特許第6182185号(P6182185)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6182185
(24)【登録日】2017年7月28日
(45)【発行日】2017年8月16日
(54)【発明の名称】乗物用シート
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/44 20060101AFI20170807BHJP
【FI】
   B60N2/44
【請求項の数】11
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-151558(P2015-151558)
(22)【出願日】2015年7月31日
(65)【公開番号】特開2017-30477(P2017-30477A)
(43)【公開日】2017年2月9日
【審査請求日】2016年6月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000220066
【氏名又は名称】テイ・エス テック株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116034
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 啓輔
(74)【代理人】
【識別番号】100144624
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 達也
(74)【代理人】
【識別番号】100195224
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 宏憲
(72)【発明者】
【氏名】沖村 篤
(72)【発明者】
【氏名】池田 敬基
(72)【発明者】
【氏名】西村 和久
【審査官】 森林 宏和
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−086643(JP,A)
【文献】 特開2014−034247(JP,A)
【文献】 特開2010−089735(JP,A)
【文献】 特開2009−090963(JP,A)
【文献】 実開昭61−155238(JP,U)
【文献】 特開2004−306835(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/00 − 2/72
A47C 7/00 − 7/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに左右に離間して配置された一対のサイドフレームと、
一方の前記サイドフレームに設けられた板金からなる第1ブラケットと、
前記第1ブラケットの一方の前記サイドフレームの左右方向外側に配置された部分と、当該一方のサイドフレームとの間に配置され、前記第1ブラケットに固定された電装部品とを備え
前記第1ブラケットは、前記サイドフレームに直接固定されておらず、ワイヤからなる第2ブラケットを介して前記サイドフレームに固定されており、前記サイドフレームから左右方向外側に離間した状態で配置されていることを特徴とする乗物用シート。
【請求項2】
前記第2ブラケットは、前記第1ブラケットから下方かつ左右方向内側に延びる第1接続部および第2接続部と、前記第1接続部の下端から延びる第1連結部と、前記第2接続部の下端から延びる第2連結部とを有し、前記第1連結部および前記第2連結部が前記サイドフレームに固定されていることを特徴とする請求項1に記載の乗物用シート。
【請求項3】
前記電装部品は、ユーザにより操作される操作部を有し、
前記第1ブラケットは、前記操作部を露出させる開口部と、前記開口部の縁に設けられた突起とを有し、
前記突起は、第1ブラケットの左右方向内側に向けて突出しており、
前記電装部品は、左右方向外側に向けて開口し、前記突起が係合する突起係合部を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の乗物用シート。
【請求項4】
前記電装部品は、ネジで前記第1ブラケットに固定されていることを特徴とする請求項3に記載の乗物用シート。
【請求項5】
前記第1ブラケットは、前記ネジを通すための左右方向に貫通した孔部を有し、
前記電装部品は、左右方向外側に向けて開口し、前記孔部を通った前記ネジが螺挿されるネジ穴を有することを特徴とする請求項4に記載の乗物用シート。
【請求項6】
