(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6182304
(24)【登録日】2017年7月28日
(45)【発行日】2017年8月16日
(54)【発明の名称】インストルメントパネル
(51)【国際特許分類】
B60K 37/00 20060101AFI20170807BHJP
B60K 37/02 20060101ALI20170807BHJP
【FI】
B60K37/00 Z
B60K37/02
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-191123(P2012-191123)
(22)【出願日】2012年8月31日
(65)【公開番号】特開2014-46804(P2014-46804A)
(43)【公開日】2014年3月17日
【審査請求日】2015年5月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】390026538
【氏名又は名称】ダイキョーニシカワ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】土井 和也
【審査官】
田中 将一
(56)【参考文献】
【文献】
特開平08−268114(JP,A)
【文献】
実開昭52−099237(JP,U)
【文献】
特表2014−522781(JP,A)
【文献】
特開平09−207626(JP,A)
【文献】
特開2003−300426(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 35/00 − 37/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体後方に開口する開口部(3c)が形成されたインストルメントパネル本体(3)と、
該インストルメントパネル本体(3)に取り付けられて上記開口部(3c)を覆うメータフ
ード(7)と、を備え、上記メータフード(7)の上面部(15)には、端縁が車体後方に凹んだ形状をなし且つ車体前方に開放された開放部(15a)が形成され、上記開放部(15a)からヘッドアップディスプレイ装置(5)が車室(R)内に突出するように取り付けられるインストルメントパネルであって、
上記上面部(15)のうち上記開放部(15a)の両側で該開放部(15a)の開放側に位置する先端部分の車幅方向における幅は、上記開放部(15a)のうち一対の上記先端部分の間の車幅方向における開口幅よりも狭くなっており、
上記上面部(15)の上記開放部(15a)に対応する外周縁には、上記開放部(15a)の端縁に沿った形状の補強体(13)が取り付けられ、
上記補強体(13)は、上記上面部(15)の上記先端部分を含む箇所で上記上面部(15)の裏面に重なり、
上記上面部(15)の上記先端部分と上記補強体(13)のうち上記上面部(15)の上記先端部分に重なる部分との少なくとも一方の部分には、上記インストルメントパネル本体(3)に固定される固定部(13e)が設けられている
ことを特徴とするインストルメントパネル。
【請求項2】
請求項1に記載のインストルメントパネルにおいて、
上記上面部(15)の裏面に設けられ、上記補強体(13)を保持する保持部(15d)をさ
らに備え、
上記保持部(15d)は、上記上面部(15)の裏面から下方に間隔をあけた位置で車体前
方に突出する突出部(15e)を有し、
上記補強体(13)は、上記上面部(15)と上記突出部(15e)とによって上下両側から
挟まれて保持されている
ことを特徴とするインストルメントパネル。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のインストルメントパネルにおいて、
上記補強体(13)は樹脂製であり、
上記補強体(13)の裏面には、上記開放部(15a)の端縁に沿って延びる縦板部(13b)と、該縦板部(13b)に沿って延び且つ上記縦板部(13b)との間に凹部をなす縦壁部(13c)と、上記凹部内で上記縦板部(13b)と上記縦壁部(13c)とを連結する複数のリブ(13d)とが設けられている
