(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記トリガーは、抵抗性可動部品であり、前記所定条件は、前記第2のチャンバが、前記第2のチャンバ内の圧力が前記抵抗性可動部品に作用するように前記抵抗性可動部品に流体連通し、かつ前記第2のチャンバ内の圧力が前記抵抗性可動部品を移動させることができるように十分に高いときに、満たされるようになっている、請求項1に記載の注射器。
前記トリガーは、前記第2のチャンバの圧力に対して作用する付勢部材であり、前記第2のチャンバ内の圧力が前記所定の閾値未満に低下したとき、前記付勢部材は、前記第2のチャンバ内の圧力によって加えられた力よりも大きい力を加えるようになっている、請求項13に記載の注射器。
前記第2のチャンバからのガス状推進剤の排気に応じて、前記第2のチャンバ内の圧力が低下し、前記所定条件を満たすようになっている、請求項12または13に記載の注射器。
前記第1の位置において、前記ストッパーは、前記ベント孔と前記第1のチャンバとの間の流体連通および前記ベント孔と前記第2のチャンバとの間の流体連通を阻止し、前記第2の位置において、前記ストッパーは、前記ベント孔が前記第2のチャンバに流体連通するように、前記ベント孔の少なくとも一部の軸方向前方に位置するようになっている、請求項15または16に記載の注射器。
前記ストッパーは、栓および前記栓の軸方向後方に延在するピストンを備えており、前記栓および前記ピストンの各々は、前記バレルを封止しており、前記ピストンは、前記ストッパーを前記バレル内において軸方向に移動させるべく、前記第2のチャンバ内の蒸気圧によって作用されるように構成されている、請求項17に記載の注射器。
前記ストッパーは、軸方向後方に延在するロッドを備えており、前記ロッドは、前記第1の位置において、前記ベント孔と前記第1のチャンバとの間の流体連通および前記ベント孔と前記第2のチャンバとの間の流体連通を阻止するために、前記ベント孔を貫通し、かつ封止するようになっており、前記ロッドは、前記第2の位置において、前記ベント孔が前記第2のチャンバに流体連通するため、前記ベント孔を貫通しないようになっている、請求項17に記載の注射器。
遮断部材であって、前記ベント孔と前記第2のチャンバとの間の流体連通が前記遮断部材によって遮断される遮断位置と、前記ベント孔が前記第2のチャンバに流体連通する非遮断位置との間で移動可能になっている、遮断部材をさらに備えており、
前記遮断部材は、前記第1の位置において前記遮断部材が前記遮断位置にあり、前記第2の位置において前記遮断部材が前記非遮断位置にあるように、前記ストッパーによって前記遮断位置と前記非遮断位置との間で移動可能になっている、請求項16に記載の注射器。
前記ストッパーは、前記ストッパーが前記遮断部材に係合していないとき、前記ストッパーが前記遮断部材に対して軸方向前方に移動可能であり、前記ストッパーが前記遮断部材に係合したとき、前記ストッパーの軸方向前方の移動によって、前記遮断部材が前記非遮断位置に向かって軸方向前方に移動するように、前記遮断部材に選択可能に係合可能になっている、請求項21に記載の注射器。
前記ストッパーは、前記遮断部材を貫通する軸方向後方に延在するロッドを備えており、前記ロッドは、その後端に半径方向突起を備えており、前記ストッパーは、前記突起が前記遮断部材に接触して前記ストッパーを前記遮断部材に係合させるまで、前記遮断部材に対して移動することができるようになっている、請求項22に記載の注射器。
前記ストッパーは、栓と、前記遮断部材および前記栓に接続された拡張性部材とを備えており、前記拡張性部材は、軸方向長さに沿って拡張することができ、前記拡張性部材が、前記ストッパーを前記遮断部材に係合させている前記栓と前記遮断部材との間の相対的軸方向距離による最大軸方向長さに達するまで、前記遮断部材に対する前記栓の軸方向前方の移動を可能にするようになっている、請求項22に記載の注射器。
前記注射器の作動時に、前記ベント孔は、推進剤が前記第2のチャンバから排気可能となり、前記第2のチャンバに流体連通するようになっており、前記ベント孔を通る排気の比率は、前記第2のチャンバ内の蒸気圧が前記ストッパーを前記バレル内において軸方向前方に移動させるのに十分に上昇することを防ぐのに不十分になっている、請求項15に記載の注射器。
前記ストッパーは、閉塞部材を備えており、前記閉塞部材は、前記バレル内の前記ストッパーの少なくとも1つの軸方向位置において、排気を完全に阻止することなく、前記ベント孔を通る排気の比率を制限すべく、前記ベント孔を閉塞するようになっている、請求項28に記載の注射器。
前記ストッパーが、前記注射器バレルのその予想最前位置であって、前記第1のチャンバが実質的にゼロの空間を有し、実質的に全ての薬剤が前記第1のチャンバから放出されている、その予想最前位置にあるとき、前記閉塞部材は、前記ベント孔を閉塞しないようになっている、請求項28に記載の注射器。
前記ベント孔は、細長く延びており、前記閉塞部材は、前記ベント孔の細長い長さに沿って前記ベント孔を閉塞するようになっている、請求項29または30に記載の注射器。
前記第3のチャンバは、当初、前記バレル内の前記ストッパーの予想最前位置であって、前記第1のチャンバが実質的にゼロの空間を有し、実質的に全ての薬剤が前記第1のチャンバから排気されている、その予想最前位置に、前記ストッパーを移動させるのに十分な量の推進剤を含んでいる、請求項18〜21のいずれかに記載の注射器。
前記バレルに封着された推進剤ハウジングをさらに備えており、前記ベント孔は、前記推進剤ハウジングに形成されている、請求項16〜32のいずれかに記載の注射器。
前記推進剤は、前記第2のチャンバから前記ベント孔を通してさらなるチャンバに排気されるようになっており、前記さらなるチャンバは、前記第2のチャンバよりも低い圧力を有している、請求項15〜34のいずれかに記載の注射器。
前記トリガーは、前記所定条件が満たされたときに移動する可動部品であり、前記所定条件は、基準チャンバ内の圧力に対する前記第2のチャンバ内の圧力が所定の比率に実質的に等しいときに、満たされるようなっている、請求項1に記載の注射器。
ニードルシールドであって、前記ニードルが露出する第1の位置と前記ニードルが前記ニードルシールドによって実質的に覆われて露出しない第2の位置との間で移動可能になっている、ニードルシールドをさらに備えており、前記動作は、前記第1の位置と前記第2の位置との間での前記ニードルシールドの移動を含んでいる、請求項1〜44のいずれかに記載の注射器。
前記注射器は、オートインジェクター装置の一部を形成しており、前記注射器は、前記ニードルが前記オートインジェクター装置のハウジング内にあって露出しない第1の位置と前記ニードルが前記ハウジングから延出する第2の位置との間で、前記ハウジングに対して移動可能になっており、前記動作は、前記第1の位置と前記第2の位置との間での前記注射器の移動を含んでいる、請求項1〜44のいずれかに記載の注射器。
前記注射器は、注入シーケンスが特定の段階にあることをユーザーに信号によって知らせる1つまたは複数の指示器を有しており、前記動作は、前記信号を生じるように前記1つまたは複数の指示器を作動させることを含んでいる、請求項1に記載の注射器。
前記1つまたは複数の指示器は、薬剤の送達の終了から所定の時間間隔が経過したことを信号によって知らせるようになっている、請求項49〜53のいずれかに記載の注射器。
前記第3のチャンバは、推進剤を前記第2のチャンバに供給するためのディスペンサーを備えており、前記ディスペンサーは、推進剤が前記ディスペンサーから流出することができない閉位置から所定量の推進剤が前記ディスペンサーから流出することができる開位置に移動可能になっている、請求項1〜63のいずれかに記載の注射器。
前記最大容積は、前記ディスペンサーの第1の内部空間によって画定されており、前記所定量は、前記ディスペンサーの第2の内部空間によって画定されており、前記閉位置では、前記第1の内部空間は、推進剤が前記第2の内部空間を満たすことを可能にするために、前記第2の内部空間に流体接続するようになっており、前記開位置では、前記第1の内部空間は、前記第2の内部空間に流体接続しておらず、前記第2の内部空間は、推進剤の前記所定量が前記第2のチャンバに供給されることを可能にするために、前記第2のチャンバに流体接続されるようになっている、請求項65に記載の注射器。
前記第3のチャンバは、破裂可能であり、前記注射器は、破裂部をさらに備えており、 前記破裂部は、前記注射器の作動時に前記第3のチャンバを破裂させ、前記第3のチャンバを前記第2のチャンバに流体接続させるように構成されている、請求項1〜66のいずれかに記載の注射器。
相互係合部材は、前記分注位置に向かう前記弁ステムの移動中に互いに接触し、前記相互係合部材の少なくとも1つの撓みまたは他の変形によって、前記分注位置への前記弁ステムの移動を可能にするようになっている、請求項70に記載の注射器。
前記弁ステムの前記係止位置は、前記弁ステムの前記相互係合部材が前記係止部材の前記相互係合部材を超えて摺動し、前記係止部材の前記相互係合部材から離脱する点として、画定されている、請求項70〜75のいずれかに記載の注射器。
前記第3のチャンバは、前記ストッパーが前記注射器バレル内においてその軸方向最前位置に達したときに液体推進剤が前記注射器内に残るような量の液体推進剤を含んでいる、請求項1〜78のいずれかに記載の注射器。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明のいくつかの実施形態の目的は、所定温度で沸騰する推進剤によって推進可能な注射器装置であって、先行技術と比較して改良された信頼性および制御をもたらす、注射器装置を提供することにある。
【0007】
本発明のいくつかの実施形態の他の目的は、所定温度において沸騰する推進剤によって推進可能な注射器装置であって、連続操作可能なオートインジェクター装置に用いられる注射器装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、添付の請求項によって規定されている。
【0009】
本発明の第1の態様によれば、所定温度で沸騰する推進剤によって推進可能な注射器であって、
前端に出口を有するバレルと、
バレル内において軸方向前方に移動可能なストッパーであって、
ストッパーは、第1のチャンバおよび第2のチャンバを画定しており、かつ互いに分離しており、第1のチャンバは、ストッパーの軸方向前方に位置し、薬剤を含むように構成されており、第2のチャンバは、ストッパーの軸方向後方に位置しており、注射器の作動時に、ストッパーに作用するための推進剤を受け入れ、ストッパーをバレル内において軸方向前方に移動させ、薬剤を出口を通して放出させるように、構成されている、
ストッパーと、
推進剤を含むための第3のチャンバと、
を備えており、
注射器は、使用時に、注射器が作動したとき、液体推進剤が第3のチャンバから放出され、第3のチャンバの外側で所定温度または所定温度を超える温度で沸騰し、第2のチャンバ内に増大する蒸気圧をもたらし、これによって、ストッパーを軸方向前方に移動させ、薬剤を出口を通して第1のチャンバから放出させ始めるように、構成されており、
注射器は、少なくとも1つのトリガーであって、前記トリガーの作動時に動作を開始させるようになっている、トリガーをさらに備えており、トリガーは、所定条件を満たす第2のチャンバ内の圧力に応じて作動されるようになっている、
注射器が提供されている。
【0010】
第3のチャンバから液体推進剤を放出することによって、該液体推進剤は、その周囲からの熱を利用して蒸発することができる。推進剤は、液化ガスである。液化ガスは、破裂前の第3のチャンバ内において、液体と飽和蒸気との間で平衡状態にある。このような構成によって、信頼性の高い制御可能な送達を容易にするより一定の圧力を維持することができ、第2のチャンバ内の圧力に依存するさらなる動作の信頼性および予測精度を改良することができる。加えて、液体を第3のチャンバから分注することによって、第2のチャンバへのエネルギー送達の比率を操作する上での融通性を高めることができる。
【0011】
対照的に、もし液体推進剤が第3のチャンバ内に残っている場合、該液体推進剤は、存在する熱エネルギーによって蒸発され、急速に冷却されるだろう。この冷却は、低蒸気圧を生じさせ、温度低下をもたらし、これによって、液体推進剤のさらなる沸騰が停止することになる。明らかなことではあるが、このような状況は、注射器内において極めて望ましくない。何故なら、患者に対する一回分の薬剤の送達不良は、致命的ではないにしても、深刻な結果をもたらすことがあるからである。いくつかの実施形態において、本発明は、追加的な加熱手段を必要とすることなく、このおそれを最小限に抑え、これによって、装置の全体の複雑さを簡素化し、部品欠損のおそれを低減させることに努めている。それにも関わらず、代替的実施形態では、追加的な加熱手段が設けられてもよい。
【0012】
本発明において、雰囲気圧(または他の適切な異なる相対圧)への推進剤の急速な暴露による推進剤の迅速な沸騰を可能にすることによって、推進剤内の乱流を促進させることができる。この乱流は、第3のチャンバからの液体推進剤の漏出を容易にする。付加的または代替的に、第3のチャンバからの液体推進剤の漏出を促進するために、第3のチャンバ内における液体推進剤の質量中心は、好ましくは、開口に近いとよい。これを達成するための1つの方法は、第3のチャンバを充填剤によって可能な限り十分に満たすことである。
【0013】
トリガーは、抵抗性可動部品であってもよく、所定条件は、第2のチャンバが、第2のチャンバ内の圧力が抵抗性可動部品に作用するように抵抗性可動部品に流体連通し、かつ第2のチャンバ内の圧力が抵抗性可動部品を移動させることができるように十分に高いときに、満たされるようになっていてもよい。
【0014】
前記抵抗性可動部品は、閾値圧力を超える圧力の増大に応じて移動する可動ピストンを含んでいてもよい。
【0015】
前記抵抗性可動部品は、閾値圧力を超える圧力の増大に応じて拡張する拡張性部品を含んでいてもよい。前記拡張性部品は、拡張性ベローズを含んでいてもよいし、または膨張性部品を含んでいてもよい。
【0016】
前記抵抗性可動部品は、閾値圧力を超える圧力に応じて第1の形態と第2の形態との間で移動可能になっている双安定性隔膜を含んでいてもよい。
【0017】
前記抵抗性可動部品は、流路が開いたとき、第2のチャンバに流体接続するようになっていてもよい。注射器は、流路が閉じた密封位置から流路が開いた開位置に移動可能になっているシール部品をさらに備えていてもよい。シール部品は、第2のチャンバ内の圧力によって、密封位置から開位置に移動可能になっていてもよい。シール部品は、弁閾値圧力で開く弁を含んでいてもよい。シール部品は、ユーザー動作に応じて、密封位置から開位置に移動可能になっていてもよい。
【0018】
一実施形態において、所定条件は、第2のチャンバ内の圧力が所定の閾値未満に低下したときに満たされるようになっていてもよい。トリガーは、第2のチャンバの圧力に対して作用する付勢部材であってもよく、第2のチャンバ内の圧力が所定の閾値未満に低下したとき、付勢部材は、第2のチャンバ内の圧力によって加えられた力よりも大きい力を加えるようになっていてもよい。第2のチャンバからのガス状推進剤の排気に応じて、第2のチャンバ内の圧力が低下し、所定条件を満たすようになっていてもよい。ストッパーは、バレル内において、
ベント孔が第1のチャンバまたは第2のチャンバに流体連通しない第1の位置と、
前記ベント孔が第2のチャンバに流体連通し、これによって、第2のチャンバからの推進剤の排気を可能にする、第1の位置の軸方向前方の第2の位置と
の間で軸方向に移動可能になっていてもよい。
【0019】
一実施形態では、前記第1の位置において、ストッパーは、ベント孔と第1のチャンバとの間の流体連通およびベント孔と第2のチャンバとの間の流体連通を阻止し、前記第2の位置において、ストッパーは、ベント孔が第2のチャンバに流体連通するように、ベント孔の少なくとも一部の軸方向前方に位置するようになっている。前記ストッパーは、栓および前記栓の軸方向後方に延在するピストンを備えていてもよく、前記栓および前記ピストンの各々は、バレルを封止しており、前記ピストンは、前記ストッパーをバレル内において軸方向に移動させるように、第2のチャンバ内の蒸気圧によって作用されるように、構成されていてもよい。前記ストッパーは、軸方向後方に延在するロッドを備えていてもよく、ロッドは、第1の位置において、ベント孔と第1のチャンバとの間の流体連通およびベント孔と第2のチャンバとの間の流体連通を阻止するために、ベント孔を貫通し、かつ封止するようになっていてもよく、ロッドは、第2の位置において、ベント孔が第2のチャンバに流体連通するように、ベント孔を貫通しないようになっていてもよい。ベント孔は、ロッドを封止するためのシールを備えていてもよい。
【0020】
一実施形態では、注射器は、遮断部材であって、ベント孔と第2のチャンバとの間の流体連通が遮断部材によって遮断される遮断位置と、ベント孔が第2のチャンバに流体連通する非遮断位置と、の間で移動可能になっている、遮断部材をさらに備えており、
遮断部材は、第1の位置において遮断部材が遮断位置にあり、第2の位置において遮断部材が非遮断位置にあるように、ストッパーによって遮断位置と非遮断位置との間で移動可能になっている。
