特許第6182246号(P6182246)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6182246
(24)【登録日】2017年7月28日
(45)【発行日】2017年8月16日
(54)【発明の名称】凍結保存用バッグの封口装置
(51)【国際特許分類】
   B65B 51/10 20060101AFI20170807BHJP
   B29C 65/16 20060101ALI20170807BHJP
   A01N 1/02 20060101ALI20170807BHJP
   C12N 1/04 20060101ALN20170807BHJP
【FI】
   B65B51/10 Z
   B29C65/16
   A01N1/02
   !C12N1/04
【請求項の数】5
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-143194(P2016-143194)
(22)【出願日】2016年7月21日
(62)【分割の表示】特願2014-164029(P2014-164029)の分割
【原出願日】2014年8月12日
(65)【公開番号】特開2017-1749(P2017-1749A)
(43)【公開日】2017年1月5日
【審査請求日】2016年7月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】514204761
【氏名又は名称】上田製袋株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100148138
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡
(72)【発明者】
【氏名】黒▲崎▼ 晏夫
(72)【発明者】
【氏名】上田 克彦
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 公俊
【審査官】 高橋 裕一
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2007/0034339(US,A1)
【文献】 特許第4279674(JP,B2)
【文献】 特開2004−267384(JP,A)
【文献】 特開2001−314993(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 51/10
A01N 1/02
B29C 65/16
C12N 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
凍結保存用バッグの封口部(55)を挟持固定するバッグクランプ装置(56)と、バッグクランプ装置(56)で挟持固定した封口部(55)に向かって赤外線レーザービームを照射するレーザー装置(57)と、上記の各部材(56・57)を支持するフレーム(59)を備えており、
バッグクランプ装置(56)は、フレーム(59)に支持される定挟持ブロック(67)と、固定挟持ブロック(67)に設けたガイド軸(68)で固定挟持ブロック(67)に対して接離自在に支持される可動挟持ブロック(69)と、可動挟持ブロック(69)を固定挟持ブロック(67)に対して接離操作するクランプアクチュエータ(70)とを含み、
レーザー装置(57)は、レーザー発振器(104)と、レーザー発振器(104)から照射された赤外線レーザービームを、凍結保存用バッグの封口部(55)に向かって集光する集光レンズ(107)を含み、
固定挟持ブロック(67)は、赤外線レーザービーム用の照射窓(72)が開口してあるブロックベース(73)と、赤外線透過作用と熱伝導作用に富む固体材料で構成される放熱体(74)と、ブロックベース(73)に装着されて放熱体(74)を前記照射窓(72)に臨む状態で支持する放熱体ホルダー(75)とを備えており、
固定挟持ブロック(67)と可動挟持ブロック(69)とで凍結保存用バッグの封口部(55)を挟持固定した状態で、赤外線レーザービームを封口部(55)に照射して、出入口(3)を横断する状態のシールビード(125)を封口部(55)に形成することを特徴とする凍結保存用バッグの封口装置。
【請求項2】
可動挟持ブロック(69)は、ガイド軸(68)で前後に往復スライド自在に支持される左右一対のスライダー(79)と、両スライダー(79)で固定支持される板状の可動ベース(80)と、可動ベース(80)の前面の左右に固定した左右一対のブロック支持軸(81)で支持されており、
ガイド軸(68)に固定したインナーベース(84)に、可動ベース(80)とブロック支持軸(81)を介して可動挟持ブロック(69)を前後操作するクランプアクチュエータ(70)が設けられており、
凍結保存用バッグの封口部(55)を固定挟持ブロック(67)の放熱体(74)の外面にあてがった状態で、可動挟持ブロック(69)をクランプアクチュエータ(70)で操作して、固定および可動の両挟持ブロック(67・69)で封口部(55)をクランプ固定できる請求項1に記載の凍結保存用バッグの封口装置。
【請求項3】
可動挟持ブロック(69)が、ブロック支持軸(81)に対して第1装着具(83)を介して着脱可能に装着されており、
放熱体ホルダー(75)が、ブロックベース(73)に対して第2装着具(77)を介して着脱可能に装着されており、
可動挟持ブロック(69)および放熱体ホルダー(75)を、ブロック支持軸(81)およびブロックベース(73)から取外して滅菌処理することができる請求項2に記載の凍結保存用バッグの封口装置。
【請求項4】
フレーム(59)の内部に集光レンズ(107)の焦点位置を調整する焦点調整構造が設けられており、