前記第1ブラケットの外側に配置されるカバー本体を有するカバーを備え、
前記カバーは、前記電装部品と係合して当該カバーを前記電装部品に固定する第1係合部および第2係合部を有し、
前記第1係合部と前記第2係合部は、前記開口部の縁の一辺に沿って並ぶように設けられており、
前記突起は、前記第1係合部と前記第2係合部の間に配置されていることを特徴とする請求項3から請求項5のいずれか1項に記載の乗物用シート。
【請求項7】
前記第2ブラケットは、左右方向から見て、下側に開口したU字形状を有することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の乗物用シート。
【請求項8】
下側に開口したJ字形状に屈曲する支持ワイヤを備え、
前記サイドフレームは、下部に、上部よりも前に向けて張り出す張出部を有し、
前記支持ワイヤは、一端部が前記サイドフレームの上部に連結され、他端部が前記張出部に連結されており、
前記第2ブラケットは、一端部が前記支持ワイヤの上部に連結され、他端部が前記サイドフレームに連結されていることを特徴とする請求項7に記載の乗物用シート。
【請求項9】
前記第2ブラケットは、左右方向から見て、前記第1ブラケットの外周に沿って配置されていることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の乗物用シート。
【請求項10】
互いに左右に離間して配置された一対のサイドフレームと、
一方の前記サイドフレームに設けられた板金からなる第1ブラケットと、
前記第1ブラケットの一方の前記サイドフレームの左右方向外側に配置された部分と、当該一方のサイドフレームとの間に配置され、前記第1ブラケットに固定された電装部品とを備え
前記第1ブラケットは、ワイヤからなる第2ブラケットを介して前記サイドフレームに固定され、前記サイドフレームから離間しており、
前記第2ブラケットは、左右方向から見て前記第1ブラケットを囲むように配置されていることを特徴とする乗物用シート。
【請求項11】
前記第1ブラケットは、左右方向内側の縁から左右方向内側に向けて突出する3つの接合片を有し、前記接合片の長手方向中央が前記第2ブラケットに溶接されていることを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の乗物用シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電装部品が側面に配置された乗物用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
乗物用シートとして、例えば、特許文献1には、車両用シートを前後方向にスライド移動させるためのスイッチ(電装部品)が、シートバックの側面の上部に配置されたものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−86643号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年、乗物用シートには、電装部品など多くの部品が設けられるようになっているため、これらの部品をコンパクトに配置することが望まれている。
【0005】
そこで、本発明は、電装部品をコンパクトに配置することができる乗物用シートを提供することを目的とする。
また、本発明は、電装部品の設計の自由度を向上させたり、組み付け作業性を向上させたりすることができる乗物用シートを提供することを目的とする。
また、本発明は、電装部品を固定するブラケットを保護することができる乗物用シートを提供することを目的とする。
また、本発明は、電装部品をブラケットの左右方向内側からブラケットに組み付けることができる乗物用シートを提供することを目的とする。
また、本発明は、取付強度を向上させることができる乗物用シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記した目的を達成するため、本発明の乗物用シートは、互いに左右に離間して配置された一対のサイドフレームと、一方の前記サイドフレームに設けられた板金からなる第1ブラケットと、前記第1ブラケットの一方の前記サイドフレームの左右方向外側に配置された部分と、当該一方のサイドフレームとの間に配置され、前記第1ブラケットに固定された電装部品とを備えることを特徴とする。
【0007】
