(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記板状部は、前記第1方向において前記光軸から離間する方向に延在して当該板状部の先端側に前記弾性部が構成されていることを特徴とする請求項3または4に記載の光学ユニット。
前記弾性部の前記第2方向の寸法が、前記フレキシブル配線基板において前記弾性部に重なる部分の前記第2方向の寸法と同一であることを特徴とする請求項6乃至8の何れか一項に記載の光学ユニット。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の構成のように、可動体3の光軸方向後側端部3bと固定体200との間でフレキシブル配線基板490を折り返した構造では、可動体3の光軸方向後側端部3bと固定体200との間でフレキシブル配線基板490が2回通ることになる。このため、可動体3の光軸方向後側端部3bと固定体200との間に大きなスペースを確保する必要があるため、光学ユニットの光軸方向の寸法が大きくなってしまうという問題点がある。
【0006】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、光学ユニットの光軸方向の寸法が小さく、かつ、可動体が光軸と直交する方向に変位したときでもフレキシブル配線基板が過度に緊張することを防止することができる光学ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係る光学ユニットは、光学素子を保持する可動体と、前記可動体を揺動可能に支持する固定体と、前記可動体を揺動させる駆動機構と、前記可動体の光軸に対して直交する第1方向の一方側に設けられた可動体側基板保持部から前記可動体の前記光軸が延在する方向の後側を通って前記固定体の前記第1方向の他方側に設けられた固定体側基板保持部に保持されたフレキシブル配線基板と、を有し、前記可動体側基板保持部および前記固定体側基板保持部のうちの少なくとも一方は、前記光軸に沿う方向に弾性変形可能な弾性部を備え、当該弾性部
に前記フレキシブル配線基板
が固定されていることを特徴とする。
【0008】
本発明において、フレキシブル配線基板は、光軸に対して直交する第1方向の一方側で可動体の可動体側基板保持部に保持され、可動体の光軸方向後側を通って固定体の第1方向の他方側に設けられた固定体側基板保持部に保持されている。このため、フレキシブル配線基板は、可動体の光軸方向後側を1回通るだけであるため、光学ユニットの光軸方向の寸法を小さくすることができる。また、フレキシブル配線基板は、第1方向の他方側で固定体の固定体側基板保持部に保持されているため、固定体によるフレキシブル配線基板の保持位置より外側でフレキシブル配線基板に力が加わっても、かかる力の影響は可動体まで届かない。さらに、可動体側でフレキシブル配線基板を保持する可動体側基板保持部、および固定体側でフレキシブル配線基板を保持する固定体側基板保持部のうちの少なくとも一方では、光軸に沿う方向に弾性変形可能な弾性部にフレキシブル配線基板が接続されているため、外部からの衝撃によって可動体が第1方向の一方側(固定体による保持位置とは反対側)に変位したときでも、かかる変位は弾性部の光軸に沿う方向への変形によって吸収される。
【0009】
本発明において、前記弾性部は、前記光軸に対して交差する方向に延在する板状部に切り欠きが形成されてなる構成を採用することができる。
【0010】
本発明において、前記切り欠きは、前記板状部の前記光軸および前記第1方向に直交する第2方向の寸法を狭めるように形成され、前記板状部の前記切り欠きより先端側によって前記弾性部が構成されていることが好ましい。かかる構成によれば、板状部を薄くすることによって弾性部を構成する場合より、弾性部を容易に形成することができる。
【0011】
本発明において、前記板状部は、例えば金属製である。かかる構成によれば、可動体や固定体に用いた金属部分の一部を利用して弾性部を構成することができる。
【0012】
本発明において、前記板状部は、前記第1方向において前記光軸から離間する方向に延在して当該板状部の先端側に前記弾性部が構成されていることが好ましい。かかる構成によれば、可動体側基板保持部と固定体側基板保持部との間のフレキシブル配線基板を長くすることができる。従って、フレキシブル配線基板を撓みやすくすることができる。
【0013】
本発明において、前記弾性部と前記フレキシブル配線基板とは、前記弾性部と前記フレキシブル配線基板との重なり部分に設けられた接着剤により
固定されている構成を採用することができる。
【0014】
