(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6182354
(24)【登録日】2017年7月28日
(45)【発行日】2017年8月16日
(54)【発明の名称】ディスプレイ用多孔性ガラス基板及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H05B 33/02 20060101AFI20170807BHJP
H01L 51/50 20060101ALI20170807BHJP
H05B 33/10 20060101ALI20170807BHJP
H05B 33/04 20060101ALI20170807BHJP
C03C 17/30 20060101ALI20170807BHJP
【FI】
H05B33/02
H05B33/14 A
H05B33/10
H05B33/04
C03C17/30
【請求項の数】16
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-98570(P2013-98570)
(22)【出願日】2013年5月8日
(65)【公開番号】特開2013-235836(P2013-235836A)
(43)【公開日】2013年11月21日
【審査請求日】2015年4月23日
(31)【優先権主張番号】10-2012-0048903
(32)【優先日】2012年5月9日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2012-0142443
(32)【優先日】2012年12月10日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】502411241
【氏名又は名称】コーニング精密素材株式会社
【氏名又は名称原語表記】Corning Precision Materials Co., Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100070024
【弁理士】
【氏名又は名称】松永 宣行
(74)【代理人】
【識別番号】100159042
【弁理士】
【氏名又は名称】辻 徹二
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(72)【発明者】
【氏名】パク ソン−シク
(72)【発明者】
【氏名】ユ ジナ
(72)【発明者】
【氏名】キム テ ウォン
(72)【発明者】
【氏名】ハン ジヌ
【審査官】
横川 美穂
(56)【参考文献】
【文献】
特表2010−509175(JP,A)
【文献】
特開2002−184567(JP,A)
【文献】
特開2001−202827(JP,A)
【文献】
特開2005−251489(JP,A)
【文献】
国際公開第2012/027121(WO,A2)
【文献】
特開2007−327081(JP,A)
【文献】
特開2007−069272(JP,A)
【文献】
特開2006−114432(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 33/00−33/28
C03C 17/30
H01L 51/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス基板、及び
前記ガラス基板の片面の少なくとも一部分に前記ガラス基板の内側方向に形成され、前記ガラス基板よりも相対的に低い屈折率を有する多孔性層、
を含み、
前記多孔性層は、前記ガラス基板の内側に向かう面に凹凸パターンを有し、
前記多孔性層を含む前記ガラス基板の片面に積層され、多孔性ガラスからなるバッファ層を含むことを特徴とすることを特徴とする多孔性ガラス基板。
【請求項2】
前記凹凸パターンは、複数の半オーバル(semi−oval)形状を含むことを特徴とする請求項1に記載の多孔性ガラス基板。
【請求項3】
前記凹凸パターンのピッチpは、1μm以上または200nm以下であることを特徴とする請求項1に記載の多孔性ガラス基板。
【請求項4】
前記凹凸パターンのピッチは、ランダムに互いに異なる大きさを有することを特徴とする請求項1または2に記載の多孔性ガラス基板。
【請求項5】
前記バッファ層は、SiO2、SiNx、MgOまたはZrO2を含むことを特徴とする請求項1に記載の多孔性ガラス基板。
【請求項6】
ガラス基板を用意する第1のステップ、及び
前記ガラス基板の片面において、前記ガラス基板をなす成分のうちの少なくとも一種の成分を溶出し、前記基板の片面の少なくとも一部分に前記基板よりも屈折率が相対的に低い多孔性層を形成する第2のステップ
を含み、
前記多孔性層は、前記ガラス基板の内側に向かう面に凹凸パターンを有することを特徴とする多孔性ガラス基板の製造方法。
【請求項7】
前記凹凸パターンは、リソグラフィ工程により形成されることを特徴とする請求項6に記載の多孔性ガラス基板の製造方法。
【請求項8】
前記リソグラフィ工程は、フォトリソグラフィ工程で行なわれ、
前記ガラス基板の表面にフォトレジストを塗布するステップと、
マスクを介して前記フォトレジストをパターニングして、前記ガラス基板の片面の複数の領域を露出するステップと、