【0021】
前記ストッパーは、ストッパーが遮断部材に係合していないとき、ストッパーが遮断部材に対して軸方向前方に移動可能であり、ストッパーが遮断部材に係合したとき、ストッパーの軸方向前方の移動によって、遮断部材が非遮断位置に向かって軸方向前方に移動するように、遮断部材に選択可能に係合可能になっていてもよい。
【0022】
ストッパーは、遮断部材を貫通する軸方向後方に延在するロッドを備えていてもよく、ロッドは、その後端に半径方向突起を備えており、ストッパーは、突起が遮断部材に接触してストッパーを遮断部材に係合させるまで、遮断部材に対して移動することができるようになっていてもよい。
【0023】
ストッパーは、栓と、遮断部材および栓に接続された拡張性部材とを備えていてもよく、拡張性部材は、軸方向長さに沿って拡張することができ、拡張性部材が、ストッパーを遮断部材に係合させている栓と遮断部材との間の相対的軸方向距離による最大軸方向長さに達するまで、遮断部材に対する栓の軸方向前方の移動を可能にするようになっていてもよい。
【0024】
拡張性部材は、コイルであってもよいし、または柔軟な繋ぎ綱であってもよく、前記柔軟な繋ぎ綱は、紐であってもよい。
【0025】
一実施形態では、注射器の作動時に、ベント孔は、推進剤が第2のチャンバから排気可能となるように、第2のチャンバに流体連通するようになっており、ベント孔を通る排気の比率は、第2のチャンバ内の蒸気圧がストッパーをバレル内において軸方向前方に移動させるのに十分に上昇するのを防ぐのに不十分になっている。前記ストッパーは、閉塞部材を備えていてもよく、閉塞部材は、バレル内のストッパーの少なくとも1つの軸方向位置において、排気を完全に阻止することなく、ベント弁を通る排気の比率を制限すべく、ベント弁を閉塞するようになっていてもよい。ストッパーが、注射器バレルのその予想最前位置であって、第1のチャンバが実質的にゼロの空間を有し、実質的に全ての薬剤が第1のチャンバから放出されている、その予想最前位置にあるとき、前記閉塞部材は、ベント弁を閉塞しないようになっていてもよい。
【0026】
前記ベント孔は、細長く延びていてもよく、前記閉塞部材は、ベント孔の細長い長さに沿ってベント孔を閉塞するようになっていてもよい。
【0027】
第3のチャンバは、当初、バレル内のストッパーの予想最前位置であって、第1のチャンバが実質的にゼロの空間を有し、実質的に全ての薬剤が第1のチャンバから排気されている、その予想最前位置に、ストッパーを移動させるのに十分な量の推進剤を含んでいてもよい。
【0028】
ベント孔は、バレル内に形成されていてもよい。
【0029】
注射器は、バレルに封着された推進剤ハウジングをさらに備えていてもよく、ベント孔は、推進剤ハウジングに形成されていてもよい。
【0030】
推進剤は、第2のチャンバからベント孔を通して外側環境に排気されるようになっていてもよい。
【0031】
推進剤は、第2のチャンバからベント孔を通してさらなるチャンバに排気されるようになっていてもよく、さらなるチャンバは、第2のチャンバよりも低い圧力を有していてもよい。
【0032】
トリガーは、所定条件が満たされたときに移動する可動部品であってもよく、所定条件は、基準チャンバ内の圧力に対する第2のチャンバ内の圧力が所定の比率に実質的に等しいときに、満たされるようなっていてもよい。所定の比率は、1:1であってもよい。
【0033】
いずれの実施形態においても、可動部品は、第2のチャンバからのガス状推進剤の排気を可能にするように移動可能であってもよい。可動部品は、弁を開くように移動可能であってもよい。可動部品は、さらなる部品を移動させるように移動可能であってもよい。
【0034】
注射器は、ニードルシールドであって、ニードルが露出する第1の位置とニードルがニードルシールドによって実質的に覆われて露出しない第2の位置との間で移動可能になっている、ニードルシールドをさらに備えていてもよく、前記動作は、前記第1の位置と前記第2の位置との間での前記ニードルシールドの移動を含んでいてもよい。
【0035】
注射器は、オートインジェクター装置の一部を形成していてもよく、注射器は、ニードルがオートインジェクター装置のハウジング内にあって露出しない第1の位置とニードルが前記ハウジングから延出する第2の位置との間で、ハウジングに対して移動可能になっていてもよく、前記動作は、前記第1の位置と前記第2の位置との間での前記注射器の移動を含んでいてもよい。動作は、前記第1の位置から前記第2の位置への前記注射器の移動を含んでいてもよい。動作は、前記第2の位置から前記第1の位置への前記注射器の移動を含んでいてもよい。
【0036】
注射器は、注入シーケンスが特定の段階にあることをユーザーに信号によって知らせる1つまたは複数の指示器を有していてもよく、前記動作は、前記信号を生じるように前記1つまたは複数の指示器を作動させることを含んでいてもよい。前記1つまたは複数の指示器は、視覚指示器を含んでいてもよく、視覚指示器は、LEDであってもよい。前記1つまたは複数の指示器は、聴覚指示器を含んでいてもよく、聴覚指示器は、例えば、スピーカーまたは警笛であってもよい。前記1つまたは複数の指示器は、薬剤の送達の終了を信号によって知らせるようになっていてもよい。前記1つまたは複数の指示器は、薬剤の送達の終了から所定の時間間隔が経過したことを信号によって知らせるようになっていてもよい。
【0037】
前記所定条件は、所定圧力を超えていてもよい。前記所定条件は、先行する所定条件が満たされた時点からまたは該時点に続いて所定の時間間隔が経過した後、前記所定圧力を超えていてもよい。前記所定条件は、所定圧力未満に低下していてもよい。前記所定条件は、先行する所定条件が満たされた時点からまたは該時点に続いて所定の時間間隔が経過した後、前記所定圧を下回っていてもよい。
【0038】
前記所定温度は、周囲温度であってもよい。
【0039】
前記所定温度は、15℃と30℃との間にあってもよいし、20℃と25℃との間にあってもよい。
【0040】
前記所定温度は、周囲温度よりも高くてもよい。
【0041】
第3のチャンバは、推進剤を第2のチャンバに供給するためのディスペンサーを備えていてもよく、ディスペンサーは、推進剤がディスペンサーから流出することができない閉位置から所定量の推進剤がディスペンサーから流出することができる開位置に移動可能になっていてもよい。ディスペンサーは、推進剤を収容する最大容積を有していてもよく、前記所定量は、前記最大容積よりも小さくなっていてもよい。前記最大容積は、ディスペンサーの第1の内部空間によって画定されていてもよく、前記所定量は、ディスペンサーの第2の内部空間によって画定されていてもよく、前記閉位置では、第1の内部空間は、推進剤が第2の内部空間を満たすことを可能にするために、前記第2の内部空間に流体接続するようになっていてもよく、前記開位置では、前記第1の内部空間は、第2の内部空間に流体接続しておらず、前記第2の内部空間は、推進剤の前記所定量が前記第2のチャンバに供給されることを可能にするために、第2のチャンバに流体接続されるようになっていてもよい。
【0042】
第3のチャンバは、破裂可能であってもよく、注射器は、破裂部をさらに備えていてもよく、破裂部は、注射器の作動時に第3のチャンバを破裂させ、第3のチャンバを第2のチャンバに流体接続させるように、構成されていてもよい。第3のチャンバは、推進剤を含むための柔軟な破裂性収容体を備えていてもよい。
【0043】
代替的に、破裂部は、弁体、弁ステム、および係止部材を有する弁を備えていてもよく、弁ステムは、
i)弁ステムの出口ポートが第3のチャンバに流体連通していない非分注位置と、
ii)出口ポートが、第3のチャンバから弁ステムを通る推進剤の移送を可能にするために、第3のチャンバに流体連通している分注位置と、
の間で弁体に対して移動可能になっており、
係止部材は、いったん弁ステムが係止位置を超えて摺動したなら非分注位置への弁ステムの戻りを阻止するように構成されており、第3のチャンバは、弁ステムが分注位置にあり、係止位置を超えているとき、破裂されるようになっていてもよい。
【0044】
係止部材および弁ステムは、相互係合部材を備えていてもよく、相互係合部材は、
a)分注位置に向かう弁ステムの移動中に互いに接触し、分注位置への弁ステムの移動を可能にし、
b)分注位置に向かって係止位置を超えて戻る弁ステムの移動が試みられる間に互いに接触し、非分注位置に戻る弁ステムの移動を阻止する
ようになっていてもよい。相互係合部材は、分注位置に向かう弁ステムの移動中に互いに接触し、前記相互係合部材の少なくとも1つの撓みまたは他の変形によって、分注位置への弁ステムの移動を可能にするようになっていてもよい。
【0045】
弁ステムの相互係合部材は、フランジを備えていてもよい。フランジの遠位縁は、分注位置への弁ステムの移動中に係止部材の撓みを促進するように傾斜していてもよい。係止部材の相互係合部材は、少なくとも1つの柔軟ラッチを備えていてもよい。少なくとも1つの柔軟ラッチは、弾性挙動を呈するようになっていてもよい。弁ステムの係止位置は、弁ステムの相互係合部材が係止部材の相互係合部材を超えて摺動し、係止部材の相互係合部材から離脱する点として、画定されていてもよい。弁は、弁ステムを非分注位置に付勢するための付勢部材をさらに備えていてもよい。付勢部材は、圧縮バネであってもよい。
【0046】
第3のチャンバは、ストッパーが注射器バレル内においてその軸方向最前位置に達したときに液体推進剤が注射器内に残るような量の液体推進剤を含んでいてもよい。
【0047】
本明細書に開示されている非相互排他的な全ての特徴の組合せは、本発明の範囲内にある。
【0048】
以下、添付の図面を参照して、本発明の実施形態についてさらに説明する。
【発明を実施するための形態】
【0050】
本発明の実施形態による注射器10が、
図1Aに示されている。注射器10は、バレル12を有している。バレル12は、前端における出口14およびバレル12内に配置されたストッパー16を有している。ストッパー16は、十分な軸方向力を受けたときにバレル12内において軸方向に移動可能になっている。バレル12は、後端にフィンガーフランジ12aを有している。しかし、本発明の範囲内において、いくつかの注射器は、フィンガーフランジを備えていなくてもよい。ストッパー16は、第1のチャンバ18および第2のチャンバ20を画定しており、かつ互いに分離している。第1のチャンバ18は、ストッパー16の軸方向前方に位置しており、薬剤、特に、液体薬剤のような物質を含むように構成されている。以下、第1のチャンバ18は、初めに薬剤を含んでいると見なされる。しかし、当業者であれば、他の代替的物質が含まれていてもよいことを理解するだろう。第2のチャンバ20は、ストッパー16の軸方向後方に位置しており、推進剤源から推進剤を受け入れるように構成されている。
図1Aの注射器では、推進剤源は、収容体21である。収容体21は、推進剤を含む第3のチャンバ22を画定する破裂性壁24を備えている。
【0051】
加えて、注射器10は、破裂部(図示せず)を有している。破裂部は、推進剤を第2のチャンバ20内に入れるために、破裂性壁24を破裂させ、第3のチャンバ22と第2のチャンバ20とを不可逆的に流体接続させるように構成されている。すなわち、破裂性壁24は、脆弱になっているかまたは破れやすくなっており、いったん破断または開裂したなら、再閉鎖または再密封するための追加的な手段を用いることなく、再閉鎖または再密封することができない。破裂性壁24は、好ましくは、収容体21の形状が変化するように、少なくとも部分的に柔軟であるとよい。
【0052】
本発明の範囲内において、いったん流体接続が第3のチャンバ22と第2のチャンバ20との間に達成されたなら、この流体接続は、維持され、閉鎖または封止されることがない。以下にさらに詳細に説明するように、これは、本発明による注射器10の所望の熱力学的特性にとって必要不可欠である。第3のチャンバ22の特性にもよるが、破裂部は、破裂性壁24(または、他の実施形態では、第3のチャンバ22の少なくとも一部を画定する同様の破裂性要素)を薄く切るか、破裂させるか、破断させるか、穿孔するか、またはそれ以外の方法によって開口を形成し、第3のチャンバ22と第2のチャンバ20との間に流体接続をもたらすように構成されたニードルまたは他の適切な要素であるとよい。破裂部がニードルまたは同様の穿孔要素である場合、破裂性壁24の破裂、破断、または穿孔時に、破裂部自体が第3のチャンバ22と第2のチャンバ20との間に新たに形成された流路を完全に遮断しないように、該破裂部は、フック形状、中空形状、またはそれ以外の形状を有していると好ましい。破裂部が中空形状を有する場合、推進剤は、第3のチャンバ22から第2のチャンバ20に向かって中空部分を通って流れることになる。他の実施形態では、破裂部は、破裂機構によって破裂性壁24を破裂させるための装置からなっていてもよい。すなわち、破裂部は、第3のチャンバ22内の圧力が増大するように収容体21に力を加え、その結果、破裂性壁24を破裂させ、これによって、第3のチャンバ22と第2のチャンバ20との間に流体接続をもたらすように、作用するようになっていてもよい。いくつかの実施形態では、破裂部は、第3のチャンバ22を破裂させるために、第3のチャンバ22に向かって移動するようになっていてもよい。他の実施形態では、第3のチャンバ22が破裂部に向かって移動し、これによって、第3のチャンバ22の破裂を生じさせるようになっていてもよい。
図4は、第3のチャンバ22と第2のチャンバ20との間に恒久的な流体接続をもたらすための本発明の実施形態による破裂部510の例を示している。破裂部510は、切抜部512aおよび切抜部512aを貫通する孔512bを有する円錐要素512を備えている。円錐要素512は、基部514から突出しており、基部514を孔512bが貫通している。使用時に、円錐要素512は、第3のチャンバ22の破裂性壁を穿孔する。この穿孔は、流体接続を第3のチャンバ22と第2のチャンバ20との間に孔512bを介してもたらすのに、比較的小さい力しか必要としない。円錐要素512のテーパ輪郭は、破裂部510が破裂性壁に向かってさらに前進するにつれて、円錐要素512が生じた孔を大きくすることを意味しており、これによって、第3のチャンバ22と第2のチャンバ20との間の流体経路が塞がれないことが確実になる。切抜部512aによって、孔を効果的に形成し、破裂部510自体が生じさせた孔を封止するおそれを最小限に抑えることが確実になる。第3のチャンバ22からの流体の放出は、最小限に抑えられる。孔512bの存在によって、第3のチャンバ22と第2のチャンバ20との間における液状推進剤およびガス状推進剤の両方の直接的かつ効果的な通過が容易になる。
【0053】
破裂部510の形状(例えば、基部514の形状)は、多数の破裂部が同一の破裂性壁に作用すべく、互いに近接して配置されるように形成されてもよい。一例として、
図5は、単一の破裂性壁に作用するように適切に近接配置された2つの同一破裂部510を示している。多数の破裂部の使用は、(一般的に)第3のチャンバ22から第2のチャンバ20へのより多くの流体の移送を容易にする。1つまたは複数の破裂部は、第3のチャンバ22をどのような方向からどのような方位に破裂させてもよい。特定の注射器に応じて、第3のチャンバ22からの推進剤の放出を最大にするかまたはそれ以外に制御するために、第3のチャンバ22を特定の点においてまた特定の方向に沿って破裂させると、好ましい。
【0054】
本発明の破裂部を形成するために、非円錐状であるがテーパが付された他の要素が用いられてもよい。このような場合、テーパ付き要素は、流体流れを改良し、破裂要素が破裂性壁に新たに形成された孔を封止するおそれを最小限に抑えるために、切抜部を備えていると好ましい。付加的または代替的に、破裂部は、第3のチャンバ22から第2のチャンバ20に流体を通すための貫通孔を備えていると好ましい。
【0055】
推進剤は、所定温度において蒸発するものである。この所定温度は、いかなる場合でも、使用時にシステムの局部的な操作温度未満でなければならない。特に好ましい推進剤は、ヒドロフルオロアルカン(HFA)であるかまたはHFAを含んでいるとよい。何故なら、HFAは、微孔ニードル注射器内において水溶液と共に用いられるのに適する圧力をもたらすからである。HFA134aは、−26.4℃で沸騰し、送達される薬剤が冷凍されている時でも十分な圧力をもたらすことができる。他の実施形態では、推進剤は、使用中に増大する圧力をもたらす低沸点を有していてもよく、これは、高粘度薬剤の送達に特に有益である。例えば、HFA422dは、−46.2℃とー41.5℃との間の沸点を有している。同様に、HFA507cは、−46.9℃の沸点を有している。代替的実施形態では、推進剤は、患者または他の熱源のような外部源からの追加的なエネルギーを必要とすることなく、薬剤を駆動させるのに十分な圧力を生じることはできないように、より高い温度で沸騰するようになっていてもよい。例えば、HFA123は、+27.9℃で沸騰する。同様に、HFA245faは、+15.3℃の沸点を有している。
【0056】
第3のチャンバ22が第2のチャンバ20に流体連通するとき、推進剤が第2のチャンバ20内に放出される。所定の温度において、第2のチャンバ20内に放出された推進剤は、当初、その液相にある。仮に推進剤が所定温度を超える温度にあっても、推進剤が存在する空間が封じ込められていることに起因して、該推進剤の一部は、当初、その液相にある。
