特許第6182337号(P6182337)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 美和ロック株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6182337-携帯型キー 図000002
  • 特許6182337-携帯型キー 図000003
  • 特許6182337-携帯型キー 図000004
  • 特許6182337-携帯型キー 図000005
  • 特許6182337-携帯型キー 図000006
  • 特許6182337-携帯型キー 図000007
  • 特許6182337-携帯型キー 図000008
  • 特許6182337-携帯型キー 図000009
  • 特許6182337-携帯型キー 図000010
  • 特許6182337-携帯型キー 図000011
  • 特許6182337-携帯型キー 図000012
  • 特許6182337-携帯型キー 図000013
  • 特許6182337-携帯型キー 図000014
  • 特許6182337-携帯型キー 図000015
  • 特許6182337-携帯型キー 図000016
  • 特許6182337-携帯型キー 図000017
  • 特許6182337-携帯型キー 図000018
  • 特許6182337-携帯型キー 図000019
  • 特許6182337-携帯型キー 図000020
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6182337
(24)【登録日】2017年7月28日
(45)【発行日】2017年8月16日
(54)【発明の名称】携帯型キー
(51)【国際特許分類】
   E05B 19/00 20060101AFI20170807BHJP
【FI】
   E05B19/00 K
【請求項の数】5
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-65528(P2013-65528)
(22)【出願日】2013年3月27日
(65)【公開番号】特開2014-190017(P2014-190017A)
(43)【公開日】2014年10月6日
【審査請求日】2016年2月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】390037028
【氏名又は名称】美和ロック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080838
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 光康
(72)【発明者】
【氏名】松田 巌樹
【審査官】 家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−249875(JP,A)
【文献】 米国特許第06196036(US,B1)
【文献】 特表2012−501393(JP,A)
【文献】 特許第4673776(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
把手と、該把手の先端部に固定支軸を介して回転可能に設けられていると共に、把手の一側壁に形成されたキー用収納部から該把手の先端面と略直交する使用位置まで回転し、かつ使用時に建具用錠前のシリンダ錠の鍵穴に差し込まれるキー本体とから成る携帯型キーに於いて、
前記固定支軸にキー本体飛び出し兼操作ボタン復帰用のバネ部材を設け、上端部が前記固定支軸と同軸上に位置する前記把手の貫通孔に嵌合する前記操作ボタンを前記バネ部材に嵌合し、また、前記操作ボタンと共働する支持筒を前記キー本体の筒状基端部に嵌挿し、この筒状基端部と前記支持筒に端部がそれぞれ連結するキー本体中立位置用の保持バネ部材を前記支持筒に巻装し、
前記キー本体の突出時、該キー本体は前記バネ部材のバネ力により前記把手の先端面と略直交する前記使用位置まで回転し、該把手を回して操作する時に、前記保持バネ部材の保持係数の設定トルク値に対して、前記固定支軸や支持筒と前記筒状基端部の接合部分に該設定トルク値を超える荷重が加わると、前記キー本体は、前記保持バネ部材のバネ力に抗して傾倒することを特徴とする携帯型キー。
