(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
少なくとも一方が透光性を有する一対の基板間に封入され、粒子特性を変化させる要因となる外部環境の変化によって、移動を開始する第1開始電圧と移動が終了する第1終了電圧との電圧範囲からなる第1閾値特性が変化する第1の粒子、及び前記第1の粒子とは異なる色に着色されると共に、移動を開始する第2開始電圧と移動が終了する第2終了電圧とからなり、かつ前記外部環境の予め定めた環境範囲においては前記第1閾値特性と重複しない電圧範囲からなる第2閾値特性が前記外部環境の変化によって変化する第2の粒子を含み、画像情報に基づいて画像を表示する画像表示媒体の前記一対の基板間に電界を印加する電界印加手段と、
前記外部環境を表す外部環境温度の情報を取得する外部環境取得手段と、
前記第1閾値特性と前記第2閾値特性とが重複する電圧範囲に変化する前記外部環境温度の情報が取得された場合に、前記外部環境温度の情報に応じて、絶対値が前記第1開始電圧<前記第1終了電圧<前記第2開始電圧<前記第2終了電圧となるような付着力を前記第1の粒子及び前記第2の粒子に与えるような初期駆動電界の情報と、前記外部環境温度の情報及び表示すべき色に応じたそれぞれの粒子に印加すべき書き込み電界の情報と、が格納された情報格納手段と、
前記外部環境温度の情報及び前記情報格納手段に格納された前記初期駆動電界の情報に基づいて、前記一対の基板間に前記初期駆動電界を印加した後に、表示すべき色と前記情報格納手段に格納された前記書き込み電界の情報とに応じて、前記一対の基板間に電界を印加するように前記電界印加手段を制御する制御手段と、
を備えた画像表示媒体の駆動装置。
前記情報格納手段は、前記第1終了電圧と前記第2開始電圧が予め定めた値以上離れている場合に、前記第1終了電圧と前記第2開始電圧が予め定めた範囲内になるような付着力を前記第1の粒子及び前記第2の粒子に与えるような初期駆動電界の情報を格納する請求項1に記載の画像表示媒体の駆動装置。
少なくとも一方が透光性を有する一対の基板間に封入され、移動を開始する第1開始電圧と移動が終了する第1終了電圧との電圧範囲からなる第1閾値特性が粒子特性を変化させる要因となる外部環境の変化によって変化する第1の粒子、及び前記第1の粒子とは異なる色に着色されると共に、移動を開始する第2開始電圧と移動が終了する第2終了電圧とからなり、かつ前記外部環境の予め定めた環境範囲においては前記第1閾値特性と重複しない電圧範囲からなる第2閾値特性が前記外部環境の変化によって変化する第2の粒子を含み、画像情報に基づいて画像を表示する画像表示媒体と、
請求項1又は請求項2に記載の画像表示媒体の駆動装置と、
を備えた画像表示装置。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。作用・機能が同じ働きを担う部材には、全図面を通して同じ符合を付与し、重複する説明を省略する場合がある。また、説明を簡易化するために、適宜1つのセルに注目した図を用いて本実施形態を説明する。
【0018】
また、本実施の形態の着色粒子としては、シアン色の着色粒子とマゼンタ色の着色粒子を用いるものとする。シアン色の着色粒子をシアン粒子C、マゼンタ色の着色粒子をマゼンタ粒子Mと記し、各粒子とその粒子群は同じ記号(符号)によって示す。
【0019】
図1(A)は、本発明の実施の形態に係わる画像表示装置を概略的に示している。この画像表示装置100は、画像表示媒体10と、画像表示媒体10を駆動する駆動装置20と、を備えている。駆動装置20は、画像表示媒体10の表示側電極3、背面側電極4間に電圧を印加する電圧印加部30と、画像表示媒体10に表示させる画像の画像情報に応じて電圧印加部30を制御する制御部40と、を含んで構成されている。
【0020】
画像表示媒体10は、画像表示面とされる、透光性を有する表示基板1と、非表示面とされる背面基板2と、が間隙を持って対向して配置される一対の基板を有する。