本発明において、前記弾性部には、前記フレキシブル配線基板と重なる面に形成された
有底の溝と、該溝
の一部に重なる貫通穴と、が形成されていることが好ましい。かかる構成によれば、弾性部にフレキシブル配線基板を重ねた状態で貫通穴から接着剤を注入して弾性部とフレキシブル配線基板とを接続することができる。また、接着剤は溝内に溜まるので、弾性部とフレキシブル配線基板とを強固に接続することができる。
【0015】
本発明において、前記溝は、前記フレキシブル配線基板の前記第2方向の全体に重なっていることが好ましい。かかる構成によれば、弾性部とフレキシブル配線基板とをより強固に接続することができる。
【0016】
本発明において、前記弾性部の前記第2方向の寸法が、前記フレキシブル配線基板において前記弾性部に重なる部分の前記第2方向の寸法と同一であることが好ましい。かかる構成によれば、弾性部とフレキシブル配線基板とを強固に接続することができる。
【0017】
本発明において、前記接着剤は、弾性を有していることが好ましい。
【0018】
本発明において、前記フレキシブル配線基板において前記弾性部に
固定されている部分には補強板が貼付されていることが好ましい。かかる構成によれば、フレキシブル配線基板を弾性部に確実に固定することができる。
【0019】
本発明において、前記固定体は、前記可動体に前記光軸が延在する方向の後側で対向する底板部と、前記可動体を覆う筒状胴部と、を備え、前記底板部に前記固定体側基板保持部が構成され、前記弾性部は、少なくとも前記固定体側基板保持部に形成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明において、フレキシブル配線基板は、光軸に対して直交する第1方向の一方側で可動体の可動体側基板保持部に保持され、可動体の光軸方向後側を通って固定体の第1方向の他方側に設けられた固定体側基板保持部に保持されている。このため、フレキシブル配線基板は、可動体の光軸方向後側を1回通るだけであるため、光学ユニットの光軸方向の寸法を小さくすることができる。また、フレキシブル配線基板は、第1方向の他方側で固定体の固定体側基板保持部に保持されているため、固定体によるフレキシブル配線基板の保持位置より外側でフレキシブル配線基板に力が加わっても、かかる力の影響は可動体まで届かない。さらに、可動体側でフレキシブル配線基板を保持する可動体側基板保持部、および固定体側でフレキシブル配線基板を保持する固定体側基板保持部のうちの少なくとも一方では、光軸に沿う方向に弾性変形可能な弾性部にフレキシブル配線基板が接続されているため、外部からの衝撃によって可動体が第1方向の一方側(固定体による保持位置とは反対側)に変位したときでも、かかる変位は弾性部の光軸に沿う方向への変形によって吸収される。このため、可動体が第1方向の一方側(固定体による保持位置とは反対側)に変位したときでも、フレキシブル配線基板が過度に緊張することがないため、フレキシブル配線基板が切断する等の事態を回避することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を実施するための形態を、図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明においては、光学ユニットとして、撮像ユニットの手振れを防止する機能を備えた振れ補正機能付きの光学ユニットを例示する。また、以下の説明では、互いに直交する3方向を各々X軸方向、Y軸方向、Z軸方向とし、光軸L(レンズ光軸)に沿う方向(光軸方向)をZ軸方向とする。また、以下の説明では、各方向の振れのうちX軸周りの回転は、いわゆるピッチング(縦揺れ)に相当しY軸周りの回転は、いわゆるヨーイング(横揺れ)に相当しZ軸周りの回転は、いわゆるローリングに相当する。また、X軸方向の一方側にはX1を付し、他方側にはX2を付し、Y軸方向の一方側にはY1を付し、他方側にはY2を付し、Z軸方向の一方側(被写体側とは反対側/光軸方向後側)にはZ1を付し、他方側(被写体側/光軸方向前側)にはZ2を付して説明する。なお、本発明における「第1方向」はY軸方向に相当し、「第2方向」はX軸方向に相当する。
【0023】
[実施の形態1]
(光学機器の全体構成)
図1は、本発明を適用した振れ補正機能付きの光学ユニットを携帯電話機等の光学機器に搭載した様子を模式的に示す説明図である。
【0024】
