(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、以上のような実状に鑑み案出されたもので、電解槽の膨張を抑制することにより、電解電流の低下を抑制して、水素ガスの発生効率を容易に高めることができる電解槽及び電解水生成装置を提供することを主たる目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1発明は、電気分解される水が供給される電解室が形成され、前記電解室内で、互いに対向して配置された陽極給電体及び陰極給電体と、前記陽極給電体と前記陰極給電体とによって挟持され、かつ、前記電解室を前記陽極給電体側の陽極室と、前記陰極給電体側の陰極室とに区分する隔膜とが装着される電解槽であって、前記電解槽は、前記陽極給電体側の第1ケース片と、前記陰極給電体側の第2ケース片とが固着されることにより前記電解室を形成し、前記第1ケース片の前記電解室側を向く内面には、前記陽極給電体に当接する複数の第1凸状部が配設され、前記第2ケース片の前記電解室側を向く内面には、前記陰極給電体に当接する複数の第2凸状部が配設され、前記第1ケース片の外面には、前記第1ケース片を補強する第1補強部材が装着され、前記第2ケース片の外面には、前記第2ケース片を補強する第2補強部材が装着されていることを特徴とする。
【0012】
本発明に係る前記電解槽において、前記第1補強部材は、前記第1ケース片の外面に沿って形成された第1基部と、前記第1基部から起立して形成された第1起立部とを含み、前記第2補強部材は、前記第2ケース片の外面に沿って形成された第2基部と、前記第2基部から起立して形成された第2起立部とを含むことが望ましい。
【0013】
本発明に係る前記電解槽において、前記第1ケース片には、前記電解室の外壁面から外方向に突出する第1リブが形成され、前記第2ケース片には、前記電解室の外壁面から外方向に突出する第2リブが形成されていることが望ましい。
【0014】
本発明に係る前記電解槽において、前記第1リブの先端部は、前記第1基部と当接し、前記第2リブの先端部は、前記第2基部と当接することが望ましい。
【0015】
本発明に係る前記電解槽において、前記第1起立部は、前記第1基部から前記電解槽の内方向に向って突出し、前記第2起立部は、前記第2基部から前記電解槽の内方向に向って突出することが望ましい。
【0016】
本発明に係る前記電解槽において、前記第1リブの側面は、前記第1起立部と当接し、前記第2リブの側面は、前記第2起立部と当接することが望ましい。
【0017】
本発明に係る前記電解槽において、前記第1起立部は、前記第1基部から前記電解槽の外方向に向って突出し、前記第2起立部は、前記第2基部から前記電解槽の外方向に向って突出することが望ましい。
【0018】
本発明に係る前記電解槽において、前記第1リブは、前記電解室内での水の流れに沿う縦方向に垂直な横方向に沿ってのびる第1横リブを含み、前記第2リブは、前記横方向に沿ってのびる第2横リブを含むことが望ましい。
【0019】
本発明に係る前記電解槽において、前記第1横リブ及び第2横リブは、それぞれ複数形成され、前記第1ケース片には、前記外壁面から外方向に隆起し、隣り合う第1横リブ間をつなぐ第1隆起部が形成され、前記第2ケース片には、前記外壁面から外方向に隆起し、隣り合う第2横リブ間をつなぐ第2隆起部が形成されていることが望ましい。
【0020】
本発明に係る前記電解槽において、前記第1リブは、前記第1ケース片の外壁面の端縁に沿ってのびる第1端縁リブを含み、前記第2リブは、前記第2ケース片の外壁面の端縁に沿ってのびる第2端縁リブを含むことが望ましい。
【0021】
本発明に係る前記電解槽において、前記第1横リブの両端は、前記第1端縁リブとつながり、前記第2横リブの両端は、前記第2端縁リブとつながることが望ましい。
【0022】
本発明に係る前記電解槽において、前記第1起立部は、前記電解室内での水の流れに沿う縦方向に垂直な横方向に沿ってのびる第1横起立部を含み、前記第2起立部は、前記横方向に沿ってのびる第2横起立部を含むことが望ましい。
【0023】
本発明に係る前記電解槽において、前記第1起立部は、前記第1補強部材の端縁に沿ってのびる第1端縁起立部を含み、前記第2起立部は、前記第2補強部材の端縁に沿ってのびる第2端縁起立部を含むことが望ましい。
【0024】
本発明に係る前記電解槽において、前記第1補強部材及び第2補強部材は、板金からなることが望ましい。
【0025】
本発明の第2発明は、前記電解槽を備えたことを特徴とする電解水生成装置である。
【発明の効果】
【0026】
