(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
取付位置を定める第1ロケート部および第2ロケート部が形成されたロック装置を、第1開口部および第2開口部が形成された開閉部材に取り付けるロック装置の取付方法であって、
前記第1ロケート部を前記第1開口部に挿入して、前記第2ロケート部と前記第2開口部の相対的なずれ幅を制限するステップと、
前記第1ロケート部の前記第1開口部への挿入後、前記第2ロケート部を前記第2開口部に挿入して該ロック装置の取付位置を定めるステップと、
前記開閉部材に該ロック装置を固定するステップと、を含むことを特徴とするロック装置の取付方法。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、実施形態のロック装置10を取り付けた開閉部材12を説明するための図である。
図1(a)は、開閉部材12の表側からみた斜視図であり、
図1(b)は、開閉部材12の裏側からみた斜視図である。また、
図2は、実施形態のロック装置10を開閉部材に取り付ける途中の状態を示す斜視図であり、ロック部材の取り付け前の状態を示す。開閉部材12は、実際には2枚の板状部材を貼り合わせて、その内部にロック装置10を収容するように設けられるが、
図1(b)はロック装置10を覆う開閉部材12の裏側の板状部材を省いて図示している。
【0013】
開閉部材12は、たとえば車両のグローブボックス用の蓋部材である。グローブボックス(不図示)はダッシュボードに設けられた収納空間である凹所を有する固定部材である。開閉部材12は、固定部材に回動可能に支持され、凹所の開口を開閉する。
【0014】
開閉部材12には、ロック装置10を取り付けるための取付構造が取付口12aの奥に形成される。開閉部材12に取り付けられたロック装置10は、固定部材に対して開閉部材12をロック状態にして閉状態に保持する。
【0015】
図1(b)に示すように、ロック装置10は、操作部材20、ベース部材22、駆動部材25、第1ロック部材26aおよび第2ロック部材26bを備える。
図1(a)に示すように取付口12aから操作部材20が表側に露出する。ユーザは窪み部12bから操作部材20の裏側へ指を挿入し、操作部材20を引くことでロック解除をする。
【0016】
ユーザの操作力は、操作部材20から駆動部材25に、駆動部材25から第1ロック部材26aおよび第2ロック部材26b(これらを区別しない場合、「ロック部材26」という)へと伝達される。
【0017】
図1(b)および
図2に示すようにベース部材22は、一対のネジ部材28により開閉部材12に固定される。駆動部材25は、ベース部材22に回動可能に支持され、ロック部材26に連結する。
図1(b)においてロッド状のロック部材26は、その一部が切断された形で示される。ロック部材26は、駆動部材25の回動に連動して幅方向に移動する。
【0018】
ユーザが操作部材20を操作すると駆動部材25が回動し、ロック部材26は駆動部材25の回動に応じて、固定部材であるグローブボックスに形成された係合孔部(不図示)に出入りする。ロック部材26がグローブボックスの係合孔部に入ると開閉部材12がロック状態となり、ロック部材26がその係合孔部から出ると開閉部材12が非ロック状態となる。
【0019】
図3は、開閉部材12について説明するための図である。
図3(a)は開閉部材12の表側からみた斜視図であり、
図3(b)は開閉部材12の裏側からみた斜視図である。ここで各図面に示される同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。なお、
図3(a)および(b)では2枚の板状部材を貼り合わせて形成される開閉部材12のうち表側の板状部材を示す。
【0020】
開閉部材12は、取付口12a、窪み部12b、開口部12c、ロケート孔12d、ネジ孔12e、取付座面12fおよび縁部12gを有する。
図3(a)に示すようにロック装置10を取り付けるための取付構造が取付口12aの奥に形成される。
【0021】
