特許第6182221号(P6182221)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6182221
(24)【登録日】2017年7月28日
(45)【発行日】2017年8月16日
(54)【発明の名称】サイドエアバッグ装置
(51)【国際特許分類】
   B60R 21/2346 20110101AFI20170807BHJP
   B60R 21/237 20060101ALI20170807BHJP
【FI】
   B60R21/2346
   B60R21/237
【請求項の数】7
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-558789(P2015-558789)
(86)(22)【出願日】2015年1月6日
(86)【国際出願番号】JP2015050113
(87)【国際公開番号】WO2015111425
(87)【国際公開日】20150730
【審査請求日】2016年7月5日
(31)【優先権主張番号】特願2014-12692(P2014-12692)
(32)【優先日】2014年1月27日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】503358097
【氏名又は名称】オートリブ ディベロップメント エービー
(74)【代理人】
【識別番号】503175047
【氏名又は名称】オートリブ株式会社
(74)【復代理人】
【識別番号】100089462
【弁理士】
【氏名又は名称】溝上 哲也
(74)【復代理人】
【識別番号】100129827
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 進
(74)【復代理人】
【識別番号】100204021
【弁理士】
【氏名又は名称】河原 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】畠山 直樹
(72)【発明者】
【氏名】村井 敦
【審査官】 岡▲さき▼ 潤
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−186891(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/132316(WO,A1)
【文献】 特開2007−308020(JP,A)
【文献】 特開2009−255706(JP,A)
【文献】 特開2010−143356(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 21/16−21/33
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアバッグと、
このエアバッグ内に設けられ、側面衝突時にセンサーからの出力信号を受け、折り畳み状態の前記エアバッグにガスを供給して展開させるインフレータと、
このインフレータから噴出するガスの流れ方向を変更するために、前記エアバッグの内部において、前記インフレータの噴出孔を覆うように設けられた布製のインナーチューブと、
を備え、
前記エアバッグは、前記インフレータの横断面方向から見て、ロール状に折り畳まれたロール部分と、このロール部分と前記インフレータの間に形成されるU字状に二つ折りされた非ロール部分を有するように折り畳まれた構造であり、
前記インナーチューブは、
展開状態における前記エアバッグの中央方向に突出し、かつ、前記インフレータからガスが噴出する方向の第1端部が閉じられる一方、前記インフレータの噴出孔から噴出するガスの噴出方向に対して交差する、展開状態における前記エアバッグの車両の高さ方向の第2端部が開口した構造であり、
車両のシートのシートバック内に設置する際の前記エアバッグの折り畳み時に前記インナーチューブエアバッグの前記非ロール部分の二つ折り部で折り返し、当該折り返した前記インナーチューブの前記第1端部が前記インフレータに向くようにしたことを特徴とするサイドエアバッグ装置。
【請求項2】
前記インナーチューブにおける前記第2端部の、前記インフレータの噴出孔から噴出するガスの噴出方向に対して交差する方向は、前記第1端部と直角の方向であり、かつ、前記第2端部は、展開状態における前記エアバッグの車両の高さ方向両端に開口していることを特徴とする請求項1に記載のサイドエアバッグ装置。
【請求項3】
前記インナーチューブは、前記エアバッグの一部分と共に折り返すことを特徴とする請求項1又は2に記載のサイドエアバッグ装置。
【請求項4】