【0057】
この液体推進剤の一部は、該推進剤が晒されている熱(例えば、周囲熱)によって蒸発し、これによって、ガス相推進剤を第2のチャンバ20にもたらすことになる。推進剤の蒸発は、液体推進剤から潜熱の吸収を必要とするので、蒸発のプロセスは、残っている液体推進剤を冷却させることになる。この冷却によって、液体推進剤に直接作用する蒸気圧は、その初期の開始温度(すなわち、周囲温度)における蒸気圧よりも低くなる。にもかかわらず、第2のチャンバ20内の圧力は、十分に増大し始めており、その結果、ストッパー16がバレル12内において軸方向前方に移動し、これによって、第1のチャンバ18の容積を縮小させ、第1のチャンバ18内に保持された薬剤を加圧することになる。加圧された薬剤は、ニードルまたは他のアプリケーターに流体接続されている出口14を通ってバレル12から流出し、皮下組織のような噴射部位内に進入することになる。
【0058】
周囲温度よりも高い温度で沸騰する推進剤が用いられる場合、周囲温度は、推進剤を沸騰させるのに十分でなく、その結果、ストッパー16は、移動しない。これらの実施形態では、推進剤を沸騰させてストッパー16の移動を開始する追加的な熱源が設けられねばならない。例えば、熱源は、「体温」(略37℃、または皮膚の表面において33℃)にあるユーザーの手とすることができる。この構成によって、推進剤が不注意によって第2のチャンバ20に流体連通した場合の薬剤の偶発的な送達のおそれを低減させることができる。
【0059】
ストッパー16が出口14に向かって軸方向前方に移動し、第1のチャンバ18の容積を減少させると、第2のチャンバ20が大きくなる。これによって、追加的な空間が第2のチャンバ20内に連続的に生じ、この追加的な空間内において、推進剤が蒸発する。このさらなる蒸発は、残りの液体推進剤のさらなる冷却をもたらし、これによって、第2のチャンバ20内の観察される蒸気圧をさらに低下させる。
【0060】
しかし、システムは、完全に断熱ではなく(また等温でもないので)、液体推進剤がその近接環境(例えば、バレル12)から熱エネルギーを吸収し、液体推進剤の温度の低下および第2のチャンバ20内の蒸気圧の低下を相殺する。実際、もしこの熱吸収が存在しないなら、液体推進剤の温度が連続的に低下するにつれて、推進剤は、凍結するかまたは少なくとも安定した液体になり、注射器10の正確な操作が停止するだろう。第2のチャンバ20内の蒸気圧のこの低下は、第1のチャンバ18からの薬剤の送達の間中ずっと生じることになる。しかし、実際には、ストッパー16が移動しているので、第2のチャンバ20内の推進剤は、バレル12の内側の「新しい」区域に連続的に晒される。バレルの内側の「新しい」区域は、推進剤とそれまで接触していないので、もし(液体推進剤に熱エネルギーをすでにもたらしたバレル12の軸方向後方の区域と違って)追加的な加熱手段が存在しているなら、その熱エネルギーは、当初、実質的に周囲温度またはその近傍またはさらに高い温度である。推進剤が送達中に晒されるバレルの「新しい」区域は、第2のチャンバ20内の推進剤に熱エネルギーをもたらすことができる新鮮な熱源として作用することになる。
【0061】
ストッパー16は、さらなる軸方向前方運動を行うことができないバレル12の最前端に達するまで、バレル12内において軸方向前方に連続的に移動する。この時点で、第1のチャンバ18内の十分な投与量の薬剤が送達されており、第1のチャンバ18は、その最小容積(すなわち、バレル12の前端の形態にもよるが、ゼロまたは実質的にゼロの近傍に)縮小する。ストッパー16がさらに移動しないので、ガス相推進剤および残っている液体推進剤内の温度が、増大し始める。何故なら、熱エネルギーが環境から吸収されるからである。ストッパー16がバレル12内において静止し、第2のチャンバ20が一定容積を有しているので、推進剤の温度の上昇によって、第2のチャンバ20内の蒸気圧が増大する。蒸気圧のこの増加は、その近接環境の温度(例えば、周囲温度またはもし追加的な加熱手段がこの時点において存在しているなら、さらに高い温度)における蒸気圧に達するまで継続する傾向にある。実際、第2のチャンバ20内の蒸気圧は、平衡に達するのに十分長い時間を経過したなら、その近接環境の温度における推進剤の蒸気圧に達することになる。
【0062】
送達中に、第2のチャンバ20内の蒸気圧が、推進剤が第2のチャンバ20内に放出されたときの最初の最大蒸気圧から、ストッパー16がバレル12の前端に達したときの蒸気圧まで、低下する大きさは、i)注射器10の熱特性、ii)第2のチャンバ20内への推進剤の送達率、およびiii)(以下にさらに詳細に説明する)第2のチャンバ20に入る推進剤の相のいずれか1つまたは複数に依存する。注射器10の熱特性の影響について述べると、このような特性は、第2のチャンバ20内の推進剤への熱伝達率を決定する。同様に、第2のチャンバ20に入る推進剤の割合および相は、第2のチャンバ20内の推進剤に関して送達中に生じる熱力学的プロセスに影響を与える。
【0063】
一例では、推進剤が第2のチャンバ20内に放出されたときの最初の最大蒸気圧からストッパー16がバレル12の前端に達したときまでの蒸気圧の低下に関して、出口14に取り付けられた27ゲージのニードルを通して1mLの水溶液を送達したときに、0.5バールの蒸気圧の低下が測定されている。
【0064】
液化ガス駆動注射器の利点は、圧縮ガスによって駆動される注射器と比較することによって、最もよく理解されるだろう。いくつかの周知の先行技術による圧縮ガス注射器では、圧縮ガスは、注射器バレル内においてリザーバーからストッパーの背後の空間内に放出され、ガスの膨張する体積が、ストッパーに作用し、これによって、ストッパーを移動させ、薬剤をバレルから放出させるようになっている。
図6Aは、先行技術による圧縮ガス注射器の時間依存体積プロフィルを示している。5ccの圧縮ガスは、最初、ストッパーの後方の注射器の空間に選択的に流体連通しているリザーバー内に含まれている。
図6Aに示されているように、リザーバーが開いたとき、圧縮ガスは、ストッパーの背後の空き空間を満たすので、500によって示されているように、迅速に膨張する。
【0065】
一定質量のガスは、断熱条件下において理想気体の状態方程式に従い、PV=nRTとして挙動する。この式において、Pは、ガスの圧力であり、Vは、ガスの体積であり、nは、ガスのモル数であり、Tは、ガスの温度であり、Rは、一般気体定数である。いったん空き空間が圧縮ガスによって充填されたなら、膨張するガスは、
図6Aの502によって示されているように、ストッパーを移動させはじめ、薬剤がバレルから放出されることになる。いったんストッパーがバレルのその最前位置に達したなら、
図6Aの504によって示されているように、圧縮ガスは、さらなる膨張を停止する。
【0066】
断熱膨張ではnRTの大きさが一定であるので、ガスの体積が増大すると、ガスの圧力は、低下する。これは、
図6Bに示されている。この図は、
図6Aの体積プロフィルに対応する時間依存圧力プロフィルを示している。この圧力低下は、圧縮ガスが空き空間に入るとき(すなわち、圧縮ガスリザーバーが最初に開いたとき)およびストッパーが前方に移動して薬剤を放出している間に生じる。
図6Bに示されているように、最初の急峻な圧力低下に続いて、より緩慢な圧力低下が生じている。圧縮ガスの最終圧力は、ストッパーがバレル内のその最前位置にあるときの送達終了時の体積によって決定される。
図6Aおよび
図6Bは、圧縮ガスのリザーバーがシステムの内部空間に対して大きい注射器に関連するものである。この結果として、圧縮ガスの最終圧力は、比較的高レベル(最初の10バールからー5バール)に維持されている。
【0067】
図7Aおよび
図7Bは、圧縮ガスのリザーバーがシステムの内部空間に対して比較的小さい(0.3cc)注射器に関連している。
図7Aは、圧縮ガスの時間依存体積プロフィルを示しており、
図7Bは、圧縮ガスの対応する時間依存圧力プロフィルを示している。ここでも、
図7Aは、圧縮ガスリザーバーが最初に開いて圧縮ガスが空き空間を満たしたとき、500によって示されているように、迅速な体積の増大を示している。これに続いて、ストッパーが移動し始め、ストッパーの背後の空間が増大すると、502によって示されているように、より緩慢な増大が生じている。最後に、ストッパーがバレルのその最前位置にあるとき、圧縮ガスの体積は、
図7Aの504によって示されているように、増大を停止する。
図7Bに示されている対応する圧力プロフィルは、ガスが膨張するにつれて、大きい最初の迅速な圧力低下が生じ、次いで、ストッパーが移動し始めるにつれて、より緩慢な圧力低下が生じることを示している。
【0068】
対照的に、もしガスが(初期状態において)本発明による液化ガスであるなら、ガスの質量は、液体が沸騰するときにガスが膨張するにつれて増大する。より一貫性のある圧力プロフィルをもたらすのは、この増大する質量が、増大する体積に対応しているからである。
図8Aは、本発明による実施形態による0.3ccの液化推進剤によって駆動される注射器の時間依存体積プロフィルを示している。リザーバー(例えば、第3のチャンバ)内において、推進剤は、飽和蒸気と平衡状態にある液体である。いったんリザーバーが開き、ストッパーの背後の空間に流体連通したなら、液体推進剤は、沸騰し、ガスの体積が、
図8Aの500によって示されているように増大する。圧縮ガスと同じように、いったんストッパーが移動し始めると、ストッパーの背後の空間が増大し、ガスの体積は、502によって示されているようにさらに増大する。いったんストッパーがその最前位置に達したなら、ガスの体積は、504に示されているように一定になる。この時点で、第2のチャンバに流体連通するいくらかの推進剤がまだ残っている。しかし、液体が沸騰するにつれて、ガスの質量が増大するので、推進剤は、蒸気圧においてガスをさらに生成し、これによって、
図8Bに示されているように、より一定の圧力を維持している。リザーバーが最初ストッパーの背後の空間に流体連通するときに最初のガス圧変動が生じるが、
図6Bおよび
図7Bに示されている圧縮ガスの場合におけるような著しい全体的ガス圧低下が生じない。その結果、本発明は、極めてわずかな初期量の推進剤によって、極めて一貫した圧力プロフィルをもたらすことになる。これによって、本発明の注射器は、第2のチャンバ内の予測可能な信頼性の高い圧力によって動作開始される付属的機能をもたらすのに特に適している。
【0069】
図6A〜
図8Bの各々に関連する注射器では、圧縮ガスまたは蒸発推進剤が最初に膨張する内部の空き空間は、〜3ccである、
【0070】
図9は、注射器、例えば、
図1Aに関連して前述した注射器によって使用中に示される圧力プロフィルの例(例えば、第2のチャンバ20内の蒸気圧対時間)を示している。点Aは、第2のチャンバ20内への推進剤の放出の開始を示しており、これに続く推進剤の沸騰によって、点Bに至る第1の期間(典型的には、約10−100ms)にわたって極めて急速な蒸気圧の増大が生じている。点Bにおいて、第2のチャンバ20内の蒸気圧は、ストッパー16を軸方向前方に移動させ、第1のチャンバ19からの薬剤の放出を開始するのに十分大きい。実際、ストッパー16は、点Bに達する直前に、第2のチャンバ20内の圧力が注射器120内のストッパー16の摩擦抵抗を上回るのに十分な大きさになっているとき、移動し始める。前述したように、注射器10の熱力学によって、送達中に、蒸気圧が低下する。これは、
図9の圧力プロフィルに示されている。すなわち、点B,C間の第2の時間間隔にわたって負の勾配が存在し、点Cは、ストッパー16の軸方向移動の継続が停止した瞬間(すなわち、送達の終了時)を表している。結果的に、Cにおける蒸気圧は、Bにおける蒸気圧よりも低い。点Cと点Dとの間の第3の時間間隔は、第2のチャンバ20内の蒸気の増大を表している。何故なら、第2のチャンバ内の推進剤が環境から熱を吸収するからである。この増大は、その近接環境の温度(例えば、周囲温度)における推進剤の蒸気圧に達するまで継続する傾向にある。実際、点Dは、実質的にこの蒸気圧を表している。
図9の圧力プロフィルの場合、点Dにおける蒸気圧は、点B,点Cの両方における蒸気圧および(勿論、点A)における蒸気圧よりも高い。これは、ストッパー16は、推進剤がその近接環境の温度におけるその蒸気圧に達する前に、軸方向前方に移動し始めるからである。点Dにおいて、第2のチャンバに流体連通する液体推進剤の一部が依然として残っている。
【0071】
図9の圧力プロフィルは、送達中にストッパー16に作用する単純な一定圧(すなわち、第2のチャンバ20内の蒸気圧)が必ずしも必要ではないことを明らかにしている。本発明によれば、この圧力プロフィルは、より信頼性の高いおよび/またはより有用な装置をもたらすように、および/または特定の薬剤または特定の用途により適するように、利用可能である。実際、前述したように、圧力プロフィルの形態は、i)注射器10の熱特性 ii)第2のチャンバ20内への推進剤の送達率、およびiii)第2のチャンバに入る推進剤の相のいずれか1つまたは複数に依存している。
【0072】
以下、本発明による注射器10のさらなる実施形態について、
図1B〜
図1Fを参照して説明する。構成の差を考慮すれば、注射器10の種々の実施形態は、各々、使用中に第2のチャンバ20内の蒸気圧の種々の圧力プロフィルを有することになる。
【0073】
図1Bにおいて、第3のチャンバ22が内蔵式収容体21を形成する破裂性壁24によってもはや画定されていない点を除けば、
図1Aに示されている注射器と殆ど同様である注射器10が示されている。代わって、
図1Bの注射器10の場合、破裂性壁24は、注射器10の(前述の軸方向と平行の)長軸と実質的に直交する方向においてバレル12を横切って延在している。従って、
図1Bの注射器10の場合、第3のチャンバ22は、破裂性壁24およびバレル12の壁によって画定されている。代替的実施形態では、第3のチャンバは、破裂性壁24および(バレル12内に封入または含有されていない)追加的な構成部品の壁によって画定されていてもよいが、この場合も、破裂性壁は、第3のチャンバ22と第2のチャンバ20との間に境界をもたらすようになっている。破裂性壁は、例えば、第3のチャンバ22と第2のチャンバ20とを分離する隔離であるとよい。加えて、破裂性壁24は、必ずしも注射器10の長軸と直交している必要がなく、また必ずしも単一面内に配置されている必要がない。
図1Aの注射器10と同じように、
図1Bの注射器10は、(図示されない)破裂部が破裂壁24を破裂させたときに作動され、第3のチャンバ22と第2のチャンバ20との間に流体接続をもたらし、これによって、第3のチャンバ22から第2のチャンバ20内への推進剤の流れを可能にする。
図1Aの注射器と同じように、
図1Bの注射器10のストッパー16は、第2のチャンバ20内の蒸気圧の力によって軸方向前方に移動し、薬剤を第1のチャンバ28から出口14を通して放出することになる。
【0074】
本発明による注射器のさらなる実施形態が、
図1Cに示されている。
図1Cの注射器10は、第3のチャンバ22が、破裂性壁24によって画定されているのみならず、バレル12の内周に沿ってバレル12の壁間に延在する1つの(または複数の)非破裂性壁26によっても画定されている点において、
図1Bの注射器と異なっている。図示されている実施形態では、非破裂性壁26は、バレル12から延在し、破裂性壁24が横断している中心開口を有している。代替的実施形態では、複数の破裂性壁24、および任意の形態でバレル12を横断する複数の非破裂性壁26が、第3のチャンバ22を画定するように設けられていてもよい。実際、いくつかの実施形態では、任意の構成の破裂性壁24、または破裂性壁24および非破裂性壁26が、注射器10の長軸と交差しない第3のチャンバ22を形成するようになっていてもよい。
【0075】
図1Cの実施形態では、(非破裂性壁26の開口の大きさによって殆ど決定される)破裂性壁24の大きさが、破裂性壁24の破裂時における第3のチャンバ22から第2のチャンバ20への推進剤の流量を殆ど決定することになる。
【0076】
本発明による注射器のさらなる実施形態が、
図1Dに示されている。
図1Dの注射器10は、バレル12の内周に沿ってバレル12を横断する非破裂壁26を備えている。非破裂性壁26は、連続的な円板を形成しておらず、貫通する軸方向開口26aを有している。非破裂性壁26は、第4のチャンバ28を形成している。第4のチャンバ28は、推進剤通路を画定する開口26aを介して第2のチャンバ20に流体接続している。第4のチャンバ28は、
図1Aに関連して前述した収容体21を含んでいる。使用時に、収容体の破裂性壁24が破裂し、第3のチャンバ22を第4のチャンバ28に流体接続し、これによって、開口26aを介して第2のチャンバ20にも流体接続している。開口26aの大きさが、破裂性壁24の破裂時に、第4のチャンバ28から第2のチャンバ20への推進剤の流量を殆ど決定する。開口26aは、単純な孔であってもよいし、第4のチャンバ28を第2のチャンバ20に接続するどのような他の流路であってもよい。例えば、一実施形態では、開口26aは、作用する流体圧が所定の閾値を超えたときに開くラビリンス機構または弁機構であってもよい。バッフル機構は、第4のチャンバ28から第2のチャンバ20に流れる推進剤の液滴(例えば、ミスト)の流れを防止するかまたは最小限に抑えることができる。
