(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0020】
発明の詳細な説明
無制御細胞増殖が全ての癌の根底にある原因であるため、この無制御細胞増殖を減らす、または防ぐ化合物、組成物、および方法は、癌に対する有効な治療となるであろう。本明細書は、癌細胞により示される無制御細胞増殖を減らす、または防ぐことができる化合物、組成物、および方法を開示する。一部の化合物は、チオキサントンベースオートファジー阻害剤(TAPI)および癌治療オートファジー誘導化合物(CTAPIC)を含む。TAPIは、腫瘍細胞のオートファジー媒介生存を阻害し、それらの細胞に対し代謝ストレス、低酸素および癌治療、例えば、化学療法、放射線療法、または免疫療法、ホルモン療法等の標的療法、または血管新生阻害剤療法の影響をより受けやすくする。CTAPICは、それらの作用機序の結果として、オートファジーを誘導する従来の化学療法または標的療法薬である。驚くべきことに、TAPIとCTAPICは、腫瘍細胞に対し逆の効果を有するが、TAPIとHDACI化合物の組み合わせが、治療上有益な効果を大きく改善し、さらに有効な癌治療を提供する相乗効果を与えることが明らかになった。この知見の当然の結果として、照射治療もまたオートファジーを誘導するために、 TAPIおよび照射治療の組み合わせ治療は、相乗的に有益な癌治療をもたらす。
【0021】
本明細書の態様では、一部では、チオキサントンベースオートファジー阻害剤(TAPI)を開示する。実施例のセクションで示されるように、TAPIは、オートファジーを阻害し、リソソーム機能を破壊し、カテプシンD発現を誘導し、癌細胞に対し細胞障害性であり、p53状態とは独立した抗癌活性を有し、さらにCTAPICの抗癌活性を高める。本明細書で開示の方法で有用なTAPIは、結合した塩基およびリン酸ジエステル結合の無いデオキシリボース糖環に似ているように見える、結合した短鎖を有する任意のチオキサントンベース化合物を含む。TAPIの非制限的例には、ルカントン(ミラシルD)、1−((2−(ジエチルアミノ)エチル)アミノ)−4−メチルチオキサンテン−9−オン、ヒカントン1−(2−ジエチルアミノエチルアミノ)−4−(ヒドロキシメチル)−9−チオキサンテノン、ルカントンおよびヒカントンのインダゾール類似体、(WIN33377)N−[[1−[[2−(ジエチルアミノ)エチル]アミノ]−9−オキソ−9H−チアキサンテン−4−イル]メチル]メスアンスルホンアミド、ならびに生理学的に許容される誘導体、類似体、およびその塩が含まれる。他のチオキサントン脱プリン塩基/脱ピリミジン塩基エンドヌクレアーゼ阻害剤が、例えば、Thomas Corbett、et al.、N−[[1−[[2−(ジエチルアミノ)エチル]アミノ]−9−オキソ−9H−チアキサンテン−4−イル]メチル]メスアンスルホンアミド(WIN33377)および類似体の抗腫瘍活性、Exp.Opin.Invest.Drugs3:1281−1292(1994);およびMark P.Wentland、et al.、N−[[1−[[2−(ジエチルアミノ)エチル]アミノ]−9−オキソ−9H−チアキサンテン−4−イル]メチル]メスアンスルホンアミド(WIN33377)および関連誘導体の抗固形腫瘍効力および調製、Bioorg.Med.Chem.Lett.4:609−614(1994)、に記載されている。これらのそれぞれは、参照によってその全体が組み込まれる。
【0022】
この実施形態の態様では、TAPIは、1−((2−(ジエチルアミノ)エチル)アミノ)−4−メチルチオキサンテン−9−オン、1−(2−ジエチルアミノエチルアミノ)−4−(ヒドロキシメチル)−9−チオキサンテノン、またはN−[[1−[[2−(ジエチルアミノ)エチル]アミノ]−9−オキソ−9H−チアキサンテン−4−イル]メチル]メタンスルホンアミドである。これらの化合物の化学構造を以下に示す。
【化1】
チオキサンテノン
【化2】
ルカントン(ミラシルD)
1−((2−(ジエチルアミノ)エチル)アミノ)−4−メチルチオキサンテン−9−オン
【化3】
ヒカントン
1−(2−ジエチルアミノエチルアミノ)−4−(ヒドロキシメチル)−9−チオキサンテノン
【化4】
WIN−33377(SR−233377)
N−[[1−[[2−(ジエチルアミノ)エチル]アミノ]−9−オキソ−9H−チアキサンテン−4−イル]メチル]メタンスルホンアミド
【0023】
本明細書の一部の態様では、癌治療オートファジー誘導化合物が開示される。癌治療オートファジー誘導化合物(CTAPIC)は、広範な癌の治療に有用で、それにも拘わらずオートファジーを誘導し、それによりアポトーシスを阻害する抗癌化合物の種類に属する。多くの癌治療薬は、オートファジーを誘導する。理由は、それらが因子枯渇または飢餓を模倣することにより、損傷(細胞障害性の化学療法)、代謝ストレス(血管新生阻害剤、2−デオキシグルコース)を誘導し、または増殖シグナル伝達経路を遮断する(標的化無細胞毒性剤、キナーゼ阻害剤)からである。CTAPICは、それ自体、化学療法および標的療法化合物類似免疫療法、ホルモン療法、または血管新生阻害剤化合物を含む。このような化合物の非制限的例には、抗血管新生化合物、チロシンキナーゼ阻害剤、血管内皮細胞増殖因子受容体(VEGFR)阻害剤、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤、ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤、mTOR阻害剤、解糖阻害剤、およびビタミンD類似体ならびにレチノイド化合物が含まれる。他のCTAPICには、これらに制限されないが、三酸化ヒ素、ベバシズマブドカルボプラチンI/II、ボルテゾミブ、デオキシグルコース、ドセタキセル、エンドスタチン、エトポシド、エベロリムス、ゲフィチニブ、イマチニブ、イクサベピロン、ロナファーニブ、ラパマイシン、リンゴ酸スニチニブ、タモキシフェン、テモゾロミド、およびテムシロリムスが含まれる。
【0024】
本明細書の一部の態様では、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤が開示される。ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤(HDAC阻害剤、HDACI、またはHDI)は、HDACの機能と干渉する化合物の種類に属し、ヒストンの高アセチル化をもたらし、それにより遺伝子発現に影響を及ぼすことができる。HDAC阻害剤は、化学構造に従って分類され、クラス1、2、および4のHDACに対して異なる特異性と親和性が与えられている。HDAC阻害剤の中で、最も強力なのは、ヒドロキサマートタイプ(ヒドロキサム酸タイプ)HDAC阻害剤であり、これは、乳癌に対し用量依存性抗腫瘍活性を示し、皮膚T細胞リンパ腫治療用として最近承認された。ヒドロキサマートタイプHDAC阻害剤の非制限的例には、トリコスタチンA、ボリノスタット、M−344、CBHA、ベリノスタット、ダシノスタット、およびパノビノスタットが含まれる。別の重要な種類の臨床的に有効なHDAC阻害剤は、ベンズアミドタイプHDAC阻害剤で、これは固形および血液腫瘍中で低い毒性と活性を示す。ベンズアミドタイプHDAC阻害剤の非制限的例には、エンチノスタット、タセジナリン、およびモセチノスタットが含まれる。他の種類のHDAC阻害剤は、短鎖脂肪酸(SCFA)、例えば、フェニルブチラート、バルプロ酸、および類似の脂肪族酸化合物;環式テトラペプチド、例えば、トラポキシンBおよびデプシペプチドを含むエポキシケトンおよび非エポキシケトン;求電子ケトン、およびハイブリッド分子である。SCFAは、広範に使用され(特にバルプロ酸)、臨床的に有効であるが、弱いHDAC阻害定数を有する。サーチュインクラスIII HDACは、NAD+依存性であり、従って、ニコチン酸アミド、さらに、NAD誘導体、ジヒドロクマリン、ナフトピラノン、および2−ヒドロキシナフトアルデヒドにより阻害される。HDAC阻害剤は、また、強力な放射線増感剤である。
【0025】
エピジェネティックな修飾は、正常細胞において、DNA配列を変更することなく遺伝子の転写発現を調節する可逆的クロマチン再編成である。転写は、DNAからのタンパク質産生に関与するステップの1つである。転写を起こすためには、転写因子は、DNA上の特異的結合部位に結合しなければならない。DNAが凝縮形態にある場合、転写因子が関連する結合部位に接近することは物理的に困難で、まれにしか起こらないことである。
【0026】
ヒストンは、遺伝子の転写調節において中心的役割を果たすタンパク質である。これらの球状タンパク質は、リシンおよびアルギニン残基上に存在するアミン基に起因して通常正に帯電している柔軟なN末端を有する。これらの正の電荷は、ヒストンのN末端部分がDNA骨格上の負に帯電したリン酸基と相互作用し結合するのを助ける。これが、DNAが染色体としての密なクロマチン形態に凝縮させるのを助けるヒストン−DNA相互作用である。従って、DNAが凝縮形態に束ねられるのを保証することにより、ヒストンは、DNAへの転写因子の結合の制限における主要な役割を果たす。
【0027】
ヒストンのDNAに対する結合は、細胞中に存在する様々な酵素により制御されている。特定の遺伝子の転写が支援されている条件下では、ヒストンアセチルトランスフェラーゼ(HAT)、またはリシン脱アセチル化酵素(KDAC)として知られる酵素が、ヒストン上のε−N−アセチルリジン残基にアセチル基を付加する。アセチル化は、ヒストンのN末端領域上の正電荷を中和し、その結果、アセチル化ヒストンはもはやDNA骨格と相互作用できなくなる。この結合の低下により、クロマチン伸張(またはクロマチン脱凝縮)が可能となり、DNA結合部位へのアクセスができ、遺伝子転写を活性化することができるため、遺伝子転写が起こるのを許容する。遺伝子の転写がもはや支援されていない状態では、ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)として知られる酵素がHATにより付加されたアセチル基を除去する。脱アセチル化は、ヒストンのN末端の正の電荷を増加させ、それにより、ヒストンとDNA骨格の間の高親和性結合を促進する。生じたクロマチン凝縮により転写因子のDNA結合部位との交互作用が物理的に遮断されるために、遺伝子の転写が妨げられる。このように、HATは、クロマチン脱凝縮を促進して、遺伝子転写を促進するが、一方、HDACは、クロマチン凝縮を促進して遺伝子転写を抑制する。
【0028】