このような構成によれば、電装部品が、第1ブラケットの一方のサイドフレームの左右方向外側に配置された部分と、一方のサイドフレームとの間に配置されているので、電装部品をコンパクトに配置することができる。
【0008】
前記した乗物用シートにおいて、前記第1ブラケットは、ワイヤからなる第2ブラケットを介して前記サイドフレームに固定され、前記サイドフレームから離間している構成とすることができる。
【0009】
これによれば、電装部品を第1ブラケットの左右方向内側から第1ブラケットに組み付けることが可能となるので、電装部品の設計の自由度を向上させたり、組み付け作業性を向上させたりすることができる。
【0010】
前記した乗物用シートにおいて、前記第2ブラケットは、左右方向から見て前記第1ブラケットを囲むように配置されている構成とすることができる。
【0011】
これによれば、第2ブラケットによって第1ブラケットを保護することができる。また、第2ブラケットはワイヤからなるため、第1ブラケットを囲むように配置することで、R形状を容易に形成することができる。
【0012】
前記した乗物用シートにおいて、前記電装部品は、ユーザにより操作される操作部を有し、前記第1ブラケットは、前記操作部を露出させる開口部を有する構成とすることができる。
【0013】
前記した乗物用シートにおいて、前記第1ブラケットは、前記開口部の縁に、前記電装部品と係合する突起を有する構成とすることができる。
【0014】
これによれば、電装部品を突起に係合させることで、電装部品を第1ブラケットに仮止めしておくことが可能となるので、電装部品の組み付け作業性を向上させることができる。
【0015】
前記した乗物用シートにおいて、前記突起は、第1ブラケットの左右方向内側に向けて突出している構成とすることができる。
【0016】
これによれば、電装部品を第1ブラケットの左右方向内側から第1ブラケットに組み付けることができる。
【0017】
前記した乗物用シートにおいて、前記第1ブラケットの外側にカバーを備え、当該カバーは、前記電装部品に固定されている構成とすることができる。
【0018】
前記した乗物用シートにおいて、前記カバーは、前記電装部品と係合して当該カバーを前記電装部品に固定する第1係合部および第2係合部を有し、前記第1係合部と前記第2係合部は、前記突起を挟むように配置されている構成とすることができる。
【0019】
これによれば、仮止め箇所の両側でカバーを電装部品に固定できるので、カバーの取付強度を向上させることができる。
【0020】
前記した乗物用シートにおいては、左右方向から見て、前記第1ブラケットの外周に沿って配置された第1補強部材を備える構成とすることができる。
【0021】
これによれば、第1補強部材によって第1ブラケットを保護することができる。
【0022】
前記した乗物用シートにおいて、前記第1補強部材は、左右方向から見て、下側に開口したU字形状を有する構成とすることができる。
【0023】
前記した乗物用シートにおいては、前記サイドフレームに設けられた、第2補強部材を備え、前記第1補強部材は、前記第2補強部材に連結されている構成とすることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、電装部品をコンパクトに配置することができる。
【0025】
また、本発明によれば、第1ブラケットを第2ブラケットを介してサイドフレームに固定し、サイドフレームから離間させることで、電装部品の設計の自由度を向上させたり、組み付け作業性を向上させたりすることができる。
【0026】
また、本発明によれば、第2ブラケットを第1ブラケットを囲むように配置することで、第2ブラケットによって第1ブラケットを保護することができる。
【0027】
また、本発明によれば、第1ブラケットの開口部の縁に電装部品と係合する突起を設けることで、電装部品の組み付け作業性を向上させることができる。
【0028】
また、本発明によれば、突起を第1ブラケットの左右方向内側に向けて突出させて設けることで、電装部品を第1ブラケットの左右方向内側から第1ブラケットに組み付けることができる。
【0029】
また、本発明によれば、カバーに、当該カバーを電装部品に固定する第1係合部と第2係合部を突起を挟むように設けることで、カバーの取付強度を向上させることができる。
【0030】
また、本発明によれば、第1ブラケットの外周に沿って配置される第1補強部材を設けることで、第1補強部材によって第1ブラケットを保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】実施形態に係る乗物用シートとしての車両用シートの斜視図である。