焦点調整構造は、フレーム(59)に固定したインナーフレーム(92)で支持されるレンズベース(108)と、レンズベース(108)に固定したレンズガイド(109)と、レンズガイド(109)で前後スライド自在に支持される前後スライダー(110)と、前後スライダー(110)に固定されて集光レンズ(107)を支持するレンズホルダー(111)と、レンズホルダー(111)を前後操作する焦点調整アクチュエータ(112)を備えており、
バッグクランプ装置(56)で挟持固定された封口部(55)の厚みに応じて、集光レンズ(107)の焦点位置を調整できる請求項2又は3に記載の凍結保存用バッグの封口装置。
【請求項5】
フレーム(59)の外面が、レーザー装置(57)から漏洩する赤外線レーザーによる被ばくを防ぐ防護壁(117)で覆われており、
バッグクランプ装置(56)の外面に、赤外線レーザーによる被ばくを防ぐ防護カバー(118)が開閉可能に設けてある請求項1から4のいずれかひとつに記載の凍結保存用バッグの封口装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は人、動物、植物などの生体組織を凍結保存する際に使用する凍結保存用バッグの開口部分をシールし密封する封口装置に関する。凍結保存用バッグは、2枚重ねにしたフッ素系樹脂シートを赤外線レーザービームで溶着して袋状の容器として形成する。
【背景技術】
【0002】
この種の凍結保存用バッグは、例えば特許文献1に開示されている。そこでは、2枚重ねにした熱可塑性樹脂フィルムを、支持体と赤外線透過固体放熱材(以下、単に放熱材と称す)とで挟み込んで加圧し、放熱材の側から赤外レーザービームを両フィルムに照射して溶着ビードを形成し、袋状の凍結保存用バッグを形成している。
【0003】
本発明の封口装置に関して、凍結保存用容器の開口部を熱溶着により封止することが特許文献2に開示されている。そこでは、生体試料を収容するプラスチック製の容器本体に、開口部と開封部とが一体に設けてあり、生体試料を容器本体の収容したのち開口部をシーラーで熱溶着して封止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2003−039843号(11ページ実施例1、図3
【特許文献2】特開2007−302567号公報(段落番号0035、図1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献2の凍結保存用バッグは、例えばポリエチレンテレフタレートで形成してあるので、インパルス式の市販のシーラーでも十分に封口処理を行える。しかし、フッ素系樹脂で形成した凍結保存用バッグは、より高温でシール加工を行う必要があるため、市販のシーラーで出入口を熱溶着して、ばらつきなく高度の封止機能を発揮させるのは難しい。高度の封止機能を発揮できない凍結保存用バッグは、液体窒素がバッグ内に浸入するおそれがあり、そのことを知らないまま凍結保存用バッグを液体窒素容器から取り出した場合に、液体窒素が急激に膨張して凍結保存用バッグが破損し、内容物が飛散するおそれがある。凍結保存用バッグは病院などの臨床現場で使用されることが多く、主なユーザーである医師や医療技術者にとっては、凍結保存用バッグの封口処理を安全にしかも的確に行え、しかも高度の封止機能を発揮できることが望まれている。
【0006】
本発明の目的は、凍結保存用バッグの封口処理を簡便に自動的に行って、封口処理を安全にしかも的確に行える凍結保存用バッグの封口装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る凍結保存用バッグの封口装置は、凍結保存用バッグの封口部55を挟持固定するバッグクランプ装置56と、バッグクランプ装置56で挟持固定した封口部55に向かって赤外線レーザービームを照射するレーザー装置57と、上記の各部材56・5を支持するフレーム59を備えている。バッグクランプ装置56は、フレーム59に支持される固定挟持ブロック67と、固定挟持ブロック67に設けたガイド軸68で固定挟持ブロック67に対して接離自在に支持される可動挟持ブロック69と、可動挟持ブロック69を固定挟持ブロック67に対して接離操作するクランプアクチュエータ70とを含む。レーザー装置57は、レーザー発振器104と、レーザー発振器104から照射された赤外線レーザービームを、凍結保存用バッグの封口部55に向かって集光する集光レンズ107を含む。固定挟持ブロック67は、赤外線レーザービーム用の照射窓72が開口してあるブロックベース73と、赤外線透過作用と熱伝導作用に富む固体材料で構成される放熱体74と、ブロックベース73に装着されて放熱体74を前記照射窓72に臨む状態で支持する放熱体ホルダー75とを備えている。固定挟持ブロック67と可動挟持ブロック69とで凍結保存用バッグの封口部55を挟持固定した状態で、赤外線レーザービームを封口部55に照射して、出入口3を横断する状態のシールビード125を封口部55に形成する。
【0008】
可動挟持ブロック69は、ガイド軸68で前後に往復スライド自在に支持される左右一対のスライダー79と、両スライダー79で固定支持される板状の可動ベース80と、可動ベース80の前面の左右に固定した左右一対のブロック支持軸81で支持する。ガイド軸68に固定したインナーベース84に、可動ベース80とブロック支持軸81を介して可動挟持ブロック69を前後操作するクランプアクチュエータ70を設ける。凍結保存用バッグの封口部55を固定挟持ブロック67の放熱体74の外面にあてがった状態で、可動挟持ブロック69をクランプアクチュエータ70で操作して、固定および可動の両挟持ブロック67・69で封口部55をクランプ固定する。
【0009】
