特許第6182233号(P6182233)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6182233触媒化微粒子フィルターの製造方法及び触媒化微粒子フィルター
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6182233
(24)【登録日】2017年7月28日
(45)【発行日】2017年8月16日
(54)【発明の名称】触媒化微粒子フィルターの製造方法及び触媒化微粒子フィルター
(51)【国際特許分類】
   B01J 29/85 20060101AFI20170807BHJP
   B01J 37/02 20060101ALI20170807BHJP
   B01J 35/04 20060101ALI20170807BHJP
   B01D 53/94 20060101ALI20170807BHJP
   F01N 3/035 20060101ALI20170807BHJP
   F01N 3/08 20060101ALI20170807BHJP
   F01N 3/10 20060101ALI20170807BHJP
   F01N 3/28 20060101ALI20170807BHJP
   F01N 3/022 20060101ALI20170807BHJP
【FI】
   B01J29/85 AZAB
   B01J37/02 301L
   B01J35/04 301E
   B01D53/94 222
   B01D53/94 228
   B01D53/94 245
   B01D53/94 280
   F01N3/035 A
   F01N3/08 B
   F01N3/10 A
   F01N3/28 301P
   F01N3/022 C
【請求項の数】8
【外国語出願】
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-69898(P2016-69898)
(22)【出願日】2016年3月31日
(62)【分割の表示】特願2013-537013(P2013-537013)の分割
【原出願日】2011年7月1日
(65)【公開番号】特開2016-165725(P2016-165725A)
(43)【公開日】2016年9月15日
【審査請求日】2016年4月21日
(31)【優先権主張番号】PA201000991
(32)【優先日】2010年11月2日
(33)【優先権主張国】DK
(31)【優先権主張番号】PA201001110
(32)【優先日】2010年12月9日
(33)【優先権主張国】DK
(73)【特許権者】
【識別番号】590000282
【氏名又は名称】ハルドール・トプサー・アクチエゼルスカベット
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100139527
【弁理士】
【氏名又は名称】上西 克礼
(74)【代理人】
【識別番号】100164781
【弁理士】
【氏名又は名称】虎山 一郎
(72)【発明者】
【氏名】ヨハンセン・ケルド
【審査官】 山口 俊樹
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2010/051983(WO,A1)
【文献】 国際公開第2009/099937(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0175372(US,A1)
【文献】 国際公開第2010/062733(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J21/00−38/74
B01D53/73,86−90,94−96
F01N3/00−3/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
触媒化微粒子フィルターの製造方法であって、
a)分散側と透過側とを画定する長手方向の多孔質壁により制限される、長手方向の流路を有する微粒子フィルター本体を提供する工程、
b)窒素酸化物の選択接触還元において活性な第一の触媒組成物を含む、第一の触媒ウォッシュコートを提供する工程、
c)アンモニアの窒素への選択酸化に活性な触媒と、一酸化炭素及び炭化水素の酸化に活性な触媒との混合物の形態の、第二の組み合わされた触媒組成物を含む、第二の触媒ウォッシュコートを提供する工程、
d)該微粒子フィルター本体を、該フィルター本体の分散側全体にわたり、かつ、隔壁内を第一の触媒ウォッシュコートで被覆し、そして、該微粒子フィルター本体を、該フィルター本体の透過側全体にわたり、第二の触媒ウォッシュコートで被覆する工程、及び
e)該被覆されたフィルターを乾燥及び熱処理して、触媒化微粒子フィルターを得る工程、
を含み、
その際、前記第一のウォッシュコート中の第一の触媒の粒度が、前記長手方向の壁の平均細孔径よりも小さく、かつ、その際、前記第二のウォッシュコートの粒度が、前記長手方向の壁の平均細孔径よりも大きい、上記の方法。
【請求項2】
前記第一の触媒が、ゼオライト、シリカリン酸アルミナ、イオン交換ゼオライト、鉄及び/又は銅で促進されたシリカリン酸アルミナの少なくとも一つ、一種又は多種の卑金属酸化物、及びチタニア担体、アルミナ担体、ジルコニア担体、シリカ担体又はそれらの混合物上の酸化セリウムタングステンのうちの少なくとも一つの触媒担体を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ゼオライトが、ベータゼオライト、菱沸石ゼオライト又は菱沸石構造を有するシリカリン酸アルミナ及びそれらの混合物である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記菱沸石構造を有するシリカリン酸アルミナが、銅及び/又は鉄で促進されたSAPO34である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第二の触媒組成物が、アルミナ、チタニア、セリア、ジルコニア、及び銅及び/又は鉄含有ゼオライトと混合されたシリカ、又は菱沸石構造を有するシリカリン酸アルミナのうちの少なくとも一つ上に担持された白金及びパラジウムの混合物を含む、請求項1〜4のいずれか一つに記載の方法。
【請求項6】
前記ゼオライトがベータゼオライト又は菱沸石ゼオライトである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記フィルターが、長手方向の多孔質壁により分割された複数の長手方向経路、開放インレット端及び栓で塞がれるアウトレット端を有する該経路の分散側、及び栓で塞がれるインレット端及び開放アウトレット端を有する該経路の透過側を有する、ウォールフローモノリスの形態である、請求項1〜6のいずれか一つに記載の方法
【請求項8】
前記ウォールフローモノリスが、前記分散側のインレット端から前記第一の触媒ウォッシュコートで、そして前記透過側のアウトレット端から第二のウォッシュコートでウォッシュコートされる、請求項7に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多機能の触媒化ディーゼル微粒子フィルターに関する。より詳細には、本発明は、公知の選択接触還元(SCR)法による窒素酸化物の除去における活性及び排気ガス中に含有される炭化水素及び一酸化炭素を水及び二酸化炭素に酸化転化し、かつ、該SCRにおける還元剤として使用された過剰アンモニアを窒素に転化するための酸化活性の両方を有する、触媒化ディーゼル微粒子フィルターの製造方法に関する。
【0002】
本発明は、さらに、触媒化微粒子フィルターであって、そのインレット/分散チャネル、フィルター壁においてSCR触媒で触媒化され、そして、そのアウトレット/透過チャネルにおいてアンモニアスリップ触媒で酸化触媒と一緒に触媒化される、該触媒化微粒子フィルターを提供する。
【背景技術】
【0003】
ディーゼル排気は、非燃焼炭化水素に加えて、窒素酸化物(NOx)及び粒状物質を含む。NOx、炭化水素及び粒状物質は、健康及び環境上の危険を示す材料及び化学化合物であり、排気ガスを粒子フィルター及びいくつかの触媒ユニットを通過させることにより、エンジン排気ガスから低減するか又は除去されなければならない。