【請求項2】
請求項1の携帯型キーに於いて、支持筒は、筒状基端部の一端面と対向するフランジ部分と、該フランジ部分に連設すると共に前記筒状基端部に嵌挿する操作ボタン用案内筒部分とから成り、キー本体中立位置用の保持バネ部材は、前記支持筒と前記キー本体が一緒に共働するようにその一端部は前記筒状基端部の一端面に取付けられ、他端部は前記フランジ部分に取付けられていることを特徴とする携帯型キー。
【請求項3】
請求項1の携帯型キーに於いて、固定支軸にストッパーが設けられ、操作ボタンがプッシュにより把手の被係合部分から開放されてバネ部材のバネ力により使用位置まで回転した時、該操作ボタン及び支持筒は、前記ストッパーによって直接或いは間接的にそれ以上の回転が阻止されることを特徴とする携帯型キー。
【請求項4】
把手と、該把手の先端部に固定支軸を介して回転可能に設けられかつ使用時に建具用錠前のシリンダ錠の鍵穴に差し込まれるキー本体とから成る携帯型キーに於いて、前記固定支軸にキー本体飛び出し兼操作ボタン復帰用のバネ部材を設け、上端部が前記固定支軸と同軸上に位置する前記把手の貫通孔に嵌合する前記操作ボタンを前記バネ部材に嵌合し、また、前記操作ボタンと共働する支持筒を前記キー本体の筒状基端部に嵌挿し、このキー本体の筒状基端部と前記支持筒に常態では極性により互い吸着する磁性体をそれぞれ固定的に設け、前記キー本体の突出時、該キー本体は前記バネ部材のバネ力により前記把手の先端面と略直交する使用位置まで回転し、該把手を回して操作する時に、前記磁性体同志の吸着力に対して、前記固定支軸や支持筒と前記筒状基端部の接合部分に該吸着力を超える荷重が加わると、前記キー本体は、前記磁性体同志が離れることにより傾倒することを特徴とする携帯型キー。
【請求項5】
請求項4の携帯型キーに於いて、支持筒は、筒状基端部の一端面と対向するフランジ部分と、該フランジ部分に連設すると共に前記筒状基端部に嵌挿する操作ボタン用案内筒部分とから成り、磁性体は前記支持筒と前記キー本体が一緒に共働するように前記フランジ部分の内面と、この内面に対面する前記筒状基端部の一端面に設けられていることを特徴とする携帯型キー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の扉の錠前の施・解錠に使用することができる携帯型キーに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、携帯型キーに関するものである。この種の携帯型キーは、合成樹脂材で成形された扁平状のキーヘッドと、このキーヘッドに一体的に取付けられた金属製のキーブレードとから成る。そして、使用時、前記キーブレードは、キーヘッドの側壁部に形成された凹所状収納部から引き出され、或いは付勢バネを含む飛び出し機構によって、凹所状収納部から飛び出し、使用位置まで突出する。
【0003】
なお、上記キーブレードは、キーケースの収納部から使用位置までそのままスライドさせて引き出す構造のものがある。いずれにしても、キーブレードは、錠前の鍵穴に差し込む使用時に、キーヘッドの先端部の先端面と直交するように、コンパクト型キーヘッドの長手方向に突出し、この突出した位置を「中立位置(使用位置)」とする。
【0004】
しかしながら、特許文献1のメカニカルキーは、日常的に使用するメカニカルキーではないので、例えば建具の玄関ドアに設けられた錠前用の鍵穴に使用するには不向きであった。
【0005】
何故ならば、これら公知のメカニカルキーは、使用時は、把手を介してキーブレードに過度の荷重がかかった場合に、荷重を逃がす工夫が施されていないからである。
建具としてのドア用錠前は、色々にものが存在するが、中には、機械的にも電気的にも解錠可能な「電気錠」が存在する。そして、電気錠も種々の型式のものが存在するが、メカニカルキーで電気錠を解錠する際、デッドボルトを押し戻すバネ部材のバネ力が常に作用しているものもある。
【0006】
