(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
所定の停止条件が成立したときに車両のエンジンを自動停止させ、その後に所定の始動条件が成立したときに前記エンジンを自動始動する車両に設けられて、前記エンジンの自動停止及び自動始動を制御可能なアイドルストップ&スタート制御装置であって、
フットブレーキのオン状態又はオフ状態を検出するブレーキスイッチと、
前記フットブレーキの踏込強さを検出するブレーキ踏込強さ検出手段と、
前記ブレーキ踏込強さ検出手段によって検出された検出値が予め設定された所定値を超えた場合に、当該所定値を超えた踏込時間をカウントする踏込タイマーと、
前記踏込タイマーによりカウントされた踏込時間が予め設定された規定時間以上か否かを判定する踏込時間判定手段と、
前記所定の停止条件が成立してからの経過時間をカウントする経過時間タイマーと、を備え、
前記所定の停止条件は、前記ブレーキスイッチによる検出結果がオン状態で、且つ、前記踏込時間判定手段によって前記踏込時間が前記規定時間以上であることを含み、前記経過時間タイマーが所定時間以上をカウントすると前記エンジンを自動停止させることを特徴とするアイドルストップ&スタート制御装置。
前記所定の停止条件が成立してから前記所定時間が経過するまでの間は点滅し、且つ前記エンジンが自動停止している間は点灯する表示ランプを備えることを特徴とする請求項1又は2に記載のアイドルストップ&スタート制御装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載のアイドルストップ&スタート制御装置では、一瞬だけブレーキを強く踏んで急ブレーキをかけることによって安全が確保され、それ以降、ブレーキを軽く踏んだ状態では、所定の停止条件を満たすため、エンジンが自動停止する。運転手は、急ブレーキを踏んだものの安全が確保され、その後、ブレーキを軽く踏んで、直ちに発進する意思を持っているときに、エンジンが自動停止すると、運転手は不快感を持ってしまう。
さらに、運転手が発進する意思を持っているときに、エンジンが自動停止すると、エンジン始動のために発生する発進遅れにより走行フィーリングを悪化させてしまう。よって、エンジンの自動停止の可否をより的確に判定可能なアイドルストップ&スタート制御装置の開発が要望されていた。
【0007】
そこで本発明は、上述したような従来技術の状況の下になされた発明であって、フットブレーキの操作によって運転手が違和感なくエンジンを自動停止することができるアイドルストップ&スタート制御装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上述したような従来技術における課題を解決するために発明されたものであり、本発明のアイドルストップ&スタート制御装置は、所定の停止条件が成立したときに車両のエンジンを自動停止させ、その後に所定の始動条件が成立したときに前記エンジンを自動始動する車両に設けられて、前記エンジンの自動停止及び自動始動を制御可能なアイドルストップ&スタート制御装置であって、
フットブレーキのオン状態又はオフ状態を検出するブレーキスイッチと、
前記フットブレーキの踏込強さを検出するブレーキ踏込強さ検出手段と、
前記ブレーキ踏込強さ検出手段によって検出された検出値が予め設定された所定値を超えた場合に、当該所定値を超えた踏込時間をカウントする踏込タイマーと、
前記踏込タイマーによりカウントされた踏込時間が予め設定された規定時間以上か否かを判定する踏込時間判定手段と、
前記所定の停止条件が成立してからの経過時間をカウントする経過時間タイマーと、を備え、
前記所定の停止条件は、前記ブレーキスイッチによる検出結果がオン状態で、且つ、前記踏込時間判定手段によって前記踏込時間が前記規定時間以上である
ことを含み、前記経過時間タイマーが所定時間以上をカウントすると前記エンジンを自動停止させることを特徴とする。
【0009】