【0004】
典型的に、これらのフィルターはハニカムウォールフローフィルターであり、その際、粒状物質は該ハニカムフィルターの隔壁上又はそれらの中に捕捉される。
【0005】
当技術分野において開示されている多数のディーゼル排気ガス浄化システムは、粒子フィルターに加えて、窒素へのアンモニアとの反応による、NOxの選択還元において活性な触媒ユニット、及びディーゼル酸化触媒を含む。
【0006】
SCRで使用するために排気ガス中に噴射された過剰アンモニアを除去するために、多数の排気ガス浄化システムは、アンモニアの窒素への転化に触媒作用を及ぼす下流の触媒ユニット(いわゆる、アンモニアスリップ触媒)を追加的に含む。
【0007】
上述の反応に触媒作用を及ぼす触媒で被覆された多機能ディーゼル微粒子フィルターもまた、当技術分野において既知である。
【0008】
既知の多機能フィルターにおいて、異なる触媒は、フィルターの異なる区域でセグメント又は区域被覆される。
【0009】
フィルターでの異なる触媒のセグメント的又は区画的な被覆は費用が嵩み、そして製造プロセスが困難である。
【0010】
米国特許出願公開第2010/0175372号明細書(特許文献1)は、一実施形態において、フィルターの分散側(dispersion side)にSCR触媒で触媒作用を与え、そして、透過側(permeation side)には、アンモニア酸化触媒及びディーゼル酸化触媒で触媒作用を与えた該フィルターによる、ディーゼル排気ガス処理システムを開示している。SCR触媒は、フィルター基材全体上にウォッシュコートされ、その後、アウトレットフィルターチャネルにおいてアンモニア酸化触媒が適用される。ディーゼル酸化触媒は、アウトレットチャネルにおいて、アンモニア酸化触媒上の外層(overlayer)として適用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許出願公開第2010/0175372号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
公知の製造方法と比較すると、本発明は、アンモニアでの窒素酸化物の選択還元のための、そして炭化水素、一酸化炭素及び過剰アンモニアを除去するための異なる触媒で触媒化された粒子フィルターを製造するためのより簡単な方法を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
したがって、本発明は、次の工程を含む触媒化粒子フィルターを製造する方法を提供する。
a)分散側と透過側とを画定する長手方向の多孔質壁により制限される、長手方向の流路を有する粒子フィルター本体を提供する工程、
b)窒素酸化物の選択接触還元において活性な第一の触媒組成物を含む、第一の触媒ウォッシュコートを提供する工程、
c)アンモニアの窒素への選択酸化において活性な触媒と、一酸化炭素及び炭化水素の酸化において活性な触媒との混合物の形態の、第二の組み合わされた触媒組成物を含む、第二の触媒ウォッシュコートを提供する工程、
d)該微粒子フィルター本体を、該フィルター本体の分散側全体を、かつ、隔壁内を第一の触媒ウォッシュコートで被覆し、そして、該フィルター本体を、該フィルター本体の透過側全体を第二の触媒ウォッシュコートで被覆る工程、及び
e)該被覆されたフィルターを乾燥及び熱処理して、触媒化微粒子フィルターを得る工程。
【0014】
“分散側(dispersion side)”という語及び“透過側(permeate side)”という語は、ここで使用される際、未ろ過の排気ガスに面するフィルターの流路、及びろ過された排気ガスに面する流路をそれぞれ意味する。
【0015】
本発明による方法の主な利点は、4方式(four−way)の触媒化粒子フィルターを得るために、フィルターを二つのウォッシュコートで被覆することができることであり、その際、一方のウォッシュコートはアンモニアスリップ触媒と組み合わせた酸化触媒を含む。それ故、多機能触媒化フィルターの製造は、より簡単でかつより安価な製造セットアップ(set−up)の観点から非常に改善される。
【0016】
異なる反応に触媒作用を及ぼす触媒粒子の混合物でフィルターを被覆することのさらなる利点は、改善された熱伝達及び低温始動時の暖機に見られる。その結果、還元剤の噴射及びSCR反応を、エンジンを始動させた直後に開始させることが可能である。
【0017】
本発明の好ましい実施形態によれば、NOxの選択接触還元において活性な、第一のウォッシュコート中の第一の触媒組成物は、ゼオライト、シリカリン酸アルミニウム、イオン交換ゼオライト、鉄及び/又は銅で促進されたシリカリン酸アルミニウムの少なくとも一つ、一種又は多種の卑金属酸化物、及びチタニア担体、アルミナ担体、ジルコニア担体、シリカ担体又はそれらの混合物上の酸化セリウムタングステンの少なくとも一つの触媒担体を含む。
【0018】
好ましくは、ゼオライト触媒は、ベータゼオライト又は菱沸石ゼオライトから選択される。
【0019】
本発明における使用にさらに好ましいSCR触媒は、銅及び/又は鉄で促進された、SAPO 34のような菱沸石構造を有するシリカリン酸アルミニウムである。
【0020】
炭化水素、一酸化炭素及びアンモニアの酸化に活性な第二の触媒組成物は、本発明の好ましい実施形態によれば、銅及び/又は鉄で促進された、ゼオライト、好ましくはベータゼオライト又は菱沸石構造を有するSAPO 34のような菱沸石ゼオライトの触媒粒子と混合された、アルミナ、チタニア、セリア及びジルコニアの少なくとも一つ上に担持された白金及びパラジウムの触媒粒子を含む。
【0021】
本発明において使用するためにウォッシュコートを製造する際、通常粒子の形態の触媒は、要求される粒度に粉砕されるか又は凝集化され、そして、任意に、バインダー、増粘剤、発泡剤又はその他の処理助剤の添加と共に、水又は有機溶媒中で懸濁される。
【0022】
フィルターをウォッシュコートで被覆する間に、隔壁中にSCR触媒粒子を効率的に拡散させるために、そして、酸化触媒粒子が透過側から分散側へ拡散するのを防止するために、SCR触媒、すなわち、第一の触媒は、フィルターの長手方向の多孔質壁の平均細孔径よりも小さく、そして、混合酸化触媒粒子、すなわち、第二の組み合わされた触媒組成物が、該平均細孔径よりも大きい粒度を有することが好ましい。
【0023】
次いで、フィルターは、フィルター中に真空を適用すること、ウォッシュコートを加圧すること、又は浸漬コーティングを含む慣用方法により、ウォッシュコートで被覆される。SCR触媒粒子を含有する第一のウォッシュコートでフィルターを被覆する場合、ウォッシュコートは、分散側のインレットからフィルター中へ導入され、そして、混合酸化触媒粒子を含有する第二のウォッシュコートで被覆する場合、ウォッシュコートは透過側のアウトレットから導入される。
【0024】
本発明の好ましい実施形態によれば、フィルターは、複数の長手方向経路が、長手方向の多孔質壁により分割され、該経路の分散側が、開放インレット端及び栓で塞がれる(pluged with plugs)アウトレット端を有し、そして該経路の透過側が、栓で塞がれるインレット端及び開放アウトレット端を有する、ウォールフローモノリスの形態である。
【0025】
前述及び以下の記載で使用される“インレット端”という語は、フィルターの端部及び未ろ過のガスと接触するチャネルを意味し、そして“アウトレット端”は、フィルターの端及びろ過されたガスがフィルター本体を出て行くチャネルを意味する。
【0026】
本発明は、さらに、分散側全体に、かつ、隔壁内に窒素酸化物の選択接触還元において活性な第一の触媒が提供され、そして透過側全体に、一酸化炭素及び炭化水素の酸化において活性な触媒と混合されたアンモニアの酸化において活性な触媒との組合せの第二の触媒が提供された触媒化された粒子フィルターを提供する。
【0027】
本発明における使用に好ましいフィルターは、長手方向の多孔質壁で分割された複数の長手方向の経路を有するウォールフローモノリスであり、その際、該分散側の経路は、開放インレット端及び栓で塞がれるアウトレット端を有し、該透過側の経路は、栓で塞がれるインレット端及び開放アウトレット端を有する。