【0021】
これらの基板1、2間を定められた間隔に保持すると共に、該基板間を複数のセルに区画する間隙部材5が設けられている。
【0022】
上記セルとは、背面側電極4が設けられた背面基板2と、表示側電極3が設けられた表示基板1と、間隙部材5と、によって囲まれた領域を示している。セル中には、例えば絶縁性液体で構成された分散媒6と、分散媒6中に分散された第1粒子群11、第2粒子群12、及び白色粒子群13とが封入されている。
【0023】
第1粒子群11と第2粒子群12は、色及び電界に応じて移動する閾値特性が互いに異なり、一対の電極3、4間に予め定めた閾値電圧以上の電圧を印加することにより、第1粒子群11及び第2粒子群12がそれぞれ単独で泳動する特性を有している。一方、白色粒子群13は、第1粒子群11、第2粒子群12よりも帯電量が少なく、第1粒子群11、第2粒子群12が何れか一方の電極側まで移動する電圧が電極間に印加されても、何れの電極側まで移動しない粒子群である。
【0024】
なお、分散媒に着色剤を混合することで、泳動粒子の色とは異なる白色を表示させてもよい。
【0025】
駆動装置20(電圧印加部30及び制御部40)は、画像表示媒体10の表示側電極3、背面側電極4間に表示させる色に応じた電圧を印加することにより、粒子群11、12を泳動させ、それぞれの帯電極性に応じて表示基板1、背面基板2の何れか一方に引き付ける。
【0026】
電圧印加部30は、表示側電極3及び背面側電極4にそれぞれ電気的に接続されている。また、電圧印加部30は、制御部40に信号授受されるように接続されている。
【0027】
制御部40は、
図1(B)に示すように、例えばコンピュータ40として構成される。コンピュータ40は、一例として、CPU(Central Processing Unit)40A、ROM(Read Only Memory)40B、RAM(Random Access Memory)40C、不揮発性メモリ40D、及び入出力インターフェース(I/O)40Eがバス40Fを介して各々接続された構成であり、I/O40Eには電圧印加部30が接続されている。この場合、各色の表示に必要な電圧の印加を電圧印加部30に指示する処理をコンピュータ40に実行させるプログラムを、例えば不揮発性メモリ40Dに書き込んでおき、これをCPU40Aが読み込んで実行させる。なお、プログラムは、CD−ROM等の記録媒体により提供するようにしてもよい。
【0028】
電圧印加部30は、表示側電極3及び背面側電極4に電圧を印加するための電圧印加装置であり、制御部40の制御に応じた電圧を表示側電極3及び背面側電極4に印加する。
【0029】
本実施形態では、一例として背面側電極4を接地し、表示側電極3に電圧を印加する場合について説明する。
【0030】
また、制御部40には、画像表示媒体10の外部環境情報を取得する外部環境取得部22が接続されている。外部環境取得部22は、画像表示媒体10の一対の基板間に封入された各粒子の閾値特性を変化させる要因となる外部環境情報を取得する。本実施の形態では、例えば、画像表示媒体10の環境温度を検出して、検出結果を制御部40に出力するようになっている。すなわち、I/O40Eに外部環境取得部22が接続されて検出結果が制御部40に出力されるようになっている。また、外部環境情報として光を取得し、温度に換算しても良い。
【0031】
図2には、背面側電極4をグランド(0V)として表面側電極3に電圧を印加した場合に基板間に印加される電界強度(V/μm)と、各粒子群による表示濃度との関係(閾値特性)を示したものである。
図2では、シアン粒子Cの閾値特性を50C、マゼンタ粒子Mの閾値特性を50Mで表わしている。なお、本実施形態では、一例としてマゼンタ粒子Mが負に帯電し、シアン粒子Cが負に帯電されたものとして説明する。
【0032】