前記エアバッグは、前記インフレータが配置される突出部分と、本体部分を備えたものであり、当該本体部分に前記インナーチューブの前記折り返した折り返し部及び前記第2端部が位置することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のサイドエアバッグ装置。
【請求項5】
車両の側方から見た状態で、前記突出部分は、車両のシートのフレームと重なる形状であることを特徴とする請求項4に記載のサイドエアバッグ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に車両が側面から衝突された時(以下、側面衝突時という)に、乗員を保護するため、車両に設置されるサイドエアバッグ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特に側面衝突時の衝撃から乗員を保護するサイドエアバッグ装置は、シートの背もたれ部(以下、シートバックという)の窓側の側方内部に設置されるのが一般的である。
【0003】
このサイドエアバッグバッグ装置は、側面衝突時、衝撃を検知したセンサーから出力される信号によってインフレータが作動し、発生したガスによってエアバッグが展開する構成である。
【0004】
このような構成のサイドエアバッグ装置には、インフレータから噴出したガスが流れる方向を変えるインナーチューブが設置されている(例えば特許文献1のディフューザ52、特許文献2の整流布18を参照)。
【0005】
前記インナーチューブは、縫製や溶融接着によってチューブ状に形成している。これらの縫製部や溶融接着部が、インフレータから噴出するガスに直接曝された場合、熱によるダメージが大きくなる。
【0006】
しかしながら、従来、上記課題に対して考慮されたものはなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2012−56506号公報
【特許文献2】特開2005−186891号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする問題点は、インナーチューブの縫製部や溶融接着部が、インフレータから噴出するガスに直接曝された場合、熱によるダメージが大きくなることについて、従来、考慮されたものはなかったという点である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、前記課題を解決するためになされたものである。すなわち、本発明では、インナーチューブの縫製部や溶融接着部が、インフレータから噴出するガスに直接曝されないような構成とすることで、前記課題を解決するものである。
【0010】
すなわち、本発明のサイドエアバッグ装置は、
エアバッグと、
このエアバッグ内に設けられ、側面衝突時にセンサーからの出力信号を受け、折り畳み状態の前記エアバッグにガスを供給して展開させるインフレータと、
このインフレータから噴出するガスの流れ方向を変更するために、前記エアバッグの内部において、前記インフレータの噴出孔を覆うように設けられた布製のインナーチューブと、
を備え、
前記エアバッグは、前記インフレータの横断面方向から見て、ロール状に折り畳まれたロール部分と、このロール部分と前記インフレータの間に形成されるU字状に二つ折りされた非ロール部分を有するように折り畳まれた構造であり、
前記インナーチューブは、
展開状態における前記エアバッグの中央方向に突出し、かつ、前記インフレータからガスが噴出する方向の第1端部が閉じられる一方、前記インフレータの噴出孔から噴出するガスの噴出方向に対して交差する、展開状態における前記エアバッグの車両の高さ方向の第2端部が開口した構造であり、
車両のシートのシートバック内に設置する際の前記エアバッグの折り畳み時に前記インナーチューブエアバッグの前記非ロール部分の二つ折り部で折り返し、当該折り返した前記インナーチューブの前記第1端部が前記インフレータに向くようにしたことを最も主な特徴としている。
【0011】
すなわち、本発明では、エアバッグの折り畳み時に、インナーチューブエアバッグの非ロール部分の二つ折り部で折り返し、当該折り返したインナーチューブの第1端部がインフレータに向くようにしている。
【0012】
従って、インナーチューブの第1端部を形成する縫製部や溶融接着部が、インフレータから噴出するガスに展開初期の段階で直接曝されることがなく、インナーチューブの第1端部が前記ガスによって破損することを効果的に防止できる。
【0013】
本発明において、エアバッグを、インフレータを配置する突出部分と本体部分を備えたものとした場合は、乗員の保護に必要な本体部分の容量が減少するので、エアバッグの展開速度が速くなる。
