(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
ヒマシ油は、リシノール酸トリグリセリドを主成分として含む天然油であり、平均ヒドロキシル官能価は2.7である。ポリエーテル(エステル)ポリオールの代わりにヒマシ油を利用して、水性ポリウレタンを調製することにより、内部架橋を高めるとともに、水性ポリウレタンの特性を向上させる。したがって、ヒマシ油系水性ポリウレタンは重要な高分子材料であり、環境保護への関心が高まるにつれ、接着剤、塗料、繊維加工剤などを調製するべく、有機溶剤系ポリウレタンの代わりに使う傾向にある。21世紀には、石油化学製品の欠点に伴い、天然の再生可能なヒマシ油は新規のポリウレタン材料の開発に利用されている。
【0003】
無水マレイン酸を利用してヒマシ油を改質することにより、ヒドロキシルをヒマシ油の分子に取り入れることができる。改質されたヒマシ油はポリオールとしてポリウレタンオリゴマーの調製に使用することができる。その結果、イオン性親水基が改質されたヒマシ油を介してポリウレタンのソフトセグメントに導入されることにより、水性ポリウレタンへのイオン性基の分散や、ポリウレタンのソフトセグメント・ハードセグメントの適合性が改善される。ヒマシ油の長鎖脂肪族炭化水素は親水性セグメントであり、ポリエーテルセグメントと比べて、相対的に可撓性が低く、より多くの極性基を有するので、水性ポリウレタンの強度が向上する。特許文献1は、ヒマシ油を原料とするエポキシ化ヒマシ油改質による水性ポリウレタンの調製方法を開示している。本文献1によれば、ヒマシ油のエポキシ化処理により新規のポリウレタンが得られる。しかし、得られた生成物は粒子径が大きく、薄膜形成特性が劣り、長期保存後に沈降する傾向にある。特許文献2は、ポリウレタンの水分散体の調製方法、並びにポリウレタン水分散体を含む水性ポリウレタン塗料を開示している。ポリウレタン水分散体のエマルジョン粒子径は60〜500nmである。この方法により得られるポリウレタン水分散体は固形物の含有量が多く、得られる水性ポリウレタン塗料により、高品質の水性ポリウレタン水分散体の実現を可能とする。ポリウレタン分散体の安定性をエマルジョンと比較すると、薄膜の硬さが弱く、耐水性に劣る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の課題に鑑み、本発明の目的は、方法が簡単であり、且つ低コストに行われると共に、得られる生成物は良好な安定性と薄膜形成特性を備え、更に、接着剤、塗料、繊維加工剤等の調製に使用することができるバイオマス系ポリマーエマルジョンの調製方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の一実施形態に係り、バイオマス系ポリマーエマルジョンの調製方法を提供する。本方法は、以下の工程を含む。
【0007】
1) カルダノール系重合性乳化剤を調製する工程
【0008】
モ
ル比に基づいて、1部のカルダノールを1〜3時間真空脱水して無水にし、室温で10〜100部の溶剤aに溶解させた後、0.8〜1.2部のスルホン化剤と0.8〜1.2部の強塩基を加え、得られた混合物を70℃〜150℃で2〜6時間反応させて、混合物を室温に冷却させ、塩酸を使用してpH値を1〜5に調節し、70〜150℃で1〜3時間反応させ、室温に冷却し、一晩放置し、ろ過し、0℃〜5℃の10〜100部の溶剤aを使用して洗浄して白色固形物を生成し、白色固形物を乾燥させ、10〜100部の無水溶剤bに溶解させてから、0.8〜1.5部の改質剤および0.8〜1.5部のトリエチルアミンを加えて、溶液を0〜5℃で0.5〜24時間反応させて、カルダノール系重合性乳化剤を調製する。
【0009】
強塩基は水酸化カリウムおよび水酸化ナトリウムの少なくともいずれかである。