【0077】
本発明による注射器10のさらに他の実施形態が、
図1Eに示されている。
図1Eの注射器10は、
図1Dの注射器と殆ど同様であるが、第3のチャンバ22と第4のチャンバ28とを流体接続する推進剤通路が推進剤導管30によって画定されている。推進剤導管30は、第3のチャンバ22と第4のチャンバ28とを流体接続する孔を有しており、この孔が、第3のチャンバ22から第4のチャンバ28への推進剤の流量を殆ど決定するようになっている。推進剤導管30は、距離Lだけ、第4のチャンバ内に軸方向後方に延在している。軸方向後方に延在している推進剤導管30は、注射器10の使用中に、第4のチャンバ28から第2のチャンバ20に流れる液体推進剤の量を制限するように作用する。特に、注射器10の使用中、注射器10は、出口14が注入部位に近接するように配向される。通常、注射器10は、注射器の長軸が注入部位の上に垂直に保持されるように(または水平に対して少なくとも傾斜するように)配向される。この配向において、(破裂性壁24の破裂の後)第3のチャンバ22を出る液体推進剤は、非破裂性壁26に向かって重力の影響によって移動する。このように、推進剤導管30は、大きさLおよび存在する推進剤の量に依存して、液体推進剤の全てではないにしても一部の上方に延在している。推進剤導管30は、第4のチャンバ28から第2のチャンバ20への液体推進剤の流量の全体を制限または阻止するように作用する。注射器10は、垂直以外の配向(例えば、水平、または垂直と水平との間の任意の配向)で用いることができ、大きさLが、第4のチャンバ28から第2のチャンバ20への液体推進剤の流れを制限するかまたは好ましくは実質的に阻止するのに十分に長くなっていると好ましい。
【0078】
第2のチャンバ20を半径rおよび高さHを有する円筒としてモデル化した場合、πr
2Hは、注射器10が垂直に配向されたときに推進剤導管30の後端(開端)が推進剤の液体レベルの上方に突出するために、第2のチャンバ20内の液体推進剤の最大体積よりも大きくなっているべきである。加えて、(πr
2H/2)は、注射器10が水平に配向されたときに推進剤導管が推進剤の液体レベルの上方に位置するために、第2のチャンバ20内の液体推進剤の最大体積よりも大きくなっているべきである。一例では、6.35mm直径の第2のチャンバ30内の推進剤の体積が100μLの場合、大きさLは、推進剤の液体レベルの上方に位置するために、3.158mm以上であるべきである。他の例では、6.35mm直径の第2のチャンバ30内の推進剤の体積が10μLの場合、大きさLは、推進剤の液体レベルの上方に位置するために、0.316mm以上であるべきである。
【0079】
図1Eに関連して前述した注射器と同様の注射器10が、
図1Fに示されている。
図1Fの注射器10では、第3のチャンバ22は、内蔵式収容体21によって画定されておらず、(
図1Cに示されている実施形態と同じように)破裂式壁24、非破裂性壁26、およびバレル12の組合せによって画定されている。加えて、
図1Fの注射器10は、推進剤導管30を備えている。推進剤導管30は、距離Lだけ、第3のチャンバ22内に軸方向後方に延在しており、(破裂性壁24が存在しているが)第3のチャンバ22を第2のチャンバ20に流体接続する孔を有している。破裂性壁24は、第3のチャンバ22を第2のチャンバ20から一時的に流体的に隔離するために、推進剤導管30の孔に沿った任意の位置に配置されているとよい。
図1Eの実施形態と同じように、推進剤導管30は、ここでは第3のチャンバ22から第2のチャンバ20内への液体推進剤の流れの全体を制限または阻止するように作用する。前述したように、第2のチャンバ20内に流れる液体推進剤の液滴(例えば、ミスト)を阻止するために、ラビリンス機構またはバルブ機構が配置されていてもよい。
【0080】
使用中の第2のチャンバ20内の推進剤の蒸気圧の圧力プロフィルは、第2のチャンバに入る推進剤の相によって影響されることになる。例えば、もしガス相(または大半がガス)の推進剤の一定流れまたはほぼ一定流れが推進剤導管30を通って第2のチャンバ20に供給されたなら、ストッパー16は、より一定の蒸気圧を受け、バレル12内においてより一定速度で軸方向前方に移動し、一定流量の薬剤を第1のチャンバ18から放出することになる。これは、一定流量またはほぼ一定流量の薬剤を送達することが重要な用途にとって特に適している。
【0081】
推進剤導管30または開口26aを通る推進剤の通路は、「規則正しい送達」を構成しない。実際、推進剤導管30または開口26aを通る通路は、第2のチャンバ20への推進剤のボーラス送達を構成している。
【0082】
他の規定がない限り、(第3のチャンバ22の形態を除く)
図1Aの注射器の記載した全ての特徴は、
図1B〜
図1Fの注射器のいずれか1つまたは複数に適用可能である。実際、
図1A〜
図1Fの注射器のいずれか1つまたは複数の相互排他的でない特徴は、
図1A〜
図1Fの注射器の任意の他の特徴に適用可能である。
【0083】
図10は、殆どガス状の推進剤が第2のチャンバ20に供給されるようになっている注射器10の第2のチャンバ20内の蒸気圧の例示的な圧力プロフィルを示している。
図10の圧力プロフィルは、推進剤が点Aにおいて第2のチャンバ20に入り、その直後に第2のチャンバ20内の蒸気圧が点Bにおける初期最大蒸気圧まで増大することを示している。蒸気圧の増大率は、点Bに達する直前においていくらか減少する。点Aから点Bまでの変化は、第1の時間間隔にわたって生じている。次いで、蒸気圧は、第2の時間間隔にわたっていくらか減少する。何故なら、点Cに達するまで、ストッパー16が軸方向前方に移動し始め、薬剤を送達するからである。第2の時間間隔中、存在する少量の液体の温度が低下する。何故なら、この液体は、
図9の圧力プロフィルに関して前述した機構によって、蒸発の熱を失うからである。しかし、
図10における点Bと点Cとの間の圧力減少およびその減少率は、
図9の圧力プロフィルの該当する圧力減少およびその減少率よりも小さい。
図10において、点Cは、ストッパー16がバレル12の前端に達し、もはや、軸方向前方に移動しない時の送達終了時を示している。点Cに達した後、第2のチャンバ20内の推進剤は、環境から熱を吸収し、これによって、第2のチャンバ20内の蒸気圧を増大させる。この増大は、近接環境の温度(例えば、周囲温度)における推進剤の蒸気圧に達するまで継続する傾向にある。これは、点Dによって示されており、点Cと点Dとの間の時間間隔が、第3の時間間隔である。点Dにおいても、第2のチャンバに流体連通するいくらかの液体推進剤が依然として残っている。
【0084】
図11は、実質的にガスのみの推進剤が第2のチャンバ20内に導入されるようになっている本発明による注射器10の圧力プロフィルの例を示している。
図11の圧力プロフィルは、
図10の圧力プロフィルと殆ど同様であるが、
図11の圧力プロフィルでは、点Bと点Cとの間に蒸気圧の変化が実質的に存在していない。すなわち、送達中、第2のチャンバ20内の蒸気圧は、実質的に一定である。
図10の圧力プロフィルと同じように、送達の終了に続いて(すなわち、点Cの後)、蒸気圧が増大する。何故なら、第2のチャンバ内の推進剤が環境から熱を吸収するからである。点Dにおいて、第2のチャンバに流体連通するいくらかの液体推進剤が依然として残っている。
【0085】
図9、
図10および
図11の圧力プロフィルを比較すると、第2のチャンバ20内に導入される液体推進剤に対するガス推進剤の比率が増大するにつれて、点Bと点Cとの間の蒸気圧低下が少なくなることが分かるだろう。これは、主に、よりガス状の推進剤が第2のチャンバ20内に導入される場合、蒸気圧の初期最大値(すなわち、点Bの蒸気圧)が小さくなることに起因していることを理解されたい。すなわち、ガス状のみまたは部分的にガス状の推進剤が第2のチャンバ2内に導入される場合、第2のチャンバ20内の蒸気圧は、送達中に、その近接環境の温度(例えば、周囲温度)におけるその蒸気圧に達しないことになる。
【0086】
実際、ガス状推進剤のみが第2のチャンバ20内に導入されるようになっている本発明によるいくつかの注射器の場合、送達終了前に初期最大圧力が存在しないことを理解されたい。すなわち、点Aの後の蒸気圧の初期増大は、ストッパー16の移動および薬剤の放出をもたらすが、送達終了時において、蒸気圧は、送達プロセスにおいて超えていないレベルにある。換言すると、点Cは、第1の時間間隔および第2の時間間隔における最も高い蒸気圧を表している。この場合、点Cに続いて、蒸気圧は、推進剤がその環境から熱エネルギーを吸収するにつれて増大し、その蒸気圧の増大は、その近接環境の温度(すなわち、周囲温度)における推進剤の蒸気圧に達するまで継続する傾向にある。
【0087】
前述したように、推進剤駆動注射器10によって生じる圧力プロフィルの形態は、3つのパラメータ、すなわち、i)注射器10の熱特性、ii)第2のチャンバ20内への推進剤の送達率、およびiii)第2のチャンバ20内に入る推進剤の相の1つによって決定される。前述した実施形態は、圧力プロフィルの形態に及ぼすパラメータii)およびiii)の影響を示している。
【0088】
一方、
図12は、圧力プロフィルの形態へのパラメータi)の影響を示している。具体的には、
図12は、
図9の圧力プロフィルを生じる注射器と同様の本発明による注射器10の圧力プロフィルを示している。しかし、
図12の圧力プロフィルに関連する注射器10は、使用中に第2のチャンバ20内の推進剤をさらに冷却する装置を追加的に備えている。「さらに冷却する(further cool)」という表現は、さらに冷却する装置が存在しない場合におけるよりも、すなわち、液体推進剤の温度の低下が蒸発の潜熱の損失のみによる場合におけるよりも、第2のチャンバ20内の推進剤の温度をより低下させることを意味している。当業者であれば、第2のチャンバ20内の推進剤が本発明の範囲内に含まれるいくつかの方法によってさらに冷却可能であることを理解するだろう。例えば、(推進剤の追加的な供給であってもよい)冷却剤または冷媒が第2のチャンバ20に近いバレル12の外側にもたらされ、第2のチャンバ20に近いバレル12の一部を冷却し、これによって、その熱エネルギーの一部を除去し、第2のチャンバ20内の推進剤に供給する熱エネルギーを低減させるようになっているとよい。もし第2のチャンバ20の近くのバレル12の一部が第2のチャンバ20内の推進剤に供給する熱エネルギーがわずかであったなら、沸騰したときに蒸発熱を失うことによって液体推進剤の温度が低下するとき、液体推進剤が第2のチャンバ20の近くのバレル12から利用可能な熱エネルギーが少ないことになる。すなわち、沸騰による温度低下を相殺するために液体推進剤によって吸収されるその近接環境における液体推進剤に利用可能な熱エネルギーがわずかしか存在しないことになる。この理由から、注射器10の操作中、第2のチャンバ20内の蒸気圧の低下は、第2のチャンバ内の推進剤を冷却するどのような手段も適所に配置されていない場合よりも大きくなる。実際、第2のチャンバ内の推進剤が沸騰し、ストッパー16をバレル12内において軸方向前方に移動させるとき、液体推進剤に利用可能な熱エネルギーを低減させる任意の手段または方法が設けられていると、このような手段または方法が適所に設けられていない場合よりも、第2のチャンバ20内の蒸気圧の低下が大きくなる。
【0089】
冷却剤または冷媒が第2のチャンバ20に近いバレル12の外側に設けられている場合、冷却剤または冷媒の熱は、バレル12(および第2のチャンバ20内の液体推進剤)を冷却した後、注入部位に向かって伝達または移動し、注入部位を追加的に冷却する。注入部位にもたらされる冷却は、患者が感じる注入による苦痛のレベルを低減する効果をもたらすことになる。
【0090】
他の実施形態では、熱絶縁材料が第2のチャンバ12に近いバレル12上またはその周囲に配置されてもよく、これによって、環境からバレル12への熱伝達が低減される。この実施形態では、バレル12および第2のチャンバ20内の液体推進剤によって吸収される熱損失は、外部環境からバレル12による熱の吸収によって相殺されない(またはこのような相殺は、少なくとも制限される)。ここでも、このような手段が推進剤を含む第2のチャンバ20への熱伝達を制限し、これによって、より大きい蒸気圧低下が生じることになる。
【0091】
逆に、もしより多くのエネルエネルギーが第2のチャンバ20に供給され、これによって、第2のチャンバ20内に含まれる液体推進剤が送達中により多くの熱エネルギーを吸収することができるなら、送達中の第2のチャンバ20内の蒸気圧の低下を低減させることができ、さらに実質的にゼロまで低減させることができる。熱エネルギーは、能動的加熱手段によって第2のチャンバ20に供給されるとよい。能動的加熱手段は、例えば、周囲温度を超える温度を有する熱源をもたらすことによって、達成されるとよい。これによって、熱エネルギーが熱源から第2のチャンバ20,特に、第2のチャンバ20内に含まれる推進剤に伝達される。代替的に、注射器10、例えば、バレル12の熱特性が、環境から第2のチャンバ20への熱伝達率を増大させるように構成されてもよい。例えば、注射器10の材料は、第2のチャンバ20への熱伝達を最大化させせるために、高熱伝達率を有するように選択されてもよく、これによって、液体推進剤は、蒸発による温度低下を相殺(すなわち、低減または排除)するのに十分な熱を吸収することができる。勿論、もし高熱伝導率を有する材料を用いて、注射器10を作製したなら、この材料は、他の所望の物理的特性(例えば、強度および耐久性)を十分な程度にもたらさねばならない。
【0092】
従って、本発明によれば、注射器10の作動時に第2のチャンバ内の蒸気圧の所望の圧力プロフィルをもたらすような適切な特性を有する注射器10が、提供されるとよい。所望の圧力プロフィルは、例えば、特定の薬剤または特定の注入形式に適する特定の圧力プロフィルによって所望の送達が得られるように、決定されるとよい。代替的に、所望の圧力プロフィルは、特定の形式の圧力特徴(例えば、大きさ、期間、勾配、率、など)の要件によって、決定されてもよい。(以下にさらに詳細に説明する)注射器のさらに複雑な操作モードが利用可能となるように後続の動作を開始するために、この圧力特徴が用いられてもよい。
【0093】
前述したように、「第1の時間間隔」は、第2のチャンバ20内への推進剤の最初の放出と最初の最大蒸気圧との間の時間間隔である。典型的には(前述したように、必ずしもこの限りではないが)、ストッパー16の最初の移動は、最初の最大蒸気圧の生成と一致しており、ここから第2の時間間隔にわたって、蒸気圧が減少する。「第2の時間間隔」は、ストッパー16の最初の軸方向前方移動とストッパー16の軸方向前方移動が停止した時点(すなわち、ストッパー16がバレル12の前端に達した時の送達相の終了点)との間の時間間隔である。「第3の時間間隔」は、第2の時間間隔の終了時点と第2のチャンバ20内の蒸気圧が所定レベルに達した時点との間の時間間隔として定義されている。好ましい実施形態では、第3の時間間隔を決定する所定レベルは、その近接環境の温度(例えば、周囲温度)における推進剤の蒸気圧である。
【0094】
好ましい実施形態では、本発明による注射器10は、第2のチャンバ20内の蒸気圧の圧力プロフィルであって、第1の時間間隔が1.0秒未満である、圧力プロフィルを示している。さらに好ましい実施形態では、第1の時間間隔は、より短く、例えば、0.5秒未満、0.2秒未満、または0.1秒未満であると好ましい。好ましい実施形態では、第2の時間間隔は、15秒未満であると好ましい。しかし、約15秒の第2の時間間隔は、比較的長い送達期間を表しており、実際には、第2の時間間隔が10秒未満、さらに好ましくは、5秒未満であると、さらに好ましい。特に好ましい実施形態では、第2の時間間隔は、3秒未満、2秒未満、または1秒未満である。蒸気圧がストッパー16の初期移動と実質的に一致する(すなわち、第1の時間間隔の終了および第2の時間間隔の開始と一致する)初期の最大蒸気圧(「第1の圧力」)に達した場合、この最初の最大蒸気圧は、15バール未満、さらに好ましくは、10バール未満、8バール未満、または6バール未満であると好ましい。好ましい実施形態では、第1の圧力は、その近接環境の温度(例えば、周囲温度)における推進剤の蒸気圧と実質的に等しいと好ましい。第2の時間間隔の終了時(すなわち、第3の時間間隔の開始時)における第2のチャンバ20内の蒸気圧を「第2の圧力」として定義すると、好ましい実施形態では、第2の圧力は、好ましくは、第1の圧力の99%未満、さらに好ましくは、第1の圧力の95%未満または90%未満である。同様に、好ましい実施形態では、第2の圧力は、好ましくは、第1の圧力の50%よりも大きく、さらに好ましくは、第1の圧力の75%よりも大きくまたは85%よりも大きい。好ましい実施形態では、第1の圧力と第2の圧力との間の差は、0.1バールよりも大きく、さらに好ましくは、0.5バールよりも大きくまたは1.0バールよりも大きい。
【0095】