図2】車両用シートに内蔵されるシートフレームの斜視図である。
図3】シートフレームを構成する左のサイドフレームと支持ワイヤを左右方向内側から見た斜視図である。
図4】サイドフレームの上部、第1ブラケット、スイッチユニットおよびカバーの斜視図である。
図5】第1ブラケットの斜視図である。
図6】スイッチ組立体が取り付けられたサイドフレームの上部の側面図である。
図7】スイッチユニットの斜視図である。
図8図6のA−A断面図(a)と、B−B断面図(b)である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の一実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明において、前後、左右、上下は、乗物用シートに座るユーザを基準とする。
【0033】
図1に示すように、本実施形態に係る乗物用シートは、自動車で使用される車両用シートSであり、シートクッションS1と、シートバックS2と、ヘッドレストS3とを備えて構成されている。シートバックS2の一方の側面には、スイッチSW1,SW2が設けられている。車両用シートSは、スイッチSW1を操作することで電動で前後にスライド移動し、前後の位置を調整できるように構成されている。また、車両用シートSは、スイッチSW2を操作することでシートバックS2が電動で前後に回動し、シートバックS2の傾斜角度を調整できるように構成されている。
【0034】
車両用シートSには、図2に示すようなシートフレームFが内蔵されている。シートフレームFは、シートクッションS1のフレームを構成するクッションフレームF1と、シートバックS2のフレームを構成するシートバックフレームF2とから主に構成されている。車両用シートSは、シートフレームFに、図示しないクッション部材と表皮3(図1参照)を被せることで構成されている。
【0035】
シートバックフレームF2は、上部フレーム10と、左右一対のサイドフレーム20と、下部フレーム30と、第2補強部材の一例としての支持ワイヤ40とを主に備えて構成されている。
一対のサイドフレーム20は、互いに左右に離間して配置されている。各サイドフレーム20は、それぞれ、板金からなり、前後の両端部が車両用シートSの左右方向内側に屈曲した屈曲部を有する、断面視略U字形状に形成されている。また、各サイドフレーム20は、下部に、上部よりも前に向けて張り出す張出部22を有している。
【0036】
上部フレーム10は、略U字形状に屈曲する金属製のパイプ材からなり、左右に延びる横パイプ部11に、ヘッドレストS3を取り付けるためのサポートブラケット12が溶接によって固定されている。また、上下に延びる左右の縦パイプ部13は、それぞれ、その下部が、対応するサイドフレーム20の上部に抱持された状態でサイドフレーム20に溶接によって連結されている。
下部フレーム30は、左右のサイドフレーム20の下部の間に渡されるように配置されており、左右の両端部がサイドフレーム20に溶接などによって連結されている。
【0037】
図3に示すように、支持ワイヤ40は、略J字形状に屈曲する金属製のワイヤ(ロッド)からなり、一端部41がサイドフレーム20の上端部の前側の面に溶接(溶接部W1参照)によって連結され、他端部42が張出部22の上部に溶接(溶接部W2参照)によって連結されることで、サイドフレーム20の上端部と張出部22を繋ぐようにサイドフレーム20に設けられている。
【0038】
図2に戻り、一対のサイドフレーム20のうち、一方(本実施形態では左)のサイドフレーム20には、スイッチSW1,SW2を有するスイッチ組立体1が取り付けられている。図4に示すように、スイッチ組立体1は、第1ブラケット50と、電装部品の一例としてのスイッチユニット60と、カバー70とを主に備えて構成されている。
【0039】
図5に示すように、第1ブラケット50は、板金からなり、側面視略菱形状の側壁部51と、側壁部51の外周縁から車両用シートSの左右方向内側に延びる筒状の周壁部52とを有している。周壁部52の前壁部、上壁部および後壁部には、縁から車両用シートSの左右方向内側に向けて突出する接合片52Aが1つずつ設けられている。
【0040】
側壁部51は、第1壁部51Aと、第1壁部51Aの周囲で、第1壁部51Aに対して車両用シートSの左右方向外側にずれて配置された第2壁部51Bと、第1壁部51Aの外周縁と第2壁部51Bの内周縁を繋ぐ第3壁部51Cとを有している。側壁部51は、第1壁部51Aに設けられた、開口部53と、孔部54,55と、一対の突起56とを有している。