【0010】
溶剤aは水、エタノール、メタノール、テトラヒドロフラン、アセトン、ジオキサン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、またはそれらの混合物である。
【0011】
溶剤bは無水ジクロロメタン、無水テトラヒドロフラン、無水アセトニトリル、またはそれらの混合物である。
【0012】
改質剤は塩化アクリロイル、塩化(メタ)アクリロイル、塩化アリル、またはそれらの混合物である。
【0013】
スルホン化剤はNa
2S
2O
5、Na
2SO
3、およびNaHSO
3の少なくともいずれかである。
【0014】
2)ヒマシ油系ポリウレタンプレポリマーを調製する工程
【0015】
モ
ル比に基づき、0〜20℃の1部の乾燥ヒマシ油を供給し、ヒマシ油に
2.4部の無水マレイン酸を質量濃度10〜30%のアセトン溶解無水マレイン酸
として液滴状で5〜30分間加え、得られた混合物を25〜50℃に加熱し、0.5〜24時間反応させ、次に、混合物を60〜80℃に継続して加熱し、4〜5時間反応させ、30〜40℃の真空下で溶剤を除去し、混合物を室温に冷却して、赤橙色の無水マレイン酸改質ヒマシ油を生成する。
【0016】
モ
ル比に基づき、無水マレイン酸改質ヒマシ油を60℃に加熱してから、1.0〜2.5部のイソシアネート、0.1〜1部の触媒、0.1〜1部の鎖延長剤を液滴状で加え、1〜6時間反応させて、粘稠重合性ヒマシ油系ポリウレタンプレポリマーを生成する。
【0017】
イソシアネートは1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,6−オクタメチレンジイソシアネートまたはイソホロンジイソシアネートである。
【0018】
触媒はテトラメチルジアミノブタン、トリエチレンジアミン、ジブチル錫ジラウレート、またはオクタン酸第一錫である。
【0019】
鎖延長剤はエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、p−フェニレンジアミン、またはそれらの混合物である。
【0020】
3) バイオマス系グラフトポリマーエマルジョンを調製する工程
【0021】
モ
ル比に基づいて、工程2で得られた1部のヒマシ油系ポリウレタンプレポリマーと、工程1で得られた0.05〜0.2部のカルダノール系重合性乳化剤と、2〜20部のアクリレートモノマーと、100〜200部の水を混合し、得られた溶液を50〜60℃で0.5〜2時間膨潤させ、溶液を70〜90℃に加熱し、0.001〜0.1部の開始剤を含む水溶液を液滴状で加え、2〜4時間反応させて、バイオマス系ポリマーエマルジョンを生成する。
【0022】
アクリレートモノマーはメチルメタクリレートまたはブチルアクリレートである。
【0023】
開始剤は過硫酸カリウムおよび過硫酸アンモニウムの少なくともいずれかである。
【0024】
本発明では、カルダノール油系重合性乳化剤が存在することにより、アクリレートは共重合化し、すなわち、ヒマシ油誘導体の二重結合にグラフト共重合化が生じて、安定したエマルジョンが生成される。エマルジョンは、接着剤、塗料、繊維加工剤等の調製に使用することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明の実施形態の調製方法の効果は次のとおりである。
【0026】
1. カルダノールおよびヒマシ油は、広く入手可能なバイオマス資源であり、生産コストが安いので、石油資源への依存度が低くなる。本発明は、ヒマシ油とアクリレートエマルジョンの利点を組み合わせたものであるから、ポリウレタンエマルジョンの全体的な特徴が一層増強される。
【0027】