前記複数の領域に対する溶出を施して、前記複数の領域から内側方向に前記多孔性層を形成させるステップ、及び
パターニングされた前記フォトレジストを除去するステップと、
を含むことを特徴とする請求項7に記載の多孔性ガラス基板の製造方法。
【請求項9】
前記リソグラフィ工程は、
前記ガラス基板の表面にコーティング物質をコートするステップと、
前記コーティング物質の溶融温度の付近でアニールして半球状のナノ粒子を形成させるステップと、
前記ナノ粒子をマスクとして前記ガラス基板の片面に多孔性層が形成されるようにパターニングするステップ、及び
前記ナノ粒子を除去するステップと、
を含むことを特徴とする請求項7に記載の多孔性ガラス基板の製造方法。
【請求項10】
前記コーティング物質は、Ag、Au、Pt、Pd、Co、Ni、Ti、Al、Sn及びCrからなる金属群より選ばれる少なくとも一つの金属またはこれらの合金であることを特徴とする請求項9に記載の多孔性ガラス基板の製造方法。
【請求項11】
前記コーティング物質は、高分子または酸化物であることを特徴とする請求項9に記載の多孔性ガラス基板の製造方法。
【請求項12】
第1のガラス基板と、
前記第1のガラス基板上に順に積層されるアノードと、有機発光層、及びカソードとを含む素子層と、
前記第1のガラス基板と対向するように前記素子層上に配置され、前記素子層から発光した光が外部に放出する通路になる第2のガラス基板と、
前記第2のガラス基板の片面の少なくとも一部分に前記第2のガラス基板の内側方向に形成され、前記第2のガラス基板よりも相対的に低い屈折率を有する多孔性部、及び
前記素子層と前記第2のガラス基板との間に配置され、前記素子層と前記第2のガラス基板とを貼り合わせる貼り合わせ層と、
を含み、
前記多孔性部は、前記第2のガラス基板の片面に部分的に分布されて凹凸パターンをなすことを特徴とするトップ・エミッション型有機発光素子。
【請求項13】
前記第2のガラス基板の片面は、前記素子層と向き合う面であることを特徴とする請求項12に記載のトップ・エミッション型有機発光素子。
【請求項14】
前記多孔性部は、前記第2のガラス基板の片面に全体的に分布されて多孔性層をなすことを特徴とする請求項12または13に記載のトップ・エミッション型有機発光素子。
【請求項15】
前記第2のガラス基板と前記貼り合わせ層との間に配置されるバッファ層をさらに含むことを特徴とする請求項12乃至14の何れか一項に記載のトップ・エミッション型有機発光素子。
【請求項16】
前記バッファ層は、SiO2、SixNy、Nb2O5、MgO、及びZrO2のいずれか一種からなることを特徴とする請求項15に記載のトップ・エミッション型有機発光素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスプレイ用多孔性ガラス基板及びその製造方法に係り、より詳しくは、有機発光素子(OLED)といったディスプレイの光学特性を向上することができる多孔性ガラス基板及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図6は、従来技術に係る有機発光素子の断面図及び光取り出し効率を説明するための概念図である。
図6に示すように、従来技術に係る有機発光素子では、その発光量の約20%のみが外部に放出され、80%程度の光は、ガラス基板10とアノード20及び正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層などを含む有機発光層30との屈折率の差による導波管(wave guiding)効果やガラス基板10と空気との屈折率の差による全反射効果により損失される。すなわち、内部有機発光層30の屈折率は1.7〜1.8であり、アノード20に一般に用いられるITOの屈折率は1.9〜2.0である。このとき、二層の厚さは略100〜400nmと極めて薄く、ガラス基板10に用いられるガラスの屈折率は1.5程度であるので、有機発光素子内には平面導波路が自然に形成される。計算によれば、前記原因による内部導波モードで損失される光の割合が約45%に達する。そして、ガラス基板10の屈折率は約1.5であり、外部空気の屈折率は1.0であるので、ガラス基板10から外部へ光が出るとき、臨界角以上で入射する光は全反射を起こしてガラス基板10内部に閉じ込められ、このように閉じ込められた光の割合は約35%に達するため、発光量の20%程度の僅かしか外部に放出されない。ここで、図面符号31、32、33は、有機発光層30を構成する構成要素であって、31は正孔注入層と正孔輸送層、32は発光層、33は電子注入層と電子輸送層をそれぞれ示す。
【0003】
従来、前記した問題を解決するために、低屈折率フィルムであるシリカエアロゲル(silica aerogel)フィルムをガラス基板とITOとの間にコートし、全反射して出られない光を放出させていた(
図7)。しかしながら、このシリカエアロゲルは、製造工程が煩わしく且つ難しく、さらには高コストであるため、実製品には適用できていない。また、このようなシリカエアロゲルは薄膜であってその形成に限界があり、基板の厚さの増大を招くという問題があった。
【0004】
一方、