ことを特徴とするインストルメントパネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行速度等を表示するヘッドアップディスプレイ装置が取り付けられるインストルメントパネルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば特許文献1に一例が開示されているように、フロントガラスの車室側に設置され、透明なディスプレイに速度メータの画像等を投影して自動車走行に必要な情報を運転手に提供する自動車用のヘッドアップディスプレイ(Head Up Display)装置(以下、HUD装置という)がある。この自動車用のHUD装置として、上記ディスプレイと、これに画像を投影する装置本体とを備え、該装置本体がインストルメントパネル内に収容されるように取り付けられているものがある。このように上記装置本体を収容するインストルメントパネルは、車体後方に開口する開口部が形成されたインストルメントパネル本体と、該開口部に取り付けられ、該開口部を覆うと共に車体前方に開放する開放部が形成された上面部を有するメータフードとを備え、上記開放部から上記HUD装置が車室内に突出するように取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−301639号公報(
図3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のインストルメントパネルでは、メータフードの上面部に上記開放部が形成されているため、上面部の開放部側外周縁の剛性が比較的低い。したがって、メータフードの上面部に力が加わると、上面部の開放部側外周縁が変形する虞がある。また、メータフードがフロントガラスから入射する日光の熱を受け、上面部の開放部側外周縁が熱変形する虞がある。そうすると、メータフードとインストルメントパネルとの間に隙間が生じる等、見栄えが悪くなる。
【0005】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、メータフードの開放部外周縁の変形を防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明は、メータフードの開放部側の構造を工夫したものである。
【0007】
具体的には、本発明は、車体後方に開口する開口部が形成されたインストルメントパネル本体と、該インストルメントパネル本体に取り付けられて上記開口部を覆うメータフードと、を備え、上記メータフードの上面部には、端縁が車体後方に凹んだ形状をなし且つ車体前方に開放された開放部が形成され、上記開放部からヘッドアップディスプレイ装置が車室内に突出するように取り付けられるインストルメントパネルを対象とし、次のような解決手段を講じた。
【0008】
第1の発明は、上記上面部のうち上記開放部の両側で該開放部の開放側に位置する先端部分の車幅方向における幅が、
上記開放部のうち一対の上記先端部分の間の車幅方向における開口幅よりも狭くなっており、上記上面部の上記開放部に対応する外周縁に、上記開放部の端縁に沿った形状の補強体が取り付けられ、上記補強体が、上記上面部の上記先端部分を含む箇所で上記上面部の裏面に重なり、上記上面部の上記先端部分と上記補強体のうち上記上面部の上記先端部分に重なる部分との少なくとも一方の部分に、上記インストルメントパネル本体に固定される固定部が設けられていることを特徴とする。
【0009】
第2の発明は、上記第1の発明において、上記上面部の裏面に設けられ、上記補強体を保持する保持部をさらに備え、上記保持部が、上記上面部の裏面から下方に間隔をあけた位置で車体前方に突出する突出部を有し、上記補強体が、上記上面部と上記突出部とによって上下両側から挟まれて保持されていることを特徴とする。
【0010】
第3の発明は、上記第1又は第2の発明において、上記補強体が樹脂製であり、上記補強体の裏面に、上記開放部の端縁に沿って延びる縦板部と、該縦板部に沿って延び且つ上記縦板部との間に凹部をなす縦壁部と、上記凹部内で上記縦板部と上記縦壁部とを連結する複数のリブとが設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
第1の発明によれば、メータフードの上面部の開放部側外周縁に補強体が取り付けられているので、上面部の開放部側外周縁の剛性が確保され、変形を抑制することができる。また、メータフード及び補強体の少なくとも一方における開放部側先端に対応する部位に設けられた固定部がインストルメントパネル本体に固定されるため、上面部の開放部側先端の剛性が確保され、また、熱変形を効果的に防止することができる。
【0012】
第2の発明によれば、補強体がメータフードの上面部及び保持部の突出部によって上下両側から挟まれて保持されているので、補強体をメータフードに保持するための部材を別途設ける必要がない。したがって、部品点数を低減することができる。また、上記突出部がメータフードの上面部裏面から下方に間隔をあけて後方に突出するように設けられているので、保持部がアンダーカット部を構成しない。したがって、メータフードが樹脂成形品である場合、その成形型の構造を簡略化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】HUD装置が取り付けられた本発明の実施形態に係るインストルメントパネルの部分斜視図である。