可動挟持ブロック69は、ブロック支持軸81に対して第1装着具83を介して着脱可能に装着する。放熱体ホルダー75は、ブロックベース73に対して第2装着具77を介して着脱可能に装着する。可動挟持ブロック69および放熱体ホルダー75を、ブロック支持軸81およびブロックベース73から取外して滅菌処理する。
【0010】
フレーム59の内部に集光レンズ107の焦点位置を調整する焦点調整構造を設ける。焦点調整構造は、フレーム59に固定したインナーフレーム92で支持されるレンズベース108と、レンズベース108に固定したレンズガイド109と、レンズガイド109で前後スライド自在に支持される前後スライダー110と、前後スライダー110に固定されて集光レンズ107を支持するレンズホルダー111と、レンズホルダー111を前後操作する焦点調整アクチュエータ112を備えている。バッグクランプ装置56で挟持固定された封口部55の厚みに応じて、集光レンズ107の焦点位置を調整する。
【0011】
フレーム59の外面を、レーザー装置57から漏洩する赤外線レーザーによる被ばくを防ぐ防護壁117で覆う。バッグクランプ装置56の外面に、赤外線レーザーによる被ばくを防ぐ防護カバー118を開閉可能に設ける。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る凍結保存用バッグの封口装置では、バッグクランプ装置56と、レーザー装置57などで封口装置を構成した。また、バッグクランプ装置56は、固定挟持ブロック67と、可動挟持ブロック69と、可動挟持ブロック69を接離操作するクランプアクチュエータ70などで構成し、同アクチュエータ70を作動させることにより、凍結保存用バッグの封口部55を先の両挟持ブロック67・69で挟持固定できるようにした。さらに、ブロックベース73と、放熱体74および放熱体ホルダー75などで固定挟持ブロック67を構成して、赤外線レーザービームを、放熱体74を介して封口部55へ照射して、シールビード125を形成できるようにした。
【0013】
上記の封口装置によれば、可動挟持ブロック69をクランプアクチュエータ70で移動操作して、封口部55をクランプしたのち、レーザー装置57を作動させることにより、フッ素系樹脂S1・S2を素材とする凍結保存用バッグの出入口3を簡便かつ自動的に封止することができる。凍結保存用バッグの封口部55の封止作業は、医師や医療技術者によって行われるが、封口部55をバッグクランプ装置56でクランプしたのちは、一連の溶着作業が自動的に行われるので、凍結保存用バッグの封口処理を安全にしかも的確に行うことができる。さらに、封口処理は常に一定の条件下で自動的に行われるので溶着結果にばらつきがなく、従って高度の封止機能を安定した状態で発揮できる封口処理を、誰もが手軽に行える凍結保存用バッグの封口装置を提供できる。とくに、高温でシール加工を行う必要があるフッ素系樹脂で形成した凍結保存用バッグであっても、その封口処理を的確に行える。
【0014】
一対のスライダー79と、可動ベース80と、可動ベース80に固定した一対のブロック支持軸81で、可動挟持ブロック69を固定挟持ブロック67のガイド軸68に対して前後スライド自在に支持すると、可動挟持ブロック69を固定挟持ブロック67に対して円滑に前後移動でき、しかも両挟持ブロック67・69の挟持面の平行度を高度化できる。また、ガイド軸68に固定したインナーベース84にクランプアクチュエータ70を設けると、より簡単な構造のクランプアクチュエータ70で可動挟持ブロック69を前後操作して、固定および可動の両挟持ブロック67・69で封口部55を確実にクランプ固定できる。
【0015】
可動挟持ブロック69は、ブロック支持軸81に対して第1装着具83を介して着脱可能に装着した。また、放熱体ホルダー75は、ブロックベース73に対して第2装着具77を介して着脱可能に装着した。こうした封口装置によれば、必要に応じて可動挟持ブロック69および放熱体ホルダー75を、ブロック支持軸81およびブロックベース73から取外して、生体組織が付着しているかもしれない可動挟持ブロック69および放熱体ホルダー75を滅菌処理できる。従って、可動挟持ブロック69、放熱体74、放熱体ホルダー75の衛生管理を容易化して、凍結保存用バッグの封口部55の口処理を衛生的に安全な状態で行うことができる。
【0016】
集光レンズ107の焦点位置を調整する焦点調整構造を設けると、焦点調整アクチュエータ112を作動させるだけで、集光レンズ107の焦点位置を簡便に調整することができる。従って、凍結保存用バッグを形成するフッ素系樹脂シートS1・S2の材質の違いや、厚みの違いに応じて集光レンズ107の焦点位置を調整して、封口部55を最適の溶着条件で溶着することができる。
【0017】
フレーム59の外面を防護壁117で覆い、さらに、バッグクランプ装置56の外面に開閉可能な防護カバー118を設けると、封口部55を溶着する際に、ユーザーがレーザー装置57から漏洩する赤外線レーザーに暴露されて被ばくするのを防止できるので、封口部55の封止処理をさらに安全に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明に係る凍結保存用バッグの封口装置の要部の縦断側面図である。
図2】本発明に係る封口装置の概略構造を示す側面図である。
図3】本発明に係る封口装置の正面図である。
図4図1におけるA−A線断面図である。
図5】バッグクランプ装置の分解斜視図である。
図6】バッグクランプ装置に対する封口部の装着要領を示す縦断側面図である。
図7】封口部がクランプされた状態を示す縦断側面図である。
図8】バッグクランプ装置に対する封口部の装着要領を示す正面図である。
図9】シールビードの形成例を示す正面図である。
図10】本発明に係る凍結保存用バッグの製造装置の縦断側面図である。
図11】凍結保存用バッグの製造装置の概略正面図である。