18個の既知ヒトHDACがあり、アクセサリドメインの機能とDNA配列類似性に基づいて4つのクラスに分類される。最初の2つのクラスは、トリコスタチンA(TSA)により活性が阻害される「古典的」HDACと見なされ、他方、3つめのクラスは、TSAに影響を受けないNAD+−依存性タンパク質のファミリーである。4つめのクラスは、DNA配列の他との相違性のみに基づく非定型カテゴリーと見なされる。クラスIには、HDAC1、HDAC2、HDAC3、およびHDAC8が含まれ、カリウム依存性3を減少させる(reduced potassium dependency 3)(RPD3)酵母転写因子遺伝子に相同性を有する。HDAC4、HDAC5、HDAC7、およびHDAC9は、クラスIIに属し、酵母ヒストン脱アセチル化酵素1(HDA1)に相同性を有する。HDAC6およびHDAC10は、2つの触媒作用部位を含み、クラスIIaとして分類される。サーチュインとしても知られるクラスIIIは、SIR2に関連し、SIRT1〜7を含み、一方、HDAC11は、クラスIとクラスII HDACの両方に共有される触媒作用中心に保存された残基を有するため、クラスIVに入れられる。
【0029】
いくつかの抗悪性腫瘍化合物が、HDAC阻害剤として作用することが知られている。それゆえ、クロマチン凝縮の抑制は、癌の治療における治療薬効を提供可能であると考えられている。その理由は、このようなクロマチンリモデリングにより、1)主要アポトーシスおよび細胞周期調節遺伝子の転写抑制(これにより細胞周期の停止およびアポトーシスを促進する);2)腫瘍抑制因子ヘテロ接合性の増加、および/または3)血管新生の抑制、が生ずるからである。このようにして、クロマチン凝縮を介した遺伝子転写のエピジェネティックな調節が腫瘍形成に至る重要な機序として登場した。
【0030】
本実施形態の態様では、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤は、ヒドロキサマートタイプヒストン脱アセチル化酵素またはベンズアミドタイプヒストン脱アセチル化酵素である。本実施形態の別の態様では、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤は、(2E、4E、6R)−7−(4−ジメチルアミノフェニル)−N−ヒドロキシ−4、6−ジメチル−7−オキソヘプタ−2、4−ジエンアミド、N−ヒドロキシ−N’−フェニルオクタンジアミド、4−ジメチルアミノ−N−(6−ヒドロキシカルバモイルヘキシル)−ベンズアミド、N−ヒドロキシ−3−[(E)−3−(ヒドロキシアミノ)−3−オキソプロパ−1−エニル]ベンズアミド、(2E)−3−[3−(アニリノスルホニル)フェニル]−N−ヒドロキシアクリルアミド、((E)−N−ヒドロキシ−3−[4−[[2−ヒドロキシエチル−[2−(1H−インドール−3−イル)エチル]アミノ]メチル]フェニル]プロパ−2−エンアミド、(E)−N−ヒドロキシ−3−[4−[[2−(2−メチル−1H−インドール−3−イル)エチルアミノ]メチル]フェニル]プロパ−2−エンアミド、N−(2−アミノフェニル)−N’−フェニル−オクタンジアミド、4−(2−アミノフェニルカルバモイル)ベンジルカルバマート、4−アセトアミド−N−(2−アミノフェニル)ベンズアミド、N−(2−アミノフェニル)−4−[[(4−ピリジン−3−イルピリミジン−2−イル)アミノ]メチル]ベンズアミド、3−(ジメチルアミノメチル)−N−[2−[4−(ヒドロキシカルバモイル)フェノキシ]エチル]−1−ベンゾフラン−2−カルボキサミド、または{6−[(ジエチルアミノ)メチル]−2−ナフチル}メチル{4−[(ヒドロキシアミノ)カルボニル]フェニル}カルバマート、である。これらの阻害剤の化学構造を下記に示す。
【化5】
トリコスタチンA
(2E、4E、6R)−7−(4−ジメチルアミノフェニル)−N−ヒドロキシ−4、6−ジメチル−7−オキソヘプタ−2、4−ジエンアミド
【化6】
ボリノスタット(SAHA、Zolinza)
N−ヒドロキシ−N’−フェニルオクタンジアミド
【化7】
M−344(D−237)
4−ジメチルアミノ−N−(6−ヒドロキシカルバモイルヘキシル)−ベンズアミド
【化8】
CBHA
N−ヒドロキシ−3−[(E)−3−(ヒドロキシアミノ)−3−オキソプロパ−1−エニル]ベンズアミド
【化9】
ベリノスタット(PXD−101、PX−105684)
(2E)−3−[3−(アニリノスルホニル)フェニル]−N−ヒドロキシアクリルアミド
【化10】
ダシノスタット(LAQ−824、NVP−LAQ824、)
((E)−N−ヒドロキシ−3−[4−[[2−ヒドロキシエチル−[2−(1H−インドール−3−イル)エチル]アミノ]メチル]フェニル]プロパ−2−エンアミド
【化11】
パノビノスタット(LBH−589、NVP−LBH589)
(E)−N−ヒドロキシ−3−[4−[[2−(2−メチル−1H−インドール−3−イル)エチルアミノ]メチル]フェニル]プロパ−2−エンアミド
【化12】
BML−210
N−(2−アミノフェニル)−N’−フェニル−オクタンジアミド
【化13】
エンチノスタット(MS−275、SNDX−275、MS−27−275)
4−(2−アミノフェニルカルバモイル)ベンジルカルバマート
【化14】
タセジナリン(CI−994、PD−123654、GOE−5549)
4−アセトアミド−N−(2−アミノフェニル)ベンズアミド
【化15】
モセチノスタット(MGCD−0103)
N−(2−アミノフェニル)−4−[[(4−ピリジン−3−イルピリミジン−2−イル)アミノ]メチル]ベンズアミド
【化16】
PCI−24781
3−(ジメチルアミノメチル)−N−[2−[4−(ヒドロキシカルバモイル)フェノキシ]エチル]−1−ベンゾフラン−2−カルボキサミド
【化17】
ITF−2357
{6−[(ジエチルアミノ)メチル]−2−ナフチル}メチル{4−[(ヒドロキシアミノ)カルボニル]フェニル}カルバマート
【0031】
本明細書の一部の態様では、標的療法剤が開示される。標的療法化合物には、これらに限定されないが、免疫療法、ホルモン療法、および血管新生阻害剤化合物が含まれる。ホルモン療法には、特異的ホルモン、特に、ステロイドホルモン、またはこのようなホルモンの産生または活性を阻害する薬剤(ホルモンアンタゴニスト)の外因性投与による内分泌系の操作を含む。ステロイドホルモンは、特定の癌細胞における遺伝子発現の強力な駆動体であるため、特定のホルモンのレベルまたは活性の変更により、特定の癌に成長を停止させる、または細胞死さえも行わせることができる。精巣摘出術や卵巣摘出術等の内分泌器官の外科的除去もまた、ホルモン療法の1つの形として採用可能である、
【0032】
免疫療法は、天然体物質または天然体物質から作られた薬剤を使う治療である。それらは、身体を刺激して癌細胞を攻撃し、他の癌治療が原因の副作用を克服する。免疫療法は、癌の拒絶に免疫系を使用する。主な前提は、患者の免疫系を刺激し、疾患の原因である悪性腫瘍細胞を攻撃することである。これは、患者を免疫化して、患者の自己免疫系が訓練されて、腫瘍細胞を破壊標的として認識することにより、または、治療抗体を薬剤として投与し、患者の免疫系が補充されて、治療抗体が腫瘍細胞を破壊することにより行われる。
【0033】
本明細書で開示の組成物は、本明細書で開示のチオキサントンベースオートファジー阻害剤および癌治療オートファジー誘導化合物のどのような数および組み合わせを含んでもよく、また、含まなくてもよい。例えば、組成物は、例えば、2つ以上のチオキサントンベースオートファジー阻害剤および/または癌治療オートファジー誘導化合物、3つ以上のチオキサントンベースオートファジー阻害剤および/または癌治療オートファジー誘導化合物、4つ以上のチオキサントンベースオートファジー阻害剤および/または癌治療オートファジー誘導化合物、または5つ以上のチオキサントンベースオートファジー阻害剤および/または癌治療オートファジー誘導化合物を含んでもよい。
【0034】
本明細書で開示のチオキサントンベースオートファジー阻害剤および癌治療オートファジー誘導化合物、またはこのような化合物または複数化合物を含む組成物は、通常、医薬組成物として個体に投与される。医薬組成物は、有効成分として治療有効量の少なくとも1つの本明細書で開示の化合物、または薬学的に許容可能なその酸付加塩を、従来の受容可能な医薬品賦形剤と組み合わせて、さらに治療上の使用適したユニット剤形に成形して調製できる。本明細書で使われる用語の「医薬組成物」は、治療有効濃度の活性化合物、例えば、本明細書で開示のいずれかの化合物を指す。医薬組成物は、個体に投与した場合に、有害、アレルギー性、または他の不都合なまたは望まれない反応を生じないことが好ましい。本明細書で開示の医薬組成物は、医学および獣医学用途に有用である。医薬組成物は、単独で個体に投与してもよく、または他の補助的活性化合物、試薬、薬剤またはホルモンと組み合わせてもよい。医薬組成物は、次の従来の非制限的例を含む種々のプロセスのいずれかを使って製造可能である。混合、溶解、造粒、糖衣錠化(dragee−making)、微粒子化(levigating)、乳化、カプセル化、包括化(entrapping)、および凍結乾燥。医薬組成物は、次の非制限的例を含む種々の形態のいずれかを取ることができる。無菌の溶液、懸濁液、乳剤、凍結乾燥物、錠剤、丸薬、ペレット、カプセル、粉末、シロップ、エリキシル剤、または投与に適した他の任意の剤形。
【0035】
非経口の注射に適した液体剤形には、生理学的に受容可能な無菌の水性または非水性溶液、分散物、懸濁液または乳剤および無菌の注射可能溶液または分散液に再構成用の無菌の粉末を含んでもよい。適切な水性および非水性キャリア、希釈剤、溶剤またはビークルの例には、水、エタノール、ポリオール(プロピレングリコール、ポリエチレングリコール(PEG)、グリセリン、等)、適合するこれらの混合物、植物油(オリーブ油、等)および注射可能有機エステル、例えば、エチルオレアートが含まれる。例えば、レシチン等のコーティングの使用により、分散物の場合は必要粒径の維持により、および界面活性剤の使用により、適切な流動度が維持可能である。液体製剤では、治療有効量は、典型的には、約0.0001%(w/v)〜約50%(w/v)、好ましくは、約0.001%(w/v)〜約1.0%(w/v)である。
【0036】
経口投与に適する固形剤形には、カプセル剤、錠剤、丸薬、粉末および粒剤が含まれる。このような固形剤形中で、活性化合物を、少なくとも1つの不活性の通例の賦形剤(またはキャリア)、例えば、ナトリウムクエン酸塩またはジリン酸カルシウムまたは(a)充填剤もしくは増量剤、例えば、デンプン、ラクトース、ショ糖、グルコース、マンニトールおよびケイ酸、(b)結合剤、例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、ショ糖およびアラビアゴム、(c)湿潤剤、例えば、グリセリン、(d)崩壊剤、例えば、寒天、カルシウム炭酸塩、ジャガイモまたはタピオカデンプン、アルギン酸、特定の複合ケイ酸塩およびナトリウム炭酸塩、(e)溶解遅延剤、例えば、パラフィン、(f)吸収促進剤、例えば、4級アンモニウム化合物、(g)湿潤剤、例えば、セチルアルコールおよびグリセリンモノステアラート、(h)吸着剤、例えば、カオリンおよびベントナイト、ならびに(i)潤滑剤、例えば、滑石、カルシウムステアリン酸塩、ステアリン酸マグネシウム、固形ポリエチレングリコール、ナトリウムラウリル硫酸塩またはこれらの混合物、と混合可能である。カプセル剤、錠剤および丸薬の場合は、剤形は、また、緩衝剤も含有することができる。固形製剤では、治療有効量は、典型的には、約0.001mg/kg〜約100mg/kg、好ましくは、約0.1mg/kg〜約10mg/kgである。