本発明の第1発明の電解槽は、第1ケース片の外面には、第1ケース片を補強する第1補強部材が装着され、第2ケース片の外面には、第2ケース片を補強する第2補強部材が装着されている。これにより、電解槽の膨張が抑制されるので、隔膜と各給電体との接触圧力が十分に確保され、隔膜と各給電体との間の接触抵抗が低減される。これに伴い、各給電体に印加する電解電圧を過度に大きくすることなく、十分な電解電流が得られ易くなり、水素ガスの発生効率を容易に高めることが可能となる。
【0027】
本発明の第2発明の電解水生成装置によれば、上記第1発明と同様に、各給電体に印加する電解電圧を過度に大きくすることなく、十分な電解電流が得られ易くなり、水素ガスの発生効率を容易に高めることが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。
図1は、本実施形態の電解水生成装置1の概略構成を示している。電解水生成装置1は、家庭の飲料用及び料理用の水の生成や血液透析の透析液の生成に用いられてもよい。
【0030】
電解水生成装置1は、電気分解される水が供給される電解室40が形成された電解槽4と、電解室40内で、互いに対向して配置された陽極給電体41及び陰極給電体42と、陽極給電体41と陰極給電体42との間に配された隔膜43とを備えている。電解槽4の上流側又は下流側に、別の電解槽が設けられていてもよい。また、電解槽4と並列に、別の電解槽が設けられていてもよい。別に設けられた電解槽についても、電解槽4と同等の構成が適用されうる。
【0031】
隔膜43は、電解室40を陽極給電体41側の陽極室40Aと、陰極給電体42側の陰極室40Bとに区分する。電解室40の陽極室40A及び陰極室40Bの両方に水が供給され、陽極給電体41及び陰極給電体42に直流電圧が印加されることにより、電解室40内で水の電気分解が生ずる。
【0032】
隔膜43は、電気分解で生じたイオンを通過させ、隔膜43を介して陽極給電体41と、陰極給電体42とが電気的に接続される。隔膜43には、例えば、スルホン酸基を有するフッ素系の樹脂材料からなる固体高分子材料が用いられている。
【0033】
固体高分子材料を用いた隔膜43を有する電解槽4では、中性の電解水素水及び電解酸素水が生成される。電解室40内で水が電気分解されることにより、陰極室40Bでは、水素ガスが溶け込んだ電解水素水が得られ、陽極室40Aでは酸素ガスが溶け込んだ電解酸素水が得られる。
【0034】
電解水生成装置1は、電解槽4を制御する制御手段6と、電解槽4の上流側に設けられた入水部7と、電解槽4の下流側に設けられた出水部8とをさらに備えている。
【0035】
制御手段6は、例えば、各種の演算処理、情報処理等を実行するCPU(Central Processing Unit)及びCPUの動作を司るプログラム及び各種の情報を記憶するメモリ等を有している。
【0036】
陽極給電体41と制御手段6との間の電流供給ラインには、電流検出手段44が設けられている。電流検出手段44は、陰極給電体42と制御手段6との間の電流供給ラインに設けられていてもよい。電流検出手段44は、給電体41、42に供給する電解電流を検出し、その値に相当する信号を制御手段6に出力する。
【0037】
制御手段6は、電流検出手段44から入力される信号に基づいて、陽極給電体41と陰極給電体42との間に印加する電圧をフィードバック制御する。例えば、電解電流が過大である場合、制御手段6は、上記電圧を減少させ、電解電流が過小である場合、制御手段6は、上記電圧を増加させる。これにより、給電体41、42に供給する電解電流が適切に制御されうる。
【0038】
入水部7は、給水管71と、流量センサー72と、分岐部73と、流量調整弁74等を有している。給水管71は、例えば、浄水カートリッジ(図示せず)に接続され、浄水カートリッジによって浄化された水が供給された水を電解室40に導く。流量センサー72は、給水管71に設けられている。流量センサー72は、電解室40に供給される水の単位時間あたりの流量(以下、単に「流量」と記すこともある)Fを定期的に検出し、その値に相当する信号を制御手段6に出力する。
【0039】
分岐部73は、給水管71を給水管71a、71bの二方に分岐する。流量調整弁74は、給水管71a、71bを陽極室40A又は陰極室40Bに接続する。陽極室40A及び陰極室40Bに供給される水の流量は、制御手段6の管理下で、流量調整弁74によって調整される。流量調整弁74は、水の利用効率を高めるために、陽極室40A及び陰極室40Bに供給される水の流量を調整する。これにより、陽極室40Aと陰極室40Bとの間で圧力差が生ずる場合がある。
【0040】
本実施形態では、流量センサー72は、分岐部73の上流側に設けられているので、陽極室40Aに供給される水の流量と陰極室40Bに供給される水の流量との総和、すなわち、電解室40に供給される水の流量Fを検出する。
【0041】
