(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6182325
(24)【登録日】2017年7月28日
(45)【発行日】2017年8月16日
(54)【発明の名称】消防用ホース
(51)【国際特許分類】
F16L 11/12 20060101AFI20170807BHJP
A62C 33/00 20060101ALI20170807BHJP
【FI】
F16L11/12 J
A62C33/00 C
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-33462(P2013-33462)
(22)【出願日】2013年2月22日
(65)【公開番号】特開2014-163427(P2014-163427A)
(43)【公開日】2014年9月8日
【審査請求日】2015年12月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】391001169
【氏名又は名称】櫻護謨株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】特許業務法人スズエ国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100109830
【弁理士】
【氏名又は名称】福原 淑弘
(74)【代理人】
【識別番号】100088683
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100095441
【弁理士】
【氏名又は名称】白根 俊郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100119976
【弁理士】
【氏名又は名称】幸長 保次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140176
【弁理士】
【氏名又は名称】砂川 克
(74)【代理人】
【識別番号】100158805
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 守三
(74)【代理人】
【識別番号】100172580
【弁理士】
【氏名又は名称】赤穂 隆雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100124394
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 立志
(74)【代理人】
【識別番号】100112807
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 貴志
(74)【代理人】
【識別番号】100111073
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 美保子
(74)【代理人】
【識別番号】100134290
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 将訓
(72)【発明者】
【氏名】戸城 賢三
(72)【発明者】
【氏名】大田原 操
【審査官】
杉山 豊博
(56)【参考文献】
【文献】
特開2001−193874(JP,A)
【文献】
特開2004−132443(JP,A)
【文献】
特開2002−067208(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3168234(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 11/12
A62C 33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
扁平に潰した状態の屈曲する部分に位置する耳部と、扁平に潰した状態で扁平である部分に位置する腹部とを有するホース本体と、
前記腹部の外面に、前記ホース本体の長さ方向に沿って設けられた反射材又は蓄光材と、
前記腹部の外面に、前記ホース本体の長さ方向に沿って設けられた蛍光色材とを備え、
前記反射材又は前記蓄光材と前記蛍光色材とは、互いに離間又は隣接し、且つ並行に設けられていることを特徴とする消防用ホース。
【請求項2】
扁平に潰した状態の屈曲する部分に位置する耳部と、扁平に潰した状態で扁平である部分に位置する腹部とを有するホース本体と、
前記腹部の外面に、前記ホース本体の長さ方向に沿って間欠的に設けられた反射材又は蓄光材と、
前記腹部の外面に、前記ホース本体の長さ方向に沿って間欠的に設けられた蛍光色材とを備え、
前記反射材又は前記蓄光材と前記蛍光色材は、前記長さ方向に沿って交互に設けられていることを特徴とする消防用ホース。
【請求項3】
扁平に潰した状態の屈曲する部分に位置する耳部と、扁平に潰した状態で扁平である部分に位置する腹部とを有するホース本体と、
前記腹部の外面に、前記ホース本体の長さ方向に沿って設けられた反射材又は蓄光材と、
この反射材又は蓄光材の表面に、前記ホース本体の長さ方向に沿って設けられた蛍光色材とを備え、
前記蛍光色材は、前記反射材又は前記蓄光材よりも狭い幅で設けられ、
前記ホース本体の一方の前記耳部と前記蛍光色材との間、及び、前記ホース本体の他方の前記耳部と前記蛍光色材との間において、前記反射材又は前記蓄光材が前記蛍光色材から露出していることを特徴とする消防用ホース。
【請求項4】
扁平に潰した状態の屈曲する部分に位置する耳部と、扁平に潰した状態で扁平である部分に位置する腹部とを有するホース本体と、
前記腹部の外面に、前記ホース本体の長さ方向に沿って設けられた蛍光色材と、
この蛍光色材の表面に、前記ホース本体の長さ方向に沿って設けられた反射材又は蓄光材とを備え、
