特許第6182323号(P6182323)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6182323
(24)【登録日】2017年7月28日
(45)【発行日】2017年8月16日
(54)【発明の名称】センサ装置およびセンサ応用機器
(51)【国際特許分類】
   G01V 8/12 20060101AFI20170807BHJP
   G01J 1/06 20060101ALI20170807BHJP
【FI】
   G01V9/04 D
   G01J1/06 A
【請求項の数】7
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-24362(P2013-24362)
(22)【出願日】2013年2月12日
(65)【公開番号】特開2014-153246(P2014-153246A)
(43)【公開日】2014年8月25日
【審査請求日】2016年1月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】591128453
【氏名又は名称】株式会社メガチップス
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】郷地 学
【審査官】 福田 裕司
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−337154(JP,A)
【文献】 特開昭59−099278(JP,A)
【文献】 実開平02−033384(JP,U)
【文献】 特開2005−134120(JP,A)
【文献】 特開平08−062049(JP,A)
【文献】 特開2003−178621(JP,A)
【文献】 国際公開第2005/069222(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0135688(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01V 8/12
G01J 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定のエネルギーが閾値よりも大きいことを検知した場合、検知信号を第1信号レベルで出力し、前記所定エネルギーが前記閾値よりも小さいことを検知した場合、前記第1信号レベルとは異なる第2信号レベルで前記検知信号を出力する、センサ部と、
前記センサ部のセンサ入力面の前に設けられており、前記所定エネルギーを前記センサ部の側へ通過させる開口部と前記所定エネルギーが前記センサ部へ入射するのを妨げる遮断部とが交互に並んだ開口パターンを有し、前記所定エネルギーの到来方向について指向性を有する、入射選択部と、
前記第1信号レベルの継続時間と繰り返し形態とのうちの少なくとも一方を含む第1信号レベル出現情報に基づいて、所定の状況が検知されたか否かを判別する、処理部と
を備える、センサ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のセンサ装置であって、
前記処理部は、前記第1信号レベル出現情報を、前記入射選択部の前記開口パターンに応じて予め設定された参照情報と比較し、その比較結果に基づいて、前記所定の状況が検知されたか否かを判別する、センサ装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のセンサ装置であって、
前記処理部は、前記第1信号レベル出現情報の変化から、前記所定の状況が検知されたか否かを判別する、センサ装置。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のうちのいずれか1項に記載のセンサ装置であって、
前記入射選択部は、前記開口部の開口幅が異なる複数種類の開口パターンを有する、センサ装置。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のうちのいずれか1項に記載のセンサ装置であって、
前記入射選択部の前記遮断部は、平板状をしており、前記遮断部の配列方向に対して同じ方向に傾斜している、センサ装置。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のうちのいずれか1項に記載のセンサ装置であって、
前記所定の状況は、
前記所定エネルギーの放出源に相当する被検知物が所定場所に存在しているという状況と、
前記被検知物が所定方向に移動しているという状況と、
前記被検知物が所定の検知目標物であるという状況と
のうちの少なくとも1つを含む、センサ装置。
【請求項7】
請求項1〜請求項6のうちのいずれか1項に記載のセンサ装置と、
前記センサ装置の前記処理部によって、前記所定の状況が検知されたか否かの判別結果に基づいて、制御される被制御部と
を備える、センサ応用機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はセンサ装置およびセンサ応用機器に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、赤外線センサを用いた火源センサが開示されている。この火源センサでは、赤外線センサが収納されている筐体に、赤外線センサから監視領域を見た視野角として第1の角度を提供する窓が形成されている。また、筐体外部にはスリットを有したカバーが設けられており、このスリットは第1の角度よりも狭い第2の角度の視野角を提供する。上記窓と上記スリットとを切り替えることによって、視野角、すなわち監視範囲が切り替えられる。