【0037】
本明細書で開示の医薬組成物は、任意選択で、活性化合物の薬学的に許容可能な組成物への処理を促進する、薬学的に許容可能なキャリアを含んでもよい。本明細書で使われる用語の「薬学的に許容可能な」は、健全な医学的判断の範囲内で、人間および動物の組織との接触に適し、過剰な毒性、刺激、アレルギー反応、または他の問題のある合併症のない、合理的な利益/リスク比率と釣り合いの取れた、化合物、物質、組成物、および/または剤形を指す。本明細書で使われる用語の「薬学的に受容可能なキャリア」は、「薬理学的キャリア」に同義であり、投与した場合に実質的に長期または永続する有害な影響のない任意のキャリアを指し、例えば、「薬学的に受容可能なビークル、安定剤、希釈剤、添加剤、補助剤、または賦形剤」等の用語を包含する。このようなキャリアは、通常、活性化合物と混合され、または活性化合物を希釈または封入することが可能で、固形、半固形、または液体試薬であってもよい。活性化合物は、所望のキャリアまたは希釈剤中に溶解させるか、または、懸濁液として入れることができることは理解されよう。下記の非制限的例のいずれかを含む種々の薬学的に許容可能なキャリアが使用可能である。水性媒体、例えば、水、生理食塩水、グリシン、ヒアルロン酸、等;固体キャリア、例えば、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、マンニトール、ナトリウムサッカリン、タルク、セルロース、グルコース、ショ糖、ラクトース、トレハロース、マグネシウム炭酸塩、等;溶剤;分散媒;コーティング;抗菌剤および抗真菌剤;等張性および吸収遅延剤;または任意の他の不活性成分。薬学的に受容可能なキャリアの選択は、投与モードに依存する。いずれかの薬学的に受容可能なキャリアが活性化合物と適合しない場合を除いて、薬学的に許容可能な組成物中でのその使用が意図されている。このような医薬品キャリアの具体的使用の非制限的例は、Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems(Howard C.Ansel et al.、eds.、Lippincott Williams & Wilkins Publishers、7
thed.1999);Remington:The Science and Practice of Pharmacy(Alfonso R.Gennaroed.、Lippincott、Williams & Wilkins、20
thed.2000);Goodman & Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics(Joel G.Hardman et al.、eds.、McGraw−Hill Professional、10
thed.2001);およびHandbook of Pharmaceutical Excipients(Raymond C.Rowe et al.、APhA Publications、4
th edition 2003)、で見付けることができる。これらのプロトコルは、ルーチン的であり、いずれの変更も当業者の範囲内で、および本明細書の教示から容易である。
【0038】
本明細書で開示の医薬組成物は、これらに限定されないが、任意選択で、緩衝剤、防腐剤、張性調整剤、塩、抗酸化剤、浸透圧調整剤、生理的物質、薬理学的物質、増量剤、乳化剤、湿潤剤、スイートニングまたは調味料、等の他の薬学的に許容可能な成分(または医薬品成分)を含んでもよい。得られる調製物が薬学的に許容可能である限りにおいて、種々の緩衝剤およびpH調整手段が本明細書で開示の医薬組成物を調整するために使用可能である。このような緩衝剤には、これらに限定されないが、酢酸塩緩衝液、ホウ酸塩緩衝液、クエン酸塩緩衝液、リン酸塩緩衝液、中性緩衝食塩水、および燐酸塩緩衝食塩水が挙げられる。酸または塩基が、必要に応じ、組成物のpH調整のために使用可能であることは理解されよう。薬学的に許容可能な抗酸化剤には、これらに限定されないが、ナトリウムメタ重亜硫酸塩、ナトリウムチオ硫酸塩、アセチルシステイン、ブチルヒドロキシアニソール、およびブチルヒドロキシトルエンが含まれる。有用な防腐剤には、これらに限定されないが、ベンズアルコニウム塩化物、クロロブタノール、チメロサール、酢酸フェニル水銀、硝酸フェニル水銀、安定化オキシクロロ組成物、例えば、ナトリウム亜塩素酸塩ならびにキレート剤、例えば、DTPAまたはDTPA−ビスアミド、カルシウムDTPA、およびCaNaDTPA−ビスアミドが含まれる。医薬組成物に有用な張性調整剤には、これらに限定されないが、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム等の塩、マンニトールまたはグリセリンおよび他の薬学的に許容可能な張性調整剤が含まれる。医薬組成物は、塩として提供されてもよく、これらに限定されないが、塩酸、硫酸、酢酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、等の多くの酸との間で形成できる。塩は、対応する遊離塩基型よりも水性または他のプロトン性溶媒中に溶解し易い傾向がある。これらおよび薬理学の分野で既知の他の物質は、本発明で有用な医薬組成物中に含めることが可能であることは理解されよう。
【0039】
本明細書で開示のチオキサントンベースオートファジー阻害剤および癌治療オートファジー誘導化合物は、また、経時的化合物放出制御プロファイルを達成するための薬物送達プラットホームに組み込むこともできる。このような薬剤送達プラットホームは、ポリマー基質中、典型的には、生分解性、生体内分解性、および/または生体吸収性ポリマー基質中に分散された本明細書で開示の化合物を含む。本明細書で使われる用語の「ポリマー」は、合成ホモまたは共重合体、天然ホモまたは共重合体、ならびにその直鎖、分岐またはスター構造を有する合成修飾物または誘導体を指す。共重合体は、任意の形態、例えば、ランダム、ブロック、分割型、テーパーブロック、接木、またはトリブロックに配列可能である。ポリマーは、通常、縮合ポリマーである。ポリマーは、さらに修飾を受けて、架橋剤の導入、または側方残基の疎水性を変えることにより、機械的または分解特性を高めることができる。架橋の場合、ポリマーは、5%未満の架橋であり、通常は、1%未満の架橋である。
【0040】
適切なポリマーには、これらに限定されないが、アルギン酸塩、脂肪族ポリエステル、シュウ酸ポリアルキレン、ポリアミド、ポリアミドエステル、ポリ酸無水物、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリエチレングリコール、ポリヒドロキシ脂肪族カルボン酸、ポリオルトエステル、ポリオキサエステル、ポリペプチド、ポリホスファゼン、多糖類、およびポリウレタンが含まれる。ポリマーは、通常、少なくとも約10%(w/w)、少なくとも約20%(w/w)、少なくとも約30%(w/w)、少なくとも約40%(w/w)、少なくとも約50%(w/w)、少なくとも約60%(w/w)、少なくとも約70%(w/w)、少なくとも約80%(w/w)、または少なくとも約90%(w/w)の薬剤送達プラットホームを含む。生分解性、生体内分解性、および/または生体吸収性ポリマーおよび薬剤送達プラットホームを作るのに有用な方法の例は、例えば、Drost、et.al.、Controlled Release Formulation、米国特許第4、756、911号;Smith、et.al.、Sustained Release Drug Delivery Devices、米国特許第5、378、475号;Wongand Kochinke、Formulation for Controlled Release of Drugs by Combining Hyrophilic and Hydrophobic Agents、米国特許第7、048、946号;Hughes、et.al.、Compositions and Methods for Localized Therapy of the Eye、米国特許公開第2005/0181017号;Hughes、Hypotensive Lipid−Containing Biodegradable Intraocular Implants and Related Methods、米国特許公開第2005/0244464号;Altman、et al.、Silk Fibroin Hydrogels and Uses Thereof、米国特許公開第2011/0008437号;に記載されている。これらは、参照によってその全体が本明細書に組み込まれる。
【0041】
本実施形態の態様では、基質を構成するポリマーは、ポリペプチド、例えば、絹フィブロイン、ケラチン、またはコラーゲンである。他の態様では、基質を構成するポリマーは、多糖、例えば、セルロース、アガロース、エラスチン、キトサン、キチン、またはグリコサミノグリカン様コンドロイチン硫酸塩、デルマタン硫酸、ケラタン硫酸、またはヒアルロン酸である。本実施形態のさらに他の態様では、基質を構成するポリマーは、ポリエステル、例えば、D−乳酸、L−乳酸、ラセミ体乳酸、グリコール酸、カプロラクトン、およびこれらの組み合わせである。
【0042】
当業者なら、適切な開示薬剤送達プラットホームを形成するための適切なポリマーの選択は、いくつかの因子に依存することを理解できる。適切なポリマーの選択でのより重要な因子には、これらに限定されないが、ポリマーの薬剤との適合性、所望の放出薬剤動力学、移植部位での所望のプラットホームの生分解動力学、移植部位での所望のプラットホームの生体内分解動力学、移植部位での所望のプラットホームの生体吸収性動力学、プラットホームのインビボ機械的性能、処理温度、プラットホームの生体適合性、および患者耐容性が含まれる。ポリマーのインビトロおよびインビボ挙動にある程度影響する他の重要な因子には、成分の化学組成、空間分布、ポリマーの分子量および結晶化度がある。
【0043】
薬剤送達プラットホームは、持続放出薬剤送達プラットホームおよび徐放薬剤送達プラットホームの両方を含む。本明細書で使われる用語の「持続放出(sustained release)」は、本明細書で開示の化合物の約7日間以上にわたる放出を指す。本明細書で使われる用語の「徐放(extended release)」は、本明細書で開示の化合物の約7日間未満の期間の放出を指す。
【0044】
この実施形態態様では、持続放出薬剤送達プラットホームは、例えば、投与後約7日間、投与後約15日間、投与後約30日間、投与後約45日間、投与後約60日間、または投与後約90日間にわたり、実質的に一次放出速度式に従い、本明細書で開示の化合物を放出する。本実施形態の他の態様では、持続放出薬剤送達プラットホームは、例えば、少なくとも投与後7日間、少なくとも投与後15日間、少なくとも投与後30日間、少なくとも投与後45日間、少なくとも投与後60日間、少なくとも投与後75日間、または少なくとも90日間にわたり、実質的に一次放出速度式に従い、本明細書で開示の化合物を放出する。
