(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
フィルム本体が巻芯にロール状に巻き付けられて収納箱に収納し、前記収納箱から引き出した前記フィルム本体がカット刃で切断される食品包装用ラップフィルムであって、
前記フィルム本体は、中間層と、前記中間層の一方表面に積層される強粘着層と、前記中間層の他方表面に積層される非粘着層と、を有し、
前記強粘着層は、ポリオレフィン系樹脂に対し熱可塑性エラストマーと粘着付与剤を添加して、該強粘着層が容器に貼り付けられた際に密着して剥がれないレベルの粘着力を有するように構成され、
前記非粘着層は、前記強粘着層と強く粘着し過ぎないレベルのブロッキング性を有するポリオレフィン系樹脂からなり、
前記中間層は、密度0.926〜0.935のポリエチレン100重量%で且つ直鎖状低密度ポリエチレンを除く層からなり、前記強粘着層及び前記非粘着層よりも厚くなるように積層したことを特徴とする食品包装用ラップフィルム。
前記強粘着層が、ベース樹脂となるポリプロピレンに対して、スチレン系エラストマー又はオレフィン系エラストマー化合物の1種類或いは2種類以上の組み合わせた組成と前記粘着付与剤を添加したことを特徴とする請求項1記載の食品包装用ラップフィルム。
前記強粘着層が、ベース樹脂となるポリプロピレンに対して、スチレン系エラストマーとして水添スチレン・ブタジエンゴムを添加し、前記粘着付与剤としてテルペン樹脂を添加したことを特徴とする請求項1又は2記載の食品包装用ラップフィルム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし乍ら、このような従来の食品包装用ラップフィルムでは、ポリプロピレン系樹脂100重量部に対して水素化石油系樹脂が0.1〜5.0重量部混合された被覆層を、食品が入った容器の開口部分に貼り付けたとしても、密着度が低くて食品と外気の遮断が不十分であるため、衛生的ではなかった。
容器がタッパーなどの合成樹脂製容器の場合は、ある程度の密着性はあるものの、陶磁器製のものでは密着性が不足していた。
【0005】
本発明は、このような問題に対処することを課題の一例とするものである。すなわち、フィルム本体の引き出し性及びカット性に優れ且つ容器、特に陶磁器との密着性に優れた食品包装用ラップフィルムを提供すること、などが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような目的を達成するために、本発明による食品包装用ラップフィルムは、以下の独立請求項に係る構成を少なくとも具備するものである。
[請求項1] フィルム本体が巻芯にロール状に巻き付けられて収納箱に収納し、前記収納箱から引き出した前記フィルム本体がカット刃で切断される食品包装用ラップフィルムであって、
前記フィルム本体は、中間層と、前記中間層の一方表面に積層される強粘着層と、前記中間層の他方表面に積層される非粘着層と、を有し、
前記強粘着層は、ポリオレフィン系樹脂に対し熱可塑性エラストマーと粘着付与剤を添加して、該強粘着層が容器に貼り付けられた際に密着して剥がれないレベルの粘着力を有するように構成され、
前記非粘着層は、前記強粘着層と強く粘着し過ぎないレベルのブロッキング性を有するポリオレフィン系樹脂からなり、
前記中間層は、密度
0.926〜0.935のポリエチレン
100重量%で且つ直鎖状低密度ポリエチレンを除く層からなり、前記強粘着層及び前記非粘着層よりも厚くなるように積層したことを特徴とする食品包装用ラップフィルム。
【発明の効果】
【0007】
このような特徴を有する本発明の食品包装用ラップフィルムは、非粘着層の材料として、強粘着層と強く粘着し過ぎないレベルのブロッキング性を有するポリオレフィン系樹脂が用いられるため、巻芯にフィルム本体をロール状に巻き付けることで、強粘着層が対向する非粘着層が重ね合わされ、巻芯からフィルム本体を引き出すことにより、強粘着層が対向する非粘着層からスムーズに剥がれる。さらに強粘着層の材料として、ポリオレフィン系樹脂に対し熱可塑性エラストマーと粘着付与剤が添加されるため、食品が入った容器の開口部に、フィルム本体の強粘着層を貼り付けて被覆することにより、強粘着層が容器の開口部に密着して容器内の食品が外気と遮断されて水蒸気が透過し難くなる。またフィルム本体において密度0.92以上のポリエチレンからなる中間層が強粘着層及び非粘着層よりも厚く積層されるため、全体としてカット刃でスムーズに切断可能となる。