図1に示す光学ユニット100(振れ補正機能付き光学ユニット)は、カメラ付き携帯電話機等の光学機器1000に用いられる薄型カメラであって、光学機器1000のシャーシ1100(機器本体)に支持された状態で搭載される。光学機器1000では、撮影時に手振れ等の振れが発生すると、撮像画像に乱れが発生する。そこで、本形態の光学ユニット100には、後述するように、撮像ユニット1を備えた可動体3を固定体200内で揺動可能に支持するとともに、光学ユニット100に搭載したジャイロスコープ(図示せず)、あるいは光学機器1000の本体側に搭載したジャイロスコープ(図示せず)等の振れ検出センサによって手振れを検出した結果に基づいて、可動体3を揺動させる振れ補正用駆動機構(
図1では図示せず)が設けられている。
【0025】
(光学ユニットの全体構成)
図2は、本発明の実施の形態1に係る振れ補正機能付きの光学ユニットの全体構成を示す説明図であり、
図2(a)、(b)は、光学ユニットの斜視図、およびブロック毎に分解した分解斜視図である。
図3は、本発明の実施の形態1に係る振れ補正機能付きの光学ユニットの分解斜視図である。
図4は、本発明の実施の形態1に係る振れ補正機能付きの光学ユニットの断面図であり、
図4(a)、(b)は、YZ断面図およびXZ断面図である。
【0026】
図2〜
図4に示すように、光学ユニット100は、固定体200と、撮像ユニット1を備えた可動体3と、可動体3が固定体200に対して変位可能に支持された状態とする揺動支点180と、可動体3を固定体200に対して揺動させる磁気駆動力を発生させる振れ補正用駆動機構500とを有している。また、光学ユニット100は、可動体3を揺動支点180に向けて付勢するバネ部材600を有している。光学ユニット100では、撮像ユニット1や振れ補正用駆動機構への給電等を行うためのフレキシブル配線基板400、470が引き出されている。フレキシブル配線基板400は、撮像ユニット1から信号を出力する機能等を担っている。このため、フレキシブル配線基板400は、可動体3に接続されている。
【0027】
可動体3において、撮像ユニット1は、鋼板等の強磁性板からなる矩形箱状のケース14を有しており、かかるケース14の内側には、レンズ1aを保持するホルダ、ホルダを保持する円筒状のスリーブ、レンズ1aをフォーカシング方向に駆動するレンズ駆動機構、光軸方向の後側に配置された撮像素子1b(
図1参照)、撮像素子1bを保持する素子ホルダ等が設けられている。かかる撮像ユニット1の外周部分はケース14からなる。本形態において、ケース14の側板部140には、後述するフォトリフレクタに対する反射面を構成する反射シート141、142が貼付されている。
【0028】
固定体200は上カバー250および下カバー700等を備えており、上カバー250は、可動体3の周りを囲む角筒状の筒状胴部210と、筒状胴部210の被写体側の開口部を塞ぐ端板部220とを備えている。端板部220には、被写体からの光が入射する窓220aが形成されている。上カバー250において、筒状胴部210は、被写体側(光軸が延在している側)とは反対側(Z1側)の端部が開放端になっている。筒状胴部210においてX軸方向に位置する側面には切り欠き219が形成され、Y軸方向に位置する側面には切り欠き218が形成されている。切り欠き218、219のうち、切り欠き218は、フレキシブル配線基板400等を外部に引き出すのに利用され、他の切り欠き219は、上カバー250と下カバー700とを接着や溶接等により結合するのに利用されている。
【0029】
下カバー700は、金属板に対するプレス加工品であり、略矩形の底板部710と、底板部710の外周縁から被写体側に向けて起立する3つの側板部720とを備えており、側板部720が形成されていない側は、フレキシブル配線基板400等を外部に引き出すのに利用されている。下カバー700の底板部710にはその中央位置に揺動支点180を構成する受け部材181が保持されており、受け部材181は、可動体3の光軸方向後側端部3bに当接することにより可動体3を揺動可能に支持している。本形態において、受け部材181は、底板部710の中央位置に形成された穴717によって保持されている。ここで、可動体3の光軸方向後側端部3bは、後述する剛性板30からなり、かかる剛性板30には、受け部材181に当接する半球状のピボット部31が形成されている。
【0030】
(可動体3の構成)
可動体3は、撮像ユニット1、矩形枠状の第1ホルダ71、および矩形枠状の第2ホルダ72を備えており、第1ホルダ71と第2ホルダ72との間には、振れ補正用駆動機構500に用いた平板状の永久磁石520が保持されている。より具体的には、永久磁石520において光軸方向前側の面には第1ホルダ71が固定され、永久磁石520において光軸方向後側の面には第2ホルダ72が固定されており、永久磁石520、第1ホルダ71および第2ホルダ72によって角筒状の永久磁石アセンブリ75が構成されている。このため、角筒状の永久磁石アセンブリ75の内側に撮像ユニット1を挿入した後、撮像ユニット1のケース14の外周面と、永久磁石アセンブリ75の内周面(永久磁石520の内面)とを接着剤等により固定すれば、永久磁石520、第1ホルダ71、第2ホルダ72および撮像ユニット1を一体化して可動体3を構成することができる。