【0041】
開口部53は、スイッチSW1,SW2を露出させるための開口であり、第1壁部51Aの略中央に設けられている。
孔部54,55は、スイッチユニット60を第1ブラケット50に固定するネジ91(図4参照)を通すための穴である。孔部54は、第1壁部51Aの上部(開口部53の上側)の後寄りに設けられ、孔部55は、第1壁部51Aの下部(開口部53の下側)の前寄りに設けられている。
突起56は、スイッチユニット60と係合する部分であり、開口部53の前後の縁の中央付近に設けられている。突起56は、開口部53の縁から開口部53内に向けて突出した後、第1ブラケット50の左右方向内側に屈曲して左右方向内側に向けて突出するように設けられている。
【0042】
図6に示すように、第1ブラケット50は、第1補強部材の一例としての第2ブラケット80を介して左のサイドフレーム20に固定されることで、左のサイドフレーム20に設けられている。
第2ブラケット80は、支持ワイヤ40と同様、屈曲させた金属製のワイヤ(ロッド)からなる。第2ブラケット80は、第1連結部81と、第1接続部82と、保護部83と、第2接続部84と、第2連結部85とを有している。
【0043】
第1連結部81は、第2ブラケット80の前側の端部であり、支持ワイヤ40に連結されている。また、第2連結部85は、第2ブラケット80の後側の端部であり、左のサイドフレーム20の上端部に連結されている。
保護部83は、第1ブラケット50が固定される部分であり、左右方向から見て、下側に開口したU字形状をなしている。言い換えると、第2ブラケット80は、保護部83という、U字形状の部分を有している。
第1接続部82は、第1連結部81の上端から、略上方かつ車両用シートSの左右方向外側に向けて延び、保護部83の前側の端に繋がるように設けられている。また、第2接続部84は、第2連結部85の上端から、後斜め上方かつ車両用シートSの左右方向外側に向けて延び、保護部83の後側の端に繋がるように設けられている。
【0044】
第2ブラケット80は、第1連結部81が支持ワイヤ40の上下方向中央付近に溶接(溶接部W3参照)によって連結され、第2連結部85が左のサイドフレーム20の上端部の側面に溶接(溶接部W4参照)によって連結されることで、左のサイドフレーム20に固定されている。参照する図面においては、溶接部をドットハッチで示している。第2ブラケット80は、接続部82,84が車両用シートSの左右方向外側に延びていることで、保護部83が左のサイドフレーム20から車両用シートSの左右方向外側に離間して配置されている。
【0045】
第1ブラケット50は、前、上および後の接合片52A(図4参照)が保護部83に溶接(溶接部W5,W6,W7参照)によって連結されることで、第2ブラケット80に固定されている。第1ブラケット50が第2ブラケット80に固定された状態において、第2ブラケット80は、左右方向から見て、保護部83が、第1ブラケット50の外周に沿って、より詳細には、第1ブラケット50の前端、上端および後端に沿って、第1ブラケット50を囲むように配置されている。
【0046】
また、図8(a),(b)に示すように、第2ブラケット80に固定された第1ブラケット50は、第2ブラケット80の保護部83が左のサイドフレーム20から車両用シートSの左右方向外側に離間して配置されていることで、左のサイドフレーム20から車両用シートSの左右方向外側に離間して配置されている。つまり、左のサイドフレーム20と第1ブラケット50は、左右方向に間隔をあけた状態で配置されている。
【0047】
図4に示すように、カバー70は、樹脂からなり、側面視略菱形状のカバー本体71と、一対の第1係合部72、一対の第2係合部73および一対の第3係合部74とを有している。
カバー本体71には、スイッチSW1を露出させるための第1開口71Aと、スイッチSW2を露出させるための第2開口71Bが設けられている。
【0048】
第1係合部72および第2係合部73は、スイッチユニット60と係合してカバー70をスイッチユニット60に固定するための部分である。第1係合部72は、第1開口71Aの前後両側から車両用シートSの左右方向内側に向けて突出するように設けられ、第2係合部73は、第2開口71Bの前後両側から車両用シートSの左右方向内側に向けて突出するように設けられている。第1係合部72および第2係合部73は、端部に、前後方向外側に向けて突出し、先端に向けて前後の幅が細くなるように形成された掛止部72A,73Aを有している。