付言すると、携帯型キーが、もっぱら車両のエンジンを切り換えるために使用されるのであれば問題はないが、これと比較してデッドボルトを施錠方向に付勢するバネ力が強い建具用錠前に使用するためには、携帯型キーの「中立位置(使用位置)」を保持しながら、把手を介してキーブレードに掛かる過度の荷重を逃がしてやることが望まれる。それは、大きな操作力が把手を介してキーブレードに加わった時、例えばキーの基端部の嵌合内周面(接合面)と把手の内面に形成された筒状支軸の外周面(接合面)や、合成樹脂材に成形された把手の先端部のキーが接触する先端縁が破損し、或いは破損する恐れがあるからである。そこで、このような問題点を解決するために本発明が出現した。
【0007】
なお、特許文献乃至特許文献は、「ポップアップ式携帯キー」に関するもので、例えば特許文献には、把手を構成するベース体(下方ケース)29の先端部に割溝を有する筒状の支軸27bを形成し、該筒状支軸内にコイルバネ42と操作ボタン41を組み込むと共に、該筒状支軸にキーの基端部(ヘッド部)16の支持孔(嵌合孔)48を外嵌合し、さらに、前記支持孔48にキー飛び出し用のねじりばね50を組み込み、キーを支持する挟持部材28をカバー30側に設ける事項が記載されている(符号は特許文献のもの)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−249875
【特許文献2】特許第3886692号
【特許文献3】特表2012−501392
【特許文献4】特許第4673776号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本願発明の所期の目的は、建具用錠前のシリンダ錠の鍵穴に差し込み、解錠操作しても、把手とキー本体との接合部分(例えば把手の固定支軸や支持筒とキー本体の筒状基端部の接合部分)が破損しない携帯型キーを提供することである。付言すると、キー本体の突出時、中立位置で限界を超える荷重が加わると、キー本体が把手の中立位置から傾倒することである。第2の目的は、組み合わが容易であること、把手の先端部のスペースを有効的に活用すること、構成する部品点数を少なくすること、キー本体をシンプル化すること等の利点を得ることである。第3の目的は、操作ボタンを操作すると、キー本体が把手から外方向へ飛び出すようにし、操作性の向上を図ることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の携帯型キーは、把手と、該把手の先端部に固定支軸を介して回転可能に設けられていると共に、把手の一側壁に形成されたキー用収納部から該把手の先端面と略直交する使用位置まで回転し、かつ使用時に建具用錠前のシリンダ錠の鍵穴に差し込まれるキー本体とから成る携帯型キーに於いて、前記固定支軸にキー本体飛び出し兼操作ボタン復帰用のバネ部材を設け、上端部が前記固定支軸と同軸上に位置する前記把手の貫通孔に嵌合する前記操作ボタンを前記バネ部材に嵌合し、また、前記操作ボタンと共働する支持筒を前記キー本体の筒状基端部に嵌挿し、この筒状基端部と前記支持筒に端部がそれぞれ連結するキー本体中立位置用の保持バネ部材を前記支持筒に巻装し、前記キー本体の突出時、該キー本体は前記バネ部材のバネ力により前記把手の先端面と略直交する前記使用位置まで回転し、該把手を回して操作する時に、前記保持バネ部材の保持係数の設定トルク値に対して、前記固定支軸や支持筒と前記筒状基端部の接合部分に該設定トルク値を超える荷重が加わると、前記キー本体は、前記保持バネ部材のバネ力に抗して傾倒することを特徴とする。
【0011】
また本発明の携帯型キーは、把手と、該把手の先端部に固定支軸を介して回転可能に設けられかつ使用時に建具用錠前のシリンダ錠の鍵穴に差し込まれるキー本体とから成る携帯型キーに於いて、前記固定支軸にキー本体飛び出し兼操作ボタン復帰用のバネ部材を設け、上端部が前記固定支軸と同軸上に位置する前記把手の貫通孔に嵌合する前記操作ボタンを前記バネ部材に嵌合し、また、前記操作ボタンと共働する支持筒を前記キー本体の筒状基端部に嵌挿し、このキー本体の筒状基端部と前記支持筒に常態では極性により互い吸着する磁性体をそれぞれ固定的に設け、前記キー本体の突出時、該キー本体は前記バネ部材のバネ力により前記把手の先端面と略直交する使用位置まで回転し、該把手を回して操作する時に、前記磁性体同志の吸着力に対して、前記固定支軸や支持筒11と前記筒状基端部の接合部分に該吸着力を超える荷重が加わると、前記キー本体は、前記磁性体同志が離れることにより傾倒することを特徴とする。
【0012】