【0031】
(バネ部材600の構成)
バネ部材600は、固定体200側に連結される矩形枠状の固定側連結部620と、可動体3側に連結される可動側連結部610と、可動側連結部610と固定側連結部620の間で延在する複数本のアーム部630とを備えた板状バネ部材であり、アーム部630の両端は各々、可動側連結部610および固定側連結部620に繋がっている。
【0032】
バネ部材600を可動体3と固定体200とに接続するにあたって、本形態では、可動側連結部610が第2ホルダ72の光軸方向の後側端面に溶接等の方法で固定されている。また、固定側連結部620は、下カバー700の側板部720の上端部に溶接等の方法で固定されている。バネ部材600は、ベリリウム銅や非磁性のSUS系鋼材等といった非磁性の金属製であり、所定厚の薄板に対するプレス加工、あるいはフォトリソグラフィ技術を用いたエッチング加工により形成したものである。
【0033】
ここで、バネ部材600の可動側連結部610を可動体3に連結する一方、固定側連結部620を固定体200に固定すると、光学ユニット100を組み立てた時点で、可動体3は、揺動支点180によって光軸方向の前側に押し上げられた状態となる。このため、バネ部材600において、可動側連結部610は固定側連結部620よりも光軸方向前側に押し上げられた状態となり、バネ部材600のアーム部630は、可動体3を光軸方向後側に付勢する。従って、可動体3は、バネ部材600によって揺動支点180に向けて付勢された状態になり、可動体3は、揺動支点180によって揺動可能な状態に固定体200に支持された状態となる。
【0034】
(振れ補正用駆動機構の構成)
本形態の光学ユニット100では、コイル部560と、コイル部560に鎖交する磁界を発生させる永久磁石520とによって、振れ補正用駆動機構500が構成されている。より具体的には、可動体3においてケース14の4つの外面には平板状の永久磁石520が各々固定されており、上カバー250(固定体200)の筒状胴部210の内面にはコイル部560が固定されている。永久磁石520は、外面側および内面側が異なる極に着磁されている。また、永久磁石520は、光軸方向に配置された2つの磁石片からなり、かかる磁石片は、コイル部560と対向する側の面が光軸方向で異なる極に着磁されている。また、コイル部560は、四角形の枠状に形成されており、上下の長辺部分が有効辺として利用される。
【0035】
これらの永久磁石520およびコイル部560のうち、可動体3をY軸方向の両側で挟む2箇所に配置された永久磁石520およびコイル部560はY側振れ補正用駆動機構を構成しており、揺動支点180を通ってX軸方向に延在する軸線を中心にして可動体3を揺動させる。また、撮像ユニット1をX軸方向の両側で挟む2箇所に配置された永久磁石520およびコイル部560はX側振れ補正用駆動機構を構成しており、揺動支点180を通ってY軸方向に延在する軸線を中心にして可動体3を揺動させる。
【0036】
本形態では、コイル部560として、上カバー250の筒状胴部210の4つの内面に沿って配置されたシート状コイル体550が用いられている。シート状コイル体550は、導電配線技術を利用して微細な銅配線からなるコイル部560をプリント基板上に形成した構造を有しており、複数層の銅配線(コイル部560)が絶縁膜を介して多層に形成されている。また、銅配線(コイル部560)の表面も絶縁膜で覆われている。ここで、フレキシブル配線基板470は、上カバー250の筒状胴部210の4つの内面に沿うように折り曲げた状態で上カバー250の内面に面接着等の方法で固定されている。シート状コイル体550は、フレキシブル配線基板470に貼付されており、フレキシブル配線基板470を介して給電される。このように本形態では、コイル部560としてシート状コイル体550が用いられているため、単体の空芯コイルを用いた場合に比して、可動体3と固定体200との間隔を狭めることができる。従って、光学ユニット100のサイズを小さくすることができる。フレキシブル配線基板470において、シート状コイル体550が貼付されている領域には補強シート590が貼付されている。また、フレキシブル配線基板470の端部にも補強シート591が貼付されている。なお、フレキシブル配線基板470において、可動体3に設けた反射シート141、142と対向する位置には、フォトリフレクタ(図示せず)が実装されている。