本発明のアイドルストップ&スタート制御装置によれば、ブレーキを所定値よりも強く、且つ規定時間以上、例えば1又は2秒以上、踏み込んだ場合にのみエンジンを自動停止する。ブレーキを強く踏み込んだときは、停止の意思が明確であるため、ブレーキを強く踏み込んだ後にエンジンが自動停止しても運転手は不快感を持つことはない。また、エンジンの自動停止を行うか否かをフットブレーキの踏込時間で決定することができるため、運転手の操作上の違和感を取り除くことができる。
そして、運転手がエンジンを自動停止させたい場合には、フットブレーキを規定時間だけ強く踏み込めば良いため、ブレーキを強く長時間踏み込み続ける必要が無い。このため、運転手の自然な停車操作でエンジンを自動停止させることが可能となる。
ところで、ブレーキを軽く踏む動作は、交差点内で一時停止しているときのように、運転手が直ちに発進する意思を持っている場合が多いため、エンジンが自動停止すると運転手は不快感を持ってしまう。しかし、本発明のアイドルストップ&スタート制御装置によれば、ブレーキを軽く踏んでいるだけでは、エンジンンの自動停止は行われないため、運転手に不快感を与えることがない。
また、一瞬だけブレーキを強く踏んで急ブレーキをかけることによって安全が確保され、それ以降、ブレーキを軽く踏んでいる場合等にもエンジンが自動停止すると運転手は不快感を持ってしまう。しかしながら、本発明のアイドルストップ&スタート制御装置によれば、単にブレーキを強く踏み込むだけではエンジンンの自動停止は行われず、規定時間以上、強く踏み込まれた場合に自動停止するため、運転者の意思が反映されており、運転手に不快感を与えることがない。
【0010】
また
、前記経過時間タイマーによる経過時間のカウント中に、シフトレバーのレンジ位置変更の有無を検出するレンジ変更検出手段と、
前記車両が停止した場合及び前記レンジ変更検出手段によってレンジ位置の変更有りと検出された場合にそれぞれシフトレバーの位置を検出するレンジ位置検出手段と、
前記レンジ変更検出手段によってレンジ位置の変更有りと検出された場合に、前記レンジ位置検出手段によって検出された前記車両が停止した際のレンジ位置がDレン
ジ及びNレンジの何れかで、且つレンジ位置変更後のレンジ位置がDレン
ジ及びNレンジの何れかであるか否かを判定するレンジ位置判定手段と、を備え、
前記レンジ位置判定手段によって、前記車両が停止した際のレンジ位置がDレン
ジ及びNレンジの何れかであり、且つレンジ位置変更後のレンジ位置がDレン
ジ及びNレンジの何れかであると判定された場合に、前記レンジ変更検出手段によってレンジ位置の変更有りと検出されたにも関わらず、前記経過時間タイマーによる経過時間が予め設定された所定時間を経過するまでは前記エンジンを自動停止させないこととしてもよい。
【0011】
このように、所定の停止条件が成立した後に、シフトレバーのレンジ位置が変更されても、所定時間内ではエンジンを自動停止させずに、当該所定時間が経過したらエンジンを自動停止させることができる。
なお、本明細書中のDレンジ、Mレンジ、Nレンジとは、それぞれ走行レンジ、マニュアルレンジ、中立レンジを示している。
従来は所定の停止条件成立後にシフトレバーのレンジ位置が変更されると、所定の停止条件及び経過時間がリセットされ、レンジ位置変更後に、再び所定の停止条件が成立しているか否かを確認し、停止条件が成立していることを確認してから経過時間をカウントしている。したがって、レンジ位置変更後は、所定の停止条件を満たすべく、再びブレーキを強く踏み込む必要がある。このため、レンジ位置の変更によって停止条件がリセットされることを運転手が失念している場合、運転手は再びブレーキを強く踏み込まないため、所定の停止条件を満たさず、エンジンは自動停止しない。このとき、運転手は、エンジンが自動停止しないため、不快感を持ってしまう。
