特許第6182356号(P6182356)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6182356
(24)【登録日】2017年7月28日
(45)【発行日】2017年8月16日
(54)【発明の名称】熱交換器の取付構造
(51)【国際特許分類】
   F28F 9/00 20060101AFI20170807BHJP
   B60H 1/32 20060101ALI20170807BHJP
   B60K 11/04 20060101ALN20170807BHJP
【FI】
   F28F9/00 321
   B60H1/32 613F
   !B60K11/04 H
【請求項の数】3
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-104444(P2013-104444)
(22)【出願日】2013年5月16日
(65)【公開番号】特開2014-224654(P2014-224654A)
(43)【公開日】2014年12月4日
【審査請求日】2016年4月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000152826
【氏名又は名称】株式会社日本クライメイトシステムズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鳥越 博
(72)【発明者】
【氏名】平 泰輔
【審査官】 鈴木 充
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−188799(JP,A)
【文献】 特開2003−226162(JP,A)
【文献】 特開2010−073682(JP,A)
【文献】 特開昭60−085178(JP,A)
【文献】 特開平03−230098(JP,A)
【文献】 特開2013−002772(JP,A)
【文献】 特開平11−270989(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28F 9/00
B60H 1/32
B60K 11/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される熱交換器を、当該車両の一部を構成する車体側部材に取り付ける熱交換器の取付構造において、
上記熱交換器には、第1ブラケット及び第2ブラケットが水平方向に離れて設けられ、
上記車体側部材には、上記熱交換器を位置決めするための第1位置決め部及び第2位置決め部が上記第1ブラケット及び上記第2ブラケットの間隔に対応して上記熱交換器側へ突出するように設けられ、
上記第1ブラケットには、該第1ブラケットを上記車体側部材に締結するための締結部材が挿通する締結部材挿通孔と、上記車体側部材の上記第1位置決め部を挿入する位置決め部挿入孔とが上記第1ブラケット及び上記第2ブラケットの離間方向に離れて設けられ、該位置決め部挿入孔は、上記第1ブラケット及び上記第2ブラケットの離間方向に長い長孔形状とされ、該第1位置決め部の突出方向と直交する方向の断面は、上記第1ブラケット及び上記第2ブラケットの離間方向に長い形状とされ、
上記第2ブラケットは、上記第1ブラケットと同形状とされ、該第2ブラケットを上記車体側部材に締結するための締結部材が挿通する締結部材挿通孔と、上記車体側部材の上記第2位置決め部を挿入する位置決め部挿入孔とが上記第1ブラケット及び上記第2ブラケットの離間方向に離れて設けられ、
上記第1ブラケットの位置決め部挿入孔に上記第1位置決め部を挿入して上記第1ブラケットの締結部材挿通孔に締結部材を挿通して上記第1ブラケットを上記車体側部材に締結固定し、上記第2ブラケットの位置決め部挿入孔に上記第2位置決め部を挿入して上記第2ブラケットの締結部材挿通孔に締結部材を挿通して上記第2ブラケットを上記車体側部材に締結固定することを特徴とする熱交換器の取付構造。
【請求項2】
請求項1に記載の熱交換器の取付構造において、
上記車体側部材の第2位置決め部は、上記第2ブラケットの締結部材挿通孔に挿入不能となるように形状設定されていることを特徴とする熱交換器の取付構造。
【請求項3】
請求項1または2に記載の熱交換器の取付構造において、
上記車体側部材には、締結部材が螺合する螺合孔と、上記第2ブラケットの位置決め部挿入孔及び上記螺合孔が一致するのを阻止する誤組付防止凸部とが設けられていることを特徴とする熱交換器の取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱交換器を車体側部材に取り付けるための取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば車両用空調装置のコンデンサ等の熱交換器を車体側部材としてのラジエータに固定することが行われている(例えば、特許文献1、2参照)。