【0037】
(ストッパ機構の構成)
本形態の光学ユニット100において、可動体3は、揺動支点180によって揺動可能な状態に固定体200に支持された状態にある。従って、外部から大きな力が加わって可動体3が大きく変位すると、バネ部材600のアーム部630が塑性変形するおそれがある。そこで、可動体3において、撮像ユニット1の光軸方向の後側端部には、矩形枠状のストッパ部材77が固定されている。かかるストッパ部材77は、永久磁石520より外側に突出し、シート状コイル体550の下端部分と狭い隙間を介して対向している。このため、可動体3が光軸方向に直交する方向に変位した際の可動範囲を規定するストッパ機構が構成されている。
【0038】
(振れ補正動作)
本形態の光学ユニット100において、
図1に示す光学機器1000が振れると、かかる振れはジャイロスコープによって検出されるとともに、上位の制御部では、ジャイロスコープでの検出に基づいて、振れ補正用駆動機構500を制御する。すなわち、ジャイロスコープで検出した振れを打ち消すような振れを発生させる駆動電流をフレキシブル配線基板470を介してシート状コイル体550のコイル部560に供給する。その結果、振れ補正用駆動機構500は、揺動支点180を中心に可動体3をY軸周りに揺動させる。また、振れ補正用駆動機構500は、揺動支点180を中心に可動体3をX軸周りに揺動させる。また、可動体3のX軸周りの揺動、およびY軸周りの揺動を合成すればXY面全体に対して可動体3を変位させることができる。それ故、光学ユニット100で想定される全ての振れを確実に補正することができる。
【0039】
(フレキシブル配線基板400等の構成)
本形態の光学ユニット100において、可動体3の撮像ユニット1には、フレキシブル配線基板400の一方の端部が接続されており、かかるフレキシブル配線基板400は、以下の構成を有している。まず、可動体3の内側には、光軸方向の前側の面に撮像素子1bが実装された剛性の実装基板450が配置されており、実装基板450のY軸方向の一方側Y1の端部にはフレキシブル配線基板400が繋がっている。本形態において、実装基板450はフレキシブル配線基板400と一体に形成されている。
【0040】
フレキシブル配線基板400は、可動体3のY軸方向の一方側Y1から引き出された後、可動体3の光軸方向後側端部3bと固定体200(下カバー700)の底板部710との間でY軸方向の他方側Y2に向けて延在し、固定体200の外部まで引き出されている。フレキシブル配線基板400には、Y軸方向の他方側Y2で固定体200に接着固定される被保持部405が設けられている。
【0041】
本形態では、可動体3において、実装基板450は撮像ユニット1に固定されている。また、実装基板450に対して光軸方向の後側の面に重なるように金属製の剛性板30が配置されており、剛性板30は、実装基板450に接着等の方法で固定されている。従って、本形態では、剛性板30の光軸方向後側の面によって可動体3の光軸方向後側端部3bが構成されている。
【0042】
剛性板30の略中央には、光軸方向の後側に突出する半球状のピボット部31が形成されており、かかるピボット部31は、下カバー700の底板部710に保持された受け部材181に当接して揺動支点180を構成している。ここで、剛性板30に対して光軸方向後側にはフレキシブル配線基板400が位置するが、フレキシブル配線基板400には、ピボット部31と重なる領域にY軸方向に延在する長円形状の穴409が形成されている。このため、ピボット部31は、底板部710に保持された受け部材181に直接当接している。
【0043】
また、フレキシブル配線基板400は、可動体3と底板部710との間に位置する部分の幅寸法が大となっているが、穴409によってX軸方向で2分割されている。このため、フレキシブル配線基板400において、可動体3と底板部710との間に位置する部分の剛性が大幅に低下した構造になっている。従って、可動体3を揺動させた際、フレキシブル配線基板400から可動体3に加わる力が小さい。
【0044】
(フレキシブル配線基板400の保持構造)
図5は、本発明の実施の形態1に係る振れ補正機能付きの光学ユニット100に用いたフレキシブル配線基板400等の構成を模式的に示す説明図であり、
図5(a)、(b)、(c)は、フレキシブル配線基板400に下カバー700を重ねた状態の説明図、フレキシブル配線基板400と下カバー700とを分離した状態の説明図、およびフレキシブル配線基板400から剛性板30を分離した状態の説明図である。