なお、非粘着層と表現しているが、これは容器との粘着層として用いないことを示しているものであり、非粘着層は、強粘着層との間で巻きズレを起こさないレベルの粘着性を持っている。
したがって、フィルム本体の引き出し性及びカット性に優れ且つ容器との密着性に優れた食品包装用ラップフィルムを提供することができる。
その結果、ポリプロピレン系樹脂100重量部に対して水素化石油系樹脂が0.1〜5.0重量部混合された被覆層を、食品が入った容器の開口部分に貼り付ける従来のものに比べ、容器から強粘着層が剥離し難くなるため、容器内の食品と外気を確実に遮断して、食品の水分が蒸発し難くなり、食品の乾燥による臭い移りや冷凍焼けを防ぎ、保存中の食品の味や風味をしっかり長期に亘って保つことができ衛生的である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。
本発明の実施形態に係る食品包装用ラップフィルムは、そのフィルム本体が巻芯にロール状に巻き付けられるとともに、この巻き付け状態で収納箱に収納され、収納箱からフィルム本体を所定長さ引き出してカット刃で切断することにより、食品が入った容器の開口部を覆うか、又は食品に直接巻き付けてラップ包装するために用いられるものである。
詳しく説明すると、本発明の実施形態に係る食品包装用ラップフィルムのフィルム本体は、その芯材となる中間層と、中間層の一方表面に沿って積層される強粘着層と、中間層の他方表面に沿って積層される非粘着層と、を主要な構成要素として備えている。
【0009】
[強粘着層について]
強粘着層は、ポリプロピレンやポリエチレンなどのポリオレフィン系樹脂を主成分とする層にする。詳しくは、ポリプロピレンを用いることが好ましい。特に、ブロックポリプロピレンを用いることが好ましい。
このブロックポリプロピレンとしては、日本ポリプロ社製のCF580Aが該当する。
強粘着層には、ポリプロピレンなどの主成分に対して、熱可塑性エラストマーと粘着付与剤などを適量ずつ添加する。それにより、強粘着層は、ガラスや陶器などの陶磁器や合成樹脂などからなる容器の開口部に形成される平滑面に対し、強粘着層が貼り付けられた際に、密着して簡単に剥がれないレベルの粘着力を有し、時間経過しても粘着力が維持されるように構成されている。
【0010】
熱可塑性エラストマーとしては、水添スチレン系ゴムなどのスチレン系エラストマー、及び/又はプロピレン系エラストマー、エチレン系エラストマーなどのオレフィン系エラストマーがある。プロピレン系エラストマーとしては、プロピレン・α−オレフィン共重合体などが含まれ、エチレン系エラストマーとしては、エチレン・α−オレフィン共重合体などが含まれる。
このプロピレン系エラストマーとしては、三井化学社製のノティオPN−3560が該当する。
スチレン系エラストマーは、硬質セグメントがスチレンで、軟質セグメントがオレフィン、ジエンなどのブロックコポリマーである。軟質セグメントがブタジエンを水素添加したSEBS、HSBS、イソプレンのSIS、イソプレンを水素添加したSEPSが例示される。水添スチレン系ゴムとしては、水添スチレン・ブタジエンゴムのHSBRが例示される。
SEBSとしては、クレイトンポリマー社製のクレイトンG1645が該当し、HSBRとしては、JSR社製のダイナロン1320Pが該当する。
また、オレフィン系エラストマーの具体例としては、プロピレン−1−ブテン共重合体エラストマー、エチレン―ブテン1ランダム共重合体エラストマー、エチレンプロピレンランダム共重合体ゴムが例示される。
プロピレン−1−ブテン共重合体エラストマーとしては、住友化学社製のタフセレンT−1712が該当し、エチレン―ブテン1ランダム共重合体エラストマーとしては、三井化学社製のタフマーA−4085Sが該当し、エチレンプロピレンランダム共重合体ゴムとしては、住友化学社製のエスプレンV0141が該当する。
【0011】
粘着付与剤は、タッキファイヤーとも呼ばれる樹脂であり、エラストマーに添加されることで、エラストマーと相溶して粘着機能(タッキ)を付与させる配合剤である。