【
図2】インストルメントパネルの分解斜視図である。
【
図6】メータフードを裏面側から見た全体斜視図である。
【
図7】メータフードの上側分割体を裏面側から見た全体斜視図である。
【
図8】補強体が取り付けられた状態における上側分割体を裏面側から見た全体斜視図である。
【
図9】メータフード及び固定具の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、この発明の実施の形態について図面に基づいて説明する。
【0015】
図1,2は本実施形態に係る車両用インストルメントパネル1を構成するインストルメントパネル本体3の左半分を示している。この左半分に走行速度等を示す画像を映し出すHUD装置5が取り付けられている。上記インストルメントパネル本体3は樹脂製であって、該インストルメントパネル本体3の車体前方端側には、車幅方向の略中央部において車幅方向に延びるフロントデフロスターエア吹出口3aが形成され、車幅方向両端にはサイドデフロスターエア吹出口3bがそれぞれ形成されている。左側のサイドデフロスターエア吹出口3bの右隣には、車幅方向中央まで広がる開口部3cが形成されている。この開口部3cは、インストルメントパネル本体3の上部から上下方向中央部に亘って車体後方に向かって車幅方向に広がると共に、下部において幅狭な略矩形状をなすように形成されている。
【0016】
上記開口部3cの上部から上下方向中央部に亘る上半部分には、樹脂製のメータフード7が取り付けられており、このメータフード7に
図3,4で仮想線で示すスピードメータ等の計器Mが配設される。また、上記インストルメントパネル本体3における開口部3c前方には、上記HUD装置5を固定するための下側取付孔3d及び上側取付孔3e(
図3参照)が形成され、該下側取付孔3dの車幅方向両側には、上記メータフード7を固定するための取付孔3fがそれぞれ形成されている。さらに、上記インストルメントパネル本体3における上記開口部3c中央部の車幅方向両端部に対応する位置にも、上記メータフード7を固定するための取付孔3hが形成されている。上記HUD装置5は、上記走行速度等の画像を映し出すディスプレイ5aと、その下部に一体に設けられ、該ディスプレイ5aに上記画像を投影する装置本体5bとを備え、
図3に示すように、該装置本体5bの背面には、上記下側取付孔3d及び上側取付孔3eにそれぞれ挿入係止する取付部5c,5dが設けられている。このHUD装置5は、上記装置本体5bが上記メータフード7内に収容されて、上記ディスプレイ5aが車室R内に突出するようにインストルメントパネル1に取り付けられている。
【0017】
図6は、上記メータフード7を裏面側から見た全体斜視図である。上記メータフード7は、上下に2分割されていて、上記開口部3cの上部を覆う上側分割体9と、上記計器Mが配設される計器開口部11aが形成された下側分割体11と、を備えている。
【0018】
図7は、上記上側分割体9を裏面側から見た全体斜視図である。上記上側分割体9は、上方に突出するように車幅方向に湾曲状に延びる板状部材からなり、上記ディスプレイ5aが突出する開放部15aが形成された略水平な上面部15と、該上面部15の車幅方向両端から車幅方向外側に向かって下方にそれぞれ傾斜する傾斜面部17と、を備えている。さらに、上記上面部15の上記開放部15aに対応する外周縁には、樹脂製の枠状補強体13が取り付けられ、該補強体13の一部が上記上面部15の裏面に重なっている。
【0019】
上記各傾斜面部17は、上下方向から見て車体後方に行くに従って車幅方向に広がる略三角形状をなしており、その後端が下方に湾曲している。この後端の裏面における車幅方向外側端部には、上記下側分割体11を係止する係止爪17aが形成されている。また、上記各傾斜面部17の裏面中央部には、上記下側分割体11を該各傾斜面部17に固定するためのボス部17bが形成されている。このボス部17bは、ネジ穴が前方に開口するように形成されている。
【0020】
