特許第6182260号(P6182260)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ テグ キョンブク インスティトゥート オブ サイエンス アンド テクノロジーの特許一覧

<>
  • 特許6182260-ロボット 図000027
  • 特許6182260-ロボット 図000028
  • 特許6182260-ロボット 図000029
  • 特許6182260-ロボット 図000030
  • 特許6182260-ロボット 図000031
  • 特許6182260-ロボット 図000032
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6182260
(24)【登録日】2017年7月28日
(45)【発行日】2017年8月16日
(54)【発明の名称】ロボット
(51)【国際特許分類】
   B25J 9/04 20060101AFI20170807BHJP
   A61N 5/10 20060101ALI20170807BHJP
【FI】
   B25J9/04 A
   A61N5/10 F
【請求項の数】8
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2016-512862(P2016-512862)
(86)(22)【出願日】2014年11月14日
(65)【公表番号】特表2016-519001(P2016-519001A)
(43)【公表日】2016年6月30日
(86)【国際出願番号】KR2014010950
(87)【国際公開番号】WO2015156472
(87)【国際公開日】20151015
【審査請求日】2015年6月18日
(31)【優先権主張番号】10-2014-0041386
(32)【優先日】2014年4月7日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】515168374
【氏名又は名称】テグ キョンブク インスティトゥート オブ サイエンス アンド テクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】チャン、 ピョン フン
(72)【発明者】
【氏名】エルキン、 ゲツジン
【審査官】 中田 善邦
(56)【参考文献】
【文献】 特表2009−512473(JP,A)
【文献】 特開2004−283926(JP,A)
【文献】 特開2002−253687(JP,A)
【文献】 特開昭63−191583(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J1/00−21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のリンク部材を備えるリンク部と、
前記リンク部材を回転させるための複数の駆動部材を備える駆動部と、
を含み、
前記リンク部材の端部の前記複数の駆動部の回転軸は同じ地点で接し、
前記リンク部は、
第1回転軸を中心に回転する第1リンク部材と、
前記第1リンク部材の端部に接続して第2回転軸を中心に回転する第2リンク部材と、
を含み、
前記第1リンク部材及び前記第2リンク部材は弧状に備えられ、前記同じ地点に中心をおく同心球上にそれぞれ位置し、前記第1リンク部材及び前記第2リンク部材は前記同じ地点から放射状に離隔して配置され、
前記第1リンク部材及び前記第2リンク部材は、互いに異なる長さを備え、前記第1リンク部材と前記第2リンク部材のうち、外側に位置するリンク部材の長さが内側に位置するリンク部材の長さよりも大きく設けられて前記第1リンク部材及び前記第2リンク部材の相互衝突が防止され、
前記第2リンク部材の端部には、前記同じ地点に向かって非接触式に狙う放出部材が設けられ、前記放出部材は、前記第2リンク部材の回転軌跡に沿って球状に移動し、
前記第2リンク部材又は前記放出部材には角度調整要素が取り付けられ、前記放出部材が前記同じ地点に向かう角度を調整することを特徴とするロボット
【請求項2】
前記駆動部は、
前記第1リンク部材の一端に取り付けられ、前記第1回転軸を中心に前記第1リンク部材を回転させる第1駆動部材と、
前記第1リンク部材の他端に取り付けられ、前記第2回転軸を中心に前記第2リンク部材を回転させる第2駆動部材と、
を含むことを特徴とする請求項に記載のロボット
【請求項3】
前記第1回転軸は、前記第1リンク部材の端部の接線方向に沿って垂直であり、前記第2回転軸は、前記第2リンク部材の端部の接線方向に沿って垂直であることを特徴とする請求項に記載のロボット。
【請求項4】