【0045】
この実施形態の態様では、薬剤送達プラットホームは、例えば、投与後約1日間、投与後約2日間、投与後約3日間、投与後約4日間、投与後約5日間、または投与後約6日間にわたり、実質的に一次放出速度式に従い、本明細書で開示の化合物を放出する。本実施形態の他の態様では、薬剤送達プラットホームは、例えば、多くても投与後1日間、多くても投与後2日間、多くても投与後3日間、多くても投与後4日間、多くても投与後5日間、または多くても投与後6日間にわたり、実質的に一次放出速度式に従い、本明細書で開示の化合物を放出する。
【0046】
本明細書の一部の態様では、治療有効量のチオキサントンベースオートファジー阻害剤および薬学的に許容可能なキャリアを含む医薬組成物、ならびに治療有効量の癌治療オートファジー誘導化合物および薬学的に許容可能なキャリアを含む医薬組成物を含む医薬品キットが開示される。
【0047】
本明細書の一部の態様では、癌が取り上げられる。チオキサントンベースオートファジー阻害剤、癌治療オートファジー誘導化合物、これらの化合物を含む組成物、および本明細書で開示の方法は、いずれかの癌を治療するのに有用でありうる。癌は、100疾患を超えるグループであり、これらの疾患では、哺乳類体中で一群の細胞が無制御に増殖を示し、それ故に、基本的には、身体が細胞分裂と増殖を制御するために使う調節機序に影響を与える疾患である。大抵の場合、癌細胞は、腫瘍と呼ばれる細胞凝集塊を形成するが、白血病のように、一部の癌では、細胞は腫瘍を形成しない。腫瘍は、悪性の場合も、良性の場合もある。その上、悪性腫瘍(または癌)は、異常な遺伝物質を有する細胞を含み、通常、急速無制御細胞増殖を起こし、隣接組織に侵入して破壊し、時には、リンパ液または血液を介して身体の他の部位に広がる(すなわち、転移)。癌には、死亡の高発生率が付随する。理由は、身体全体への癌細胞の侵入と転移が止められない場合、癌細胞は、重要臓器に侵入し、器官の機能障害および最終的な死亡をもたらすことになるからである。癌の悪性の特性は、良性腫瘍とは区別されるが、良性腫瘍は、通常増殖が遅く、自己限定的であり、侵入または転移せず、従って、通常は、生命をあやうくするものではない。限局、領域または遠隔病期での癌は、侵襲性であると考えられる。2、3層のみの細胞として発見される非常に早期の、上皮内癌と呼ばれる癌は、非侵襲性であると考えられる。
【0048】
癌は、多様な種類の疾患であり、原因と生物学が大きく異なっている。癌は、単独または組み合わせて作用する種々の因子により引き起こされる。一部の癌は、外部因子、例えば、タバコ、食事、特定の化学薬品、照射、およびウイルスが原因である。他の癌は、内部因子、例えば、ホルモン、免疫状態、および遺伝による遺伝子変異が原因である。通常、癌の原因となる因子への暴露から検出可能な疾患までに、10年以上の年数がかかる。
【0049】
癌は、通常、腫瘍に似ている細胞のタイプによって、従って、腫瘍の起源であると想定される組織によって分類される。カルシノーマは、上皮細胞由来の悪性腫瘍である。このグループは、最もありふれた癌を代表するものであり、共通型の肺癌、脳癌、中枢神経系癌、乳癌、結腸癌、白血病、骨髄腫、前立腺癌および卵巣癌を含む。肉腫は、結合組織または間葉細胞由来の悪性腫瘍である。芽細胞腫は、通常、悪性腫瘍で、未成熟胚性組織に似ている。これらの腫瘍の多くは、小児で最もよく見られる。リンパ腫および白血病は、造血(血液形成)細胞由来の悪性腫瘍である。最後に、生殖細胞腫瘍は、全能性細胞由来の腫瘍である。成人では、精巣と卵巣に認められることが最も多く、胎児、乳児、および幼児では、身体正中線上、特に、尾骨の先端で見つかることが最も多い。従って、本明細書で使われる用語の「癌」は、原発性癌および転移癌を含み、癌腫、肉腫、リンパ腫、白血病、芽細胞腫、または生殖細胞腫瘍であってもよい。
【0050】
本発明の一部の態様では、癌に関連した症状の緩和が示される。本実施形態の一態様では、緩和される症状は、癌細胞の成長速度の増加である。本実施形態の別の態様では、緩和される症状は、癌細胞の細胞分裂速度の増加である。本実施形態のまた別の態様では、緩和される症状は、癌細胞の隣接組織または器官への侵入の程度の増加である。本実施形態のまた別の態様では、緩和される症状は、転移の程度の増加である。本実施形態のまたさらなる態様では、緩和される症状は、血管新生の増加である。本実施形態のまたさらなる態様では、緩和される症状は、アポトーシスの減少である。本実施形態のまたさらなる態様では、緩和される症状は、細胞死または細胞壊死の減少である。従って、本明細書で開示の化合物、組成物、および方法を使った治療は、癌細胞の成長速度を低下させ、癌細胞の細胞分裂速度を遅らせ、癌細胞の隣接組織または器官への侵入の程度を減らし、転移の程度を減らし、血管新生を減らし、アポトーシスを増やし、および/または細胞死および/または細胞壊死を増やすことになる。
【0051】
本発明の一部の態様では、哺乳動物が取り上げられる。哺乳動物には、ヒトが含まれ、ヒトが患者であってもよい。本発明の他の一部の態様では、個体が取り上げられる。個体には、哺乳動物およびヒトが含まれ、ヒトが患者であってもよい。
【0052】
本発明の一部の態様では、本明細書で開示の化合物または複数化合物を含む組成物が投与される。本明細書で使われる用語の「投与」は、臨床的に、治療的に、または実験的に有益な結果を生ずる可能性がある個体への、本明細書で開示の化合物または複数化合物を含む組成物の投与を提供する任意の送達機序を意味する。
【0053】
本明細書で開示の化合物または複数化合物を含む組成物を同時にまたは逐次的に投与可能である。従って、チオキサントンベースオートファジー阻害剤を含む組成物は、癌治療オートファジー誘導化合物を含む組成物として同時に(同時に)、または、任意の順に異なる時点で逐次的に、投与可能である。また、使用される同時の用語は、チオキサントンベースオートファジー阻害剤および癌治療オートファジー誘導化合物1つの医薬組成物の一部として、同時に、一緒にされる、または同時に、しかし、別の医薬組成物に一緒にされることの意味であってもよい。このように、各成分は、別々に、しかし、所望の治療効果が得られるように充分接近した時間に、投与を受けることができる。あるいは、チオキサントンベースオートファジー阻害剤および癌治療オートファジー誘導化合物の投与は、相互に約1時間以内、相互に約2時間以内、または相互に約3時間以内であってもよい。
【0054】
本明細書で開示の化合物または複数化合物を含む組成物は、1つまたは複数のサイクルで投与可能である。一実施形態では、1つのサイクルは、4日毎に1回の投与を7回含む。
【0055】
本明細書で開示の化合物または複数化合物を含む組成物の投与には、種々の腸内または非経口の手法が含まれ、これに限定されないが、任意の受容可能な形態、例えば、錠剤、液体、カプセル、粉末、等の経口投与;任意の受容可能な形態、例えば、ドロップ、スプレー、クリーム剤、ゲルまたは軟膏の局所的投与;任意の受容可能な形態の頬側、鼻、および/または吸入投与;任意の受容可能な形態の直腸の投与;任意の受容可能な形態の腟投与;任意の受容可能な形態の血管内投与、例えば、静脈内ボーラス注射、静脈内注入、動脈内ボーラス注射、動脈内注入および脈管構造内へのカテーテル点滴注入;任意の受容可能な形態の組織周囲および組織内投与、例えば、腹腔内の注射、筋肉内注射、皮下注射、皮下注入、眼内注射、網膜注射、または網膜下注射もしくは硬膜外注射;任意の受容可能な形態の小胞内投与、例えば、カテーテル点滴注入;ならびに留置装置、例えば、インプラント、ステント、パッチ、ペレット、カテーテル、浸透圧ポンプ、坐剤、生体内分解性デリバリーシステム、非生体内分解性デリバリーシステムもしくは別のインプラント持続放出または徐放系よる投与、が含まれる。生分解性高分子の代表的リストおよび使用方法は、例えば、Handbook of Biodegradable Polymers(Abraham J.Domb et al.、eds.、Overseas Publishers Association、1997)に記載されている。
【0056】
本明細書で開示の化合物または複数化合物を含む組成物は、種々の経路を使って哺乳動物に投与可能である。本明細書で開示の癌の治療方法に適切な投与経路には、局所性および全身性の投与の両方が含まれる。局所性投与は、哺乳動物全身への投与に比べ、特異的部位への組成物のかなり多くの送達をもたらすが、一方、全身性の投与は、基本的に個体の全身への組成物の送達をもたらす。本明細書で開示の癌の治療方法に適した投与経路には、また、中枢および末梢投与の両方が含まれる。中枢投与は、基本的に個体の中枢神経系への組成物の送達をもたらし、例えば、髄腔内投与、硬膜外投与ならびに頭蓋注射またはインプラントを含む。末梢投与は、基本的に個体の中枢神経系以外の任意の領域への組成物の送達をもたらし、脊椎または脳への直接投与以外の任意の投与経路を包含する。本明細書で開示の化合物または複数化合物を含む組成物の哺乳動物で使われる実際の投与経路は、次記を含む因子(これらに限定されない)を考慮に入れて当業者により決定可能である。癌のタイプ、癌の部位、癌の原因、癌の重症度、目的の軽減度合い、目的の軽減の持続期間、具体的に使用する化合物または複数化合物、使用する化合物または複数化合物の排出速度、使用する化合物または複数化合物薬力学、組成物に含有される他の化合物の性質、具体的投与経路、個体の具体的特性、病歴およびリスク因子、例えば、年齢、体重、総体的な健康、等、またはこれらの任意の組み合わせ。
【0057】
ある実施形態では、本明細書で開示の化合物または複数化合物を含む組成物は、哺乳動物に全身投与される。別の実施形態では、本明細書で開示の化合物または複数化合物を含む組成物は、哺乳動物に局所投与される。本実施形態の態様では、本明細書で開示の化合物または複数化合物を含む組成物は、哺乳動物の腫瘍に投与される。本実施形態の別の態様では、本明細書で開示の化合物または複数化合物を含む組成物は、哺乳動物の腫瘍周辺の領域に投与される。
【0058】