【0014】
その際、サイドエアバッグ装置をシートのシートバックに設置することを考慮した場合には、車両の側方から見た状態で、エアバッグの突出部分の形状を、車両のシートのフレームと重なる形状とすることが望ましい。この場合、シートバックのフレーム上におけるエアバッグの展開部分が少なくなってエアバッグの容量を減らすことができ、乗員に対する保護エリアのための展開部分をより大きくとることができる。加えて、容量を適切に抑えることができてエアバッグの展開速度も速くなる。
【発明の効果】
【0015】
本発明では、インナーチューブをエアバッグの非ロール部分の二つ折り部で折り返し、当該折り返したインナーチューブの第1端部がインフレータに向くようにしているので、インナーチューブの第1端部を形成する縫製部や溶融接着部がインフレータから噴出したガスに展開初期の段階で直接曝されることがない。従って、インナーチューブの第1端部が前記ガスによって破損することを防止でき、エアバッグの展開を効果的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明のサイドエアバッグ装置のエアバッグが展開した状態を示した図で、(a)は車両の側面方向から見た図、(b)は(a)のA−A断面図である。
図2】本発明のサイドエアバッグ装置のエアバッグを折り畳んだ状態を説明する図で、インフレータの噴出孔位置における断面図である。
図3】シートに着座した状態の国際統一側面衝突ダミー(World Side Impact Dummy :World SID、以下、単にダミーという)と、本発明のサイドエアバッグ装置のエアバッグが展開した状態の相対位置関係を示した図である。
図4】(a)(b)はインナーチューブの他の折り返し態様を示した図2と同様の図である。
図5】(a)は図2の他の例を示した図、(b)はインフレータとインフレータに取付けるデフレクタの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
インナーチューブの第1端部を形成する縫製部や溶融接着部が、インフレータから噴出するガスに展開初期の段階で直接曝された場合、熱によるダメージが大きくなって、エアバッグの展開形態が変化する場合があることについて従来は考慮されていない。
【0018】
本発明は、インナーチューブをエアバッグの非ロール部分の二つ折り部で折り返し、当該折り返したインナーチューブの第1端部がインフレータに向くようにすることで、前記の課題を解決するものである。
【実施例】
【0019】
以下、本発明を、添付図面を用いて説明する。図1図3は本発明のサイドエアバッグ装置の一例を説明する図である。
【0020】
1はシートバックSBの窓側の側方内部に設置されるサイドエアバッグ装置である。このサイドエアバッグ装置1は、特に側面衝突時にセンサーから出力される信号を受信して、シートに着座した乗員と車両側部の間に、ロール状或いは蛇腹状に折り畳まれたエアバッグ2を車両前方方向に展開して乗員を保護するものである。
【0021】
このサイドエアバッグ装置1は、エアバッグ2と、センサーから出力される信号を受信してガスを噴出するインフレータ3と、インフレータ3から噴出されたガスの流れ方向を変更する布製のインナーチューブ4を備えている。
【0022】
前記エアバッグ2は、例えば2枚の基布の全周囲を縫製した縫製部5によって袋状に形成した構成である。そして、シートのフレームFと重なる矩形状の突出部分2aと、展開時に乗員を保護する本体部分2bを有し、この突出部分2aの内部に前記インフレータ3を配置している。
【0023】
前記インフレータ3は、例えば、図1図3に示すように筒形状をなし、その外側面に設けた噴出孔3aから前記エアバッグ2の内部にガスを噴出する構成である。このインフレータ3の外側面には、固定用のボルト3bがその長手方向に適宜の間隔を存して例えば2本突き出しており、これらボルト3bを用いてシートバックSBの側端部のフレームFに設置する。
【0024】
前記インナーチューブ4は、インフレータ3の少なくとも噴出孔3aを覆った状態でエアバッグ2の前記突出部分2aに一方端側4aが取付けられ、他方端部4bが展開状態におけるエアバッグ2の中央方向に突出するように設けられる。この場合、インナーチューブ4は、シートに着座させたダミーDの肋骨部分を避けるように、エアバッグ2の中央方向に突出させる。
【0025】