記放出部材は、放射線治療のために放射線を照射する線形加速器に設けられることを特徴とする請求項に記載のロボット。
【請求項5】
前記放出部材は、前記第2リンク部材端部の接線方向に沿って垂直に位置することを特徴とする請求項に記載のロボット
【請求項6】
第1リンク部材と、
前記第1リンク部材の一端に取り付けられ、第1回転軸を中心に前記第1リンク部材を回転させる第1駆動部材と、
前記第1リンク部材の他端に接続する第2リンク部材と、
前記第1リンク部材と前記第2リンク部材との間に配置し、第2回転軸を中心に前記第2リンク部材を回転させる第2駆動部材と、
前記第2リンク部材の端部に取り付けられてターゲットに向かう放出部材と、
を含み、
前記第1回転軸及び前記第2回転軸は、前記ターゲットで接し、
前記第1リンク部材及び前記第2リンク部材は弧状に備えられ、前記ターゲットに中心をおく同心球上にそれぞれ位置し、前記第1リンク部材及び前記第2リンク部材は前記ターゲットから放射状に離隔して配置され、
前記第1リンク部材及び前記第2リンク部材は、互いに異なる長さを備え、前記第1リンク部材と前記第2リンク部材のうち、外側に位置するリンク部材の長さが内側に位置するリンク部材の長さよりも大きく設けられて前記第1リンク部材及び前記第2リンク部材の相互衝突が防止され、
前記放出部材は、前記ターゲットに向かって非接触式に狙い、前記放出部材は、前記第2リンク部材の回転軌跡に沿って球状に移動し、
前記第2リンク部材の端部又は前記放出部材には角度調整要素が取り付けられ、前記放出部材が前記ターゲットに向かう角度を調整することを特徴とするロボット
【請求項7】
前記第1リンク部材及び前記第2リンク部材は、放射状に離隔する位置から離れて位置することを特徴とする請求項に記載のロボット
【請求項8】
前記第1回転軸は前記第1リンク部材の端部の接線方向に沿って垂直であり、前記第2回転軸は前記第2リンク部材の端部の接線方向に沿って垂直であることを特徴とする請求項に記載のロボット
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はロボットに関し、詳しくは、ターゲットに向かって正確かつ迅速に狙うことができるロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
放射線治療とは、高エネルギー放射線を用いてガン細胞を殺す治療をいう。ここで、放射線とは、エネルギーが空間を通して伝搬現象又は電波を媒介する物質を示し、X線が代表的な例である。
【0003】
放射線治療は、外科的手術、坑ガン化学療法と共に、ガン治療の3代治療法の1つとして、普通入院することなく、1日を基準に数分から20〜30分程度の時間を必要とし、治療時に苦痛を伴わないという長所がある。
【0004】
このような放射線治療に関する装備として、X−Knife(Radionics、USA)、Novalis Tx(BrainLAB、Germany)、Peacok(NOMOS Corp、USA)、Trilogy(Varian Medical System、USA)、CyberKnife(Accuray Inc.USA)などが知られており、その大部分は、線形加速器と画像誘導放射線治療(Image Guided Radiotherapy:IGRT)の技術に基づいて治療時に発生する誤差を減らし、正確度を高める方案に進んでいる。
【0005】
前記装備のうち、サイバーナイフ(CyberKnife)は、小型の線形加速器を6個の関節に自由に動いているロボットアームに装着して様々な方向に腫瘍部位に放射線を集中照射する、精密度の極めて高い定位放射線治療の専用装備である。
【0006】
サイバーナイフは、浸湿的な固定機構なしでリアルタイムに映像誘導技術を用いて身体の骨格映像及び身体内に挿入される金針の座標を追跡することで、精密に治療できる長所がある。また、脳腫瘍だけを治療することのできるガンマナイフとは異なって、全身のガン治療にも用いられ、一回ではない数回にかけて分割治療する場合も多い。
【0007】
最近、サイバーナイフに対する研究が盛んに行われ、2009年4月30日に出願された先行文献KR第2009−0038051号では、放射線治療計画情報統合照会システムが開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
一実施形態に係る目的は、コンパクトな設計を備え、総重量を減少することのできるロボットを提供する。
【0009】
一実施形態に係る目的は、制御が容易で、ターゲットに対する方向性を向上させるロボットを提供する。
【0010】
一実施形態に係る目的は、ターゲットに向かって迅速かつ正確に狙って、治療又は手術時間を短縮させるロボットを提供する。
【0011】