窪み部12bは、取付口12aの下端から上方に延設された湾曲面を有し、ユーザが指を挿入するガイドとして形成される。窪み部12bの上端側に、幅方向に離間する一対の取付座面12fと、その間に位置する開口部12cが形成される。
【0022】
図3(a)に示す取付座面12fの表面にロック装置10が取り付けられる。ロック装置10の取付座面12fへの取り付けは、取付座面12fに形成されたロケート孔12dおよびネジ孔12eを利用して行われる。一対のロケート孔12dおよび一対のネジ孔12eは幅方向に離間して形成され、一対のロケート孔12dの間隔は、一対のネジ孔12eの間隔より小さい。
【0023】
開口部12cは、表側の操作部材20への操作を、取付座面12fより裏側のロック部材26に伝達するために貫通して形成される。開口部12cの縁部12gは、開口部12cを画成し、対向する一対の取付座面12fの側縁を構成する。
【0024】
このように、開閉部材12に、ロック装置10を取り付けるための構造が形成される。ロック装置10の各部材についてさらに図面を参照して詳細に説明する。
【0025】
図4は、操作部材20を説明するための図である。
図4(a)は操作部材20の裏面図であり、
図4(b)は操作部材20の裏側からみた斜視図である。なお、操作部材20の表側は、
図1(a)に示しており、開閉部材12の取付口12aにて露出される。
【0026】
操作部材20は板状に形成され、回動軸孔38、操作面40および伝達部42を有する。回動軸孔38は、操作部材20の一対の側面にそれぞれ形成される。操作面40は、操作部材20の裏面の下側に位置し、ユーザの操作時に指が掛けられる。
【0027】
伝達部42は、操作部材20の裏面に立設し、駆動部材25に当接してユーザの回動操作を駆動部材25に伝達する。回動軸孔38をベース部材22に連結することで、操作部材20はベース部材22に回動可能に支持される。操作部材20が回動すると、伝達部42が上下に移動して駆動部材25を回動させる。
【0028】
図5は、ベース部材22を説明するための図である。
図5(a)はベース部材22の裏面図であり、
図5(b)はベース部材22の表面図であり、
図5(c)はベース部材22を裏側からみた斜視図である。
【0029】
ベース部材22の本体部44は幅方向に延在する台座面51を有する。本体部44の両側面から回動支持部46が幅方向に突出するように形成される。回動支持部46は操作部材20の回動軸孔38に挿入されて、操作部材20を回動可能に支持する。駆動用軸受部48は、台座面51の中央に形成され、駆動部材25を回動可能に支持する。
【0030】
ロータ支持壁50は、台座面51から立設し、駆動用軸受部48を中心として円筒状に形成され、駆動部材25を収容する。ロータ支持壁50の内側には、駆動用軸受部48の他に連通部54、バネ受部62および回転規制部64が形成される。
【0031】
連通部54は、ロータ支持壁50内の台座面51を貫通するように形成される。連通部54は、操作部材20の伝達部42と駆動部材25のロータ部材24とを当接するための連通孔である。
【0032】
バネ受部62は、ロータ支持壁50内の台座面51に突状に形成され、駆動部材25を構成するバネ部材の巻端部に当接する。回転規制部64は、ロータ支持壁50内の台座面51に突出するように形成され、駆動部材25の回転を規制するように形成される。
【0033】
第1ロケート部52は、ロータ支持壁50の周りに、ロータ支持壁50を囲む壁部として、台座面51に立設するように形成される。第1ロケート部52はロータ支持壁50の外周側の近傍に形成される。
図5(c)に示すように第1ロケート部52は、ベース部材22において最も突出して形成される。
【0034】
第1ロケート部52は、開閉部材12の開口部12cに挿入され、開口部12cの縁部12gに当接または近接される。第1ロケート部52は、駆動部材25およびロータ支持壁50の周りに形成されて、ロック装置10を開閉部材12に取り付ける際にロータ支持壁50と開閉部材12の開口部12cの縁部12gとの接触を防ぐための役割を持つ。また、第1ロケート部52は、ベース部材22を開閉部材12に取り付ける際に、第2ロケート部56のロケート孔12dへの挿入を容易にするガイドとして機能する。