図8に示すように、従来では、アノード20の下(図面基準)、すなわち、アノード20とガラス基板10との間の境界面に凹凸構造物60を形成して光取り出し効率を向上させようとしていた。
【0005】
ここで、上述したように、アノード20と有機発光層30は、一般に、カソード40とガラス基板10との間で一つの光導波路の役割を担う。したがって、アノード20と有機発光層30への導波モードの存在下、アノード20に隣接した境界面に光散乱を起こす凹凸構造物60を形成すれば、導波モードが撹乱することで外部に取り出される光が増加するようになる。しかし、アノード20の下に凹凸構造物60が形成されていると、その上のアノード20の形状が下の凹凸構造物60の形状に倣い、局所的に凸状の部分が生じる可能性が高くなる。有機発光素子は極めて薄い薄膜の積層構造からなるものであるので、アノード20に凸状の部分があると、その部分に電流が集中し、大きなリーク電流の原因になったり、電力効率の低下を招いたりする。このため、このような電気的特性の低下を防止するために、アノード20の下に凹凸構造物60を形成する場合は、平坦膜70を必ず一緒に用いる。このとき、平坦膜70は、凹凸構造物60の凹凸を平坦化させる役割を果たす。平坦膜70が平坦ではなく凸状の部分があると、アノード20にも凸状の部分が形成され、リーク電流が発生する原因になる。したがって、平坦膜70の平坦度は、極めて重要であって、約Rpv=30nm以下であることが求められる。
【0006】
また、平坦膜70には、アノード20と同等な屈折率を有する素材を用いる必要があり、もし、アノード20よりも平坦膜70の屈折率が低いと、光が凹凸構造物60によって撹乱する前にアノード20/平坦膜70の境界面で大半が反射され、アノード20/有機発光層30に閉じこめられる導波モードになる。ここで、平坦膜70の厚さは、極力薄くてよい。平坦膜70が厚すぎると、不要な光吸収が増加することがあり、且つ凹凸構造物60と有機発光層30との距離が遠すぎて散乱効果が減少することがある。
【0007】
しかしながら、凸凹状の凹凸構造物60を数百nmの薄い平坦膜70で完璧に平坦化することは工程的に至難である。また、凹凸構造物60を覆って平坦化するための方法としては、蒸着コーティング法と溶液コーティング法があり、蒸着コーティング法では、その特性上、凹凸構造物60の形状に倣って膜を形成するため、蒸着コーティング法よりは溶液コーティング法によるコーティングを通じて平坦膜70を形成した方が好ましい。しかし、屈折率がITOアノード20の屈折率以上であり、有機発光素子基板の表面に求められる厳しい条件と高温工程が伴われる多結晶シリコン薄膜トランジスタ(polycrystalline thin film transistor)工程を満たす高屈折溶液コーティング素材を入手することは、現状としてとても難しい。
【0008】
一方、従来、有機発光素子の発光効率を増大させるために、マイクロキャビティ(micro−cavity)構造を有機発光素子に適用していた。具体的には、透明電極であるITOアノード20をITO/金属/ITOで構成し、アノード20で一部の光が反射してアノード20と金属カソード40との間にマイクロキャビティを形成し、発光する光を補強干渉及び共振を用いて発光効率を増大させていた。しかしながら、このようなマイクロキャビティ構造は、視野角が増大するに伴い色相が変化するカラーシフト現象を招くという不具合があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上述したような従来技術の問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、有機発光素子のようなディスプレイの光学特性を向上することができる多孔性ガラス基板及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
このために、本発明は、ガラス基板、及び前記ガラス基板の片面の少なくとも一部分に前記ガラス基板の内側方向に形成され、前記ガラス基板よりも相対的に低い屈折率を有する多孔性層を含み、前記多孔性層は、前記ガラス基板をなす成分のうち酸化ケイ素(SiO
2)を除くその他の成分の少なくとも一種が溶出し、前記ガラス基板に形成された複数の気孔を含むことを特徴とする多孔性ガラス基板を提供する。
【0011】
ここで、前記多孔性層は、前記ガラス基板の内側に向かう面に凹凸パターンを有していてよい。凹凸パターンは、複数の半オーバル(semi−oval)形状を含んでいてよい。
【0012】
このとき、前記凹凸パターンのピッチpは、1μm以上または200nm以下であってよい。または、前記凹凸パターンのピッチは、ランダムに互いに異なる大きさを有していてよい。
【0013】
また、前記多孔性層を含む前記ガラス基板の片面に積層され、多孔性ガラスからなるバッファ層を含んでいてよい。
【0014】
このとき、前記バッファ層は、SiO
2、SiN
x、MgOまたはZrO
2を含んでいてよい。
【0015】
一方、本発明は、ガラス基板を用意する第1のステップ、及び前記ガラス基板の片面において、前記ガラス基板をなす成分のうち酸化ケイ素(SiO
2)を除くその他の成分の少なくとも一種を溶出し、前記基板の片面の少なくとも一部分に前記基板よりも屈折率が相対的に低い多孔性層を形成する第2のステップを含むことを特徴とする多孔性ガラス基板の製造方法を提供する。