一実施形態に係る目的は、駆動部の作動時にリンク部材間の相互衝突を防止することのできるロボットを提供する。
【0012】
一実施形態に係る目的は、第2リンク部材の端部又は放出部材に追加的な角度調整要素が備えられ、放出部材がターゲットに向かう角度を効率よく調整できるロボットを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記のような目的を達成するための一実施形態に係るロボットは、複数のリンク部材を備えるリンク部と、前記リンク部材を回転させる駆動部とを含み、前記リンク部材の端部の前記駆動部の回転軸は同じ地点で接することができる。
【0014】
一実施形態によると、前記リンク部は、第1リンク部材と、前記第1リンク部材の端部に接続した第2リンク部材とを含んでもよい。
【0015】
一実施形態によると、前記第1リンク部材及び前記第2リンク部材は弧状に備えられ、前記第1リンク部材及び前記第2リンク部材は同心球上にそれぞれ位置してもよい。
【0016】
一実施形態によると、前記駆動部は、前記第1リンク部材の一端に取り付けられ、第1回転軸を中心に前記第1リンク部材を回転させる第1駆動部材と、前記第1リンク部材の他端に取り付けられ、第2回転軸を中心に前記第2リンク部材を回転させる第2駆動部材とを含んでもよい。
【0017】
一実施形態によると、前記第2リンク部材の他端には、ターゲットに向かうように取り付けられた放出部材が設けられてもよい。
【0018】
前記の目的を達成するための一実施形態に係るロボットは、第1リンク部材と、前記第1リンク部材の一端に取り付けられ、第1回転軸を中心に前記第1リンク部材を回転させる第1駆動部材と、前記第1リンク部材の他端に接続する第2リンク部材と、前記第1リンク部材と前記第2リンク部材との間に配置し、第2回転軸を中心に前記第2リンク部材を回転させる第2駆動部材と、前記第2リンク部材の端部に取り付けられてターゲットに向かう放出部材とを含み、前記第1回転軸及び前記第2回転軸は、前記ターゲットで接することができる。
【0019】
一実施形態によると、前記第1リンク部材及び前記第2リンク部材は弧状に設けられ、前記第1リンク部材及び前記第2リンク部材は、前記ターゲットを中心にする同心球上にそれぞれ位置してもよい。
【0020】
一実施形態によると、前記第2リンク部材又は前記放出部材には角度調整要素が取り付けられ、前記放出部材が前記ターゲットに向かう角度を調整してもよい。
【発明の効果】
【0021】
一実施形態に係るロボットは、コンパクトな設計を備え、総重量を減少することができる。
【0022】
一実施形態に係るロボットは、制御が容易で、ターゲットに対する方向性を向上させ得る。
【0023】
一実施形態に係るロボットは、ターゲットに向かって迅速かつ正確に狙って、治療又は手術時間を短縮させ得る。
【0024】
一実施形態に係るロボットは、駆動部の作動時にリンク部材間の相互衝突を防止することができる。
【0025】
一実施形態に係るロボットは、第2リンク部材の端部又は放出部材に追加的な角度調整要素が備えられ、放出部材がターゲットに向かう角度を効率よく調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】一実施形態に係るロボットの正面図である。
図2】一実施形態に係るロボットで回転軸が同じ地点で接する形状を示す。
図3】一実施形態に係るロボットの放出部材に角度調整要素が取り付けられた形状を示す。
図4】一実施形態に係るロボットの放出部材によって放射線が照射される範囲を示す。
図5】一実施形態に係るロボットで放出部材の方向を示す。
図6】球面座標を示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明に係る実施形態を添付する図面を参照しながら詳細に説明する。しかし、本発明が実施形態によって制限されたり限定されることはない。各図面に提示された同一の参照符号は同一の部材を示す。
【0028】
図1は、一実施形態に係るロボットの正面図であり、図2は、一実施形態に係るロボットで回転軸が同じ地点で接する形状を示し、図3は、一実施形態に係るロボットの放出部材に角度調整要素が取り付けられた形状を示し、図4は、一実施形態に係るロボットの放出部材によって放射線が照射される範囲を示す。
【0029】
図1を参照すると、一実施形態に係るロボット10は、リンク部100及び駆動部200を含む。
【0030】
前記リンク部100は複数のリンク部材を備え、複数のリンク部材は、第1リンク部材110及び第2リンク部材120を備えている。
【0031】
前記第1リンク部材110及び第2リンク部材120は互いに接続してもよい。
【0032】