図12】凍結保存用バッグの製造装置の平面図である。
図13】操作構造の移動を示す側面図である。
図14】溶着ビードの形成状況を示す断面図である。
図15】凍結保存用バッグの変形例を示す正面図である。
図16図15に係る凍結保存用バッグの封止構造を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1ないし図14は、本発明に係る凍結保存用バッグの封口装置および関連装置等の実施例を示す。なお、本発明における前後、左右、上下とは、図2および図3に示す交差矢印と、各矢印の近傍に表記した前後、左右、上下の表示に従う。本発明に係る封口装置においては、例えば図8に示す構造の凍結保存用バッグを封口処理するが、封口装置の説明を行う前に、凍結保存用バッグの構造と、その製造装置について簡単に説明しておく。
【0020】
図8において、凍結保存用バッグは、2枚重ねにしたフッ素系樹脂シートS1・S2に赤外線レーザービームを照射して、前記両シートS1・S2の界面に一筆書き状の外郭線ビード1を形成し、外郭線ビード1で囲まれた両シートS1・S2の間に生体組織を収容する収容部2と、収容部2に連続する出入口3を形成してなる。収容部2を区画する外郭線ビード1は、上下一対の平行な上ビード部4および下ビード部5と、左右一対の平行な左ビード部6および右ビード部7と、各ビード部4〜7の隣接隅部に形成される4個の隅ビード部8とからなり、これにより収容部2は4隅が角落としされた縦長四角形状に形成してある。出入口3は上ビード部4の左右中央に形成してある。隅ビード部8を設けることにより、収容部2に直角の内隅が形成されるのを解消して、収容部2に収容した生体組織を余すところなく取出すことができる。
【0021】
フッ素系樹脂シートS1・S2は、完全フッ素化樹脂と、部分フッ素化樹脂と、フッ素化樹脂共重合体のいずれか一つを形成素材にして、赤外線レーザーの透過を許す透明シートとして形成してある。具体的な形成素材としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、ペルフルオロアルコキシフッ素系樹脂(PFA)、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体(FEP)、エチレン・四フッ化エチレン共重合体(ETFE)、クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)などがある。この実施例では、フッ素系樹脂シートS1・S2を、厚みが100μmの四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体製のシートで形成して、両シートS1・S2に赤外線レーザービームを照射して凍結保存用バッグを形成するようにした。
【0022】
図11において凍結保存用バッグの製造装置は、基台14上にシート固定構造15と、シート固定構造15で支持した2枚重ねのフッ素系樹脂シートS1・S2へ向かって、赤外線レーザービームを照射するレーザー装置16と、シート固定構造15を赤外線レーザービームに対して移動操作する走査構造17などで構成してある。
【0023】
シート固定構造15は、2枚重ねにしたフッ素系樹脂シートS1・S2を支持するシートテーブル18と、シートテーブル18に載置したフッ素系樹脂シートS1・S2を押え保持するシート押圧体19とで構成する。シートテーブル18は、熱伝導性に富むアルミニウム製のテーブル本体20と、テーブル本体20を固定支持するテーブル台21とを備えており、テーブル台21の後端の左右に、後述するヒンジ29を装着するためのブラケット22が上向きに突設してある(図10参照)。フッ素系樹脂シートS1・S2が載置されるテーブル本体20の上面(載置面)は面一の水平面として仕上げてある。
【0024】
シート押圧体19は、赤外線透過作用と熱伝導作用に富む固体材料で構成される放熱体25と、放熱体25を支持する鋼材製の押圧枠26とを備えている。放熱体25は、赤外線レーザーに対して透明である単結晶シリコン円板で形成した。図12に示すように、押圧枠26は八角形状の金属枠体からなり、その中央に円形のレーザー窓27が開口され、同窓27の下面側に円形の装着座28が形成してある。放熱体25は装着座28に嵌込み固定してある。
【0025】
押圧枠26の後部とテーブル台21のブラケット22とを、左右一対のヒンジ29で連結することにより、シート押圧体19の全体はシートテーブル18で上下に揺動開閉可能に支持される。シート押圧体19は、ハンドル30を掴んで開閉操作することにより、図12および図13に示す溶着姿勢と、図10に示す待機姿勢との間で変位操作できる。シート押圧体19の後部中央に設けたゴムブロック31を、ブラケット22に固定したストッパー32で受止めることにより、待機姿勢に開放操作したシート押圧体19を、後傾姿勢のままで位置保持できるようにしている。この状態で、2枚重ねにしたフッ素系樹脂シートS1・S2をテーブル本体20に載置し、あるいは溶着処理が終わった凍結保存用バッグのブランク体をテーブル本体20から取り出すことができる。
【0026】
レーザー装置16は市販されている炭酸ガスレーザーユニットであって、左右に長い四角箱状のケースの側端から照射管34を突設し、ケース内部の共振器から出力されたレーザー光を、変向ミラー35で下向きに変向したのち、レーザーヘッドの内部に設けた集光レンズ36で絞って、レーザーノズル37から照射する。レーザー装置16は、基台14上に固定したレーザー台38と、レーザー台38に設けた高さ調整構造39で支持されている。高さ調整構造39は、複数のリンク対をX字状に組んで構成してあり、リンク対の上下中央に配置した調整ねじ軸40を回動操作することにより、X字状のリンク対の交差角度を大小に変化させて、レーザー装置16の上下高さを調整することができる。
