特許第6182360号(P6182360)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本電波工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6182360-水晶デバイス 図000002
  • 特許6182360-水晶デバイス 図000003
  • 特許6182360-水晶デバイス 図000004
  • 特許6182360-水晶デバイス 図000005
  • 特許6182360-水晶デバイス 図000006
  • 特許6182360-水晶デバイス 図000007
  • 特許6182360-水晶デバイス 図000008
  • 特許6182360-水晶デバイス 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6182360
(24)【登録日】2017年7月28日
(45)【発行日】2017年8月16日
(54)【発明の名称】水晶デバイス
(51)【国際特許分類】
   H03H 9/02 20060101AFI20170807BHJP
   H03B 5/32 20060101ALI20170807BHJP
【FI】
   H03H9/02 N
   H03H9/02 A
   H03B5/32 H
   H03B5/32 A
【請求項の数】10
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-118420(P2013-118420)
(22)【出願日】2013年6月5日
(65)【公開番号】特開2014-236452(P2014-236452A)
(43)【公開日】2014年12月15日
【審査請求日】2016年5月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000232483
【氏名又は名称】日本電波工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106541
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 信和
(72)【発明者】
【氏名】社本 勝哉
【審査官】 角張 亜希子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−005117(JP,A)
【文献】 特開2009−010671(JP,A)
【文献】 特開2002−009578(JP,A)
【文献】 特開平09−298439(JP,A)
【文献】 特開2009−302701(JP,A)
【文献】 特開2013−005099(JP,A)
【文献】 特開2005−198237(JP,A)
【文献】 実開平07−016422(JP,U)
【文献】 特開2008−294585(JP,A)
【文献】 特開2003−008388(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L21/54
23/00−23/04
23/06−23/10
23/16−23/26
H03B5/30−5/42
H03H3/007−3/06
9/00−9/135
9/15−9/24
9/30−9/40
9/46−9/62
9/66
9/70
9/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の周波数で振動し、一対の励振電極及び前記一対の励振電極から引き出された引出電極が形成された水晶振動片と、
上面が開口して形成され前記水晶振動片が載置される第1凹部を有し、前記第1凹部には前記一対の引出電極に導電性接着剤を介して接合される一対の接続電極が形成され、さらに前記第1凹部の底面には前記水晶振動片の主面の面積より広く形成されたアース金属膜が形成されたパッケージと、
前記上面に載置されて前記第1凹部を密閉し、金属材料により形成されるリッド板と、を有し、
前記水晶振動片は前記リッド板と前記アース金属膜とに挟まれるように載置され、
前記パッケージの下面には、前記リッド板及び前記アース金属膜に電気的に接続されるアース端子が形成され
前記リッド板及び前記アース金属膜には前記アース端子を介して熱が伝えられて加熱され、前記水晶振動片が前記リッド板及び前記アース金属膜からの放射熱により加温される
水晶デバイス。
【請求項2】
所定の周波数で振動し、一対の励振電極及び前記一対の励振電極から引き出された引出電極が形成された水晶振動片と、
上面が開口して形成され前記水晶振動片が載置される第1凹部を有し、前記第1凹部には前記一対の引出電極に導電性接着剤を介して接合される一対の接続電極が形成され、さらに前記第1凹部の底面には前記水晶振動片の主面の面積より広く形成され前記一対の接続電極に電気的に接続される一対の水晶金属膜が形成されたパッケージと、
前記上面に載置されて前記第1凹部を密閉し、金属材料により形成されるリッド板と、を有し、
前記水晶振動片は前記リッド板と前記一対の水晶金属膜とに挟まれるように載置され、
