(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、高精度でパッシブ設計の省エネルギー効果を評価できると同時に、実際の建物の実態に沿っており、利用価値の高い指標値を算出可能な日射効果指標値算出システム及びその算出方法を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、窓の大きさや方位も考慮に入れ、建物の設計段階で窓の配置の検討に用いることができる指標値を算出可能な日射効果指標値算出システム及びその算出方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題は、請求項1に係る発明によれば、建物の日射効果を示す日射効果指標値を、コンピュータにより算出する日射効果指標値算出システムであって、前記コンピュータ又は該コンピュータと情報送受信可能に接続されたサーバは、前記建物の建設地域を特定する地域特定情報と、該地域特定情報で特定される前記建設地域の気候が日射効果に及ぼす影響を数値化した地域得点とを、紐付けて格納する地域得点記憶手段を備え、前記コンピュータは、前記建物の複数の方位の日射量を合計して、複数方位日射量を得る複数方位日射量算出手段と、前記建物に係る前記地域特定情報を受け取って、該地域特定情報をキーとして前記地域得点記憶手段を検索し、前記建物の地域特定情報に対応する前記地域得点を取得
し、該
建物の地域特定情報に対応する地域得点
を、すべての前記建設地域における前記地域得点の平均値で除することにより、地域補正係数を導出する補正係数導出手段と、前記建物の延床面積の情報を受け取り、前記建物の前記複数方位日射量を前記延床面積で除して単位面積当たりの複数方向日射量を算出し、該単位面積当たりの複数方位日射量に、前記地域補正係数を乗じることにより、日射効果得点を算出する日射効果得点算出手段と、を備えること、により解決される。
【0009】
前記課題は、請求項
6に係る発明によれば、建物の日射効果を示す日射効果指標値を、コンピュータにより算出する日射効果指標値算出方法であって、前記コンピュータは、前記建物の複数の方位の日射量を合計して、複数方位日射量を得る複数方位日射量算出手順と、前記建物に係る地域特定情報を受け取って、該地域特定情報をキーとして、前記建物の建設地域を特定する地域特定情報と、該地域特定情報で特定される前記建設地域の気候が日射効果に及ぼす影響を数値化した地域得点とを、紐付けて格納する地域得点記憶手段を検索し、前記建物の地域特定情報に対応する前記地域得点を取得し
、該
建物の地域特定情報に対応する地域得点
を、すべての前記建設地域における前記地域得点の平均値で除することにより、地域補正係数を導出する補正係数導出手順と、前記建物の延床面積の情報を受け取り、前記建物の前記複数方位日射量を前記延床面積で除して単位面積当たりの複数方向日射量を算出し、該単位面積当たりの複数方位日射量に、前記地域補正係数を乗じることにより、日射効果得点を算出する日射効果得点算出手順と、を実行すること、により解決される。
【0010】
本発明者らの鋭意研究により、建設地域の気候が日射効果に及ぼす影響を数値化した地域得点と、冷房負荷,暖房負荷等の日射効果の指標値の間には、高い相関があることが見いだされたものであり、前記建物の前記複数方位日射量を前記延床面積で除して単位面積当たりの複数方向日射量を算出し、該単位面積当たりの複数方位日射量に、前記地域補正係数を乗じることにより、日射効果得点を算出する日射効果得点算出手段を備えることにより、実際の建物の実態に近い日射効果の指標値を算出することが可能となる。その結果、実際の建物の実態に沿った利用価値の高いシステムを構築できる。
また、複数方位日射量を考慮した値となるため、方位ごとの窓等の開口部の大きさ,形状,数等が、日射効果得点に影響を及ぼすこととなり、実用的な日射効果指標値を得ることが可能となる。
更に、本発明者らの鋭意研究により、該当する建設地域における地域得点を全建設地域における地域得点の平均値で除した地域補正係数と、冷房負荷,暖房負荷等の日射効果の指標値の間には、高い相関があることが見いだされたものであり、地域得点を全建設地域における地域得点の平均値で除した地域補正係数を用いることにより、より実際の建物の実態に近い日射効果の指標値を算出することが可能となる。
【0011】
また、前記課題は、請求項2に係る発明によれば、建物の日射効果を示す日射効果指標値を、コンピュータにより算出する日射効果指標値算出システムであって、前記コンピュータ又は該コンピュータと情報送受信可能に接続されたサーバは、前記建物の建設地域を特定する地域特定情報と、該地域特定情報で特定される前記建設地域の気候が日射効果に及ぼす影響を数値化した地域得点とを、紐付けて格納する地域得点記憶手段を備え、該地域得点記憶手段には、前記地域特定情報に、該地域特定情報で特定される前記建設地域の気候が暖房期の日射効果に及ぼす影響を数値化した暖房地域得点と、前記建
設地域の気候が冷房期の日射効果に及ぼす影響を数値化した冷房地域得点とが、紐付けて格納されており、
前記コンピュータは、前記建物の複数の方位の日射量を合計して、複数方位日射量を得る複数方位日射量算出手段と、前記建物に係る前記地域特定情報を受け取って、該地域特定情報をキーとして前記地域得点記憶手段を検索し、前記建物の地域特定情報に対応する前記地域得点を取得して、該地域得点から地域補正係数を導出する補正係数導出手段と、前記建物の延床面積の情報を受け取り、前記建物の前記複数方位日射量を前記延床面積で除して単位面積当たりの複数方向日射量を算出し、該単位面積当たりの複数方位日射量に、前記地域補正係数を乗じることにより、日射効果得点を算出する日射効果得点算出手段と、を備え、前記補正係数導出手段は、前記暖房地域得点及び前記冷房地域得点から、暖房地域補正係数及び冷房地域補正係数をそれぞれ導出し、前記日射効果得点算出手段は、前記単位面積当たりの複数方位日射量に、前記暖房地域補正係数及び前記冷房地域補正係数をそれぞれ乗じることにより、暖房日射効果得点及び冷房日射効果得点を算出する