【0003】
特許文献1のコンデンサの上部には、左右両側にそれぞれブラケットが設けられ、また、下部には、左右両側にそれぞれ下方へ突出するピンが設けられている。一方、特許文献1のラジエータの下部には、左右両側にそれぞれ車両前方へ突出する取付部が設けられている。コンデンサをラジエータに取り付ける際には、コンデンサの下部のピンをラジエータの下部の取付部に差し込み、コンデンサの上部のブラケットをラジエータの上部に締結固定するようにしている。
【0004】
また、特許文献2のコンデンサには、上部の左右両側及び下部の左右両側にそれぞれブラケットが設けられている。そして、コンデンサをラジエータに取り付ける際には、コンデンサの4つのブラケットをラジエータに締結固定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−145255号公報
【特許文献2】特許第4144314号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1のように車体側部材であるラジエータの下部に取付部を車両前側へ突出するように設けると、この取付部はコンデンサのピンを挿入することができるように形成しなければならないので、取付部の車両前側への突出量が大きくなる。こうなると、コンデンサを取り付けるのに必要な車両前後方向の寸法が長くなり、車両のレイアウト上、制約を受ける場合がある。
【0007】
そこで、特許文献2のように複数のブラケットを用いてコンデンサの上下左右をラジエータに締結固定することが考えられる。ブラケットを用いることで、特許文献1のようなピンの挿入が可能な取付部を設ける場合に比べて車両前後方向の寸法は短くすることができる反面、複数のブラケットのラジエータに対する位置決めができず、各ブラケットを締結する締結部材の位置がラジエータの締結箇所とずれてしまい、締結作業性が悪化する可能性がある。
【0008】
そこで、ブラケットにラジエータへの位置決め構造を設けることが考えられるが、位置決め構造を設けるにあたっては、位置決めを確実に行えるようにしながら、コスト増もできるだけ抑制したいという要求がある。
【0009】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、熱交換器を、ブラケットを用いて車体側部材に締結固定する場合に、熱交換器を車体側部材に確実に位置決めできるようにして締結作業性を向上させ、しかも、それを低コストで実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明では、第1ブラケットと第2ブラケットとを共通化し、両ブラケットに車体側部材の位置決め部を挿入し、両ブラケットを車体側部材に締結固定するようにした。
【0011】
第1の発明は、車両に搭載される熱交換器を、当該車両の一部を構成する車体側部材に取り付ける熱交換器の取付構造において、
上記熱交換器には、第1ブラケット及び第2ブラケットが水平方向に離れて設けられ、
上記車体側部材には、上記熱交換器を位置決めするための第1位置決め部及び第2位置決め部が上記第1ブラケット及び上記第2ブラケットの間隔に対応して上記熱交換器側へ突出するように設けられ、
上記第1ブラケットには、該第1ブラケットを上記車体側部材に締結するための締結部材が挿通する締結部材挿通孔と、上記車体側部材の上記第1位置決め部を挿入する位置決め部挿入孔とが上記第1ブラケット及び上記第2ブラケットの離間方向に離れて設けられ、該位置決め部挿入孔は、上記第1ブラケット及び上記第2ブラケットの離間方向に長い長孔形状とされ、該第1位置決め部の突出方向と直交する方向の断面は、上記第1ブラケット及び上記第2ブラケットの離間方向に長い形状とされ、
上記第2ブラケットは、上記第1ブラケットと同形状とされ、該第2ブラケットを上記車体側部材に締結するための締結部材が挿通する締結部材挿通孔と、上記車体側部材の上記第2位置決め部を挿入する位置決め部挿入孔とが上記第1ブラケット及び上記第2ブラケットの離間方向に離れて設けられ、
上記第1ブラケットの位置決め部挿入孔に上記第1位置決め部を挿入して上記第1ブラケットの締結部材挿通孔に締結部材を挿通して上記第1ブラケットを上記車体側部材に締結固定し、上記第2ブラケットの位置決め部挿入孔に上記第2位置決め部を挿入して上記第2ブラケットの締結部材挿通孔に締結部材を挿通して上記第2ブラケットを上記車体側部材に締結固定することを特徴とする。