なお、ここで把手の先端面と略直交する使用位置の「略」とは、おおよその意味であり、例えば多少の、+αの回転角を加味した場合も含まれる。
【発明の効果】
【0013】
(a)請求項1及び請求項4に記載の発明は、把手の先端部に固定支軸を介して回転可能に設けられていると共に、把手の一側壁に形成されたキー用収納部から該把手の先端面と略直交する使用位置まで回転し、かつ使用時に建具用錠前のシリンダ錠の鍵穴に差し込まれるキー本体とから成る携帯型キーに於いて、前記建具用錠前のシリンダ錠の鍵穴に差し込み、解錠操作しても、把手とキー本体との接合部分が破損しない。付言すると、キー本体に掛かる過度の荷重に対して、固定軸に軸支されているキー本体を、例えば左右方向にそれぞれ傾倒させることができる。
(b)キー本体を軸支する一軸を中心にして構成部材を容易に組み合わせることができる。また一軸を中心として各部材を設けたので、把手の先端部のスペースを有効的に活用することができる。また、支持筒とキー本体の筒状基端部とを連結する手段が、保持バネ部材又は磁性体なので、構成部品を少なくすることができる。さらに、キー本体をシンプル化することができる。
(c)請求項2、請求項3及び請求項5に記載の発明は、前記(a)、(b)の効果を確実に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1乃至図15は本発明の第1実施形態を示す各説明図。図16乃至図19は本発明の第2実施形態を示す各説明図
図1】携帯型キーを構成するキー本体が使用(中立)位置まで回転した状態の斜視図。
図2】キー本体が収納位置に収まっている状態の右側面図。
図3図2に於いて、携帯型把手の先端部側から見た説明図。
図4図1の4−4線概略断面説明図(要部の拡大概略断面図も含む)。
図5図1の5−5線概略断面説明図(要部の拡大概略断面図も含む)。
図6】主要部の分解斜視図。
図7】要部(バネ部材、操作ボタン等)の斜視図。
図8】要部(操作ボタン、キー本体の筒状基端部、保持バネ部材、支持筒)の斜視図。
図9】要部(キー本体の筒状基端部、保持バネ部材、支持筒)の平面視からの分解状態の概略説明図(各部材を重ねた概略図も含む)。
図10】要部の平面視からの概略説明図(中立位置からの左右方向の揺れ状態を示す)。
図11】キー本体の収納位置の説明図。
図12】キー本体が使用位置まで回転した状態の説明図。
図13】保持力が左側に解除された説明図。
図14】保持力が右側に解除された説明図。
図15】建物の扉の錠前の施・解錠に使用する説明図。
図16】第2実施形態の図6と同様の分解斜視図。
図17図9と同様の概略説明図(各部材を重ねた概略図も含む)。
図18】吸着力が左側に解除された説明図。
図19】吸着力が右側に解除された説明図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1乃至図15を参照にして、第1実施形態の携帯型キーXを説明する。図1は携帯型キーXを構成するキー本体2が使用(中立)位置まで回転した状態の斜視図、図2はキー本体2が収納位置に収まっている状態の右側面図、図3は、図2に於いて、携帯型把手1の先端部側から見た説明図である。
【0016】
ここで図1を参照にして、各部分を簡単に説明する。1は携帯型把手(以下、「把手」という。)で、1aはその先端部、1bはその後端部である。2はキー本体で、このキー本体2は、筒状基端部3a及び該筒状基端部3aに連設形成された角型嵌合支持部分3bを有するキーホルダー3と、前記嵌合支持部分3bに差込み固定された長板状のブレード部分4とから成る。
【0017】
実施形態のキー本体2は、例えば図6で示すようにキーホルダー3と、該キーホルダー3に不番の固着具を介して固定されるブレード部分4とから成るシンプルな形態である。
キー本体2は、後述するように前記筒状基端部3aに組み込まれる支持筒11、該支持筒11及び把手1の貫通孔17に嵌合する操作ボタン6を介して固定軸5に軸支され、前記操作ボタン6と固定軸5の間にはバネ部材10が介在している。
【0018】
付言すると、5は把手1の先端部1aの偏心部位にその座板部分5aが固定された一つの固定支軸(軸受部分)、6は把手1の貫通孔17乃至キーホルダー3の筒状基端部3aに組み込まれたキャップ状の操作ボタン、7は把手1の側壁に形成されたキー用収納部である。