【0016】
ここで、前記多孔性層は、前記ガラス基板の内側に向かう面に凹凸パターンを有していてよい。
【0017】
また、前記凹凸パターンは、リソグラフィ工程により形成されていてよい。
【0018】
このとき、前記リソグラフィ工程は、フォトリソグラフィ工程で行なわれ、前記ガラス基板の表面にフォトレジストを塗布するステップと、マスクを介して前記フォトレジストをパターニングして、前記ガラス基板の片面の複数の領域を露出するステップと、前記複数の領域に対する溶出を施して、前記複数の領域から内側方向に前記多孔性層を形成させるステップ、及びパターニングされた前記フォトレジストを除去するステップと、を含んでいてよい。
【0019】
また、前記リソグラフィ工程は、前記ガラス基板の表面にコーティング物質をコートするステップと、前記コーティング物質の溶融温度の付近でアニールして半球状のナノ粒子を形成させるステップと、前記ナノ粒子をマスクとして前記ガラス基板の片面に多孔性層が形成されるようにパターニングするステップ、及び前記ナノ粒子を除去するステップと、を含んでいてよい。
【0020】
さらに、前記コーティング物質は、Ag、Au、Pt、Pd、Co、Ni、Ti、Al、Sn及びCrからなる金属群より選ばれる少なくとも一つの金属またはこれらの合金であってよい。
【0021】
また、前記コーティング物質は、高分子または酸化物であってよい。
【0022】
さらには、前記第2のステップの実施後、前記多孔性層を含む前記ガラス基板の片面に多孔性ガラスからなるバッファ層を形成するステップをさらに含んでいてよい。
【0023】
本発明は、第1のガラス基板と;前記第1のガラス基板上に順に積層されるアノードと、有機発光層、及びカソードとを含む素子層と、前記第1のガラス基板と対向するように前記素子層上に配置され、前記素子層から発光した光が外部に放出する通路になる第2のガラス基板と;前記第2のガラス基板の片面の少なくとも一部分に前記第2のガラス基板の内側方向に形成され、前記第2のガラス基板よりも相対的に低い屈折率を有する多孔性部;及び前記素子層と前記第2のガラス基板との間に配置され、前記素子層と前記第2のガラス基板とを貼り合わせる貼り合わせ層と;を含むことを特徴とするトップ・エミッション型有機発光素子を提供する。
【0024】
好ましくは、前記第2のガラス基板の片面は、前記素子層と向き合う面である。
【0025】
前記多孔性部は、前記第2のガラス基板の片面に全体的に分布されて多孔性層をなし、または、前記第2のガラス基板の片面に部分的に分布されて凹凸パターンをなしていてよい。
【0026】
前記トップ・エミッション型有機発光素子は、前記第2のガラス基板と前記貼り合わせ層との間に配置されるバッファ層をさらに含んでいてよい。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、ガラス基板にガラスよりも屈折率が低い多孔性層を形成することで、OLEDの光取り出し層への適用時に光取り出し効率を向上させることができる。これにより、有機発光素子の消費電力を低減させることができ、これは、発熱の最小化につながり、結局、有機発光素子を長寿命化することができる。
【0028】
また、本発明によれば、従来の別途の構成で形成されていたシリカエアロゲル形成工程よりも工程的に容易である。
【0029】
さらには、本発明によれば、従来技術におけるOLEDに隣接する境界面への光散乱を起こす凹凸構造物の形成工程や該構造物により生じる段差を平坦化するために形成する平坦膜の形成工程を省略することができるため、製造コストを削減することができ、また工程及び構造の単純化を図ることができるため、リーク電流の発生に関する憂慮も解消することができ、さらには、厚さの増大を防止することができるため、OLEDへの適用時に素子のスリム化及びコンパクト化を実現することができる。
【0030】
また、本発明によれば、複数の半オーバル(semi−oval)形状からなる凹凸パターンで構成される多孔性層を形成させることで、色混合を誘導してOLEDのカラーシフトを改善させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】本発明の一実施例に係る多孔性ガラス基板を示す断面図である。
【
図2】本発明の一実施例に係る多孔性ガラス基板を適用したOLED特性結果を示すグラフであって、電流密度の変化による電圧及び輝度特性を示すグラフである。
【
図3】本発明の一実施例に係る多孔性ガラス基板を適用したOLED特性結果を示すグラフであって、電流密度の変化による電力効率及び電流効率特性を示すグラフである。
【
図4】本発明の他の実施例に係る多孔性ガラス基板の断面図であり、且つ光の屈折及び散乱を示す模式図である。
【
図5】本発明の他の実施例に係る多孔性ガラス基板の製造方法を示す工程図である。
【
図6】従来技術に係る有機発光素子の断面図及び光取り出し効率を説明するための概念図である。
【
図7】従来技術に係るまた他の有機発光素子を示す部分分解斜視図である。
【
図8】従来技術に係るまた他の有機発光素子を示す部分分解斜視図である。
【
図9】本発明の他の実施例に係るトップ・エミッション型有機発光素子を示す断面図である。