1. 触媒化微粒子フィルターの製造方法であって、
a)分散側と透過側とを画定する長手方向の多孔質壁により制限される、長手方向の流路を有する微粒子フィルター本体を提供する工程、
b)窒素酸化物の選択接触還元において活性な第一の触媒組成物を含む、第一の触媒ウォッシュコートを提供する工程、
c)アンモニアの窒素への選択酸化に活性な触媒と、一酸化炭素及び炭化水素の酸化に活性な触媒との混合物の形態の、第二の組み合わされた触媒組成物を含む、第二の触媒ウォッシュコートを提供する工程、
d)該微粒子フィルター本体を、該フィルター本体の分散側全体にわたり、かつ、隔壁内を第一の触媒ウォッシュコートで被覆し、そして、該微粒子フィルター本体を、該フィルター本体の透過側全体にわたり、第二の触媒ウォッシュコートで被覆する工程、及び
e)該被覆されたフィルターを乾燥及び熱処理して、触媒化微粒子フィルターを得る工程、
を含み、
その際、上記の第二の触媒組成物が、アルミナ、チタニア、セリア、ジルコニア、及び銅及び/又は鉄含有ゼオライトと混合されたシリカ又は菱沸石構造を有するシリカリン酸アルミナのうちの少なくとも一つ上に担持された白金及びパラジウムの混合物を含む、上記の方法。