本発明によれば、所定温度において沸騰する推進剤によって推進可能な注射器が提供されている。この注射器は、前端に出口を有するバレルおよびバレル内において軸方向に移動可能なストッパーを有しており、該ストッパーは、第1のチャンバおよび第2のチャンバを画定しており、かつ互いに分離している。第1のチャンバは、ストッパーの軸方向前方に位置し、薬剤のような物質を含むように構成されており、第2のチャンバは、ストッパーの軸方向後方に位置し、注射器の作動時に、ストッパーに作用する推進剤を受け入れ、ストッパーをバレル内において軸方向前方に移動させ、薬剤を出口を通して放出させるように、構成されている。実際、この注射器は、本発明の他の実施形態による前述した注射器と極めて類似しており、実際、このさらなる態様の注射器は、前述した注射器の1つと同じであってもよい。しかし、このさらなる態様の注射器は、破裂性収容体を備える第3のチャンバから推進剤を受け入れる構成に必ずしも制限されない。実際、推進剤は、弁付き収容体などを介して本発明のこのさらなる態様の注射器に供給されるようになっていてもよい。
【0096】
この注射器は、使用時に、注射器が作動すると、推進剤が、(任意の適切な手段によって)第2のチャンバ内に放出され、第2のチャンバ内の圧力を増大させ、これによって、ストッパーをバレル内において軸方向前方に移動させ、第1のチャンバに含まれた物質を出口を通して放出させ始めるように、構成されている。この注射器は、トリガーを追加的に備えている。トリガーは、所定条件を満足する第2のチャンバ内の圧力に応じて、作動(または動作開始)するものである。トリガーの作動時に、「動作(action)」が開始される。この動作は、後退した露出位置と前進した保護位置との間での保護ニードルシールドの移動であるとよい。代替的に、注射器は、より大きいオートインジェクター装置の一部であってもよく、この場合、注射器は、ニードルの全体が装置のハウジング内にある第1の位置と、ニードルがハウジングから突出し、注入部位を突き刺すことを可能にする第2の位置と、の間で軸方向に移動可能になっているとよい。この実施形態では、トリガーによって開始される動作は、第1の位置と第2の位置との間の注射器の移動である。付加的または代替的に、トリガーによって開始される動作は、1つまたは複数の信号を生じる1つまたは複数の指示器の作動であってもよい。指示器の例としては、視覚指示器、例えば、LEDが挙げられる。代替的に、指示器の例として、聴覚指示器、例えば、スピーカーが挙げられる。いずれにしても、1つまたは複数の指示器は、薬剤の送達の終了を信号によって知らせるか、または送達の終了から所定の時間間隔が経過したことを信号によって知らせるようになっているとよい。
【0097】
トリガーの作動を生じさせる所定条件は、第2のチャンバ内の圧力が所定圧力を超えたときとすることができる。トリガーは、所定の時間間隔が経過した後または先の所定条件が満たされた後、第2のチャンバ内の圧力が所定圧力を超えたとき、作動するようになっているとよい。所定条件は、圧力が所定圧力未満に低下したときに満たされるようになっていてもよいし、所定の時間間隔が経過した後または先の所定条件が満たされた後、圧力が所定圧力未満に低下したときに満たされるようになっていてもよい。さらに他の代替的実施形態では、所定圧力は、第2のチャンバ内の絶対圧力、(時間に対する)第2のチャンバ内の圧力比、または(時間に対する)第2のチャンバ内の圧力の差に関する値であってもよい。代替的に、所定条件は、第2のチャンバ内の圧力と基準チャンバ、例えば、第3のチャンバ内の圧力との間の比率または差であってもよい。
【0098】
トリガーは、さらなる動作を生じさせるためのアクチュエータに接続された圧力センサーを備えていてもよい。付加的または代替的に、トリガーは、第2のチャンバ内の圧力によってさらなる動作を直接もたらす機構を備えていてもよい。例えば、第2のチャンバ内の蒸気圧を用いて、(いったん所定条件が満たされたなら)ニードルシールドをその前方保護位置に直接付勢するか、または他のいくつかの物理的機構を移動させるようになっているとよい。ニードルシールドを移動させる場合、以下のように、ニードルシールドが解除されるようになっているとよい。すなわち、ニードルシールドは、付勢部材によって注入部位(例えば、患者の皮膚)に対して付勢されているが、注射器が注入部位から取り外されるとき、付勢部材によってもたらされている付勢力に対する抵抗をなくし、ニードルシールドがその保護位置に完全に移動するようになっているとよい。
【0099】
もし注射器が本発明による圧力プロフィルを示すように構成されているなら、該圧力プロフィルは、トリガーを作動する所定条件としてまたは該所定条件に対して用いることができる圧力特徴を有するように(注射器の仕様の一部として)調整可能になっているとよい。
【0100】
前述したように、いくつかの実施形態では、推進剤は、(本発明のいくつかの態様によれば)破裂性壁を有していない手段によって、第2のチャンバに供給されるようになっていてもよい。例えば、注射器は、推進剤を第2のチャンバに供給するためのディスペンサーを備えていてもよい。ディスペンサーは、推進剤がディスペンサーから流出することができない閉位置と所定量の推進剤がディスペンサーから流出することができる開位置との間で移動可能になっている。ディスペンサーは、推進剤を含むための最大容積を有しているとよく、推進剤の所定量は、前記最大容積よりも小さくなっている。最大容積は、ディスペンサーの第1の内部空間によって画定され、推進剤の所定量は、ディスペンサーの第2の内部空間によって画定されるようになっているとよい。閉位置では、第1の内部空間は、推進剤が第2の内部空間を充填させることを可能にするために、第2の内部空間に流体接続され、開位置では、第1の内部空間は、第2の内部空間に流体接続されず、第2の内部空間は、所定量の推進剤が第2のチャンバに供給されることを可能にするために、第2のチャンバに流体接続されるようになっている。
【0101】
図13Aおよび
図13Bは、推進剤を第2のチャンバに供給するための推進剤ディスペンサー321の実施形態の1つの具体例を示している。推進剤ディスペンサー321は、破裂性壁を備えていない。ディスペンサー321は、推進剤を含む中心空間322を画定するリザーバー324を備えている。中心空間322の内側には、内部フレーム400が配置されている。内部フレーム400は、推進剤が貫流することを可能にする一連の通路400a,400bを有している。内部フレーム400内に、互いに接続されたキャリッジ402およびノズル406が配置されている。キャリッジおよびノズル406は、互いに接続されており、ディスペンサー321内において、(
図13Aに示されているように)推進剤がディスペンサー321から流出することができない閉位置と(
図13Bに示されているように)推進剤がディスペンサー321から流出することができる開位置との間で、軸方向に移動可能になっている。キャリッジ402,従って、ノズル406は、図示されている実施形態ではバネの形態にある付勢部材404によって、フレーム400から閉位置に軸方向前方に付勢されている。
【0102】
キャリッジ402およびノズル406は、後シール408aおよび前シール408bを通って移動可能になっている。後シール408aおよび前シール408bは、フレーム40と一緒になって、キャリッジ402およびノズル406を囲む環状部410を画定している。ノズル406は、少なくとも開位置において、ディスペンサー321の前シール408bおよび開口321aを通って突出するように、移動可能になっている。
【0103】
キャリッジ402は、1対の通路402a,402bを有している。通路402a,402bは、キャリッジ402の中空領域402bと一緒になって、キャリッジ402が閉位置にあるとき、(
図13AにおいてF1として示されている)後シール408を囲む流体バイパス路を形成する。従って、閉位置において、推進剤は、中心空間322から通路402a,402bを介して環状部410に流れることができる。
【0104】
キャリッジ402およびノズル406がバネ404によって閉位置に向かって付勢されていることを考慮すれば、中心空間322は、キャリッジ402およびノズル406に作用する外力が存在しないディスペンサー321の非作動の状態において、環状部410に流体接続されている。閉位置では、環状部410からディスペンサーの外側への流路が存在しない。
【0105】
もしノズル406およびキャリッジ402が(
図13Bに矢印Mによって示されているように)軸方向後方に移動したなら、ノズル406およびキャリッジ402はバネ404に逆らって作用し、それらの開位置に向かって移動することになる。開位置では、1対の通路402a,402bは、いずれも後シールa408の軸方向後方に移動し、これによって、もはや、後シール408の周りにバイパス路を形成していない。従って、開位置では、中心空間322は、もはや、環状部410に流体接続していない。一方、開位置では、環状部410は、ノズル406の1つまたは複数の半径方向通路406aを介して、(
図13BにF2によって示されているように)前シール408bをバイパスし、ディスペンサー321の外側に流体接続している。半径方向通路406aは、環状部410をノズル406の(ディスペンサー321の外部環境に開いている)中空通路406bに流体接続している。従って、開位置では、環状部410内に存在する推進剤の全量が、ディスペンサー321から分注されることになる。完全をきたすために、閉位置では、1つまたは複数の半径方向通路406aは、環状部410を中空通路406bに流体接続させず、これによって、環状部410と外部環境との間の流体連通を阻止するようになっている。
【0106】
従って、いくつかの先行技術による弁ディスペンサーと違って、
図13Aおよび
図13Bを参照して前述したディスペンサー321は、開位置にあるとき、環状部410の容積によって画定される所定量の流体(推進剤)しか分注しないようになっている。これは、いくつかの先行技術によるディスペンサーと対照的である。先行技術によるディスペンサーは、いったん開位置に配置されると、閉位置に移動されるまで、流体を継続的に分注するようになっている。従って、ここに記載されているディスペンサー321は、所定量の推進剤を第2のチャンバにもたらすことができ、該所定量は、特定の用途に対して、例えば、第1のチャンバに含まれる薬剤の特定量の一回分を送達するように、調整可能であるという点において、本発明と共に用いられると有利である。
【0107】
前述の実施形態は、ディスペンサー321のような好ましい構成を示しておるが、代替的実施形態は、開位置に移動したときに所定量の推進剤を第2のチャンバに供給し、その後になって、さらなる所定量の推進剤を供給するように再使用可能になっているどのような構成を備えていてもよい。これらの実施形態において重要なことは、いったんディスペンサーが開位置に配置されたなら、推進剤は、連続的に送達されず、推進剤の送達がいつ停止されるかは、ディスペンサーの位置によってのみ決定されることである。
【0108】
推進剤ディスペンサーの他の例では、推進剤の収容体は、弁付き出口を有している。弁付き出口は、推進剤が収容体を流出することができない閉位置と、推進剤が収容体を流出することができる開位置との間で移動可能になっている。加えて、ディスペンサーは、弁付き出口が、いったん開位置に移動したなら、閉位置に戻ることを防ぐラッチ機構または他の同様の装置を有している。従って、いったん弁が開位置に移動したなら、収容体内の推進剤の全量が弁付き出口を通って放出されることになる。好ましくは、収容体は、一回分の薬剤の送達に十分な所定量の推進剤を含むように構成されている。この例では、破裂部は、弁付き出口を備えており、第3のチャンバ22は、弁付き出口が開位置にあるときに破裂し、閉位置に戻ることが防がれるようになっている。すなわち、第3のチャンバ22は、不可逆的に開いて第3のチャンバ22の全量がそこから放出されるという意味において、破裂されることになる。特定の例では、弁付き出口は、弁体、弁ステム、および係止部材を有する弁である。弁ステムは、弁ステムの出口ポートが第3のチャンバ22に流体連通していない非分注(閉)位置と、推進剤が弁ステムを通して第3のチャンバ22から移送することを可能にするために、出口ポートが第3のチャンバ22に流体連通している分注(「開」)位置との間で、弁体に対して摺動可能になっている。
【0109】
係止部材は、いったん弁体が係止位置を超えて摺動したなら、非分注位置への弁ステムの戻りを阻止するように、構成されている。
【0110】
一実施形態では、係止部材および弁ステムは、相互係合部材を備えている。相互係合部材は、分注位置に向かう弁ステムの移動中に互いに接触し、分注位置への弁ステムの移動を可能にし、係止位置を超えて分注位置に向かう弁ステムの逆動中に、互いに接触し、非分注位置への弁ステムの逆動を阻止するようになっている。
【0111】
相互係合部材は、分注位置に向かう弁ステムの移動中に、互いに接触し、相互係合部材の少なくとも1つの屈曲または他の変形によって、分注位置への弁ステムの移動を可能にする。
【0112】
好ましい実施形態では、弁ステムの相互係合部材は、フランジを備えている。さらに好ましくは、フランジの遠位縁は、分注位置への弁ステムの移動中に係止部材の屈曲を促進するために、傾斜している。
【0113】
さらなるまたは代替的な好ましい実施形態では、係止部材の相互係合部材は、少なくとも1つの柔軟ラッチを備えており、少なくとも1つの柔軟ラッチは、好ましくは、弾性挙動を呈するようになっている。
【0114】
弁ステムの係止位置は、弁ステムの相互係合部材が係止部材の相互係合部材を超えて摺動して該相互係合部材から離脱する点として、画定されているとよい。
【0115】
いくつ日の実施形態では、弁は、弁ステムを非分注位置に付勢するための付勢部材(例えば、圧縮バネ)をさらに備えているとよい。
【0116】
図14Aは、ストッパー16の移動に加えて、さらなる動作がいくつかの条件を満たす第2のチャンバ20内の圧力によって生じるようになっている本発明の実施形態を示している。
【0117】
図14Aでは、注射器バレル12は、開口600aを有するハウジング600内に保持されている。ハウジング600内において、可動ピストン606が、注射器バレル12に接触しており、第2のチャンバ20に流体連通している。可動ピストン606は、沸騰している推進剤の蒸気圧が可動ピストン606およびストッパー16に作用することができるように、構成されている。この作用は、開始時から機能するようになっている。すなわち、蒸気圧が可動ピストン606に最初に作用し、その後になって、ストッパー16にも作用する。この意味において、第2のチャンバ20は、推進剤源とストッパー16との間に、それらの間の一時的なシールとは無関係に、推進剤の全量を含んでいる。一時的なシールは、一部の圧力に達したときまたはある位置またはある形態達したときに開く弁または他の開口であるとよい。
【0118】
図14Aに示されている特定の実施形態に戻ると、第2のチャンバ20内の蒸気圧は、最初、可動ピストン606に作用する。可動ピストン606は、軸方向移動に対する抵抗を有している。この抵抗は、少なくとも部分的に、可動ピストン606が接触する他の構成部品(例えば、注射器バレル12)に対する摩擦、粘着、および特性および形態によるものである。従って、可動ピストン606は、トリガーとして作用することになる。トリガーは、可動ピストン60に作用する第2のチャンバ20内の圧力が可動ピストン606を軸方向前方に移動させることができるのに十分高いレベルに達したとき、移動し、ハウジング600に対する注射器バレル12の軸方向移動をもたらすものである。軸方向前方の移動において、可動ピストン606は、注射器バレル12をハウジング600の前端に向かって移動させ、これによって、バレル12の出口をハウジング600の前端の開口600aの近くに運ぶことになる。もし注射器バレル12が出口14に取り付けられたニードルを有しているなら、ハウジング600に対する注射器バレル12の移動は、ニードルがハウジング600の開口600aから突出しない第1の位置とニードルがハウジング600の開口600aから突出する第2の位置との間で行われることになる。注射器バレル12がその最前位置に達したとき(または接近するとき)、第2のチャンバ内の蒸気圧がストッパー16を軸方向前方に移動させ、薬剤を第1のチャンバ18から放出させると好ましい。ハウジング600に対する可動ピストン606の移動と注射器バレル12に対するストッパー16の移動との順序付けは、第2のチャンバ20内の圧力プロフィルの形態がそれぞれの移動の順序を決定するように、可動ピストン60およびストッパー16の移動に対する抵抗を調整することによって、決められるとよい。付加的にまたは代替的に、ある圧力閾値に達したときまたは可動ピストン606の特定の軸方向位置に達したとき、弁または他の開口のような一時的なシールが開き、第2のチャンバ20内の蒸気圧がストッパー16に直接作用するようになっているとよい。
【0119】
図14Bは、
図14Aに示されている実施形態と類似している代替的実施形態を示している。
図14Bでは、可動ピストン606は、注射器バレル12の外周に取り付けられた環状体として構成されている。可動ピストン606の軸方向後方には、剛性環状体604が配置されている。剛性環状体604は、ハウジングから半径方向内方に延在し、注射器バレル12の外周に封着されている。この実施形態では、可動ピストン606と剛性環状体604との間の空間は、第2のチャンバ20に流体連通しており(流体接続は、図示されていない)、その結果、第2のチャンバ20内の圧力が十分に高いレベルに達すると、その圧力によって、可動ピストン606がハウジング600(および剛性管状体604)に対して軸方向前方に移動し、注射器バレル12をハウジング600に対して軸方向前方に移動させることになる。