2. エステル化されたヒマシ油はヒドロキシル官能価が低く、適当な分子量と充填機能を備えたポリウレタンポリマーの調製に使用することができる。ヒマシ油の長鎖脂肪族炭化水素はポリマーの柔軟性を効果的に高めることができ、また、脂肪族ジイソシアネートは良好な耐天候性を備える。
【0028】
3. エマルジョンは、アニオン重合乳化剤および反応性乳化剤を含むソープフリーエマルジョンの調製方法に続いて調製されるので、ポリマーエマルジョンの安定性、耐水性、耐化学性、および耐天候性が改善される。
【0029】
本発明において調製されるバイオマス系ポリマーエマルジョンは、良好な適合性、安定性、耐水性、耐化学性、耐天候性を有するとともに、不燃性、無毒性であり、環境に優しく、接着剤、塗料、繊維加工剤などの幅広い用途で利用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明では、アクリレートはカルダノール系重合性乳化剤の存在下で共重合化し、即ち、ヒマシ油誘導体の二重結合にグラフト共重合が生じる。得られた生成物は、接着剤、塗料、繊維加工剤などの調製に使用できる。
【0032】
本発明を詳細に説明するために、本発明の実施形態を以下に記載する。当然のことながら、以下の実施例は本発明説明することを目的としており、限定するものではない。
【実施例1】
【0033】
1) カルダノール系重合性乳化剤の調製
【0034】
市販されている3gのカルダノールを、1時間真空化で完全に無水にし、体積比が1:1のテトラヒドロフランと水の混合溶液20mLに室温で溶解させてから、2gのNa
2S
2O
5と0.4gの水酸化ナトリウムを加える。得られた混合物を80℃で6時間反応させ、次に室温に冷却した。その後、塩酸を使用して混合物のpH値を5となるように調節し、次に混合物を150℃で3時間反応させた。反応後に、混合物を室温に冷却し、一晩放置し、ろ過し、10mLの5℃のテトラヒドロフランで洗浄して、白色固形物を得て、それを乾燥させ、10mLの無水ジクロロメタンに溶解させ、続いて1gの塩化アクリルと1.1gのトリエチルアミンを加えた。溶液を5℃で0.5時間反応させて、カルダノール系重合性乳化剤を生成し、その収率は80%であった。
【0035】
2) ヒマシ油系ポリウレタンプレポリマーの調製
【0036】
温度計、攪拌器、および還流凝縮器を備えた乾燥した4口フラスコに、9.32gの乾燥ヒマシ油と10mLのアセトンを加え、その温度を20℃に制御した。その後、質量濃度30%のアセトン溶解無水マレイン酸10mLを液滴状で30分間加えた。混合物を35℃に加熱し、24時間反応させてから、更に80℃に加熱して、5時間反応させた。加えられた溶剤を40℃の真空化で除去し、混合物を室温に冷却して、赤橙色の無水マレイン酸改質ヒマシ油を生成した。
【0037】
10.32gの無水マレイン酸改質ヒマシ油を60℃に加熱し、続いて2.22gのジイソシアン酸イソホロン、触媒として0.4gのオクタン酸第一錫、鎖延長剤として0.056gのエチレンジアミンを液滴状で加えた。得られた混合物を1時間反応させて、粘稠重合性ヒマシ油系ポリウレタンプレポリマーを生成した。
【0038】
3) バイオマス系グラフトポリマーエマルジョンの調製
【0039】
工程2で得られた14.7gのヒマシ油系ポリウレタンプレポリマーと、工程1で得られた0.22gのカルダノール系重合性乳化剤と、0.2gのブチルアクリレートと、18mLの水を混合し、60℃で2時間膨潤させた。混合物を90℃に加熱し、次に、0.02gの過硫酸カリウムを含む1gの水溶液を液滴状で加えた。その後、4時間反応させて、バイオマス系ポリマーエマルジョンを生成した。
【実施例2】
【0040】
1) カルダノール系重合性乳化剤の調製
【0041】
市販されている3gのカルダノールを、1時間真空化で完全に無水にし、体積比が1:1のテトラヒドロフランと水の混合溶液20mLに室温で溶解させてから、1.8gのNa
2SO