図2に示すように、背面基板2側の負に帯電されたマゼンタ粒子Mが表示基板1側へ移動開始する電界強度(閾値電界強度)は+VMLであり、全てのマゼンタ粒子Mが表示基板1側に移動終了する電界強度(閾値電界強度)は+VMHである。また、表示基板1側のマゼンタ粒子Mが背面基板2側へ移動開始する電界強度(閾値電界強度)は−VMLであり、全てのマゼンタ粒子Mが背面基板2側に移動終了する電界強度(閾値電界強度)は−VMHである。
【0033】
従って、+VML以上の電界強度が基板間に印加されることにより背面基板2側のマゼンタ粒子Mが表示基板1側へ移動開始し、+VMH以上の電界強度が基板間に印加されることにより全てのマゼンタ粒子Mが表示基板1側に移動する。また、−VML以下の電界強度が基板間に印加されることにより表示基板1側のマゼンタ粒子Mが背面基板2側へ移動開始し、−VMH以下の電界強度が基板間に印加されることにより全てのマゼンタ粒子Mが背面基板2側に移動する。
【0034】
また、背面基板2側のシアン粒子Cが表示基板1側へ移動開始する電界強度(閾値電界強度)はVCLであり、全てのシアン粒子Cが表示基板1側に移動終了する電界強度(閾値電界強度)はVCHである。また、表示基板1側のシアン粒子Cが背面基板2側へ移動開始する電界強度(閾値電界強度)は−VCLであり、全てのシアン粒子Cが背面基板2側に移動終了する電界強度(閾値電界強度)は−VCHである。
【0035】
従って、+VCL以上の電圧を印加することで背面基板2側のシアン粒子Cが表示基板1側へ移動開始し、+VCH以上の電界強度が基板間に印加されることにより全てのシアン粒子Cが表示基板1側に移動する。また、−VCL以下の電圧を印加することで表示基板1側のシアン粒子Cが背面基板2側へ移動開始し、−VCH以下の電界強度が基板間に印加されることにより全てのシアン粒子Cが背面基板2側に移動する。
【0036】
なお、本実施の形態では、予め定めた環境温度(例えば、20℃)において、マゼンタ粒子Mとシアン粒子Cのそれぞれの閾値特性が重ならないように予め設定されており、それぞれの粒子を独立駆動可能とされているものとする。
【0037】
ところで、このように構成された画像表示媒体10では、画像表示媒体10の外部環境の変化により粒子の表示特性が変化するため補正が必要である。本実施の形態のように、複数の粒子を備える場合には粒子の種類により変化特性が異なり、全ての粒子に対して同じ補正を行うことはできない。
【0038】
例えば、
図3(A)に示すように、上記画像表示媒体10において環境温度が20℃から40℃に変化するとシアン粒子Cを濃度D2で表示するための印加電界強度がΔVC2変化してしまい、マゼンタ粒子Mを濃度D2で表示するための印加電界強度がΔVM2変化してしまう。従って、
図3(A)の変化量を見れば分かるように、同じ補正量では表示すべき色を表示することができなくなってしまう。
【0039】
さらには、環境温度が60℃に変化した場合には、
図3(B)に示すように、混色(以下、クロストークと称する場合がある)が発生してしまう。すなわち、シアンの閾値特性とマゼンタの閾値特性が重なっている領域があり、この状態で、例えばシアンを最大納小渡で表示させる電圧を印加すると、マゼンタも表示されてしまい、表示画面上ではシアンとマゼンタが混じった色として表示される。このように閾値特性がある電界領域で重なっている状態のことをクロストークといい、表示させたい粒子以外の粒子が表示される状態のことを混色という。
【0040】
そこで、本実施の形態では、外部環境取得部22によって検出した外部環境情報を取得して、取得した外部環境情報に応じて粒子毎に異なる補正を行うようになっている。また、このとき取得した外部環境情報がクロストークを発生する外部環境を表す場合には、制御部40が、閾値特性を変更するように制御を行う。なお、閾値特性の変更方法についての詳細は後述する。
【0041】
本実施の形態では、各粒子の温度毎の閾値特性は、