図14Bの実施形態の考えられる変更例として、剛性環状体604が省略されてもよい。この場合、第2のチャンバ20内の圧力は、第2のチャンバ20の後壁と可動ピストン606との間に作用し、注射器バレル12を移動させることになる。
【0120】
図14Cは、本発明によるさらなる代替的実施形態を示している。
図14Cの実施形態は、
図14Aの実施形態と同様であるが、後退バネ632を追加的に備えている。可動ピストン606が第2のチャンバ20内の蒸気圧によって軸方向前方に移動すると、後退バネ632は、圧縮され、注射器バレル12に対して軸方向後方付勢力をもたらすことになる。もし第2のチャンバ20内の蒸気圧が所定の閾値未満に低下し、可動ピストン606によって注射器バレル12bに加えられた軸方向前方力が後退バネ632によって注射器バレル12に加えられた軸方向後方力よりも小さくなったとき、注射器バレル12(およびそこに取り付けられた任意のニードル)は、軸方向後方に移動することになる。これは、例えば、注入部位からニードルを後退させるために、送達の終了時に行なわれるとよい。第2のチャンバ20内の圧力の低下は、例えば、第2のチャンバ20からの推進剤の排気の結果として、行なわれるとよい。
【0121】
いずれの実施形態においても、いくつかのトリガーが設けられ、これによって、異なる時期にいくつかの動作がなされるようになっていてもよい。この場合、各トリガーは、特定の動作を行うようになっているとよい。この例として、
図14Cに関して説明したように、(注射器バレルの移動による)ハウジング内の非露出位置からハウジングの外への露出位置へのニードルの第1の移動、およびそれに続く露出位置から非露出位置へのニードルの第2の移動が挙げられる。
【0122】
本発明のいくつかの実施形態によれば、どのような抵抗性可動部品(例えば、制限されるものではないが、可動ピストン)が、動作を引き起こすためのトリガーとして用いられてもよい。トリガーの作動(およびトリガーによる動作の開始)は、第2のチャンバ20内の圧力が抵抗性可動部品に作用するように第2のチャンバ20が抵抗性可動部品に流体連通したとき、かつ第2のチャンバ20内の圧力が抵抗性可動部品を移動させることができるのに十分高くなったとき、行なわれるようになっている。抵抗性可動部品の移動は、とりわけ、ハウジングに対する注射器バレル12の(前方または後方)移動、またはニードルが露出せずにニードル突刺の損傷のおそれが低減される保護位置へのニードルシールドの移動を引き起こすようになっているとよい。
【0123】
抵抗性可動部品は、十分な圧力を受けたときに移動するどのような適切な構成部品であってもよい。代替的実施形態では、抵抗性可動部品は、閾値圧力を超える圧力に応じて拡張する拡張性部品からなっていてもよい。一例では、拡張性部品は、拡張性バローズであってもよい。他の例では、拡張性部品は、膨張性部品であってもよい。他の例では、抵抗性可動部品は、閾値圧力を超える圧力に応じて第1の形態と第2の形態との間で移動可能な双安定性隔膜であってもよい。
【0124】
図15Aおよび
図15Bは、本発明の実施形態による他の例を示している。
図15Aおよび
図15Bでは、抵抗性可動部品は、拡張性ベローズ608からなっている。
図15Aは、非拡張形態にある拡張性ベローズ608を示しており、
図15Bは、拡張形態にある拡張性ベローズ608を示している。拡張性ベローズ608は、第2のチャンバ20内の圧力が閾値圧力に達したときに拡張するようになっている。拡張によって、拡張性ベローズ608は、注射器バレル12をハウジング600内において軸方向前方に移動させることになる。拡張性ベローズ608は、好ましくは、拡張性ベローズ608の後端においてハウジング60に取り付けられ、好ましくは、拡張性ベローズ608の前端において注射器バレル12に取り付けられている。好ましい実施形態では、拡張性ベローズ608は、ハウジング600内に空間効率のよい配置を可能にする予成形ベローズである。好ましくは、予成形ベローズは、非拡張位置にあるとき、極めて小さい(好ましくは、ゼロ)空き空間を有している。
図15Aおよび
図15Bに示されている実施形態では、ハウジング600内の注射器バレル12の最前位置は、拡張形態にある拡張性ベローズ608の軸方向長さによって決定されている。
【0125】
図16Aおよび
図16Bは、拡張性ベローズ610がハウジング600内において注射器バレル12の軸方向移動を生じさせるのに用いられる代替的実施形態を示している。
図15Aおよび
図15Bの実施形態と対照的に、
図16Aおよび
図16Bの実施形態では、ハウジング600内の注射器バレル12の最前位置は、ハウジングの肩60bによって決定されるようになっている。肩600bは、注射器バレル12のフィンガーフランジ12aに当接し、これによって、ハウジング600に対する注射器バレル12のさらなる軸方向前方の移動を阻止するようになっている。
図16Aは、非拡張形態にある拡張性ベローズ610を示しており、
図16Bは、拡張形態にある拡張性ベローズ610およびハウジング600の肩600bに当接しているフィンガーフランジ12aを示している。
【0126】
図17Aおよび
図17Bは、本発明のさらなる代替的実施形態を示している。
図17Aおよび
図17Bの実施形態では、抵抗性可動部品は、
図17Aに示されているような第1の形態と
図17Bに示されているような第2の形態との間で移動可能な双安定性隔膜612からなっている。第2の形態では、注射器バレル12は、第1の形態と比較してハウジング600に対してさらに軸方向前方に位置している。双安定性隔膜612は、ハウジング600に取り付けられていると共に、取付けカラー614を介して、注射器バレル12にも取り付けられている。代替的実施形態では、双安定性隔膜612は、注射器バレル12に直接接続されていてもよい。
図17Aおよび
図17Bに示されている特定の実施形態では、取付けカラー614は、該カラーを貫通する中心孔618を有しており、ハウジング600は、該ハウジングから突出するプラグ要素616を有している。プラグ要素616は、双安定性隔膜612が第1の形態にあるとき、孔618内に配置され、これによって、推進剤がストッパー16に作用するために推進剤源から流れるのを実質的に阻止するようになっている。対照的に、双安定性隔膜612が第2の形態にあるとき、プラグ要素616は、もはや、孔618内に位置しておらず、これによって、ストッパー16を軸方向前方に移動させて薬剤を放出させるために、第2のチャンバ20内の蒸気圧がストッパー16に作用することになる。
【0127】
双安定性隔膜612の1つの利点は、摩擦効果が存在しないことである。代わって、移動に対する抵抗は、双安定性隔膜612の剛性によって決定される。従って、双安定性隔膜612は、第2のチャンバ内の圧力が双安定性隔膜の剛性を上回って、移動をもたらすのに十分なとき、第1の形態から第2の形態に移動する。これによって、注射器バレル12は、ハウジング600に対して移動することになる。
【0128】
代替的実施形態では、プラグ要素616および孔618は、存在していなくてもよい。このような特徴部は、第2のチャンバ20内の圧力を用いていかに事象を連続的に生じさせるかを示す例である。前述したように、第2のチャンバ20の圧力によって事象を連続的に生じさせるために、どのような弁または開通する他の孔が用いられてもよい。
【0129】
図14A〜
図17Bに関して前述した実施形態は、全て、動作を生じさせるために軸方向に移動する抵抗性可動部品に関するものである。本発明のいくつかの実施形態によれば、さらなる動作をもたらすために、他の方向(すなわち、非軸方向)における抵抗性可動部品の移動が用いられてもよい。例えば、さらなる動作をもたらすために、抵抗性可動部品の半径方向移動が用いられてもよい。具体的には、構成部品を離脱させ、付勢要素が軸方向移動をもたらすように作用することを可能にするために、半径方向移動が用いられてもよい。例えば、この軸方向移動は、注射器バレル12に対するニードルシールドのような追加的な構成部品の移動であるとよい。
【0130】
図18は、さらなる動作をもたらすために半径方向に移動する抵抗性可動部品の例を示している。
図18では、(中心孔を有する)中空ロッド620は、ロッド620の外周の一部を包囲する膨張性スリーブ622を有している。中空ロッドは、1つまたは複数の半径方向開口(図示せず)を有している。これらの開口は、ロッド620を貫通し、中心孔に流体連通している。中空ロッド620は、第2のチャンバ20(図示せず)に流体連通しており、これによって、第2のチャンバ20の圧力は、半径方向開口を介して、膨張性スリーブ622に作用する。第2のチャンバ20内の圧力が膨張性スリーブ622を膨張サせるのに十分な閾値圧力に達したとき、膨張性スリーブ622は、1つまたは複数の半径方向に膨張する。膨張性スリーブ622は、ポケット622aを備えているとよい。ポケット622aは、予成形された空洞部または膨張に対する抵抗の小さい材料から単純に作製されているとよい。ポケット622aは、膨張性スリーブ622の残りを覆って選択的に膨張する。半径方向に拡張する膨張性スリーブ622は、さらなる動作をもたらすために用いられるとよい。一実施形態では、例えば、半径方向に拡張する膨張性スリーブは、機械的ラッチを離脱(すなわち、脱ラッチ)させ、さらなる動作、例えば、付勢部材(例えば、圧縮状態に保持されたバネ)の軸方向移動をもたらすことを可能にする。
【0131】
本発明による代替的実施形態では、他の抵抗性可動部品が、所定条件を満たす第2のチャンバ20内の圧力に応じて半径方向に移動し、これによって、さらなる動作をもたらすようになっていてもよい。例えば、とりわけ、半径方向に移動可能な抵抗性可動部品は、ピストン、拡張性ベローズ、または双安定性隔膜であるとよい。半径方向に移動可能な抵抗性可動部品は、カム動作によって、他の構成部品の直接的な軸方向移動をもたらすようになっていてもよい。
【0132】
同様に、本発明の範囲内にある他の実施形態では、抵抗性可動部品は、軸方向に移動すると共に、カム動作によって、他の構成部品の半径方向移動をもたらすようになっていてもよい。このような半径方向移動は、例えば、さらなる動作を可能にするために、脱ラッチするようになっていてもよい。
【0133】
以下、第2のチャンバ20内の圧力が一連の軸方向および半径方向運動をもたらすようになっている本発明の実施形態の例について、
図19A〜
図19Cに基づいて説明する。
図19Aは、ハウジング600内に配置された(本発明による)ストッパー16を有する注射器バレル12を備える装置623を示している。装置623は、本発明による推進剤源628、ハウジング600内に配置された解除カラー626、注射器バレル12内においてストッパー16の軸方向後方に配置されたピストン630、および圧縮状態に保持されている後退バネ632を備えている。
【0134】
図19A〜
図19Cに示されている特定の実施形態では、推進剤源628は、蒸気圧を第2のチャンバ20にもたらすために推進剤源628の外側で蒸発する液体推進剤を分注することができるラッチ缶である。いったん開いたなら、ラッチ缶628は、推進剤の全内容物をそこから分注するために、開状態にラッチ係止される。他の実施形態では、他の推進剤源が、もしそれらが推進剤源の外側において沸騰する液体推進剤を分注し、かつ蒸気圧を第2のチャンバ20に供給することができるなら、用いられてもよい。
【0135】
図19Aに示されている初期位置では、圧縮された後退バネ632は、解除カラー626およびハウジング600に対して付勢されている。しかし、解除カラー626の脚626aは、ハウジング600の一部に対してラッチ係止されており、解除カラー626とハウジング600との間に相対的な軸方向移動を阻止している。
【0136】
ラッチ缶628が軸方向前方に移動するとき、装置623が作動され、液体推進剤を注射器バレル12内に配置されたピストン630の孔630aを介して分注し始める。ピストン630は、シール631によって、注射器バレル12に対して封着されており、ピストン630を横切る流体経路のみが孔630aに通じている。
【0137】
液体推進剤がラッチ缶628から分注されると、この液体推進剤は、第2のチャンバ内において沸騰し、蒸気圧を生成し、該蒸気圧は、ストッパーに作用し、ストッパーを注射器バレル12内において軸方向前方に移動し、薬剤を放出させることになる。
図19Bでは、ストッパー16は、すでに軸方向前方に移動しており、薬剤を放出し始めている。
【0138】
第2のチャンバ20の増大する圧力は、ピストン630およびラッチ缶628に対して軸方向後方に作用する(ストッパー16に対して軸方向前方に作用する)。ラッチ缶628に作用する軸方向後方力は、最初、ラッチ缶628を(缶628が恒久的分注位置にある)ラッチ位置に移動させる。加えて、ピストン630は、第2のチャンバ20の圧力によって軸方向後方に移動する。
【0139】
図19Bは、ピストン630およびラッチ缶628が第2のチャンバ20内の圧力によって軸方向後方に移動した後の装置623を示している。シール631は、ピストン630と注射器バレル12との間の密封を維持し、もし圧力がそれらの間の摩擦力を上回ったなら、注射器バレル12に対するピストン630の軸方向摺動が可能になる。
【0140】
この軸方向後方移動の結果として、テーパ付き外面は、解除カラー626の半径方向内方に突出するタグ626bに作用し、解除カラーの脚626aをハウジング600から脱ラッチさせる(すなわち、半径方向に移動する)。その結果、後退バネ632が自由に拡張し、解除カラー626をハウジング600に対して軸方向後方に移動させることになる。
【0141】
注射器バレル12は、解除カラー626に対して固定されており、解除カラー626が軸方向後方に移動する結果として、ハウジング600に対して軸方向後方に移動することになる。
【0142】
図19Cは、注射器バレル12が後退バネ632の影響によって軸方向後方に移動した装置623を示している。その結果、バレル12に取り付けられた任意のニードルは、ハウジング600内に十分に引き込まれ、ニードル突刺損傷のおそれが低減されることになる。
【0143】
本発明の代替的実施形態について、
図20および
図21に基づいて説明する。
図20は、本発明の実施形態による注射器10’を示している。注射器10’は、出口14を有するバレル12を有している。ニードル15が出口14を貫通している。ストッパー16は、バレル12内に配置されており、十分な軸方向力を受けることによって軸方向に移動可能になっている。ストッパー16は、第1のチャンバ18および第2のチャンバ20を画定しており、かつ互いに分離している。第1のチャンバ18は、ストッパー16の軸方向前方に位置しており、薬剤、特に、液体薬剤のような物質を含むように構成されている。第2のチャンバ20は、ストッパーの軸方向後方に位置しており、推進剤源から推進剤を受け入れるように構成されている。推進剤源は、
図20および
図21の実施形態では、推進剤を含む第3のチャンバを画定する破裂性壁24を備える収容体21である。
【0144】
注射器10’は、破裂部100を有している。破裂部100は、旋回軸104に旋回可能に取り付けられたブレード102を備えている。破裂部100は、破裂部100が(
図20に示されているように)収容体21を破裂させない非破裂位置と、破裂部100が(
図21に示されているように)収容体21を破裂させる破裂位置と、の間で旋回可能になっている。破裂部100は、破裂部100を旋回軸104を中心として回転させるために、トルクを破裂部100に加えるビーム106の軸方向移動によって、破裂位置と非破裂位置との間で移動可能になっている。ビーム106は、破裂部100を受け入れる切抜部106aを有しており、ビーム106が軸方向に移動すると、トルクを破裂部100に加えるようになっている。切抜部106aは、破裂部100の回転を可能にする。ビーム106は、後端において注射器10’の後部のプッシュボタン10に接続されている。ビーム106を軸方向に移動させるために、プッシュボタン108が押し込まれ、これによって、破裂部100を回転させ、破裂部100を破裂位置に移動させる。ボタン108および/またはビーム106および/または破裂部100は、付勢されているとよい。これによって、破裂部100が破裂位置に向かって付勢され、力がプッシュボタン108に加えられていないとき(または不十分な力がプッシュボタン108に加えられたとき)、破裂部100は、非破裂位置内にある。
【0145】
注射器10’は、可動ニードルシールド112を追加的に備えている。ニードルシールド112は、ニードル15が露出する(
図20に示されているような)第1の後退位置とニードル15が包囲されて露出しない(
図21に示されているような)第2の拡張位置との間で移動可能になっている。ニードルシールド112の前方移動は、ニードルシールド112のフランジ付き後端112aによって、制限されている。フランジ付き後端112aは、ニードルシールド112が第2の拡張位置にあるとき、注射器10’のハウジング110の前端の内方フランジ110bに当接するようになっている。
【0146】
ニードルシールド112は、摩擦連結具115に摩擦係合可能な軸方向後方に延在する脚114を有している。摩擦連結具115は、摩擦連結具115の摩擦を上回るのに十分な力が加えられない限り、第1の位置と第2の位置との間のニードルシールド112の移動を阻止するものである。