【0027】
走査構造17は、基台14上に固定されるY軸スライダー43と、Y軸スライダー43の移動テーブル45に固定されるX軸スライダー44で、XYステージとして構成してある。Y軸スライダー43およびX軸スライダー44は、それぞれ市販されているボールねじ式の電動スライダーからなり、互いに直交する状態で配置してある。X軸スライダー44の移動テーブル46に、シートテーブル18のテーブル台21が固定してある。このように、テーブル台21を基台14に設けたXYステージで支持することにより、テーブル本体20をレーザーノズル37に対して自在に変位操作できる。これにより、Y軸スライダー43およびX軸スライダー44の移動テーブル45・46を、予め設定されたXY座標に従って移動操作しながら、フッ素系樹脂シートS1・S2に赤外線レーザービームを照射することにより、両シートS1・S2の界面に任意形状の溶着ビードを形成することができる。図11において符号47は、レーザー装置16および走査構造17の作動状態を制御する制御装置である。
【0028】
凍結保存用バッグは以下の製造手順に従って製造する。レーザー装置16は、赤外線レーザービームが2枚重ねにしたフッ素系樹脂シートS1・S2の界面で焦点を結ぶように、その集光レンズ36の焦点調整を予め行っておく。図10に示すようにシート押圧体19を待機姿勢に開放操作したのち、テーブル本体20の中央にフッ素系樹脂シートS1・S2を載置し位置決めしたうえで、シート押圧体19を下降揺動させて溶着姿勢にする。次に、図13に示すように、走査構造17を作動させて溶着開始位置を赤外線レーザービームの照射位置に一致させ、レーザー装置16と走査構造17を同時に作動させながら、フッ素系樹脂シートS1・S2の界面に外郭線ビード1を一筆書き状に形成する。
【0029】
図1ないし図9において、凍結保存用バッグの封口装置は、凍結保存用バッグの封口部55(図9参照)を挟持固定するバッグクランプ装置56と、バッグクランプ装置56で挟持固定した封口部55に向かって赤外線レーザービームを照射するレーザー装置57と、バッグクランプ装置56を移動操作する走査構造58と、上記の各部材56〜58を支持するフレーム59などで構成する。フレーム59は、バッグクランプ装置56および走査構造58などが組付けられる上フレーム60と、上フレーム60を支持する下フレーム61とを備えており、下フレーム61の内部にレーザー装置57と制御装置62が配置してある。上フレーム60の後傾する前部内面には、横長板状の走査ベース65が固定され、その上下中央にバッグクランプ装置56の左右移動を許す走査窓66が開口してある。
【0030】
既に説明したように、凍結保存用バッグは、その収容部2に生体組織を充填したのち、脱気したうえで出入口3と直交する状態で、封口部55に後述するシールビード125を形成する。図9に示すように、封口部55は上ビード部4と出入口3の上端との間のシート領域であるが、封口部55のうち上下中央部分において、シールビード125を出入口3と直交ないし交差する状態で形成するのが好ましい。
【0031】
図1図4および図5において、バッグクランプ装置56は、走査ベース65で支持される固定挟持ブロック67と、固定挟持ブロック67の後面に固定した一対のガイド軸68で固定挟持ブロック67に対して接離自在に支持される可動挟持ブロック69と、可動挟持ブロック69を固定挟持ブロック67に対して接離操作するソレノイド(クランプアクチュエータ)70(図1参照)と、可動挟持ブロック69を前方へ向かって移動付勢する圧縮コイル形のばね71などで構成する。固定挟持ブロック67は、赤外線レーザービーム用の照射窓72が開口してある左右横長のブロックベース73と、赤外線透過作用と熱伝導作用に富む固体材料で構成される放熱体74と、ブロックベース73に装着されて放熱体74を照射窓72に臨む状態で支持する放熱体ホルダー75を備えている。
【0032】
固定挟持ブロック67のブロックベース73は、クランプテーブル91と上下調整構造とで支持するが、その詳細は後述する。放熱体74は、赤外線透過作用と熱伝導作用に富む固体材料で構成する。放熱体74を形成する固体材料としては、炭酸ガスレーザーを用いて溶着処理を行う関係上、赤外線レーザーに対して透明であるセレン化亜鉛、硫化亜鉛、シリコンのいずれかを適用できるが、この実施例では単結晶シリコンで放熱体74を横長板状に形成した。放熱体74は、鋼材製の放熱体ホルダー75の上下中央に開口した照射スリット76の前面を塞ぐ状態で、放熱体ホルダー75に装着固定してある。放熱体74と放熱体ホルダー75の前面は面一になっている。放熱体ホルダー75の左右両端は、ブロックベース73に対してねじ込んだ第2ねじ体(第2装着具)77で、着脱可能に装着してある(図4参照)。第2ねじ体77は、ねじ軸の端部に操作つまみが固定してあるつまみねじからなり、操作つまみを指先で回転操作することにより放熱体ホルダー75を着脱できる。
【0033】
可動挟持ブロック69は、熱伝導性に富むアルミニウム製の板材からなり、図1に示すように、先のガイド軸68で前後に往復スライド自在に支持される左右一対のスライダー79と、両スライダー79で固定支持される板状の可動ベース80と、可動ベース80の前面の左右に固定した左右一対のブロック支持軸81で支持してある。ブロック支持軸81は、ブロックベース73に形成した軸通口82(図4参照)から前方へ突出しており、その前端に可動挟持ブロック69が第1ねじ体(第1装着具)83で着脱可能に装着してある。第1ねじ体83は、第2ねじ体77と同じつまみねじである。バッグクランプ装置56による封口部55の着脱を容易化し、確実化するために、可動挟持ブロック69および固定挟持ブロック67は、それぞれ走査窓66の外面に臨ませてある。
【0034】