図4(A)に示す特性とされており、例えば、環境温度毎の補正量(閾値特性の傾きの変化に対応する係数等)を予め定めておくことで粒子毎に外部環境に応じた補正が可能となる。
【0042】
また、本実施の形態では、
図4(B)の×印で示すように、環境温度60℃でシアン濃度がDC0でマゼンタ濃度がDM3を表示する場合、環境温度60℃でシアン濃度がDC3でマゼンタ濃度がDM0を表示する場合、環境温度80℃でシアン濃度がDC0でマゼンタ濃度がDM2とDM3を表示する場合、環境温度80℃でシアン濃度がDC3、マゼンタ濃度DM0とDM1を表示する場合、環境温度80℃でシアン濃度DC1でマゼンタ濃度DM3を表示する場合、及び環境温度80℃でシアン濃度DC2でマゼンタ濃度DM0を表示する場合のぞれぞれで混色が発生するので、この場合に閾値特性を変更するようになっている。例えば、制御部40に、
図4(B)のテーブルを予め記憶しておき、外部環境情報及び画像情報に基づいて、混色が発生するか否かを判断して、混色が発生する場合に閾値特性を変更する。
【0043】
ここで、環境温度によって混色が発生する場合に、制御部40が行う閾値特性の変更方法について説明する。
【0044】
電界強度と粒子の駆動時間(粒子の移動時間)との関係は、
図5に示すような関係となる。
図5では、マゼンタ粒子Mの電界強度と粒子の駆動時間との関係を示す特性を特性52M、シアン粒子Cの電界強度と粒子の駆動時間との関係を示す特性を特性52Cで表している。
図5に示すように、基板間に印加される電界強度が大きいほど、駆動時間は短くなる。また、閾値電界強度が小さい粒子ほど、駆動時間も短い。
【0045】
また、
図6に示すように、粒子が一方の基板から他方の基板へ移動開始する電界強度の絶対値をVL、全ての粒子が一方の基板から他方の基板へ移動終了する電界強度の絶対値をVHとすると、粒子を移動させるための駆動エネルギーによって閾値電界強度は変動し、駆動エネルギーが小さいほど、基板への粒子の付着力も小さくなって閾値電界強度も小さくなる。同様に、駆動エネルギーが大きいほど、基板への粒子の付着力も大きくなって閾値電界強度は大きくなる。ここで、駆動エネルギーとは、粒子の駆動電界強度及び印加時間を指す。駆動エネルギーの大小は駆動電界強度と印加時間のどちらか又は両方を変更することによって決定される。例えばマゼンタ粒子Mの閾値特性が、
図6に示すように駆動エネルギーがBの場合の閾値特性であって
図2に示す閾値特性50Mであったとする。そして、例えば電圧値を固定にして電圧印加時間を長くすることで駆動エネルギーを
図6に示す駆動エネルギーAにした場合、駆動エネルギーAは駆動エネルギーBよりも大きいので、閾値特性は大きくなり、
図2に示すように、閾値特性50Mから50M’にシフトする。また、
図5に示すように、マゼンタ粒子Mの電界強度と粒子の駆動時間との関係を示す特性は、特性52M’のようになる。
【0046】
従って、本実施の形態では、初期状態を形成するための初期駆動電圧の駆動エネルギーを制御部40が制御することによって、粒子の閾値特性を変更することができるので、制御部40が、画像情報及び外部環境情報(本実施の形態では、環境温度)に基づいて、混色が発生する場合には、初期駆動電圧の駆動エネルギーを変更することで閾値特性を変更してクロストークを防止するように制御する。ここで、初期状態とは、閾値の絶対値が最も大きい粒子の閾値電界以上となる電界(
図2ではVMH以上又は-VMH以下)が印加され、電界によって移動する粒子が粒子群毎にどちらか一方の基板に全て移動した状態で、それぞれの粒子濃度が最大又は最小となる状態のことを指す。また、当該初期状態とするために粒子に印加する電界と時間を初期駆動電界という。
【0047】
具体的には、
