学積層体の積層方向における係合のための、および横方向および積層方向における前記第2のスペーサ部(108)に対する前記第1のスペーサ部(106)の移動可能性のための溝(110)および凸部(112)を含み、前記凸部は前記溝より小さい幅を有し;
前記第1および第2のスペーサ部(106;108)の間の接合と積層方向における前記第1および第2の層(102;104)の間隔を与えるために溝(110)と凸部(112)の間で接着剤により接着的に前記第1および第2のスペーサ部(106;108)を互いに接合するステップを含み、
前記配置するステップは、さらに、
前記接着剤を前記溝に挿入するステップ;
前記接着剤がまだ液状であるところで、前記凸部を前記溝に入れるステップ;
前記凸部は積層方向の完全に挿入されていない前記溝の範囲内にあって、積層軸に沿った両方向において調整可能性があるように、光学パラメータの評価を用いて、または、前記第1および第2の層の間に非常に正確な物体(640)を導入することによって積層方向の各々に関して前記第1および第2のスペーサ部の位置決めを行うステップ;および 前記凸部が積層方向の完全に挿入されていない前記溝の範囲内で固定されるように前記光学パラメータの評価を用いて位置決めされて前記接着剤を硬化するステップを含み、
前記接着剤を挿入するステップは、前記凸部が前記溝に挿入された時に、前記接着剤が溢れないように行われ、
前記第1および/または第2の層(102;104)は光学部品(114)を含み、
前記第1の層(102)および前記第2の層(104)間の領域によって光学的に使用される領域(116)が定められ、2つのスペーサ部(106;108)の溝(110)および凸部(112)は、前記光学的に使用される領域(116)を閉輪郭状に取り囲むように実施され、
前記第1の層(102)および前記第2の層(104)は、2つのスペーサ部が形成されたポリマーとは異なる紫外線硬化型基板ではないポリマーで形成され、2つのスペーサ部のポリマーは光不透性であることにより2つのスペーサ部のポリマーは偽光を防止し、前記第1のスペーサ部(106)は前記第1の層(102)に堅く固着され、前記第2のスペーサ部(108)は前記第2の層(104)に堅く固着される、方法。
【請求項15】
配置するステップは、さらに、
光学パラメータの評価を用いて、またはメカニカルアラインメント構造を用いて、横方向において各々に関して前記第1および第2のスペーサ部の位置決めを行うステップを含む、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、光電子工学システムに用いることができる光学積層体に関し、特に、光学積層体の個々の層の機械的な間隔に関する。
【背景技術】
【0002】
図10aから
図10cに示されているような光電子工学システムまたは積層体は、例えば、デジタルカメラ、写真撮影機能を有する無線デバイスおよび多くの他の応用に用いられる。例えば携帯電話のための極小物体のような光電子工学システムの製造において、厳しい製造および数マイクロメータ(μm)の調整範囲を守らなければならない。パネルにおける、すなわち、ウエハーレベルにおけるこの種の光学電子工学システムの製造において、これは、個々の層または光学電子工学システムのシート(例えば、レンズ1002を有するウエハー、空隙を実現するためのスペーサウエハー1004または光学的に使用される領域1006)が、製作公差が光学電子工学システムの光学特性に影響を及ぼすような高い機械的精度で製造されることであることを意味する。これは、特に、高い製作コストまたは少ない生産量につながる。
【0003】
レンズおよびいわゆるスペーサウエハーの必要な層またはシートは、多くの異なる方法で個々に製造される。レンズ1002は、好ましくは紫外線硬化性ポリマーから成り、ガラス基板上に配置される。これらのガラス基板1008のいくつかは互いに積層され、好ましくは紫外線硬化性接着剤によって接合される。レンズ1002間の必要な空隙1006は、スルーホールを含むスペーサ層を示すスペーサウエハー1004によってつくられている。
【0004】