出水部8は、流路切替弁81と、吐水管82と、排水管83等を有している。流路切替弁81は、陽極室40A、陰極室40Bを吐水管82又は排水管83に選択的に接続する。電解水生成装置1が血液透析の透析液の生成に用いられる場合、陰極室40Bで生成された電解水素水が吐水管82を介して、濾過処理用の逆浸透膜モジュール及び透析原液を希釈する希釈装置等に供給される。
【0042】
制御手段6は、陽極給電体41及び陰極給電体42に印加する直流電圧の極性を制御する。例えば、制御手段6は、流量センサー72から入力される信号に基づいて、電解室40に供給される水の流量Fを積算し、所定の流量に達すると陽極給電体41及び陰極給電体42に印加する直流電圧の極性を切り替える。これに伴い、陽極室40Aと陰極室40Bとが相互に入れ替わる。直流電圧の極性の切り替えにあたっては、制御手段6は、流量調整弁74及び流路切替弁81を同期して動作させる。これにより、陰極室40Bと吐水管82とが常に接続され、陰極室40Bで生成された電解水素水が吐水管82から吐出される。
【0043】
図2は、電解槽4の組立て斜視図である。電解槽4は、陽極給電体41側の第1ケース片50と、陰極給電体42側の第2ケース片60と、第1ケース片50の外面に装着される第1補強部材110と、第2ケース片60の外面に装着される第2補強部材120とを有している。互いに対向して配置された第1ケース片50と第2ケース片60とが固着されることにより、その内部に電解室40(
図1参照)が形成される。
【0044】
電解槽4は、電解室40内に、陽極給電体41、隔膜43及び陰極給電体42が重ねられてなる積層体45を収容している。
【0045】
陽極給電体41及び陰極給電体42は、それぞれ、その板厚方向で水が行き来可能に構成されている。陽極給電体41及び陰極給電体42には、例えば、エクスパンドメタル等の網状の金属が適用されうる。このような、網状の陽極給電体41及び陰極給電体42は、隔膜43を挟持しながら、隔膜43の表面に水を行き渡らせることができ、電解室40内での電気分解を促進する。本実施形態では、陽極給電体41及び陰極給電体42として、チタニウム製のエクスパンドメタルの表面に白金のめっき層が形成されたものが適用されている。白金のめっき層は、チタニウムの酸化を防止する。
【0046】
陽極給電体41には、第1ケース片50を貫通して電解槽4の外部に突出する端子41aが設けられている。端子41aには、例えば、封止部材41b、ブッシュ41c、ナット41d、41eを介して端子41fが装着される。同様に、陰極給電体42にも、第2ケース片60を貫通して電解槽4の外部に突出する端子42aが設けられている。端子42aには、例えば、封止部材42b、ブッシュ42c、ナット42d、42eを介して端子42fが装着される。端子41f、42fは、
図1に示される制御手段6に接続されている。端子41a、42a及び41f、42fを介して、陽極給電体41及び陰極給電体42に直流電圧が印加される。
【0047】
固体高分子材料を用いた隔膜43を有する電解槽4では、中性の電解水が生成される。隔膜43の両面には、白金からなるめっき層43aが形成されている。めっき層43aと陽極給電体41及び陰極給電体42とは、当接し、電気的に接続される。
【0048】
隔膜43は、電解室40内で、陽極給電体41及び陰極給電体42によって挟持されている。従って、隔膜43の形状は陽極給電体41及び陰極給電体42によって保持されている。このような、隔膜43の保持構造によれば、陽極室40Aと陰極室40Bとの間に生ずる圧力差に起因する応力の大部分は、陽極給電体41及び陰極給電体42によって負担され、隔膜43にかかる応力は減少する。これにより、陽極室40Aと陰極室40Bとの間で大きな圧力差が生ずる状態で電解水生成装置1を動作させても、隔膜43には大きな応力が生じない。従って、隔膜43の損傷を抑制し、水の利用効率を容易に高めることが可能となる。
【0049】
また、隔膜43が陽極給電体41及び陰極給電体42で挟持されているので、隔膜43のめっき層43aと陽極給電体41との間及びめっき層43aと陰極給電体42との間での接触抵抗が減少し、電圧降下が抑制される。これにより、十分な電解電流Iによって電解室40内での電気分解が促進され、高い溶存水素濃度の電解水素水が生成可能となる。
【0050】
図2に示されるように、陽極給電体41及び陰極給電体42の外周縁の外側には、第1ケース片50と第2ケース片60との合わせ面からの水漏れを防止するための封止部材46が設けられている。隔膜43の外周部は、封止部材46によって挟持されている。
【0051】