【0003】
下記特許文献2には、複数の赤外線センサを用いた侵入検知装置が開示されている。この装置では、第1の受動型赤外線センサ(PIRセンサ)が、建物の窓の下端近傍に相当する高さ位置に設置され、その高さ位置から上方部分を検知エリアとして持つ。また、第2のPIRセンサは、上記窓の上端近傍に相当する高さ位置に設置され、その高さ位置から下方部分を検知エリアとして持つ。当該2つの検知エリアの重なり部分、すなわち窓の下端近傍から上端近傍の高さ範囲が、警戒対象として設定される。具体的には、両方のPIRセンサが反応することによって、当該警戒対象内の侵入者を検知する。
【0004】
下記特許文献3には、カメラを用いた侵入検知装置が開示されている。この装置はPIRセンサを内蔵しており、PIRセンサで一定量以上の赤外線を発する物体を検知したとき、カメラで撮影した画像が静止画像として記憶される。PIRセンサの検知エリアは、PIRセンサの前に設けられたミラーを部分的にマスキングすることによって、調整される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−283580号公報
【特許文献2】特開2001−56887号公報
【特許文献3】特開2009−2662号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の火源センサによれば、カバーを下ろして筐体の窓の前にスリットを配置することによって視野角を狭め、逆にカバーを上げることによって視野角を広げる。したがって、カバーを上下させる駆動手段が必要である。このため、装置が大掛かりになるし、それに応じてコスト高になってしまう。
【0007】
特許文献2の検知装置によれば、警戒対象を設定するためには、センサの設置後に、PIRセンサの向きを調整する必要があり、この調整作業は煩雑である。しかも、複数のPIRセンサを利用するので、それぞれのPIRセンサについて向き調整作業が必要である。また、向き調整のために、PIRセンサをいちいち取り外さなければならない場合もある。
【0008】
特許文献3の検知装置によれば、PIRセンサの検知エリアを設定するために、装置の設置後に、上記マスキング作業が必要であり、この作業は煩雑である。また、マスキングのために、PIRセンサをいちいち取り外さなければならない場合もある。
【0009】
本発明は、検知対象にする範囲をセンサ設置後においても容易に設定可能な技術を安価に提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の態様に係るセンサ装置は、所定のエネルギーが閾値よりも大きいことを検知した場合、検知信号を第1信号レベルで出力し、前記所定エネルギーが前記閾値よりも小さいことを検知した場合、前記第1信号レベルとは異なる第2信号レベルで前記検知信号を出力する、センサ部と、前記センサ部のセンサ入力面の前に設けられており、前記所定エネルギーを前記センサ部の側へ通過させる開口部と前記所定エネルギーが前記センサ部へ入射するのを妨げる遮断部とが交互に並んだ開口パターンを有し、前記所定エネルギーの到来方向について指向性を有する、入射選択部と、前記第1信号レベルの継続時間と繰り返し形態とのうちの少なくとも一方を含む第1信号レベル出現情報に基づいて、所定の状況が検知されたか否かを判別する、処理部とを備える。
【0011】
本発明の第2の態様に係るセンサ装置は、上記の第1の態様に係るセンサ装置であって、前記処理部は、前記第1信号レベル出現情報を、前記入射選択部の前記開口パターンに応じて予め設定された参照情報と比較し、その比較結果に基づいて、前記所定の状況が検知されたか否かを判別する。
【0012】
本発明の第3の態様に係るセンサ装置は、上記の第1または第2の態様に係るセンサ装置であって、前記処理部は、前記第1信号レベル出現情報の変化から、前記所定の状況が検知されたか否かを判別する。
【0013】
本発明の第4の態様に係るセンサ装置は、上記の第1〜第3の態様のうちのいずれか1つに係るセンサ装置であって、前記入射選択部は、前記開口部の開口幅が異なる複数種類の開口パターンを有する。
【0014】
本発明の第5の態様に係るセンサ装置は、上記の第1〜第4の態様のうちのいずれか1つに係るセンサ装置であって、前記入射選択部の前記遮断部は、平板状をしており、前記遮断部の配列方向に対して同じ方向に傾斜している
【0015】
本発明の第6の態様に係るセンサ装置は、上記の第1〜第5の態様のうちのいずれか1つに係るセンサ装置であって、前記所定の状況は、前記所定エネルギーの放出源に相当する被検知物が所定場所に存在しているという状況と、前記被検知物が所定方向に移動しているという状況と、前記被検知物が所定の検知目標物であるという状況とのうちの少なくとも1つを含む。
【0016】
本発明の第7の態様に係るセンサ応用機器は、上記の第1〜第6の態様のうちのいずれか1つに係るセンサ装置と、前記センサ装置の前記処理部によって、前記所定の状況が検知されたか否かの判別結果に基づいて、制御される被制御部とを備える。
【発明の効果】
【0017】