【
図10】本発明の他の実施例に係るトップ・エミッション型有機発光素子を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、添付の図面を参照して、本発明の実施例に係るディスプレイ用多孔性ガラス基板及びその製造方法について詳しく説明することにする。
【0033】
なお、本発明を説明するにあたって、関連公知機能あるいは構成についての具体的な説明が本発明の要旨を不要に曖昧にし得ると判断される場合、その詳細な説明は省略することにする。
【0034】
図1に示すように、本発明の一実施例に係るディスプレイ用多孔性ガラス基板100は、例えば、有機発光素子に用いられる相対向する基板のうち有機発光素子の片面に貼り合わされ、有機発光素子を外部環境から保護すると共に、有機発光素子から発光した光を外部に放出させる通路の役割をする光取り出し基板であってよい。
【0035】
ここで、有機発光素子は、本発明の一実施例に係るディスプレイ用多孔性ガラス基板100とこれに対向する封止基板(図示せず)との間に配置されるアノード11、有機発光層12、及びカソード13の積層構造からなるものである。このとき、アノード11は、正孔注入が起こりやすいように仕事関数の大きいAu、In、SnまたはITOのような金属または酸化物からなるものであってよく、カソード13は、電子注入が起こりやすいように仕事関数の小さいAl、Al:LiまたはMg:Agの金属薄膜からなるものであってよく、また、トップ・エミッション(top emission)構造である場合、有機発光層12から発光した光が透過しやすいようにAl、Al:LiまたはMg:Agの金属薄膜の半透明電極(semitransparent electrode)とインジウムスズ酸化物(indium tin oxide;ITO)のような酸化物透明電極(transparent electrode)薄膜の多層構造からなるものであってよい。そして、有機発光層12は、アノード11上に順に積層される正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層及び電子注入層を含んで形成される。このような構造により、アノード11とカソード13との間に順方向電圧が印加されると、カソード13から電子が電子注入層及び電子輸送層を介して発光層に移動し、アノード11から正孔が正孔注入層及び正孔輸送層を介して発光層に移動するようになる。そして、発光層内に注入された電子と正孔は、発光層で再結合して励起子を生成し、該励起子が励起状態から基底状態に遷移しながら光を放出し、このとき、放出される光の明るさは、アノード11とカソード13との間に流れる電流量に比例するようになる。
【0036】
このように、OLEDの光取り出し層の役割をする多孔性ガラス基板100は、ガラス基板101、多孔性層110を含んでなる。
【0037】
ガラス基板101は、適用されるOLED1を外部環境から保護する役割をする。該ガラス基板101は、ソーダライムガラス(soda lime glass)またはアルミノシリケート(alumino−silicate)系ガラスからなるものであってよい。このとき、照明用OLEDへの適用時は、ソーダライムガラスからなることが好ましく、また、ディスプレイ用OLEDへの適用時は、アルミノシリケート系ガラスからなることが好ましい。このようなガラス基板101の片面、より具体的には、OLED1のアノード11に貼り合わされる片面には少なくともその一部分に多孔性層110が形成される。
【0038】
多孔性層110は、ガラス基板101の内側方向にガラス基板101の片面に形成される。この多孔性層110は、OLED1への適用時は内部に形成された導波モードを撹乱させ、外部に取り出される光量を増大させる役割をする。また、多孔性層110は、ガラス基板101よりも相対的に低い屈折率を形成してガラス基板101と空気との界面における全反射が生じる臨界角で放出される光の向きを臨界角よりも小さく変えて、外部に取り出される光量を増大させる役割をする。このために、多孔性層110は、ガラス基板101よりも相対的に屈折率が低い層として形成され、これは、多孔性層110内に存在する気孔により実現される。
【0039】
そして、多孔性層110は、ガラス基板101を溶出液に浸漬させる方法で実現されていてよい。このとき、溶出工程に用いられる溶出液としては、酸化ケイ素(SiO
2)を添加して飽和させたフッ化ケイ酸(H
2SiF
6)が挙げられ、ホウ酸水溶液が添加されていてよい。フッ化ケイ酸(H
2SiF
6)溶液に酸化ケイ素(SiO
2)を過飽和させるとH
2SiF
6・SiF
4を生成し、これにより、ガラス基板101構造中における結合力の強い≡Si-O-Si≡を除くその他の成分の少なくとも一種を溶出させ、多孔性シリカ(porous silica structure)構造、すなわち、多孔性層110がガラス基板101の表面から内側方向に形成される。
【0040】
そして、多孔性層110の形状は、前記原理に基づく酸化ケイ素(SiO
2)を除くその他の成分の少なくとも一種を溶出することにより作られ、これについては、下記の有機発光素子用基板の製造方法においてより詳しく説明することにする。
【0041】