ここで、光学積層体の機能から生じているレンズ領域の厳しい軸方向の位置公差は、個々の層の機械的な厚み許容度および接着剤層の厚み許容度によって対応されなければならない。このように、機械的構成の寸法精度に対する高い要求は、光学積層体であるか光学機械積層体の光学機能に関して、ただ限定的に、光学コンポーネント1002、例えばレンズの間隔をセットするのに貢献するという結果をもたらす。ここで、高い耐熱性に関する要求を満たすため、好ましくは、ガラス物質がスペーサ層1004(スペーサウエハー)として用いられる。モノリシック実装、すなわちガラスウエハーを使用しない場合において、耐熱性ポリマーが用いられる。いずれの場合においても、光学的に有効な領域の間に間隔を置くために使用する構造は透明であり、それは不要光の侵入という結果をもたらすということで、光学機能にとって不利な点となるかもしれない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
光学的に有効な素子、スペーサ層および接合層を有する層のための異なる材料は、得られる光学電子工学システムまたはそこに使用される光学的または光学機械的積層体の環境および長期性能に関して不利である。例えば、UV複製による光学的またはマイクロ光学的コンポーネントの製造のためのポリマーは、高い熱光学係数を有する、すなわち、材料の屈折率は温度変化によって強く変化し、一般に温度が増加すると、屈折率は減少する。この種の材料の熱光学係数は、光学部品において用いられるガラス材料のそれよりほぼ10〜100倍高い。したがって、UV高分子材料のレンズの屈折力は、温度変化によって大幅に減少し、それは、結像光学系の場合には、画像側の焦点距離の増加につながる。レンズと画像の間の距離を維持する場合、ピンぼけおよび画像品質の劣化という結果になる。
【0006】
レンズ材料の熱膨張および温度への屈折率の依存によって生じる温度上昇による焦点距離の増加の結果として、最後のレンズと画像位置との間の焦点距離の増加が生じる。スペーサ層の熱膨張の結果として、この間隔も増加して、原則として、熱ピンぼけの補償(非熱影響)が達成される。例えばガラスのような小さい熱光学係数を有するレンズ材料のために、適合した熱膨張係数を有するスペーサ材料を使用することは可能である。これと対照的に、プラスチックレンズを有する対象の非熱影響のために、これまで知られていない約100×10
-61/Kの膨張係数を有する材料が必要である。
【0007】
したがって、この発明の目的は、上述の課題が解決された光学積層体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、請求項1の特徴および請求項14の方法を有する光学積層体によって達成される。
【0009】
本発明は、光学積層体における軸方向位置、すなわち光学部品の垂直方向の位置または積層方向の位置は、スペーサ層の厚みによって直接与えられるのではなく、必要な間隔を実現するために用いられる構造がさねはぎ継ぎの原理にしたがって形成される2つの部材で形成されることの発見に基づくものである。
【0010】
この点で、本発明の実施例は、第1の層、第2の層、第1の層に付随する第1のスペーサ部および第2の層に付随する第2のスペーサ部から成る光学積層体を提供し、2つのスペーサ部は、第1および第2のスペーサ部の間の接合および積層方向における第1および第2の層の間隔を得るために光学積層体の積層方向における結合を得るための凸部および溝を含む。
【0011】
ここで第1の(第2の)スペーサ部の凸部は、第2の(第1の)スペーサ部の溝に入り込む。さねはぎ継ぎは、好ましくは、閉輪郭の中における第1および第2の層の間の隙間のような、光学的に使用される領域を囲むように実施される。接合される層または部材の横方向のシフトが可能なように、凸部は溝より小さい幅を有する。部材を接続するために、溝は接着剤、例えば接着剤のような接合材料で満たされ、そして、第2の接合相手がその凸部で溝に入れられる。凸部および溝は、深さまたは長さに関して、接着剤で満たされる十分な重なり領域が軸方向または積層方向において得られるような寸法にされる。
【0012】