上記の第1〜第7の態様によれば、第1信号レベル出現情報(第1信号レベルの継続時間と繰り返し形態とのうちの少なくとも一方を含んで構成される情報)に基づいて、所定の状況が検知されたか否かを判別する。このため、検知範囲をエリア分けするための専用部品(ミラー等)を設ける必要がなく、また、複数のセンサによって検知範囲をエリア分けする必要もない。したがって、そのような専用部品や複数のセンサにかかるコストが不要なので、低コストな構成を提供できる。また、センサの向きの調整、マスキング等の物理的な変更を必要とする作業を、センサ設置後に行わなくても済む。また、そのような作業および部材にかかるコストを削減できる。また、大掛かりな機構等を利用しないので、その点においてもコストを削減できる。したがって、検知対象にする範囲をセンサ設置後においても容易に設定可能な技術を安価に提供できる。
【0018】
特に上記の第1、第4および第5の態様によれば、第1信号レベル出現情報が区別しやすくなる。このため、状況判別を高い精度で提供できる。
【0019】
また、特に上記の第7の態様によれば、上記センサ装置による判別結果を利用するので、被制御部の動作を必要とする状況を絞り込むことができる。このため、例えば、被制御部の消費電力を削減可能である。
【0020】
本発明の目的、特徴、局面、および利点は、以下の詳細な説明と添付図面とによって、より明白となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】実施の形態1についてセンサ応用機器を説明するブロック図である。
図2】実施の形態1についてセンサ本体部を説明する斜視図である。
図3】実施の形態1について入射選択部を説明する斜視図である。
図4】実施の形態1について入射選択部を説明する横断面図である。
図5】実施の形態1について入射選択部によって規定される検知エリアを説明する図である。
図6】実施の形態1について検知動作を説明する図である。
図7】実施の形態1について検知信号を説明する波形図である。
図8】実施の形態1について入射選択部の別の例を説明する横断面図である。
図9】実施の形態2について入射選択部を説明する横断面図である。
図10】実施の形態2について検知信号を説明する波形図である。
図11】実施の形態3について入射選択部を説明する横断面図である。
図12】実施の形態3について検知信号を説明する波形図である。
図13】実施の形態3について検知信号を説明する波形図である。
図14】変形例2について入射選択部を説明する平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
<実施の形態1>
図1に、実施の形態1に係るセンサ応用機器1のブロック図を示す。図1の例によれば、センサ応用機器1はセンサ装置2と被制御部3とを含んでおり、センサ装置2はセンサ部4と処理部5と入射選択部6とを含んでおり、センサ部4はセンサ本体部7とセンサ周辺回路部8とを含んでいる。ここでは、センサ応用機器1として、赤外線(例えば遠赤外線)を検知することによって点灯するセンサライト機器(単に「センサライト」とも称する)を例示し、以下ではセンサ応用機器1をセンサライト機器1またはセンサライト1とも称する。
【0023】
センサ部4は、所定のエネルギーを検知可能に構成されており、その所定エネルギーの検知/不検知に応じた波形の検知結果信号(以下、単に「検知信号」とも称する)Sを出力する。具体的には、センサ部4は、所定エネルギーが閾値よりも大きいことを検知した場合、検知信号Sの信号レベルを第1信号レベルに設定する。逆に、センサ部4は、所定エネルギーが上記閾値よりも小さいことを検知した場合、検知信号Sの信号レベルを、第1信号レベルとは異なる第2信号レベルに設定する。なお、所定エネルギーが上記閾値に等しい場合については、第1信号レベルが出力されるように設計してもよいし、あるいは、第2信号レベルが出力されるように設計してもよい。
【0024】
この場合、検知信号Sは、第1信号レベルと第2信号レベルとで表現されるデジタル信号となる。以下では、所定エネルギーの検知に対応する第1信号レベルを“1”レベル、Highレベル、Hレベル等とも称し、所定エネルギーの不検知に対応する第2信号レベルを“0”レベル、Lowレベル、Lレベル等とも称する。但し、第1信号レベルを“0”レベルに対応付け、第2信号レベルを“1”レベルに対応付けてもよい。
【0025】
センサライト1では、センサ部4が検知対象とする所定エネルギーは、所定波長域の赤外線エネルギーである。この場合、センサ本体部7は各種の赤外線センサによって構成可能であり、以下ではセンサ本体部7を赤外線センサ7とも称する。ここでは、センサ本体部7は受動型とする。
【0026】
ところで、一般に赤外線センサは、その動作原理から、赤外線を光エネルギーとして検知する量子型と、赤外線を熱エネルギーとして検知する熱型とに大別される。かかる点に鑑みると、センサ部4の検知対象エネルギーは、光エネルギーであると理解してもよいし、あるいは、熱エネルギーであると理解してもよい。
【0027】
ここで、図2に、赤外線センサ7の斜視図を示す。図2の例によれば、赤外線センサ7は、検知素子部9と、集光部10とを含んでいる。検知素子部9は1個または複数個の赤外線センサ素子で構成されている。なお、図2では検知素子部9を概念的に図示しており、検知素子部9の形状および大きさは図2の例に限定されるものではない。集光部10は、例えばレンズで構成され、赤外線センサ7へ入射する光を検知素子部9に集光する。集光部10は、検知対象の赤外線を選択的に透過する材料で構成されることによって、光学フィルタとしても機能する。検知素子部9は、例えば集光部10に接触して、配置されている。集光部10が樹脂材料の場合、集光部10内に検知素子部9を埋設することも可能である。