【0035】
第1ロケート部52は、ベース部材22の幅方向に対向する一対の対向壁部52aと、一対の対向壁部52aを連結する連結壁部52bとを含む。第1ロケート部52の内壁とロータ支持壁50の外壁とは複数箇所で連結されて剛性が高められている。
【0036】
一対の係止爪部60は、第1ロケート部52の対向壁部52aの幅方向外側に突出するように形成される。ベース部材22を開閉部材12に取り付ける際、係止爪部60が、開閉部材12の取付座面12fに係止することで、ネジ部材28によりロック装置10を固定するまでの仮止めとなる。
【0037】
一対の第2ロケート部56は、台座面51から突出し、同じ形状の棒状体として形成される。第2ロケート部56は、開閉部材12の取付座面12fに対してベース部材22の取付位置を定めるロケートピンである。一対の第2ロケート部56は幅方向に離間して設けられ、第1ロケート部52は一対の第2ロケート部56の間に配置される。第2ロケート部56は、開閉部材12のロケート孔12dに挿入することでサブアッシーユニット16を位置決めする。
【0038】
一対のネジ受部58は、幅方向に離間して形成され、ネジ部材28を螺合可能な円筒状の孔を有する。一対の第2ロケート部56は一対のネジ受部58の間に位置する。
【0039】
図6は、ロータ部材24について説明するための図である。
図6(a)はロータ部材24の表側からみた斜視図であり、
図6(b)はロータ部材24の裏側からみた斜視図であり、
図6(c)はロータ部材24の側面図である。
【0040】
ロータ部材24は、円盤部68、回動軸部70、保持溝部72、第1連結部74a、第2連結部74b、当接部76およびバネ受部78を備える。ロータ部材24は、操作部材20の回動操作に応じて駆動される駆動部材に含まれる。
【0041】
回動軸部70は、円盤部68の中央に垂直に立設される。回動軸部70は、ベース部材22の駆動用軸受部48に挿入され、軸支される。保持溝部72は、円盤部68の外周に溝状に形成され、リング部材を保持する。
【0042】
第1連結部74aおよび第2連結部74b(これらを区別しない場合、「連結部74」という)は、第1ロック部材26aおよび第2ロック部材26bにそれぞれ連結されて、ロータ部材24の回転動作を伝達する。連結部74は、円盤部68の裏面に垂直に突出するように形成される。また、連結部74は、円盤部68の裏面の中心から離間して、円盤部68上の径方向外側に対向するように形成される。
【0043】
当接部76は、円盤部68の表面に突出するように形成される。当接部76は、連通部54を介して伝達部42に当接可能にベース部材22に組み付けられ、伝達部42から操作部材20の操作力が伝達される。バネ受部78は、円盤部68の表面に突出するように形成され、バネ部材の巻端部と当接する。
【0044】
図7は、駆動部材25の斜視図である。駆動部材25は、ロータ部材24、バネ部材30およびリング部材32を有する。コイル状のバネ部材30は、回動軸部70を挿入して配設され、リング部材32は、環状の保持溝部72に嵌合して保持される。
【0045】
バネ部材30の第1巻端部30aは、ロータ部材24のバネ受部78に当接し、第2巻端部30bは、ベース部材22のバネ受部62に当接する。バネ部材30は、ユーザがロック解除操作をした場合に、非ロック状態となったロック部材26をロック状態にする方向にロータ部材24を付勢する。
【0046】
リング部材32は、ゴム状のOリングであり、円盤部68の最外周に配設される。リング部材32は、ロータ支持壁50の内壁に接触して駆動部材25の回転速度を緩和する。この駆動部材25がベース部材22に組み付けられる。
【0047】
図8は、開閉部材12に取り付ける前のロック装置10のサブアッシーユニット16について説明するための図である。
図8(a)はサブアッシーユニット16の裏側からみた斜視図であり、
図8(b)はサブアッシーユニット16の側面図である。
【0048】