このように、ガラス基板101の表面に形成された多孔性層110は、その表面が例えば、有機発光素子1の表面、すなわち、アノード11との境界面と水平をなし、気孔径が20nm以下と微細であるため表面粗さが本来のガラス表面とほぼ同じである。これにより、従来技術における別途の構成で生じていた問題、例えば、凹凸構造物によるリーク電流の発生、発光均一度の劣化などを基本的に抑えることができ、凹凸構造物を平坦化するための平坦膜の形成といった煩わしい追加工程なども省略可能となる。
【0042】
また、アノード下の凹凸構造物と平坦膜の存在により生じる問題、例えば、低い平坦度によるリーク電流の発生、平坦度を向上するための厚肉化による不要な光吸収増大及びコストアップ、散乱効果の減少なども解決することができる。これは、光電池への適用時にも同様である。
【0043】
一方、本発明の一実施例に係るディスプレイ用多孔性ガラス基板100は、バッファ層(図示せず)を含んでいてよい。ここで、バッファ層は、多孔性ガラス基板100から拡散してOLED、TFTのような素子に影響し得るアルカリなどのような元素を遮断する役割をする層である。バッファ層(図示せず)は、多孔性層110を含むガラス基板101の片面に積層される。そして、該バッファ層(図示せず)は、多孔性ガラスからなるものであってよく、例えば、SiO
2、SiN
x、MgO、及びZrO
2のような酸化物からなるものであってよい。なお、本発明において、必ずしもバッファ層(図示せず)の構成物質を酸化物に限定することではない。
【0044】
図2は、本発明の一実施例に係る多孔性ガラス基板を適用したOLED特性結果を示すグラフであって、電流密度の変化による電圧及び輝度特性を示すグラフである。
図2に示すように、既存のガラス基板(normal glass)よりも多孔性ガラス基板(porous glass)を適用した場合のほうが、電流密度の変化による電圧特性はほぼ同じであるが、輝度は43%まで増加し、光取り出し効果があることが確認された。
【0045】
また、
図3は、本発明の一実施例に係る多孔性ガラス基板を適用したOLED特性結果を示すグラフであって、電流密度の変化による電力効率及び電流効率特性を示すグラフである。
図3に示すように、既存のガラス基板(normal glass)よりも多孔性ガラス基板(porous glass)を適用した場合のほうが、電力効率及び電流効率がそれぞれ43%、45%増加したことが確認された。これは、多孔性ガラス基板のOLED光取り出し効果により素子特性が改善されたことを示す。
【0046】
以下、本発明の他の実施例に係る多孔性ガラス基板について、
図4を参照して説明する。
【0047】
図4は、本発明の他の実施例に係る多孔性ガラス基板を示す断面図、及び光の屈折及び散乱を示す模式図である。
【0048】
図4に示すように、本発明の他の実施例に係る多孔性ガラス基板200は、ガラス基板201及び多孔性層210を含んでなる。
【0049】
本発明の他の実施例は、本発明の一実施例と比べて、多孔性層のパターン形状のみが異なり、他の構成要素は同一であるので、同一の構成要素についての詳細な説明は省略することにする。
【0050】
本発明の他の実施例に係る多孔性層210は、ガラス基板の内側に向かう面に凹凸パターンを有する。凹凸パターンは、複数の半オーバル形状を含む。
【0051】
本発明の他の実施例に係る凹凸パターンを有する多孔性層210は、本発明の一実施例に係る多孔性層110と同様に溶出によりガラス基板201の内側方向に気孔を生成させることで形成されていてよく、これにより、ガラス基板201よりも相対的に低い屈折率を有することで、複数の半オーバル形状の多孔性層の凹凸パターン境界面においてOLED1のアノードと有機発光層によって形成された導波モードを撹乱させ、ガラス基板201と空気との界面における全反射が起こる臨界角で放出される光の向きを臨界角よりも小さく変えて、外部に取り出される光量をさらに増大させることができる。
【0052】
このとき、複数の半オーバル形状の多孔性層210の凹凸パターンのピッチpは、i)有機発光素子から放出された光の波長よりも大きい略1μm水準以上であるか、または放出された光の波長よりも小さい略200nm以下であることが好ましく、ii)放出された光の波長水準のパターンが形成される場合は、前記範囲内でパターンのピッチがランダムであることが好ましい。
【0053】
その理由は、OLED1から放出された光の波長と類似した周期的なパターンが形成される場合、ブラッググレーティング(Bragg grating)やフォトニック結晶(photonic crystal)現象によって放出された光のスペクトラムが変化すると共に視野角が変化するに伴って色変化が発生するためである。
【0054】
また、
図4に示すように、本発明の他の実施例に係る多孔性層210は、OLED1から入射する光を屈折、散乱させることができる。すなわち、半オーバル形状の凹凸パターンは、OLED1とガラス基板201との境界面に法線方向に発光する光の向きを法線方向から外れる方向に変更させると共に、境界面の法線方向から外れる方向に出る光の一部を法線方向に変更させる。すなわち、半オーバル形状の凹凸パターンは、視野角に応じて発光する光の向きを変化させることにより、色混合(color mixing)を誘導して発光効率を増大させるためにマイクロキャビティ(micro−cavity)構造を適用したOLED1において発生するカラーシフト(color shift)を改善することができる。