一実施例によれば、接着剤は、周囲の凸部および/または溝の材料より高い熱膨張係数を有する永久に弾性を有する材料である。それにより、温度上昇によって、永久に弾性を有する接着剤はより強く膨張し、溝の形状によってその外方向への膨張が制限される。ここで接着剤は、主に溝が上方向(または下方向)に制限されていない軸方向、すなわち積層方向において膨張する。接着剤の弾力の結果として、実質的な圧縮応力は増大せず、熱的な体積変化は基本的に長さの変化に変換される。移動の変換の効果は、永久に弾性を有する接着剤と凸部および/または溝材料の熱膨張係数の間の違いが大きくなるほど高くなる。永久に弾性を有する接着剤は、接合相手、すなわち第1および第2のスペーサ部または部分の接合、およびμm/ケルビンで表される値への長さの変化の適合という2つの役割を果たす。例えば、第2の層に対向して存在する別の層とともに、第1の層が結像光学系を支持するかまたは形成するとき、例えば−40℃から80℃までの温度範囲全体において、第2の層に対する結像光学系の光学軸の方向における結像光学系の画像面の間隔が、20℃における画像面の位置から20℃における結像光学系の対物焦点距離の±1%より小さく逸脱するように、または、−40℃から+80℃の温度範囲で発生する第2の層に対する結像光学系の光学軸の方向における結像光学系の画像面の間隔の分布範囲が、20℃における結像光学系の対物焦点距離の2%より小さくなるように、接着接合の接着剤の熱膨張係数および凸部と溝の形状が選択され、この画像面、すなわち最高の解像度の平面において、例えばイメージセンサの感光領域が配置され、その結果、画像鮮明度はこの温度領域全体において維持される。しかしながら、例えば、それぞれの層が反対側で、第1の層が第1の結像光学系を支持または形成し、第2の層が第2の結像光学系を支持または形成する場合、−40℃から80℃の温度範囲全体において、第2の結像光学系の画像面に対する第1および第2の結像光学系の共通の光学軸の方向における第1の結像光学系の画像面の間隔が、20℃における第1および第2の結像光学系の対物焦点距離のうちの大きいほうの±1%より小さく逸脱するように、または、−40℃から80℃の温度範囲で発生する第2の結像光学系の画像面に対する第1および第2の結像光学系の共通の光学軸の方向における第1の結像光学系の画像面の間隔の分布範囲が、20℃における2つの結像光学系の対物焦点距離の長いほうの2%より小さくなるように、接着接合の接着剤の熱膨張係数および凸部と溝の形状が選択される。
【0013】
本発明の実施例は、一方ではこのように、パネルにおける光電子機械系を製造するためのハウジング概念を可能にし、それは部品および機械部品の調整許容範囲(スペース)を光学的に有効な部品(レンズ部品)のそれらから切り離す。このように、コスト優位性は、2つの事項の結果となる。つまり、一方では、必要なスペーサ層を製造するコストが減少し、他方では、パネルにおいて、すなわちウエハーレベルで製造されるシステムの生産量が増加する。スペーサ層または構造は、更に費用効果的で光を通さないポリマーにおいて製造されてもよく、不要光を防止するために従来必要とされていた追加部品および製造ステップをなくすことができる。
【0014】
さらに、単純で費用効果的な方法で、例えばカメラなどの光モジュールの屈折力の熱的に誘導される変化の補償が可能となる。熱影響の補償は、さらなるエネルギー源またはアクチュエータで機能している素子を使用することなく受動的である。
【0015】
本発明の有利な実現は、従属クレームの一部である。
以下に、本発明の好ましい実施例は、添付図面を参照して更に詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、本発明の一実施例による光学積層体の側面図解図である。
【
図2a】
図2aは、本発明の他の実施例による光学積層体の側面図である。
【
図2b】
図2bは、本発明の他の実施例による光学積層体の側面図である。
【
図2c】
図2cは、本発明の他の実施例による光学積層体の側面図である。
【
図3a】
図3aは、本発明の一実施例による凸部を含む第1のスペーサ部の平面図である。
【
図3b】
図3bは、本発明の一実施例による溝を含む第2のスペーサ部の平面図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施例による凸部および溝を含むスペーサ部の側面図である。
【
図5a】