本発明の一部の態様では、治療有効量の本明細書で開示の化合物または複数化合物を含む組成物の投与が提供される。本明細書で使われる用語の「治療有効量(therapeutically effective amount)」は、「治療有効用量(therapeutically effective dose)」と同義であり、癌の治療に関連して使用される場合は、目的の治療効果を達成するのに必要な最小用量の本明細書で開示の化合物または複数化合物を意味し、癌に関連する症状を緩和するのに充分な用量を含む。本実施形態の態様では、治療有効量の本明細書で開示の化合物または複数化合物を含む組成物は、癌に関連する症状を、例えば、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%または少なくとも100%緩和する。本実施形態の他の態様では、治療有効量の本明細書で開示の化合物または複数化合物を含む組成物は、癌に関連する症状を、例えば、最大で10%、最大で20%、最大で30%、最大で40%、最大で50%、最大で60%、最大で70%、最大で80%、最大で90%または最大で100%緩和する。本実施形態のさらに他の態様では、治療有効量の本明細書で開示の化合物または複数化合物を含む組成物は、癌に関連する症状を、例えば、約10%〜約100%、約10%〜約90%、約10%〜約80%、約10%〜約70%、約10%〜約60%、約10%〜約50%、約10%〜約40%、約20%〜約100%、約20%〜約90%、約20%〜約80%、約20%〜約20%、約20%〜約60%、約20%〜約50%、約20%〜約40%、約30%〜約100%、約30%〜約90%、約30%〜約80%、約30%〜約70%、約30%〜約60%、または約30%〜約50%緩和する。本実施形態のまたさらに他の態様では、本明細書で開示の化合物または複数化合物の治療有効量は、例えば、少なくとも1週間、少なくとも1ヶ月間、少なくとも2ヶ月間、少なくとも3ヶ月間、少なくとも4ヶ月間、少なくとも5ヶ月間、少なくとも6ヶ月間、少なくとも7ヶ月間、少なくとも8ヶ月間、少なくとも9ヶ月間、少なくとも10ヶ月間、少なくとも11ヶ月間、または少なくとも12ヶ月間、癌に関連する症状を緩和するのに充分な投与量である。
【0059】
組成物中の有効成分の量および癌の治療方法は、適切な投与量が得られるように変更してもよい。本明細書で開示の化合物または複数化合物を含む組成物の哺乳動物に投与される実際の治療有効量は、次記を含む因子(これらに限定されない)を考慮して当業者により決定される。癌のタイプ、癌の部位、癌の原因、癌の重症度、治療の持続期間、目的の軽減度合い、目的の軽減の持続期間、具体的な使用される化合物または複数化合物、使用される化合物または複数化合物の排出速度、使用される化合物または複数化合物の薬力学、組成物中に含まれる他の化合物の性質、具体的投与経路、個体の具体的特性、病歴およびリスク、例えば、年齢、体重、総体的な健康、等、個体の治療に対する反応、またはこれらの任意の組み合わせ。従って、有効成分の有効投与量は、当業者により、個体の利益のために、全ての判定基準を考慮し、最良の判断を行って、容易に決定可能である。
【0060】
さらに、本明細書で開示の化合物または複数化合物を含む組成物の反復投与が行われる場合には、本明細書で開示の化合物または複数化合物を含む組成物の実際の有効量は、これらに限定されないが、投与頻度、本明細書で開示の化合物または複数化合物を含む組成物の半減期、またはこれらの任意の組み合わせ等の因子に、さらに依存することになる。本明細書で開示の化合物または複数化合物を含む組成物の有効量は、インビトロアッセイおよびヒトへの投与の前の動物モデルを使ったインビボ投与調査から推定することが可能であることは、当業者ならわかるであろう。種々の投与経路の様々な効率を考慮すれば、必要な有効量の大きな変動が予想される。例えば、経口投与は、通常、静脈内または硝子体内への注射による投与に比べ、より高い投与量レベルが必要であることが予想されるであろう。これらの投与量レベルの変動は、標準的な経験的最適化手順を使って調節可能であり、この作業は、当業者にはよく知られている。詳細な治療有効投与量レベルとパターンは、上記で特定した因子を考慮して、主治医により決定されるのが好ましい。
【0061】
非制限的例として記載するが、本明細書で開示の化合物または複数化合物を含む組成物を哺乳動物に投与する場合、治療有効量は、通常、約0.001mg/kg〜約100.0mg/kgの範囲にある。本実施形態の態様では、本明細書で開示の化合物または複数化合物を含む組成物の有効量は、例えば、約0.01mg/kg〜約0.1mg/kg、約0.03mg/kg〜約3.0mg/kg、約0.1mg/kg〜約3.0mg/kg、または約0.3mg/kg〜約3.0mg/kgであってもよい。本実施形態のさらに他の態様では、本明細書で開示の化合物または複数化合物を含む組成物の治療有効量は、例えば、少なくとも0.001mg/kg、少なくとも0.01mg/kg、少なくとも0.1mg/kg、少なくとも1.0mg/kg、少なくとも10mg/kg、または少なくとも100mg/kgであってもよい。本実施形態のさらに他の態様では、本明細書で開示の化合物または複数化合物を含む組成物の治療有効量は、例えば、最大で0.001mg/kg、最大で0.01mg/kg、最大で0.1mg/kg、最大で1.0mg/kg、最大で10mg/kg、または最大で100mg/kgであってもよい。
【0062】
投薬量は、単回の投与量であっても、累積投与量(連続投薬量)であってもよく、当業者により容易に決定できる。例えば、癌の治療は、有効量の本明細書で開示の化合物または複数化合物を含む組成物の1回限りの投与を含んでもよい。非制限的例として示すが、有効量の本明細書で開示の化合物または複数化合物を含む組成物は、例えば、癌の症状を呈する部位、またはその近傍への薬剤の単回注射または沈着または単回経口投与として、哺乳動物に1回投与可能である。あるいは、癌の治療は、例えば、毎日1回、数日おきに1回、週1回、月1回、または年1回の範囲で行われる、有効量の本明細書で開示の化合物または複数化合物を含む組成物の複数回投与を含んでもよい。非制限的例として示すが、本明細書で開示の化合物または複数化合物を含む組成物は、哺乳動物に週1回または2回投与可能である。投与のタイミングは、哺乳動物の症状の重症度等の因子に応じて、哺乳動物毎に変化してもよい。例えば、有効量の本明細書で開示の化合物または複数化合物を含む組成物は、不定の期間の間、または哺乳動物がそれ以上治療を必要としなくなるまで、月1回、哺乳動物に投与できる。当業者なら、治療のコースを通して哺乳動物の状態をモニターできること、および投与される本明細書で開示の化合物または複数化合物を含む組成物の有効量を、それに合うように調節できることをわかるであろう。
【0063】
チオキサントンベースオートファジー阻害剤および癌治療オートファジー誘導化合物の組み合わせの投与は、同時であっても、逐次的であっても、本明細書で開示の癌の治療に有益な相乗的治療効果を与える。相乗的治療効果は、本明細書で開示の化合物または組成物が組み合わされて投与される場合、同じ化合物が別々に投与される場合とは対照的に、癌関連症状がより大きな程度で緩和されることである。本実施形態の態様では、同じチオキサントンベースオートファジー阻害剤または同じ癌治療オートファジー誘導化合物の単独投与に比較して、本明細書で開示の化合物または組成物を組み合わせた投与により、例えば、少なくとも10%多く、少なくとも20%多く、少なくとも30%多く、少なくとも40%多く、少なくとも50%多く、少なくとも60%多く、少なくとも70%多く、少なくとも80%多く、少なくとも90%多く、または少なくとも100%多く、癌関連症状を緩和する。
【0064】
本明細書で開示の化合物または複数化合物を含む組成物は、本明細書で開示のように、他の治療化合物と組み合わせて哺乳動物に投与して、全体の治療効果を高めることができる。徴候を治療するための複数の化合物の使用は、薬効を高めることができ、一方で、副作用の存在を低減させる。
【0065】
本明細書の一部の態様では、放射線療法が提供される。一実施形態では、本明細書で開示のTAPIおよびCTAPICの投与による癌の治療方法は、放射線療法の適用をさらに含んでもよい。放射線療法は、本明細書で開示の化合物および組成物の投与の前、その間、またはその後に投与することができる。別の実施形態では、癌の治療方法は、TAPIおよび放射線療法を投与し、CTAPIC投与しないことを含む。
【0066】
照射は、種々の方法で投与できる。例えば、照射は、本性として、電磁気的でも、粒子状であってもよい。本発明の実施に有用な電磁気的照射には、これらに限定されないが、x線およびガンマ線が含まれる。好ましい実施形態では、超高電圧x線(x線:4MeV以上)を本発明の実施に使用可能である。本発明の実施に有用な粒子状放射には、これらに限定されないが、電子ビーム、陽子線、中性子線、アルファ粒子、およびパイマイナス中間子が含まれる。照射は、従来の放射線医学治療装置および方法を使って、および手術中のおよび定位的方法により、送達することができる。本発明の実施での使用に適した照射治療に関するさらなる考察は、Steven A.Leibel et al.、Textbook of Radiation Oncology(1998)(publ.W.B.Saunders Company)、の全体を通して、および特に13と14章で見付けられる。照射は、また、他の方法、例えば、標的化送達、例えば、放射性の「シード(seed)」によって、または標的化放射性複合体の全身送達によって、送達可能である。J.Padawer et al.、Combined Treatment with Radioestradiol Lucanthone in Mouse C3HBA Mammary Adenocarcinoma and with Estradiol Lucanthone in an Estrogen Bioassay、Int.J.Radiat.Oncol.Biol.Phys.7:347−357(1981)。他の照射の送達方法も、本発明の実施に際し使用可能である。
【0067】
目的の治療体積に送達される照射の量は、可変であってもよい。好ましい実施形態では、照射は、本明細書で開示の化合物または複数化合物、または組成物と共に照射が投与される場合、宿主の中枢神経系癌の抑止または退縮を起こすのに有効な量が投与される。別の実施形態では、照射を、少なくとも約1グレイ(Gy)・回で少なくとも1日おきに1回治療体積に投与し、さらに好ましくは、照射を少なくとも約2グレイ(Gy)・回で少なくとも毎日1回治療体積に投与し、またさらに好ましくは、照射を少なくとも約2グレイ(Gy)・回で少なくとも毎日1回治療体積に対し、1週間当たり5日間連続して投与する。別の実施形態では、照射を3Gy・回で毎日、週3回治療体積に対し投与する。別の実施形態では、最初の23回を初期治療体積に対し投与し、別の7治療回分を追加の治療体積に対し投与する。さらに別の実施形態では、合計で少なくとも約20Gy、さらに好ましくは、少なくとも約30Gy、もっと好ましくは、少なくとも約60Gyの照射をそれが必要な宿主に投与する。別のさらに好ましい実施形態では、照射を治療体積でなく、全脳に投与する。全脳に照射する場合は、30Gyの最大投与量が推奨される。最も好ましい実施形態では、照射を宿主の全脳に投与し、それにより、宿主の転移性の癌が治療される。
【0068】
好ましい実施形態では、治療体積は、CTまたはMRIスキャン上の造影病変、さらに好ましくは、CTまたはMRIスキャン上の造影病変および周辺の浮腫、またさらに好ましくは、CTまたはMRIスキャン上の造影病変および周辺浮腫プラス少なくとも約1cmのマージンを含む。
【0069】