【0055】
以下、本発明の実施例に係る多孔性ガラス基板の製造方法について
図5を参照して説明する。
【0056】
本発明の実施例に係る多孔性ガラス基板の製造方法では、先ず、ガラス基板201を用意する。次いで、ガラス基板201の片面を酸化ケイ素(SiO
2)を除くその他の成分の少なくとも一種を溶出し、ガラス基板201の片面の少なくとも一部分にガラス基板201よりも屈折率が相対的に低い多孔性層210を形成させる。
【0057】
このとき、
図5に示すように、リソグラフィ(lithography)工程を用いて多孔性層210の内側面を半オーバル形状の散乱パターンで形成することができる。このとき、このような凹凸パターンは、多様な方法で形成することができるところ、本発明では特に多孔性層210のパターン形成方法をリソグラフィ工程と限定しない。
【0058】
多様なリソグラフィ工程のうち周知のフォトリソグラフィ工程により、このような多孔性層210のパターンを形成する場合、先ず、ガラス基板201の表面にレジスト(PR)2を塗布する。次いで、多孔性層210が形成されるガラス基板201表面の複数の領域を露出するために、マスク(図示せず)を介してレジスト2をパターニングする。次いで、これに対して溶出が進められると、パターニングされたレジスト2の隙間から露出したガラス基板201の表面から内側方向に多孔性パターン210’が形成され、溶出がさらに進むと、レジスト2の下方も溶出して、
図4に示すような内側面に半オーバル形状の凹凸パターンを有する多孔性層210が形成される。次いで、パターニングされたレジスト2をストリップ(strip)工程により除去すると、ガラス基板201よりも屈折率が低い半オーバル形状の凹凸パターンを内側面に有する多孔性層210が形成される。
【0059】
なお、図示していないが、他のリソグラフィ工程では、ランダムなパターンを形成するために数十nm厚さのAg、Au、Pt、Pd、Co、Ni、Ti、Al、Sn、Crなどといった金属及び合金をガラス基板にコーティングした後、溶融温度(melting point)の付近でアニールすれば、金属薄膜がディウェッティング(dewetting)され、半球状のナノ粒子を形成する。これをマスクとして用いてガラス基板に多孔性層をパターニングして金属ナノ粒子を除去して、多孔性層が形成されたガラス基板を形成することができる。前記金属の代わりに高分子薄膜や酸化物を用いることもできる。
【0060】
最後に、図示していないが、本発明の実施例では、多孔性層210を含むガラス基板201の片面に多孔性ガラスからなるバッファ層(図示せず)を積層していてもよい。
【0061】
図9に示すように、本発明の他の実施例に係る有機発光素子300は、カソード323側に光を放出するトップ・エミッション型の構造からなる。このとき、有機発光素子300は、駆動のために薄膜トランジスタ(図示せず)に接続される。このような有機発光素子300は、第1のガラス基板310、素子層320、第2のガラス基板330、多孔性部340、及び貼り合わせ層350を含んでなる。
【0062】
トップ・エミッション型有機発光素子は、ボトム・エミッション型(bottom emission)有機発光素子とは異なり、仕事関数の低い透明物質からなるカソード側に光を放出する構造である。このとき、このような有機発光素子を駆動するための薄膜トランジスタが有機発光素子の下方に形成されることにより、トップ・エミッション型有機発光素子の場合、ボトム・エミッション型有機発光素子よりも相対的に高い開口率を有していてよい。
【0063】
第1のガラス基板310は、素子層320が蒸着されるベース基板である。また、第1のガラス基板310は、素子層320を外部環境から保護する基板である。
【0064】
素子層320は、第1のガラス基板310をベース基板として第1のガラス基板310上に形成される。このような素子層320は、アノード321、有機発光層322、及びカソード323を含む。このとき、アノード321、有機発光層322、及びカソード323は、第1のガラス基板310上に順に積層される。
【0065】
ここで、本発明の他の実施例に係る有機発光素子300は、トップ・エミッション型構造であるため、第1のガラス基板310上に蒸着されるアノード321は、有機発光層322から発光した光をトップ、すなわち、カソード323側に反射させる物質で形成されなければならない。また、アノード321は、有機発光層322への正孔注入が生じやすいように仕事関数の大きい物質で形成されなければならない。例えば、アノード321は、Au、In、Snのような金属物質で形成されていてよく、金属層とインジウムスズ酸化物(ITO)のような酸化物透明電極薄膜の多層構造で形成されていてもよい。
【0066】
また、カソード323は、有機発光層322への電子注入が生じやすいように仕事関数の小さい物質で形成されるが、特に、本発明の一実施例に係る有機発光素子300がトップ・エミッション型構造であるため、有機発光層322から発光した光が透過しやすいように、Al、Al:LiまたはMg:Agの金属薄膜の半透明電極とITOのような酸化物透明電極薄膜の多層構造で構成されていてよい。