図5aは、本発明のさらに別の実施例による光学積層体の側面図である。
【
図5b】
図5bは、本発明のさらに別の実施例による光学積層体の側面図である。
【
図5c】
図5cは、本発明のさらに別の実施例による光学積層体の側面図である。
【
図5d】
図5dは、本発明のさらに別の実施例による光学積層体の側面図である。
【
図5e】
図5eは、本発明のさらに別の実施例による光学積層体の側面図である。
【
図6】
図6は、一実施例による非常に正確な物体を取り入れることによる光学的積層体の軸方向の位置決めを示す図である。
【
図7】
図7は、本発明の実施例による順次積層される複数の光学面を示す図である。
【
図8】
図8は、本発明の他の実施例によるパネルにおいて製造される光学積層体の図解図である。
【
図9】
図9は、異なる光学機能面を含む複数の光学積層体を示す図解図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下の説明において、本発明の異なる実施例において、類似のまたは一見して類似の機能要素には、同一の参照符号が与えられる。したがって、以下において例示される異なる実施例のそれらの機能要素の説明は、置き換え可能である。
【0018】
図1は、本発明の一実施例による光学的あるいは光機械的な積層体100の側面図を示す。
【0019】
光学積層体100は、第1の層102と第2の層104とを含む。第1のスペーサ部または部分106は、第1の層102に付随している。第2のスペーサ部108は、第2の層104に付随している。2つのスペーサ部106、108は、第1のスペーサ部106と第2のスペーサ部108との間の接合および積層方向における第1の層102と第2の層104の間隔を得るために、光学積層体100の積層方向に接合するための溝110および凸部112を含む。
【0020】
図1において、第1のスペーサ部106が凸部112を有し、第2のスペーサ部108が溝110を有しているが、それは反対であってもよく、すなわち凸部112が第2のスペーサ部108に付随し、溝110が第1のスペーサ部106に付随していてもよい。実施例によれば、2つの層102、104のうちの少なくとも1つが光学部品114を有している。
図1において例示される実施例において、例えば、レンズ、プリズム、回析構造、ホログラフィック構造または光学フィルタなどのグループである光学部品114は、第1の層102に付随している。ここで、第1の層102は、例えば、レンズを含むウエハーである。第2の層104は、例えば、光学部品114と関連する光電子イメージセンサ(例えばCCDまたはCMOSイメージセンサ)を有する基板層である。同様に、第2の層104は、
図2a〜2cに図解的に示されているように、例えばレンズのような光学部品114を含む別の層であってもよい。
【0021】
以下に詳細に説明されるように、−40℃から80℃の温度範囲において、層104に対する、法線方向または層の厚み方向、すなわち結像光学系114の光学軸方向において、例えば無限に横たわる対物面のためのような、または、他に光学系114まで一定距離にある、例えば、上述のイメージセンサの感光領域が配置されている、結像光学系114の画像面の間隔は、20℃における画像面の位置から20℃における結像光学系114の対物焦点距離の±1%より小さい逸脱となるように、溝110に含まれる接着剤の熱膨張係数および溝110と凸部112の形状が選択される。しかしながら、
図1にはその一方114だけが示されているが、層102および層104が各々結像光学系を支持するかまたは形成している場合、−40℃から80℃の温度範囲において、例えば層104におけるもののような第2の結像光学系の対物面に対する114のような第1の結像光学系の画像面の間隔が、法線方向において、0%の逸脱、すなわち完全に重なっている状態から、2つの画像光学系の対物焦点距離の大きいほうの±1%より小さい逸脱となるように、接着剤の熱膨張係数または溝110と凸部112の間の接合関係および溝110と凸部112の形状が選択され、その結果、それは、この温度範囲において、光学系114の所定の対物面および層104における光学系の所定の画像面のためのものである非常に正確に定められた中間結像を含む。層102または104における上述の結像体が必ずしもそれぞれの層のそばまたは中または場所に単に形成されているわけではなく、次のさらなる実施例が説明されるのと関連して、積層体が別の層を含むとき、結像体は、考慮されている2つの層102および104から離れて面する側に配置される積層体の別の層とともに形成されることに注意する必要がある。