具体的に、第1リンク部材110及び第2リンク部材120は、駆動部200を挟んで接続されてもよい。
【0033】
また、第1リンク部材110及び第2リンク部材120は、それぞれ同心球上に弧状に位置してもよい。
【0034】
例えば、第1リンク部材110は大きい同心球上に位置する弧であってもよく、第2リンク部材120は小さい同心球上に位置する弧であってもよく、第1リンク部材110及び第2リンク部材120は、放射状に離隔する位置から離れて位置してもよい。
【0035】
そして、第1リンク部材110及び第2リンク部材120は互いに異なる長さを有し、例えば、第1リンク部材110は第2リンク部材120よりも大きい長さを有してもよい。これによって、第1リンク部材110内で第2リンク部材120が回転するとき、第1リンク部材110及び第2リンク部材120の相互衝突を防止することができる。
【0036】
しかし、第1リンク部材110及び第2リンク部材120の形状及び配置はこれに限定することなく、第1リンク部材110及び第2リンク部材120が駆動部200の作動によって回転しながら相互衝突しなければ、いずれの形状も可能である。
【0037】
前記第1リンク部材110及び第2リンク部材120には、第1リンク部材110及び第2リンク部材120を回転させるための駆動部200が取り付けられてもよい。
【0038】
前記駆動部200は、第1駆動部材210及び第2駆動部材220を含む。
【0039】
前記第1駆動部材210は、第1リンク部材110の一端に取り付けられ、例えば、第1リンク部材110は、第1駆動部材120の上部に取り付けられてもよい。
【0040】
特に、図2を参照すると、第1駆動部材210は、第1回転軸Xを中心に第1リンク部材110を回転させる。例えば、第1駆動部材210の長手方向の中心軸が第1回転軸Xと一致する場合、第1リンク部材110は、第1駆動部材210の長手方向の中心軸を中心に回転してもよい。
【0041】
前記第2駆動部材220は、第1リンク部材110の他端に取り付けられてもよい。
【0042】
例えば、第1リンク部材110と第2駆動部材220との間に段差を連結するための接続要素112がある場合、第2駆動部材220は接続要素112に取り付けられてもよい。
【0043】
ここで、接続要素112は第2駆動部材220と同軸に配置し、第2駆動部材220の上端部に接するように配置してもよい。
【0044】
そして、第2駆動部材220は、第2リンク部材120の一端に取り付けられ、例えば、第2リンク部材120は、第2駆動部材220の下部に取り付けられてもよい。
【0045】
また、第2駆動部材220は、第2回転軸Xを中心に第2リンク部材120を回転させる。例えば、第2駆動部材220の長手方向の中心軸が第2回転軸Xと一致する場合、第2リンク部材120は、第2駆動部材220の長手方向の中心軸を中心に回転してもよい。
【0046】
前記第1回転軸Xと第2回転軸Xは、延長して同じ地点で接することができる。
【0047】
具体的に、第1回転軸Xが垂直方向に形成される場合、第2回転軸Xは第1回転軸Xに対してα°だけ傾斜するように形成される。言い換えると、第1回転軸Xと第2回転軸Xとの間の角度はα°である。
【0048】
ここで、第1リンク部材110の両端部に備えられている第1回転軸Xと第2回転軸Xが接する同じ地点は、第1リンク部材110及び第2リンク部材120が位置する同心球の中心点0である。
【0049】
これによって、後述する放出部材300が第2リンク部材120に取り付けられている場合、放出部材300がターゲットに向かって容易に狙うことができる。
【0050】
このように駆動部200は、第1駆動部材210及び第2駆動部材220によって2つの自由度を備え、放出部材300を球形に移動させることができる。ここで、必要なモータ数は2個で、比較的に少ない数のモータを必要とし、ロボット10の総重量を減少させ得る。
【0051】
そして、第1リンク部材110及び第2リンク部材120が第1回転軸Xと第2回転軸Xに基づいて互いに異なる領域で回転させることができるため、第1駆動部材210と第2駆動部材220によって第1リンク部材110及び第2リンク部材120がアクセスする領域を拡張することができる。そのため、リンク部100のターゲットに対する方向性を向上させ得る。
【0052】
また、第2リンク部材120の他端には放出部材300が備えられてもよい。
【0053】
以下、放出部材300を放射線治療のために放射線を照射する線形加速器を例に挙げて説明することにする。
【0054】
しかし、放出部材300はこれに限定することなく、液体又は気体を含む他の物質を放出してもよい。
【0055】
前記第2リンク部材120は、放出部材300の中央部分に取り付けられてもよく、放出部材300は、第2リンク部材120の端部の接線方向に沿って垂直に位置してもよい。