図6は、本発明の実施の形態1に係る振れ補正機能付きの光学ユニット100において、下カバー700によってフレキシブル配線基板400を保持している様子を示す説明図であり、
図6(a)、(b)、(c)は、下カバー700においてフレキシブル配線基板400を保持している部分の平面図、底面図、および断面図である。
【0045】
図4(a)に示すように、可動体3のY軸方向の一方側Y1において、フレキシブル配線基板400には、可動体3からの引き出し部分の近傍でY軸方向の一方側Y1に延在した後、他方側Y2に向けてU字形状に折り曲げられた折り曲げ部401が設けられている。また、折り曲げ部401は、剛性板30のY軸方向の一方側Y1の端部の光軸方向後側の面に接着剤によって固定されており、かかる接着部分によって、可動体3がフレキシブル配線基板400を保持する可動体側基板保持部380が構成されている。可動体側基板保持部380には、X軸方向に延在する2本の溝33が並列するように形成されており、かかる溝33は、フレキシブル配線基板400と剛性板30とを接着剤によって固定する際、接着剤の溜まり部として利用されている。
【0046】
図4(a)、
図5および
図6に示すように、Y軸方向の他方側Y2において、フレキシブル配線基板400の被保持部405は、固定体200のうち、下カバー700の底板部710に接着されている。本形態において、下カバー700の底板部710は、可動体3の光軸方向後側端部3bと対向する領域からY軸方向の他方側Y2(光軸Lから離間する方向)に突出した板状部730を有しており、かかる板状部730には、固定体200がフレキシブル配線基板400を保持する固定体側基板保持部280が構成されている。
【0047】
このように本形態では、フレキシブル配線基板400は、可動体3の可動体側基板保持部380と固定体200の固定体側基板保持部280とによって、可動体3の光軸方向後側端部3bより光軸方向後側(可動体3の光軸方向後側端部3bと固定体200の底板部710との間)で斜めに延在する部分420の両側が保持されている。
【0048】
(弾性部の構成)
ここで、板状部730の根元部分には切り欠き731が形成されており、かかる切り欠き731によって、板状部730の根元部分には括れ733が形成されている。本形態において、切り欠き731は、板状部730のX軸方向の両側端部からX軸方向にスリット状に切り込んだ形状に形成されており、板状部730のX軸方向の寸法(幅寸法)を狭くしている。このため、板状部730のうち、切り欠き731より先端側は、光軸Lに沿うZ軸方向に弾性変形可能な弾性部732になっており、かかる弾性部732によって、フレキシブル配線基板400の被保持部405を保持する固定体側基板保持部280が構成されている。
【0049】
本形態においては、フレキシブル配線基板400と固定体側基板保持部280(弾性部732)との重なり部分に設けた接着剤によって、フレキシブル配線基板400の被保持部405と固定体側基板保持部280とが接続されている。
【0050】
ここで、弾性部732(固定体側基板保持部280)には、フレキシブル配線基板400の被保持部405と重なる面に溝736が形成されているとともに、溝736のX軸方向の中央と重なる位置に貫通穴737が形成されている。このため、弾性部732にフレキシブル配線基板400を重ねた状態で貫通穴737から接着剤を注入して弾性部732とフレキシブル配線基板400の被保持部405とを接続することができる。
【0051】
本形態において、弾性部732のX軸方向の寸法は、フレキシブル配線基板400において弾性部732と重なる部分(被保持部405)のX軸方向の寸法と等しい。また、溝736は、弾性部732のX軸方向の全体に形成されている。このため、溝736は、フレキシブル配線基板400の被保持部405に対してX軸方向の全体に重なっている。
【0052】
また、フレキシブル配線基板400の被保持部405には、光軸方向前側の面に補強板480が接着剤等によって貼付されている。また、被保持部405には、フレキシブル配線基板400および補強板480を貫通するように2つの貫通穴485が形成されている。このため、フレキシブル配線基板400の被保持部405を接着剤によって固定する際、貫通穴485についても接着剤注入穴として利用することができる。本形態において、補強板480のX軸方向の寸法は、フレキシブル配線基板400において補強板480が貼付されている部分のX軸方向の寸法と同一であり、補強板480のY軸方向の寸法は、弾性部732のY軸方向の寸法と同一である。
【0053】