治療計画には、これに限定されないが、対向側方照射野、wedge pair照射野、回転または複数の照射野技術を含んでもよい。CT誘導治療計画は、照射野配置の選択の正確さを改善するとして推奨されている。対向二門のものを含む初期の治療体積およびコーンダウン治療体積に対する等量線分布が、全患者に対し推奨されている。初期治療体積および追加治療体積に対する線量分布を示す組み合わせ計画が望ましい。治療体積に対する最小および最大用量は、治療体積の中心の線量の約10%以内に保持されることが好ましい。
【0070】
本開示の態様は、また、以下のように記述できる:
1.治療有効量のチオキサントンベースオートファジー阻害剤を含む医薬組成物。
2.治療有効量の癌治療オートファジー誘導化合物を含む医薬組成物。
3.a)治療有効量のチオキサントンベースオートファジー阻害剤;および
b)治療有効量の癌治療オートファジー誘導化合物、
を含む医薬組成物。
4.薬学的に許容可能なキャリアをさらに含む実施形態1〜3の組成物。
5.実施形態1、3、または4の組成物であって、
チオキサントンベースオートファジー阻害剤が、1−((2−(ジエチルアミノ)エチル)アミノ)−4−メチルチオキサンテン−9−オン、1−(2−ジエチルアミノエチルアミノ)−4−(ヒドロキシメチル)−9−チオキサンテノン、N−[[1−[[2−(ジエチルアミノ)エチル]アミノ]−9−オキソ−9H−チアキサンテン−4−イル]メチル]メタンスルホンアミド、これらのインダゾール類似体、またはそれらの塩である組成物。
6.癌治療オートファジー誘導化合物が、三酸化ヒ素、エトポシド、ラパマイシン、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤、チロシンキナーゼ阻害剤、タモキシフェン、テモゾロミド、イマチニブ、またはボルテゾミブである、
実施形態2〜4の組成物。
7.ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤が、ヒドロキサマートタイプヒストン脱アセチル化酵素阻害剤またはベンズアミドタイプヒストン脱アセチル化酵素阻害剤である、
実施形態6の組成物
8.ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤が、(2E、4E、6R)−7−(4−ジメチルアミノフェニル)−N−ヒドロキシ−4、6−ジメチル−7−オキソヘプタ−2、4−ジエンアミド、N−ヒドロキシ−N’−フェニルオクタンジアミド、4−ジメチルアミノ−N−(6−ヒドロキシカルバモイルヘキシル)−ベンズアミド、N−ヒドロキシ−3−[(E)−3−(ヒドロキシアミノ)−3−オキソプロパ−1−エニル]ベンズアミド、(2E)−3−[3−(アニリノスルホニル)フェニル]−N−ヒドロキシアクリルアミド、((E)−N−ヒドロキシ−3−[4−[[2−ヒドロキシエチル−[2−(1H−インドール−3−イル)エチル]アミノ]メチル]フェニル]プロパ−2−エンアミド、(E)−N−ヒドロキシ−3−[4−[[2−(2−メチル−1H−インドール−3−イル)エチルアミノ]メチル]フェニル]プロパ−2−エンアミド、N−(2−アミノフェニル)−N’−フェニル−オクタンジアミド、4−(2−アミノフェニルカルバモイル)ベンジルカルバマート、4−アセトアミド−N−(2−アミノフェニル)ベンズアミド、N−(2−アミノフェニル)−4−[[(4−ピリジン−3−イルピリミジン−2−イル)アミノ]メチル]ベンズアミド、3−(ジメチルアミノメチル)−N−[2−[4−(ヒドロキシカルバモイル)フェノキシ]エチル]−1−ベンゾフラン−2−カルボキサミド、または{6−[(ジエチルアミノ)メチル]−2−ナフチル}メチル{4−[(ヒドロキシアミノ)カルボニル]フェニル}カルバマートである、
実施形態6の組成物。
9.癌治療用薬物製造のための実施形態1〜8記載の組成物の使用。
10.癌の治療方法であって、
a)実施形態1または3〜6の有効量のチオキサントンベースオートファジー阻害剤 を、それを必要としている哺乳動物に投与するステップ;および
b)実施形態2〜6の有効量の癌治療オートファジー誘導化合物を、それを必要としている哺乳動物に投与するステップ;
を含み、
チオキサントンベースオートファジー阻害剤および癌治療オートファジー誘導化合物の両方の投与が、癌関連症状を緩和し、それにより、癌を治療する、
方法。
11.チオキサントンベースオートファジー阻害剤および癌治療オートファジー誘導化合物の両方の投与が、癌関連症状を緩和し、それにより、癌を治療する、
癌の治療のための実施形態1〜8に記載の組成物の使用。
12.チオキサントンベースオートファジー阻害剤および癌治療オートファジー誘導化合物が、同時に投与される、
実施形態10に記載の方法または実施形態11に記載の使用。
13.チオキサントンベースオートファジー阻害剤および癌治療オートファジー誘導化合物が、逐次的に投与される、
実施形態10に記載の方法または実施形態11に記載の使用。
14.チオキサントンベースオートファジー阻害剤および癌治療オートファジー誘導化合物が、約3時間以内に相互に投与される、
実施形態13に記載の方法または使用。
15.チオキサントンベースオートファジー阻害剤および癌治療オートファジー誘導化合物が、約2時間以内に相互に投与される、
実施形態13に記載の方法または使用。
16.チオキサントンベースオートファジー阻害剤および癌治療オートファジー誘導化合物が、約1時間以内に相互に投与される、
実施形態13に記載の方法または使用。
17.治療有効量のチオキサントンベースオートファジー阻害剤および治療有効量の癌治療オートファジー誘導化合物が、単回一日量で投与される、または1つの一日量より多くに分割される、
実施形態10に記載の方法または実施形態11に記載の使用。
18.前記1つの一日量より多くの分割量が、2つに分割した一日量である、
実施形態17に記載の使用または方法。
19.チオキサントンベースオートファジー阻害剤および癌治療オートファジー誘導化合物が、経口投与される、
実施形態10に記載の方法または実施形態11に記載の使用。
20.チオキサントンベースオートファジー阻害剤および癌治療オートファジー誘導化合物が、非経口的に投与される、
実施形態10に記載の方法または実施形態11に記載の使用。
21.チオキサントンベースオートファジー阻害剤および癌治療オートファジー誘導化合物が、カプセルまたは錠剤の形で投与される、
実施形態10に記載の方法または実施形態11に記載の使用。
22.チオキサントンベースオートファジー阻害剤および癌治療オートファジー誘導化合物が、1つまたは複数のサイクルで投与される、
実施形態10に記載の方法または実施形態11に記載の使用。
23.前記1サイクルが、4日毎に7回を含む、
実施形態10に記載の方法または実施形態11に記載の使用。
24.癌が、肺癌、脳癌、中枢神経系癌、乳癌、結腸癌、白血病、骨髄腫、前立腺癌、または卵巣癌である、
実施形態10もしくは12〜23に記載の方法、または実施形態11〜23に記載の使用。
25.肺癌が非小細胞肺癌である、
実施形態24の方法または使用。
26.方法または使用が、照射療法、ホルモン療法または免疫療法の投与をさらに含む、
実施形態10〜25に記載の方法または使用。
27.a)治療有効量のチオキサントンベースオートファジー阻害剤および薬学的に許容可能なキャリアを含む医薬組成物、ならびに
b)治療有効量の癌治療オートファジー誘導化合物および薬学的に許容可能なキャリアを含む医薬組成物、
を含む医薬品キット。
28.癌の治療方法であって、
a)実施形態1、4、または5に記載の有効量のチオキサントンベースオートファジー阻害剤を、それを必要としている哺乳動物に投与するステップ;および
b)有効量の電離放射線を、それを必要としている哺乳動物に投与するステップ;
を含み、
チオキサントンベースオートファジー阻害剤および電離放射線の両方の投与が、癌関連症状を緩和し、それにより、癌を治療する、
方法。
29.癌の治療方法であって、
a)実施形態1または3〜6に記載の有効量のチオキサントンベースオートファジー阻 害剤を、それを必要としている哺乳動物に投与するステップ;
b)実施形態1、4、または6〜8に記載の有効量の癌治療オートファジー誘導化合物を、それを必要としている哺乳動物に投与するステップ;および
c)有効量の電離放射線を、それを必要としている哺乳動物に投与するステップ;
を含み、
チオキサントンベースオートファジー阻害剤、癌治療オートファジー誘導化合物、および電離放射線の投与が、癌関連症状を緩和し、それにより、癌を治療する、
方法。
31.有効量の電離放射線の投与と組み合わせたチオキサントンベースオートファジー阻害剤の投与が、癌関連症状を緩和し、それにより、癌を治療する、
癌の治療のための、それを必要としている哺乳動物に対する実施形態1、4、または5に記載の組成物の使用。
32.有効量の電離放射線の投与と組み合わせたチオキサントンベースオートファジー阻害剤、癌治療オートファジー誘導化合物、または両方の投与が、癌関連症状を緩和し、それにより、癌を治療する、
癌の治療のための、それを必要としている哺乳動物に対する実施形態1〜8に記載の組成物の使用。
【0071】
実施例
以下の非制限的実施例は、現時点で意図されている代表的実施形態のさらに完全な理解に役立つために、説明の目的のためのみに提供されている。これらの実施例が、化合物、医薬組成物、医薬品キット、または癌の治療方法に関係するものを含め、本明細書に記載されているいずれの実施形態をも制限すると解釈されるべきではない。
【0072】
実施例1:ルカントンは、オートファジー分解を阻害する。
ルカントンがリソソーム膜透過化(LMP)を誘導する。オートファジーは、細胞生存を促進し、癌細胞がATPを生成するための細胞成分の再利用を可能とすることにより薬剤耐性をもたらす。このことに合致して、遺伝的にまたは3−MA等の化合物を使ったオートファジー抑制は、多くの抗癌剤の活性を高める。ルカントンは、抗住血吸虫剤で、化学構造に基づいて、リソソーム機能を破壊でき、オートファジー分解の最後のステップを阻害する。この仮説をテストするために、乳癌細胞を、ルカントンまたはクロロキンで処理し、LC3−IIの蓄積、空胞化の増加、およびリソソーム膜透過化の出現をアッセイした。
【0073】
LC3−IIの蓄積は、免疫細胞化学により可視化した。MDA−MB−231乳癌細胞株由来の細胞を、チャンバースライド上に播種し、一晩付着させた。次に、細胞を10μMルカントンまたは50μMクロロキンで、48時間処理した。薬剤処理後、細胞を4%パラホルムアルデヒドで固定し、0.2%トリトン−X−100を使って透過処理し、指示された一次抗体と共に一晩インキュベートした。Alexa Fluor 488結合蛍光二次抗体を使ってタンパク質の局在化を可視化した。DP71カメラおよび60X対物レンズを備えたOlympus螢光顕微鏡(Center Valley、PA)を使って、画像をキャプチャーした。Image−Pro Plus software Version 6.2.1(MediaCybernetics、Bethesda、MD)を、画像取得に使用した。
【0074】