3と0.6gの水酸化ナトリウムを加えた。得られた混合物を80℃で6時間反応させ、次に室温に冷却した。その後、塩酸を使用して混合物のpH値を5となるように調節し、次に混合物を150℃で3時間反応させた。反応後に、混合物を室温に冷却し、一晩放置し、ろ過し、10mLの0℃のメタノールで洗浄して、白色固形物を得て、それを乾燥させ、10mLの無水アセトニトリルに溶解させ、続いて1.1gの塩化アクリルと1.0gのトリエチルアミンを加えた。溶液を5℃で24時間反応させて、カルダノール系重合性乳化剤を生成し、その収率は80%であった。
【0042】
2) ヒマシ油系ポリウレタンプレポリマーの調製
【0043】
温度計、攪拌器、および還流凝縮器を備えた乾燥した4口フラスコに、9.32gの乾燥ヒマシ油と10mLのアセトンを加え、その温度を0℃に制御した。その後、質量濃度10%のアセトン溶解無水マレイン酸30mLを液滴状で20分間加えた。混合物を50℃に加熱し、12時間反応させてから、更に70℃に加熱して、4時間反応させた。加えられた溶剤を30℃の真空化で除去し、混合物を室温に冷却して、赤橙色の無水マレイン酸改質ヒマシ油を生成した。
【0044】
10.32gの無水マレイン酸改質ヒマシ油を60℃に加熱し、続いて2.22gのジイソシアン酸イソホロン、0.4gのオクタン酸第一錫、0.11gのp−フェニレンジアミンを液滴状で加えた。得られた混合物を6時間反応させて、粘稠重合性ヒマシ油系ポリウレタンプレポリマーを生成した。
【0045】
3) バイオマス系グラフトポリマーエマルジョンの調製
【0046】
工程2で得られた14.7gのヒマシ油系ポリウレタンプレポリマーと、工程1で得られた0.88gのカルダノール系重合性乳化剤と、0.5gのメチルメタクリレートと、24mLの水を混合し、50℃で2時間膨潤させた。混合物を90℃に加熱し、次に、0.02gの過硫酸アンモニウムを含む1gの水溶液を液滴状で加えた。その後、4時間反応させて、
図1に示すバイオマス系ポリマーエマルジョンを生成した。
【実施例3】
【0047】
1) カルダノール系重合性乳化剤の調製
【0048】
市販されている3gのカルダノールを、2時間真空化で完全に無水にし、体積比が1:1のエタノールと水の混合溶液20mLに室温で溶解させてから、3.0gのNa
2S
2O
5と0.8gの水酸化カリウムを加えた。得られた混合物を70℃で6時間反応させ、次に室温に冷却した。その後、塩酸を使用して混合物のpH値を6となるように調節し、次に混合物を70℃で2時間反応させた。反応後に、混合物を室温に冷却し、一晩放置し、ろ過し、10mLの3℃のアセトンで洗浄して、白色固形物を得て、それを乾燥させ、10mLの無水テトラヒドロフランに溶解させ、続いて1.2gの塩化メタクリロイルと1.5gのトリエチルアミンを加えた。溶液を0℃で24時間反応させて、カルダノール系重合性乳化剤を生成し、その収率は80%であった。
【0049】
2) ヒマシ油系ポリウレタンプレポリマーの調製
【0050】
温度計、攪拌器、および還流凝縮器を備えた乾燥した4口フラスコに、9.32gの乾燥ヒマシ油と10mLのアセトンを加え、その温度を10℃に制御した。その後、質量濃度20%のアセトン溶解無水マレイン酸15mLを液滴状で5分間加えた。混合物を50℃に加熱し、8時間反応させてから、更に75℃に加熱して、4.5時間反応させた。加えられた溶剤を35℃の真空化で除去し、混合物を室温に冷却して、赤橙色の無水マレイン酸改質ヒマシ油を生成した。
【0051】
9.32gの無水マレイン酸改質ヒマシ油を60℃に加熱し、続いて1.9gの1,6−ジイソシアネート、触媒として0.6gのジブチル錫ジラウレート、鎖延長剤として0.08gのヘキサメチレンジアミンを液滴状で加えた。得られた混合物を5時間反応させて、粘稠重合性ヒマシ油系ポリウレタンプレポリマーを生成した。