2. 上記の第一の触媒が、ゼオライト、シリカリン酸アルミナ、イオン交換ゼオライト、鉄及び/又は銅で促進されたシリカリン酸アルミナの少なくとも一つ、一種又は多種の卑金属酸化物、及びチタニア担体、アルミナ担体、ジルコニア担体、シリカ担体又はそれらの混合物上の酸化セリウムタングステンのうちの少なくとも一つの触媒担体を含む、上記の1の項に記載の方法。

3. 上記の第一の触媒が、ゼオライト、一種又は多種の卑金属酸化物、及びチタニア担体、アルミナ担体、ジルコニア担体、シリカ担体又はそれらの混合物上の酸化セリウムタングステンのうちの少なくとも一つの触媒担体を含み、そして上記のゼオライトが、ベータゼオライト、菱沸石ゼオライト又は菱沸石構造を有するシリカリン酸アルミナ及びそれらの混合物である、上記の2の項に記載の方法。

4. 上記のゼオライトが、銅及び/又は鉄で促進されたSAPO34である、菱沸石構造を有するシリカリン酸アルミナである、上記の3の項に記載の方法。

5. 上記の第二の触媒が、銅及び/又は鉄含有ゼオライトと混合されたシリカ上に担持された白金及びパラジウムの混合物を含み、そして該銅及び/又は鉄含有ゼオライトと混合されたシリカのゼオライトがベータゼオライト又は菱沸石ゼオライトである、上記の4の項に記載の方法。

6. 上記のフィルターが、長手方向の多孔質壁により分割された複数の長手方向経路、開放インレット端及び栓で塞がれるアウトレット端を有する該経路の分散側、及び栓で塞がれるインレット端及び開放アウトレット端を有する該経路の透過側を有する、ウォールフローモノリスの形態である、上記の1〜5の項のいずれか一つに記載の方法。