【0019】
ここで、本発明の主要部を説明する。携帯型キーXは、把手1と、該把手1の先端部1aの一軸としての固定支軸5を介して回転可能に設けられ、かつ使用時に建具用錠前のシリンダ錠40の鍵穴40a(図15参照)に差し込まれるキー本体2とから成る。
【0020】
しかして、前記固定支軸5にキー飛び出し兼操作ボタン復帰用のバネ部材10を設け、その上端部が前記固定支軸5と同軸上に位置する把手1の円形貫通孔17に嵌合するキャップ状の操作ボタン6を前記バネ部材10に嵌合し、また、前記操作ボタン6と共働する支持筒11をキー本体2の筒状基端部3aに嵌挿し、このキー本体2の筒状基端部3aと支持筒11に両端部がそれぞれ連結するキー本体中立位置用の保持バネ部材9を支持筒11に巻装し、キー本体2の突出時、該キー本体2は前記バネ部材10のバネ力により前記把手1の先端面1aと略直交する使用位置まで回転し、該把手1を回して操作する時に、前記保持バネ部材9の保持係数の設定トルク値に対して、前記固定支軸5や支持筒11と前記筒状基端部3aの接合部分に該設定トルク値を超える荷重が加わると、前記キー本体2は、前記保持バネ部材9のバネ力に抗して左右いずれかの方向に傾倒する。
【0021】
図4乃至図9は本発明の主要部を示す各概略説明であるが、特に、図8は操作ボタン6、キー本体2の筒状基端部3a、保持バネ部材9、支持筒11の要部を示す斜視図である。また図4及び図5はそれぞれ要部の拡大概略断面図を含んでいる。
【0022】
例えば図6図7を参照にすると、固定支軸5は、把手1のベース体12の上面に固定された座板部分5aと、該座板部分5aの中心部に位置する短柱状軸部分5bとから成り、前記座板部分5aの前記短柱状軸部分5bの同心円上には小突起状ストッパー5cが設けられている。前記小突起状ストッパー5cは、バネ部材10のバネ力により把手1の先端面1aと略直交する使用位置まで回転したキー本体2を中立位置で確実に停止させるためのものである。また前記バネ部材10は「ねじりばね」が採用され、図4及び図5で示すようにその下端部側が短柱状軸部分5bに巻装され、下端部寄りの部位から上端部側がキャップ状の操作ボタン6に内装されている。
【0023】
ところで、この種の携帯型キーは、普通一般に、鍵(キー本体)が、固定支軸(形態を問わず軸受部分)を介して把手(ケース)の側壁の凹所状収納部から回転して把手の先端面と直交する位置まで付勢手段の付勢力により飛び出し、鍵の基端部或いは把手の先端部及び支軸に形成されたオス・メスの係止手段によって左右に振れないように係止されている(例えば特開昭63−110377号の図1、特表2012−501392号の図1)。
【0024】
そこで、本実施形態でも、前述したように、一軸としての固定軸5にバネ部材10の一例としてのねじりばねを配設し、このねじりばね10は、操作ボタンを初期位置に復帰させる機能とキー本体2を把手1のキー収納部7から飛び出させる機能の両方を兼用し、その上端部は操作ボタン6の係止溝6aに係止され、下端部はベース12の固定支軸5或いはストッパー5cに適宜に挿入固定されている。
【0025】
したがって、使用時、操作ボタン6をねじりばね10のバネ力に抗してベース体12の方向に押し込むと、把手1の蓋体13の被係止部分17aから係合状態を解かれた該操作ボタン6は、前記ねじりばね10のバネ力により外方向へ回転し、それと同時に支持筒11及び保持バネ部材9を介してキーホルダー3も一緒に共働回転する(キー本体2が自動的に飛び出す)。
【0026】
このようにキー本体(鍵)2が飛び出す携帯型キーXは、「ポップアップ式キー」とも称されている。実施形態の操作ボタン6は、内部の係止部分6a、外部の縦方向の係合部分6b、突起状の当り部分6c等を有し、複数の機能を発揮する。
【0027】
付言すると、この種の携帯型キーは、普通一般に、筒状支軸或いは鍵の基端部に形成した軸受リングに嵌め込んで、キャップ状の操作ボタンを軸方向に押し込むと(例えば特開昭63−110377号)、鍵側の係止部分から操作ボタン側の係合突起が外れ、その結果、筒状支軸等に組み込まれた圧縮バネの復帰力により、鍵がケースの収納部から飛び出す構造となっているが、本実施形態も、図4図5図6図7等で示すように、固定支軸5と操作ボタン6に操作ボタン兼用キー用のバネ部材10が設けられている。