また、前記インナーチューブ4は、インフレータ3から噴出されるガスが流れる方向に位置する他方端部(以下、第1端部という。)4bを、例えば縫製した縫製部6によって閉じている。一方、インフレータ3の噴出孔3aから噴出するガスの噴出方向に対して交差する、例えば前記第1端部4bと直角方向における、展開状態のエアバッグ2の車両高さ方向の上部と下部に位置する上下端部(以下、第2端部という。)4cを開口させている。これらの第2端部4cからエアバッグ2の本体部分2bにおけるダミーDの肩部方向と腹部方向にガスが流出する。
【0026】
サイドエアバッグ装置1を車両のシートのシートバックSB内に設置する場合、例えば図2に示すように、エアバッグ2はインフレータ3の横断面方向から見て、本体部分2bが、ロール状に折り畳まれたロール部分2baと、このロール部分2baとインフレータ3の間に形成される、U字状に二つ折りされた非ロール部分2bbを有するように折り畳まれるが、本発明では、前記エアバッグ2の折り畳み時に、以下に説明する様な状態することを特徴としている。
【0027】
すなわち、本発明では、前記インナーチューブ4をエアバッグ2の本体部分2bの非ロール部分2bbの二つ折り部において折り返し部4dで折り返し、前記第1端部4bがエアバッグ2の本体部分2bの非ロール部分2bbの内部に位置するようにしている。
【0028】
例えば図2の例では、インナーチューブ4をエアバッグ2の2枚の基布と共に折り畳んでインナーチューブ4の前記第1端部4bがインフレータ3に向くようにし、当該折り畳み状態では、第1端部4bがエアバッグ2の本体部分2bの非ロール部分2bbに位置するようにしている。
【0029】
上記構成とすることで、側面衝突時、インフレータ3がセンサーから出力された信号を受信して噴出孔3aからガスを噴出した場合でも、先ずインナーチューブ4の折り返し部4dがガスに曝された後、第1端部4bがガスに曝されることになる。
【0030】
従って、展開初期の段階で第1端部4bを形成する縫製部6が受けるダメージを低減できてガスによるインナーチューブ4の破損を効果的に防止することができ、ダミーDの肩部方向と腹部方向へのガスの流出を阻害することがなくなる。
【0031】
本発明は上記の例に限らず、各請求項に記載された技術的思想の範疇であれば、適宜実施の形態を変更しても良いことは言うまでもない。
【0032】
すなわち、以上で述べたサイドエアバッグ装置は、本発明の好ましい例であって、これ以外の実施態様も、各種の方法で実施または遂行できる。特に本願明細書中に限定する主旨の記載がない限り、本発明は添付図面に示した詳細な部品の形状、大きさ、および構成配置等に制約されるものではない。また、本願明細書の中に用いられた表現および用語は説明を目的としたもので、特に限定される主旨のない限り、それに限定されるものではない。
【0033】
例えば、インナーチューブ4の第1端部4bを形成する手段は縫製に限らず、第1端部4bを形成できるものであれば、溶融接着などでも良い。
【0034】
また、インナーチューブ4の縦断面形状も、矩形状に限らず、縦断面形状の外側面上下方向からダミーDの肩部方向と腹部方向に向けた分岐部を突出させた形状でも良い。
【0035】
また、第2端部4cを設ける方向は、インフレータ3の噴出孔3aから噴出するガスの噴出方向に対して交差し、ダミーDの肩部方向と腹部方向に向けてガスを噴出できれば、第1端部4bと直角方向に限らない。
【0036】
また、インナーチューブ4の第1端部4bがエアバッグ2の本体部分2bの内部に位置する態様も、図2に示した態様に限らない。例えば図4(a)に示すように、エアバッグ2の突出部分2aと近接する本体部分2bの非ロール部分2bbにおいてインナーチューブ4のみインフレータ3に向くように折り返し部4dで折り返したものでも良い。また、図4(b)に示すように、図4(a)の状態からインナーチューブ4を再度折り返し部4dで折り返したものでも良い。
【0037】
また、図5に示すように、シートバックSBへの設置時、インフレータ3の噴出孔3a部を覆うように、インナーチューブ4の第1端部4aとインフレータ3で挟むようにして金属製のデフレクタ7を設置してもよい。この図5に示す他の例の場合、インフレータ3から噴出したガスは、デフレクタ7を押し広げた後(図5(a)の想像線参照)、エアバッグ2の本体部分2bに導かれる。この場合、噴出ガスは、より折り返し部4dの方向に集中して流れることになるが、この折り返し構造により、インナーチューブ4の破損をより効果的に防ぎながらエアバッグ2のより素早い展開を可能にする。
【符号の説明】
【0038】
1 サイドエアバッグ装置
2 エアバッグ
2a 突出部分
2b 本体部分
2ba ロール部分
2bb 非ロール部分
3 インフレータ
3a 噴出孔
4 インナーチューブ
4b 第1端部
4c 第2端部
4d 折り返し部
6 縫製部
SB シートバック
図1
図2
図3
図4
図5