こと、により解決される。
このように構成されるため、建設地域の気候が日射効果に及ぼす影響を、暖冷房期双方
について考慮に入れて、日射効果の指標値を得ることが可能となり、より実態に近い日射
効果の指標値を得ることが可能となる。
【0013】
また、前記コンピュータ又は該コンピュータと情報送受信可能に接続されたサーバは、前記建物の蓄熱対策を特定する蓄熱対策特定情報と、該蓄熱対策特定情報で特定される前記蓄熱対策によるエネルギー削減効率を数値化した蓄熱効果率とを、紐付けて格納する蓄熱効果率記憶手段と、を備え、前記建物の通風対策を特定する通風対策特定情報と、該通風対策特定情報で特定される前記通風対策によるエネルギー削減効率を数値化した通風効果率とを、紐付けて格納する通風効果率記憶手段と、前記コンピュータは、前記建物に係る前記蓄熱対策特定情報及び前記通風対策特定情報を受け取って、該蓄熱対策特定情報及び通風対策特定情報をキーとして前記蓄熱効果率記憶手段及び前記通風効果率記憶手段を検索し、前記建物の前記蓄熱対策特定情報及び前記通風対策特定情報に対応する前記蓄熱効果率及び前記通風効果率を取得して、該蓄熱効果率及び通風効果率から蓄熱効果率係数及
び通風効果率係数を導出する手段と、前記暖房日射効果得点及び前記冷房日射
効果得点のそれぞれに、蓄熱効果率係数及び前記通風効果率係数を掛けることにより、暖房負荷及び冷房負荷をそれぞれ算出する暖房負荷及び冷房負荷算出手段と、を備えると好適である。
このように構成しているため、建物に施された蓄熱対策や通風対策によるエネルギー削減効果も加味することが可能となり、より実態に近い暖房負荷、冷房負荷を得ることが可能となる。
【0014】
また、
前記課題は、請求項5に係る発明によれば、建物の日射効果を示す日射効果指標値を、コンピュータにより算出する日射効果指標値算出システムであって、前記コンピュータ又は該コンピュータと情報送受信可能に接続されたサーバは、
前記建物の建設地域を特定する地域特定情報と、該地域特定情報で特定される前記建設地域の気候が日射効果に及ぼす影響を数値化した地域得点とを、紐付けて格納する地域得点記憶手段と、前記建物の建設地域を特定する地域特定情報と、該地域特定情報で特定される前記建設地域の基準方位における単位面積当たりの単位日射量とを、紐付けて格納する基準方位単位日射量記憶手段と、所定方位の面の単位日射量の、前記基準方位における単位日射量に対する比率を示す方位係数を、前記建物の主方位を特定する主方位特定情報ごと及び前記所定方位ごとに格納する方位係数記憶手段と、前記建物と該建物の隣棟との間隔を特定する隣棟間隔特定情報と、該隣棟間隔特定情報で特定された前記間隔による影響を数値化した隣棟影響係数とを、紐付けて格納する隣棟影響係数記憶手段と、を備え、前記コンピュータは、
前記建物の複数の方位の日射量を合計して、複数方位日射量を得る複数方位日射量算出手段と、前記建物に係る前記地域特定情報を受け取って、該地域特定情報をキーとして前記地域得点記憶手段を検索し、前記建物の地域特定情報に対応する前記地域得点を取得して、該地域得点から地域補正係数を導出する補正係数導出手段と、前記建物の延床面積の情報を受け取り、前記建物の前記複数方位日射量を前記延床面積で除して単位面積当たりの複数方向日射量を算出し、該単位面積当たりの複数方位日射量に、前記地域補正係数を乗じることにより、日射効果得点を算出する日射効果得点算出手段と、前記建物の所定方位の日射量の算出手段を備え、該所定方位の日射量の算出手段は、前記建物に係る前記地域特定情報を受け取って、該地域特定情報をキーとして前記基準方位単位日射量記憶手段を検索し、前記建物の地域特定情報に対応する基準方位の単位日射量を取得する手段と、前記建物の前記主方位特定情報を受け取って、該主方位特定情報及び所定方位をキーとして前記方位係数記憶手段を検索し、前記建物の前記主方位特定情報及び前記所定方位に対応する前記方位係数を取得する手段と、前記建物の前記隣棟間隔特定情報を受け取って、該隣棟間隔特定情報をキーとして前記隣棟影響係数記憶手段を検索し、前記建物の隣棟間隔特定情報に対応する前記隣棟影響係数を取得する手段と、を、備え、取得した前記基準方位の単位日射量と、取得した前記方位係数と、取得した前記隣棟影響係数と、を乗ずることにより、前記建物の所定方位の日射量を算出する
こと、により解決される。
基準方位単位日射量記憶手段と、方位係数記憶手段と、隣棟影響係数記憶手段とを備え、取得した基準方位の単位日射量と、取得した方位係数と、取得した隣棟影響係数と、を乗ずることにより、建物の所定方位の日射量を算出するため、建物の建設地域と、建物の主方位と、隣棟間隔との入力により、簡単に、精度の高い日射量の算出が可能となる。
【0015】
また、前記コンピュータ又は該コンピュータと情報送受信可能に接続されたサーバは、前記建物の開口率面積比率から、前記建物のQ値(熱損失係数)の近似値である疑似Q値を算出するための疑似Q値換算手段と、前記建物の標準プランのQ値を格納する標準Q値記憶手段と、を更に備え、前記コンピュータは、前記建物の全方位の開口面積と延床面積の情報を受け取り、前記開口面積の合計を前記延床面積で除して前記開口率面積比率を算出する開口率面積比率算出手段と、前記疑似Q値換算手段に、前記算出した開口率面積比率を適用することにより、前記建物の前記疑似Q値を導出する疑似Q値導出手段と、前記標準Q値記憶手段から、前記標準プランのQ値を取得し、該標準プランのQ値で、導出した前記疑似Q値を除することにより、断熱補正係数を算出する手段と、前記暖房負荷と前記冷房負荷を加算して暖冷房負荷を算出し、該暖冷房負荷に、前記断熱補正係数を乗ずることにより、修正暖冷房負荷を算出する手段と、を備えると好適である。