【0049】
第3係合部74は、上下方向における第1係合部72と第2係合部73との間から車両用シートSの左右方向内側に向けて突出するように設けられている。第3係合部74は、平らな板状に形成されており、掛止部72A,73Aのような部分は有していない。
【0050】
図7に示すように、スイッチユニット60は、ユーザにより操作される操作部の一例としての押しボタン式のスイッチSW1,SW2と、スイッチSW1,SW2を保持する本体ケース61とを主に有している。本体ケース61には、一対のネジ締結部62と、一対の被係合部63が設けられている。
【0051】
ネジ締結部62は、スイッチユニット60を第1ブラケット50に固定するためのネジ91(図4参照)が締結される部分であり、一方が本体ケース61の上部の後寄りに設けられ、他方が本体ケース61の下部の前寄りに設けられている。ネジ締結部62には、ネジ91が螺挿されるネジ穴62Aが設けられている。
【0052】
被係合部63は、第1ブラケット50およびカバー70が係合する部分であり、一方が本体ケース61の前部に設けられ、他方が本体ケース61の後部に設けられている。各被係合部63は、第1被係合部64と、第2被係合部65と、第3被係合部66と、突起係合部67とを有している。
【0053】
図7および図8(a)に示すように、突起係合部67は、第1ブラケット50の突起56が係合する部分であり、車両用シートSの左右方向外側に開口した凹形状に形成されている。一対の突起56と一対の突起係合部67とは、適度なフリクションを持って係合するように設けられている。
第3被係合部66は、カバー70の第3係合部74が係合する部分であり、突起係合部67の前後方向内側に隣接して設けられている。第3被係合部66は、板状の第3係合部74が入り込み可能な、車両用シートSの左右方向に貫通した矩形の孔状に形成されている。
【0054】
図7および図8(b)に示すように、第1被係合部64は、カバー70の第1係合部72が係合する部分であり、第2被係合部65は、カバー70の第2係合部73が係合する部分である。第1被係合部64は、突起係合部67の下側に隣接して設けられ、第2被係合部65は、突起係合部67の上側に隣接して設けられている。カバー70は、第1係合部72の掛止部72Aが第1被係合部64に掛止され、第2係合部73の掛止部73Aが第2被係合部65に掛止されることで、スイッチユニット60に固定される。
【0055】
図8(a)に示すように、スイッチユニット60は、第1ブラケット50の左右方向内側から、突起係合部67を第1ブラケット50の突起56に係合させ、ネジ91(図4参照)を第1ブラケット50の孔部54,55を通してネジ締結部62に締結することで第1ブラケット50に固定されている。第1ブラケット50に固定された状態において、スイッチユニット60(特に本体ケース61)は、左のサイドフレーム20と、第1ブラケット50の、左のサイドフレーム20の左右方向外側に配置された部分、具体的には、側壁部51との間に配置されている。また、スイッチユニット60は、左右方向から見て、サイドフレーム20と重なるように配置されている(図6参照)。
【0056】
図4に示すように、カバー70は、第1ブラケット50の左右方向外側から、開口部53を通して、第3係合部74を第3被係合部66に係合させるとともに、第1係合部72を第1被係合部64に、第2係合部73を第2被係合部65にそれぞれ係合させて掛止部72A,73Aを掛止することで、スイッチユニット60に固定されている。第3係合部74は、係合部72,73を被係合部64,65に係合する際のガイドとして機能する。スイッチユニット60に固定された状態において、カバー70は、カバー本体71の開口71A,71BからスイッチSW1,SW2が露出し、カバー本体71が第1ブラケット50の外側に配置されている(図8も参照)。また、カバー70がスイッチユニット60に固定された状態において、第1係合部72と第2係合部73は、第1ブラケット50の突起56を上下から挟むように配置されている。
【0057】
図8(a),(b)に示すように、第1ブラケット50の側壁部51とカバー70のカバー本体71と間には、表皮3が挟まれた状態で配置されている。
【0058】