【0022】
図2a〜2cに関して例示される実施例において、第1および第2の層102、104および/またはその中に形成される光学部品114は、例えばエポキシドのような紫外線硬化型の無基質ポリマーである。第1および第2のスペーサ部106、108は、それぞれ、層102、104または光学部品114とは異なる材料で形成されることができる。好ましくは、第1および/または第2のスペーサ部106、108もポリマーで形成され、例えば一体成形、射出成形、箔押し、射出圧縮成形または樹脂トランスファー成形(RTM)のような費用効果的な方法で製造される。スペーサ106、108のためのポリマーとして、高温に耐えることができ、その光の透過率(非透過に対する透過)が影響されるエポキシドが用いられる。実施例によれば、スペーサ106、108は、それぞれ、層102、104に接合されている。これは、例えば、接着により生じるものであって、例えば、完全なまたは確実に接着された接合である。確実に接着された接合は、通常、接合相手が原子間力または分子力によって一緒に結合されるそれらの接合である。
【0023】
第1の層102および第2の層104の間の領域によって、または、光学部品114間の領域によって、光学的に使用される領域116は、例えば空腔または隙間のように定められる。この実施例によれば、2つのスペーサ部106、108の溝110および凸部112は、例えば
図3a、
図3bに示すように、光学的に使用される領域116を閉輪郭状に周回するように形成される。ここで、基本的に2つのスペーサ部106、108の長方形の輪郭が示されているが、もちろん、円形の輪郭、丸いコーナーを有する輪郭または楕円形などのような、スペーサ106、108の閉輪郭および関連する溝110および凸部112も可能である。
【0024】
凸部112は、溝110と比較して小さい幅bを有し、その結果、凸部112が溝110に係合するとき、接合されるスペーサ部106、108の横方向のシフト(
図2bの水平方向または横方向の双方向矢印を参照)が可能である。スペーサ部106、108を接合するために、接着剤118が溝に入れられ、第2の接合相手106が、その凸部112で溝110に嵌入される。それにより、第1および第2のスペーサ部106、108は、溝110および凸部112の間の接着接続によって互いに接合される。溝110および凸部112は、それらの深さまたは長さに関して、接着剤118で満たされた重なり領域が軸方向または積層方向(
図2b左の縦の双方向矢印を参照)になるような大きさに形成される。発明の好ましい実施例によれば、接着剤118は、永久に弾性を有する材料、特に、溝110の周囲の材料または周囲のスペーサ材料より高い熱膨張係数を備えた永久に弾性を有するポリマーである。膨張係数または熱膨張係数は、温度変化に対する体積の変化に関する材料の動作を示す特性値であり−そのため、しばしば熱膨張係数と呼ばれている。これの原因となる効果は熱膨張である。多くの材料にある熱膨張はすべての温度範囲で均一であるというわけではなく、熱膨張係数は温度依存性があり、基準温度または温度範囲に対して与えられる。線熱膨張係数α(また、熱線膨張係数または熱膨張とも呼ばれる)と空間的熱膨張係数γ(また、空間的膨張係数または体積膨張係数または立体膨張係数とも呼ばれる)との間には違いがある。
【0025】
温度上昇によって、永久に弾性を有する接着剤118はより強く膨張し、溝の形状によって、その横方向(すなわち積層方向に対して垂直な方向)で制限される。接着剤118の膨張は、主に、溝110が制限されない軸方向(垂直または積層方向)において上方向に起こる。接着剤118の弾性のために、実質的な圧縮応力はなく、