前記反射材又は前記蓄光材は、前記蛍光色材よりも狭い幅で設けられ、
前記ホース本体の一方の前記耳部と前記反射材又は前記蓄光材との間、及び、前記ホース本体の他方の前記耳部と前記反射材又は前記蓄光材との間において、前記蛍光色材が前記反射材又は前記蓄光材から露出していることを特徴とする消防用ホース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、昼間等の明るい場所においては高い視認性と識別性、夜間や屋内等の暗い場所においては高い視認性を有する消防用ホースに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ビル等の建物内の消火活動に用いられる消防用ホースは、扁平に潰して巻きとられた状態や折り畳まれた状態で搬送され、使用時には展張される。しかし、火災を起こした建物は停電になっている場合や、火災の煙などで視界が悪い状態の中帰還しなければならない場合がある。この対策として、消防士はライトを携帯し、消火活動にあたる。しかし、大抵の建物は初めて入る場合が多く、さらに視界が悪い状態であるため、道に迷い出口まで辿り着けず重大事故につながる場合がある。
【0003】
このため、消防用ホースを帰還時の道案内として使用する方法がある。消防用ホースは必ず外のポンプ車等につながっている為、消防用ホースを辿れば出口に到達できる。しかし、停電時や火災の煙等で視界が悪い場合は消防用ホースを発見することも困難である。これらの対策として、消防用ホース上に反射材を接着し、暗い場所においても、ライトを照らすことで、消防用ホースを発見しやすくする方法が知られている(例えば、特許文献1及び2参照。)。
【0004】
一方、消火活動の際は、多くの消防署等の拠点から多くの消防用ホースが火災現場に集められるため、使用後に消防用ホースを回収する際、他の拠点の消防用ホースと混同する虞がある。このために、消防用ホース表面の色を拠点毎に異なる色にしたり、拠点を示す表示を付す方法が知られている(例えば、特許文献3参照。)。これらの方法は、所属先の表示をする以外に、昼間のホースの視認性も高めるため、ホース表面を赤色等の目立つ色にすることもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第3080507号公報
【特許文献2】特開2001−193874号公報
【特許文献3】特開2009−150522号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した消防用ホースでは、次のような問題があった。すなわち、明るい場所において目立つ色であって、かつ、消防用ホースのホース本体の色として選択できる色は限られている。このため、拠点が多い場合には、ホース本体に付された識別文字・記号等に頼らざるを得ず、回収に手間取ることがあった。なお、反射材は一般的に、明るい場所では目立たないという特質を有する。
【0007】
そこで本発明は、昼間等の明るい場所においては高い視認性と識別性、夜間や屋内等の暗い場所においては高い視認性を有する消防用ホースを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決し目的を達成するために、本発明の消防用ホースは次のように構成されている。
【0009】
扁平に潰した状態の屈曲する部分に位置する耳部と、扁平に潰した状態で扁平である部分に位置する腹部とを有するホース本体と、前記腹部の外面に、前記ホース本体の長さ方向に沿って設けられた反射材と、前記腹部の外面に、前記ホース本体の長さ方向に沿って設けられた蛍光色材とを備え
、前記反射材又は前記蓄光材と前記蛍光色材とは、互いに離間又は隣接し、且つ並行に設けられていることを特徴とする。
【0010】
扁平に潰した状態の屈曲する部分に位置する耳部と、扁平に潰した状態で扁平である部分に位置する腹部とを有するホース本体と、前記腹部の外面に、前記ホース本体の長さ方向に沿って間欠的に設けられた反射材と、前記腹部の外面に、前記ホース本体の長さ方向に沿って間欠的に設けられた蛍光色材とを備え
、前記反射材又は前記蓄光材と前記蛍光色材は、前記長さ方向に沿って交互に設けられていることを特徴とする。
【0011】
扁平に潰した状態の屈曲する部分に位置する耳部と、扁平に潰した状態で扁平である部分に位置する腹部とを有するホース本体と、前記腹部の外面に、前記ホース本体の長さ方向に沿って設けられた反射材
又は蓄光材と、この反射材
又は蓄光材の表面に、前記ホース本体の長さ方向に沿って設けられた蛍光色材とを備え
、前記蛍光色材は、前記反射材又は前記蓄光材よりも狭い幅で設けられ、前記ホース本体の一方の前記耳部と前記蛍光色材との間、及び、前記ホース本体の他方の前記耳部と前記蛍光色材との間において、前記反射材又は前記蓄光材が前記蛍光色材から露出していることを特徴とする。
【0012】
扁平に潰した状態の屈曲する部分に位置する耳部と、扁平に潰した状態で扁平である部分に位置する腹部とを有するホース本体と、前記腹部の外面に、前記ホース本体の長さ方向に沿って設けられた蛍光色材と、この蛍光色材の表面に、前記ホース本体の長さ方向に沿って設けられた反射材
又は蓄光材とを備え
、前記反射材又は前記蓄光材は、前記蛍光色材よりも狭い幅で設けられ、前記ホース本体の一方の前記耳部と前記反射材又は前記蓄光材との間、及び、前記ホース本体の他方の前記耳部と前記反射材又は前記蓄光材との間において、前記蛍光色材が前記反射材又は前記蓄光材から露出していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、昼間等の明るい場所においては高い視認性と識別性、夜間や屋内等の暗い場所においては高い視認性を有することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の第1の実施の形態に係る消防用ホースを示す側面図。