図20および
図21に示されている特定の実施形態では、摩擦は、摩擦連結具115内のOリングシール116によってもたらされるようになっている。
【0147】
バレル12の後端は、第2のチャンバ20がバレル12の外に延出し、バレル12を包囲するハウジング110によって制限かつ画定されるように開いている。Oリングシール116が脚114に対して封着されており、これによって、Oリングシール116および脚114は、第2のチャンバ20と注射器10’の外部環境との間を密封するように作用している。代替的実施形態では、Oリングシール116の密封特徴および摩擦特徴は、2つ以上の構成部品によってもたらされてもよい。
【0148】
使用時に、ユーザーは、注射器10’の前端を注入部位に対して配置し(これによって、ニードル15が注入部位を突き刺し)、次いで、ボタン108を押し込むことによって、注射器10’を作動させる。この動作によって、ビーム106が軸方向前方に移動し、その結果、破裂部位100が旋回軸104を中心として回転し、非破裂位置から破裂位置に移動する。破裂位置において、破裂部100が破裂性壁24を破裂させ、推進剤を第2のチャンバ20内に放出させる。前述したように、第2のチャンバ内への推進剤の放出によって、ストッパー16が軸方向前方に移動し、薬剤(または他の物質)を(
図20および
図21に示されている実施形態では、ニードル15を介して)出口14から外に放出することになる。
【0149】
脚114は、摩擦連結具115を通って後方に延在し、第2のチャンバ20内に進入している。その結果、脚114は、沸騰した推進剤によって生じた圧力を受けることになる。いったん脚114に作用する第2のチャンバ20内の圧力が摩擦連結具115の摩擦を上回るのに十分になったなら、脚114およびニードルシールド112の残りは、軸方向前方に移動し始める。
【0150】
最初、脚114に作用する圧力によって、ニードルシールド112は、注入部位(例えば、患者の皮膚)に対して軸方向前方に付勢され、これによって、注入部位は、第2の位置へのニードルシールド112の移動を阻止する。脚114が摩擦連結部115に係合されているので、第2のチャンバ20は、その全体が密封されており、第2のチャンバ20内の圧力が残っている。送達シーケンスの終了時に、第1のチャンバ19内の薬剤の全てが出口14を流出したとき、ユーザーは、注射器10’を注入部位から離すとよい。ニードルシールド112が第2のチャンバ20内に圧力によって軸方向前方に依然として付勢されているので、注射器10’が注入部位から離れる方に移動すると、ニードルシールド112は、第2の位置に向かって軸方向前方にさらに移動することになる。最終的に、ニードルシールド112は、その第2の拡張位置に達し、ニードル15は、ニードルシールド112によって包囲され、かつ保護される。この第2の位置では、ニードルシールド112のさらなる軸方向前方移動は、ニードルシールド112のフランジ付け後端112aと注射器10’のハウジング110の前端の内方フランジ110bとの当接によって阻止される。
【0151】
この位置またはその前に、脚114は、摩擦連結具115を通って軸方向に移動しており、(
図21に示されているように)摩擦連結具115によってもはや係合されていない。摩擦連結具115内に係合されたときに、脚114は、摩擦連結具115によって、半径方向内方に第1の半径方向位置に曲げられている。従って、脚114が摩擦連結具115にもはや係合しないのに十分な量だけ軸方向前方に移動したとき、脚114は、(弾性緩和によって)半径方外方に第2の半径方向位置に曲げられる。第2の半径方向位置では、脚114(従って、ニードルシールド112の残り)は、脚114とハウジング110の段110cとの当接によって、軸方向後方に移動するのが防がれる。(必ずしも本発明の範囲内にある全ての実施形態に適用されないが)、
図20および
図21に示されている実施形態では、ハウジング110の段110cは、摩擦連結具115を注射器10’の外部の雰囲気に流体接続する開口110aの一部をなしている。代替的実施形態では、段110cおよび開口110aは、完全に独立した特徴部であるとよい。脚114と段110cとの当接は、ニードルシールド112のさらなる軸方向後方移動を阻止または制限する「閉塞(lock-out)」機構を形成する。本発明の範囲内において、この結果をもたらす前述の特別の機構に代わって、他の適切な閉塞機構が用いられてもよい。
【0152】
脚114が摩擦連結具115から脱係合されると、シール116は、もはや、脚114を密封せず、その結果、摩擦連結具115は、もはや、第2のチャンバ20を密封しないことになる。従って、脚114が摩擦連結具115から脱係合したとき、第2のチャンバ20は、摩擦連結具115および開口110aを介して注射器10’の外部の雰囲気に流体連通し、これによって、第2のチャンバ20内のガスは、(
図21の矢印1000によって示されるように)、排気されることになる。ガスが排気されると、第2のチャンバ20の圧力は、注射器10’の外部の雰囲気の圧力と等しくなる。これは、特に有利である。何故なら、もし一回分の薬剤の全てが送達される前に注射器が注入部位から離れる方に引っ張られた場合、第2のチャンバ内の圧力は、ニードルシールド112をその第2の位置に移動させ、第2のチャンバ20内の推進剤ガスの排気を開始させ、その結果、ストッパー16の移動を停止し、薬剤の送達を終了させるからである。従って、注射器10’は、注入中に取り外され、ニードル15を通る薬剤の送達を自動的に停止することができる。
【0153】
脚114は、脚114がニードルシールド112の移動をもたらすという理由から、前述の実施形態のトリガーを形成する抵抗性可動部品である。このトリガーは、第2のチャンバ20内に圧力が摩擦連結具115の摩擦力を上回るのに十分であるときに作動され、これによって、脚の移動、従って、ニードルシールド112の移動を可能にする。
【0154】
第2のチャンバ20内のガス圧に露出される脚114の断面積は、代替的実施形態では、トリガーを作動するのに必要な力を調整するように、変更されるとよい。
【0155】
図20および
図21に関して前述した実施形態の代替的実施形態では、蒸気圧を第2のチャンバ20に供給するために沸騰する液体推進剤を分注する他の推進剤源が用いられてもよい。
【0156】
図20および
図21に関して前述した実施形態の代替的実施形態では、摩擦連結具は、脚を直接密封するリップシールとして設けられてもよい。さらに代替的実施形態では、脚がシールを備え、周囲面を密封するピストンを形成するようになっていてもよい。この場合、ピストンに作用する圧力がピストンの摩擦および粘着を上回るのに十分であるなら、この圧力によって、ピストンが移動することになる。装置の全寸法は、ロッドの移動の長さ、摩擦、粘着、およびシステム内の圧力に対して最適化されたシールの大きさによって影響される。
【0157】
どのような数のロッド(および関連するシール)が設けられてもよく、これらのロッドは、ストッパー16に作用する蒸気圧によって移動可能であるなら、注射器バレル12に対してどこに配置されてもよい。これらのロッドは、ニードルシールドまたは任意の他の適切な構成部品を有用な動作の一部として移動させることができる。例えば、ロッドの移動は、単に有用な動作をもたらす他の構成部品の移動をもたらすものであってもよい。どのような数の中間的な相互作用が、ロッドの移動とその結果としての有用な動作との間に介在されていてもよい。
【0158】
選択されるシールは、好ましくは、可能な限り低い摩擦および粘着を有するのみならず、推進剤圧力に対して効果的な密封をもたらすべきである。リップシールは、特に好ましく、製造公差が考慮される必要がある成形部品と共に用いられるのに特に適している。特定の装置において、シールは、好ましくは、(例えば、脚114によって)必要とされる軸方向移動の長さ、およびシールに対する抵抗性可動部品の摩擦および粘着に対して最適化されているとよい。選択されるシールの大きさは、装置の全体の大きさに影響を与えることになる。
【0159】
本発明の代替的実施形態が、
図22A〜
図22Eに示されている。この実施形態では、推進剤ハウジング634は、シール636によって、注射器バレル12の後端に封着されている。推進剤ハウジング534は、ベント孔642を有している。ベント孔642は、蒸発した推進剤が通過する限り、どのような形状、大きさ、または形態を有していてもよい。いくつかの実施形態では、ベント孔は、好ましくは、排気率を制限するために、小さくなっているとよい。注射器バレル12内に配置されているのは、ストッパー16である。ストッパー16は、推進剤ハウジング634を通って軸方向後方に延在するロッドを備えている。しかし、推進剤ハウジング634は、減径前方部638を有している。減径前方部は、ロッド644の直径よりも大きい直径を有しており、これによって、蒸発した推進剤は、ロッド644と減径前方部638との間の環状部を通過することができる。ロッド644の周りに配置されているのは、軸方向可動シール640である。軸方向可動シール640は、ロッド644に対して軸方向に移動可能になっており、推進剤ハウジング634の内面を封止している。軸方向可動シール640は、ロッド644の全体を密封しておらず(またはロッド644を全く密封しておらず)、これによって、蒸発した推進剤は、軸方向可動シールを横切って(すなわち、軸方向可動シール640の軸方向後方から軸方向可動シール640の軸方向前方に)流れることが可能である。
【0160】
使用時に、蒸気圧を推進剤源とストッパー16との間に延在する第2のチャンバ20内にもたらすために、液体推進剤が推進剤源から供給される。
図22Aに示されている構成では、軸方向可動シール640は、ベント孔642を第2のチャンバ20から密封しており、これによって、推進剤は、ベント孔を介して第2のチャンバ20から漏出することができない。本発明によれば、第2のチャンバ20内の蒸気圧は、液体推進剤が沸騰するにつれて上昇し、ストッパー16が軸方向前方に移動し始め、薬剤を第1のチャンバ18から放出し始める。ストッパー16が軸方向前方に移動すると、ロッド644が静止状態を維持してベント孔642を密封している軸方向可動シール640を通って軸方向に摺動する。
【0161】
図22Bに示されているように、フランジ646が、ロッド644の後端から突出している。ストッパー16が注射器バレル12内の(フランジ646が軸方向可動ストッパー640に接触する)軸方向位置に達したとき、ストッパー16のさらなる軸方向前方移動によって、フランジ646が軸方向可動シール640を軸方向前方に移動させ、ベント孔642を開き始める。
図22Bは、軸方向前方に前進している軸方向可動シール640によって部分的に開いたベント孔642を示している。ベント孔642が開くと、第2のチャンバ20内の推進剤が漏出し始め、第2のチャンバ20内の蒸気圧が減少し始める。第2のチャンバ20内の蒸気圧の減少率は、ベント孔642の大きさ、システムの熱力学(特に推進剤の温度および圧力)、およびベント孔が開く速度(すなわち、全閉から全開への変化)に依存する。
【0162】
図22Cは、
図22Bに示されている形態に対応するストッパー16の軸方向位置を示している。
図22Cに示されているように、ストッパー16は、バレル12内においてその軸方向最前位置にあり、第1の空間18は、薬剤を依然として含んでいる。
【0163】
図22A〜
図22Eに示されている実施形態では、ベント孔642は、以下のように、すなわち、ベント孔642が最初に開いたとき、ストッパー16を注射器バレル12内におけるその最前位置に移動させるのに十分な量の推進剤が第2のチャンバ20内に十分に長い時間にわたって残っているように、寸法決めされている。
【0164】
図22Dは、ベント孔642が完全に開くようにベント孔642の完全に前方にある軸方向位置にある軸方向可動シール640を示している。
図22Eは、
図22Dに示されている形態に対応するストッパー16の軸方向位置を示している。
【0165】
図23は、軸方向可動シール640が軸方向に移動し、ベント孔642を開いたときの
図22A〜
図22Eの実施形態の漏れ量を示している。
【0166】
いったん第2のチャンバ20内の蒸気圧が排気によって所定の閾値未満に低下したなら、トリガー(例えば、第2のチャンバ20に作用する付勢部材)が動作(例えば、露出位置から非露出位置への注射器およびニードルの初期後退)を生じさせる。ベント孔642を通る排気率を制限することによって(例えば、ベント孔642の大きさの選択によって)、第2のチャンバ20内の蒸気圧の減少によってトリガーが動作を開始する前に、一回分の薬剤の全てを送達することが確実になる。これは、製造公差およびその結果として生じる注射器バレル12内のストッパー16の正確な軸方向位置に関する不確実さを考慮したとき、特に有益である。
【0167】
図24Aおよび
図24Bは、
図22A〜
図22Eの実施形態に対応する例を示している。
図24Aでは、推進剤ハウジングは、後端に入口634aを有している。入口634aは、推進剤源628に流体接続している。使用時に、推進剤源628は、液体推進剤を第2のチャンバ20に供給する。第2のチャンバ20は、
図24Aの実施形態では、推進剤源628とストッパー16との間の空間である。
図24Bでは、推進剤ハウジング634の後端は、密封されており、代わって、推進剤ハウジング634は、側方入口634aを有している。いずれの実施形態においても、第2のチャンバ20内の蒸気圧がストッパー16を移動させるように作用することを可能にするための推進剤源628からの流路が設けられていなければならない。
【0168】
図25Aおよび
図25Bに示されている代替的実施形態では、推進剤ハウジング634は、後端に位置するベント孔642を有している。ロッド644が、当初、ベント孔642を貫通している。
図25Aは、薬剤の送達の前の初期形態にある装置を示している。この初期形態では、ロッドシール648が、ベント孔642を塞ぐために、推進剤ハウジング634をロッド644に封着している。
【0169】
使用時に、推進剤源628が、液体推進剤を推進剤ハウジング634の入口634aを通して第2のチャンバ20に分注し、第2のチャンバ20において、推進剤が沸騰し、ストッパー16を軸方向前方に移動させる。前進するストッパー16によって、ロッド644がロッドシール648を通って軸方向前方に摺動する。この移動の全体にわたって、ロッドシール648およびロッド644の組合せによって、ベント孔は、継続的に封止されている。
【0170】
ストッパー16が、
図25Bに示されているように、注射器バレル12内においてその軸方向最前位置に達したとき、ロッド644の後端は、(ベント孔642がロッドシール648およびロッド644の組合せによってもはや封止されず、第2のチャンバ20からの推進剤の排気が始まる)軸方向位置に移動している。ロッド644の移動によって、ベント孔642は、完全に開くようになっていてもよいし、または拘束された流路をもたらすようになっていてもよい。
【0171】
図26は、ロッド644が軸方向に移動し、ベント孔642を開いたときの
図25Aおよび
図25Bの実施形態の漏れ量を示している。
図25Aおよび
図25Bの実施形態では、ベント孔642の大きさは、ロッド644の直径によって決定されており、
図22A〜
図22E、
図24Aおよび
図24Bの実施形態のより小さいベント孔642よりも大きくなっている。その結果、
図26に示されている漏れ量は、
図23に示されている漏れ量よりも迅速に増大している。
【0172】
さらなる代替的実施形態が、
図27Aおよび
図27Bに示されている。この実施形態では、ストッパー16は、前端の栓645と、注射器バレル12の長さと平行に栓645から軸方向後方に延在するロッド644と、を備えている。ロッド644は、注射器バレル12の外から延出し、推進剤ハウジング634内に進入している。推進剤ハウジング634は、注射器バレル12の後端に位置し、該注射器バレルに封着されている。ロッド644およびピストンシール650がストッパー16の一部であり、ピストンシール650が推進剤ハウジングを密封しているので、ロッド644(およびピストンシール650)に作用する蒸気圧がストッパー16の移動をもたらし、薬剤を第1のチャンバ18から放出させる。この意味において、第2のチャンバ20は、推進剤源628と注射器バレル12に封着された(ストッパー16の一部をなす)ロッド644の後端との間に延在する空間として画定されている。推進剤ハウジング634は、推進剤ハウジング628に流体連通している入口634aを有しており、ベント孔642をさらに備えている。ベント孔642は、ストッパー16が、
図27Bに示されているように、注射器バレル12の最前軸方向位置(すなわち、送達の終了点)にあるとき、または代替的実施形態では、ストッパー16がその最前軸方向位置に接近しているとき、第2のチャンバ20に流体連通するように配置されている。
【0173】
薬剤送達前の
図27Aに示されている形態では、ベント孔642は、第2のチャンバ20に流体連通していないので、推進剤は、排気されず、代わって、(ロッド644を含む)ストッパー16の軸方向移動をもたらすようになっている。送達の終了時に、