【0012】
この構成によれば、熱交換器の第1ブラケットの位置決め部挿入孔に車体側部材の第1位置決め部を挿入し、第2ブラケットの位置決め部挿入孔に車体側部材の第2位置決め部を挿入することで、熱交換器が車体側部材に対して複数箇所で確実に位置決めされる。このとき、第1ブラケットの位置決め部挿入孔及び第2ブラケットの位置決め部挿入孔が、第1ブラケット及び第2ブラケットの離間方向に長い形状であるため、各部材のバラツキを吸収することが可能であり、位置決めが確実に行われる。従って、締結部材による締結作業性が良好になる。また、第1ブラケットと第2ブラケットは同じ形状であるため、部品の共通化を図ることが可能になる。
【0013】
第2の発明は、第1の発明において
上記車体側部材の第2位置決め部は、上記第2ブラケットの締結部材挿通孔に挿入不能となるように形状設定されていることを特徴とする。
【0014】
この構成によれば、車体側部材の第2位置決め部が第2ブラケットの締結部材挿通孔に誤って挿入されてしまうことはなく、誤組付の防止が可能になる。
【0015】
の発明は、第1または2の発明において、
上記車体側部材には、締結部材が螺合する螺合孔と、上記第2ブラケットの位置決め部挿入孔及び上記螺合孔が一致するのを阻止する誤組付防止凸部とが設けられていることを特徴とする。
【0016】
この構成によれば、熱交換器の第2ブラケットを車体側部材に締結する際、車体側部材の螺合孔と第2ブラケットの締結部材挿通孔とを一致させる必要があるが、作業者が誤って車体側部材の螺合孔と第2ブラケットの位置決め部挿入孔とを一致させようとした際、誤組付防止凸部によってそれが阻止されるので、誤組付の防止が可能になる。
【発明の効果】
【0017】
第1の発明によれば、熱交換器に同形状の第1ブラケット及び第2ブラケットを設け、第1ブラケットに、車体側部材の第1位置決め部を挿入する位置決め部挿入孔を設け、この位置決め部挿入孔を長孔形状としたので、各部品のバラツキを吸収して熱交換器を車体側部材に確実に位置決めできる。また、第1ブラケットと第2ブラケットが同形状であるため、部品の共通化によってコストを低減できる。
【0018】
第2の発明によれば、車体側部材の第2位置決め部を第2ブラケットの締結部材挿入孔に挿入することができないようにしたので、誤組付を防止できる。
【0019】
の発明によれば、第2ブラケットの誤組付を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】実施形態に係るコンデンサがラジエータに取り付けられた状態の正面図である。
図2】ブラケットをエンドプレートに締結するためのボルトを省略した状態のコンデンサの正面図である。
図3】(a)はボルトを省略した状態の上部右側ブラケット近傍の拡大図であり、(b)はボルトを省略した状態の上部左側ブラケット近傍の拡大図である。
図4】(a)はブラケットの正面図であり、(b)はブラケットの側面図である。
図5図1におけるV−V線断面図である。
図6図1におけるVI−VI線断面図である。
図7】実施形態の変形例1に係る図3(b)相当図である。
図8】変形例1に係るコンデンサの誤組付状態を説明する図である。
図9】実施形態の変形例2に係る図3(b)相当図である。
図10】(a)は実施形態の変形例2に係る図6相当図であり、(b)は変形例2に係るコンデンサの誤組付状態を説明する図である。
図11】実施形態の変形例3に係る図2相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0022】
図1は、本発明の実施形態に係るコンデンサ1の取付構造を示す図である。この実施形態では、熱交換器としてのコンデンサ1を、車両の一部を構成する車体側部材としてのラジエータ100に取り付ける場合について説明する。
【0023】
尚、本実施形態では、車両前側を単に「前」といい、車両後側を単に「後」といい、車両左側を単に「左」といい、車両右側を単に「右」というものとする。
【0024】
図2にも示すコンデンサ1は、車両に搭載される空調装置(図示せず)の冷凍サイクルの一構成要素であり、冷媒を凝縮する作用を持っている。このコンデンサ1は、車両としての自動車の前部に設けられたエンジンルーム(図示せず)の前端部において走行風があたるように配設されている。
【0025】
一方、ラジエータ100は、自動車のエンジン(図示せず)の冷却水が循環するように構成されており、エンジンルームの前端部において上記コンデンサ1の後側に隣接するように配設されている。ラジエータ100は、エンジンルーム前端部を構成するフレーム(図示せず)に固定されるようになっている。上記コンデンサ1は、ラジエータ100に対してボルトBによって4カ所が締結固定されるものである。