図4(B)に示すテーブル(環境温度と表示濃度毎の混色の発生有無を表すテーブル)や、クロストークが発生しない閾値特性とするための付着力を与える初期駆動電界を表すテーブルや、変更した閾値特性と表示すべき色に従って基板間に印加する書き込み電界を表すテーブルを制御部40に予め記憶しておき、環境温度情報及び画像情報に基づいて、クロストークが発生するか否かを判断して、クロストークが発生する場合に、クロストークが発生しない閾値特性に変更して、変更した閾値特性に従って基板間に印加する電圧を制御する。これにより、環境温度が変化して粒子の閾値特性が変化してしまう場合でも混色が抑制される。制御部40での記憶容量や処理によっては、環境温度と表示濃度毎の混色の発生有無を表すテーブルと、クロストークが発生しない閾値特性とするための付着力を与える初期駆動電界を表すテーブルを統合しても良い。つまり、あらかじめ環境温度毎に初期駆動電界を定めたテーブルを制御部40に記憶しておき、環境温度を取得したのち、当該テーブルを参照することで、初期駆動電界が定まるようにすることも考えられる。
【0048】
すなわち、本実施の形態では、絶対値が、シアン粒子Cの移動開始電圧<シアン粒子Cの移動終了電圧<マゼンタ粒子Mの移動開始電圧<マゼンタ粒子Mの移動終了電圧、となるような付着力を各粒子に与えるような初期駆動電界の情報と、外部環境情報及び表示すべき色に応じたそれぞれの粒子に印加すべき書き込み電界の情報と、を不揮発性メモリ40D等に予め記憶しておき、記憶した初期駆動電界の情報及び外部環境情報に基づいて、一対の基板間に初期駆動電界を印加した後に、表示すべき色と記憶した書き込み電界の情報とに応じて、一対の基板間に電界を印加するようになっている。
【0049】
次に、制御部40のCPU40Aで実行される制御について
図7に示すフローチャートを参照して説明する。なお、以下の処理は、各画素に対して行うものとして説明する。
【0050】
ステップS10では、画像表示媒体10に表示させるべき画像の画像情報を例えばI/O40Eを介して図示しない外部装置から取得する。
【0051】
ステップS12では、画像表示媒体10の粒子特性に関わる外部環境情報を外部取得検出部22から取得する。例えば、画像表示媒体10の近傍の環境温度や、該環境温度を想定可能な環境情報(例えば、画像表示媒体10に照射される光の光量や照射時間等から温度上昇等の想定が可能な環境情報)を外部取得検出部22によって検出して検出結果をI/O40Eを介して取得する。
【0052】
ステップS14では、取得した外部環境情報(本実施の形態では環境温度)において、注目画素の画像情報が表す濃度がクロストークを発生する濃度に対応するか否かを判定する。該判定は、
図4(B)のテーブルを用いて、取得した環境情報に対応する画像情報が表す各粒子の濃度が混色を発生する濃度か否かを判定し、該判定が肯定された場合にはステップS16へ移行し、判定が否定された場合にはステップS18へ移行する。なお、本実施の形態では、判定が否定された場合、すなわち、クロストークが発生しない場合には、閾値特性は予め定めた基準の閾値特性を用いて後述の画像表示処理を行う。予め定めた基準の閾値特性は、上述した
図2の50C、50Mで示すように、予め定めた環境温度(例えば、20℃)で各粒子のクロストークが発生しない閾値特性である。
【0053】
ステップS16では、初期状態を形成する際の駆動エネルギーを変更することにより閾値特性を変更してS18へ移行する。なお、駆動エネルギーの変更量は、例えば、
図4(B)のテーブルの混色が発生する濃度毎に、混色が発生しない閾値特性となる駆動エネルギーを予め定めておいて、対応する駆動エネルギーを選択することにより初期状態を形成する際の駆動エネルギーを変更する。
【0054】
ステップS18では、外部環境に応じた粒子毎の駆動電圧を算出する。すなわち、環境温度によって粒子毎に異なる閾値特性の変化に対応する補正を加えた駆動電圧を算出する。例えば、
図2(A)のΔVC2やΔVM2に応じた補正量を算出するための予め定めたテーブルや関数等を用いて補正係数等を算出し、算出した補正係数を用いて補正を加えた駆動電圧を粒子毎に算出する。また、閾値特性を変更する場合には、変更した閾値特性から画像情報が表す濃度を表示するための駆動電圧を算出する。
