(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6182214
(24)【登録日】2017年7月28日
(45)【発行日】2017年8月16日
(54)【発明の名称】外科用鉗子
(51)【国際特許分類】
A61B 17/28 20060101AFI20170807BHJP
【FI】
A61B17/28
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-527803(P2015-527803)
(86)(22)【出願日】2013年7月17日
(65)【公表番号】特表2015-526180(P2015-526180A)
(43)【公表日】2015年9月10日
(86)【国際出願番号】EP2013002128
(87)【国際公開番号】WO2014029456
(87)【国際公開日】20140227
【審査請求日】2016年2月24日
(31)【優先権主張番号】102012016396.7
(32)【優先日】2012年8月21日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】510320416
【氏名又は名称】オリンパス・ウィンター・アンド・イベ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100096769
【弁理士】
【氏名又は名称】有原 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100107319
【弁理士】
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100114591
【弁理士】
【氏名又は名称】河村 英文
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100154298
【弁理士】
【氏名又は名称】角田 恭子
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100170379
【弁理士】
【氏名又は名称】徳本 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100161001
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 篤司
(74)【代理人】
【識別番号】100179154
【弁理士】
【氏名又は名称】児玉 真衣
(74)【代理人】
【識別番号】100180231
【弁理士】
【氏名又は名称】水島 亜希子
(74)【代理人】
【識別番号】100184424
【弁理士】
【氏名又は名称】増屋 徹
(72)【発明者】
【氏名】ヒルシュフェルト,ジモン
【審査官】
沼田 規好
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第05507297(US,A)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0046001(US,A1)
【文献】
特開平10−071155(JP,A)
【文献】
特開平09−135840(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0306952(US,A1)
【文献】
特表平08−507234(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャフト(2,32)と、前記シャフトによって少なくとも一部が径方向外側から覆われている状態で回転可能に配置され、前記シャフトに平行に延びている操作ロッド(10,40)と、を備えている外科用の鉗子(1,31)であって、
前記シャフトの遠位端には、マウスを有するマウス部分(3,33)が取外し可能に取り付けられ、前記シャフトの近位端には、ハンドグリップ(5,35)が配置されており、
該マウス部分は、前記操作ロッド(10,40)の遠位端に、回転止めの状態で取り付けられており、
前記ハンドグリップは、前記操作ロッドの近位端に連結されている、鉗子において、
前記ハンドグリップ(5,35)は、前記操作ロッドの長手方向に交差する方向に延びているグリップ片(9,39)を有し、前記グリップ片は、前記操作ロッドに近い側の端部を中心に旋回可能であり、前記グリップ片を旋回させることにより、前記操作ロッドが前記操作ロッドの長手方向にスライドし、前記マウス部分が開閉するように構成され、
前記グリップ片には、成形片(21,71)が設けられ、
前記操作ロッド(10)の近位端よりも遠位側には、成形区域(20,70)が設けられ、
前記グリップ片が前記マウス部分(3,33)を閉じる方向へ旋回されたときに、前記成形片(21,71)は、前記操作ロッド(10,40)に接近するように構成され、
前記成形片は、前記操作ロッドに近接しているときに、前記成形区域(20,72)に係合可能に構成されており、
前記成形片が、前記成形区域に係合しているときには、前記操作ロッドは、前記ハンドグリップに対して、前記操作ロッドの長手方向軸を回転軸とする回転が止められている回転止めの状態となり、
前記成形片が、前記成形区域に係合していないときには、前記操作ロッドは、前記ハンドグリップに対して、前記回転止めの状態が解除されていることを特徴とする鉗子。
【請求項2】
前記成形片は、フォーク(21)として構成されており、
前記成形区域には、前記操作ロッド(10)の軸に、互いに平行な面が形成され、各面の間隔は、前記フォークの開口幅に対応していることを特徴とする、請求項1に記載の鉗子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提項に記載されている種類の外科用の鉗子に関する。