先に説明したように、可動挟持ブロック69はソレノイド70とばね71で前後操作されて、放熱体ホルダー75に外接するクランプ姿勢と、放熱体ホルダー75から前方へ離れる待機姿勢とに変位でき、常態においてはばね71の付勢力を受けて待機姿勢に位置保持されている。図1に示すようにソレノイド70は、ガイド軸68の後端に固定したインナーベース84に装着されており、その可動鉄心に連続する操作軸85が可動ベース80の左右中央に固定してある。図2図3に示すように、封口装置の前側床面には、ソレノイド70を作動させるフットスイッチ(スイッチ)86が設けてあり、このスイッチ86を踏込むと可動鉄心がソレノイド70の内部へ向かって吸着されるので、可動挟持ブロック69をばね71の付勢力に抗してクランプ姿勢に切換えることができる。このクランプ姿勢は封口処理が終わるまで維持され、封口処理が終了したのち再度フットスイッチ86を踏込むと、可動挟持ブロック69はばね71で待機姿勢に戻される。
【0035】
上記のように、可動挟持ブロック69を固定挟持ブロック67のガイド軸68に対して前後スライド自在に支持すると、可動挟持ブロック69を固定挟持ブロック67に対して円滑に前後移動でき、しかも両挟持ブロック67・69の挟持面の平行度を高度化できる。また、ガイド軸68に固定したインナーベース84にソレノイド70を設けると、より簡単な構造のソレノイド70で可動挟持ブロック69を前後操作して、固定および可動の両挟持ブロック67・69で封口部55を確実にクランプ固定できる。
【0036】
走査構造58は、走査ベース65と、走査ベース65の走査窓66の前縁上下に設けたガイドレール(ガイド体)89と、ガイドレール89で左右スライド自在に案内支持される合計4個のスライド体90と、スライド体90に固定される横長の四角枠クランプテーブル91と、走査ベース65の下部背面に固定される門型のインナーフレーム92と、インナーフレーム92に固定される左右横長の電動スライダー(走査アクチュエータ)93などで構成する。クランプテーブル91は横長の四角枠状に形成してあり、同テーブル91と電動スライダー93の移動テーブル94とは、逆L字状の連動腕95で連結してある。電動スライダー93を作動させることにより、バッグクランプ装置56を走査窓66の一側端から他側端へ向かって走査移動することができる。このときの走査構造58によるバッグクランプ装置56の移動ストロークは、凍結保存用バッグの封口部55の左右幅より充分に大きく設定してある。フレーム59の前面の右上隅には、タッチパネル式のディスプレイ96が設けてあり、ディスプレイ96に表示されたスタートボタンをタッチすることにより、電動スライダー93を作動させ、同時にレーザー装置57から赤外線レーザービームを放射することができる。
【0037】
バッグクランプ装置56を上下に走査するために、フレーム59の内部に上下走査構造を設けている。上下走査構造は、クランプテーブル91に固定した縦長のガイドレール(上下ガイド)97と、ガイドレール97で往復スライド自在に支持される上下スライダー98と、先に説明したインナーベース84を介してバッグクランプ装置56を上下操作するサーボモーター(上下走査アクチュエータ)99などで構成する。図4に示すように、固定挟持ブロック67のブロックベース73は、左右一対の上下スライダー98に固定してある。サーボモーター99は、クランプテーブル91の上部内面に固定したアクチュエータベース100の上面に配置してあり、その回転動力をねじ軸101と、インナーベース84に固定した雌ねじ体102で往復動作に変換して、バッグクランプ装置56を上下に移動操作する。
【0038】
図2において、レーザー装置57は市販されている炭酸ガスレーザーユニットであって、上下に長い四角箱状のレーザー発振器104と、レーザー発振器104の上端から突設される照射管105と、レーザー発振器104から出力されたレーザー光を斜め上向きに変向する変向ミラー106と、レーザー光を絞って放熱体74へ向かって照射する集光レンズ107などで構成する。集光レンズ107の焦点位置を調整するために、インナーフレーム92の後部に焦点調整構造を設けている。
【0039】
焦点調整構造は、インナーフレーム92で支持されるレンズベース108と、レンズベース108に固定した左右一対のレンズガイド109と、各レンズガイド109で前後に往復スライド自在に支持される前後スライダー110と、前後スライダー110に固定されて集光レンズ107を支持するレンズホルダー111と、レンズホルダー111を前後操作するサーボモーター(焦点調整アクチュエータ)112などで構成する。サーボモーター112はレンズベース108の下面側に配置してあり、その回転動力をねじ軸113と、レンズホルダー111に固定した雌ねじ体114で往復動作に変換して、集光レンズ107の焦点位置を調整する。
【0040】
凍結保存用バッグの封口処理を行う過程で、レーザー装置57から放出される赤外線レーザーが漏洩するおそれがあり、こうした漏洩レーザー光による被ばくを防ぐために、フレーム59の全ての周側面および上面は防護壁117で覆われている。さらに、封口部55に向かって照射された赤外線レーザーが漏洩するのを防ぐために、バッグクランプ装置56の前面に防護カバー118を設けて、フレーム59に設けたブラケット119とヒンジ120で揺動開閉可能に支持している(図1および図2参照)。凍結保存用バッグをバッグクランプ装置56に着脱するとき、防護カバー118は図2に示すように上向きに開放揺動して、開放位置に位置保持することができる。図1および図2において、符号121は封口処理が終わった凍結保存用バッグが、誤って床面に落下するのを防ぐ落下防止板である。
【0041】