本発明者らの鋭意研究により、建物の開口率面積比率と、Q値(熱損失係数)との間には、高い相関があることが見出されたため、建物の開口率面積比率から、建物のQ値(熱損失係数)の近似値である疑似Q値を算出するための疑似Q値換算手段を用いることにより、より実態に即した日射効果の指標値を、簡単に算出可能となる。
【発明の効果】
【0016】
本発明者らの鋭意研究により、建設地域の気候が日射効果に及ぼす影響を数値化した地域得点と、冷房負荷,暖房負荷等の日射効果の指標値の間には、高い相関があることが見いだされたものであり、建物の複数方位日射量を延床面積で除して単位面積当たりの複数方向日射量を算出し、単位面積当たりの複数方位日射量に、地域補正係数を乗じることにより、日射効果得点を算出する日射効果得点算出手段を備えることにより、実際の建物の実態に近い日射効果の指標値を算出することが可能となる。その結果、実際の建物の実態に沿った利用価値の高いシステムを構築できる。
また、複数方位日射量を考慮した値となるため、方位ごとの窓等の開口部の構成が、日射効果得点に影響を及ぼすこととなり、実用的な日射効果指標値を得ることが可能となる。
建物の日射効果に影響を及ぼす建物の立地を加味して、日射効果指標値を算出しているため、実際の建物の実態に沿った利用価値の高いシステムを構築できる。
また、窓の大きさなどを変更して建物を設計したときの日射効果の比較が可能となり、パッシブ設計による省エネルギー効果の正当な評価が可能となる。
【0017】
主方位が南向きかそれ以外か、及び隣棟と接近して建てられているかによって、建物の受ける日射取得は大きく影響されるが、本発明では、建物の立地のほか、建物の主方位及び隣棟との間隔も加味して、日射効果指標値を算出しているため、実際の建物の実態に沿った利用価値の高いシステムを構築できる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について、図を参照して説明する。なお、以下に説明する構成は、本発明を限定するものではなく、本発明の趣旨に沿って各種改変することができることは勿論である。
本実施形態のパッシブ値算出システムSは、建物の暖冷房負荷とQ値(熱損失係数)から建物の熱負荷を算出するシステムである。
算出される熱負荷の値は、パッシブ設計による省エネルギー効果を表す指標であるパッシブ値として用いられる。
パッシブ値算出システムSでは、建物の窓の大きさや形状等のデータを用いて、建物の日射効果を示す日射効果指標値を算出することも可能であり、本発明の日射効果指標値算出システムに該当する。
【0020】
ここで、パッシブ値(P値)とは、日射や風などに配慮したパッシブ設計に対して今まで見えなかった省エネ効果を数値化したものであり、熱負荷の値からなる。建物の建設地や周辺状況もできるだけ再現した上で、建物のパッシブ性能を評価できるものである。
パッシブ設計とは、自然をすべて遮断するのではなく、太陽の光や風を時期に応じて上手く取り入れることができるように建物を設計する手法をいう。同じ断熱性能の建物でも、パッシブ設計の有無で省エネ性は異なり、例えば、同じQ値の建物でも窓の設計の仕方で暖冷房に使用するエネルギーを削減することができる。
【0021】
パッシブ設計の例としては、通風の促進,夏の日射の遮断,冬の日射の積極的な取り入れが挙げられる。
通風の促進により、通風を取り入れることで体感温度を下げることができ、冷房エネルギーを削減できる。通風をできるだけ促進するため、2方向開口をはじめ縦の風の流れなども配慮する。
夏の日射の遮断により、軒・庇や遮熱スクリーンなどを用いて、上手く日射を遮ることで、夏期における建物内の暑さを緩和する。
冬の日射の積極的な取り入れの方法として、一般的に普及している日射を遮るガラスではなく、できるだけ日射を取り入れるガラスを用いたり、窓の配置設計を工夫したりすることができる。
具体的には、南面に大きな窓等の開口を設ける,蓄熱床を採用する,天井にトップライト(天窓)を設ける,インテリアウインドや遮熱スクリーンを設ける等の方法がある。
【0022】
本明細書中で「建物」とは、戸建住宅や、マンション,アパート,フラット,企業や国・自治体等が所有する社宅,住宅等の共同住宅等を含む。
本明細書中で「コンピュータ」とは、演算装置を備えた情報端末すべてを含む意味である。例えば、スーパーコンピュータ、汎用コンピュータ、オフィスコンピュータ、制御用コンピュータ、ワークステーション、パソコンのほか、携帯情報端末、PDA(Personal Digital Assistant)、演算装置を備えた携帯電話、ウェアラブルコンピュータ、電子ペーパー等をも含む。
本パッシブ値算出システム(以下、本システムSとする)Sは、住宅メーカーの設計又は営業担当者が、供給する住宅のパッシブ設計による省エネルギー効果を確認するためや、住宅を供給する顧客に、その戸建住宅のパッシブ設計による省エネルギー効果を説明したり、住宅の設計について相談したりするために用いられる。
但し、これに限定されるものではなく、本システムSは、建物の建築会社,設計事務所,マンションのディベロッパー等の建物の建築主により用いられてもよい。
【0023】
図1に示すように、本システムSは、住宅メーカー1の本部のシステム管理部門10,各営業所20,設計部門30との間で構築されている。
本実施形態のサーバコンピュータ11(以下、サーバ11とする)は、システム管理部門10に設置され、本システムSを統括する機能を果たす。サーバ11には、建物の熱負荷を算出するパッシブ値算出プログラムがインストールされている。各営業所20には、営業担当者が使用する端末コンピュータ21(以下、端末21とする)がそれぞれ設置され、端末21から、パスワードによる認証を受けることにより、インターネットNを介してサーバ11に接続して、パッシブ値算出プログラムを使用して、熱負荷を算出可能となっている。