サブアッシーユニット16は、操作部材20、ベース部材22、駆動部材25により構成される。回動軸孔38と回動支持部46との連結により、操作部材20とベース部材22が連結され、ロータ支持壁50内に、
図7で示した駆動部材25が挿入され、ベース部材22と駆動部材25が連結される。
【0049】
図7に示すロータ部材24の回動軸部70は、
図5(a)に示すベース部材22の駆動用軸受部48に軸支される。回動軸部70の先端部分が駆動用軸受部48の縁に係合して駆動部材25の抜け止めとなる。この一体化されたサブアッシーユニット16が、開閉部材12に取り付けられる。
【0050】
図8(b)に示す第2ロケート部56と第1ロケート部52の突出高さを比較すると、第1ロケート部52が第2ロケート部56よりも突出するように形成される。
【0051】
図9は、開閉部材12に取り付けた状態のロック装置10を説明するための図である。
図9(a)は
図8(a)に示すサブアッシーユニット16の線分A−Aの断面図であり、
図9(b)は
図8(b)に示すサブアッシーユニット16の線分B−Bの断面図である。
図9(a)および(b)は、いずれも第2ロケート部56を通る断面を示す。
【0052】
サブアッシーユニット16は、開閉部材12の取付口12aに収まるように取り付けられる。
図9(b)に示すように、第1ロケート部52は開口部12cに挿入され、第2ロケート部56はロケート孔12dに挿入される。
【0053】
ロータ部材24の連結部74は開口部12cより裏側に突出して、ロック部材26に連結される。
図9(b)に示すように、第2ロケート部56は、ロック部材26の動作を阻害しないように、ロケート孔12dから取付座面12fの裏側に出ないように取り付けられる。なお、第2ロケート部56は、ロック部材26に干渉しない限りにおいて、取付座面12fの裏側から突出してもよい。
【0054】
係止爪部60は取付座面12fに係止し、取付時にネジ部材28で固定する前のサブアッシーユニット16の仮止めとして機能する。係止爪部60の係止により、サブアッシーユニット16を取付座面12fに仮止めすることで、作業者はネジ部材28で固定する際にサブアッシーユニット16から一度、手を離すことができ、容易なネジ止め作業を可能とする。
【0055】
図9(b)に示すように、第1ロケート部52は、第2ロケート部56より台座面51の裏側に突出する。第1ロケート部52の台座面51からの突出高さは、第2ロケート部56の台座面51からの突出高さより高い。第1ロケート部52は取付座面12fよりも裏側に出る一方で、第2ロケート部56は取付座面12fの裏側に出ない。
【0056】
図10は、サブアッシーユニット16の開閉部材12への取付方法を説明するための図である。
図10(a)、
図10(b)、
図10(c)は、取付工程における開閉部材12とサブアッシーユニット16の断面を示し、
図10(a)は第1取付工程を示し、
図10(b)は第2取付工程を示し、
図10(c)は第3取付工程から第4取付工程を示す。なお、
図10(a)から
図10(c)では、実施形態のロック装置10の理解を容易にするため、
図9(b)に示すよりも開口部12cの幅をあえて大きく示している。
【0057】
図10(a)に示す第1取付工程において、作業者はベース部材22の中央側に位置する第1ロケート部52をロケート孔12dより大きい開口部12cに狙いを定めて、サブアッシーユニット16を開閉部材12の取付座面12fへ接近させる。
【0058】
図10(b)に示す第2取付工程において、サブアッシーユニット16をさらに取付座面12fに接近させ、第1ロケート部52が開口部12cに挿入されて、開口部12cの縁部12gに当接または近接する。第1ロケート部52を開口部12cに挿入する工程には、まず、連結壁部52bを開口部12cに挿入して、幅方向のずれを制限する工程と、一対の対向壁部52aを開口部12cに挿入して、第1ロケート部52の回転を制限する工程が含まれる。
【0059】
これにより、第2ロケート部56とロケート孔12dの相対的なずれ幅が制限される。第2ロケート部56とロケート孔12dの相対的なずれ幅とは、取付座面12fと平行な2次元における第2ロケート部56とロケート孔12dの間隔である。