7. 上記のウォールフローモノリスが、上記の分散側のインレット端から上記の第一の触媒ウォッシュコートで、そして上記の透過側のアウトレット端から第二のウォッシュコートでウォッシュコートされる、上記の6の項に記載の方法。

8. 上記の第一のウォッシュコート中の第一の触媒の最頻粒度(mode particle size)が、上記の長手方向の壁の平均細孔径よりも小さく、そして、その際、上記の第二のウォッシュコートの最頻粒度は、上記の長手方向の壁の平均細孔径よりも大きい、上記の1〜7の項のいずれか一つに記載の方法。

9. 触媒化微粒子フィルターであって、その分散側全体及びその隔壁内に、窒素酸化物の選択接触還元において活性な第一の触媒が提供され、そして、該フィルターの透過側全体に、アンモニアの酸化において活性な触媒と、一酸化炭素及び炭化水素の酸化において活性な触媒とが組み合わされた第二の触媒の組合せが提供される、上記の触媒化微粒子フィルター。

10. 上記のフィルターが、長手方向の多孔質壁により分割された複数の長手方向経路、開放インレット端及び栓で塞がれるアウトレット端を有する該経路の分散側、及び栓で塞がれるインレット端及び開放アウトレット端を有する該経路の透過側を有する、ウォールフローモノリスの形態である、上記の9の項に記載の触媒化微粒子フィルター。

11. 第一の触媒の最頻粒度が、上記の長手方向の多孔質壁の平均細孔径よりも小さく、そして、その際、上記の第二の触媒の組合せの最頻粒度が、上記の長手方向の壁の平均細孔径よりも大きい、上記の9又は10の項に記載の触媒化微粒子フィルター。

12. 上記の1〜8の項のいずれか一つに記載に従って製造された触媒化微粒子フィルター。
【発明を実施する最良の形態】
【0028】
本発明における使用に適したフィルター材料の例は、シリコンカーバイド、チタン酸アルミニウム、コージライト、アルミナ、ムライト又はそれらの組合せである。
【0029】
フィルターに被覆される第一のウォッシュコートの量は、典型的に、20〜180g/lであり、そしてフィルター上の第二のウォッシュコートの量は、典型的に、10〜80g/lである。フィルターに充填される全触媒は、典型的に、40〜200g/lの範囲である。
【実施例】
【0030】
SCRにおいて活性な第一の触媒の懸濁物の形態の第一のウォッシュコートを、2%銅で促進された100gのシリカリン酸アルミニウムSAPO−34を、フィルター1リットル当たり脱塩水200ml中で混合及び分散させることによって製造する。分散剤Zephrym PD−7000及び消泡剤を添加する。懸濁物をビーズミル中で粉砕する。粒度は、ウォールフローフィルターの壁中の細孔の平均細孔径よりも小さくなければならない。
【0031】
第一の工程において、第二のウォッシュコートを、フィルター壁の平均細孔径よりも大きい粒度を有するアルミナ粒子上に担持された白金及びパラジウム(モル比3:1)の混合物から製造する。そうして製造された触媒混合物の懸濁物を、該混合物20gを、フィルター1リットル当たり40mlの脱塩水で混合することによって製造する。第二の工程において、1.0%銅を有する、フィルター壁の平均細孔径よりも大きい粒度を有するベータゼオライト粉末を含有する懸濁物をさらに製造する。該懸濁物は、20gの銅ベータゼオライト粉末を、フィルター1リットル当たり40mlの脱塩水に混合及び分散させることにより製造される。分散剤Zephrym PD−7000及び消泡剤を添加する。第一及び第二の工程で製造された懸濁物は、次いで、混合され、そしてさらに分散されて第二のウォッシュコートを得る。最終的なウォッシュコートの粒度は、ウォールフローフィルターの壁中の細孔の平均細孔径よりも大きくなければならない。
【0032】
高い多孔率(約60%及び壁の平均細孔径、約18μm)の、慣習的に栓で塞がれる、SiCウォールフローフィルターが使用される。
【0033】
第一の触媒の懸濁物は、フィルターの分散側からウォッシュコートされる。そのように部分的に被覆されたフィルターは、次いで乾燥され、そして750℃でか焼される。
【0034】
第二の組み合わされた触媒を有する第二のウォッシュコート懸濁物は、フィルターの透過側からウォッシュコートされる。フィルターは、次いで乾燥され、そして750℃でか焼される。