しかし、本発明のアイドルストップ&スタート制御装置では、所定の停止条件の成立した後にシフトレバーのレンジ位置が変更されても、所定の停止条件をリセットしないため、所定時間が経過したら、エンジンを自動停止させることができる。これにより、運転手が再びブレーキを強く踏み込む必要がなくなるため、ユーザーフレンドリーな操作方法を提供できる。
【0012】
また、前記所定の停止条件が成立してから前記所定時間が経過するまでの間は点滅し、且つ前記エンジンが自動停止している間は点灯する表示ランプを備えてもよい。
【0013】
このように、所定の停止条件が成立してから所定時間が経過するまでの間は点滅するため、運転手は、間もなくエンジンが自動停止することを予測することができる。これにより、エンジンが自動停止しても、運転手は故障では無くアイドルストップ&スタート制御によってエンジンが自動停止したことを確認できる。また、エンジンが自動停止している間は点灯するため、アイドルストップ&スタート制御によってエンジンが停止していることを確認できる。したがって、これらが相俟って運転手に安心感を与えることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、フットブレーキの操作によって運転手が違和感なくエンジンを自動停止することができるアイドルストップ&スタート制御装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。ただし、本発明の範囲は以下の実施形態に限定されるものではない。以下の実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に記載がない限り、本発明の範囲をそれにのみ限定する趣旨ではなく、単なる説明例に過ぎない。
【0017】
図1は、本発明の実施形態に係る車両のアイドルストップ&スタート制御装置に関係する部分の概略構成を示す図である。
図1に示すように、車両1のエンジン10の動力系統下流側に装着されているクラッチ装置3を介して自動変速機(以下、単に変速機7と略称する)に、エンジン10の動力が伝達されるようになっている。
クラッチ装置3はエンジン10の動力を変速機7に伝達又は遮断する装置である。
【0018】
変速機7には、変速段レンジを検出するギヤ位置センサ4と、変速段を切換えるためのギヤシフトユニット5が設けられている。
ギヤシフトユニット5は、変速機7内の各変速段に対応するシフトフォークを作動させる複数のエアシリンダ、及び各エアシリンダを作動させる複数の電磁弁を内蔵している。ギヤシフトユニット5は電磁弁の開閉に応じてエアシリンダが作動する。
変速機7はエアシリンダの作動によって自動的に変速操作可能になっている。
【0019】
図2は、本発明の実施形態に係るアイドルストップ&スタート制御装置の構成を示すブロック図である。
図2に示すように、車両1は、所定の停止条件が成立したときにエンジン10を自動停止させ、その後に所定の始動条件が成立したときにエンジン10を自動始動するアイドルストップ&スタート制御装置2と、当該アイドルストップ&スタート制御装置2からのエンジン停止要求を受けてエンジン10を停止又は始動させるエンジンECU20と、を備えている。
【0020】
アイドルストップ&スタート制御装置2は、エンジン10の停止条件が成立したときにエンジン停止要求を発するISS−ECU30を備えている。
【0021】
ISS−ECU30およびエンジンECU20は、CAN(コントロール・エリア・ネットワーク)50を介して相互に結ばれている。
ISS−ECU30はCAN50を介してエンジン停止許可信号をエンジンECU20へ出力する。また、エンジンECU20はCAN50を介してエンジン停止要求に対する受理信号をISS−ECU30へ出力することで互いに関連して動作する。
【0022】
アイドルストップ&スタート制御装置2は、エンジン10の停止条件を判定するエンジン停止条件判定手段31を備えている。エンジン停止条件判定手段31は、ISS−ECU30内に設けられている。