【0028】
図2の例では、集光部10はシリンドリカルレンズを模した形状をしており、シリンドリカルレンズの円筒面に相当する面にセンサ入力面(以下、単に「入力面」とも称する)11が設けられている。より具体的には、センサ入力面11は連続する3つの平面12,13,14で構成されている。すなわち、これら3つの平面12,13,14がシリンドリカルレンズの円筒面を模しており、これにより各平面12,13,14に入射した光は検知素子部9へ導かれる。
【0029】
以下では、検知素子部9の真正面に位置する平面13を中央センサ入力面13と称し、検知素子部9から見て正面右側(換言すれば、右斜め前方)の平面12を右側センサ入力面12と称し、検知素子部9から見て正面左側(換言すれば、左斜め前方)の平面14を左側センサ入力面14と称する場合もある。
【0030】
なお、センサ入力面11の形状は、図2の例に限定されるものではなく、例えば平面、半球面等であってもよい。
【0031】
図1に戻り、センサ周辺回路部8は、赤外線センサ7から出力されるアナログ信号から、デジタルである検知信号Sを生成する。かかる検知信号生成機能は例えばコンパレータによって実現可能である。具体的には、コンパレータは、赤外線センサ7の出力信号レベルが所定閾値よりも大きい場合、赤外線を検知したことを示す“1”レベルの信号を検知信号Sとして出力し、赤外線センサ7の出力信号レベルが所定閾値よりも小さい場合、赤外線の不検知を示す“0”レベルの信号を検知信号Sとして出力する。
【0032】
コンパレータの上記閾値は、検知対象エネルギーに対する上記閾値に対応し、例えばセンサライト1に求められる検知感度に応じて予め設定される。コンパレータの当該閾値は、変更不可であってもよいし、調整可能であってもよい。
【0033】
なお、センサ周辺回路部8は、赤外線センサ7からの出力信号の処理に関連して、増幅機能、フィルタ機能、等を有してもよい。また、センサ周辺回路部8は、赤外線センサ7に対する給電機能、等を有してもよい。
【0034】
センサ部4で生成された検知信号Sは、処理部5へ入力される。処理部5は、検知信号Sに基づいて種々の処理を行う。処理部5が行う処理は後述する。
【0035】
処理部5は各種処理を例えばソフトウェアによって実現する。この場合、処理部5は例えばマイクロコンピュータとメモリを含んで構成され、当該マイクロコンピュータが、メモリ内のプログラムに記述されている各処理ステップ(換言すれば手順)を実行する。これにより、マイクロコンピュータは処理ステップに対応する各種手段として機能し、または、マイクロコンピュータによって処理ステップに対応する各種機能が実現される。なお、処理部5によって実現される各種手段または各種機能の一部または全部を、ハードウェアによって実現することも可能である。
【0036】
被制御部3は、センサライト1では、照明装置である。このため、被制御部3を照明装置3とも称する。照明装置3は、処理部5によって制御される。すなわち、照明装置3の点灯/不点灯(換言すればON/OFF)は、処理部5における検知信号Sの処理結果に応じて、制御される。
【0037】
入射選択部6は、センサ部4のセンサ入力面11(図2参照)の前に設けられており、到来する赤外線を選択的にセンサ入力面11へ入射させる。図3に入射選択部6の斜視図を示し、図4に横断面図を示す。なお、図3および図4には、説明のために、赤外線センサ7も図示している。図3および図4の例では入射選択部6がセンサ入力面11から離間しているが、入射選択部6をセンサ入力面11に接触させてもよい。
【0038】
図3および図4の例によれば、入射選択部6は、到来する赤外線をセンサ入力面11の側へ通過させる開口部15と、到来する赤外線がセンサ入力面11へ入射するのを妨げる遮断部16とが交互に並んだ開口パターンを有している。図3および図4の例では、中央センサ入力面13の前に1つの開口部15が設けられ、右側センサ入力面12と左側センサ入力面14のそれぞれの前に4つの開口部15が設けられている。但し、開口部15の個数はこの例に限定されるものではない。
【0039】
図3に例示するように、各遮断部16の一端および他端はそれぞれ連結部17に繋がっている。この例によれば、複数の遮断部16が連結され、全ての開口部15および遮断部16が一体化した1つの部材として、入射選択部6を提供可能である。このため、入射選択部6をセンサ入力面11の前に配置するだけで、開口部15および遮断部16を容易に設定することができる。かかる入射遮断部6は、例えば、金属薄板に穴開け加工を施して開口部15を形成することによって、製造可能である。あるいは、樹脂材料の射出成型を利用してもよい。
【0040】
但し、連結部17は任意の要素である。例えば、赤外線を遮断可能な材料をセンサ入力面11上に貼付することによって、遮断部16を形成してもよい。あるいは、そのような材料をセンサ入力面11上に塗布または印刷することによって、遮断部16を形成してもよい。これらの例によれば、連結部17を省略可能である。
【0041】