以上説明した本実施形態によれば、スイッチユニット60(本体ケース61)が、左のサイドフレーム20と第1ブラケット50の側壁部51との間に配置されているので、スイッチユニットが第1ブラケットの左右方向外側まで大きく飛び出しているような構成と比較して、スイッチユニット60をコンパクトに配置することができる。また、左右方向から見て、スイッチユニット60がサイドフレーム20と重なるように配置されているので、特に前後方向においてスイッチユニット60をコンパクトに配置することができる。
【0059】
また、第1ブラケット50が第2ブラケット80を介してサイドフレーム20に固定され、サイドフレーム20から離間しているので、スイッチユニット60を第1ブラケット50の左右方向内側から第1ブラケット50に組み付けることができる。これにより、スイッチユニットをブラケットの左右方向外側からブラケットの開口部を通して組み付けるような構成と比較して、スイッチユニット60の設計の自由度を向上させたり、スイッチユニット60の組み付け作業性を向上させたりすることができる。
【0060】
また、左右方向から見て、第2ブラケット80の保護部83が第1ブラケット50の外周に沿って第1ブラケット50を囲むように配置されているので、第2ブラケット80によって第1ブラケット50を保護することができる。特に、板金からなる第1ブラケット50のエッジ部分を第2ブラケット80によって保護する(覆う)ことができる。また、第2ブラケット80がワイヤからなることで、第1ブラケット50を囲むように配置することで、R形状を容易に形成することができる。
【0061】
また、第1ブラケット50がスイッチユニット60とフリクションを持って係合する突起56を有するので、スイッチユニット60を突起56に係合させることで、スイッチユニット60を第1ブラケット50に仮止めしておくことができる。これにより、スイッチユニット60の組み付け作業性をより向上させることができる。
【0062】
また、突起56が第1ブラケット50の左右方向内側に向けて突出しているので、スイッチユニット60を第1ブラケット50左右方向内側から第1ブラケット50に組み付けることが容易となっている。
【0063】
また、カバー70に設けられた第1係合部72と第2係合部73が突起56を挟むように配置されているので、仮止め箇所の両側でカバー70をスイッチユニット60に固定することができる。これにより、カバー70の取付強度を向上させることができる。
【0064】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではない。具体的な構成については、下記のように発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
【0065】
前記実施形態では、電装部品の操作部として、押しボタン式のスイッチSW1,SW2を例示したが、これに限定されるものではない。また、前記実施形態では、電装部品としてスイッチユニット60を例示したが、これに限定されるものではない。
【0066】
前記実施形態では、第1ブラケット50などを溶接によって固定していたが、これに限定されるものではない。例えば、ネジやボルトなどによって固定してもよいし、かしめて固定してもよい。
【0067】
前記実施形態では、第1補強部材としてワイヤからなる第2ブラケット80を例示したが、これに限定されず、例えば、第1補強部材は、板金や金属製のパイプ材などからなる補強部材であってもよい。第2補強部材についても同様である。
【0068】
前記実施形態では、カバーとして、樹脂製のカバー70を例示したが、これに限定されず、例えば、カバーは、車両用シートの表皮などであってもよい。
【0069】
前記実施形態では、第1ブラケット50やスイッチユニット60(電装部品)などが左のサイドフレーム20に設けられていたが、これに限定されず、第1ブラケットや電装部品などは、右のサイドフレームに設けられていてもよい。
【0070】
前記実施形態では、乗物用シートとして、自動車で使用される車両用シートSを例示したが、これに限定されず、乗物用シートは、自動車以外の乗物、例えば、鉄道車両や船舶、航空機などで使用されるシートであってもよい。
【符号の説明】
【0071】
20 サイドフレーム
40 支持ワイヤ
50 第1ブラケット
51 側壁部
53 開口部
56 突起
60 スイッチユニット
70 カバー
71 カバー本体
72 第1係合部
73 第2係合部
80 第2ブラケット
S 車両用シート
SW1 スイッチ
SW2 スイッチ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8