【0052】
3) バイオマス系グラフトポリマーエマルジョンの調製
【0053】
工程2で得られた14.7gのヒマシ油系ポリウレタンプレポリマーと、工程1で得られた0.66gのカルダノール系重合性乳化剤と、1.6gのブチルアクリレートと、28mLの水を混合し、55℃で1時間膨潤させた。混合物を80℃に加熱し、次に、0.05gの過硫酸カリウムを含む水溶液を液滴状で加えた。その後、3.5時間反応させて、バイオマス系ポリマーエマルジョンを生成した。
【実施例4】
【0054】
1) カルダノール系重合性乳化剤の調製
【0055】
市販されている3gのカルダノールを、1時間真空化で完全に無水にし、体積比が1:1のジオキサンと水の混合溶液20mLに室温で溶解させてから、2.5gのNa
2S
2O
5と0.5gの水酸化ナトリウムを加えた。得られた混合物を80℃で5時間反応させ、次に室温に冷却した。その後、塩酸を使用して混合物のpH値を1となるように調節し、次に混合物を80℃で1時間反応させた。反応後に、混合物を室温に冷却し、一晩放置し、ろ過し、10mLの4℃のアセトニトリルで洗浄して、白色固形物を得て、それを乾燥させ、10mLの無水ジクロロメタンに溶解させ、続いて1.5gの塩化メタクリロイルと1.4gのトリエチルアミンを加えた。溶液を5℃で12時間反応させて、カルダノール系重合性乳化剤を生成し、その収率は80%であった。
【0056】
2) ヒマシ油系ポリウレタンプレポリマーの調製
【0057】
温度計、攪拌器、および還流凝縮器を備えた乾燥した4口フラスコに、9.32gの乾燥ヒマシ油と10mLのアセトンを加え、その温度を15℃に制御した。その後、質量濃度30%のアセトン溶解無水マレイン酸10mLを液滴状で12分間加えた。混合物を40℃に加熱し、1時間反応させてから、更に65℃に加熱して、4時間反応させた。加えられた溶剤を36℃の真空化で除去し、混合物を室温に冷却して、赤橙色の無水マレイン酸改質ヒマシ油を生成した。
【0058】
10.32gの無水マレイン酸改質ヒマシ油を60℃に加熱し、続いて2.22gのイソホロンジイソシアネート、0.4gのジブチル錫ジラウレート、0.08gのジエチレントリアミンを液滴状で加えた。得られた混合物を3時間反応させて、粘稠重合性ヒマシ油系ポリウレタンプレポリマーを生成した。
【0059】
3) バイオマス系グラフトポリマーエマルジョンの調製
【0060】
工程2で得られた14.7gのヒマシ油系ポリウレタンプレポリマーと、工程1で得られた0.5gのカルダノール系重合性乳化剤と、0.7gのメチルメタクリレートと、1.0gのブチルアクリレートと、18mLの水を混合し、60℃で1時間膨潤させた。混合物を70℃に加熱し、次に、0.02gの過硫酸アンモニウムを含む1gの水溶液を液滴状で加えた。その後、3時間反応させて、バイオマス系ポリマーエマルジョンを生成した。
【実施例5】
【0061】
1) カルダノール系重合性乳化剤の調製
【0062】
市販されている3gのカルダノールを、3時間真空化で完全に無水にし、体積比が1:1のジメチルホルムアミドと水の混合溶液20mLに室温で溶解させてから、1.5gのNaHSO
3と0.45gの水酸化ナトリウムを加えた。得られた混合物を150℃で3時間反応させ、次に室温に冷却した。その後、塩酸を使用して混合物のpH値を3となるように調節し、次に混合物を150℃で3時間反応させた。反応後に、混合物を室温に冷却し、一晩放置し、ろ過し、10mLの0℃のエタノールとアセトン(体積比1:1)で洗浄して、白色固形物を得て、それを乾燥させ、10mLの無水テトラヒドロフランに溶解させ、続いて0.72gの塩化アクリルと0.8gのトリエチルアミンを加えた。溶液を3℃で12時間反応させて、カルダノール系重合性乳化剤を生成し、その収率は80%であった。