【0028】
したがって、該操作ボタン6をバネ部材10のバネ力に抗して押し込むと、操作ボタン6の外の係合部分6bが蓋体13の被係合部分17aから外れるので、それ以後、ねじりバネ力によって、キー本体2は把手1の凹所状収納部7から飛び出す。
次に、本実施形態では、バネ部材(ねじりばね)10の他に「もう一つのバネ部材」を一軸としての固定軸5に対して支持筒11を介して配設している。それはキー本体4を常に中立位置に保持する保持バネ部材9である。
【0029】
この保持バネ部材9は、支持筒11とキー本体2の筒状基端部3aとを連結する機能を有する。すなわち、例えば図8で示すように、支持筒11は、筒状基端部3aの一端面と対向するフランジ部分11aと、該フランジ部分11aに連設すると共に前記筒状基端部3aに嵌挿する操作ボタン用案内筒部分11bとから成り、キー本体中立位置用の保持バネ部材9は、支持筒11とキー本体2が一緒に共働するようにその一端部(下端部)9aは前記筒状基端部の一端面に取付けられ、一方、他端部(上端部)9bは前記フランジ部分に取付けられている。
【0030】
しかして、キー本体4の突出時、該キー本体4は、バネ部材10のバネ力により、固定支持5を中心にして操作ボタン6及び支持筒11と共にキー収納部7から使用位置まで飛び出すように回転する。そして、実施形態では、キー本体4が使用位置まで回転した時、該操作ボタン6及び支持筒11は、前記ストッパー5cによって直接或いは間接的にそれ以上の回転が阻止される。
【0031】
そこで、キー本体4を鍵穴40aに差込んで、該把手1を回す操作時に、保持バネ部材9の保持係数の設定トルク値に対して、固定支軸5或いは支持筒11とキーホルダー3の接合部分に該設定トルク値を超える荷重が加わると、キー本体4は保持バネ部材9のバネ力に抗して左右いずれかの方向に傾倒する(図10乃至図14参照)。
【0032】
ここで、図11乃至図14を参照にして、さらに本発明の主要部に関連する事項について説明する。図11はキー本体2の収納位置の説明図である。キー本体2が把手1のキー収納部7に収納されると、例えば操作ボタン6の外周面に縦方向に突設された単数又は複数の係合部分6bと蓋体13の円形貫通孔17の周壁に形成された被係合部分(例えば拘束溝)17aとの係合構造により、キー本体2は自由に飛び出ないように凹所状収納部7にセットされる。
【0033】
ここでは、説明の便宜上、図11を正面図とするが、この図11に於いて、キー本体2は、全てベース体12内に位置する。図面右側に見えるのが固定支軸5である。これに対して、図12はキー本体2が使用位置まで回転した状態の説明図である。また、図10は要部の平面視からの概略説明図で、中立位置から左右方向のいずれかに揺れた状態を示す。これらの図から明らかなように、キー本体4の突出時、該キー本体4は把手1の先端面と直交する使用位置まで回転し、該把手1を回す操作時に、保持バネ部材9の保持係数の設定トルク値に対して、例えば固定支軸5とキー本体4の接合部分に該設定トルク値を超える荷重が加わると、キー本体4は保持バネ部材9のバネ力に抗して左右いずれかの方向に傾倒する。このように、本実施形態では、キー本体2は中立位置から左右いずれの方向へ傾倒しても、一つの保持バネ部材9のバネ力によって中立位置へと戻る。
【0034】
図15で示すように、本実施形態の携帯型キーXは、主に、建具としてのドア38の自由端部38aに設けられた錠前39のシリンダ錠40の鍵穴40aにメカニカルキーとしてのブレード部分4を差し込む際に使用される。その際、大きな操作力が把手1を介してキー本体2に加わった時、キーの基端部、本実施形態では、キーホルダー3の筒状基端部3aの嵌合内周面(接合面)や支持筒11と把手1の固定支軸5の外周面(接合面)や、合成樹脂材で成形された把手1の先端部1aのキーホルダー3の筒状基端部3aの外面が接触する先端縁が破損し、或いは破損する恐れがある。そこで、このような問題点を解決するために本発明が出現した。
【0035】
その他の事項を説明する。例えば図6で示すように、把手1は、例えばベース体(下ケース)12と、図示しない固定手段(例えば単数又は複数個の固着具)を介して該ベース体12に重なるように合体する蓋体(上ケース)13とから成る。把手1は、単なる扁平型基盤であっても良く、又はドア38側の錠前39の錠制御装置に対する電子認証用の交換手段を含む電子回路(トランスポーター)を内蔵した扁平状のケースであっても良い。