なお、本実施形態ではパッシブ値算出プログラムが、システム管理部門10のサーバ11にインストールされているが、各営業所20の端末21に格納しておき、端末21のみでパッシブ値算出プログラムによるパッシブ値算出可能としてもよい。
【0024】
サーバ11のハード構成を
図2に示す。
サーバ11は、データの演算・制御処理装置としてのCPU61,記憶装置であるRAM62,ROM63,HDD64及び記憶媒体装置65を備えている。
CPU61は、ROM63又はHDD64に記憶されているプログラムにしたがって各種の処理を実行するようになされている。
RAM62には、CPU61が各種の処理を実行する上において必要なデータなどが適宜記憶される。
【0025】
入力装置であるキーボード67とマウス68は、CPU61に所定の指令を入力するとき適宜操作される。
さらに表示装置69,プリンタ70には、所定の書式で表示される情報,画像等が出力表示される。
【0026】
記憶媒体装置65は、外付けハードディスク,光磁気ディスク,CD−R,DVD,メモリスティックなどにより構成され、インターネットNを介して送信されてきたデータを適宜記憶し、またこれを読み出すことができるようになされている。
【0027】
通信装置66は、インターネットNに対してデータを送信し、またインターネットNを介して供給されたデータを受信するようになされている。
【0028】
HDD64には、施主からの依頼により建築する各住宅に関する情報を格納する住宅物件データベースが格納されている。
住宅物件データベースは、各住宅に関する情報が登録された住宅物件テーブルと、設計図や現場写真の画像データ等が格納された画像フォルダと、を備えており、画像フォルダ内の画像ファイルは、住宅物件テーブルに格納された画像ファイル名とリンクしている。
住宅物件テーブルには、住宅ごとのレコードが登録されており、項目として、施主名,建設場所,設計図の画像ファイル名,通風や日射遮蔽及び蓄熱を促進するアイテムの種類とその設置階層,本システムで算出された暖冷房負荷削減率Pr,P値等を備えている。
【0029】
また、HDD64には、P値算出に用いられる各テーブルが格納されている。具体的には、方位係数テーブル,隣棟影響係数テーブル,都道府県別南面単位日射量テーブル,窓サイズ換算テーブル,窓ガラス種類係数テーブル,日射遮蔽物係数テーブル,窓付属物係数テーブル,冷房用デグリーデーテーブル,暖房用デグリーデーテーブル,通風による削減率テーブル,蓄熱による削減率テーブル,基準暖冷房負荷テーブルが、格納されている。
方位係数テーブルは、基準方位となる南面の日射侵入量を、ある方位を主方位とする建物の東西南北の各面の日射侵入量に換算するための方位係数を格納するテーブルであって、建物の主方位ごと、かつ、東西南北等の面ごとの方位係数が格納されている。つまり、方位係数は、建物の主方位及びその面がどの方向であるかが、日射侵入量に及ぼす影響を、主方位ごと及び面ごとに係数化したものである。方位係数テーブルは、項目として、主方位の選択肢と、東西南北等の面と、方位係数と、を備えている。
隣棟影響係数テーブルは、所定高さ以上の隣棟との間隔が日射侵入量に及ぼす影響を係数化した隣棟影響係数を、隣棟との間隔の値から取得するためのテーブルであって、項目として、隣棟間隔の選択肢と、隣棟影響係数と、を備えている。
【0030】
都道府県別南面単位日射量テーブルは、建物の立地が日射侵入量に及ぼす影響を数値化した南面単位日射量を、建物の立地,具体的には、その建物が属する都道府県から取得するテーブルである。南面単位日射量は、各都道府県の建物の南面の単位面積当たりの日射量である。本システムSでは、建設される建物には、住宅メーカー1の担当の営業所がそれぞれ割り振られることから、建物の立地は、その建物を担当する営業所名によって識別してもよい。
都道府県別南面単位日射量テーブルは、項目として、都道府県を識別する名称又は識別番号等と、南面単位日射量と、を備えている。
窓サイズ換算テーブルは、1P,2P,3P等の窓サイズと、腰高窓,掃き出し窓等の窓形状との組合せから、この窓の面積を取得するためのテーブルであって、項目として、窓サイズ(1P,2P,3P)と、窓形状(腰高窓,掃き出し窓)と、窓の面積と、を備えている。
【0031】
窓ガラス種類係数テーブルは、高断熱複層ガラス,遮熱複層ガラス等の窓ガラス種類から、その窓ガラス種類に対応する得点を取得するためのテーブルであって、項目として、窓ガラス種類(高断熱複層ガラス,遮熱複層ガラス等)と、窓ガラス種類に対応する得点と、を備えている。
日射遮蔽物係数テーブルは、軒,バルコニー等の日射遮蔽物から、その日射遮蔽物種類に対応する得点を取得するためのテーブルであって、項目として、日射遮蔽物種類(軒,バルコニー等)と、日射遮蔽物種類に対応する得点と、を備えている。
窓付属物係数テーブルは、シャッター,遮熱スクリーン,なし等の窓付属物から、その窓付属物に対応する得点を取得するためのテーブルであって、項目として、窓付属物(シャッター,遮熱スクリーン,なし等)と、窓付属物に対応する得点と、を備えている。
【0032】
冷房用デグリーデーテーブル,暖房用デグリーデーテーブルは、地域の暑い・寒いによってもエネルギー削減影響が異なるため、建物が設置される都道府県ごとのデグリーデーを用いて日射侵入量を補正するために用いられる。
デグリーデーとは、公知の指標であって、本実施形態では、冷房用デグリーデー及び暖房用デグリーデーは、それぞれ、冷房期及び暖房期におけるデグリーデーを用いる。冷房期及び暖房期におけるデグリーデーは、1日のうちの平均の室内温度と外気温度の差を示す1日のデグリーデーを、冷房期又は暖房期において合計したものをいう。デグリーデーは、特許請求の範囲の地域得点に対応する。
冷房用デグリーデーテーブルは冷房のデグリーデー、暖房用デグリーデーテーブルは暖房のデグリーデーを格納するものであり、別箇のテーブルとして設けられているが、一つのテーブルに、冷房用の値及び暖房用の値を格納してもよい。冷房用デグリーデーテーブル,暖房用デグリーデーテーブルは、それぞれ、項目として、都道府県を識別する名称又は識別番号等と、デグリーデーと、デグリーデーの全地域の平均値と、を備えている。