【0056】
また、放出部材300の下端部から放射線又はその他の物質が放出されてもよく、放出部材300が傾いた角度に応じて、放射線又はその他の物質が放出される角度は変化し得る。
【0057】
再び図2を参照すると、放出部材300は、第2回転軸Xに対してβ°だけ傾斜するように位置し、第1回転軸Xに対してα°+β°だけ傾斜するように位置してもよい。
【0058】
ここで、α及びβは、第1リンク部材110及び第2リンク部材120が第1駆動部材210と第2駆動部材220によって円滑に回転し、広い領域にわたって放出部材300が狙うことができるように選択される。
【0059】
そして、放出部材300で放射線が放出する部分が第3軸X上に位置し、放出部材300から放射線は第3軸Xに沿って放出又は照射されてもよい。
【0060】
前記第3軸Xも第1回転軸X及び第2回転軸Xと同様に、同心球の中心点0で接する。
【0061】
すなわち、第1回転軸X、第2回転軸X及び第3軸Xは全て第1リンク部材110及び第2リンク部材120の同心球中心点0で接することになる。
【0062】
したがって、前述したリンク部100及び駆動部200によって放出部材300を介して放射線が照射される地点を調整することができる。
【0063】
さらに、図3を参照すると、第2リンク部材120の端部又は放出部材300には追加的な角度調整要素310が備えられてもよい。
【0064】
前記角度調整要素310は、放出部材300と第2リンク部材120が接する地点に取り付けられ、放出部材300は、第3軸Xを中心に矢印方向に動き、ヨーイング動き(yawing movement)を有してもよい。
【0065】
このように角度調整要素310を備え、放出部材300は小さい角度の動きが可能であるため、駆動部200によって放出部材300がターゲットに向かって狙われた後、微細な角度調整が必要な場合に有効に使える。
【0066】
また、一実施形態に係るロボット10は制御部(図示せず)をさらに含み、前記制御部によって第1駆動部材210及び第2駆動部材220を容易に制御することができる。
【0067】
具体的に、放出部材300がターゲットに向かうように、第1駆動部材210又は第2駆動部材220を選択的又は同時的に作動させ、必要に応じて角度調整要素310を作動させ得る。
【0068】
また、第1駆動部材210又は第2駆動部材220の作動を制御し、第1リンク部材110又は第2リンク部材120の回転速度又は回転方向を調整してもよい。これにより、放射線によって手術又は治療する時間を短縮することができる。
【0069】
このように構成された一実施形態に係るロボット10は、次のように作動する。
【0070】
まず、第1駆動部材210又は第2駆動部材220を作動させて第1リンク部材110又は第2リンク部材120を回転させる。
【0071】
ここで、第1リンク部材110及び第2リンク部材120は同心球上にそれぞれ位置し、互いに異なる回転軸X、Xに基づいて相対回転するため、第1リンク部材110及び第2リンク部材120は互いに衝突することなく、円滑に回転することができる。
【0072】
さらに、第1駆動部材210と第2駆動部材220は、同時的又は選択的に作動するため、第1駆動部材210と第2駆動部材220が共に作動して、第1リンク部材110及び第2リンク部材120が共に回転したり、第1駆動部材210を作動させて第1リンク部材110を回転させた後、第2駆動部材220を作動させて第2リンク部材120を回転させることができる。
【0073】
このように、第1リンク部材110及び第2リンク部材120の回転により、第2リンク部材120の端部に取り付けられた放出部材300は球状に形移動してもよい。
【0074】
また、角度調整要素310を選択的に作動してもよい。
【0075】
角度調整要素310は、放出部材300が第3軸Xを基準にしてヨーイング動きを行って微細に角度調整を可能にする。
【0076】
その次に、放出部材300を介して放射線を照射する。
【0077】
ここで、放射線はターゲットT、例えば、患者の患部を治療するために用いてもよい。
【0078】
図4に示すように、放出部材300は、A領域内で放射線を放出又は照射することができる。
【0079】
具体的に、A領域は、第1リンク部材110が第1駆動部材210によって第1回転軸Xを基準にして回転する領域と、第2リンク部材120が第2駆動部材220によって第2回転軸Xを基準にして回転する領域とを含む。
【0080】
第1駆動部材210と第2駆動部材220が同時に作動する場合、放出部材300はA領域内で自由に調整される。
【0081】