【0060】
図10(b)において第2ロケート部56は、ロケート孔12dに挿入されていないが、ロケート孔12dとの相対的なずれ幅が非常に小さい位置にある。このように、第1ロケート部52が開口部12cに挿入されて開口部12cの縁部12gに当接または近接することで、挿入前の第2ロケート部56とロケート孔12dの相対的なずれ幅を小さくして、第2ロケート部56とロケート孔12dへの挿入を容易にできる。
【0061】
図10(c)に示す第3取付工程において、サブアッシーユニット16をさらに取付座面12fに押し込んで、第2ロケート部56がロケート孔12dに挿入される。第2取付工程において、第1ロケート部52が開口部12cに既に挿入されていることで、第2ロケート部56とロケート孔12dとが大まかに位置合わせされた状態にあり、作業者は、僅かな位置調整を行うだけで、第2ロケート部56をロケート孔12dに容易に挿入できる。このように突出高さの異なる2つのロケート部を取付座面12fに形成された2つの開口部に順に挿入することで、サブアッシーユニット16の動きを段階的に制限して、取付作業を容易にできる。作業者が第1ロケート部52を開口部12cに挿入した結果、第2ロケート部56の動きが制限されるため、第2ロケート部56がロケート孔12dに誘導されることになる。
【0062】
第1ロケート部52の開口部12cへの挿入後、第2ロケート部56はロケート孔12dに挿入されてロック装置10の取付位置を定める。ロック装置10の取付位置を定めることにより、ネジ受部58とネジ孔12eの位置が合わさる。
【0063】
第3取付工程において、係止爪部60の係止により、サブアッシーユニット16を取付座面12fに仮止めすることができる。これにより、作業者は次の取付工程でサブアッシーユニット16から一度手を離して、ネジ部材28で固定することができる。
【0064】
次の第4取付工程では、ネジ部材28がネジ孔12eおよびネジ受部58に挿入されて、サブアッシーユニット16が取付座面12fにガタツキなく固定される。その後、ロータ部材24にロック部材26を連結して、ロック装置10の取り付けが完了する。
【0065】
図10(c)に示す第1間隔t1は、一対の対向壁部52aの外壁の幅方向の間隔であり、第2間隔t2は、開口部12cの一対の縁部12gの幅方向の間隔である。また、第3間隔t3は、第2ロケート部56の直径であり、第4間隔t4は、ロケート孔12dの内径である。ロック装置10および開閉部材12は、下記の式1を満たすように設けられる。
(t2−t1)>(t4−t3) ・・・式1
【0066】
これは、少なくとも幅方向において、第1ロケート部52の開口部12cに対するクリアランスが、第2ロケート部56のロケート孔12dに対するクリアランスより大きいことを表す。サブアッシーユニット16の取付工程においては、まず最初にクリアランスが相対的に大きい第1ロケート部52の開口部12cへの挿入作業が行われ、これによりクリアランスが相対的に小さい第2ロケート部56とロケート孔12dとを大まかに位置合わせした後に、第2ロケート部56のロケート孔12dへの挿入作業が行われる。このように第2ロケート部56をロケート孔12dに容易に挿入することが可能となる。
【0067】
第1ロケート部52の開口部12c(第1開口部)への挿入は、第1段階の取付作業であり、第2ロケート部56のロケート孔12d(第2開口部)への挿入は、第2段階の取付作業である。第1ロケート部52を大きな孔である開口部12cに挿入する作業は、小さなロケート孔12dに小さなロケートピンを挿入する作業より、容易である。これにより、相対的に挿入が容易である第1段階の取付作業によって、第2段階の取付作業も容易になり、ロック装置10の取付作業が容易になる。第1段階の取付作業により、第2ロケート部56とロケート孔12dの相対的なずれ幅を制限することで、第2段階の取付作業における第2ロケート部56のロケート孔12dへの挿入が、第1段階の取付作業より容易となる。
【0068】