粘着付与剤の具体例としては、テルペン樹脂水素化物(水添テルペン樹脂)などのテルペン樹脂、水素化石油樹脂(脂環族飽和炭化水素樹脂)や脂環族飽和炭化水素樹脂や脂肪族系石油樹脂や芳香族系石油樹脂やC5系石油樹脂などの石油樹脂、クマロン・インデン樹脂、テルペンフェノール樹脂、ロジン樹脂などが挙げられる。特に、テルペン樹脂水素化物(水添テルペン樹脂)、水素化石油樹脂を用いることが好ましい。
このテルペン樹脂水素化物(水添テルペン樹脂)としては、ヤスハラケミカル社製のクリアロンP−125が該当し、水素化石油樹脂(脂環族飽和炭化水素樹脂)としては、荒川化学工業社製のアルコンP−115が該当する。
【0012】
そして、強粘着層を構成する材料の具体例としては、ベース樹脂となるポリプロピレンに対して、SEBS,HSBS,SIS、SEPS、HSBRなどのスチレン系エラストマー、又はプロピレン系エラストマー、若しくはオレフィン系エラストマー化合物のうちいずれか1種類或いは2種類以上の組み合わせた組成と粘着付与剤を添加することが好ましい。また、その他の例として、ベース樹脂となるポリプロピレンに対し、エチレン系のコポリマーと粘着付与剤を添加することも可能である。
詳しくは、ポリプロピレンが90−50質量部に対して、スチレン系エラストマー又はプロピレン系エラストマー若しくはオレフィン系エラストマー化合物を1種類あるいは2種類以上の組み合わせた組成が10−50質量部を含有することが好ましい。
【0013】
[中間層について]
中間層は、ポリエチレンにおいてその密度が0.92以上のポリエチレンを主成分とする層にする。密度0.92以上のポリエチレンとは、低密度ポリエチレンのうち密度の高いものと、高密度ポリエチレンを指す。
さらに、中間層の厚さは、強粘着層及び後述する非粘着層よりも厚くなるように積層している。強粘着層と中間層と非粘着層の厚さバランス(層比)は、1:1〜20:1であり、好ましくは、1:2〜20:1である。
フィルム本体の中で最も厚い中間層が密度0.92以上のポリエチレンで構成されることにより、フィルム本体の全体に腰を持たせて、カット刃によるカット性が良好となるように構成されている。
特に、密度が0.926〜0.935のポリエチレンを用いると良い。0.926以上ではカット刃によるカット性が特に良好であり、0.935以下ではフィルムの柔軟性が特に良好になる。
なお、0.926〜0.935のポリエチレンは、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)は好ましくなく、共重合体を含まない低密度ポリエチレン(LDPE)が好ましい。
この密度0.92以上のポリエチレンとしては、ポリエチレン(密度0.929)に日本ユニカー社製のNUC8240が該当し、ポリエチレン(密度0.928)に日本ユニカー社製のNUC8230が該当する。
また、中間層の硬さコントロールや加工性の改良に前述した粘着付与剤を添加することも可能である。粘着付与剤には、フィルムの硬さとカット性のバランスを調整する効果があり、より柔らかなフィルムでも良好なカット性を与えることができる。
【0014】
[非粘着層について]
非粘着層は、強粘着層と強く粘着し過ぎないレベルのブロッキング性を有するポリオレフィン系樹脂を主成分とする層にする。それにより、非粘着層は、強粘着層と重ね合わせても容易に開反できる程度の粘着性しか与えないが、強粘着層に対して巻きズレずれを起こさない程度の僅かな粘着性となるように構成されている。
非粘着層を構成する材料には、ブロックポリプロピレンを主体とするか、又はポリエチレン系樹脂にアンチブロッキング剤を添加したものか、若しくはポリプロピレン系樹脂にアンチブロッキング剤を添加したものが含まれる。
特に、非粘着層を構成する材料としてブロックポリプロピレンを用いた場合には、アンチブロッキング剤を使用しなくても、強粘着層と強く粘着し過ぎない良好なアンチブロッキング性を与えるため好ましい。
このブロックポリプロピレンとしては、日本ポリプロ社製のノバテックBC3HFが該当する。
ブロックポリプロピレン以外のポリプロピレン、ポリエチレンを非粘着層とする時には、アンチブロッキング剤で非粘着性をコントロールする。