【0026】
ラジエータ100は、上側ヘッダタンク101と、下側ヘッダタンク102と、ラジエータコア103とを備えている。上側ヘッダタンク101及び下側ヘッダタンク102は左右方向に長い形状とされており、樹脂材を成形してなるものである。上側ヘッダタンク101及び下側ヘッダタンク102にエンジン冷却水が給排されるようになっている。ラジエータコア103は、図示しないが上下方向に延びる複数のチューブと、チューブ間に配設されるフィンとで構成されている。
【0027】
図6に示すように、上側ヘッダタンク101の前壁部101aの左側には、ボルトBが螺合する上部左側螺合孔101bと、コンデンサ1を位置決めするための上部左側位置決め部101cとが設けられている。上部左側螺合孔101bは、上部左側位置決め部101cよりも右側に位置している。上部左側螺合孔101bは、上側ヘッダタンク101の前壁部101aに開口して後側へ延びている。上部左側位置決め部101cは、上側ヘッダタンク101の前壁部101aから前方へ突出する凸部で構成されている。この上部左側位置決め部101cは、図3(b)に示すように略円柱状である。
【0028】
図5に示すように、上側ヘッダタンク101の前壁部101aの右側には、ボルトBが螺合する上部右側螺合孔101dと、コンデンサ1を位置決めするための上部右側位置決め部(基準設定用凸部)101eとが設けられている。上部右側螺合孔101dは、上部右側位置決め部101eよりも右側に位置している。上部右側螺合孔101dは、上側ヘッダタンク101の前壁部101aに開口して後側へ延びている。上部右側位置決め部101eは、上側ヘッダタンク101の前壁部101aから前方へ突出する凸部で構成されている。
【0029】
図3にも示すように、上部右側位置決め部101eの左右方向の寸法は、上部左側位置決め部101cの左右方向の寸法よりも長く設定されている。また、上部左側位置決め部101cの上下方向の寸法と、上部右側位置決め部101eの上下方向の寸法は、同じに設定されている。従って、上部右側位置決め部101eは、左右方向に長い形状となっている。
【0030】
下側ヘッダタンク102の前壁部102aの左側には、上側ヘッダタンク101と同様な下部左側螺合孔(図示せず)と、下部左側位置決め部102c(図1に示す)とが設けられている。下側ヘッダタンク102の前壁部102aの右側には、上側ヘッダタンク101と同様な下部右側螺合孔(図示せず)と、下部右側位置決め部102e(図1に示す)とが設けられている。
【0031】
図2に示すように、コンデンサ1は、右側ヘッダタンク2と、左側ヘッダタンク3と、コア4と、上側エンドプレート5と、下側エンドプレート6とを備えている。右側ヘッダタンク2及び左側ヘッダタンク3は、コンデンサ1の右側及び左側においてそれぞれ上下方向に延びている。
【0032】
コア4は、左右方向に延びる複数のチューブ4a,4a,…を有している。チューブ4aは、上下方向に所定の間隔をあけて配置されている。各チューブ4aは外部空気の流れ方向に長い断面形状を有する偏平チューブである。各チューブ4aの両端部は、それぞれ右側ヘッダタンク2及び左側ヘッダタンク3に接続されている。
【0033】
上下方向に隣り合うチューブ4a,4a間には、コア4の一部となるフィン4bが配置されている。フィン4bは、コルゲートフィンである。
【0034】
また、右側ヘッダタンク2には、コンデンサ1の一部を構成するレシーバタンク(受液器)7と、冷媒の給排管8とが設けられている。レシーバタンク7は、右側ヘッダタンク2と同様に延びるように形成され、右側ヘッダタンク2から右側へ離れて配置されている。このレシーバタンク7は、バンド状の取付部材7aによって右側ヘッダタンク2に取り付けられている。給排管8は、右側ヘッダタンク2に冷媒を供給するとともに、右側ヘッダタンク2から冷媒を排出するためのものである。尚、コンデンサ1には、周知の手法によって複数のパスが形成されている。
【0035】
上側エンドプレート5は、図4(b)に仮想線で示すように、上方に開放するコ字状断面を有しており、右側ヘッダタンク2から左側ヘッダタンク3に亘って延びる長尺状部材である。上側エンドプレート5の下面は、コア4の上端部に固定されている。また、上側エンドプレート5の左右両端部は、右側ヘッダタンク2及び左側ヘッダタンク3に固定されている。
【0036】