図4に図解されるように、体積の熱変化は、基本的に、溝110にある接着剤118の長さまたは高さの変化ΔLに変換される。光電子システム100を断熱化するために、長さの変化ΔLは、温度変化ΔTを通じて成されなければならない。周知の熱膨張係数については、長さLは次元化されることができる。永久に弾性を有する接着剤または永久に弾性を有するポリマー118の体積の変化ΔVが、すべての固体と同様に、長さの線形変化よりほぼ3倍大きいため、方向付けのない自由な長さの熱膨張に比べて、長さLのより大きな変化ΔLという結果になる。すなわち、溝材料の熱膨張を想定しない理論的な理想的なケースにおいて、体積膨張が完全に長さ膨張に変換されるので、長さの変化はガイドなしの自由膨張と比べて3倍大きい。永久に弾性を有する接着剤118は、接合相手106、108(凸部112の上部/溝110の底部)を接合して、長さの変化ΔLをμm/ケルビンで要求される値に適応させることの2つの役割を果たす。永久に弾性を有する接着剤112およびスペーサ108の溝材料の熱膨張係数の間の違いが大きいほど、移動の変換の効果は大きい。
【0026】
図4は、さねはぎ継ぎ構造の異なる実施例を示す。ここで、右側に例示される構成は特に興味があるものであり、溝110は、異なる高さの側面境界120、122を有する。これは、過剰な量の接着剤118がギャップまたは溝110に導入された場合に、まだ液状である接着剤118の流れる向きを制御するためのものである。異なる溝の深さまたは側面境界120、122により、溢れた接着剤118が光学領域116内に流入することができないように、溝110の境界が有利に働く(
図2bを参照)。光学領域116に面している溝110の側壁120は、好ましくは、光学的に使用される領域116から遠くにある溝110の側壁122より高い。
【0027】
溝110および/または凸部112は、実施例によれば、光学的に有効な素子114を有する層102、104に前もって組み込まれることができ、その結果、たった1つの追加部材が必要であるだけであるか(
図5aを参照)または追加部材は必要ない(
図5bを参照)。すなわち、実施例によれば、第1のスペーサ部106および第1の層102は一体的に実施され、および/または、第2のスペーサ部108および第2の層104は一体的に実施される。光学的に有効な層102、104は、実施例によれば、基板530、特にガラス基板上に配置されることができ、スペーサ部106、108は、層102、104とは別に形成される(
図5cを参照)。さらに、光学的に有効な領域または層102および/または104は、基板530上に配置され、同時にスペーサ部106および/または108を含むことができる、すなわち、それと一体的に製造される(
図5dを参照)。更なる実施例によれば、
図5eに図解図で示されるように、層102および/または104はスペーサ部106、108の間に配置されてもよい。ここで。本発明は、
図5a〜eに例示される実施例に制限されるだけでなく、むしろ、
図5a〜eに例示されている配置の組合せが含まれる。すなわち、例えば、
図5aの上の全体部分が、
図5eの下部分と結合されることもできる。
【0028】
接合相手106、108の横方向の位置決めは、例えば光学パラメータの評価を用いて、またはウエハー102、104のいかなる位置にも取り付けることができるメカニカルアラインメント構造を用いて、積極的に実行されることができる。軸方向の位置決め、すなわち光学的に有効な部品114の距離dを決める積層方向の位置決めは、例えば、光学パラメータの評価を用いて、または、機械的に距離dを決める非常に正確な物体640を導入することによって、積極的に実行することができる。これは、
図6において図式的に表される。これから全体的に見て、要求される許容誤差からのスペーサ106、108の製作公差の分離は、光学的に有効な部品114の軸方向の距離dのために生じる。光学的に有効な領域または層102、104の間に光学的に使用される領域116を得るための追加部品が用いられる場合、それは異なる材料から製造されることができ、したがって、例えば透明度および熱膨張のように、異なる光学的および機械的特徴を有する。
【0029】