各ケース片50及び60は、例えば、ABS(アクリロニトリルブタジエンスチレン)やPPS(ポリフェニレンサルファイド)等の樹脂によって形成されている。各ケース片50及び60は、電解室40内での水の流れに沿う縦方向Vに長い長方形状に形成されている。これに伴い、電解室40は、縦方向Vに長い長方形状に形成されている。このような縦長形状の電解室40によって、電解槽4内での流路が長くなる。その結果、陰極室40Bで発生した水素ガスが、陰極室40B内の水に溶け込みやすくなり、溶存水素濃度を高めることができる。
【0052】
図3(a)は、電解室40側を向く内面側から視た第1ケース片50の斜視図であり、
図3(b)は、外面側から視た第1ケース片50の斜視図である。一方、
図4(a)は、電解室40側を向く内面側から視た第2ケース片60の斜視図であり、
図4(b)は、外面側から視た第2ケース片60の斜視図である。
【0053】
図3、4に示されるように、第1ケース片50及び第2ケース片60の内面の外縁部には、第1ケース片50と第2ケース片60とを固着するための合わせ面51、61が形成されている。合わせ面51、61の内側には、内壁が合わせ面51、61から第1ケース片50、第2ケース片60の厚さ方向に陥没することにより、電解部52、62が設けられている。電解部52は陽極室40Aを構成し、電解部62は陰極室40Bを構成する。
【0054】
第1ケース片50の内面には、複数の第1凸状部53が配設されている。各第1凸状部53は、電解部52を縦方向Vにのび、縦方向Vに垂直な横方向Hに並べて配設されている。一方、第2ケース片60の内面には、複数の第2凸状部63が配設されている。各第2凸状部63は、電解部62を縦方向Vにのび、横方向Hに並べて配設されている。このような第1凸状部53及び第2凸状部63は、電解室40内を縦方向Vに流れる水の移動を阻害しない。
【0055】
各第1凸状部53は、陽極室40Aで陽極給電体41と当接し、陽極給電体41を第2ケース片60の側に押圧する。一方、各第2凸状部63は、陰極室40Bで陰極給電体42と当接し、陰極給電体42を第1ケース片50の側に押圧する。従って、各第1凸状部53及び各第2凸状部63によって、積層体45は、その両面から挟持される。第1凸状部53及び第2凸状部63の形状及び配置は、任意である。例えば、各第1凸状部53及び各第2凸状部63は、上記特許文献1の
図4に示されるように、積層体を挟んで電解室の横方向に交互に配設されていてもよく、該文献の
図8に示されるように、積層体を挟んで対向するように配設されていてもよい。また、第1凸状部53及び第2凸状部63は、上記特許文献1の
図9及び10に示される形態であってもよい。
【0056】
図2に示されるように、各ケース片50及び60の外面には、第1補強部材110及び第2補強部材120が装着されている。本実施形態では、例えば、ステンレス鋼等の金属を板金加工することにより、第1補強部材110及び第2補強部材120が構成されている。第1補強部材110及び第2補強部材120は、ねじ95等を介して、第1ケース片50及び第2ケース片60に固着される。第1補強部材110には、ねじ95に対応する雌ねじ119が形成されている。これにより、第1ケース片50と第2ケース片60との接合にナット等が不要となり、電解槽4の部品点数が削減されると共に、電解槽4の生産性が向上しうる。
【0057】
第1補強部材110は、第1ケース片50を補強する。第2補強部材120は、第2ケース片60を補強する。第1補強部材110及び第2補強部材120により、第1ケース片50及び第2ケース片60の変形すなわち電解槽4の膨張が抑制されるので、隔膜43と各給電体41、42との接触圧力が十分に確保され、隔膜43と各給電体41、42との間の接触抵抗が低減される。これに伴い、各給電体41、42に印加する電解電圧を過度に大きくすることなく、十分な電解電流Iが得られ易くなり、水素ガスの発生効率を容易に高めることが可能となる。
【0058】
電解槽4には、L字状の継手91、92、93、94が設けられている。継手91、92は、第1ケース片50、第2ケース片60の下部に装着され、上記流量調整弁74と接続される。継手93、94は、第1ケース片50、第2ケース片60の上部に装着され、上記流路切替弁81と接続される。電解水生成装置1への通水を開始することにより、陽極室40A及び陰極室40Bの下部から上部に向かって、大局的な水の流れが生ずる。
【0059】
陰極室40Bにて発生した水素ガスは、微小な気泡となって陰極室40Bの上方に移動する。本実施形態では、水素ガスの移動方向と大局的に水が流れる方向が一致するため、水素分子が水に溶け込み易くなり、溶存水素濃度が高められる。
【0060】
図5(a)は、第1ケース片50側を向く内面側から視た第1補強部材110の斜視図であり、
図5(b)は、外面側から視た第1補強部材110の斜視図である。一方、
図6(a)は、第2ケース片60側を向く内面側から視た第2補強部材120の斜視図であり、