アンチブロッキング剤としては、例えば無機シリカ、ゼオライト、タルク、カオリン、マイカ、合成炭酸カルシウムなどの無機微粒子、ポリマービーズなどの有機微粒子、脂肪酸グリセリド、脂肪酸アミドなどの界面活性剤系がある。非粘着層が食品と接触する場合も考慮して、食品に移行の恐れが少ない無機微粒子として、特に無機シリカ、ゼオライトを用いることが好ましい。
【0015】
[製造方法]
そして、フィルム本体の製造方法としては、Tダイ又はサークルダイを用いた押出し成形機による押出成形か、若しくはインフレーション成形により、中間層を挟んで強粘着層と非粘着層が一体的に積層して所定の厚さにフィルム化されたフィルム本体を冷却することで製品化される。
フィルム本体全体の厚さは、柔軟で破れ難くするために約5〜70μmとすることが好ましく、特に5〜30μm程度が最も好ましい。
さらに、フィルム本体を巻芯に対して巻き付ける際の巻き付け方向としては、巻芯の外表面と対向する内側が強粘着層となるように配置する方が扱い易い。また、これに限らず、巻芯と対向する内側が非粘着層となるように巻き付けることも可能である。
【0016】
このような本発明の実施形態に係る食品包装用ラップフィルムによると、非粘着層の材料として、強粘着層と強く粘着し過ぎないレベルのブロッキング性を有するポリオレフィン系樹脂が用いられるため、巻芯にフィルム本体をロール状に巻き付けることで、フィルム本体の強粘着層が、それと対向するフィルム本体の非粘着層が重ね合わされ、巻芯からフィルム本体を引き出すことにより、フィルム本体の強粘着層が、それと対向するフィルム本体の非粘着層からスムーズに剥がれる。
さらに、強粘着層の材料として、ポリオレフィン系樹脂に対し熱可塑性エラストマーと粘着付与剤が添加されるため、食品が入った容器の開口部に形成される平滑面に対し、フィルム本体の強粘着層を貼り付けて被覆することにより、強粘着層が容器の開口部に密着して容器内の食品が外気と遮断されて水蒸気が透過し難くなる。
また、フィルム本体において密度0.92以上のポリエチレンからなる中間層が強粘着層及び非粘着層よりも厚く積層されるため、フィルム本体の密度が全体的に高くなってフィルム本体の腰が強くなるため、カット刃でスムーズに切断可能となる。
したがって、フィルム本体の引き出し性及びカット性に優れ且つ容器との密着性に優れた食品包装用ラップフィルムを提供することができる。
その結果、容器から強粘着層が剥離し難くなるため、容器内の食品と外気を確実に遮断して、食品の水分が蒸発し難くなり、食品の乾燥による臭い移りや冷凍焼けを防ぎ、保存中の食品の味や風味をしっかり長期に亘って保つことができ衛生的である。
【0017】
特に、強粘着層が、ベース樹脂となるポリプロピレンに対して、スチレン系エラストマー又はオレフィン系エラストマー化合物の1種類或いは2種類以上の組み合わせた組成と前記粘着付与剤を添加した場合には、容器に対する強粘着層の密着性を更に向上させることができる。
その結果、容器から強粘着層が更に使用中に剥離し難くなるため、容器内の食品の味や風味をより長期に亘って確実に保つことができる。
【0018】
さらに、強粘着層が、ベース樹脂となるポリプロピレンに対して、スチレン系エラストマーとして水添スチレン・ブタジエンゴム(HSBR)を添加し、粘着付与剤としてテルペン樹脂を添加した場合には、容器に対する強粘着層の密着性をより高く向上させることができる。
その結果、容器から強粘着層が更に増して剥離し難くなるため、容器内の食品の味や風味をより一層長期に亘って確実に保つことができる。
【0019】
さらに、非粘着層がブロックポリプロピレンを主体とした場合には、アンチブロッキング剤の添加がなしで非粘着層を形成することもできる。また、外層と内層を異なる材質とする場合に心配されるカールの問題も発生しない。
その結果、フィルム本体の積層形成を容易にすることができ、製造工程の簡素化及びコストの低減化が図れる。
【0020】
また、中間層における密度0.92以上のポリエチレンの密度が0.926〜0.935であり、フィルム本体の厚さが10〜50μmである場合には、フィルム本体のカット性を更に向上させ且つフィルム本体全体に柔軟性を持たせることができる。
その結果、フィルム本体の取り扱いが更に容易になって使用勝手が良い。
【実施例】
【0021】
[実施例1〜8及び比較例1〜6]