【0036】
本実施形態では、図示しないトランスポータを内蔵するために、ベース体12の内面に形成された突壁状周壁12aで囲まれた凹所14に電子回路が収納される。そのために、固定支軸5をベース体12の先端部内面の偏心位置に突出形成している。
【0037】
付言すると、前記固定支軸5は、把手1(ベース体12)の中心を通る中心線に対して偏心する右側の位置に設けられている。また5cは、前述したように把手1の固定支軸5の直ぐ近傍に設けられ、かつバネ部材10の端部を固定するバネ端支持部或いはストッパー部である。このバネ端支持部5cは、図6で示す操作ボタン6の下端部に水平方向に突設した小突起状の当り部分6cを受け止めることが可能である。ベース体12のその余の細部の説明は省略する。
【0038】
小判形状の蓋体(上ケース)13の先端部には、操作ボタン6用の円形貫通孔17が形成され、該円形貫通孔17は固定支軸5と同軸上に形成されている。また図6にはキー本体2の分解状態が示されている。本実施形態のキー本体2は、把手1に対して、交換可能な鍵部品である。キー本体2は、組合せの際、ベース体12の固定支軸5の円形座板部分5aに、その筒状基端部3aの嵌合孔25の下端部を外嵌合する。キー本体2を固定支軸5に装着すると、キー本体2は固定支軸5を中心として軸周りに回転可能と成る。キー本体2の筒状基端部3aは保持バネ部材10を介して支持筒11に連結されているが、保持バネ部材10は一例であって、任意に設計変更することができる。支持筒11は内周壁に不番の縦係合溝が形成され、該縦係合溝に操作ボタン6の縦係合部分6bが係合する。したがって、支持筒11は操作ボタン6と共働する。
【実施例】
【0039】
本実施形態は、特許文献乃至特許文献に記載の如く「ポップアップ式携帯キー」であるが、本実施形態も、望ましくは、ポップアップ式携帯キーである。また、ドア38側の錠前39の錠制御装置に対する電子認証用の交換手段を含む電子回路(トランスポーター)を内蔵するか否かを問わず適用することができる。
【0040】
次に図16乃至図19を参照にして、第2実施形態を説明する。なお、第2実施形態の説明に当って、第1実施形態と同一の部分には同一又は同様の符号を付して重複する説明を割愛する。
【0041】
この第2実施形態に於いて、前記第1実施形態と主に異なる点は、保持バネ部材9に代えて磁性体を用いたことである。
【0042】
すなわち、支持筒11は、筒状基端部3aの一端面と対向するフランジ部分11aと、該フランジ部分に連設すると共に前記筒状基端部3aに嵌挿する操作ボタン用案内筒部分11bとから成る点は同一であるが、この第2実施形態では、吸着力を超える荷重が加わらない常態では支持筒とキー本体が一緒に共働するようにフランジ部分11aの内面に第1磁性体50を固定的に設け、一方、前記第1磁性体50の極性に対応して吸着する第2磁性体51を前記内面に対面する前記筒状基端部3aの一端面に固定的に設けている。
【0043】
したがって、この第2実施形態は、キー本体2の突出時、該キー本体2はバネ部材10のバネ力により把手1の先端面1aと略直交する使用位置まで回転し、該把手1を回して操作する時に、磁性体同志50、51の吸着力に対して、固定支軸5や支持筒11とキー本体2の筒状基端部3aの接合部分に該吸着力を超える荷重が加わると、キー本体2は、前記磁性体同志50、51が離れることにより傾倒する。このように構成しても、本発明の所期の目的を達成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、建物の扉の錠前を施・解錠する際に使用することができる。
【符号の説明】
【0045】
X…携帯型キー本体、…携帯型把手、1a先端部、2…キー本体、3…キーホルダー、3a…筒状基端部、3b…角型嵌合支持部分、4…ブレード部分、5…固定支軸、6…操作ボタン、9…保持バネ部材、10…バネ部材、11…支持筒、12…ベース体、13…蓋体、40a…鍵穴、50、51…磁性体。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19