図6(b)は、外面側から視た第2補強部材120の斜視図である。
【0061】
図5、6に示されるように、第1補強部材110は、第1ケース片50の外面に沿って形成された第1基部111と、第1基部111から起立して形成された第1起立部112とを含む。第1起立部112によって第1補強部材110の剛性が高められるので、電解槽4の膨張がより一層抑制され、もって水素ガスの発生効率がさらに向上する。
【0062】
同様に、第2補強部材120は、第2ケース片60の外面に沿って形成された第2基部121と、第2基部121から起立して形成された第2起立部122とを含む。第2起立部122によって第2補強部材120の剛性が高められるので、電解槽4の膨張がより一層抑制され、もって水素ガスの発生効率がさらに向上する。
【0063】
第1起立部112は、縦方向Vに垂直な横方向Hに沿ってのびる第1横起立部113と、第1補強部材110の端縁に沿ってのびる第1端縁起立部114とを含む。同様に、第2起立部122は、縦方向Vに垂直な横方向Hに沿ってのびる第2横起立部123と、第2補強部材120の端縁に沿ってのびる第2端縁起立部124とを含む。このような第1補強部材110及び第2補強部材120は、金属板をプレス成形することにより容易に形成できる。
【0064】
例えば、第1横起立部113は、第1基部111を部分的に切り起こすことにより形成される。これに伴い、第1基部111には、貫通孔115が開口される。本実施形態では、複数の第1横起立部113及び貫通孔115が、縦方向Vに並べて配設されている。そして、貫通孔115の縦方向Vの両端に一対の第1横起立部113が形成されている。同様に、第2横起立部123は、第2基部121を部分的に切り起こすことにより形成される。これに伴い、第2基部121には、貫通孔125が開口される。第2横起立部123及び貫通孔125の配列については、第1横起立部113及び貫通孔115と同様である。
【0065】
第1補強部材110には、第1横起立部113と、第1端縁起立部114とが形成されている形態が望ましいが、第1横起立部113及び第1端縁起立部114のうち、少なくとも一方が形成されていてもよい。第1横起立部113によって、第1補強部材110の横方向Hすなわち短手方向の曲げ剛性が高められ、電解槽4の膨張がより一層抑制される。第1端縁起立部114によって、第1補強部材110の端縁近傍の曲げ剛性が高められ、電解槽4の膨張がより一層抑制される。第1横起立部113及び第1端縁起立部114についても、同様である。
【0066】
上記第1横起立部113に替えて、縦方向Vに沿ってのびる第1縦起立部が第1補強部材110に形成されていてもよい。この場合、第1補強部材110の縦方向Vすなわち長手方向の曲げ剛性が高められ、電解槽4の膨張が抑制されうる。同様に、上記第2横起立部123に替えて、縦方向Vに沿ってのびる第2縦起立部が第2補強部材120に形成されていてもよい。
【0067】
図3に示されるように、第1ケース片50には、第1リブ54が形成されている。第1リブ54は、電解室40の第1ケース片50の外壁面50aから電解槽4の外方向に突出する。第1リブ54によって、第1ケース片50の剛性が高められ、電解槽4の膨張がより一層抑制され、もって水素ガスの発生効率がさらに向上する。
【0068】
第1リブ54は、横方向Hに沿ってのびる第1横リブ55と、第1ケース片50の外壁面50aの端縁に沿ってのびる第1端縁リブ56とを含む。
【0069】
第1ケース片50には、第1横リブ55と、第1端縁リブ56とが形成されている形態が望ましいが、第1横リブ55及び第1端縁リブ56のうち、いずれか一方が形成されていてもよい。第1横リブ55によって、第1ケース片50の横方向Hすなわち短手方向の曲げ剛性が高められ、電解槽4の膨張がより一層抑制される。第1端縁リブ56によって、第1ケース片50の端縁近傍の曲げ剛性が高められ、電解槽4の膨張がより一層抑制される。
【0070】
本実施形態では、複数の第1横リブ55は、縦方向Vに並べて配設されている。隣り合う第1横リブ55の間には、第1ケース片50の外壁面50aから隆起する第1隆起部57が形成されている。第1隆起部57は、隣り合う第1横リブ55間をつなぎ、第1ケース片50の剛性をより一層高める。第1隆起部57は、第1端縁リブ56につながっていてもよい。
【0071】
本実施形態では、封止部材46を収容するために第1ケース片50の内面側に形成されている溝部に対応する箇所に、第1隆起部57が形成されている。すなわち、第1隆起部57は、第1横リブ55の横方向の両端部に設けられている。第1隆起部57は、第1横リブ55の横方向の中央部に設けられていてもよい。この場合、第1ケース片50の横方向の中央部の剛性を効果的に高めることができる。
【0072】