エンジン10の停止条件には、車両1が停止(車速=0で、且つアクセル操作量=0(アクセル操作がオフ状態))しており、フットブレーキを踏んでいる状態(ブレーキ操作がオン状態)であること、シフトレバー17のレンジ位置がNレンジ、Dレンジ、Mレンジの何れかであること、フットブレーキを規定時間以上、強く踏み込むことが含まれている。
【0023】
これらの停止条件を検出する手段として、アイドルストップ&スタート制御装置2は、フットブレーキのオン状態又はオフ状態を検出するブレーキスイッチ11と、フットブレーキの踏込強さを検出するブレーキ踏込強さ検出手段12と、を備えている。
【0024】
ブレーキスイッチ11は、ブレーキペダル9が踏み込まれるとブレーキON信号を作成し、エンジンECU20へ出力する。
【0025】
また、ブレーキ踏込強さ検出手段12は、ブレーキ液の圧力を検出する圧力センサであり、ブレーキペダル9が強く踏み込まれると、高いブレーキ圧を検出する。ブレーキ踏込強さ検出手段12によって検出されたブレーキ圧はエンジンECU20へ出力される。
そして、フットブレーキのON信号及びブレーキ圧は、エンジンECU20からISS−ECU30へ出力される。
【0026】
また、アイドルストップ&スタート制御装置2は、フットブレーキを強く踏み込んでからの踏込時間をカウントする踏込タイマー32と、ブレーキを強く踏み込んだ時間が規定時間以上か否かを判定する踏込時間判定手段33と、を備えている。
【0027】
踏込タイマー32は、ブレーキ圧が予め設定された所定値を超えた踏込時間を検出する。即ち、ブレーキが連続して強く踏み込まれた踏込時間をカウントする。踏込タイマー32によってカウントされた踏込時間は踏込時間判定手段33に出力される。
【0028】
踏込時間判定手段33は、踏込タイマー32によりカウントされた踏込時間が予め設定された規定時間以上か否かを判定する。
本実施形態では、規定時間を1秒とした。即ち、ブレーキ圧が予め設定された所定値を超えてから連続して1秒以上経過したか否かを判定する。
踏込時間判定手段33は、踏込時間が規定時間以上であると判定した場合に、踏込条件許可信号を作成する。
踏込条件許可信号は、エンジン停止条件判定手段31に出力される。
【0029】
さらに、アイドルストップ&スタート制御装置2は、レンジ位置検出センサ13(レンジ位置検出手段に相当)と、アクセルセンサ15と、車速センサ16と、を備えている。
【0030】
レンジ位置検出センサ13は、車両1のシフトレバー17の位置を検出する。
また、アクセルセンサ15は、アクセルペダル18の操作量を検出する。
そして、車速センサ16は、変速機7の出力軸8に設けられており、出力軸8の回転数から車速を検出する。
レンジ位置検出センサ13、アクセルセンサ15及び車速センサ16によってそれぞれ検出された検出結果は、エンジンECU20に出力され、当該エンジンECU20からISS−ECU30へ出力される。
【0031】
また、アイドルストップ&スタート制御装置2は、レンジ位置検出センサ13によって検出されたシフトレバー17が所望のレンジ位置であるか否かを判定するレンジ位置判定手段35を備えている。
レンジ位置判定手段35は、レンジ位置検出センサ13により検出された結果に基づいて、車両1が停止した際のシフトレバー17のレンジ位置が、Dレンジ、Mレンジ及びNレンジの何れかであるか否かを判定する。
そして、レンジ位置判定手段35は、レンジ位置がDレンジ、Mレンジ及びNレンジの何れかであると判定した場合に、レンジ位置が所望の位置であることを示すレンジ位置許可信号を作成する。レンジ位置許可信号は、エンジン停止条件判定手段31に出力される。
【0032】
エンジン停止条件判定手段31は、車速センサ16によって検出された車速、アクセルセンサ15によって検出されたアクセル操作量、ブレーキスイッチ11によるブレーキ操作ON信号、レンジ位置判定手段によるレンジ位置許可信号、及び踏込時間判定手段による判定条件許可結果に基づいて、エンジン10の停止条件が成立したか否かを判定する。