以下に凍結保存用バッグの封口手順を説明する。封口処理を行うのに先行して、レーザー装置57の調整や集光レンズ107の焦点調整などを行って、赤外線レーザーの放射準備を行い、さらに、バッグクランプ装置56は図3に示すホーム位置に位置させておく。また、ディスプレイ96の表示を確認しながら溶着条件を設定して、スタンバイ状態にしておく。凍結保存用バッグは、その収容部2に生体組織を充填し、さらに脱気処理を行って封口部55をシート状に扁平化しておく。この状態で、図6に示すように、封口部55を可動挟持ブロック69と放熱体74との間に差込み、位置決めした状態でフットスイッチ86を踏込んで、可動挟持ブロック69をソレノイド70で後退操作してクランプ姿勢にする。
【0042】
可動挟持ブロック69をクランプ姿勢にした状態では、図7および図8に示すように、凍結保存用バッグの封口部55の殆どの部分が可動挟持ブロック69と放熱体74とで挟持固定されている。この状態で、ディスプレイ96に表示されたスタートボタンをタッチすることにより、レーザー装置57から赤外線レーザービームが放熱体74へ向かって放射され、同時に電動スライダー93を作動させて、バッグクランプ装置56をホーム位置から図3に向かって左側へ向かって一定速度で送り操作しながらシールビード125を形成する。
【0043】
このとき、放熱体74は赤外線レーザーを透過させるので、自身が赤外線レーザーを吸収して発熱することはない。また、シールビード125を形成する際に、ビード形成位置の周辺に溶着熱が伝導するが、封口部55の後表面に達した溶着熱は、熱伝導性に優れた放熱体74に吸収されて拡散される。同様に、封口部55の前表面に達した溶着熱は、熱伝導性に優れた可動挟持ブロック69に吸収されて拡散される。従って、封口部55においては、図7の拡大図に示すように、フッ素系樹脂シートS1・S2の界面のみが溶着されることになる。
【0044】
シールビード125が封口部55の一側端から他側端にわたって形成されたら、赤外線レーザーの放射と、走査構造58による送り操作を一時停止し、この状態で上下走査構造のサーボモーター99を作動させて、バッグクランプ装置56を赤外線レーザービームのスポット径の分だけ上方(または下方)へ移動操作する。さらに、走査構造58を作動させてバッグクランプ装置56を図3に向かって右方向へ送り操作しながら、赤外線レーザービームを封口部55に放射して、往路時に形成したシールビード125の下方(または上方)に復路側のシールビード125を形成する。バッグクランプ装置56がホーム位置まで復帰移動した状態では、図9に示すように、封口部55に往復する2重のシールビード125が形成される。こののち、凍結保存用バッグを手で支えた状態で、フットスイッチ86を踏込むことにより、バッグクランプ装置56による封口部55のクランプ作用を開放して、凍結保存用バッグを取出すことができる。なお、上下走査構造は、バッグクランプ装置56がホーム位置まで復帰移動したとき初期状態に戻すか、往路のシールビード125を形成したのち、前回とは逆向きにバッグクランプ装置56を移動操作してもよい。以後、上記の手順を繰り返し行うことにより、凍結保存用バッグの封口部55にシールビード125を的確に形成することができる。
【0045】
上記のように構成した封口装置によれば、可動挟持ブロック69をクランプアクチュエータ70で移動操作して、封口部55をクランプしたのち、走査構造58とレーザー装置57を作動させることにより、フッ素系樹脂S1・S2を素材とする凍結保存用バッグの出入口3を自動的に封止することができる。凍結保存用バッグの封口部55の封止作業は、医師や医療技術者などの現場ユーザーによって行われるが、封口部55をバッグクランプ装置56でクランプしたのちは、一連の溶着作業が自動的に行われるので、凍結保存用バッグの封口処理を安全にしかも的確に行うことができる。さらに、封口処理は常に一定の条件下で自動的に行われるので溶着結果にばらつきがなく、従って高度の封止機能を安定した状態で発揮できる封口処理を、誰もが手軽に行える凍結保存用バッグの封口装置を提供できる。
【0046】
可動挟持ブロック69および固定挟持ブロック67を走査窓66の外面に臨ませるので、封口部55のバッグクランプ装置56に対する着脱操作を、自由空間に臨む走査窓66の外面で容易に行うことができる。従って、凍結保存用バッグの位置や姿勢を確認しながら、封口部55をバッグクランプ装置56で適正にクランプでき、あるいは溶着作業が終わった凍結保存用バッグを確実に回収でき、全体として封口装置の使い勝手を向上できる。
【0047】
可動挟持ブロック69を固定挟持ブロック67のガイド軸68に対して前後スライド自在に支持すると、可動挟持ブロック69を固定挟持ブロック67に対して円滑に前後移動でき、しかも両挟持ブロック67・69の挟持面の平行度を高度化できる。また、ガイド軸68に固定したインナーベース84にクランプアクチュエータ70を設けると、より簡単な構造のクランプアクチュエータ70で可動挟持ブロック69を前後操作して、固定および可動の両挟持ブロック67・69で封口部55を確実にクランプ固定できる。
【0048】
可動挟持ブロック69は、ブロック支持軸81に対して第1ねじ体83を介して着脱可能に装着され、放熱体ホルダー75は、ブロックベース73に対して第2ねじ体77を介して着脱可能に装着されている。こうした封口装置によれば、必要に応じて可動挟持ブロック69および放熱体ホルダー75を、ブロック支持軸81およびブロックベース73から取外して、生体組織が付着しているかもしれない可動挟持ブロック69および放熱体ホルダー75を滅菌処理できる。従って、可動挟持ブロック69、放熱体74、放熱体ホルダー75の衛生管理を容易化して、凍結保存用バッグの封口部55の口処理を衛生的に安全な状態で行うことができる。
【0049】