前記パッケージの下面には、前記リッド板に電気的に接続されるアース端子が形成され
前記リッド板には前記アース端子を介して熱が伝えられて加熱され、前記一対の水晶金属膜が前記リッド板からの放射熱により加温され、前記水晶振動片が前記リッド板からの放射熱及び前記一対の水晶金属膜から伝わる熱により加温される水晶デバイス。
【請求項3】
前記パッケージの前記下面には前記下面が開口して形成される第2凹部が形成され、
前記底面の反対側の前記第2凹部の天井面には、温度を測定する温度センサが配置される請求項1又は請求項2に記載の水晶デバイス。
【請求項4】
前記パッケージの前記下面には前記下面が開口して形成される第2凹部が形成され、
前記第1凹部には温度を測定する温度センサと、前記リッド板及び前記アース金属膜に熱的に接続され発熱するヒーター回路とが配置され、
前記第2凹部には前記温度センサ、前記ヒーター回路、及び前記水晶振動片を制御する集積回路が配置される請求項1に記載の水晶デバイス。
【請求項5】
前記パッケージの前記下面には前記下面が開口して形成される第2凹部が形成され、
前記第1凹部には温度を測定する温度センサと、前記リッド板に熱的に接続され発熱するヒーター回路とが配置され、
前記第2凹部には前記温度センサ、前記ヒーター回路、及び前記水晶振動片を制御する集積回路が配置される請求項2に記載の水晶デバイス。
【請求項6】
前記第1凹部内には、温度を測定する温度センサと、前記リッド板及び前記アース金属膜に熱的に接続され発熱するヒーター回路と、前記温度センサ、前記ヒーター回路、及び前記水晶振動片を制御する集積回路と、が配置される請求項1に記載の水晶デバイス。
【請求項7】
前記第1凹部内には、温度を測定する温度センサと、前記リッド板に熱的に接続され発熱するヒーター回路と、前記温度センサ、前記ヒーター回路、及び前記水晶振動片を制御する集積回路と、が配置される請求項2に記載の水晶デバイス。
【請求項8】
前記パッケージの前記下面には前記下面が開口して形成される第2凹部が形成され、
前記第2凹部内には、温度を測定する温度センサと、前記リッド板及び前記アース金属膜に熱的に接続され発熱するヒーター回路と、前記温度センサ、前記ヒーター回路、及び前記水晶振動片を制御する集積回路と、が配置される請求項1に記載の水晶デバイス。
【請求項9】
前記パッケージの前記下面には前記下面が開口して形成される第2凹部が形成され、
前記第2凹部内には、温度を測定する温度センサと、前記リッド板に熱的に接続され発熱するヒーター回路と、前記温度センサ、前記ヒーター回路、及び前記水晶振動片を制御する集積回路と、が配置される請求項2に記載の水晶デバイス。
【請求項10】
前記第1凹部の一方の側には前記水晶振動片を載置し、前記接続電極が形成される一対の載置部が形成され、
前記第1凹部の他方の側には、前記アース端子に電気的に接続される金属膜が形成される保持部が形成され、
前記水晶振動片は、前記金属膜上に形成される前記導電性接着剤に接触して保持される請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の水晶デバイス。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の周波数で振動する水晶振動片が載置された水晶デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
所定の周波数で振動する水晶振動片は、温度変化によりその周波数が変化する。このような水晶振動片の周波数変化を防ぐために、水晶振動片を所定の温度に制御する恒温槽付水晶発振器(OCXO)が知られている。例えば、特許文献1では、サーミスタ及び加熱抵抗と共に温度制御回路が形成されて水晶振動片の温度制御がなされる恒温型の水晶発振器が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−77963号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に示されるような水晶発振器においても、さらに温度の安定性を高めること及び温度が安定に至るまでの時間を短くすることが求められている。また、このように水晶振動片の温度を安定に保ち、水晶振動片の周波数変化を防ぐことは、水晶発振器に限らず他の様々な水晶デバイスにも求められている。
【0005】
本発明は、水晶振動片の温度の安定性が高く、水晶振動片の温度が安定に至るまでの時間が短い水晶デバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1観点の水晶デバイスは、所定の周波数で振動し、一対の励振電極及び一対の励振電極から引き出された引出電極が形成された水晶振動片と、上面が開口して形成され水晶振動片が載置される第1凹部を有し、第1凹部には一対の引出電極に導電性接着剤を介して接合される一対の接続電極が形成され、さらに第1凹部の底面には水晶振動片の主面の面積より広く形成されたアース金属膜が形成されたパッケージと、上面に載置されて第1凹部を密閉し、金属材料により形成されるリッド板と、を有する。また、水晶振動片はリッド板とアース金属膜とに挟まれるように載置され、パッケージの下面には、リッド板及びアース金属膜に電気的に接続されるアース端子が形成される。