第1横リブ55の横方向の両端は、第1端縁リブ56につながっている。これにより、第1横リブ55と第1端縁リブ56とによって連続する閉じた断面が構成され、第1ケース片50の剛性がより一層高められる。
【0073】
上記第1横リブ55に替えて、又は第1横リブ55に加えて、縦方向Vに沿ってのびる第1縦リブが第1ケース片50の外壁面50aに形成されていてもよい。この場合、第1ケース片50の縦方向Vすなわち長手方向の曲げ剛性が高められ、電解槽4の膨張が抑制されうる。
【0074】
図4に示されるように、第2ケース片60には、第2リブ64が形成されている。第2リブ64は、電解室40の第2ケース片60の外壁面60aから電解槽4の外方向に突出する。第2リブ64によって、第2ケース片60の剛性が高められ、電解槽4の膨張がより一層抑制され、もって水素ガスの発生効率がさらに向上する。
【0075】
第2リブ64は、横方向Hに沿ってのびる第2横リブ65と、第2ケース片60の外壁面60aの端縁に沿ってのびる第2端縁リブ66とを含む。
【0076】
第2ケース片60には、第2横リブ65と、第2端縁リブ66とが形成されている形態が望ましいが、第2横リブ65及び第2端縁リブ66のうち、いずれか一方が形成されていてもよい。第2横リブ65及び第2端縁リブ66の作用効果については、第1横リブ55及び第1端縁リブ56と同等である。
【0077】
本実施形態では、複数の第2横リブ65は、縦方向Vに並べて配設されている。隣り合う第2横リブ65の間には、第2ケース片60の外壁面60aから隆起する第2隆起部67が形成されている。第2隆起部67は、隣り合う第2横リブ65間をつなぎ、第2ケース片60の剛性をより一層高める。第2隆起部67の構成及び作用効果については、第1隆起部57と同等である。
【0078】
第2横リブ65の横方向の両端は、第2端縁リブ66につながっている。これにより、第2横リブ65と第2端縁リブ66とによって連続する閉じた断面が構成され、第2ケース片60の剛性がより一層高められる。
【0079】
上記第2横リブ65に替えて、又は第2横リブ65に加えて、縦方向Vに沿ってのびる第2縦リブが第2ケース片60の外壁面60aに形成されていてもよい。この場合、第2ケース片60の縦方向Vすなわち長手方向の曲げ剛性が高められ、電解槽4の膨張が抑制されうる。
【0080】
図7は、縦方向Vで切断された電解槽4の断面図である。第1補強部材110が第1ケース片50に装着されると、第1リブ54の先端部54aは、第1基部111に内接する。これにより、第1補強部材110と第1ケース片50とが強固に接合されると共に、第1リブ54と第1基部111とによって連続する閉じた断面が構成され、第1リブ54及び第1補強部材110による補強効果がより一層高められる。第2補強部材120が第2ケース片60に装着されると、第2リブ64の先端部64aは、第2基部121に内接する。第2リブ64の先端部64aの構成及び作用効果についても、第1リブ54の先端部54aと同様である。
【0081】
本実施形態では、第1補強部材110の第1起立部112は、第1基部111から電解槽4の内方向に向って突出する。第1補強部材110が第1ケース片50に装着されたとき、第1起立部112のうち、第1横起立部113は、隣り合う第1横リブ55の間に位置される。一方、第1端縁起立部114は、第1端縁リブ56の外側に位置される。これにより、電解槽4の厚さを抑制しつつ、電解槽4の膨張を抑制することが可能となる。
【0082】
同様に、第2補強部材120の第2起立部122は、第2基部121から電解槽4の内方向に向って突出する。これにより、上記第1起立部112と同様に、電解槽4の厚さを抑制しつつ、電解槽4の膨張を抑制することが可能となる。
【0083】
第1リブ54のうち、第1横リブ55の側面は、第1横起立部113と当接するように構成されていてもよい。また、第1端縁リブ56の側面は、第1端縁起立部114と当接するように構成されていてもよい。これにより、電解槽4の膨張時に、第1リブ54の側面と第1起立部112とが一体的に変形して大きな応力を発生し、電解槽4の膨張を抑制することが可能となる。第2横リブ65の側面及び第2端縁リブ66の側面についても、上記第1横リブ55の側面及び第1端縁リブ56の側面と同様である。
【0084】
図3及び7に示されるように、第1ケース片50には、端子41aを第1ケース片50の外部に突出させるため貫通孔58が形成されている。貫通孔58の縦方向Vの両側には、一対の第3リブ59が形成されている。第3リブ59は、第1横リブ55と平行に形成されている。
【0085】
第3リブ59の高さ、すなわち、第1ケース片50の外壁面50aからの突出し量は、第1リブ54の高さよりも大きい。このため、第3リブ59の先端部59aは、第1補強部材110の貫通孔115aから第1補強部材110の外側に突出している。これにより、端子41a、ナット41e及び端子42f等と第1補強部材110との接触が回避され、両者間での短絡が防止される。