【0067】
第2のガラス基板330は、第1のガラス基板310と対向するように素子層320上に配置され、内部の素子層320を外部環境から保護及び遮断させる封止ガラスである。そして、本発明の一実施例では、第2のガラス基板330が素子層320から発光した光が外部に放出される通路となる。このような第2のガラス基板330は、第1のガラス基板310と同じ組成のガラスからなるものであってよい。
【0068】
このとき、第2のガラス基板330は、貼り合わせ層350を介して素子層320に貼り合わされていてよい。本発明の一実施例において、素子層320から発光した光を、第2のガラス基板330側に透過しやすくする必要があるため、貼り合わせ層350は、例えば、OCA(optical clear adhesive)フィルムで形成されていてよい。
【0069】
多孔性部340は、第2のガラス基板330の片面から内側方向に形成される。このとき、図示したように、多孔性部340は、素子層320と向き合う第2のガラス基板330の片面から内側方向に形成される。
【0070】
このような多孔性部340は、第2のガラス基板330内部に形成された複数の気孔341からなる。このとき、本発明の一実施例では、複数の気孔341が第2のガラス基板330の片面の全域に分布する。これにより、このような複数の気孔341からなる多孔性部340は、気孔341が形成されていない第2のガラス基板330と貼り合わせ層350との間で多孔性層をなすようになる。
【0071】
このような多孔性部340を備えることにより、本発明の一実施例に係るトップ・エミッション型有機発光素子300の光抽出効率が改善すると共に輝度が向上し、これにより、消費電力が低減し、これは、発熱の最小化につながり、結局、当該素子が長寿命化する。また、本発明の一実施例では、封止ガラスの第2のガラス基板330自体に、従来は別個に形成されていた光抽出層の役割をする多孔性部340が形成されることにより、従来の有機発光素子よりも構造を単純化することができ、この結果、構造的な安定性を確保することができ、且つ、このような有機発光素子300を採用したディスプレイ装置の小型化及びコンパクト化を実現することができるようになる。
【0072】
一方、本発明の一実施例では、第2のガラス基板330と貼り合わせ層350との間、より詳しくは、第2のガラス基板330の下方(図面基準)に層をなす多孔性部340と貼り合わせ層350との間にバッファ層360が形成されていてよい。バッファ層360は、多孔性部340が形成されている第2のガラス基板330で拡散しており、素子層320及び素子層320を駆動させるために有機発光素子300の下方(図示せず)に形成される薄膜トランジスタなどの素子に影響を与え得るアルカリなどのような元素を遮断する役割や、貼り合わせ層350を構成する物質が多孔性部340に浸透することを防止する役割をする層である。
【0073】
図10は、本発明の他の実施例に係るトップ・エミッション型有機発光素子を示す断面図である。
【0074】
図10に示すように、本発明の他の実施例に係るトップ・エミッション型有機発光素子400は、第1のガラス基板310、素子層320、第2のガラス基板330、多孔性部440、及び貼り合わせ層350を含んでなる。
【0075】
本発明の他の実施例に係る多孔性部440は、第2のガラス基板330に形成された複数の気孔441からなる。このとき、多孔性部440をなす複数の気孔441は、第2のガラス基板330の片面の全体に分布して層をなす
図9の実施例に係る複数の気孔341とは異なり、第2のガラス基板330の片面に部分的に分布している。図示したように、本発明の他の実施例では、多孔性部440が複数の半オーバル形状の凹凸パターンをなす。
【0076】
このとき、多孔性部440をなす複数の半オーバルパターンのピッチは、素子層320から放出した光の波長よりも大きい略1μm水準以上であるか、放出した光の波長よりも小さい略200nm以下であることが好ましく、または放出した光の波長水準のパターンが形成される場合は、その範囲内でパターンのピッチがランダムであることが好ましい。
【0077】
複数の半オーバル形状の凹凸パターンは、フォトリソグラフィ、インターフェレンス・リソグラフィ(interference lithography)、E−ビームリソグラフィ(E−beam lithography)、ディウェッティング・マスク(dewetting mask)などの方法により形成されていてよい。
【0078】
以上のように、本発明を限定された実施例や図面に基づいて説明したが、本発明は前記実施例に限定されるものではなく、本発明の属する分野における通常の知識を有する者であれば、このような記載から種々の修正及び変形が可能である。
【0079】
したがって、本発明の範囲は前述の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲や特許請求の範囲と均等なものなどによって決められるべきである。
【符号の説明】
【0080】
100、200 多孔性ガラス基板
101、201 ガラス基板
110、210 多孔性層
210’ 多孔性パターン
2 レジスト