【0007】
第2観点の水晶デバイスは、所定の周波数で振動し、一対の励振電極及び一対の励振電極から引き出された引出電極が形成された水晶振動片と、上面が開口して形成され水晶振動片が載置される第1凹部を有し、第1凹部には一対の引出電極に導電性接着剤を介して接合される一対の接続電極が形成され、さらに第1凹部の底面には水晶振動片の主面の面積より広く形成され一対の接続電極に電気的に接続される一対の水晶金属膜が形成されたパッケージと、上面に載置されて第1凹部を密閉し、金属材料により形成されるリッド板と、を有する。また、水晶振動片はリッド板と一対の水晶金属膜とに挟まれるように載置され、パッケージの下面には、リッド板に電気的に接続されるアース端子が形成される。
【0008】
第3観点の水晶デバイスは、第1観点において、リッド板及びアース金属膜にはアース端子を介して熱が伝えられて加熱され、水晶振動片がリッド板及びアース金属膜からの放射熱により加温される。
【0009】
第4観点の水晶デバイスは、第2観点において、リッド板にはアース端子を介して熱が伝えられて加熱され、一対の水晶金属膜がリッド板からの放射熱により加温され、水晶振動片がリッド板からの放射熱及び一対の水晶金属膜から伝わる熱により励振電極が加温されることにより保温される。
【0010】
第5観点の水晶デバイスは、第1観点から第4観点において、パッケージの下面には下面が開口して形成される第2凹部が形成され、底面の反対側の第2凹部の天井面には、温度を測定する温度センサが配置される。
【0011】
第6観点の水晶デバイスは、第1観点において、パッケージの下面には下面が開口して形成される第2凹部が形成され、第1凹部には温度を測定する温度センサと、リッド板及びアース金属膜に熱的に接続され発熱するヒーター回路とが配置され、第2凹部には温度センサ、ヒーター回路、及び水晶振動片を制御する集積回路が配置される。
【0012】
第7観点の水晶デバイスは、第2観点において、パッケージの下面には下面が開口して形成される第2凹部が形成され、第1凹部には温度を測定する温度センサと、リッド板に熱的に接続され発熱するヒーター回路とが配置され、第2凹部には温度センサ、ヒーター回路、及び水晶振動片を制御する集積回路が配置される。
【0013】
第8観点の水晶デバイスは、第1観点において、第1凹部内には、温度を測定する温度センサと、リッド板及びアース金属膜に熱的に接続され発熱するヒーター回路と、温度センサ、ヒーター回路、及び水晶振動片を制御する集積回路と、が配置される。
【0014】
第9観点の水晶デバイスは、第2観点において、第1凹部内には、温度を測定する温度センサと、リッド板に熱的に接続され発熱するヒーター回路と、温度センサ、ヒーター回路、及び水晶振動片を制御する集積回路と、が配置される。
【0015】
第10観点の水晶デバイスは、第1観点において、パッケージの下面には下面が開口して形成される第2凹部が形成され、第2凹部内には、温度を測定する温度センサと、リッド板及びアース金属膜に熱的に接続され発熱するヒーター回路と、温度センサ、ヒーター回路、及び水晶振動片を制御する集積回路と、が配置される。
【0016】
第11観点の水晶デバイスは、第2観点において、パッケージの下面には下面が開口して形成される第2凹部が形成され、第2凹部内には、温度を測定する温度センサと、リッド板に熱的に接続され発熱するヒーター回路と、温度センサ、ヒーター回路、及び水晶振動片を制御する集積回路と、が配置される。
【0017】
第12観点の水晶デバイスは、第1観点から第11観点において、第1凹部の一方の側には水晶振動片を載置し、接続電極が形成される一対の載置部が形成され、第1凹部の他方の側には、アース端子に電気的に接続される金属膜が形成される保持部が形成され、水晶振動片は、金属膜上に形成される導電性接着剤に接触して保持される。
【発明の効果】
【0018】
本発明の水晶デバイスによれば、水晶振動片の温度の安定性が高く、安定に至るまでの時間を短くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】水晶デバイス100の分解斜視図である。
図2】(a)は、パッケージ120の上面図である。 (b)は、第2層120b及び第3層120cの上面図である。 (c)は、水晶振動片110が載置されたパッケージ120の平面図である。
図3図1のA−A断面図である。
図4】(a)は、水晶デバイス200の断面図である。 (b)は、水晶デバイス300の断面図である。
図5】水晶デバイス400の断面図である。
図6】(a)は、LSI140が載置されたパッケージ120の上面図である。 (b)は、水晶デバイス500の断面図である。
図7】水晶デバイス600の断面図である。
図8】(a)は、パッケージ620の上面図である。 (b)は、第2層120b及び第3層620cの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明の範囲は以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