【0033】
通風による削減率テーブルは、特許請求の範囲の通風効果率記憶手段に対応し、全居室,一部分,特になし等、建物の通風を促進する2方向開口への配慮に関する事項の選択肢から、その配慮事項の選択肢に対応するエネルギー消費削減率を取得するためのテーブルであって、項目として、通風への配慮事項(全居室,一部分,特になし等)(特許請求の範囲の通風対策特定情報)と、配慮事項に対応する削減率(特許請求の範囲の通風効果率)と、を備えている。
蓄熱による削減率テーブルは、特許請求の範囲の蓄熱効果率記憶手段に対応し、全居室,一部分,特になし等、蓄熱構造に関する事項の選択肢から、その蓄熱構造に関する事項の選択肢に対応するエネルギー消費削減率を取得するためのテーブルであって、項目として、蓄熱床等の蓄熱構造の有無及び範囲などの事項(全居室,一部分,特になし等)(特許請求の範囲の蓄熱対策特定情報)と、その事項に対応する削減率(特許請求の範囲の蓄熱効果率)と、を備えている。
【0034】
基準暖冷房負荷テーブルは、建物の各建設地域での標準モデルを想定し、所定の建設地域における標準モデルの暖冷房負荷を算出して、予めテーブルに格納したものであり、標準モデルの基準暖冷房負荷を、建物の建設地域を示す情報から取得するテーブルである。
基準暖冷房負荷テーブルは、項目として、都道府県名と、その都道府県の標準モデルの基準暖冷房負荷と、を備えている。
【0035】
また、HDD64には、疑似Q値算出式と、標準プランにおけるQ値Qoが格納されている。
疑似Q値算出式及び標準プランにおけるQ値Qoは、暖冷房負荷Mを補正する断熱補正係数Tを求めるために用いられるものである。建物の窓面積を大きく変化させると、Q値は大きく変化するため、建物の窓面積に応じて補正することとしたものである。疑似Q値算出式は、
図8のグラフより、実験結果から作成されたものである。
端末21のハード構成については、サーバ11と同様であるため、説明は省略する。
【0036】
次に、パッシブ値算出の考え方について、
図3〜
図5に基づき説明する。
図3〜
図5は、パッシブ値算定の基礎となる修正暖冷房負荷の概略フローであって、
図3は、冷房負荷と暖房負荷からなる暖冷房負荷に、断熱効果を加味することにより、パッシブ値の算出に用いられる修正暖冷房負荷が算出されることを示す修正暖冷房負荷の算出フローであり、
図4が、冷房負荷の算出フロー、
図5が、暖房負荷の算出フローである。
パッシブ設計は、イメージとしては理解できるものの、断熱性能のように数値化されておらず、その効果が見えにくいため、普及しにくい性質がある。また、風、光といった自然利用は一般的なものであり、これ自体だけではインパクトに欠けると考えられる。
そこで、本明細書では、パッシブ性能を表す独自の指標として「P値(パッシブ値)」を提唱する。住宅メーカー1は、P値の積極的活用により、パッシブ性能に対する姿勢を対外的にアピールできると共に、実邸における年間を通じたパッシブ設計を評価出来るツールを獲得できる。
【0037】
パッシブ値において評価する主な項目は、次のとおりである。
すなわち、冬期においては、日射熱利用(開口面積、隣棟間隔、方位、ガラス種類などに基づく日射熱取得),蓄熱を評価する。
また、夏期においては、日射遮蔽(スクリーン・すだれ、軒・庇・バルコニー等),通風を評価する。通風としては、横方向の風の流れ(2方向開口、室間通風等),縦方向の風の流れ(吹き抜け、トップライト等)を評価する。
【0038】
パッシブ値は、
図4,
図5に沿って夏期,冬期それぞれの日射侵入量を求め、この日射侵入量を冷房,暖房時それぞれのデグリーデーで補正して暖冷房負荷(暖冷房エネルギー)を算出し、この暖冷房負荷を、
図3に沿って、疑似Q値で補正することにより算出される。日射侵入量が、特許請求の範囲の日射効果指標値に該当する。
暖冷房負荷は、概略、次の通りに算出される。サーバ11のHDD64には、予め、冷房期間、暖房期間それぞれの地域別南鉛直面積算日射量,冷房期間、暖房期間それぞれの地域別デグリーデー,各種係数が格納されている。パッシブ値算出プログラムでは、夏期、冬期それぞれにおいて室内に入る日射の影響が大きいとして、隣棟・軒などを考慮した室内侵入日射量を求め、これとデグリーデーをパラメーターとした式を用いて冷房負荷,暖房負荷を算出する。
【0039】
図4に、冷房における日射侵入量の算定フローを示す。このフロー中、地域別冷房デグリーデー及び地域別冷房期間南縁直面積算日射量が、HDD64に格納される気象データ、単位日射侵入量と冷房負荷表,デグリーデー補正係数表,配置係数表,ガラス×アイテム日射侵入率表,面積補正係数表が、予め求めておいた各種係数や算定式であって、HDD64に格納されるもの、延床面積,建設地,南隣棟間隔,方位振れ,窓ごと面積,ガラス種類,窓付属物,軒・バルコニーが、ユーザによる入力項目である。
図5のフローに沿って、冬期の日射侵入量も、同様に算出する。
【0040】
算出した夏期,冬期の日射侵入量に、デグリーデーを用いて補正を行うことにより、冷房負荷,暖房負荷を算出する。
【0041】
12都市における標準プラン、またその中の代表都市において隣棟間隔、窓比率を変えた各ケースにおける夏期の日射侵入量と冷房負荷の相関を検討したところ、日射侵入量と冷房負荷との間に、相関がみられなかった。
このため、これにデグリーデーの影響を考慮することにより暖房負荷,冷房負荷を算出する。
図6に冷房デグリーデーにて補正を行った日射量と冷房負荷の相関を示す。日射量と冷房負荷はよい相関を示している。同様に
図7に暖房デグリーデーにて補正を行った日射量と暖房負荷の相関を示す。こちらもよい相関を示している。
以上により、冷房、暖房時それぞれの日射侵入量とデグリーデーを元に暖冷房負荷が求められる。