上記の実施例では、シールビード125を封口部55の一側端から他側端にわたって連続形成したがその必要はなく、シールビード125は少なくとも出入口3を横断する状態で形成してあれば足りる。また、上記の実施例では、往路時に形成したシールビード125に隣接して復路側のシールビード125を2重に形成したが、往路側と復路側のいずれか一方のシールビード125のみで、封口部55が封止してあってもよい。必要があれば、走査構造58の送り移動操作に連動して、上下走査アクチュエータ99を作動させることにより、シールビード125の形成パターンを連続波形や鋸刃形などに形成することができる。
【0050】
図14および図15は凍結保存用バッグの変形例を示す。そこでは、2枚重ねにした透明のフッ素系樹脂シートS1・S2に赤外線レーザービームを照射して、前記両シートS1・S2の界面に左右一対の外郭線ビード1を形成し、外郭線ビード1で挟まれた両シートS1・S2の間に生体組織を収容する収容部132と、収容部2に連続する通気口133と、通気口133に連続する抽気部134とを形成してなる。抽気部134の端部寄りは、第1シールビード135で封止されている。通気口133はバッグ壁の左右中央に形成してある。
【0051】
収容部132は、左右一対の左ビード部136および右ビード部137と、これら両ビード部136・137から通気口133へ向かって先すぼまり状に傾く肩ビード部138で区画されており、左右の両ビード部136・137の上端部はフッ素系樹脂シートS1・S2の短辺部と直交状に交差していて、両ビード部136・137の間に生体組織を収容部132に充填するための充填口139が開口してある。抽気部134は漏斗状に形成してある。図15に示すように抽気部134の左右幅は、通気口133の左右幅より充分に大きく、収容部132の左右幅は抽気部134の左右幅よりさらに大きく設定してある。
【0052】
以上のように構成した凍結保存用バッグは、血液などの生体組織を収容部132に充填したのち封口処理を行うが、一連の作業は以下の手順に従って行う。
まず、図15に示すように、充填口139を上にして開口したのち、生体組織を充填口139から収容部2に充填する(第1手順)。このとき、収容部132と同じ幅の充填口139を大きく開口した状態で生体組織を充填できるので、生体組織の収容部2への充填や注入を、簡便にしかも速やかに行うことができる。次に、収容部132内の空気を押し出しながら、充填口139側のバッグ壁を密着させて、図16に示すように生体組織が充填された凍結保存用バッグの充填口139の側を第2シールビード140で封止する(第2手順)。この状態の収容部2には、僅かに空気が含まれていることが多く、この空気を放出するために、第1シールビード135に沿う切断線141に沿ってバッグ壁を切断して、第1シールビード140を含むバッグ壁を分離除去し、抽気部4の端部寄りに抽気開口142を形成する(第3手順)。
【0053】
抽気開口142が形成された凍結保存用バッグを、抽気部134が上、収容部132が下になる状態にして起立保持する。次に、収容部132内の生体組織を通気口133から抽気部134へ押し出して液位を上げ、さらに抽気部134のバッグ壁を密着させながら空気を抽気開口142から放出する(第4手順)。このとき、広幅の抽気部134のバッグ壁を密着させながら空気を抽気開口142から放出することにより抽気部134内の空気の全てを確実に排出できる。さらに、抽気部134から収容部132の上部に至る間のバッグ壁を密着させて仮封止部143を形成することができる。この状態で、仮封止部143を第3シールビード144で封止する(第5手順)ことにより、生体組織のみを収容部132内に封入することができる。
【0054】
上記の凍結保存用バッグによれば、広幅の充填口139を大きく開口した状態で生体組織を充填できるので、生体組織の収容部132への充填や注入を、簡便にしかも速やかに行うことができる。また、収容部2内の生体組織を通気口133から広幅の抽気部134へ押し出して液位を上げ、さらに抽気部134のバッグ壁を密着させながら空気を抽気開口142から放出することができるので、収容部132に入り込んだ空気の脱気作業を楽にしかも速やかに行うことができる。第1シールビード135は、凍結保存用バッグの製造過程で形成しておくことができるが、第2シールビード140と第3シールビード144は封口装置を使用して封口処理する。
【0055】
上記以外に、クランプアクチュエータ70はソレノイドである必要はなく、電動スライダー、電動シリンダー、リニアアクチュエータなどで構成してあってもよい。同様に、走査アクチュエータ93は電動スライダー以外の、電動シリンダー、リニアアクチュエータなどで構成してあってもよい。さらに、上下調整アクチュエータ99、および焦点調整アクチュエータ112は、電動スライダー、電動シリンダー、リニアアクチュエータなどで構成してあってもよい。レーザー発振器104は横長姿勢、あるいは前後に長い姿勢で配置することができる。本発明に係る封口装置は、とくにフッ素系樹脂シートS1・S2で形成した凍結保存用バッグの封口部を封口処理するのに好適であるが、封口処理はフッ素系樹脂シート以外の樹脂シートで形成した凍結保存用バッグにも等しく適用できるので、封口対象の凍結保存用バッグがフッ素系樹脂シートS1・S2で形成してあることは限定しない。
【符号の説明】
【0056】
55 封口部
56 バッグクランプ装置
57 レーザー装置
58 走査構造
59 フレーム
65 走査ベース
67 固定挟持ブロック
69 可動挟持ブロック
70 クランプアクチュエータ(ソレノイド)
74 放熱体
91 クランプテーブル
93 走査アクチュエータ(電動スライダー)
107 集光レンズ
125 シールビード
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16