【0063】
2) ヒマシ油系ポリウレタンプレポリマーの調製
【0064】
温度計、攪拌器、および還流凝縮器を備えた乾燥した4口フラスコに、9.32gの乾燥ヒマシ油と10mLのアセトンを加え、その温度を5℃に制御した。その後、質量濃度20%のアセトン溶解無水マレイン酸15mLを液滴状で10分間加えた。混合物を30℃に加熱し、0.5時間反応させてから、更に60℃に加熱して、4.5時間反応させた。加えられた溶剤を32℃の真空化で除去し、混合物を室温に冷却して、赤橙色の無水マレイン酸改質ヒマシ油を生成した。
【0065】
10.32gの無水マレイン酸改質ヒマシ油を60℃に加熱し、続いて3.1gの1,6−ジイソシアネート、0.1gのテトラメチルジアミノブタン、0.15gのイソホロンジアミン、0.1gのp‐フェニレンジアミンを液滴状で加えた。得られた混合物を2時間反応させて、粘稠重合性ヒマシ油系ポリウレタンプレポリマーを生成した。
【0066】
3) バイオマス系グラフトポリマーエマルジョンの調製
【0067】
工程2で得られた14.7gのヒマシ油系ポリウレタンプレポリマーと、工程1で得られた0.4gのカルダノール系重合性乳化剤と、2gのブチルアクリレートと、30mLの水を混合し、50℃で1時間膨潤させた。混合物を75℃に加熱し、次に、0.05gの過硫酸カリウムを含む1gの水溶液を液滴状で加えた。その後、2時間反応させて、バイオマス系ポリマーエマルジョンを生成した。
【実施例6】
【0068】
1) カルダノール系重合性乳化剤の調製
【0069】
市販されている3gのカルダノールを、1.5時間真空化で完全に無水にし、体積比が1:1のジメチルスルホキシドと水の混合溶液20mLに室温で溶解させてから、2.8gのNa
2S
2O
5と0.9gの水酸化カリウムを加えた。得られた混合物を90℃で2時間反応させ、次に室温に冷却した。その後、塩酸を使用して混合物のpH値を5となるように調節し、次に混合物を80℃で3時間反応させた。反応後に、混合物を室温に冷却し、一晩放置し、ろ過し、10mLの5℃のテトラヒドロフランで洗浄して、白色固形物を得て、それを乾燥させ、無水アセトニトリルとテトラヒドロフランの混合液10mL(体積比1:1)に溶解させ、続いて0.8gの塩化アリルと1.2gのトリエチルアミンを加えた。溶液を2℃で15時間反応させて、カルダノール系重合性乳化剤を生成し、その収率は80%であった。
【0070】
2) ヒマシ油系ポリウレタンプレポリマーの調製
【0071】
温度計、攪拌器、および還流凝縮器を備えた乾燥した4口フラスコに、9.32gの乾燥ヒマシ油と10mLのアセトンを加え、その温度を20℃に制御した。その後、質量濃度30%のアセトン溶解無水マレイン酸10mLを液滴状で8分間加えた。混合物を25℃に加熱し、20時間反応させてから、更に80℃に加熱して、5時間反応させた。加えられた溶剤を30℃の真空化で除去し、混合物を室温に冷却して、赤橙色の無水マレイン酸改質ヒマシ油を生成した。
【0072】
10.32gの無水マレイン酸改質ヒマシ油を60℃に加熱し、続いて2.9gの1,6−ジイソシアネート、0.1gのトリエチレンジアミン、0.09gのジエチレントリアミンを液滴状で加えた。得られた混合物を3.5時間反応させて、粘稠重合性ヒマシ油系ポリウレタンプレポリマーを生成した。
【0073】
3) バイオマス系グラフトポリマーエマルジョンの調製
【0074】
工程2で得られた14.7gのヒマシ油系ポリウレタンプレポリマーと、工程1で得られた0.3gのカルダノール系重合性乳化剤と、1.2gのブチルアクリレートと、36mLの水を混合し、50℃で0.5時間膨潤させた。混合物を85℃に加熱し、次に、0.06gの過硫酸カリウムを含む1gの水溶液を液滴状で加えた。その後、4時間反応させて、バイオマス系ポリマーエマルジョンを生成した。