このように、第1駆動部材210及び第2駆動部材220の作動により放出部材300は、ターゲットT又は治療部位に向かって狙うことができ、ターゲットTに向かって放出部材300からの放射線は集中される。
【0082】
もし、治療中に放出部材300の位置を移動させる必要がある場合、制御部を用いて第1駆動部材210、第2駆動部材220又は角度調整要素310を制御することで、より迅速かつ正確に実行でき、放出部材300の位置移動後に微細調整が必要な場合、角度調整要素310の制御により行うことができる。
【0083】
このような実施形態に係るロボットは、ターゲットに向かって迅速かつ正確に狙って、治療又は手術時間を短縮させることができ、制御が容易で、ターゲットに対する方向性を向上させることができ、コンパクトな設計を備え、総重量を減少させ得る。さらに、駆動部の作動時にリンク部材間の相互衝突を防止することができ、第2リンク部材の端部又は放出部材に追加的な角度調整要素が備えられ、放出部材から物質が放出される角度又は放出部材がターゲットに向かう角度を調整できる。
【0084】
以下は、一実施形態に係るロボット10の構造の運動学的な分析について詳細に説明する。
【0085】
まず、ロボットアームの順運動学(forward kinematics)は次の通りである。
【0086】
【数1】
【0087】
ここで、θはジョイント角度であり、Χはエンドエフェクタ(end−effector)位置及び方向を示す。
【0088】
このように、リンク部材が互いに接続した角度に応じて放出部材の座標を予測することができる。
【0089】
また、デナビット−ハーテンバーグ(Denavit−Hartenberg、D−H)表示法を用いて表現する場合、ロボットの運動学はリンク部材のリンクの長さ(a)、リンクオフセット(d)、リンクゆがみ(α)、及びジョイント角度(θ)のように4個の媒介変数からなる。
【0090】
ここで、ジョイントがz軸周辺で回転する場合、その変換行列(transformation matrix)は次の通りである。
【0091】
【数2】
【0092】
【数3】
【0093】
ここで、sとcはそれぞれサイン(sine)とコサイン(cosine)を示す。
【0094】
上記の2つの変換行列により、次のような変換行列が導き出される。
【0095】
【数4】
【0096】
上記の変換行列は2つのリンク部材を備える場合を示し、変換行列によって3次元座標上でいずれか1つの点が移動(translation、offset)、大きさ(scale)、回転によりいずれかの点に移動したかを予測することができる。
【0097】
また、エンドエフェクタ、または放出部材300の位置及び方向は次の通りである。
【0098】
【数5】
【0099】
【数6】
【0100】
ここで、エンドエフェクタ又は放出部材300の位置は常に一定である。
【0101】
図5は、一実施形態に係るロボットで放出部材300の方向を示す。
【0102】
図5を参照すると、放出部材300はz軸に向かい、z軸を基準にして回転するロール(roll)、z軸を基準にして上下に振動するヨー(yaw)、及びz軸を基準にして上下に回転するピッチ(pitch)の動きを含んでもよい。
【0103】
ここで、ロール方向は放出部材300において重要ではない。
【0104】
そして、単に放出部材300の方向のためにはz−ベクトル(vector)のみを考慮する。
それにより、変換行列(3)は次のように整理される
【0105】
【数7】
【0106】
一方、放出部材300の所望する方向は、図6に示す球面座標(spherical coordinate)のα及びβ値に指定してもよい。このように図6に示すα及びβ値に方向が与えられた場合、その方向に該当する回転行列は次の通りである。
【0107】
【数8】
【0108】
【数9】
【0109】
回転行列(8)及び(9)からα及びβを用いてχ=[χ,χ,χ=y,y,y=[z,z,zを決定し、さらにθ、θを決定してもよい。
【0110】
このような関係を逆運動学(inverse kinematics)に表示すると次の通りである。
【0111】
【数10】
【0112】
ここで、xはベクトル=[z,z,zであり、θはθ、θからなるベクトルである。そして、数式(10)は数式(1)の逆関数である。
【0113】
直交正規ベクトルのχを考慮してジョイント角度であるθ、θを把握することができる。このようなベクトルを算出する直観的な方法は、球面座標を用いるものであり、α及びβ値に方向が与えられた場合、その方向に該当する回転行列は次のように示す。
【0114】
【数11】
【0115】
ここで、ベクトルの構成要素はχ=[χ,χ,χ=[y,y,y=[z,z,zである。
【0116】
変換行列(4)から次の等式が抽出される。