表1に示す本発明の実施例1〜8と表2に示す比較例1〜3は、それらに記載された成分をそれぞれの割合で混合し、強粘着層と中間層と非粘着層の厚さバランス(層比)を1:3:1とした3層構造のフィルム本体を、その全体の厚さが10μmとなるように加工したものである。実施例1〜7及び比較例1〜3では、Tダイ押出成形によって加工し、実施例8では、サークルダイを用い、インフレーション成形によって加工している。
実施例1〜8及び比較例1〜3は、強粘着層のベース樹脂としてブロックポリプロピレンを用い、共通の構成にしている。
実施例1〜7及び比較例1,3では、中間層が密度0.92以上のポリエチレン(密度0.929)100重量%の層であり、共通の構成にしている。実施例8では、中間層が密度0.92以上のポリエチレン(密度0.928)100重量%の層である。
実施例1〜8及び比較例1,2では、非粘着層がブロックポリプロピレン100重量%の層であり、共通の構成にしている。比較例3では、非粘着層がブロックポリプロピレン100重量%の層であり、共通の構成にしている。
【0022】
実施例1〜8では、強粘着層が、ブロックポリプロピレンの含有量50以上と、スチレン系エラストマー又はオレフィン系エラストマーの1種類あるいは2種類の組み合わせの含有量40以下と、粘着付与剤の含有量20以下の混合樹脂になっている。
詳しくは、実施例1の強粘着層では、ブロックポリプロピレン50重量%と、スチレン系エラストマー(SEBS)10重量%と、オレフィン系エラストマー(プロピレン系エラストマー)30重量%と、粘着付与剤(テルペン樹脂水素化物)10重量%の混合樹脂になっている。実施例2,8の強粘着層では、ブロックポリプロピレン50重量%と、スチレン系エラストマー(HSBR)40重量%と、粘着付与剤(テルペン樹脂水素化物)10重量%の混合樹脂になっている。実施例3の強粘着層では、ブロックポリプロピレン55重量%と、スチレン系エラストマー(SEBS)10重量%と、オレフィン系エラストマー(プロピレン系エラストマー)30重量%と、粘着付与剤(テルペン樹脂水素化物)5重量%の混合樹脂になっている。実施例4の強粘着層では、ブロックポリプロピレン50重量%と、オレフィン系エラストマー(プロピレン−1−ブテン共重合体エラストマー)30重量%と、粘着付与剤(テルペン樹脂水素化物)20重量%の混合樹脂になっている。実施例5の強粘着層では、ブロックポリプロピレン50重量%と、オレフィン系エラストマー(エチレン―ブテン1ランダム共重合体エラストマー)40重量%と、粘着付与剤(水素化石油樹脂)10重量%の混合樹脂になっている。実施例6の強粘着層では、ブロックポリプロピレン60重量%と、スチレン系エラストマー(エチレンプロピレンランダム共重合体ゴム)20重量%と、粘着付与剤(テルペン樹脂水素化物)20重量%の混合樹脂になっている。実施例7の強粘着層では、ブロックポリプロピレン50重量%と、スチレン系エラストマー(エチレンプロピレンランダム共重合体ゴム)40重量%と、粘着付与剤(テルペン樹脂水素化物)10重量%の混合樹脂になっている。
【0023】
一方、比較例1の強粘着層では、ブロックポリプロピレンの含有量60重量%と、スチレン系エラストマー(SEBS)10重量%と、オレフィン系エラストマー(プロピレン系エラストマー)30重量%になっており、粘着付与剤が添加されていない。
比較例2では、強粘着層が、ブロックポリプロピレンの含有量50重量%と、スチレン系エラストマー(SEBS)10重量%と、オレフィン系エラストマー(プロピレン系エラストマー)30重量%と、粘着付与剤(テルペン樹脂水素化物)10重量%の混合樹脂になっているものの、中間層が密度0.92以上のポリエチレンではなく、密度0.92未満のポリエチレン(密度0.914)100重量%の層である。この密度0.92未満のポリエチレン(密度0.914)としては、(密度0.914)として住友化学社製のFV203(メタロセン系直鎖状低密度ポリエチレン)が該当する。
比較例3では、強粘着層が、ブロックポリプロピレンの含有量90重量%と、粘着付与剤(テルペン樹脂水素化物)10重量%の混合樹脂になっており、熱可塑性エラストマーであるスチレン系エラストマーやオレフィン系エラストマーのいずれもが添加されていない。さらに比較例3の非粘着層では、ランダムポリプロピレン100重量%の層にしている。このランダムポリプロピレンとしては、住友化学社製のノーブレンFH3315が該当する。