【0042】
また、冷房負荷は、
図4に示すように、日射侵入量を通風効果で補正することにより、また、暖房負荷は、
図5に示すように、日射侵入量を蓄熱効果で補正することにより、算出される。
【0043】
本システムSにおいては、通風効果について、入力された部屋別の開口を元に2方向開口の有無を判断し、その他の項目についてはそれぞれチェックボックスなどにより選択をし、各レベルへの適合を確認して通風による冷房負荷削減比率を判断する。
【0044】
次いで、
図3に沿って、暖冷房負荷を、疑似Q値から求めた断熱補正係数で補正する。
本システムSはあくまでも住宅のパッシブ性能を評価するシステムであるため、断熱性能については固定値とし、基本的には評価しない。但し、開口面積が増減した際の補正は行い、実態に合わせる必要がある。
そこで床面積及び窓データの入力から得られる、延床面積に対する開口面積の比率(開口面積比率)をもとに補正を行う。
図8に3つの代表プランにおいて開口面積比率を変化させた際のQ値との相関を示す。この結果に基づき、入力データから得られた開口面積比率を元に疑似Q値を算出する。
図9にQ値と年間暖冷房負荷の関係を示す。
この関係に基づき、上記で求めた疑似Q値と標準プランにおけるQ値それぞれにおける暖冷房負荷を求め、その比率を「断熱補正係数」として、これまでに得られた暖冷房負荷を補正し、修正暖冷房負荷を得る。
【0045】
その後、修正暖冷房負荷の値を用いて、P値を算出する。
P値は対象都市での標準モデルにおける暖冷房負荷と、以上の手順で算出された修正暖冷房負荷との比率により表現する。
修正暖冷房負荷は、地域によって値に差が出るため、共通指標とするために、対象都市での標準モデルにおける暖冷房負荷との比率として表すことにしたものである。
【0046】
サーバ11によるパッシブ値算出の具体的な処理について、
図10〜
図15に基づき、説明する。
営業所20の営業担当者は、住宅建築の依頼主である施主との間で、建築する住宅の建築スケジュール,設計プラン,導入する設備等について、打合せを行い、住宅のプラン設計を設計部門30に依頼する。
住宅のプランが完成すると、パッシブ値算出プログラムを使用してP値を算出し、
図10に示すP値シミュレーションの帳票を作成する。このP値シミュレーションの帳票は、施主に提示して、施主の建築準備中の設計プランの省エネルギー性の高さをアピールするために用いられる。
なお、施主向けのP値シミュレーションの帳票を作成する処理を説明するが、本システムSは、設計者が、最も省エネルギー性の高い設計プランを検討する目的や、出来上がった設計プランについて、省エネルギー性の観点から検討の余地があるか否かを、確認するために用いることもできる。
【0047】
営業担当者が端末21からインターネットNを介してサーバ11のパッシブ値算出プログラムにアクセスすると、サーバ11は、ユーザID及びパスワードの入力を条件として、
図11に示す入力画面300を端末21に表示する。
入力画面300は、タグから営業所20の営業所名を選択する営業所名選択欄301,施主名を入力するお客様名入力欄302,建設場所を入力する建設場所入力欄303,建物の主方位を南,西,東,北等の選択肢タグから選択する主方位選択欄304,南面,西面,東面,北面の所定高さ以上の隣棟の間隔を、複数の選択肢タグから選択する南面隣棟間隔選択欄305,西面隣棟間隔選択欄306,東面隣棟間隔選択欄307,建物1階床面積入力欄308,建物2階床面積入力欄309,一般入力項目(1)入力画面320を表示させるための次へボタン310,入力済みの値のみを元に算出したP値を表示する不図示のP値表示画面を表示させるためのP値表示ボタン311,P値シミュレーション結果を表示する結果表示画面を表示させるための結果出力ボタン312を備えている。
【0048】
入力画面300で次へボタン310がクリックされると、
図12の一般入力項目(1)入力画面320が表示される。
一般入力項目(1)入力画面320は、南面窓データ入力欄330,西面窓データ入力欄340,窓形状見本表示欄350を備えている。
南面窓データ入力欄330は、建物の南面の全窓の情報を入力する欄であって、高断熱複層ガラス,遮熱複層ガラス等から選択する窓ガラス種類選択欄331と、南面の各窓について、1P,2P,3P等のサイズから選択する窓サイズ選択欄332,腰高窓,掃き出し窓等の形状から選択する窓形状選択欄333,シャッター,遮熱スクリーン,なし等から選択する窓付属物選択欄334,軒の有無選択欄335,バルコニーの有無選択欄336,一般入力項目(2)入力画面360を表示させるための次へボタン310,P値表示ボタン311,結果出力ボタン312を備えている。
窓形状選択欄333の各選択肢については、窓形状見本表示欄350に、外観の見本が表示され、窓形状見本表示欄350を参照することにより入力が容易になっている。
西面窓データ入力欄340の構成は、南面窓データ入力欄330の構成と同様であるため、説明を省略する。
【0049】
一般入力項目(1)入力画面320で次へボタン310がクリックされると、
図13の一般入力項目(2)入力画面360が表示される。
一般入力項目(2)入力画面360は、東面窓データ入力欄370,北面窓データ入力欄380,2方向開口タイプ選択欄381,蓄熱材選択欄382,窓形状見本表示欄350を備えている。
東面窓データ入力欄370,北面窓データ入力欄380の構成は、南面窓データ入力欄330の構成と同様であるため、説明を省略する。
東面窓データ入力欄370,北面窓データ入力欄380の窓形状選択欄の各選択肢については、窓形状見本表示欄350に、外観の見本が表示され、窓形状見本表示欄350を参照することにより入力が容易になっている。
【0050】
2方向開口タイプ選択欄381は、建物の通風を促進する2方向開口への配慮に関する事項を選択する欄であって、全居室,一部分,特になし等の選択肢を備えている。