上記上面部15は、車体前方に行くに従って車幅方向に広がっており、車体前後方向中央から前端に亘って端縁がU字状の上記開放部15aが形成されている。また、上記上面部15の後端は、下方に湾曲している。そして、上記上面部15の後端部裏面における車幅方向両端部には、上記下側分割体11を係止するための係止爪15bがそれぞれ形成されている。また、上記上面部15裏面における上記開放部15a後端よりも後側の車幅方向中央には、上記下側分割体11を該上面部15に固定するためのボス部15cが形成されている。このボス部15cの車幅方向両側には、上記補強体13後端を保持する8つの保持部15dが形成されている。これら保持部15dは、2コ一組として4組形成されており、これら4組の保持部15dが車幅方向に間隔をあけて形成されている。各保持部15dには、車体前方に突出する突出部15eが上記上面部15裏面から下方に間隔をあけて設けられている。また、上記開放部15a後端の車幅方向両側には、上記補強体13の車幅方向の位置を決める位置決め片15fがそれぞれ車体前後方向に延びるように形成されている。さらに、上記開放部15a側前端部の車幅方向両側には、上記補強体13を該上面部15に固定するためのボス部15gがそれぞれ形成されている。このボス部15gと上記ボス部15cは、いずれもネジ穴が車体前方に開口するように形成されている。
【0021】
図8は、上記補強体13が取り付けられた状態における上記上側分割体9を裏面側から見た全体斜視図である。上記補強体13は、略コ字状の略平板からなる補強体本体13aを有し、この補強体本体13a裏面の内周縁に縦板部13bが立設し、さらにその外周側に該縦板部13bとの間に凹部を有するように形成された縦壁部13cが形成されている。縦板部13bと縦壁部13cとの間の上記凹部には、該縦板部13b及び縦壁部13cと直交する複数の板状のリブ13dが内周縁に沿って互いに間隔をあけて形成されている。また、補強体本体13a裏面の車幅方向両端部前端には、補強体13を上記インストルメントパネル1に固定するための第1固定部(固定部)13eがそれぞれ形成されている。
【0022】
上記各第1固定部13eは、上記上側分割体9のボス部15g(
図7参照)と係合する係合部13fと、該係合部13fの下端部に設けられたクリップ取付部13gと、を有している。上記係合部13fは、上記補強体本体13a裏面から平行に突出する三角形の2枚の縦面部13hと、該両縦面部13hの前端同士を繋ぐ平面部13iとを備え、該平面部13iには、上記ボス部15gのネジ穴と同軸のネジ挿通孔13jが厚み方向に貫通形成されている。上記クリップ取付部13gは、上記平面部13i下端部から前方に平行に突出する2枚の縦板部13kと、該縦板部13k間を繋ぐ横板部13lとを備えている。上記縦板部13kの先端部は、先端に行くに従って幅狭となるように形成されている。また、上記横板部13lには矩形の取付孔13m(
図10参照)が形成されている。
【0023】
上記下側分割体11は、
図6に示すように、上方に盛り上がるようにアーチ状をなす板部材からなり、その中央部には、車幅方向に延びる上記計器開口部11aが車体前後方向に貫通形成されており、該計器開口部11a外周縁が全周に亘って前方に突出している。この計器開口部11a上端の裏面には、上記下側分割体11を上記上側分割体9に固定するための第2固定部11bが上記ボス部15c,17bと対応する位置に形成されている。各第2固定部11bは、前方に延びる有底角筒状をなし、その底面部には上記ボス部15c,17bのネジ穴と同軸のネジ挿通孔11cが厚み方向に貫通形成されている。車幅方向両側の第2固定部11bの外側には、上記上側分割体9の係止爪17aと係合する係止孔11dがそれぞれ形成されている。尚、
図6では、車幅方向一方側の係止孔11dのみ図示している。さらに、上記下側分割体11下端の車幅方向両端には、該下側分割体11を上記インストルメントパネル1に固定するための第3固定部11eがそれぞれ形成されている。
【0024】
上記各第3固定部11eは、上記下側分割体11の裏面から前方に突出する台座部11fと、該台座部11fに設けられたクリップ取付部11gと、を備えている。上記台座部11fは、前端に鉛直な平面を有し、上記クリップ取付部11gはこの平面から平行に前方に突出する2枚の横板部11hと、該両横板部11hを繋ぐ縦板部11iとを備えている。上記横板部11hの先端部は、先端に行くに従って幅狭となるように形成されている。また、上記縦板部11iには図示しない矩形の取付孔が形成されている。
【0025】
尚、上記下側分割体11の下端部には車幅方向に延びる切欠部11jが形成されており、
図1に示すように、メータフード7が上記開口部3cに取り付けられた状態で図示しないステアリングシャフトが挿通するシャフト挿通部3gが形成される。
【0026】
図9は、上記メータフード7、ネジ19及びクリップ21の分解斜視図である。上記補強体13は、上記補強体本体13aの前端部が上側分割体9の上面部15と上記保持部15dの突出部15eとの間に差し込まれ、該上面部15と該突出部15eとによって上下両側から挟まれることにより、上記上側分割体9に保持されている。このように、補強体13の前端部が上下両側から挟まれて上側分割体9に保持されているので、補強体13をメータフード7に保持する部材を別途設ける必要がない。したがって、部品点数を低減することができる。そして、補強体13の各第1固定部13eのネジ挿通孔13jにネジ19が挿通され、該ネジ19が上記ボス部17bのネジ穴に螺合することにより、補強体13が上側分割体9に固定されている。