入射選択部6によれば、センサ入力面11へ到来する赤外線が、その到来方向に応じて通過または遮断される。換言すれば、センサ入力面11の全体による検知範囲が、図5に示すように、各開口部15によって規定される検知エリア18に細分される。なお、隣接する検知エリア18の間のエリアは、遮断部16によって規定される非検知エリア19となる。
【0042】
図3に示すように、開口部15と遮断部16の配列方向(開口部15の配列方向として理解してもよいし、遮断部16の配列方向として理解してもよい)は、センサ入力面11の3つの平面12,13,14の配列方向と同じである。
【0043】
ここで、開口部15の配列方向における開口部15の長さを、開口幅15wと称することにする。また、開口部15の配列方向に直交する方向における開口部15の長さを、開口高さ15hと称することにする。同様にして、遮断部16の遮断幅16wおよび遮断高さ16hが理解される。なお、図3の例では、開口高さ15hと遮断高さ16hは等しい。また、隣接する開口部15の間隔(以下、開口間隔とも称する)は遮断幅16wに等しいので、符号16wを用いて開口間隔16wと表記することにする。同様に、隣接する遮断部16の間隔(以下、遮断間隔とも称する)に、符号15wを用いる。
【0044】
図3図5に例示するように、入射選択部6は複数種類の開口パターンを有している。具体的には、中央センサ入力面13へ光を通過させる開口部15(「中央センサ入力面13用の開口部15」のように表現する場合もある)の方が、右側センサ入力面12用および左側センサ入力面14用の開口部15に比べて、開口幅15wが大きい。このため、図5に示すように、中央センサ入力面13用の開口部15によって規定される検知エリア18(「中央センサ入力面13用の開口部15に対応する検知エリア18」のように表現する場合もある)は、右側センサ入力面12用および左側センサ入力面14用の開口部15に対応する検知エリア18に比べて、広がり角度が大きく、面積も大きい。
【0045】
ここでは、説明を簡単にするために、右側センサ入力面12用の開口部15と、左側センサ入力面14用の開口部15とが、同じ開口幅15wを有する場合を例示する。なお、右側センサ入力面12用の全ての開口部15が同じ開口幅15wを有している必要はないが、それら全ての開口部15は、中央センサ入力面13用の開口部15に比べて、開口幅15wが小さいものとする。左側センサ入力面14用の開口部15についても同様である。また、全ての開口間隔16wが等しい場合を例示する。
【0046】
図6に、検知動作の説明図を示す。なお、図6は、図5に対応するが、図5よりも広い範囲を図示している。また、図6には、所定エネルギー(ここでは赤外線)の放出源20が、細分された検知エリア18を次々に横切る方向に移動する状況を示している。赤外線放出源20は例えば人である。また、図6に示した、赤外線放出源20の移動経路は、あくまで一例である。
【0047】
赤外線放出源20が、図6に例示の移動経路を、一定速度で移動する場合、検知信号Sの波形は図7に示すようになる。すなわち、検知信号Sの“1”レベルの継続時間T1は、検知エリア18の広がり角度、換言すれば入射選択部6の開口幅15wに応じて決まる。具体的には、中央センサ入力面12用の広い開口部15によって規定される広い検知エリア18を横断中は、“1”レベルの継続時間T1が相対的に長くなる。逆に、右側センサ入力面12用および左側センサ入力面14用の狭い開口部15によって規定される狭い検知エリア18を横断中は、“1”レベルの継続時間T1が相対的に短くなる。
【0048】
かかる点に鑑みると、“1”レベルの継続時間T1から、赤外線放出源20が、中央センサ入力面13用の開口部15を介して検知されているのか否か(換言すれば、赤外線放出源20が、右側センサ入力面12用または左側センサ入力面14用の開口部15を介して検知されているのか否か)を判別可能である。
【0049】
具体的には、処理部5(図1参照)が、検知信号Sの“1”レベルの継続時間T1を、予め設定された参照値と比較し、その比較結果に基づいて、“赤外線放出源20が、中央センサ入力面13を介して検知される場所に存在している”という状況が検知されたのか、あるいは、“赤外線放出源20が、右側センサ入力面12または左側センサ入力面14を介して検知される場所に存在している”という状況が検知されたのかを、判別する。
【0050】
また、“1”レベルが検知されない場合、換言すれば“0”レベルの継続時間T0が所定値以上である場合、“検知範囲全域に赤外線放出源20は存在しない”という状況を判別可能である。
【0051】
“1”レベルの継続時間T1に関する参照値は、入射選択部6の開口パターンに応じて予め設定される。例えば、右側センサ入力面12用および左側センサ入力面14用の開口部15に対応する検知エリア18を横切るのに想定される最大時間よりも大きく、且つ、中央センサ入力面13用の開口部15に対応する検知エリア18を横切るのに想定される最大時間よりも小さい値を、“1”レベルの継続時間T1に関する参照値として設定可能である。この例によれば、“1”レベルの継続時間T1が当該参照値よりも大きければ、“赤外線放出源20が、中央センサ入力面13を介して検知される場所に存在している”という状況が判別される。逆に、“1”レベルの継続時間T1が当該参照値よりも小さければ、“赤外線放出源20が、右側センサ入力面12または左側センサ入力面14を介して検知される場所に存在している”という状況が判別される。なお、“1”レベルの継続時間T1が当該参照値と等しい場合については、上記2種類の所定状況のいずれに属させるかを予め設計しておけばよい。