第2ロケート部56を一対のロケートピンとすることで、ベース部材22の回転を制限することができ、位置決めの精度を高めることができる。
【0069】
第1ロケート部52が一対の対向壁部52aを有することで、対向壁部52aの開口部12cへの挿入時に、対向壁部52aの幅方向のずれ幅を制限しつつ、サブアッシーユニット16の回転も制限できる。第1ロケート部52が一対の対向壁部52aを連結する連結壁部52bを有することで、ロータ部材24を囲んで、取り付けの際にロータ部材24が開口部12cの縁部12gなどに接触することを防ぎ、ロータ部材24を保護することができる。
【0070】
係止爪部60は、第2ロケート部56のロケート孔12dへの挿入が完了したときに開口部12cに係止する。つまり、第2ロケート部56のロケート孔12dへの挿入が完了する前に、係止爪部60は開口部12cに係止しない。さらには、第2ロケート部56をロケート孔12dに挿入中に、係止爪部60は開口部12cに係止しない。これにより、一対の係止爪部60のうち一方のみ先に係止して、第2ロケート部56のロケート孔12dへの挿入の妨げとなることを抑える。
【0071】
図11は、第1変形例のロック装置について説明するための図である。
図11(a)は、開閉部材12に取り付けた第1変形例のサブアッシーユニット116の裏面図を示し、
図11(b)は第1変形例のサブアッシーユニット116の斜視図を示す。なお、
図11(b)に示すサブアッシーユニット116は、操作部材20を除いて示す。
【0072】
図11(b)に示す第1変形例のベース部材122は、
図8(a)に示すベース部材22と比較して、壁状の第1ロケート部52の代わりに棒状の第1ロケート部が形成されている点で異なる。
【0073】
ベース部材122は、駆動部材25を収容するロータ支持壁150と、駆動部材25の周りに形成される第1ロケート部とを少なくとも有する。第1ロケート部は、棒状に形成され幅方向においてロータ支持壁150の少し外側に位置する棒状体152aと、ロータ支持壁150の外周から径方向外向きに突出する一対の突起部152bとを有する。
【0074】
一対の棒状体152aおよび一対の突起部152bは、長方形または正方形の頂点に位置するように、ロータ支持壁150の周りに形成される。第1ロケート部は、第2ロケート部56より台座面51の裏側に突出する。
【0075】
図11(a)に示すように、第1ロケート部は、開口部12cに当接または近接される。4つの突起として形成された第1ロケート部を矩形の頂点に配置することで、取り付ける際のサブアッシーユニット116の回転を制限することができる。第2変形例の第1ロケート部は、開閉部材12に取り付ける際に、第2ロケート部56のロケート孔12dへの挿入より先に、開口部12cの縁部12gに当接または近接することで、第2ロケート部56の挿入を容易にできる。これにより、ロック装置10の取付作業を容易にできる。
【0076】
図12は、第2変形例のロック装置について説明するための図である。
図12(a)は、開閉部材212に取り付けた第2変形例のサブアッシーユニット216の裏面図を示し、
図12(b)は第2変形例のサブアッシーユニット216の斜視図を示す。なお、
図12(b)に示すサブアッシーユニット216は、操作部材20を除いて示す。
【0077】
図12(b)に示す第2変形例のベース部材222は、
図8(a)に示すベース部材22と比較して、第2ロケート部56と、第1ロケート部52が形成されていない点で異なる。また、
図12(a)に示す第2変形例の開閉部材112は、
図3(a)に示す開閉部材12と比べて、ロケート孔12dが形成されていない点、開口部212aが環状に形成される点が異なる。
【0078】
図12(b)に示すように、ロケート部250は、台座面51から立設し、円筒状に形成され、駆動部材25を収容する。ロケート部250は、径方向外向きに突出する一対の突起部250aを有する。ロケート部250は、ロータ部材24の支持壁としても機能する。
【0079】