図7において、いくつかの光学領域または層102、104、702が各々の上に配置されていることが示され、溝110および凸部112を含むスペーサ構造106、108は、関連する光学的に有効な層102、104、702の両側に配置されることができる。ここで、光学的領域または層102、104、702は、基板530上に配置されることができ、溝および/または凸部の構造110、112を含み、または両側に溝および/または凸部エレメント110、112を含むさらなるスペーサ部品710の間に配置されてもよい。さらに、溝および/または凸部構造110、112を含む追加スペーサ部材または部品710が、光学的に有効な領域なしで導入されることもできる。両側に溝および/または凸部素子110、112を有するスペーサ部品710は、第1および第2のスペーサ部106、108に分けて設けられることができ、凸部112は第1のスペーサ部106に付随し、溝110は第2のスペーサ部108に付随しているか、またはその逆の関係を有している。
【0030】
スペーサとして用いられる更なるスペーサ部106、108または710は、好ましくはポリマーで形成され、一体成形、射出成形、箔押し、射出圧縮成形または樹脂トランスファー成形(RTM)のような費用効果的な方法で製造されることができる。スペーサ106のためのポリマーとして、高温に耐え、その光透過率(非透過性に対する透過性)が影響されるエポキシドが用いられることができる。その中に部品を接合するための接着剤118として、硬化後に光学部品102、104、114、702を囲んでいるハウジングの準一体組立が得られ、全体的な組立の耐熱性および信頼性に関して効果的である、同じエポキシドが用いられることができる。スペーサ部が開口部、領域、口径食(すなわち、2つの開口部の軸方向の配置による画像端へのシャドウイング)を定め、不要光に影響を与えるためのダイアフラムとして用いられるように、スペーサ部106、108または710の配置が選択される。
【0031】
図8に図解的に示されているように、パネルに、すなわちウエハーレベルで製造されるシステムは、直接連続して(
図8、左側)、または薄い領域810(
図8、右側)を介して、隣接する光学系に接続されてもよい。個々のシステムを役立つユニットから解放するときに、後者は分離プロセスを単純化する。光学的に有効な表面を有する個々の領域の間のブリッジ810は、取り扱いおよび実装のために必要な機械的安定性を保証するように考慮される。すでに上で詳述したように、さねはぎ継ぎ構造は光機能表面を含むコンポーネントに一体化されるか別のデバイスに含まれることができる。
【0032】
ウエハーレベルで製造される隣接する光学積層体は、
図9に図解的に示されるように、異なる光学機能表面および機械的構造を含む。各々の次に配置されるいくつかの光学機能表面は、より大きなユニットに関連している。これらの結合ユニットは、直接隣接していてもよいし、または薄い領域を介して接続されてもよい。
【0033】
本発明の実施例によって、すなわち、さねはぎ継ぎ構造のスペーサ106、108の部品の組合せの実現によって、そして、溝110および凸部112の軸方向の重なり合う長さを適応させることによって、機械的構造(スペーサ106、108)の製作公差は、光学構造(層102、104)のそれから切り離されることができる。これによって、コスト優位性は、2点において達成されることができる。一方では、さらに必要とされるスペーサ層またはスペーサウエハーの製造のための経費は減少する。他方では、パネルにおいて、すなわちウエハーレベルで、製造されるシステムの歩留まりは増加する。スペーサ構造は、まだ費用効果的におよび光不透過性のポリマーで製造されることができ、不要光を防止するために別に必要な追加部品および製造ステップを除外することができる。
【0034】
さらに、本発明の実施例を用いて、単純なおよび費用効果的な方法で、例えばカメラなどのような、光モジュールの熱的に誘導された屈折力の変化の補償が可能になる。発明概念は、パネルにおいて、すなわちウエハーレベルで製造することに適しており、関連するコスト優位性を含めて、手作業での個々の実装を回避することができる。熱的影響の補償は、さらなるエネルギー源またはアクチュエータのような素子を用いることなく受動的である。
【0035】