【0052】
ここで、検知エリア18を横切るのに想定される上記最大時間は、赤外線放出源20とセンサ部4との間の距離に依存する。また、上記最大時間は、赤外線放出源20の速度にも依存する。このため、それらについて想定される数値範囲に応じて、上記参照値に幅を持たせた参照値範囲を利用してもよい。なお、センサライト1の検知範囲の最大距離(例えば5〜10m程度)、その検知範囲内の環境(赤外線放出源20が移動可能な経路の存否および位置)、検知対象とする赤外線放出源20の種類(例えば人)等を考慮すれば、上記の距離および速度の範囲は想定可能であり、よって実用的な参照値範囲を設定可能である。
【0053】
また、赤外線放出源20が、右側センサ入力面12用および左側センサ入力面14用の狭い検知エリア18の2つ以上に渡る程の大きさを有していると、狭い検知エリア18を次々に横切る場合であっても、“0”レベルが出現せずに“1”レベルが継続してしまう。このため、赤外線放出源20の想定される大きさに応じて、狭い開口部15の開口幅15wおよび/または開口間隔16wを設定してもよい。
【0054】
なお、赤外線放出源20が2つ以上の検知エリア18に渡る場合に関しては、実施の形態3でも言及する。
【0055】
上記では“1”レベルの継続時間T1に着目したが、“0”レベルの継続時間T0に着目してもよい。但し、検知信号Sが取りうる信号レベルが“0”レベルと“1”レベルの2種類であるので、“0”レベルの継続時間T0に着目した処理も、実質的には“1”レベルの継続時間T1に着目した処理として解釈可能である。
【0056】
処理部5は、所定の状況が検知されたか否かの判別結果に基づいて、被制御部3を制御する。
【0057】
例えば、“赤外線放出源20が、中央センサ入力面13を介して検知される場所に存在している”という状況が検知された場合には照明装置3を点灯させる一方、それ以外の場合(赤外線放出源20が存在しない場合も含む)には照明装置3を点灯させない、という制御を行うことが可能である。
【0058】
あるいは、例えば、赤外線放出源20が、その存在場所に問わず、検知されていれば照明装置3を点灯させ、特に“赤外線放出源20が、中央センサ入力面13を介して検知される場所に存在している”という状況が検知された場合には照明装置3の明るさを増加させる(換言すれば、被制御部3の制御量を変化させる)、という制御を行うことが可能である。
【0059】
ところで、上記の参照値または参照値範囲の利用に代えてまたは加えて、検知信号Sの“1”レベルの繰り返し形態の変化を利用して、所定の状況を判別することも可能である。
【0060】
具体的には、図7を参照すると、検知信号Sの波形が、“1”レベルがほぼ一定サイクルで繰り返される形状から、当該一定サイクルよりも長い時間“1”レベルが継続する形状に変化した場合、“赤外線放出源20が、右側センサ入力面12または左側センサ入力面14を介して検知される場所から、中央センサ入力面13を介して検知される場所へ向けて移動した”という状況を判別可能である。また、検知信号Sの波形が上記とは逆の傾向に変化した場合、“赤外線放出源20が、中央センサ入力面13を介して検知される場所から、右側センサ入力面12または左側センサ入力面14を介して検知される場所へ向けて移動した”という状況を判別可能である。
【0061】
これらに鑑みると、“1”レベルの継続時間と“1”レベルの繰り返し形態とのうちの少なくとも一方を含んで構成される情報を、“1”レベル出現情報(換言すれば、第1信号レベル出現情報)と称すると、処理部5は“1”レベル出現情報に基づいて、所定の状況が検知されたか否かを判別している、と理解できる。
【0062】
また、“1”レベル出現情報に基づく判別処理は、例えば、上記のように、“1”レベル出現情報を参照情報と比較し、その比較結果に基づいて、所定の状況が検知されたか否かを判別する処理である。ここで参照情報とは、“1”レベルに関する上記の参照値および参照値範囲のことである。参照値および参照値範囲が入射選択部6の開口パターンに応じて予め設定されることは、既述の通りである。
【0063】
また、“1”レベル出現情報に基づく判別処理は、例えば、上記のように、“1”レベル出現情報の変化から、所定の状況が検知されたか否かを判別する処理である。なお、“1”レベル出現情報の変化から状況判別を行う手法は、参照情報を利用して状況判別を行う手法と組み合わせることも可能である。
【0064】
このように“1”レベル出現情報に基づいて、所定の状況が検知されたか否かを判別するので、従来技術とは異なり、検知範囲をエリア分けするための専用部品(ミラー等)を設ける必要がなく、また、複数のセンサによって検知範囲をエリア分けする必要もない。したがって、そのような専用部品や複数のセンサにかかるコストが不要なので、センサ装置2およびセンサライト1を低コストに提供できる。また、従来技術とは異なり、センサの向きの調整、マスキング等の物理的な変更を必要とする作業を、センサ設置後に行わなくても済む。また、そのような作業および部材にかかるコストを削減できる。また、大掛かりな機構等を利用しないので、その点においてもコストを削減できる。したがって、検知対象にする範囲をセンサ設置後においても容易に設定可能な技術を安価に提供できる。