具手体的に、エンジン停止条件判定手段31は、車速=0、アクセル操作量=0で、ブレーキON信号、レンジ位置許可信号及び踏込条件許可信号を受信した場合に、エンジン10の停止条件が成立したと判定する。
【0033】
エンジン10の停止条件が成立したら、エンジン停止条件判定手段31は、停止条件が成立したことを示すエンジン停止許可信号を作成する。
エンジン停止許可信号は、エンジン停止条件判定手段31からエンジンECU20へ出力される。
【0034】
また、エンジン10の停止条件が成立したら、エンジン停止条件判定手段31は、アイドルストップ&スタートが準備状態であることを示す準備信号を作成する。作成された準備信号は、エンジン停止条件判定手段31から表示制御手段36へ出力される。
【0035】
表示制御手段36は、準備信号に基づいて、ISS表示灯40を点滅させるための点滅信号を作成する。作成された点滅信号は、表示制御手段36からISS表示灯40へ出力される。
ISS表示灯40は、点滅信号に基づいて点滅駆動する。
【0036】
また、アイドルストップ&スタート制御装置2は、エンジン10の停止条件が成立した後の経過時間を検出する経過時間タイマー34を備えている。
経過時間タイマー34は、エンジン停止条件判定手段31によってエンジン10の停止条件が成立したと判定されてからの経過時間をカウントする。
経過時間タイマー34によってカウントされる経過時間は、エンジンECU20に出力される。
【0037】
さらに、アイドルストップ&スタート制御装置2は、経過時間タイマー34の作動中におけるシフトレバー操作によるレンジ位置の変更の有無を検出するレンジ変更検出手段14を備えている。レンジ変更検出手段14は、エンジンECU20内に設けられている。
レンジ変更検出手段14は、経過時間タイマー34が作動中に、シフトレバー17が操作されてレンジ位置が変更されたことの有無を検出する。例えば、エンジン10の停止条件が成立した後に、シフトレバー17をDレンジからNレンジに変更したり、NレンジからDレンジへ変更したりしたことを検出する。
レンジ変更検出手段14により、レンジ位置が変更されたことを検出されたら、レンジ位置検出センサ13は、レンジ位置の変更後におけるシフトレバー17のレンジ位置を検出する。
【0038】
一般的な従来の車両では、経過時間タイマー34が作動中、即ちエンジン10の停止条件が成立した後に、シフトレバー17が操作されてレンジ位置が変更されると、停止条件及び経過時間タイマー34はリセットされ、レンジ位置変更後に、再び停止条件を判定して経過時間タイマー34のカウントが開始されるが、本発明のアイドルストップ&スタート制御装置2では、経過時間タイマー34が作動中にレンジ位置が変更されても、変更後のシフトレバー17のレンジ位置がDレンジ、Mレンジ及びNレンジの何れかであれば(詳細は後述する)、経過時間タイマー34をリセットすることなく、カウントを継続する。
レンジ位置変更後に、レンジ位置検出センサ13によって検出された検出結果は、エンジンECU20に出力され、当該エンジンECU20からISS−ECU30へ出力される。
【0039】
経過時間タイマー34が作動中に、シフトレバー17が操作されてレンジ位置が変更された場合、レンジ位置判定手段35は、シフトレバー17の変更前後でレンジ位置が、Dレンジ、Mレンジ及びNレンジの何れかであるか否かを判定する。
具体的には、シフトレバー変更前(停止条件成立前)のレンジ位置が、Dレンジ、Mレンジ及びNレンジの何れかで、且つレンジ位置変更後のレンジ位置が、Dレンジ、Mレンジ及びNレンジの何れかであるか否かを判定する。
【0040】
そして、レンジ位置判定手段35は、シフトレバー変更前(停止条件成立前)のレンジ位置がDレンジ、Mレンジ及びNレンジの何れかであり、且つレンジ位置変更後のレンジ位置がDレンジ、Mレンジ及びNレンジの何れかであると判定した場合に、レンジ位置が所望の位置であることを示すレンジ位置許可信号を作成する。係る場合には、レンジ変更検出手段14によってレンジ位置の変更が検出されたにも関わらず、経過時間タイマー34はカウントを停止せずに、そのまま継続する。