なお、下カバー700の底板部710のZ軸方向の他方側Z2の面には、Y軸方向の他方側Y2にX軸方向に延在する溝状凹部719が形成されており、溝状凹部719は、フレキシブル配線基板400と底板部710との接触面積を低減する機能を担っている。
【0054】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態の光学ユニット100(振れ補正機能付き光学ユニット)では、可動体3が固定体200の揺動支点180によって揺動可能に支持されているため、振れ補正用駆動機構500を作動させれば、揺動支点180を中心に可動体3を揺動させることができる。従って、手振れ等に起因して光学ユニット100に振れが生じた場合でも、可動体3を揺動させることによって、振れを補正することができる。
【0055】
また、フレキシブル配線基板400は、Y軸方向の一方側Y1で可動体3の可動体側基板保持部380に連結され、可動体3の光軸方向後側端部3bと固定体200の底板部710との間を通って他方側Y2に向けて延在して固定体200の固定体側基板保持部280に保持されている。このため、フレキシブル配線基板400は、可動体3の光軸方向後側端部3bと固定体200の底板部710との間を1回通るだけであるため、可動体3の光軸方向後側端部3bと固定体200の底板部710との間が狭く済む。従って、光学ユニット100の光軸方向の寸法を小さくすることができる。
【0056】
また、フレキシブル配線基板400は、Y軸方向の他方側Y2で固定体200の固定体側基板保持部280に保持されているため、固定体200によるフレキシブル配線基板400の保持位置より外側でフレキシブル配線基板400に力が加わっても、かかる力の影響は可動体3まで届かない。
【0057】
さらに、固定体200側でフレキシブル配線基板400を保持する固定体側基板保持部280では、光軸Lに沿うZ軸方向に弾性変形可能な弾性部732にフレキシブル配線基板400が保持されている。このため、外部からの衝撃によって、矢印Y0で示すように、可動体3がY軸方向の一方側Y1(固定体200による保持位置とは反対側)に変位したときでも、かかる変位は、弾性部732の矢印Z0への変形によって吸収される。このため、可動体3がY軸方向の一方側Y1(固定体200による保持位置とは反対側)に変位したときでも、フレキシブル配線基板400が過度に緊張することがないため、フレキシブル配線基板400が切断する等の事態を回避することができる。
【0058】
しかも、板状部730に弾性部732を構成するにあたって、切り欠き731は、板状部730のX軸方向の寸法を狭めるように形成され、板状部730の切り欠き731より先端側によって弾性部732が構成されている。このため、板状部730を薄くすることによって弾性部を構成する場合より、弾性部を容易に形成することができる。
【0059】
また、弾性部732は、下ケース700の底板部710において光軸Lから離間する方向に突出した板状部730の先端側の部分である。このため、固定体側基板保持部280と可動体側基板保持部380とが離間している。従って、可動体3の光軸方向後側端部3bより光軸方向後側(可動体3の光軸方向後側端部3bと固定体200の底板部710との間)で斜めに延在する部分420が長いので、フレキシブル配線基板400が撓みやすい。
【0060】
また、弾性部732は、下ケース700の底板部710において光軸Lから離間する方向に突出した金属製の板状部730である。このため、弾性部732を構成するのに新たな部材を追加する必要がない。
【0061】
また、フレキシブル配線基板400の被保持部405は、固定体200の固定体側基板保持部280に接着剤による固定により保持されており、フレキシブル配線基板400において固定体200に保持されている部分には補強板480が貼付されている。このため、フレキシブル配線基板400の被保持部405を固定体200に確実に固定することができる。
【0062】
また、弾性部732(固定体側基板保持部280)には、フレキシブル配線基板400の被保持部405と重なる面に溝736が形成されているとともに、溝736のX軸方向の中央と重なる位置に貫通穴737が形成されている。また、フレキシブル配線基板400の被保持部405および補強板480には貫通穴485が形成され、固定体200において補強板480と光軸方向で重なる弾性部732には貫通穴737が形成されているとともに、溝736が形成されている。このため、フレキシブル配線基板400を弾性部732に接着剤により固定する際、貫通穴485、737を接着剤注入穴として利用し、溝736を接着剤の溜まり部として利用することができる。また、貫通穴485、737の縁でもフレキシブル配線基板400と固定体200の弾性部732とが接着されることになる。このため、フレキシブル配線基板400と固定体200とを強固に固定することができる。