【背景技術】
【0002】
当分野に属する鉗子は特許文献1から公知である。この鉗子は、内視鏡外科ないし腹腔鏡検査で適用できるようにするために、比較的長いシャフトを有するように構成することができる。特に、このような鉗子は内視鏡外科で縫合を行うことができる針持器として利用可能である。
【0003】
このような鉗子は洗浄目的のために分解可能である。そのために、マウス部分がシャフトの遠位端から取り外される。この個所での通常の結合は、ねじ山またはバヨネット継手である。このような結合は、縫合のとき頻繁に発生する回転負荷が生じたときに意図せず開くことがあり、そのために追加の回り止めを必要とするが、シャフトの遠位端にそのような回り止めのためのスペースはない。したがって当分野では、マウス部分と回転不能に結合された操作ロッドの近位端が、回転不能に連結される。ハンドグリップの領域には、そのために十分なスペースがある。回転不能の連結は、操作ロッドの長手方向スライドすなわちその作業運動を許容しなくてはならない。
【0004】
当分野に属する公知の構造では、操作ロッドの四角形区域への操作ロッドの回転不能の連結は、そこで作用するクランプジョーによって行われ、このクランプジョーは、ハンドグリップで長手方向スライド可能に支承されたスライドスリーブにより制御される。
【0005】
すなわち公知の構造は、操作ロッドの回転不能の連結のために、手動で操作可能な追加の部材を必要とする。この構造は設計的に非常に高いコストがかかり、その操作のために追加の操作ステップを必要とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】ドイツ実用新案出願公開第9418094U1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、当分野に属する鉗子をその構造と取扱性に関して簡素化することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題は、請求項1の特徴部の構成要件によって解決される。
【0009】
本発明によるとハンドグリップは、マウスの開放位置の方向へハンドグリップが動いたときに回転不能の連結が係合解除されるように構成されている。すなわち、マウスを開くためにハンドグリップを操作するだけでよく、その際に、操作ロッドの回転不能の連結も自動的に係合解除される。回転連結部の追加の操作は必要ない。それにより、鉗子の構造も大幅に簡素化することができる。このような構造により、鉗子を閉じると回転不能の連結が係合し、それにより、鉗子を用いたあらゆる外科作業に際して、マウス部分が意図せず外れることが防止されることが保証される。マウス部分が開いているときにだけ、マウス部分を取り外すこともできる。このような構造により、簡素な取扱性で高い患者安全性がもたらされる。
【0010】
設計的な簡素さという面から好まし
い実施形態は、ハンドグリップの可動のグリップ片が操作ロッドと回転ロック式に係合することを意図している。
【0011】
グリップ片の運動領域にわたって回り止めをする嵌合式係合が保証されるのが好ましく、この嵌合式係合は、たとえ
ば、平行な各面を介して操作ロッドを回り止め式に把持することができる、可動のグリップ片にあるフォークによって与えられるのが好ましい。それにより、回り止め式の係合がなされている間に、操作ロッドの長手方向運動性が必要な形で維持される。
【0012】
図面には本発明が一例として模式的に示されている。図面は次のものを示している。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】操作ロッドを備える本発明の外科用鉗子を示す側面図である。
【
図2】操作ロッドの領域の
図1の2−2線に沿った断面図である。
【
図3】操作ロッドを備える別の実施形態の外科用鉗子を示す側面図である。
【
図4】操作ロッドの領域の
図3の4−4線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1と
図2は、管状に構成された長尺状のシャフト2を備え、その遠位端では、図示している鉗子マウスを構成するマウス部分3を、
図1では部分的に緩められた状態で図示するねじ山4によってねじ込み可能である、外科用の鉗子1の第1の実施形態を示している。
【0015】
シャフト2の近位端には、ハンドグリップ5がその本体6によって、たとえば取外し可能に取り付けられている。
【0016】
図1に示すハンドグリップ5は伸張された設計形態で構成され、すなわち、実質的にシャフト2の方向に延びている。
【0017】
ハンドグリップ5は2つのグリップ片を有し、すなわち、本体6に定置に配置されている固定的なグリップ片7と、本体6に軸8によって旋回可能に支承(取外し可能な状態で支持)されている可動のグリップ片9とを有している。グリップ片7および9は片手でつかむことができ、図示している部分開放位置から引き締めることができる。
【0018】
マウス部分3には操作ロッド10が回転不能に結合され、この操作ロッドは、矢印11の方向へ長手方向操作されたときに、マウス部分3のマウスの開閉を惹起する。操作ロッド10の近位の端部領域は本体6から突き出して、グリップ片7および9の間の領域まで延び、そこで、破線で円として図示している端部体12によって連結体13に取外し可能に取り付けられ、この連結体は、
図1では溝14として図示している長手方向案内装置の中で、シャフト2の方向へ長手方向スライド可能なように定置のグリップ片7で案内されている。
【0019】