【0086】
図4及び7に示されるように、第2ケース片60には、貫通孔68及び一対の第4リブ69が形成されている。貫通孔68及び第4リブ69の構成及び作用効果については、貫通孔58及び第3リブ59と同等である。
【0087】
以上、本実施形態の電解水生成装置1が詳細に説明されたが、本発明は上記の具体的な実施形態に限定されることなく種々の態様に変更して実施される。すなわち、電解水生成装置1は、少なくとも、電気分解される水が供給される電解室40が形成された電解槽4と、電解室40内で、互いに対向して配置された陽極給電体41及び陰極給電体42と、陽極給電体41と陰極給電体42との間に配され、電解室40を陽極給電体41側の陽極室40Aと、陰極給電体42側の陰極室40Bとに区分する隔膜43とを備え、隔膜43が、陽極給電体41及び陰極給電体42で挟持され、電解槽4は、陽極給電体41側の第1ケース片50と、陰極給電体42側の第2ケース片60とが固着されることにより電解室40を形成し、第1ケース片50の電解室40側を向く内面には、陽極給電体41に当接する複数の第1凸状部53が配設され、第2ケース片60の電解室40側を向く内面には、陰極給電体42に当接する複数の第2凸状部63が配設され、第1ケース片50の外面には、第1ケース片50を補強する第1補強部材110が装着され、第2ケース片60の外面には、第2ケース片60を補強する第2補強部材120が装着されていればよい。
【0088】
図8、9、10及び11は、電解槽4の変形例を示している。同図に示される変形例のうち、以下で説明されてない部分については、上述した電解槽4の構成が採用されうる。
図8(a)に示される電解槽4Aでは、第1ケース片50A及び第2ケース片60Aが、第1補強部材110A及び第2補強部材120Aと組み合わせられて適用されている。第1ケース片50A及び第2ケース片60Aでは、第1リブ54及び第2リブ64が廃されている。第1補強部材110A及び第2補強部材120Aでは、第1起立部112、貫通孔115及び第2起立部122、貫通孔125が廃されている。第1ケース片50A及び第2ケース片60Aに替えて、第1ケース片50及び第2ケース片60が、第1補強部材110A及び第2補強部材120Aと組み合わせられて適用されていてもよい(図示省略)。
【0089】
図8(b)に示される電解槽4Bでは、第1リブ54及び第2リブ64が廃された第1ケース片50A及び第2ケース片60Aが、第1補強部材110及び第2補強部材120と組み合わせて適用されている。第1補強部材110は、第1横起立部113の先端部が第1ケース片50Aに外接するように装着されている。一方、第2補強部材120は、第2横起立部123の先端部が第2ケース片60Aに外接するように装着されている。
【0090】
図8(c)に示される電解槽4Cでは、第1リブ54及び第2リブ64が廃された第1ケース片50A及び第2ケース片60Aが、第1補強部材110及び第2補強部材120と組み合わせて適用されている。電解槽4Cでは、電解槽4Bと比較すると、第1補強部材110及び第2補強部材120の装着向きが異なる。すなわち、第1補強部材110は、第1基部111が第1ケース片50Aに外接するように装着されている。これにより、第1補強部材110の第1横起立部116は、第1基部111から電解槽4Cの外方向に向って突出する。一方、第2補強部材120は、第2基部121が第2ケース片60Aに外接するように装着されている。これにより、第2補強部材120の第2横起立部126は、第2基部121から電解槽4Cの外方向に向って突出する。
【0091】
図9(a)に示される電解槽4Dでは、
図7等に示される電解槽4と比較すると、第1補強部材110及び第2補強部材120の装着向きが異なる。すなわち第1補強部材110は、第1横起立部116が第1基部111から電解槽4Dの外方向に向って突出する向きに装着される。同様に、第2補強部材120は、第2横起立部126が第2基部121から電解槽4Dの外方向に向って突出する向きに装着される。上述した構成の電解槽4Dによれば、電解槽4と同等の第1リブ54、第2リブ64及び第1横起立部116、第2横起立部126を用いつつ、電解槽全体での断面二次モーメントを高めることができる。
【0092】
図9(b)に示される電解槽4Eでは、貫通孔115の縦方向Vの一端に第1横起立部113が形成されている第1補強部材110E及び貫通孔125の縦方向Vの一端に第2横起立部123が形成されている第2補強部材120Eが適用されている。第1補強部材110Eは、第1ケース片50に外接するように装着される。第1補強部材110Eは、第1横起立部113が第1基部111から電解槽Eの内方向に向って突出する向きに装着される。一方、第2補強部材120Eは、第2ケース片60に外接するように装着される。第2補強部材120Eは、第2横起立部123が第2基部121から電解槽4Eの内方向に向って突出する向きに装着される。