【
図2】同消防用ホースの要部を一部破断して示す斜視図。
【
図3】同消防用ホースの扁平に潰された状態を示す平面図。
【
図4】本発明の第2の実施の形態に係る扁平に潰された消防用ホースを示す平面図。
【
図5】本発明の第3の実施の形態に係る扁平に潰された消防用ホースを示す平面図。
【
図6】本発明の第4の実施の形態に係る扁平に潰された消防用ホースを示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は本発明の第1の実施の形態に係る消防用ホース1を示す側面図、
図3は消防用ホース1の要部を一部破断して示す斜視図、
図3は消防用ホース1の扁平に潰された状態を示す平面図である。
【0016】
消防用ホース1は、筒状のホース本体10と、ホース本体10の基端側の開口部と液密に連通して設けられる流入部50と、ホース本体10の先端側の開口部と液密に連通して設けられる流出部60とを備えている。流入部50は消火剤供給部Sと液密に着脱可能であり、流出部60は放水用ノズルTと液密に着脱可能である。消火剤供給部Sは、消火剤を供給する消火栓S1と、流入部50に消火剤を案内する案内ホースS2とを有する。なお、消火剤は水等の消火に使用される物質であり、水の他に粉体等も含まれる。
【0017】
ホース本体10は、
図2に示すように、扁平に潰された状態で扁平面となる腹部13と、扁平に潰す際に屈曲する耳部14とを備えている。なお、ホース本体10の色は、例えば淡色系のホース本体10の材質の色である。
【0018】
腹部13の外周部には、ホース本体10の長さ方向に沿って反射材20と蛍光色材30とが所定間隔だけ離間し、長手方向に沿って並行に設けられている。反射材20及び蛍光色材30は、ホース本体10の外周面に熱せられつつ圧着され、ホース本体10と一体に形成されている。
【0019】
反射材20は、その表面に入射する光を反射する性質を有しているため、暗い場所における視認性を消防用ホース1に付加する効果がある。蛍光色材30は、昼間等の明るい場所における視認性を高めることができると共に、色のバリエーションが多く、消防署等の拠点の数に対応させて設けることができる。
【0020】
上述のように形成された消防用ホース1は、腹部13に反射材20が設けられ、夜間や屋内等の暗い場所においては消防士等がライトを照らすことによって高い視認性を有することが可能となり、また、蛍光色材30を付していることから、昼間等の明るい場所においては高い視認性を確保することができると共に、色のバリエーションにより高い識別性を有し、消火活動後の消防用ホース1の回収を効率的に行うことができる。
【0021】
上述したように、本実施の形態に係る消防用ホース1によれば、昼間等の明るい場所においては高い視認性と識別性、夜間や屋内等の暗い場所においては高い視認性を有することが可能となる。
【0022】
なお、上述した例では、反射材20を用いたが、反射材20の代わりに蓄光材を用いても、同様の効果を得ることができる。
【0023】
図4は、本発明の第2の実施の形態に係る扁平に潰された消防用ホース1Aを示す平面図である。
図4において、
図1〜
図3と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0024】
本実施の形態に係る消防用ホース1Aでは、腹部13の外周部には、ホース本体10の長さ方向に沿って反射材20と蛍光色材30とが隣接し、長手方向に沿って並行に設けられている。
【0025】
このように構成された消防用ホース1Aにおいても、上述した消防用ホース1と同様の効果を得ることができる。
【0026】
図5は、本発明の第3の実施の形態に係る扁平に潰された消防用ホース1Bを示す平面図である。
図5において、
図1〜
図3と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0027】
本実施の形態に係る消防用ホース1Bでは、腹部13の外周部には、ホース本体10の長さ方向に沿って反射材で形成された反射矢印マーク21と、蛍光色材で形成された蛍光矢印マーク31とが間欠的に、長手方向に沿って並行に設けられている。
【0028】
このように構成された消防用ホース1Bにおいても、上述した消防用ホース1と同様の効果を得ることができる。
【0029】
図6は、本発明の第4の実施の形態に係る扁平に潰された消防用ホース1Cを示す平面図である。
図6において、
図1〜
図3と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0030】
本実施の形態に係る消防用ホース1Cでは、腹部13の外周部には、ホース本体10の長さ方向に沿って蛍光色材30が形成され、この蛍光色材30の上面に蛍光色材30より狭い幅で形成された反射材20が長手方向に沿って設けられている。
【0031】
このように構成された消防用ホース1Cにおいても、上述した消防用ホース1と同様の効果を得ることができる。なお、反射材20と蛍光色材30との積層関係を逆にして設置しても同様の効果を得ることができる。
【0032】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではない。暗い場所での視認性を向上させるために反射材を用いたが、反射材の代わりに蓄光材を用いてもよい。この他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能であるのは勿論である。
【符号の説明】
【0033】
1,1A,1B,1C…消防用ホース、10…ホース本体、13…腹部、14…耳部、15…境界線、20…反射材、21…反射矢印マーク、30…蛍光色材、31…蛍光矢印マーク。