【0117】
【数12】
【0118】
ここで、θが次のように誘導されてもよい。
【0119】
【数13】
【0120】
2つの入力変数を有するアークタン(arctan)関数であるアークタン2関数は、ゼロ入力値に近接する安定性及び最終的な角度が適切な四分面に復元する特性を有するため使用される。
【0121】
θの値は次のように算出されてもよい。
【0122】
変換行列(5)から次の数式を取得することができる。
【0123】
【数14】
【0124】
【数15】
【0125】
【数16】
【0126】
また、次のように仮定してもよい。
【0127】
【数17】
【0128】
数式(16)及び(17)により次のように算出されてもよい。
【0129】
【数18】
【0130】
すなわち、数式(15)及び(18)により次のような値を取得できる。
【0131】
【数19】
【0132】
数式(13)及び(19)から2つのジョイント角θ、θを決定する。
【0133】
最後に、ヤコビアン(jacobian)行列について説明する。
【0134】
θ−空間とχ−空間の間の線形マッピングは次の通りである。
【0135】
数式(1)を微分すれば次の通りである。
【0136】
【数20】
【0137】
【数21】
【0138】
そして、変換行列(2)は次の通りである。
【0139】
【数22】

すなわち、ヤコビアン行列は次の通りである。
【0140】
【数23】
【0141】
【数24】
【0142】
したがって、ヤコビアン行列は次の通りである。
【0143】
【数25】
【0144】
行列(25)により、単なる角速度のみが考慮され、並進的な速度は考慮されることなく、α=nπ、n∈Nである場合を除いては、唯一性を有することはできない。
【0145】
このようにヤコビアン行列を用いて、リンク部材のジョイント速度と放出部材の速度との間の関係が決定されるため、リンク部材のジョイント速度に応じて放出部材の移動速度を予測できるだけではなく、放出部材の所望する速度が与えられれば、それを可能にするリンク部材のジョイント速度を逆算することができる。
【0146】
具体的に、リンク部材の現在位置に応じて放出部材の位置を予測することができ、それとは反対に、放出部材が中心点又はターゲットに向かうようにするため、放出部材の現在位置に応じてリンク部材の作動を制御することができる。
【0147】
上述したように本発明の実施形態では、多様なコンピュータ手段を介して様々な処理を実行することができるプログラム命令の形態で実現され、コンピュータで読取可能な記録媒体に記録されてもよい。コンピュータ読取可能な媒体は、プログラム命令、データファイル、データ構造などのうち1つまたはその組合せを含んでもよい。媒体に記録されるプログラム命令は、本発明の目的のために特別に設計されて構成されたものでもよく、コンピュータソフトウェア分野の技術を有する当業者にとって公知のものであり、使用可能なものであってもよい。コンピュータ読取可能な記録媒体の例としては、ハードディスク、フロッピー(登録商標)ディスク及び磁気テープのような磁気媒体、CD−ROM、DVDのような光記録媒体、光ディスクのような光磁気媒体、及びROM、RAM、フラッシュメモリなどのようなプログラム命令を保存して実行するように特別に構成されたハードウェア装置が含まれてもよい。プログラム命令の例には、コンパイラによって作られるような機械語コードだけでなく、インタープリタなどを用いてコンピュータによって実行できる高級言語コードが含まれる。前記したハードウェア装置は、本発明の動作を行うために1つ以上のソフトウェアモジュールとして動作するように構成されてもよく、その逆も同様である。
【0148】
上述したように、本発明を限定された実施形態と図面によって説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されることなく、本発明が属する分野における通常の知識を有する者であれば、このような実施形態から多様な修正及び変形が可能である。
【0149】
したがって、本発明の範囲は、開示された実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲だけではなく特許請求の範囲と均等なものなどによって定められるものである。
【符号の説明】
【0150】
10:ロボット
100:リンク部
110:第1リンク部材
112:接続要素
120:第2リンク部材
200:駆動部
210:第1駆動部材
220:第2駆動部材
300:放出部材
310:角度調整要素
:第1回転軸
:第2回転軸
:第3軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6