【0021】
(第1実施形態)
<水晶デバイス100の構成>
図1は、水晶デバイス100の分解斜視図である。水晶デバイス100は、表面実装型の水晶デバイスであり、プリント基板等に実装されて使用される。水晶デバイス100は主に、水晶振動片110と、パッケージ120と、リッド板130と、により形成されている。水晶振動片110には、例えばATカットの水晶振動片が用いられる。ATカットの水晶振動片は、主面(YZ面)が結晶軸(XYZ)のY軸に対して、X軸を中心としてZ軸からY軸方向に35度15分傾斜されている。以下の説明では、ATカットの水晶振動片の軸方向を基準とし、傾斜された新たな軸をY’軸及びZ’軸として用いる。すなわち、水晶デバイス100において水晶デバイス100の長手方向をX軸方向、水晶デバイス100の高さ方向をY’軸方向、X軸方向及びY’軸方向に垂直な方向をZ’軸方向として説明する。
【0022】
水晶振動片110は、+Y’軸側の面及び−Y’軸側の面に励振電極111が形成されており、各励振電極111からは水晶振動片110の−X軸側の辺に引出電極112が引き出されている。+Y’軸側の面に形成されている励振電極111から引き出される引出電極112は−X軸側の辺の+Z’軸側に引き出され、+Z’軸側の側面を介して−Y’軸側の面に引き出されている。−Y’軸側の面に形成されている励振電極111から引き出されている引出電極112は、−X軸側の辺の−Z’軸側に引き出され、−Z’軸側の側面を介して+Y’軸側の面に引き出されている。
【0023】
パッケージ120は、X軸方向に伸びる長辺、及びZ’軸方向に伸びる短辺を有している。また、パッケージ120の−Y’軸側の面であり水晶デバイス100が実装される実装面122bには外部端子125が形成されており、パッケージ120の+Y’軸側の面である上面にはリッド板130に接合される接合面122a及び接合面122aから−Y’軸方向に凹んだ凹部121が形成されている。接合面122aには凹部121を囲むように枠状金属膜127aが形成されており、凹部121には水晶振動片110が載置される載置部123及び水晶振動片110を支える保持部128が形成されている。載置部123の+Y’軸側の面には、水晶振動片110の引出電極112に導電性接着剤152(図3参照)を介して電気的に接続される接続電極124が形成されており、保持部128の+Y’軸側の面には金属膜127bが形成されている。また、凹部121内の−Y’軸側の面である底面121aには、アース金属膜127cが形成されている。
【0024】
パッケージ120は、例えばセラミックを基材としており、第1層120a、第2層120b、及び第3層120cの3つの層が重ね合わされることにより形成されている。第1層120aは、パッケージ120の+Y’軸側に配置され、第1層120aの+Y’軸側の面には接合面122aが形成されている。第2層120bは、第1層120aの−Y’軸側の面に接合されて配置されており、載置部123及び保持部128を形成している。第3層120cは、第2層120bの−Y’軸側の面に形成されており、第3層120cの−Y’軸側の面である実装面122bには外部端子125が形成されている。外部端子125の一部は接地されるアース端子125aであり、アース端子125aには枠状金属膜127a、金属膜127b、及びアース金属膜127cが電気的に接続されている。また、パッケージ120の四隅の側面にはパッケージ120の内側に凹んだキャスタレーション129が形成されている。
【0025】
リッド板130は、平板状に形成されており、パッケージ120の接合面122aにシームリング151(図3参照)を介して接合されて、パッケージ120の凹部121を密封する。また、リッド板130は金属材料により形成されており、アース端子125aに電気的に接続されている。
【0026】
図2(a)は、パッケージ120の上面図である。凹部121内の−X軸側の+Z’軸側及び−Z’軸側の角にはそれぞれ載置部123が形成されており、各載置部123の+Y’軸側の面には接続電極124が形成されている。また、凹部121内の+X軸側の端の中央には保持部128が形成されており、保持部128の+Y’軸側の面には金属膜127bが形成されている。さらに、凹部121の底面121aには水晶振動片110の主面の面積より広くなるようにアース金属膜127cが形成されている。枠状金属膜127a、金属膜127b、及びアース金属膜127cは、パッケージ120をY’軸方向に貫通してアース端子125aに電気的に接続される貫通電極126aを介して互いに電気的に接続されている。
【0027】