図12(a)に示すように、開閉部材212の取付口には、取付座面212cに環状に形成された開口部212aと、開口部212aの内周の一部を径方向外向きに切り欠くように形成された一対の切欠部212bが形成される。開口部212aの内径は、ロケート部250の外径より大きいが、ほぼ同じ大きさに設定される。
【0080】
開口部212aにロケート部250が挿入され、ネジ部材28によりサブアッシーユニット216が取付座面212cに固定される。開閉部材212に取り付ける際に、ロケート部250は開口部212aに当接または近接されて、サブアッシーユニット216の取付位置を定める。
【0081】
ロケート部250はロータ部材24の周りに形成されて、取付作業中や取付完了後にロータ部材24と開口部212aの縁部との接触を防ぐ。一対の突起部250aは、開口部212aに形成された一対の切欠部212bに入り込んで、ネジ留めする前のサブアッシーユニット216の回転を制限することができる。第2変形例では、ロケート部250によってロータ部材24の保護と、取付時の位置決めができる。
【0082】
図13は、第3変形例のロック装置について説明するための図である。
図13(a)は、開閉部材12に取り付けた第3変形例のサブアッシーユニット316の裏面図を示し、
図13(b)は第3変形例のサブアッシーユニット316の斜視図を示す。なお、
図13(b)に示すサブアッシーユニット316は、操作部材20を除いて示す。
【0083】
図13(b)に示す第3変形例のベース部材322は、
図8(a)に示すベース部材22と比較して、第2ロケート部56が形成されていない点で異なる。また、
図13(a)に示す第3変形例の開閉部材312は、
図3(a)に示す開閉部材12と比べて、ロケート孔12dが形成されていない点で異なる。
【0084】
図13(b)に示すように、ロケート部352は、台座面51から立設し、ロータ部材24の周りに形成される。ロケート部352の内側にはロータ支持壁50が形成される。ロケート部352は、幅方向に対向する一対の対向壁部352aと、対向壁部352aを連結する連結壁部352bとを有する。
【0085】
開口部312aにロケート部352が挿入され、ネジ部材28によりサブアッシーユニット316が取付座面312bに固定される。開閉部材312に取り付ける際に、ロケート部352は開口部312aに当接または近接されて、サブアッシーユニット316の取付位置を定める。
【0086】
ここで第3変形例では、開口部312aの縁部の幅方向の間隔t5と、一対の対向壁部352aの外壁の幅方向の間隔t6が非常に小さくなるように形成される。つまり、
図10(c)に示す(t2−t1)のクリアランスより、(t5−t6)のクリアランスが小さくなるように形成される。第3変形例では、ロケート部352により、ロック装置の取付の位置決めをすることができる。
【0087】
本発明は上述の各実施例に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて各種の設計変更等の変形を各実施例に対して加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施例も本発明の範囲に含まれうる。
【0088】
実施形態では、操作部材20の操作力を受けてロック部材26を駆動する駆動部材として、ロータ部材24を用いる態様を示したが、この態様に限られない。例えば、ロータ部材24の代わりに、操作部材20の操作に応じて回動する歯車機構を用いてもよい。この歯車機構は、環状の第1ロケート部52の間に位置して、ロック部材26との連結部分が開口部12cよりも内側に突出するように設けられる。
【0089】
実施形態の第2ロケート部56では、一対のロケートピンが形成される態様を示したが、この態様に限られない。ロケートピンは1つであってよく、3つ以上であってもよい。3つ以上のロケートピンを設ける態様においても、第1ロケート部52は第2ロケート部56の間に位置するように形成される。
【0090】
実施形態の係止爪部60は対向壁部52aに形成される態様を示したが、この態様に限られない。ベース部材22に形成され、取付座面12fの縁に係止する係止爪部であればよく、ベース部材22の異なる位置に係止爪部を形成してよい。