蓄熱材選択欄382は、全居室,それ以外,なし等の選択肢を備えている。
【0051】
図11〜
図13のうちのいずれかで、結果出力ボタン312がクリックされると、
図14〜
図15のフローチャートの処理が実行される。この処理は、サーバ11のCPU61で実行される。
まず、ステップS1〜S4で、南面単位日射量Ysを算出する。ステップS1で、
図11の入力画面300の主方位選択欄304において、南,西,東,北の選択肢のうちから選択された選択値を取得し、この選択値をキーとして、HDD64に格納された方位係数テーブルを参照し、その主方位の選択値に応じた南面の方位係数を取得して、方位係数Asとする。
次いで、ステップS2で、
図11の入力画面300の南面隣棟間隔選択欄305において、選択肢のうちから選択された選択値を取得し、この選択値をキーとして、HDD64に格納された隣棟影響係数テーブルを参照し、その選択値に応じた隣棟影響係数を取得して、南面隣棟影響係数Bsとする。
【0052】
次いで、ステップS3で、
図11の入力画面300の営業所名選択欄301で選択された営業所名の選択値を取得し、この選択値をキーとして、HDD64に格納された都道府県別南面日射量テーブルを参照し、その選択値に応じた南面単位日射量を取得して、地域別南面単位日射量Csとする。
ステップS4で、ステップS1〜S3で取得した係数As,Bs,Csを用いて、As×Bs×Csの演算を行い、その演算値である南面単位日射量Ysを取得して、メモリに登録する。
【0053】
次いで、ステップS5〜S11で、南面の日射侵入面積Gsを算出する。
まず、ステップS5で、
図12の南面窓データ入力欄330の一件目の窓1のデータを読込み、窓サイズ選択欄332で選択された窓サイズと窓形状選択欄333で選択された窓形状のデータの組合せを読込み、この窓サイズと窓形状のデータの組合せをキーとして、窓サイズ換算テーブルを参照し、この窓サイズと窓形状の組合せに対応する窓の面積Fs1を取得し、メモリに一時的に格納する。
次いで、ステップS6で、
図12の南面窓データ入力欄330の窓ガラス種類選択欄331の選択値を取得して、この選択値をキーとして窓ガラス種類係数テーブルを参照し、南面の窓ガラス種類に対応する係数Es1を取得し、メモリに一時的に格納する。
次いで、ステップS7で、
図12の南面窓データ入力欄330の窓1の窓付属物選択欄334でシャッター,遮熱スクリーン,なしの3種類の選択肢から選択された選択値を用いて、窓付属物係数テーブルを参照し、その係数β1を取得し、メモリに一時的に格納する。
【0054】
次いで、ステップS8で、
図12の南面窓データ入力欄330の軒の有無選択欄335,バルコニーの有無選択欄336,西面窓データ入力欄340,東面窓データ入力欄350の軒の有無選択欄,バルコニーの有無選択欄のチェックの有無の選択値を取得して、この選択値をキーとして日射遮蔽物係数テーブルを参照し、日射遮蔽物による係数γ1を取得し、メモリに一時的に格納する。
次いで、ステップS9で、
図12の南面窓データ入力欄330に、まだ読み込んでいない窓のデータがあるか判定する。
【0055】
まだ読み込んでいない窓のデータがない場合(ステップS9:No)、南面窓データ入力欄330のすべての窓についてデータを取得済みとして、ステップS12で、南面の日射侵入面積Gsを算出する。
まだ読み込んでいない窓のデータがある場合(ステップS9:Yes)、ステップS10で、次の窓のデータを読込み、それぞれ、窓の面積Fsi,窓ガラス種類に対応する係数Esi,窓付属物係数βi,日射遮蔽物による係数γiを取得し、メモリに一時的に格納する。ここで、iは、正の整数とし、
図12の窓番号を示す序数である。
次いで、ステップS11で、
図12の南面窓データ入力欄330に、まだ読み込んでいない窓のデータがあるか判定する。
まだ読み込んでいない窓のデータがある場合(ステップS11:Yes)、ステップS10に戻り、次の窓のデータを読込み、それぞれ、窓の面積Fsi,窓ガラス種類に対応する係数Esi,窓付属物係数βi,日射遮蔽物による係数γiを取得し、メモリに一時的に格納する。ここで、iは、正の整数とし、
図12の窓番号を示す序数である。
【0056】
まだ読み込んでいない窓のデータがない場合(ステップS11:No)、南面窓データ入力欄330のすべての窓についてデータを取得済みとして、ステップS12で、次の式により、南面の日射侵入面積Gsを算出する。
【0058】
次いで、
図14のAから
図15のAを介してステップ13に進み、ステップS1〜S4と同様の処理で、西面単位日射量Yw,東面単位日射量Ye,北面単位日射量Ynを算出し、ステップS5〜S12と同様の処理で、西面の日射侵入面積Gw,東面の日射侵入面積Gw,北面の日射侵入面積Gnを算出する。
次いで、ステップS14で、
図11の入力画面300の建物1階床面積入力欄308,建物2階床面積入力欄309に入力された数値を足し合わせてその建物の延床面積Dを算出する。
次いで、ステップS15で、次の式により、単位面積当たりの全方向日射量Sを算出する。
S=(Ys×Gs+Yw×Gw+Ye×Ge+Yn×Gn)/D
【0059】
この全方向日射量Sが、特許請求の範囲の複数方向日射量に対応する。なお、本実施形態では、複数方向日射量として、建物の東西南北の4面の日射量を足しているが、4面のうち2面又は3面,例えば、東西南の3面等の日射量を足すようにしてもよい。
次いで、ステップS1
6で、地域補正係数δを算出する。このステップでは、まず、
図11の建設場所入力欄303の入力値から都道府県名を取得し、この都道府県名及び全国平均をそれぞれキーとして冷房用デグリーデーテーブルを参照し、該当する都道府県別冷房用デグリーデーの値と、全国平均冷房用デグリーデーの値を取得する。次いで、該当する都道府県別冷房用デグリーデーの値を全国平均冷房用デグリーデーの値で除することにより、地域補正係数δを算出する。