下側エンドプレート6は、図示しないが下方に開放するコ字状断面を有しており、右側ヘッダタンク2から左側ヘッダタンク3に亘って延びる長尺状部材である。下側エンドプレート5の上面は、コア4の下端部に固定されている。また、下側エンドプレート6の左右両端部は、右側ヘッダタンク2及び左側ヘッダタンク3に固定されている。
【0037】
図1及び図2に示すように、コンデンサ1は、上部右側ブラケット(第1ブラケット)10と、上部左側ブラケット(第2ブラケット)20と、下部右側ブラケット30と、下部左側ブラケット40とを更に備えている。
【0038】
上部右側ブラケット10は、上側エンドプレート5の左右方向中央部よりも右寄りに固定されている。図4にも示すように、上部右側ブラケット10は、上側エンドプレート5に固定されるエンドプレート側固定部材11と、ラジエータ100に固定されるラジエータ側固定部材12とを一体化してなるものである。エンドプレート側固定部材11は、上側エンドプレート5の前面に沿って延びる前板部11aと、上側エンドプレート5の後面に沿って延びる後板部11bと、前板部11a及び後板部11bを連結する上板部11cとを備えており、下方に開放するコ字状断面を有している。
【0039】
ラジエータ側固定部材12は、上下方向に延びる板材で構成されている。ラジエータ側固定部材12の下部は、エンドプレート側固定部材11の前板部11aの前面に沿って延びており、この前板部11aに溶接されている。ラジエータ側固定部材12の下端部と、エンドプレート側固定部材11の下端部とは同一高さに位置している。ラジエータ側固定部材12の下部には、上側エンドプレート5と重複する部分に貫通孔12aが形成されている。この貫通孔12aに対応するように、エンドプレート側固定部材11の前板部11aにも貫通孔(図示せず)が形成されている。また、エンドプレート側固定部材11の後板部11bには、ラジエータ側固定部材12の貫通孔12aに対応するようにねじ穴11dが形成されている。さらに、上側エンドプレート5にも、ラジエータ側固定部材12の貫通孔12aに対応するように、貫通孔(図示せず)が形成されている。
【0040】
そして、ラジエータ側固定部材12の貫通孔12a、上側エンドプレート5の貫通孔、エンドプレート側固定部材11の貫通孔にボルトCを挿通させ、このボルトCを、エンドプレート側固定部材11の後板部11bのねじ穴11dに螺合させることで、エンドプレート側固定部材11が上側エンドプレート5に締結固定される。
【0041】
図4(b)に示すように、ラジエータ側固定部材12の上下方向中間部は、後側へ屈曲形成されている。この屈曲形成により、ラジエータ側固定部材12の上部は、エンドプレート側固定部材11の後板部11bの直上方に位置付けられている。
【0042】
ラジエータ側固定部材12の左右方向両縁部には、前方へ突出するリブ12b、12bが上下方向に延びるように形成されている。ラジエータ側固定部材12の上部には、上部右側ブラケット10をラジエータ100に締結するための締結部材としてのボルトBが挿通する締結部材挿通孔12cと、ラジエータ100の上部右側位置決め部101eを挿入する位置決め部挿入孔12dとが、上部右側ブラケット10及び上部左側ブラケット20の離間方向(左右方向)に離れて設けられている。
【0043】
締結部材挿通孔12cはボルトBの軸形状に対応するように略円形とされており、上部右側ブラケット10のラジエータ側固定部材12の左右方向中央部よりも右側に偏位している。図5に示すように、締結部材挿通孔12cは、上部右側ブラケット10が所定位置に位置決めされた状態で、ラジエータ100の上側ヘッダタンク101の上部右側螺合孔101dの開口と略一致するように配置される。
【0044】
位置決め部挿入孔12dは、上部右側ブラケット10及び上部左側ブラケット20の離間方向に長い長孔形状とされており、上部右側ブラケット10のラジエータ側固定部材12の左右方向中央部よりも左側に偏位している。位置決め部挿入孔12dは、上部右側ブラケット10が所定位置に位置決めされた状態で、ラジエータ100の上側ヘッダタンク101の上部右側位置決め部101eと略一致するように配置される。位置決め部挿入孔12dの長孔形状は、上部右側位置決め部101eの外形状と略相似であり、位置決め部挿入孔12dに上部右側位置決め部101eが挿入された状態で上下方向及び左右方向の遊びが少なくなるように形成されている。
【0045】
締結部材挿通孔12cの上下方向の寸法は、位置決め部挿入孔12dの上下方向の寸法よりも長く設定されている。また、締結部材挿通孔12cの中心と、位置決め部挿入孔12dの中心とは同じ高さとなるように設定されている。
【0046】