【0065】
また、照明装置3はセンサ装置2による判別結果を利用して制御されるので、照明装置3の動作を必要とする状況を絞り込むことができる。このため、例えば、照明装置3の消費電力を削減可能である。
【0066】
ここで、入射選択部6は、狭い開口部15から成る開口パターンと、広い開口部15から成る開口パターンとを有している。このように異なる開口パターンによれば、図7に例示したように、各開口パターンに対応した“1”レベル出現情報を、区別しやすくなる。このため、状況判別を高い精度で提供できる。
【0067】
なお、図2図5の例とは逆に、右側センサ入力面12用および左側センサ入力面14用の開口部15の開口幅15wを、中央センサ入力面13用の開口部15の開口幅15wに比べて、大きくしてもよい。また、右側センサ入力面12用の開口部15と、左側センサ入力面14用の開口部15とで、開口幅15wを異ならせれば、3種類の開口パターンを構成できる。また、センサ入力面12,13,14のうちの1つ以上に複数の開口パターンを設ければ、さらに多くの開口パターンを入射選択部6に与えることができる。
【0068】
なお、全ての開口部15が同じ開口高さ15hを有していてもよいし、あるいは、一部または全部の開口部15が異なる開口高さ15hを有していてもよい。遮断高さ16hについても同様である。
【0069】
また、上記では入射選択部6がセンサ入力面11に沿った形状を有する場合を例示したが(図3および図4参照)、図8に例示するように入射選択部6を平面状に構成することも可能である。
【0070】
<実施の形態2>
図9に、実施の形態2に係る入射選択部6Bの横断面図を示す。なお、図9には、説明のために、赤外線センサ7も図示している。入射選択部6Bは、実施の形態1に係る入射選択部6(図3図5参照)に代えて、センサ装置2(図1参照)に適用可能である。
【0071】
入射選択部6Bは、検知対象のエネルギーである赤外線の到来方向について指向性を有している。例えば、図9に示すように、平面状の各遮断部16を、遮断部16の配列方向に対して、同じ方向に傾斜させることによって、指向性を与えることが可能である。図9の例では、各遮断部16は、左側センサ入力面14に平行を成すように、換言すれば右側センサ入力面12に直交するように、傾斜している。かかる形状の入射選択部6Bは、金属薄板のプレス成型、樹脂材料の射出成型、等によって製造可能である。
【0072】
図10に、入射選択部6Bを適用した場合の検知信号Sの波形図を例示する。具体的には、赤外線放出源20が、遮断部16に直交する方向(換言すれば、右側センサ入力面12に平行な方向)D1に移動する場合と、遮断部16の配列方向D2に移動する場合と、遮断部16に平行な方向(換言すれば、左側センサ入力面14に平行な方向)D3に移動する場合と、について検知信号Sの波形を例示している。なお、赤外線放出源20の移動方向は、図示した矢印の向きとは逆方向であっても構わない。
【0073】
図9および図10から分かるように、検知信号Sの“1”レベルの継続時間T1は、赤外線放出源20がD1方向に移動する場合に最大となり、赤外線放出源20がD3方向に移動する場合に最小となる。これは、赤外線の到来方向に応じて、遮断部16の影響が異なる、換言すれば実質的な開口幅および開口間隔が異なるからである。
【0074】
かかる特性を利用すれば、“1”レベル出現情報(“1”レベルの継続時間T1および/または“1”レベルの繰り返し形態)に基づいて、状況判別を行うことができる。例えば、赤外線放出源20の移動方向および/または存在場所を判別できる。
【0075】
また、指向性を有した入射選択部6Bによれば、図10に例示したように“1”レベル出現情報が区別しやすくなるので、状況判別を高い精度で提供できる。
【0076】
<実施の形態3>
図11に、実施の形態3に係る入射選択部6Cの横断面図を示す。なお、図11には、説明のために、赤外線センサ7も図示している。入射選択部6Cは、実施の形態1に係る入射選択部6(図3図5参照)に代えて、センサ装置2(図1参照)に適用可能である。
【0077】
入射選択部6Cは平面状に構成されており、同じ開口幅15wの開口部15が、同じ開口間隔16wで並んでいる。図11の例では開口幅15wと開口間隔16wとを同じ寸法で図示しているが、この例に限定されるものではない。
【0078】
図12に、入射選択部6Cを適用した場合の検知信号Sの波形図を例示する。赤外線放出源20(図11参照)が2つ以上の検知エリア18(図6参照)に跨る程にセンサ部4の近くを移動する場合、図12の上段に示すように、検知信号Sに“0”レベルが出現せず“1”レベルが継続する。これに対し、赤外線放出源20が1つの検知エリア18内に収まる程にセンサ部4から離れて移動する場合、図12の下段に示すように“1”レベルが間欠的に出現する。
【0079】
ところが、センサ部4から離れ過ぎると、赤外線放出源20からセンサ部4へ到達する赤外線量が小さくなり、赤外線放出源20が検知されなくなる。これに対し、そのように遠く離れていても、赤外線量の放出量が大きければ、赤外線放出源20は検知されうる。
【0080】
ここで人と自動車を例示すると、自動車のエンジンルームは高温になるため、自動車が放出する赤外線量は、人が放出する赤外線量よりも大きい。このため、赤外線の放出量は小さいがセンサ部4の近くを移動する人を、図12の上段の波形によって判別し、赤外線の放出量は大きいがセンサ部4から遠くを移動する自動車を、図12の下段の波形によって判別することが可能である。