【0093】
図9(c)に示される電解槽4Fでは、第1リブ54及び第2リブ64が廃された第1ケース片50A及び第2ケース片60Aが、第1補強部材110E及び第2補強部材120Eと組み合わせて適用されている。第1補強部材110Eは、第1基部111が第1ケース片50Aに外接するように装着されている。これにより、第1補強部材110Eの第1横起立部116は、第1基部111から電解槽4Fの外方向に向って突出する。一方、第2補強部材120Eは、第2基部121が第2ケース片60Aに外接するように装着されている。これにより、第2補強部材120Eの第2横起立部126は、第2基部121から電解槽4Fの外方向に向って突出する。
【0094】
図10(a)に示される電解槽4Gでは、
図9(b)に示される電解槽4Eと比較すると、第1補強部材110E及び第2補強部材120Eの装着向きが異なる。すなわち第1補強部材110Eは、第1横起立部116が第1基部111から電解槽4Gの外方向に向って突出する向きに装着される。同様に、第2補強部材120Eは、第2横起立部126が第2基部121から電解槽4Gの外方向に向って突出する向きに装着される。
【0095】
図10(b)に示される電解槽4Hでは、第1ケース片50及び第2ケース片60に第1補強部材110H及び第2補強部材120Hが組み合わせて適用されている。第1補強部材110Hは、貫通孔115の縦方向Vの一端に第1横起立部113が形成され、他端に第1横起立部116が形成されている。第1横起立部113は、第1基部111から電解槽4Hの内方向に向って突出し、第1横起立部116は、第1基部111から電解槽4Hの外方向に向って突出する。同様に、第2補強部材120Hは、貫通孔125の縦方向Vの一端に第2横起立部123が形成され、他端に第2横起立部126が形成されている。第2横起立部123は、第2基部121から電解槽4Hの内方向に向って突出し、第2横起立部126は、第2基部121から電解槽4Hの外方向に向って突出する。
【0096】
上記電解槽4乃至4Hでは、第1ケース片50に一体に形成された第1補強部材110乃至110Hが装着され、第2ケース片60に一体に形成された第2補強部材120乃至120Eが装着されている。
【0097】
図10(c)に示される電解槽4Iでは、第1ケース片50に複数片に分割された第1補強部材110Iが装着され、第2ケース片60に複数片に分割された第2補強部材120Iが装着されている。各第1補強部材110I及び第2補強部材120Iは、第1ケース片50及び第2ケース片60の外面の全体にわたって配設される形態に限られず、剛性が不足する箇所に限定的に配設されていてもよい。この構成によれば、第1補強部材110Iの第1基部111及び第1起立部112の設計自由度が高まり、容易に電解槽4Iの剛性を高めることが可能となる。第2補強部材120Iについても、同様である。
【0098】
電解槽4A乃至4Hの特徴と、電解槽4Iの特徴とが、組み合わせられてもよい。すなわち、電解槽4A乃至4Hに適用されている第1補強部材110、110A、110E、110H及び第2補強部材120、120A、120E、120Hが複数片に分割されていてもよい。
【0099】
図11(a)に示される電解槽4Jでは、第1ケース片50及び第2ケース片60に第1補強部材110J及び第2補強部材120Jが組み合わせて適用されている。第1補強部材110及び第2補強部材120と比較すると、第1補強部材110J及び第2補強部材120Jでは、第1起立部112及び第2起立部122が廃されている。第1補強部材110Jは、第1基部111に第1リブ54を挿通させるための貫通孔115を有する。第2補強部材120Jは、第2基部121に第2リブ64を挿通させるための貫通孔125を有する。
【0100】
図11(b)に示される電解槽4Kでは、第1ケース片50及び第2ケース片60に第1補強部材110K及び第2補強部材120Kが組み合わせて適用されている。第1補強部材110Kは、貫通孔115の縦方向Vの一端に、第1起立部112を有する。第2補強部材120Kは、貫通孔125の縦方向Vの一端に、第2起立部122を有する。
【0101】
図11(c)に示される電解槽4Lでは、第1ケース片50及び第2ケース片60に第1補強部材110L及び第2補強部材120Lが組み合わせて適用されている。第1補強部材110Kは、貫通孔115の縦方向Vの両端に、第1起立部112を有する。第2補強部材120Kは、貫通孔125の縦方向Vの両端に、第2起立部122を有する。