レンジ位置許可信号は、エンジン停止条件判定手段31に出力される。
【0041】
また、アイドルストップ&スタート制御装置2は、エンジン10の自動停止を実行するエンジン停止制御手段21を備えている。エンジン停止制御手段21は、エンジンECU20内に設けられている。
エンジン停止制御手段21は、エンジン停止条件判定手段31からのエンジン停止許可信号に基づいてエンジン10を停止する準備を行う。即ち、エンジン停止許可信号を受信した状態では、まだエンジン10を停止させない。
さらに、エンジン停止制御手段21は、エンジン停止許可信号を受信したら、続いて、経過時間タイマーから出力される経過時間が予め設定された所定時間以上か否かを判定する。
エンジン停止制御手段21は、経過時間が所定時間以上である、即ち、経過時間が所定時間を経過したと判定した場合、エンジン10を停止させるとともに、エンジン10を停止させる旨の受理信号を作成する。受理信号は、ISS−ECU30へ出力される。
【0042】
そして、表示制御手段36は、受理信号に基づいてアイドルストップ&スタート状態であることを示す点灯信号を作成する。作成された点灯信号は、ISS表示灯40へ出力される。
ISS表示灯40は、点灯信号に基づいて、ISS表示灯40を連続点灯する。
【0043】
上述した構成からなるアイドルストップ&スタート制御装置2の制御フローについて以下で説明する。
【0044】
図2は、本発明の実施形態に係るアイドルストップ&スタート制御装置2の制御フローを示す図である。
図2に示すように、まず、ブレーキスイッチ11、ブレーキ踏込強さ検出手段12、レンジ位置検出センサ13、アクセルセンサ15、車速センサ16等からの各検出値を入力(ステップS1)したうえで、続いて、車両1が停止しているか否かを判定する(ステップS2)。
本実施形態では、車速=0、且つアクセル操作量=0の状態を車両1が停止しているとした。
【0045】
車両1が停止していないと判定された場合(ステップS2:NO)、エンジン自動停止は不実行とする(ステップS3)。
一方、車両1が停止していると判定された場合(ステップS2:YES)、続いて自動停止前提条件が成立しているか否かを判定する(ステップS4)。
自動停止前提条件の判定では、一般的な前提条件であるエンジン10の水温、路面勾配等の状態が予め設定された条件を満たしているか否かを判定する。
【0046】
自動停止前提条件が成立していないと判定された場合(ステップS4:NO)、エンジン自動停止は不実行とする(ステップS3)。
一方、自動停止前提条件が成立していると判定された場合(ステップS4:YES)、続いてレンジ位置検出センサ13にてシフトレバー17のレンジ位置を検出する(ステップS5)。
【0047】
次に、レンジ位置判定手段35は、レンジ位置検出センサ13により検出されたレンジ位置がDレンジ、Mレンジ、Nレンジの何れかであるか否かを判定する(ステップS6)。
【0048】
レンジ位置が、Dレンジ、Mレンジ及びNレンジ以外の例えば、R(後退)レンジであると判定した場合、(ステップS6:NO)、エンジン自動停止は不実行とする(ステップS3)。
一方、レンジ位置が、Dレンジ、Mレンジ、Nレンジの何れかであると判定した場合(ステップS6:YES)、続いて、ブレーキが強く踏み込まれたか否かを判定する(ステップS7)。
具体的には、ブレーキ踏込強さ検出手段12によってブレーキ圧を検出し、当該ブレーキ圧が予め設定された所定値を超え、且つ、当該所定値を超えて踏み込まれた時間が予め設定された規定時間以上か否かを判定する。
【0049】
ブレーキ圧が所定値を超えて、且つ当該所定値を超えて規定時間以上踏み続けられた場合に、ブレーキが強く踏まれたと判定する。
一方、ブレーキ圧が所定値を超えていない場合やブレーキ圧が所定値を超えていても規定時間以上踏み込まれていない場合は、ブレーキが強く踏まれていないと判定する。
【0050】