連結体13および可動のグリップ片9に軸15および16によって支承されている連結ロッド17は、グリップ片7および9が矢印18の方向へ開閉運動したときに、連結体13が矢印19の方向へ、すなわちシャフト2の方向へ動くように作用する。その際に連結体は、連結されている操作ロッド10を矢印11の方向へ連行する。
【0020】
ハンドグリップ5を閉じると、すなわちグリップ片7および9が互いに接近すると、操作ロッド10は図示した運動機構では引き戻され、したがってマウス部分3のマウスが閉じられる。
【0021】
図示している構造は針持器として利用可能であり、そのために必要な力を印加することができるように高いロバスト性で構成されている。シャフト2の長さは、内視鏡的ないし腹腔鏡的な目的のために鉗子を利用可能にするのに十分であるように選択することができる。すなわち当該長さは、特に、腹腔内での内視鏡による縫合のために利用することができる。
【0022】
特に針持器として利用するために、図示している鉗子は、鉗子を閉じた状態のときにロックするロック爪をさらに備えていなければならない。ロック爪は、通常、グリップ片7および9の間に構成することができる。そのような係止構造は、図示した実施例では、図面を簡略にする都合から省略されている。
【0023】
さらにグリップ片7および9の間には、非操作時にハンドグリップ5を開放位置にくるように強制する、図示しない拡張スプリングを配置することができる。
【0024】
マウス部分3とねじ山4を備えるシャフト2との間の図示している結合部は、回り止めされてはいない。そのため、マウス部分3を何らかの身体部位に固定的に把持させ、医師が力をかけて鉗子を回して、たとえば非常に硬い組織に回転運動によって針を突き刺そうと試みると、ねじ山4の緩みが生じることがある。マウス部分3が緩くなり、極端なケースでは落下して身体内に残ることがあり得る。それほど劇的ではないケースでも、たとえばねじ山4の領域でマウス部分3とシャフト2の間に隙間ができると非常に厄介であり、そのような隙間に汚れが堆積しかねない。バヨネット継手も回転する恐れがある。
【0025】
したがって当分野に属する鉗子では、冒頭に述べた特許文献に示されているように追加の回り止めが必要であるが、シャフト2の遠位の端部領域にはそのためのスペースはない。したがって操作ロッド10の回り止めは、ハンドグリップ5の領域に設けられる。
【0026】
操作ロッド10のこのような近位の回り止めのために、操作ロッドは成形区域を有し、2つの平行な面20によって区切られる、
図2に斜線で図示するような断面をそこに有している。可動のグリップ片9に、
図2に示す両方のフォークアームを備える、フォーク21の形態の成形片が取り付けられている。このフォークは、平行面20の間隔に相当する幅すなわち各フォークアームの間隔を有している。すなわち
図2に示すように、フォーク21は操作ロッド10を面20を備える成形区域で回転嵌合により把持する。このとき操作ロッド10の長手方向スライド可能性は維持される。
【0027】
フォーク21は可動のグリップ片9に配置され、それにより、ハンドグリップが閉じたときに、すなわち可動のグリップ片9が定置のグリップ片7に向かって動いたときに、フォークが操作ロッドと係合するようになっている。しかしハンドグリップが完全に開くと、すなわち定置のグリップ片7から遠く離れるように可動のグリップ片9が動くと、フォーク21は操作ロッド10との係合が外れる。そして操作ロッド10を回すことができ、それにより、たとえば鉗子を分解するために、マウス部分3を管状のシャフト2の遠位端から回して外すことができる。
【0028】
図3および
図4は、ハンドグリップ35の折曲した形状によって
図1の実施形態と実質的に相違する、外科用の鉗子31を示している。
【0029】
図3に示す鉗子31は、シャフト32およびマウス部分33では
図1の構造に対応している。すなわちマウス部分33は、ここでは管として構成されたシャフト32と回転感応性のある結合によって結合され、すなわち、たとえばねじ山やバヨネット継手によって結合され、操作ロッド40の近位端に追加の回り止めを必要とする。
【0030】
操作ロッド40はその近位端のところで、
図3に示すハンドグリップ35の実施形態では可動のグリップ片39の端部に据え付けられた継手体53と連結されている。シャフト32の近位端には、定置のグリップ片37が取り付けられた本体36が据え付けられている。この定置のグリップ片にはジョイント70により、可動のグリップ片39が旋回可能に支承されている。グリップ片37および39の自由端には、通常の構成で指入れが取り付けられ、これらに手の2本の指で作用することができる。
【0031】
可動のグリップ片39には、成形片としてピン71が取り付けられている。操作ロッド40には、長手スリット72を備える成形区域が設けられている。
【0032】
グリップ片37および39の自由端が矢印73で示すように引き締められると、操作ロッド40が引き戻されて、マウス部分33のマウスが閉じられる。このとき可動のグリップ片39は、ジョイント70を中心として時計回りに旋回する。このときピン71は矢印74に示すように動く。ピンはこの運動をするときに、操作ロッド40の領域に入ってその長手スリット72に嵌入し、それにより、ピン71と長手スリット72との間で回り止め式の嵌合式係合が成立する。
【0033】
鉗子を開くときには、そのために可動のグリップ片39を時計と反対回りに旋回させなければならない。そのときにピン71が長手スリット72から外に出て、回り止めが解消される。
【0034】
図3および
図4の実施形態も、針持器として構成することができる。
図2の特別な形式の回り止めを、
図3に示すハンドグリップの特別な形状で適用することもでき、またその逆に、
図4の特別な回り止めを
図1のハンドグリップとともに採用することもできる。