空胞化の増加は、ギムザ染色および透過型電子顕微鏡により可視化した。MDA−MB−231乳癌細胞株由来の細胞を、チャンバースライドに播種し、10μMルカントンまたは50μMクロロキンで48時間処理した。薬剤処理後、細胞をPBSで洗浄し、メタノール中で5分間固定した。次に、細胞を脱イオン水で1:20に希釈したギムザ染料中で1時間インキュベートした。細胞を水ですすぎ、Olympus螢光顕微鏡を使って画像化した。Image−Pro Plus software Version 6.2.1を使って、画像を取得した。細胞の透過電子顕微鏡撮影を通常の方法で行った。切片をLKB Ultracutミクロトーム(Leica、Deerfield、IL)で切りだし、酢酸ウラニルとクエン酸塩鉛で染色し、JEM1230透過電子顕微鏡(JEOL、USA、Inc.、Peabody、MA)で調べた。AMT Imaging System(Advanced Microscopy Techniques Corp、Danvers、MA)を使って画像をキャプチャーした。
【0075】
アクリジンオレンジ蛍光の消失によりLMPの出現をモニターした。酸性のリソソームを、アクリジンオレンジ染色により可視化した。MDA−MB−231乳癌細胞株由来細胞を、10μMルカントンまたは50μMクロロキンで48時間処理後、1μMアクリジンオレンジを使って、37℃で15分間染色した。細胞をPBSで洗浄し、Olympus螢光顕微鏡を使って画像をキャプチャーした。酸性であるため、リソソームは、オレンジ蛍光の細胞質の小胞として出現した。5つのランダム視野のアクリジンオレンジ強度の定量化を免疫蛍光法により行い、Image−Pro Plus software Version 6.2.1を使って画像の取得を行った。
【0076】
ルカントンは、LC3−IのLC3−IIへの脂質修飾を誘導し、これは、LC3のオートファゴソームへの点状局在化を特徴とする(
図1B)。また、ルカントンは、誘導細胞質の空胞化を誘導し、これは、リソソーム膜透過化およびオートファジーの特徴である(
図1B)。さらに、ルカントンは、アクリジンオレンジによるリソソームの赤色染色強度を低下させ、クロロキンおよびルカントンによる処理後のリソソームの酸性の消失を示す(
図1Bと1C)。
【0077】
タンパク質の蓄積を生ずるオートファジーの抑制。透過電子顕微鏡による可視化時に、ルカントンまたはクロロキンによる、高電子密度粒子の蓄積の誘導が認められ、タンパク質凝集(
図1B)を示唆している。この知見を確認するために、乳癌細胞をルカントンまたはクロロキンで処理し、ポリユビキチン結合タンパク質p62またはセクエストソームI(SQSTMI)の蓄積をアッセイした。このタンパク質は、オートファジーにより分解され、細胞封入体に局在化し、オートファジーによりタンパク質凝集体のクリアランスを促進する役割を果たすことが提唱されてきた。従って、このプロセスの破壊により、SQSTMI/p62の蓄積を生ずるはずである。
【0078】
SQSTMI/p62のレベルと凝集を、それぞれ、イムノブロッティングおよび免疫細胞化学により測定した。イムノブロッティングに対しては、MDA−MB−231乳癌細胞株由来癌細胞を10μMルカントンまたは50μMクロロキンと共に48時間インキュベートした。細胞を採取し、ルーチン手法で溶解した。各検体由来の全体細胞タンパク質の約50μgをSDS−PAGEに供し、タンパク質をニトロセルロース膜に移して、膜を0.1%TWEEN−20含有トリス緩衝食塩水溶液中の5%脱脂ミルクで1時間ブロックした。次に、ブロットを、一次抗体を使って4℃で一晩探索し、洗浄後、西洋わさびペルオキシダーゼに結合した種特異的二次抗体を使って探索した。免疫反応性材料を強化型化学ルミネッセンス(WestPico、Pierce、Inc.、Rockville、IL)により検出した。
【0079】
オートファジー抑制の他のマーカーと一致して、SQSTMI/p62レベルは、ルカントンで処理後、大きく増加した(
図1D)。免疫細胞化学により、SQSTMI/p62は、基底条件下では拡散した染色パターンを示したが、ルカントンに応答して凝集したことが示された。これらの結果は、ルカントンは、SQSTM1/p62蓄積と凝集を刺激し、効果は、ユビキチン化したタンパク質との報告された相互作用と一致することを示す(
図1D)。
【0080】
実施例2:ルカントンは乳癌細胞に対し細胞障害性である。
リソソーム膜透過化とそれに続くオートファジーの抑制により、癌細胞の細胞死が誘導されると報告されている。ルカントンの抗癌活性を調べるために、細胞生存能を7つの乳癌細胞株パネルを使ってMTTアッセイにより測定した。
【0081】
乳癌細胞株MDA−MB−231、HCC1954、BT−474、SKBR−3、MDA−MB−435、HCC1937、およびBT−20由来細胞を、ウエル当たり10、000細胞で96ウエルミクロ培養プレートに播種し、24時間付着させた。次に、細胞を種々濃度のルカントンまたはクロロキンで72時間処理した。薬剤処理後、3−(4、5−ジメチルチアゾール−2−イル)−2、5、ジフェニルテトラゾリウムブロミド(MTT)を添加し、細胞生存能をBioTek(Winooski、VT)マイクロプレートリーダーを使って定量化した。インビトロ薬剤暴露後のアポトーシス促進性効果をヨウ化プロピジウム(PI)染色およびsub−G
0/G
1DNA含量の蛍光標識細胞分取(FACS)分析により定量化した。データは、3つの独立した実験の代表値である。IC
50値は、MTTアッセイの結果から計算した。
【0082】
ルカントンは、7つの乳癌細胞株パネルで同程度に細胞生存能を低下させた(
図2)。さらに、直接比較により、ルカントンは、乳癌細胞生存能低化の点で、CQより非常に強力であることが示され、平均IC
50は、CQの66μMに対し、7.2μMであった(
図2)。
【0083】
実施例3:ルカントンはカテプシンDの発現を誘導する。
Affymetrix発現アレイを使ったルカントンの癌細胞に及ぼす効果のキャラクタリゼーション。乳癌細胞に対するルカントンの効果をさらに特徴付けるために、乳癌細胞株に対し、発現プロファイリングを行った。MDA−MB−231およびBT−20乳癌細胞株由来の細胞を10μMルカントンで48時間処理した。全RNAをRNeasy Plus Mini Kit(Qiagen、Germantown、MD)を使って単離し、TURBO DNA−free(商標登録)Kit(Applied Biosystems、Foster City、CA)を使って処理した。検体当たり300ngの全RNAを増幅し、メーカーのインストラクションに従って、GENECHIP(商標登録)ヒト遺伝子1.0 STアレイ(Affymetrix、Inc.、Santa Clara、CA)にハイブリダイズした。これらのアレイは、764、885の異なるプローブを有する、適切に注釈を付けた約28、869の遺伝子の発現をアッセイする。デフォルトPartek正規化パラメータおよびプローブ配列およびGC含量に合わせて調節したロバストマルチアレイ平均(RMA)分析(GC−RMA)を使って、Affymetrix CELファイルをPARTEK(商標登録)Genomics Suite(商標登録)6.4(Partek Inc.、St.Louis、MO)に取り込んだ。分位数正規化を使って、データの正規化を全アレイに対し行った。著しく発現上昇した遺伝子(p<0.05および>4倍増加)を特定した。データは、ルカントン処理後、少なくとも4倍発現上昇した遺伝子を表す。
【0084】
ルカントンに誘導された遺伝子の中で、カテプシンD(CTSD)、マトリックスメタロプロテアーゼ−l(MMPI)、およびチトクロムP450、ファミリー1、memberAl(CYPIAI)が、両細胞株中で増加した(
図3A)。
【0085】
カテプシンDの定量リアルタイムPCR分析。リソソームプロテアーゼカテプシンDは、アポトーシスの主要メディエーターであり、それのサイトゾル中への放出は、細胞死を促進すると報告されている。これを考慮して、定量リアルタイムPCR(qRT−PCR)を使って、ルカントン媒介細胞死の間のカテプシンDの役割をさらに評価した。qRT−PCRを行うために、MDA−MB−231またはBT−20細胞株由来細胞を10μMルカントンで48時間処理した後、分析用に採取した。全RNAをRNeasy Plus Mini Kit(Qiagen、Germantown、MD)を使って単離し、TURBO DNAfree(登録商標)Kit(Applied Biosystems、Foster City、CA)で処理した。高性能cDNA逆転写キット(Applied Biosystems、Foster City、CA)を使って、ファーストストランドcDNA合成を20μL反応混合物中の1μgRNAから実行した。カテプシンDおよびGAPDH転写物を市販のTaqMan@Gene expression assays(Applied Biosystems、Foster City、CA)を使って増幅した。mRNAのレベルをGAPDHの発現に標準化し、相対的遺伝子発現を2
−ΔCt法で計算した。
【0086】
定量リアルタイムPCR(qRT−PCR)により、ルカントンが、両細胞株中でカテプシンDレベルの顕著な増加を誘導することが確認された(
図3B)。さらに、ルカントンは、また、カテプシンDタンパク質レベルを劇的に増加させ、免疫細胞化学で測定の結果によると、サイトゾル凝集を促進した(
図3C)。
【0087】
実施例4:カテプシンD誘導がルカントン媒介アポトーシスに寄与する。
乳癌におけるカテプシンDの発現。カテプシンDがルカントン媒介アポトーシスに顕著に寄与するため、イムノブロッティングによりカテプシンDの発現、およびPI−FACSよりそのアポトーシスを4つの乳癌細胞株で調べた。乳癌細胞株MDA−MB−231、BT−474、SKBR−3、およびBT−20由来細胞を96ウエルミクロ培養プレート中に、ウエル当たり10、000細胞で播種し、24時間付着させた。次に、細胞を10μMルカントンで72時間処理した(アポトーシスアッセイ用には48時間処理)。イムノブロッティング用として、細胞を処理後採取し、カテプシンDレベルを上述のように測定した。インビトロ薬剤暴露後のアポトーシス促進性効果をsub−G
0/G
1DNA含量のヨウ化プロピジウム(PI)染色および蛍光標識細胞分取(FACS)分析により定量した。データは、3つの独立した実験の代表値である。予期されたように、カテプシンDレベルは、ルカントン処理後、大きく増加し(
図4A)、アポトーシスと相関があった(
図4B)。
【0088】
カテプシンDのノックダウンがルカントン誘導アポトーシスを減らす。ルカントン誘導アポトーシスにおけるカテプシンDの機構的役割をさらに確立するために、siRNAを使ってその発現をノックダウンした(
図4C)。siRNAカテプシンDおよび非標的SMARTpool siRNAの標本をDharmacon(Lafayette、CO)から入手した。Oligofectamine(Invitrogen、Carlsbad、CA)を使って、メーカーのプロトコルに従って、MDA−MB−231乳癌細胞株由来細胞に100nMの非標的またはカテプシンD siRNAを形質移入た。形質移入細胞を37℃で24時間インキュベート後、10μMルカントンで48時間処理した。RNAiの効率をα−カテプシンD抗体を使ってイムノブロッティングにより、48時間目に測定した。アポトーシスをPI染色およびフローサイトメトリーにより測定した。結果は、カテプシンDレベルの減少した細胞で、ルカントン媒介アポトーシスに対し顕著に感受性が低下したことを示した(