そして、ブレーキが強く踏まれていないと判定した場合(ステップS7:NO)、エンジン10を停止させる運転手の意思表示が無いものとして、エンジン自動停止は不実行とする(ステップS3)。
また、ブレーキが強く踏まれたと判定した場合(ステップS7:YES)、続いて、所定の自動停止条件が成立したか否かを判定する(ステップS8)。
【0051】
エンジン停止条件判定手段31は、車両1が停止(車速=0で、且つアクセル操作量=0)状態で、ブレーキON信号、レンジ位置許可信号及び踏込条件許可信号を全て受信した場合に、エンジン10の停止条件が成立したと判定する。
これらのうち、何れか一つでも満たしていない場合は、エンジン10の停止条件は不成立であると判定(ステップS8:NO)して、エンジン自動停止は不実行とする(ステップS3)。
一方、エンジン10の停止条件が成立したと判定した場合(ステップS8:YES)、エンジン停止条件判定手段31は、エンジン停止許可信号をエンジンECU20へ出力する。
エンジン停止制御手段21は、エンジン停止許可信号に基づいて、エンジン10を停止するための準備を行う。
【0052】
次に、経過時間タイマー34によって経過時間のカウントを開始する(ステップS9)。
【0053】
続いて、経過時間のカウント中に、シフトレバー17のレンジ位置の変更が有るか否かを判定する(ステップS10)。
レンジ位置の変更の有無は、レンジ変更検出手段14により検出される。例えば、シフトレバー17をDレンジからNレンジに変更したり、NレンジからDレンジへ変更したりしたことを検出する。
シフトレバー17のレンジ変更が有ったと判定された場合(ステップS10:YES)、続いて、レンジ位置検出センサ13によりレンジ変更後のレンジ位置を検出する(ステップS11)。
【0054】
次に、レンジ位置検出センサ13により検出されたレンジ位置が、Dレンジ、Mレンジ、Nレンジの何れかであるか否かを判定する(ステップS12)。
変更後のレンジ位置が、Dレンジ、Mレンジ、Nレンジの何れかである場合(ステップS12:YES)、続いて、ステップS8と同様に、所定の自動停止条件が成立したか否かを判定する(ステップS13)。
経過時間のカウント中にブレーキOFF操作等が行われて自動停止条件を満たさなくなる場合があるため、後述する経過時間判定(ステップS14)前に再度、自動停止条件が成立したか否かを判定する。
エンジン停止条件判定手段31は、車両1が停止(車速=0で、且つアクセル操作量=0)状態で、ブレーキON信号、レンジ位置許可信号及び踏込条件許可信号を全て受信した場合に、エンジン10の停止条件が成立したと判定する。
これらのうち、何れか一つでも満たしていない場合は、エンジン10の停止条件は不成立であると判定(ステップS13:NO)して、エンジン停止許可信号を取り下げてエンジン自動停止は不実行とする(ステップS3)。
一方、エンジン10の停止条件が成立したと判定した場合(ステップS13:YES)、エンジン停止条件判定手段31は、引き続きエンジン停止許可信号をエンジンECU20へ出力し続ける。これにより、エンジン停止制御手段21は、エンジン停止許可信号に基づいて、エンジン10を停止するための準備を引き続き実施する。
そして、ステップS13がYESの場合、続いて、経過時間タイマー34による経過時間が所定時間、例えば8秒以上経過したか否かを判定する(ステップS14)。
なお、本実施形態では、所定時間を8秒としたが、この値に限定されるものではなく、車両1が停止した際のレンジ位置(エンジン10の停止条件成立前のレンジ位置)又は変更後のレンジ位置等によって時間を適宜設定することができる。
【0055】
経過時間タイマー34による経過時間が8秒以上経過していない場合(ステップS14:NO)は、ステップS14でYES判定となるように、レンジ位置や自動停止条件成立を監視し続けることを目的として、再びステップS10に戻り、経過時間のカウント中に、シフトレバー17のレンジ位置の変更が有るか否かを判定する。