【0081】
かかる点に鑑みると、“1”レベル出現情報(“1”レベルの継続時間T1および/または“1”レベルの繰り返し形態)に基づいて、状況判別を行うことができる。例えば、“1”レベル出現情報を参照情報と比較することによって、被検知物が人と自動車のいずれであるのかを判別することができる。換言すれば、人を検知目標物として予め設定した場合、被検知物がその所定の検知目標物(すなわち人)であるという状況を判別することができる。自動車を検知目標物として予め設定した場合についても同様である。
【0082】
これによれば、例えば、センサ部4を建物玄関に、その玄関に面する道路の側へ向けて設置した場合、道路を走る自動車と、玄関付近を移動する人とを判別することができる。そして、人を判別した場合には照明装置3を点灯させる一方、自動車を判別した場合には照明装置3を点灯させない、という制御を行うことが可能である。
【0083】
ところで、センサ部4からの距離によっては、人と自動車の両方を図12の下段の波形で検知することが考えられる。しかし、そのような場合であっても、図13に例示するように、移動速度に応じて“1”レベル出現情報に相違が生じる。すなわち、自動車の方が人よりも速いという仮定は一般的な生活において十分に妥当であることを考慮すると、例えば“1”レベルの継続時間T1が参照値よりも長ければ被検知物は人であると判別可能である。また、“1”レベルの繰り返し形態、例えば繰り返しの総時間が参照値よりも長ければ被検知物は人であると判別可能である。
【0084】
なお、人と自動車を例示したが、この例に限定されるものではない。
【0085】
<変形例1>
上記ではセンサ応用機器1としてセンサライトを例示した。他の一例としてセンサ応用機器1によって、監視カメラシステムを構成することも可能である。具体的には、被制御部3として、カメラおよび録画装置を設ければよい。また、必要に応じて、照明装置を被制御部3に加えてもよい。
【0086】
監視カメラシステムへの応用によれば、例えば、“赤外線放出源20が、中央センサ入力面13を介して検知される場所に存在している”という状況が検知された場合には撮影画像を録画する一方、それ以外の場合には録画を行わない、という制御を行うことが可能である。
【0087】
あるいは、例えば、赤外線放出源20が、その存在場所を問わず、検知されていれば録画を行うが、特に“赤外線放出源20が、中央センサ入力面13を介して検知される場所に存在している”という状況が検知された場合には録画品質を高くする(換言すれば、被制御部3の制御量を変化させる)、という制御を行うことが可能である。
【0088】
センサ装置2を利用した監視カメラシステムによれば、録画を必要とする状況を絞り込んで、録画装置の消費電力を削減可能であるし、録画容量を節約可能である。また、録画容量の節約は残容量の確保に繋がるので、録画途中に記録媒体容量が足りなくなるといった事態を減少可能である。
【0089】
<変形例2>
上記の入射選択部6,6B,6Cでは、四角形の開口部15および遮断部16が一列に並んでいる場合を例示した。他の一例として、図14の平面図に示す入射選択部6Dのように、環状の開口部15および遮断部16を同心円状に交互に並べることも可能である。
【0090】
<変形例3>
上記ではセンサ部4が受動型であり、被検知物自体が赤外線放出源である場合を例示した。他の一例として、赤外線(例えば近赤外線)を投光する投光部をセンサ部4に追加して、能動型のセンサ部を構成することも可能である。この例によれば、赤外線センサ7は、投光部から出射され被検知物で反射した赤外線を検知することになる。この場合、被検知物自体が赤外線を放出している必要はない。しかしながら、被検知物で反射した赤外線を、被検知物から放出された赤外線として解釈すれば、かかる被検知物も赤外線放出源に相当する。
【0091】
<変形例4>
上記では、センサ部4の検知対象エネルギーが赤外線である場合を例示し、赤外線は光エネルギーおよび熱エネルギーの一例であることを述べた。他の一例として、センサ部4の検知対象エネルギーは、超音波であってもよい。
【0092】
<変形例5>
本発明は詳細に説明されたが、上記した説明は、すべての局面において、例示であって、本発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、本発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。例えば、上記例示は様々に組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0093】
1 センサ応用機器
2 センサ装置
3 被制御部
4 センサ部
5 処理部
6,6B,6C,6D 入射選択部
11 センサ入力面
15 開口部
15w 開口幅(遮断間隔)
16 遮断部
16w 遮断幅(開口間隔)
18 検知エリア
20 エネルギー放出源
S 検知信号
T1 第1信号レベルの継続時間(第2信号レベルの間隔)
T0 第2信号レベルの継続時間(第1信号レベルの間隔)
D1,D2,D3 移動方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14