上部左側ブラケット20は、上部右側ブラケット10と同形状(同部品)である。すなわち、図2に示すように、上部左側ブラケット20は、エンドプレート側固定部材21と、ラジエータ側固定部材22とを備えている。ラジエータ側固定部材22の下部には、上側エンドプレート5と重複する部分に貫通孔22aが形成されている。ラジエータ側固定部材22の上部には、上部左側ブラケット20をラジエータ100に締結するためのボルトBが挿通する締結部材挿通孔22cと、ラジエータ100の上部左側位置決め部101cを挿入する位置決め部挿入孔22dとが左右方向に離れて設けられている。
【0047】
下部右側ブラケット30は、上部右側ブラケット10と同形状(同部品)であり、上部右側ブラケット10の上が下に位置するように180゜回転させた状態で下側エンドプレート6に固定される。すなわち、下部右側ブラケット30は、エンドプレート側固定部材31と、ラジエータ側固定部材32とを備えている。ラジエータ側固定部材32の下部には、下側エンドプレート6と重複する部分に貫通孔32aが形成されている。ラジエータ側固定部材32の下部には、下部右側ブラケット30をラジエータ100に締結するためのボルトBが挿通する締結部材挿通孔32cと、ラジエータ100の下部右側位置決め部102eを挿入する位置決め部挿入孔32dとが左右方向に離れて設けられている。
【0048】
下部左側ブラケット40は、上部右側ブラケット10と同形状(同部品)であり、上部右側ブラケット10の上が下に位置するように180゜回転させた状態で下側エンドプレート6に固定される。すなわち、下部左側ブラケット40は、エンドプレート側固定部材41と、ラジエータ側固定部材42とを備えている。ラジエータ側固定部材42の下部には、下側エンドプレート6と重複する部分に貫通孔42aが形成されている。ラジエータ側固定部材42の下部には、下部左側ブラケット40をラジエータ100に締結するためのボルトBが挿通する締結部材挿通孔42cと、ラジエータ100の下部左側位置決め部102cを挿入する位置決め部挿入孔42dとが左右方向に離れて設けられている。
【0049】
次に、上記のように構成されたコンデンサ1をラジエータ100に取り付ける要領について説明する。コンデンサ1には、上部右側ブラケット10、上部左側ブラケット20、下部右側ブラケット30及び下部左側ブラケット40をボルトCによってあらかじめ締結固定しておく。
【0050】
その後、コンデンサ1をラジエータ100の前方に配置した後、上部右側ブラケット10及び上部左側ブラケット20の上側をラジエータ100の上側ヘッダタンク101の前壁部101aに重ねていく。このとき、図3に示すように、上部右側ブラケット10の位置決め部挿入孔12dに、ラジエータ100の上部右側位置決め部101eを挿入するとともに、上部左側ブラケット20の位置決め部挿入孔22dに、ラジエータ100の上部左側位置決め部101cを挿入する。
【0051】
上部右側位置決め部101eが左右方向に長く、位置決め部挿入孔12dと略相似形状とされて挿入状態で左右方向及び上下方向のガタツキを少なくしているので、上部右側ブラケット10はラジエータ100の所定位置に位置決めされる。つまり、上部右側位置決め部101eが、上部右側ブラケット10をラジエータ100の所定位置に位置決めするための基準設定用凸部として機能する。
【0052】
上部左側ブラケット20の位置決め部挿入孔22dは左右方向に長いのに対し、ラジエータ100の上部左側位置決め部101cは円柱状であるため、上部左側位置決め部101cと位置決め部挿入孔22dとの左右方向のずれが許容される。つまり、コンデンサ1やラジエータ100の各部材にバラツキが生じている場合に、バラツキを吸収することが可能であり、位置決めが確実に行われる。
【0053】
上記のようにして上部右側ブラケット10及び上部左側ブラケット20の上側をラジエータ100の上側ヘッダタンク101の前壁部101aに重ねると、図5及び図6に示すように、上部右側ブラケット10の締結部材挿通孔12cとラジエータ100の上部右側螺合孔101dとが一致し、また、上部左側ブラケット20の締結部材挿通孔22cとラジエータ100の上部左側螺合孔101bとが一致する。
【0054】
そして、ボルトBを、上部右側ブラケット10の締結部材挿通孔12cに挿通してラジエータ100の上部右側螺合孔101dに螺合させる。また、ボルトBを、上部左側ブラケット20の締結部材挿通孔22cに挿通してラジエータ100の上部左側螺合孔101bに螺合させる。これにより、コンデンサ1の上部がラジエータ100に締結固定される。
【0055】
また、コンデンサ1の下部についても同様に、下部右側ブラケット30と、下部左側ブラケット40とをラジエータ100の下側ヘッダタンク102に重ねて位置決めした後、ボルトBによって締結固定する。