【0055】
ステップS20では、画像表示処理を行って一連の処理を終了する。画像表示処理は、初期状態を形成するための電圧を印加するように制御することで、一方の基板に粒子を全て移動させて初期状態を形成し、形成した初期状態から画像情報に応じて粒子を移動するように印加する電圧を制御することにより、画像情報に応じた階調を表示する。そして、画像情報に応じた階調を表示する際にステップS18で算出した外部環境に応じた粒子毎の駆動電圧を印加することで、環境変化に応じて粒子毎に異なる補正が行われる。また、初期状態を形成する際に、閾値特性の変更がない場合には、予め定めた駆動エネルギーの電圧を基板間へ印加し、閾値特性の変更がある場合には、変更後の閾値特性に対応する駆動エネルギーの電圧を基板間へ印加することにより閾値特性を変更する。これにより環境変化による混色が防止される。
【0056】
このように、本実施の形態では、環境変化によって粒子の閾値特性が異なる変化となる場合でも、それぞれ粒子毎に異なる補正量の駆動電圧を求めて基板間に印加することにより、表示すべき画像の濃度が表示される。また、環境変化によって粒子の閾値特性が変化してクロストークが発生する場合には、初期状態を形成する際の駆動エネルギーを制御して閾値特性を変更するので、クロストークの発生が防止される。
【0057】
なお、上記の実施の形態における、粒子間で閾値特性が重ならない状態(クロストークがない状態)とは、人間が目視で混色が確認できない程度の重なりは含むものであり、完全に重ならない状態のみを意味しているものではない。すなわち、上記の実施の形態における、粒子が移動を開始する電圧や全ての粒子が移動を終了する電圧(VCL、VCH、VML、VMH)は、実質的に粒子が移動を開始する電圧や実質的に全ての粒子が移動を終了する電圧を意味しており、無数の粒子のうちの最初の1個目が移動を開始する電圧や無数の粒子の全てが完全に移動を終了する電圧を意味するものではない。
【0058】
また、上記の実施の形態では、電圧値を固定して電圧印加時間を変更することで駆動エネルギーを変更して粒子の閾値特性を変更する場合について説明したが、電圧印加時間を固定にして電圧値を変更することで粒子の閾値特性を変更するようにしてもよい。或いは、電圧値と電圧印加時間の両方を変更してもよい。さらに、電圧の印加回数を変更することにより駆動エネルギーを変更するようにしてもよい。
【0059】
閾値特性変動は、粒子種類や温度によって異なるため、場合によってはシアンとマゼンタの閾値特性が離れる場合もあり得る。その場合は、シアンとマゼンタの閾値特性がクロストークしない範囲で付着力を小さくする。すなわち、一方の粒子の閾値特性における移動終了電圧と他方の粒子の閾値特性における移動開始電圧とが予め定めた値以上離れる場合は、一方の粒子の閾値特性における移動終了電圧と他方の粒子の閾値特性における移動開始電圧とがクロストークが発生しない予め定めた範囲内になるように付着力を小さくするように駆動エネルギーを変更するようにしてもよい。付着力を小さくすると、駆動にかかる電界が小さく済むので、画像の表示にかかる時間を短縮することが期待される。
【0060】
また、上記の実施の形態では、粒子群がマゼンタ粒子Mとシアン粒子Cの2種類の場合について説明したが、粒子群の色はこれに限られるものではない。さらに、粒子の種類は3種類以上でもよい。例えば、粒子群がマゼンタ粒子M、シアン粒子C、黄色粒子Yの3種類としてもよいし、さらに白色粒子Wを加えた4種類としてもよいし、或いは他の着色粒子を更に加えるようにしてもよい。
【0061】
また、上記の実施の形態における制御部40における処理は、ハードウエアによって実行するようにしてもよいし、ソフトウエアのプログラムを実行することによって行うようにしてもよい。また、当該プログラムは、各種記憶媒体に記憶して流通するようにしてもよい。