図4D)。
【0089】
実施例5:p53はカテプシンDの蓄積またはルカントンの活性を低下させない。
p53機能消失は、ヒト癌中の高頻度イベントであり、腫瘍形成と薬剤耐性に関連している。従って、p53の状態とは独立した効力を有する試薬が強く望まれる。ルカントン媒介細胞死におけるp53の役割を調べるために、アイソジェニックp53
+/+およびp53
−/−HCT116結腸直腸癌細胞株で実験した(
図5A)。重要なのは、ルカントンが、カテプシンD蓄積を、p53の状態に関わりなく同等に誘導することである(
図5B)。カテプシンDの等効力誘導と一致して、ルカントンは、HCT116p53
+/+およびp53
−/−細胞株の両方で同程度に生存能を低下させた(
図5C)。したがってp53の消失は、カテプシンD蓄積またはルカントンの活性を低下させない。
【0090】
実施例6:ルカントンはボリノスタットの活性を高める。
ルカントンは、オートファジーを阻害するため、この経路を誘導する化学療法剤の活性を高めることができる可能性もある。チオキサントンベースオートファジー阻害剤ボリノスタットは、アポトーシスおよびオートファジーの両方を誘導し、オートファジーの抑制は、そのアポトーシス促進活性を大きく増強する。ルカントンおよびボリノスタットの組み合わせが、有効であるかどうかを判断するために、カテプシンDの発現をイムノブロッティングを使って、その細胞生存能をMTTアッセイを使って、また、そのアポトーシスをPI−FACSを使って、4つの乳癌細胞株に対し調査した。
【0091】
乳癌細胞株MDA−MB−231、BT−474、SKBR−3、およびBT−20由来の細胞を96ウエルミクロ培養プレートに、ウエル当たり10、000細胞で播種し、24時間付着させた。イムノブロッティング用として、細胞を10μMルカントン、2.5μMボリノスタット、またはそれらの組み合わせで、72時間処理後、採取し、カテプシンDレベルを上述のように測定した。MTT細胞生存率アッセイ用として、細胞を10μMルカントン、2.5μMボリノスタット、またはそれらの組み合わせで、72時間処理した。処置後、3−(4、5−ジメチルチアゾール−2−イル)−2、5、ジフェニルテトラゾリウムブロミド(MTT)を添加し、BioTek(Winooski、VT)マイクロプレートリーダーを使って、細胞生存能を定量した。アポトーシスアッセイ用として、細胞を10μMルカントン、2.5μMボリノスタット、またはそれらの組み合わせで、48時間処理した。インビトロ薬剤暴露後のアポトーシス促進性効果をsub−G
0/G
1DNA含量のヨウ化プロピジウム(PI)染色および蛍光標示式細胞分取(FACS)分析により定量した。データは、3つの独立した実験の代表値である。
【0092】
ルカントンおよびボリノスタットの組み合わせにより、MDA−MB−231細胞において、いずれの単体試薬処理により得られた結果より増加したカテプシンD誘導がもたらされた(
図6A)。これは、細胞生存能の減少(
図6B)およびアポトーシスの増加(
図6C)と関連していた。これらのデータは、オートファジーのルカントンによる抑制がボリノスタットの抗癌活性の増強に成功した証を提供する。
【0093】
実施例7:ルカントンはベリノスタットの活性を高める。
HDAC阻害剤の抗癌活性をうまく増強することができるという知見をさらに探究し発展させるために、他のHDAC阻害剤のベリノスタットと組み合わせてルカントンの効力を、MTTアッセイを使って細胞生存能を、またPl−FACSを使ってアポトーシスを4つの乳癌細胞株で評価することにより調査した。
【0094】
乳癌細胞株MDA−MB−231およびBT−20由来の細胞を96ウエルミクロ培養プレートを使い、ウエル当たり10、000細胞で播種し、24時間付着させた。MTT細胞生存率アッセイ用として、細胞を5μMルカントン、1μMベリノスタット、またはこれらの組み合わせで、72時間処理した。処理後、3−(4、5−ジメチルチアゾール−2−イル)−2、5、ジフェニルテトラゾリウムブロミド(MTT)を添加し、細胞生存能をBioTek(Winooski、VT)マイクロプレートリーダーを使って定量化した。アポトーシスアッセイ用として、細胞を5μMルカントン、1μMベリノスタット、またはこれらの組み合わせで、48時間処理した。インビトロ薬剤暴露後のアポトーシス促進効果をsub−G
0/G
1DNA含量のヨウ化プロピジウム(PI)染色および蛍光標識細胞分取(FACS)分析により定量化した。データは、3つの独立した実験の代表値である。
【0095】
ルカントンおよびベリノスタットの組み合わせにより、細胞生存能の低下(
図7A)およびアポトーシスの増加(
図7B)が生じた。これらのデータは、ルカントンによるオートファジーの抑制により、ベリノスタットの抗癌活性をうまく増強できるという証拠を提供する。
【0096】
最後に、本明細書の態様を具体的実施形態に言及して強調しているが、これらの開示実施形態が、本明細書で開示の対象の原理の説明のみのためであることは、当業者なら容易にわかることは理解されよう。従って、開示対象は、本明細書記載の特定の方法、プロトコル、および/または試薬、等に限定されないことは理解されるべきである。従って、本明細書の趣旨と乖離することなく、本明細書の教示に従って開示対象の構成に対する様々な修正と変更または代替を行うことができる。最後に、本明細書で使われる用語は、特定の実施形態を説明するためのみの目的であり、請求項によってのみ規定される本発明の範囲を制限する意図はない。従って、本発明は、示され、記述されたそのままに正確に限定されるものではない。
【0097】
本発明の特定の実施形態は、本明細書に記載され、本発明を実行のための発明者に既知の最良のモードを含む。むろん、これらの記載された実施形態に対する変更は、前述の記載を読み取る際に当業者には明らかとなるであろう。発明者は当業者が必要に応じてこのような変更を採用することを予想し、発明者は具体的に本明細書に記載された内容とは別の方法で実施される本発明も対象としている。従って、本発明は、本明細書に添付された、適用法により許可された請求項に列挙された対象の全ての修正、等価物を含有する。さらに、全ての可能な変更中の上述の実施形態のいずれかの組み合わせは、本明細書で別段の指示がなく、または、文脈との明らかな矛盾がなければ、本発明に包含される。
【0098】
本発明の代替実施形態、要素、またはステップのグルーピングは、制限と解釈されるべきではない。各グループメンバーは、個別に参照・要求されても、または本明細書で開示の他のグループメンバーと任意に組み合わされてもよい。1つまたは複数のグループのメンバーが、便宜および/または特許性の理由でグループ中に含まれる、または、欠けることは予想されている。いずれかのこのような包含または欠如が発生する場合、明細書は、修正され、従って、添付請求項で使用される全てのMarkushグループの文書による説明に記載されたグループを含むと見なされる。
【0099】
特段の指示がなければ、本明細書および請求項で使われる特性、項目、量、パラメータ、特性、期間、等を表現する全てのメンバーは、全ての場合において、用語「約」によって修飾されていると理解されるべきである。本明細書で使われる用語の「約」は、そのように修飾された特性、項目、量、パラメータ、特性、または期間が、表示された特性、項目、量、パラメータ、特性、または期間の値の上下±10%の範囲を含むことを意味する。従って、それとは反対の指示がなければ、本明細書および添付請求項中で述べられた数字パラメータは、変化してもよい近似値である。最低限でも、また、等価物の原理の適用を請求項の範囲に限定する意図ではなく、各数値表示は、報告されている有効数字の数を考慮して、また、通常の丸め技術を適用して解釈されるべきである。本発明の広い範囲を記述している数値の範囲および値は近似値であるにも関わらす、具体的な例で記述されている数値の範囲および値は、可能な限り正確に報告されている。しかし、任意の数字の範囲または値は、本質的に、それぞれの試験測定値で認められる標準偏差から生じた必然的な特定の誤差を含んでいる。本明細書の値の数字範囲の列挙は、特定の範囲に入る各別々の数値を個々に参照する簡略的方法として使用することを意図しているに過ぎない。本明細書で別段の指示がなければ、数値範囲の各個別値は、あたかも本明細書でそれぞれが列挙されているように、本明細書中に組み込まれる。
【0100】
本発明の記載の文脈(特に、以下の請求項の文脈)で使われる用語の「a」、「an」、「the」、および類似の参照対象は、本明細書で別段の指示がなく、または、文脈との明確な矛盾がなければ、単数形および複数形の両方を含むと解釈されるべきである。本明細書記載の全ての方法は、本明細書で別段の指示がなく、または、文脈との明確な矛盾がなければ、任意の適切な順番で実施することができる。本明細書で提供されるいずれか、および全ての例の使用、または代表的用語(例えば、「のような(such as)」)は、本発明に対しより良き説明の光明を投じる意図に過ぎず、別段で請求された本発明の範囲に制限を提起するものではない。本明細書中のいかなる用語も、本発明の実施に必要ないずれかの非請求要素を示すと解釈されるべきではない。
【0101】
本明細書で開示の具体的実施形態は、(用語)からなる、または基本的に(用語)からなる、を使って請求項でさらに限定することができる。請求項で使用される場合、出願のままでも、または修正毎に追加した場合も、移行用語(transition term)「〜からなる(consisting of)」は、請求項で特定されていない全ての要素、ステップ、または成分を排除する。移行用語「基本的に〜からなる(consisting essentially of)」は、請求項の範囲を特定された物質またはステップおよび実質的に基本的かつ新規の特性に影響を与えない事項の範囲に制限する。そのように請求された本発明の実施形態は、本質的にまたは明示的に記載され、本明細書で使用可能にされる。
【0102】
本明細書中で引用され特定された全ての特許、特許公報、および他の出版物は、このような出版物中で記載されている、本発明と関連して使用される可能性がある組成物および方法を記載し、開示する目的で、それぞれ、明示的に参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。これらの出版物は、その開示が本出願の出願日より前であることのみのために提供される。これに関連して、何であれ、発明者が、先行発明の理由、または他のいずれかの理由でこのような開示に先行する権利を有さないことを認めると解釈されるべきではない。全ての日付に関する記載、またはこれらの文書の内容に関する表現は、出願者が入手可能な情報に基づいており、日付またはこれらの文書の内容の正確さに関し承認するものではない。