【0056】
以上説明したように、この実施形態によれば、コンデンサ1に上部右側ブラケット10及び上部左側ブラケット20を設け、上部左側ブラケット20に、ラジエータ100の上部左側位置決め部101cを挿入する位置決め部挿入孔22dを設け、この位置決め部挿入孔22dを長孔形状としたので、各部品のバラツキを吸収してコンデンサ1をラジエータ100に確実に位置決めできる。また、上部右側ブラケット10及び上部左側ブラケット20が同形状であるため、部品の共通化によってコストを低減できる。
【0057】
また、上部左側ブラケット20と、下部右側ブラケット30と、下部左側ブラケット40とが、上部右側ブラケット10と同形状であるため、ブラケットの共通化を図ることができ、コストをより一層低減できる。
【0058】
尚、図7及び図8に示す変形例1のように、上部左側位置決め部101cが上部左側ブラケット20の締結部材挿通孔22cに挿入不能となるように形状設定してもよい。具体的には、上部左側位置決め部101cの外径が、締結部材挿通孔22cの内径よりも大きくなるようにする。これにより、図8に示すように、上部左側位置決め部101cを上部左側ブラケット20の締結部材挿通孔22cと一致するように配置して上部左側ブラケット20を矢印X方向に移動させても、上部左側位置決め部101cが締結部材挿通孔22dに誤って挿入されてしまうことはなく、誤組付の防止が可能になる。
【0059】
また、図9及び図10に示す変形例2のように、ラジエータ100の上側ヘッダタンク101に、上部左側ブラケット20の位置決め部挿入孔22d及び上部左側螺合孔101bが一致するのを阻止する誤組付防止凸部101gを設けるようにしてもよい。この誤組付防止凸部101gは、上側ヘッダタンク101の前壁部101aから前方へ突出している。この誤組付防止凸部101gは、図10(b)に示すように、上部左側ブラケット20の位置決め部挿入孔22dが、矢印X方向に移動して上部左側螺合孔101bに接近するように配置された場合に、上部左側ブラケット20に当接して位置決め部挿入孔22dが上部左側螺合孔101bと一致しないようにするためのものである。これにより、誤組付の防止が可能になる。
【0060】
また、図11に示す変形例3のように、レシーバータンク7をコンデンサ1の左側に配置し、給排管8をコンデンサ1の右側に配置することもできる。この場合、コンデンサ1のレシーバータンク7側をコンデンサ1の位置決めの基準とすることもできるし、給排管8側をコンデンサ1の位置決めの基準とすることもできる。
【0061】
また、上部右側ブラケット10と上部左側ブラケット20を共通化し、下部右側ブラケット30と下部左側ブラケット40は、上部右側ブラケット10とは異なる形状としてもよい。また、上部右側ブラケット10と下部右側ブラケット30を共通化し、上部左側ブラケット20と下部左側ブラケット40は、上部右側ブラケット10とは異なる形状としてもよい。
【0062】
また、コンデンサ1は、ラジエータ100以外にも車両のフレーム等(車体側部材)に取り付けることもできる。
【0063】
また、コンデンサ1以外の熱交換器を車体側部材に取り付ける場合に本発明を適用することもできる。
【0064】
また、ボルトBの代わりに例えばリベット等の締結部材を用いることもできる。
【0065】
上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0066】
以上説明したように、本発明に係る熱交換器の取付構造は、例えば、コンデンサをラジエータに取り付ける場合に利用できる。
【符号の説明】
【0067】
1 コンデンサ(熱交換器)
10 上部右側ブラケット(第1ブラケット)
12c 締結部材挿通孔
12d 位置決め部挿入孔
20 上部左側ブラケット(第2ブラケット)
22c 締結部材挿通孔
22d 位置決め部挿入孔
30 下部右側ブラケット(第1ブラケット)
40 下部左側ブラケット(第2ブラケット)
100 ラジエータ(車体側部材)
101c 上部左側位置決め部(第2位置決め部)
101e 上部右側位置決め部(第1位置決め部、基準設定用凸部)
101g 誤組付防止凸部
B ボルト(締結部材)
図1
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図3
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図7
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図11