本発明のいくつかの態様がデバイス、すなわち光学積層体と関連して記載されたが、これらの態様も対応する製造方法の説明を表している、すなわち光学積層体のブロックまたはデバイスは対応する方法ステップまたは方法ステップの特徴であるとみなされることは明らかである。すなわち、本発明の実施例は、第1の層に付随する第1のスペーサ部106および第2の層に付随する第2のスペーサ部108を用いて第2の層104の上に第1の層102を配置することによる光学積層体100の製造方法を含み、2つのスペーサ部106、108は、第1および第2のスペーサ部106、108と積層方向における第1および第2の層102、104の隙間との間の関係を提供するために、光学積層体の積層方向における係合のための溝110および凸部112を含む。
【0036】
それに似て、方法ステップと関連して、または、方法ステップとして記載されている態様は、発明の光学積層体の対応するブロックまたは詳細または特徴の説明を表す。
【0037】
前記実施例は、第1の層102、第2の層104、第1の層に付随する第1のスペーサ部106および第2の層に付随する第2のスペーサ部108を有する光学積層体を示し、2つのスペーサ部106、108は、光学積層体の積層方向における係合のために、および横方向および積層方向における第2のスペーサ部108に関連する第1のスペーサ部106の移動可能性のために、溝および凸部110、112または溝または凹部および関連する突起部を含み、凸部は溝より狭い幅を有し、第1および第2のスペーサ部106、108の接合と、積層方向における第1および第2の層102、104の間隔を提供するために、第1および第2のスペーサ部106、108は、溝110と凸部112の間の接着剤によって互いに接合される。接着剤による積層方向における第1および第2の層(102;104)の間隔は、好ましくは、
図4に図示されているように、溝の壁が凸部を含むスペーサ部106から離れて間隔を隔てるように設定される。このようにして生じる間隔が、スペーサ106、108の製作公差を第1および第2の層(102;104)の間に間隔を置くための、または軸方向における互いに関する層を調整するための要求された許容誤差から切り離すための「駆け引き間隔」として使用されることができる。ここで、接着剤による積層方向の第1および第2の層(102;104)の間隔は、好ましくは、パネルが0でない長さLだけ溝の底部から離れて間隔を置かれ、長さLを超えて床から離れて間隔を隔てるように、接着剤が溝に配置される。換言すれば、凸部は、この軸方向位置において接着剤により固定されるために、軸方向において溝の停止位置まで挿入されず、積層方向において完全に挿入されていない状態を保つようにされ、その結果、積層軸に沿った両方向で、上述の製作公差の調整可能性が存在する。また、ここで与えられる指摘は、横方向における配置および調整にもあてはまる。また、凸部は、接着剤によって溝の停止位置に固定されない。むしろ、溝の壁から両方の横方向寸法だけ離れて間隔を隔てた凸部の位置は、対応する製作公差を補償することが可能なように接着剤によって固定される。さらに、前記実施例は光学積層体を製造する方法を示し、第1の層に付随する第1のスペーサ部106および第2の層に付随する第2のスペーサ部を用いて第2の層104の上に第1の層102を配置するステップを含み、2つのスペーサ部106、108は、光学積層体の積層方向における係合のための、および横方向および積層方向において第2のスペーサ部108に関する第1のスペーサ部106のシフトのための溝110および凸部112を含み、凸部は溝より狭い幅を有し、積層方向において第1および第2のスペーサ部106、108と第1および第2の層102、104の間の関係を提供するために、溝110と凸部112の間の接着剤により互いに接着的に第1および第2のスペーサ部106、108を接合するステップを含む。アレンジとしては、接着剤を溝に入れるステップ、接着剤がまだ液体の状態で溝に凸部を挿入するステップ、光学パラメータの評価を用いて、または、第1および第2の層の間に非常に正確な物体(640)を導入することにより積層方向において第1および第2のスペーサ部を各々に関して位置決めするステップ、および接着剤を硬化するステップを含んでいてもよい。アレンジとして、光学パラメータの評価を用いて、またはメカニカルアラインメント構造を用いて第1および第2のスペーサ部を横方向の各々に関して位置決めするステップを含んでいてもよい。