【0060】
ステップS1
7で、J=全方向日射量S×地域補正係数δにより、日射効果得点Jを算出する。
ステップS1
8で、日射効果得点Jに通風効果Iを加味して、冷房負荷Kを算出する。
このステップS1
8では、まず、
図13の2方向開口タイプ選択欄381の全居室,一部分,特になし等の選択肢の選択値を取得して、通風削減率テーブルを参照し、対応する削減率を取得して、通風効果Iとする。
次いで
、日射効果得点J×(1−通風効果I)により、冷房負荷Kを算出する。
(1−通風効果I)が、特許請求の範囲の通風効果率係数に対応する。
【0061】
次いで、ステップS19で、暖房負荷Lを算出する。暖房負荷Lは、ステップSで、冷房用デグリーデーテーブルの代わりに暖房用デグリーデーテーブルを用い、通風効果Iの代わりに蓄熱効果Hを加味することを除いては、ステップS1〜S18と同様の処理で算出する。
蓄熱効果Hは、
図13の蓄熱材選択欄382の選択値を取得して、この選択値をキーとして蓄熱削減率テーブルを参照し、全居室,それ以外,なし等の選択値に対応する削減率を取得することにより得る。
暖房負荷Lは、日射効果得点J×(1−蓄熱効果H)により、算出する。
(1−蓄熱効果H)が、特許請求の範囲の蓄熱効果率係数に対応する。
【0062】
次いで、ステップS20で、ステップS14で算出した冷房負荷KとステップS15で算出した暖房負荷Lとを、加算することにより、暖冷房負荷Mを算出する。
次いで、ステップS21で、ステップS14で得た暖冷房負荷Mを断熱補正係数Tで補正し、修正暖冷房負荷Uを得る。
このステップではまず、疑似Q値Qを、算出する。
図12の南面窓データ入力欄330の窓サイズ選択欄332で選択された窓サイズと窓形状選択欄333で選択された窓形状のデータの組合せを1組ずつ読込み、この窓サイズと窓形状のデータの組合せをキーとして、窓サイズ換算テーブルを参照し、この窓サイズと窓形状の組合せに対応する窓の面積を取得する。この窓の面積を、南面窓データ入力欄330で入力されたすべての窓について取得し、合計して、南面開口面積を得る。
同様の処理を、
図12,20の西面窓データ入力欄340,東面窓データ入力欄370,北面窓データ入力欄380で入力されたすべての窓についてそれぞれ行い、西面,東面,北面開口面積を得る。
次いで、(南面開口面積+西面開口面積+東面開口面積+北面開口面積)/延床面積Dにより、開口面積比率を算出する。
HDD64に格納された疑似Q値算出式を取得し、この算出式にこの開口面積比率を代入し、疑似Q値Qを得る。
次いで、また、HDD64に格納された標準プランにおけるQ値Qoを、取得する。次いで、疑似Q値Qを、標準プランにおけるQ値Qoで除して、断熱補正係数T=Q/Qoを算出する。
その後、暖冷房負荷M×断熱補正係数Tにより、ステップS16で求めた暖冷房負荷Mを断熱補正係数Tで補正し、修正暖冷房負荷Uを得る。
【0063】
次いで、ステップS22で、その住宅が対応する都市での標準モデルにおける暖冷房負荷である基準暖冷房負荷Moを取得する。
このステップではまず、
図11の建設場所入力欄303の入力値から都道府県名を取得し、この都道府県名をキーとして、HDD64に格納された基準暖冷房負荷テーブルを参照し、その都道府県における標準モデルから算出された基準暖冷房負荷Moを取得する。
次いで、ステップS23で、ステップS17で得た修正暖冷房負荷Uと、ステップS18で得た基準暖冷房負荷Moを用いて、Pr=(1−U/Mo)×100により、暖冷房負荷削減率Prを得る。暖冷房負荷削減率Prは、その建物の修正暖冷房負荷Uの標準モデルの基準暖冷房負荷Moに対する比率である。
【0064】
ステップS24で、暖冷房負荷削減率Prから、1,2,3,4の4段階で表されるP値を導出する。
このステップでは、まず、Pr<5か否か判定し、Pr<5であれば、P値を1とし、Pr<5でなければ、Pr<10か判定する。
Pr<10であれば、5≦Pr<10であるとして、P値を2とし、Pr<10でなければ、Pr<20か判定する。
Pr<20であれば、P値を1とし、10≦Pr<20であるとして、P値を3とし、Pr<20でなければ、P値を4とする。
【0065】
次いで、ステップS25で、ステップS20までに演算して得た情報を利用して、
図10のP値シミュレーションの帳票を作成し、端末21に表示する。
このステップS25では、サーバ11のHDD64の住宅物件データベースから該当する建物のプランの画像データを取得し、この画像データと、
図11〜
図13の画面で入力されたお客様名,建設場所,ステップS3で取得したパッシブ地域番号,ステップS19及びS20で導出したP値と、を用いて、
図10のP値シミュレーションの帳票を作成し、端末21に表示する。
【0066】
次いで、ステップS26で、ステップS24までに演算して得た各演算値を、サーバ11のHDD64の住宅物件データベースの該当する建物の施主名のレコードに登録,保存する。
以上で、施主向けのP値シミュレーションの帳票を作成する処理を終了する。
【0067】
窓を遮蔽する軒やバルコニー等日射遮蔽物の有無や設置範囲、また、窓を構成する材料の透過性等によって、建物の受ける日射取得は大きく影響されるが、本実施形態では、建物の立地及び開口率,建物の主方位及び隣棟との間隔のほか、日射遮蔽物の設置状況及び窓材料も加味して、日射効果指標値を算出しているため、実際の建物の実態に沿った利用価値の高いシステムを構築できる。
【0068】
開閉により窓を遮蔽及び露出できるシャッター,スクリーン等の窓付属物の有無や設置範囲によって、建物の受ける日射取得は大きく影響されるが、本実施形態は、建物の立地及び開口率,建物の主方位,隣棟との間隔,日射遮蔽物の設置状況,窓材料のほか、窓付属物の有無や設置範囲も加味して、日射効果指標値を算出しているため、実際の建物の実態に沿った利用価値の高いシステムを構築できる。