【0063】
また、弾性部732のX軸方向の寸法は、フレキシブル配線基板400において弾性部732と重なる部分(被保持部405)のX軸方向の寸法と等しい。また、溝736は、弾性部732のX軸方向の全体に形成されている。このため、溝736は、フレキシブル配線基板400の被保持部405に対してX軸方向の全体に重なっている。それ故、弾性部732とフレキシブル配線基板400の被保持部405とを確実に接着固定することができる。
【0064】
[実施の形態2]
上記実施の形態1では、固定体側基板保持部280に、光軸Lに沿うZ軸方向に弾性変形可能な弾性部を設けたが、可動体3のケース14の側板部140に可動体側基板保持部380を設け、かかる可動体側基板保持部380に対して、光軸Lに沿うZ軸方向に弾性変形可能な弾性部を設けてもよい。
【0065】
[実施の形態3]
上記実施の形態1では、可動体3の可動体側基板保持部380とフレキシブル配線基板400との固定に用いる接着剤や、固定体200の固定体側基板保持部280とフレキシブル配線基板400との固定に用いる接着剤については硬質な接着剤を用いてもよいが、弾性を有する接着剤を用いてもよい。弾性を有する接着剤によれば、かかる接着剤のZ軸方向への変形によってフレキシブル配線基板400の緊張を緩和することができる。
【0066】
[他の実施の形態]
上記実施の形態では、カメラ付き携帯電話機に用いる光学ユニット100に本発明を適用した例を説明したが、薄型のデジタルカメラ等に用いる光学ユニット100に本発明を適用してもよい。また、上記形態では、撮像ユニット1にレンズ駆動機構等が構成されている例を説明したが、撮像ユニット1にレンズ駆動機構が搭載されていない固定焦点タイプの光学ユニットに本発明を適用してもよい。
【0067】
上記実施の形態では、揺動支点180のピボット部31が可動体3の側に構成されていたが、固定体200の側に揺動支点180のピボット部31が形成されている構成を採用してもよい。
【0068】
さらに、本発明を適用した振れ補正機能付きの光学ユニット100は、携帯電話機やデジタルカメラ等の他、冷蔵庫等、一定間隔で振動を有する装置内に固定し、遠隔操作可能にしておくことで、外出先、たとえば買い物の際に、冷蔵庫内部の情報を得ることができるサービスに用いることもできる。かかるサービスでは、姿勢安定化装置付きのカメラシステムであるため、冷蔵庫の振動があっても安定な画像を送信可能である。また、本装置を児童、学生のカバン、ランドセルあるいは帽子等の、通学時に装着するデバイスに固定してもよい。この場合、一定間隔で、周囲の様子を撮影し、あらかじめ定めたサーバへ画像を転送すると、この画像を保護者等が、遠隔地において観察することで、子供の安全を確保することができる。かかる用途では、カメラを意識することなく移動時の振動があっても鮮明な画像を撮影することができる。また、カメラモジュールのほかにGPSを搭載すれば、対象者の位置を同時に取得することも可能となり、万が一の事故の発生時には、場所と状況の確認が瞬時に行える。さらに、本発明を適用した振れ補正機能付き光学ユニット100を自動車において前方が撮影可能な位置に搭載すれば、ドライブレコーダーとして用いることができる。また、本発明を適用した振れ補正機能付き光学ユニット100を自動車において前方が撮影可能な位置に搭載して、一定間隔で自動的に周辺の画像を撮影し、決められたサーバに自動転送してもよい。また、カーナビゲーションの道路交通情報通信システム等の渋滞情報と連動させて、この画像を配信することで、渋滞の状況をより詳細に提供することができる。かかるサービスによれば、自動車搭載のドライブレコーダーと同様に事故発生時等の状況を、意図せずに通りがかった第三者が記録し状況の検分に役立てることもできる。また、自動車の振動に影響されることなく鮮明な画像を取得できる。かかる用途の場合、電源をオンにすると、制御部に指令信号が出力され、かかる指令信号に基づいて、振れ制御が開始される。
【0069】
また、本発明を適用した振れ補正機能付きの光学ユニット100は、レーザポインタ、携帯用や車載用の投射表示装置や直視型表示装置等、光を出射する光学機器の振れ補正に適用してもよい。また、天体望遠鏡システムあるいは双眼鏡システム等、高倍率での観察において三脚等の補助固定装置を用いることなく観察するのに用いてもよい。また、狙撃用のライフル、あるいは戦車等の砲筒とすることで、トリガ時の振動に対して姿勢の安定化が図れるので、命中精度を高めることができる。