図27Bに示されているように、ロッド644およびピストンシール650は、ベント孔642を開くのに十分な程度に軸方向前方に移動しており、これによって、第2のチャンバ20からの推進剤の排気が可能になる。
【0174】
図28は、ロッド644が軸方向に移動し、ベント孔642を開いたときに
図27Aおよび
図27Bの実施形態の漏れ量を示している。
図22A〜
図22Eの実施形態と同じように、ベント孔642は、通気を制限するために十分小さくなっており、薬剤送達が初期の排気後のある時間間隔にわたって継続されることが可能になっている。
【0175】
図27Aおよび
図27Bの実施形態を
図22A〜
図22Eの実施形態と対照させると、
図27Aおよび
図27Bの実施形態は、ピストンシール650の存在によって薬剤送達中により高い摩擦力を受けることになる。しかし、蒸気圧は、注射器バレル12の直径によって制限されないロッド644およびピストンシール650に作用するので、表面積を大きくすることができ、これによって、より大きい送達力を用いることが可能になる。
【0176】
図29A〜
図29Cに示されている代替的実施形態は、ストッパー16が剛性ロッドではなく拡張性部材644’によって軸方向可動シール640に接続されている事実を除けば、
図22A〜
図22Eに示されている実施形態と極めて類似している。ストッパー16が注射器バレル12内において軸方向前方に移動すると、拡張性部材644’が拡張するようになっている。ストッパー16が注射器バレル12内においてその軸方向最前位置に達すると、拡張性部材644’は、その最大長さに拡張し、張力によって、軸方向可動シール640の軸方向前方移動をもたらし始める。その結果、軸方向可動シール640は、ベンチ孔642が開いて第2のチャンバ20からの推進剤の排気を可能にする軸位置に移動することになる。
【0177】
図29Cは、コイル形態にある適切な拡張性部材644’の例の詳細図を示している。ストッパー16の軸方向移動によって、コイルが巻き戻されるようになっている。いったんコイルが完全に巻き戻されると、拡張性部材644’は、軸方向下向力を軸方向可動シール640に加え、ベント孔642を開くことになる。拡張性部材644’は、どのような適切な部材であってもよいが、以下の柔軟性、すなわち、ストッパー16と軸方向可動シール640との間の距離が拡張性部材644’の最大長さと実質的に等しくなったときに軸方向可動シール640を移動させるのに十分な力を軸方向可動シール640に加えることのみを満たす、柔軟性を有している必要がある。適切な拡張性部材644’の例として、ある長さの紐または同様の部材が挙げられる。この紐は、例えば、紐状成形体であるとよい。
【0179】
さらに他の代替的実施形態が、
図31Aおよび
図31Bに示されている。この実施形態では、推進剤ハウジング634は、ベント孔642を有している。ベント孔642は、推進剤が第2のチャンバ29内に放出される前に、ある程度まで開いている。柔軟部材645が、ストッパー16から軸方向後方に延在し、ベント孔642を貫通している。ベント孔642内における柔軟部材645の存在は、第2のチャンバ20からの推進剤の排気を阻止しないが、推進剤の排気率を制限する。ベント孔642の絶対的な大きさおよび柔軟部材645の寸法に対するベント孔642の相対的な大きさが、第2のチャンバ20からの推進剤の排気率を決定することになる。明らかなことであるが、一回分の薬剤の全てを送達するために、残っている推進剤の漏れ率は十分に低いことが好ましい。
【0180】
薬剤送達の終了時、すなわち、
図31Bに示されているように、ストッパー16が注射器バレル12内の軸方向最前位置にある時、柔軟部材645は、もはや、ベント孔642を閉塞せず、これによって、第2のチャンバ20内に残っている推進剤のより迅速な排気が可能になる。代替的実施形態では、ストッパー16が軸方向最前位置にあるとき、柔軟部材645が閉塞位置に残っていてもよい。
【0181】
図32は、推進剤が閉塞されたベント孔642を介して第2のチャンバ20から排気されたときの
図31Aおよび
図31Bの実施形態の漏れ量を示している。
【0182】
図33Aおよび
図33Bは、
図31Aおよび
図31Bに示されている実施形態に関連する実施形態を示している。
図33Aおよび
図33Bの実施形態は、
図33Aおよび
図33Bの実施形態におけるベント孔642が軸方向により長く延在している点において、
図31Aおよび
図31Bに示されている実施形態と異なっている。従って、ベント孔642内の柔軟部材645の存在は、より長い範囲にわたって閉塞をもたらし、その結果、
図31Aおよび
図31Bの実施形態と比較してベント孔を通る排気をより大きく制限することになる。
【0183】
この緩慢な漏れ率は、
図34に明示されている。この図から、漏れ量が
図32と比較してより緩慢に上昇していることが分かるだろう。
【0184】
図25Aおよび
図25Bに関して前述した実施形態と同様のさらなる代替的実施形態が、
図35Aおよび
図35Bに示されている。
図35Aおよび
図35Bの実施形態は、
図35Aおよび
図35Bのロッド644が、作動前における装置の軸方向全長の短縮を可能にするために柔軟になっている点において、
図25Aおよび
図25Bの実施形態と異なっている。
図35Aに示されているように、当初は注射器バレル12の外側に配置された柔軟なロッド644の一部は、小型化を維持し、かつ装置をより小型にするために屈曲されるとよい。ストッパー16が軸方向前方に移動するにつれて、柔軟ロッド644は、ロッドシール648内に引き込まれ、最終的に、
図35Bに示されているように、ベント孔642を通る推進剤の排気をもはや防ぐことがない位置に移動することになる。ロッド644は、屈曲性のある中空体であるとよい。
【0185】
本発明の代替的実施形態によれば、基準チャンバ内の圧力に対する第2のチャンバ内の圧力が所定比率に実質的に等しいときに、所定条件が満たされるとよい。この所定比率は、1:1、すなわち、第2のチャンバ内の圧力が基準チャンバ内の圧力と実質的に等しい比率であるとよい。代替的に、基準チャンバに対する所定条件は、任意の他の比率によって決定されるようになっていてもよい。この所定条件が満たされたとき、トリガーが動作を開始するとよい。
【0186】
一実施形態では、第2のチャンバは、制限された流路を介して基準チャンバに流体接続されている。基準チャンバは、さらなるチャンバでもよいし、または第2のチャンバのサブチャンバでもよい。第2のチャンバおよび基準チャンバは、変形可能な隔膜の形態にある壁を共有し、該隔膜が可動部品に接続されているとよい。第2のチャンバ、基準チャンバ、および隔膜は、所定条件が満たされたとき(例えば、第2のチャンバ内の圧力が基準チャンバ内の圧力と等しいとき)、隔膜が変形し、可動部品を移動させるように、構成されているとよい。一実施形態では、可動部品は、第2のチャンバおよび基準チャンバの1つから排気をもたらす弁の一部または移動部分であるとよい。第2のチャンバが制限された流路を介して基準チャンバに流体接続されているなら、第2のチャンバまたは基準チャンバの1方における排気は、他方から排気をもたらすようになっているとよい。
【0187】
本発明による注射器の前述の実施形態のいずれにおいても、
図2および
図3に示されている推進剤収容体が用いられるとよい。当業者であれば、他の推進剤収容体が用いられてもよいこと、および本発明によって作製された注射器は、必ずしも、
図2または
図3の収容体を用いることに制限される必要がないことを理解するだろう。
図2には、上側シート124aおよび下側シート124bから作製された収容体121が示されている。上側シート124aおよび下側シート124bは、一緒になって収容体121の破裂性壁124を形成している。シート124a,124bは、
図2に示されている実施形態では、略正方形または略矩形の形状を有しており、シール125をなす周辺の周りに互いに対して封着されている。シール125は、シート124a,124b間に形成された中心空間122を迂回している。この空間122は、収容体22に関して前述した第3のチャンバと同等であり、密封された空間122によって、注射器の操作温度(例えば、周囲温度)において主に液相のある量の推進剤を含んでいる。しかし、推進剤の一部が蒸発によってガス状になることを考慮すれば、該推進剤は、空間122内から外向きの圧力を加えることになる。従って、シール125は、空間125からの推進剤の実質的な損失を阻止するのに十分でなければならない。実際、理想的なシール125は、空間122から漏出する推進剤を完全に阻止することになるが、実際には、シール125は、推進剤の許容範囲内のわずかな量が空間122から漏出することが許容されている。「許容(acceptable)」量は、収容体の認知された保存可能期間(すなわち、収容体125が製造の後使用される前に貯蔵状態で維持される時間の長さ)および所望の動作を行うのに必要な推進剤の量に依存する。
【0188】
シート124a,124bを形成する材料は、柔軟であり、かつ破裂性である。これによって、いったん破裂(すなわち、破断、引裂、または穿孔)されたなら、空間122内を通る流路がもたらされ、再密封されないことになる。破裂性壁124は、好ましくは、空間122内に含まれる推進剤に対して実質的に不透過性である。破裂性壁124の実際のガス透過性は、空間122内に含まれる選択された推進剤に依存している。例えば、HFA134aの場合、破裂性壁は、収容体121に残っている推進剤の量が一回分の薬剤を確実に送達させるのに十分となるガス透過性を有していると好ましい。従って、破裂性壁124のガス透過性の制限は、送達される薬剤の意図される量および収容体121内に含まれる推進剤の初期量によって決定される。1mLの一回分の薬剤を送達するために、少なくとも20mLの推進剤を収容体121に確実に収容するようになっていると、特に好ましい。従って、2年間の貯蔵期間にわたって、100μLのHFA推進剤を最初に含む収容体121は、破裂性壁124を通るガスとして、80μLの消失が生じてもよいことになる。何故なら、1mLの一回分の薬剤を送達するために少なくとも20μLが残っているからである。この例では、収容体121の最大ガス透過率は、0.365g/(m
2・日)である。2年後に1mLの一回分の薬剤を送達するために少なくとも20μLのHFA推進剤が残っていることが好ましいが、5μL以上のHFA推進剤を残留させるガス透過率を有する収容体121であれば、2年後に1mLの一回分の薬剤を送達することを確実なものとするのに十分であると考えられる。
【0189】
破裂性壁124は、ポリエチレンおよび/またはポリアミドおよび/またはナイロンおよび/または環状オレフィンコポリマー(COC)および/または環状オレフィンポリマー(COP)から構成されているとよい。いくつかの好ましい実施形態では、破裂性壁は、実質的にナイロンから構成されているとよい。代替的実施形態では、シート124a,124bの一方または両方は、ポリエチレン、ポリアミド、および金属(例えば、金属箔)から選択された2種以上の異なる材料のラミネートから形成されているとよい。2種以上の材料の選択は、空間122からの推進剤の漏出を防ぐために、実質的に不透過性ガスバリアをもたらす1つの層、および空間122内のガス状推進剤によって与えられる外方圧力に耐える機械的強度をもたらす他の層に基づいているとよい。破裂性壁124は、共押出による2種以上の材料によって形成されていてもよい。
【0190】
破裂性壁124を形成するために選択された材料の種類に関わらず、シール125は、2つの同様の材料間に形成されている。従って、シート124a,124bの一方または両方が2種以上の材料のラミネートから構成される場合、シート124a,124bは、それらの間の界面がシール125を形成する2つの互いに隣接する同様の材料を備えるように、構成されている。シール125は、熱融着、超音波融着、または接着剤の使用のいずれかによって、形成されているとよい。
【0191】
収容体121の形状は、
図2に示されている形状と異なっていてもよい。実際、シール125によって密封された空間122内に推進剤を含むことができるどのような適切な形状が、本発明によって用いられもよい。しかし、収容体の形状は、推進剤によって与えられた外方圧力によって収容体121が偶発的に破裂されないように、収容体がこのような圧力に十分に耐えるように、決められるべきである。
【0192】
図3は、本発明の代替的実施形態による収容体221を示している。収容体221は、略円筒状の破裂性壁224を有している。破裂性壁224は、前述の密封方法の1つによって密封されるシール225を形成するために、両端が狭窄されている。破裂性壁224は、流体推進剤を含むための中心空間222を画定している。中心空間222は、ここでも、前述した実施形態の第3のチャンバ22と同等である。破裂性壁は、
図2の実施形態の破裂性壁124に関連して前述した材料から形成されているとよい。収容体221は、わずかなシール225しか必要としないという利点を有している。何故なら、単一の円筒片の材料を用いて、破裂性壁224を形成することができるからである。従って、推進剤が空間222から漏出する可能性のある漏れ経路が少なくなる。
【0193】
収容体121,122のいずれも、本発明による前述の注射器のいずれに用いられてもよい。
【0194】
収容体121,122は、多くの装置に使用可能な小さく、使いやすく、携帯可能であり、かつ高スト効率のよい動力源を提供することになる。例えば、再使用可能な注射器の場合、収容体121,122は、多数回の使用において注射器に動力を供給する簡単かつ効率的な手段をもたらすことができる。ユーザーは、注入の後に破裂した収容体121,122を取り外し、次回の使用の前に、破裂していない新しい収容体121,122に置き換えることができる。
【0195】
収容体121,221および前述した注射器のいずれかに用いられる推進剤は、所定温度において沸騰するどのような推進剤であってもよい。好ましい実施形態では、推進剤は、HFAであってもよいし、またはHFAを含んでいてもよく、さらに他の推進剤は、HFA134aであってもよいし、またはHFA134aを含んでいてもよい。実際、いくつかの推進剤物質の混合物、または推進剤物質および添加物が、本発明によって用いられる推進剤を形成するようになっていてもよい。前述したように、推進剤は、周囲温度で沸騰するものとして選択されてもよいし、周囲温度よりも高い温度で沸騰するものとして選択されてもよい。後者の場合、推進剤を沸騰させ、ストッパー16を移動させるために、さらに他の熱源が必要である。
【0196】
本明細書の好ましい実施形態、請求項、および図面の全体にわたって、0バールは、雰囲気圧力として定義されており、バールの単位で表わされる圧力の全ての値は、雰囲気圧力(0バール)に対する相対値である。
【0197】
本明細書の全体にわたって、「注射器(syringe)」という用語は、出口を有する薬剤収容体と、薬剤を薬剤収容体から放出するための可動ストッパーとを有する任意の薬剤送達装置に関連し、かつこのような送達装置を含んでいる。例えば、注射器は、出口に取り付けられたニードル、ノズル、または導管を備えているとよい。他の実施形態では、注射器は、出口の下流にどのような他の構成部品を備えていなくてもよい。本発明の注射器は、皮下送達装置、鼻送達装置、耳送達装置、口送達装置、目送達装置、点滴装置、または任意の他の適切な薬剤送達装置であってもよいし、またはそのような装置の一部を形成するようになっていてもよい。
【0198】
本明細書の好ましい実施形態および請求項を通して、「備える(comprise)」および「含む(contain)」という語句またはそれらの変形は、「〜を含んでいるが、〜に制限されない」ことを意味し、他の部分、添加物、成分、完全体、またはステップを排除することを意図するものではない(排除するものではない)。本明細書の好ましい実施形態または請求項を通して、単数形は、文脈が他のことを要求しない限り、複数形を含んでいる。特に、数が決まっていない物品が用いられている場合、本明細書は、文脈が他のことを要求しない限り、単数形のみならず、複数形も含むものとして理解されたい。
【0199】
本発明の特定の態様、実施形態、または実施例と関連して記載されている特徴、完全体、特性、化合物、化学成分、または群は、矛盾しない限り、本明細書に記載されている任意の他の態様、実施形態または実施例にも適用可能であることを理解されたい。(添付の請求項、要約書、および図面を含む)本明細書に開示されている全ての特徴、および/またはそのように開示されている任意の方法またはプロセスの全てのステップは、このような特徴および/またはステップの少なくともいくつかが相互に排他的である組合せを除けば、どのように組み合わされてもよい。本発明は、前述のどのような実施形態の詳細にも制限されるものではない。本発明は、(添付の請求項、要約書、および図面を含む)本明細書に開示されている特徴の任意の新規のものまたは任意の新規の組合せ、またはそのように開示されている任意の方法またはプロセスのステップの任意の新規のものまたは任意の新規の組合せにも拡張されるものである。
【0200】
読者の注意は、本出願に関連して本明細書と同時またはその前に出願され、本明細書と共に閲覧に供される全ての論文および文献に向けられることになるが、このような論文および文献の内容は、参照することによって、ここに含まれるものとする。