【0027】
一方、上記下側分割体11は、上記上側分割体9の裏側から押し付けられ、その過程で上側分割体9の係止爪17aが該下側分割体11の係止孔11dに挿通し、該係止爪17aが該係止孔11d外周縁に係止するとともに、上側分割体9の係止爪15bが該下側分割体11の図示しない係止孔に挿通し、上記係止爪15bが該係止孔の外周縁に係止することにより、該下側分割体11が該上側分割体9に保持されている。さらに、上記下側分割体11の各第2固定部11bのネジ挿通穴11cにネジ19が挿通され、該ネジ19が上記ボス部15c、17bのネジ穴に螺合することにより、下側分割体11が上側分割体9に固定されている。
【0028】
さらに、上記第1固定部13eのクリップ取付部13g及び上記第3固定部11eのクリップ取付部11gに樹脂製のクリップ21が取り付けられている。このクリップ21は、
図9に示すように、先端から二股に分岐した一対の係合片部21aと、該両係合片部21aの内側に一体に形成された一対の爪部21bとからなる。上記各係合片部21aの先端は、内側に折り曲げられており、上記各爪部21bの先端には内側に突出する突起21cが形成されている。そして、このクリップを上記両爪部21bの間に各クリップ取付部11g,13gの横板部11i及び縦板部13lが挟まれた状態で押し付けられ、両突起21cが取付孔13mに嵌りこむことにより、クリップ21が補強体13及び下側分割体11に取り付けられている。
【0029】
次に、HUD装置5及びメータフード7をインストルメントパネル本体3に取り付ける要領を
図2〜5及び
図10を参照して説明すると、先ず、HUD装置5の装置本体5b背面に設けられた上記突起5c,5dを、インストルメントパネル本体3の上記下側取付孔3d及び上側取付孔3c(
図2、3参照)に差し込んで、HUD装置5をインストルメントパネル本体3に固定する。次に、メータフード7を開口部3cに嵌めてインストルメントパネル本体3に後側から押し付け、この過程でクリップ21の係合片部21aを撓ませながらインストルメントパネル本体3の取付孔3f、3hに挿入係合させる。
図10は
図4のX部拡大図である。クリップ21の係合片部21aは、その先端部の基端部が取付孔3f、3hを通過すると復帰して、該先端部が取付孔3f、3h外周縁に係合する。これにより、メータフード7がインストルメントパネル本体3に固定される。以上の要領により、HUD装置5及びメータフード7がインストルメントパネル1に取り付けられる。このように取り付けられた状態で、
図5に示すように、補強体13とHUD装置5の装置本体5bとの間には僅かに隙間が設けられる。したがって、上側分割体9の上面部15が上方から押されると、該上面部15の開放部15aに対応する外周縁は僅かに下方に撓むことができる一方で、補強体13が当該外周縁の剛性を確保しているため、該外周縁の変形を抑制することができる。
【0030】
また、補強体13おける開放部15a側先端に対応する部位に設けられた第1固定部13eがインストルメントパネル本体3に固定されるため、上面部15の開放部15a側先端の剛性が確保され、また、熱変形を効果的に防止することができる。
【0031】
尚、上記実施形態では、開放部15aの先端をインストルメントパネル1に固定する第1固定部13eが補強体13に設けられているが、これに限定されず、上側分割体9に設けられてもよい。
【0032】
また、上記実施形態では、補強体13がメータフード7裏面に形成された保持部15dによって保持されているが、これに限定されず、例えば、クリップ等の係合片及びタッピングネジ等によって保持されてもよい。ただし、部品点数低減の観点から、上記実施形態のようにメータフード7に形成された保持部15dによって保持されるのが好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0033】
以上説明したように、本発明に係るインストルメントパネルは、メータフードの開放部外周縁の変形を防止する用途等に適用することができる。
【符号の説明】
【0034】
1 インストルメントパネル
3 インストルメントパネル本体
3c 開口部
5 ヘッドアップディスプレイ装置(HUD装置)
7 メータフード
13 補強体
13e 第1固定部(固定部)
15 上面部
15a 開放部
15d 保持部
15e 突出部
R 車室