一方、経過時間タイマー34による経過時間が8秒以上経過した場合(ステップS14:YES)、続いて、エンジン停止制御手段21は、エンジン10の自動停止制御を実行してエンジン10を停止する(ステップS15)。
【0056】
ところで、ステップS10において、シフトレバー17のレンジ位置の変更は無いと判定された場合(ステップS10:NO)、続いて、ステップS13を実施する。
【0057】
上述した本実施形態に係るアイドルストップ&スタート制御装置2によれば、ブレーキを規定時間以上、強く踏み込んだ場合にのみエンジン10が自動停止する。ブレーキを強く踏み込む動作は、車両1を確実に停止させる場合に行われるため、ブレーキを強く踏み込む動作を行った後にエンジン10が自動停止しても運転手は不快感を持つことはない。
また、運転手が、エンジン10の自動停止を行うか否かをフットブレーキの踏込時間で決定することができるため、運転手の操作上の違和感を取り除くことができる。
そして、フットブレーキを規定時間だけ強く踏み込めば良いため、ブレーキを強く長時間踏み込み続ける必要が無い。このため、運転手の自然な停車操作でエンジン10を自動停止させることが可能となる。
【0058】
ところで、ブレーキを軽く踏み込む動作は、交差点内等で直ちに発進する場合が多いため、エンジン10が自動停止すると運転手は不快感を持ってしまう。しかし、本発明のアイドルストップ&スタート制御装置2によれば、ブレーキを軽く踏んでいるだけでは、エンジン10ンの自動停止は行われないため、運転手に不快感を与えることがない。
また、一瞬だけブレーキを強く踏んで急ブレーキをかけることによって安全が確保され、それ以降、ブレーキを軽く踏んでいる場合等にもエンジン10が自動停止すると運転手は不快感を持ってしまう。しかしながら、本発明のアイドルストップ&スタート制御装置2によれば、単にブレーキを強く踏み込むだけではエンジン10ンの自動停止は行われず、規定時間以上、強く踏み込まれた場合に自動停止するため、運転手の意思が反映されており、運転手に不快感を与えることがない。
【0059】
そして、ブレーキを強く踏み込んで所定の停止条件が成立した後に、シフトレバー17のレンジ位置が変更されても、予め設定された所定時間が経過したら、エンジン10を自動停止させることができる。
例えば、所定の停止条件の成立から所定時間が経過したときにエンジン10を自動停止する場合に、従来は所定の停止条件成立後にシフトレバー17のレンジ位置が変更されると、所定の停止条件及び経過時間がリセットされ、レンジ位置変更後に、再び所定の停止条件が成立しているか否かを確認し、停止条件成立後から経過時間を検出している。したがって、レンジ位置変更後は、所定の停止条件を満たすべく、再びブレーキを強く踏み込む必要がある。このため、レンジ位置の変更によって停止条件がリセットされることを運転手が失念している場合、運転手は再びブレーキを強く踏み込まないため、所定の停止条件を満たさず、エンジン10が自動停止しない。このとき、運転手はエンジン10が自動停止しないため、不快感を与えてしまう。
しかし、本発明のアイドルストップ&スタート制御装置2では、シフトレバー17のレンジ位置が変更されても、所定の停止条件をリセットしないため、所定時間が経過したら、エンジン10を自動停止させることができる。これにより、運転手が再びブレーキを強く踏み込む必要がなくなるため、ユーザーフレンドリーな操作方法を提供できる。
【0060】
さらに、所定の停止条件が成立してから所定時間が経過するまでの間は点滅するため、運転手は、間もなくエンジン10が自動停止することを予測することができる。これにより、エンジン10が自動停止しても、運転手は故障では無くアイドルストップ&スタート制御によってエンジン10が自動停止したことを確認できる。
また、エンジン10が自動停止している間は点灯するため、アイドルストップ&スタート制御によってエンジン10が停止していることを確認ができる。したがって、これらが相俟って運転手に安心感を与えることができる。