【0024】
比較例4〜6は、従来から食品の包装に使用されている家庭用ラップフィルムの例であり、それぞれのフィルム本体が実施例1〜8や比較例1〜3と異なる主要材料で構成され、フィルム本体の全体の厚さが実施例1〜8及び比較例1〜3と同じ10μmのものを用意している。
詳しくは、比較例4のフィルム本体では、ポリ塩化ビニル(PVC)が主要材料となっている。比較例5のフィルム本体では、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)が主要材料となっている。比較例6のフィルム本体では、ポリエチレンやポリプロピレンやポリメチルペンテン又はそれらの複合からなるポリオレフィン(PO)系が主要材料となっている。
【0025】
表1と表2に示す評価結果は、以下の指標に基づくものである。
「粘着性の試験」とは、実施例1〜8及び比較例1〜6の各フィルム本体を、その強粘着層側がガラス製の平滑面に接触するように貼り付けて圧着させ、貼り付け直後から所定時間内に各フィルム本体をガラス製の平滑面から剥がす試験を行い、4段階で評価した結果である。
この粘着性の試験において、◎:粘着力が非常に強い、○:粘着力が強い、△:粘着力がやや劣る、×:粘着力が劣って剥がれ易い、のように評価した。
「剥がれ易いもの」を×と評価した。
「アンチブロッキング性」の試験とは、実施例1〜8及び比較例1〜6の各フィルム本体を巻芯に対して、強粘着層側が巻芯の外表面と対向するように巻き付け、収納箱に収容した状態で、実際にフィルム本体を引き出して強粘着層を非粘着層から剥がす試験を行い、2段階で評価した結果である。
このアンチブロッキング性の試験において、○:フィルム本体の強粘着層が非粘着層からスムーズに剥がれる、×:フィルム本体の強粘着層が非粘着層からスムーズに剥がれない、のように評価した。
「カット性」の試験とは、収納箱に設けられたカット刃によって実際に切断する試験を行い、2段階で評価した結果である。
このカット性の試験において、○:フィルム本体がスムーズに切断される、×:フィルム本体がスムーズに切断されない、のように評価した。
【0026】
【表1】
【0027】
【表2】
【0028】
実施例1〜8と比較例1〜6を比較すると、実施例1〜8は、粘着性の試験、アンチブロッキング性の試験と、カット性の試験の全てにおいて良好な評価結果が得られているのに対して、比較例1〜6は、粘着性の試験、アンチブロッキング性の試験と、カット性の試験のいずれかで不良な評価結果になっている。
この評価結果から明らかなように、実施例1〜8は、ポリオレフィン系樹脂(ブロックポリプロピレン)に対して、熱可塑性エラストマー(スチレン系エラストマー又はオレフィン系エラストマーの1種類あるいは2種類の組み合わせ)と粘着付与剤(テルペン樹脂水素化物又は水素化石油樹脂)が添加された強粘着層を設けることにより、粘着性(ガラスとの密着性)を含めて、食品包装用ラップフィルムとしての総合的な機能を高めることが可能になる。
特に、実施例2は、ベース樹脂となるポリプロピレン(ブロックポリプロピレン)に対して、スチレン系エラストマー(HSBR)を添加し、更にフィルム本体をTダイ押出成形加工することで、粘着性(ガラスとの密着性)を更に向上させることを可能にしている。
【0029】
これに対して、比較例1は、粘着付与剤が添加されていないため、粘着性(ガラスとの密着性)で不良な評価結果になった。
比較例2は、強粘着層及び非粘着層を実施例1と同様な配合にしながら、中間層が密度0.92未満のポリエチレン(密度0.914)であるため、カット性で不良な評価結果になった。
比較例3は、熱可塑性エラストマーであるスチレン系エラストマーやオレフィン系エラストマーのいずれもが添加されていないため、アンチブロッキング性で不良な評価結果になった。
比較例4(フィルム本体の主要材料がポリ塩化ビニル)と比較例5(フィルム本体の主要材料がポリ塩化ビニリデン)は、粘着性(ガラスとの密着性)でやや劣るという評価結果になった。
比較例6(フィルム本体の主要材料がポリオレフィン系)は、粘着性(ガラスとの密着性)で不良な評価結果になった。