図2(b)は、第2層120b及び第3層120cの上面図である。図2(b)では、底面121a及び第2層120bの+Y’軸側の面が示されている。また、図2(b)では、パッケージ120の−Y’軸側の面である実装面122bに形成される外部端子125がパッケージ120を透過して点線で示されている。パッケージ120の実装面122bの四隅にはそれぞれ外部端子125が形成されている。実装面122bの+X軸側の+Z’軸側及び−X軸側の−Z’軸側に形成される外部端子125は接地されるアース端子125aである。また、実装面122bの−X軸側の+Z’軸側及び+X軸側の−Z’軸側に形成される外部端子125は、接続電極124を介して水晶振動片110の引出電極112に電気的に接続される水晶端子125bである。+Z’軸側に形成されている接続電極124は、パッケージ120をY’軸方向に貫通して水晶端子125bに電気的に接続される貫通電極126bを介して−X軸側の+Z’軸側に形成される水晶端子125bに導通している。また、−Z’軸側に形成されている接続電極124は第2層120bの+Y’軸側の面を介して第2層120bの+X軸側の−Z’軸側の角に引き出され、さらに貫通電極126bを介して実装面122bの+X軸側の−Z’軸側に形成される水晶端子125bに導通している。一方、保持部128に形成されている金属膜127bは、第2層120bの+Y’軸側の面を介して第2層120bの+X軸側の+Z’軸側の角に引き出され、貫通電極126aを介して実装面122bの+X軸側のアース端子125aに導通する。また、アース金属膜127cは、第3層120c上を+X軸側の+Z’軸方向に引き出され、貫通電極126aを介して+X軸側のアース端子125aに電気的に接続されている。
【0028】
図2(c)は、水晶振動片110が載置されたパッケージ120の上面図である。底面121aに形成されるアース金属膜127cは水晶振動片110の主面よりも広く形成されるため、水晶振動片110を凹部121に載置してパッケージ120を+Y’軸側より見た場合には、アース金属膜127cの一部が水晶振動片110の周囲に観察される。また、水晶振動片110は載置部123及び保持部128に導電性接着剤152を介して載置されている。
【0029】
図3は、図1のA−A断面図である。図3は、図2(a)から図2(c)のA−A断面も含んでいる。また、図3では、水晶デバイス100が実装されるプリント基板150及びプリント基板150上に形成されている電極150aが示されている。図3に示される電極150aは接地されており、これにより、電極150aにハンダ153を介して接合されている水晶デバイス100のアース端子125aも接地される。また、プリント基板150には、接地されている電極150aを加熱するためのヒーター回路(不図示)が載置されており、アース端子125aの温度を上げることができるようになっている。
【0030】
水晶デバイス100のパッケージ120の凹部121は、リッド板130がシームリング151を介して接合面122aに接合されることにより密封されている。シームリング151は接合面122a上に配置されるように矩形形状に形成された環状のリングであり、電気を伝導する金属材料で形成されている。シームリング151が環状金属膜127aとリッド板130とを電気的に接続するため、リッド板130はアース端子125aに電気的に接続される。また、図3に示されるように、水晶振動片110は水晶デバイス100の凹部121内でアース端子125aに電気的に接続されるリッド板130及びアース金属膜127cにY’軸方向に挟まれて載置されている。
【0031】
水晶デバイス100のアース端子125aは、プリント基板150の電極150aを加温することにより加温される。加温されたアース端子125aの熱は、アース端子125aから貫通電極126aを介してアース金属膜127c、金属膜127b、及びリッド板130に送られて、これらを加温する。さらに、加温されたリッド板130及びアース金属膜127cからは水晶振動片110に熱が放射熱として伝えられ、水晶振動片110が加温される。また、金属膜127bからは導電性接着剤152を介して熱が水晶振動片110に伝わることにより、水晶振動片110が加温される。
【0032】
このように、水晶デバイス100では、水晶デバイス100の外部から水晶デバイス100に熱が伝えられることにより、水晶振動片110が加温される。また、水晶振動片110が、水晶振動片110の主面である+Y’軸側の面及び−Y’軸側の面を覆うように加温されるリッド板130及びアース金属膜127cに挟まれて配置されることで水晶振動片110への単位時間あたりの伝熱量を多くすることができ、水晶振動片110を早く安定な温度状態に置くことができるため好ましい。そのため、水晶デバイス100では、水晶振動片110を早く安定な周波数を発振する状態に置くことができるため好ましい。
【0033】
さらに、水晶デバイス100では、金属膜127bから導電性接着剤152を介して水晶振動片110を直接温めることができる。このことによっても、水晶振動片110の振動周波数が安定に至るまでの時間が短くされるため好ましい。
【0034】
(第2実施形態)
水晶デバイスでは、水晶デバイスに温度センサ等を配置することにより水晶振動片の温度が調節されても良い。また、水晶デバイスにはさらにヒーターが配置されることにより、水晶デバイス内に熱を発生させて水晶振動片を加温しても良い。以下にこのような様々な構成要素を有する水晶デバイスについて説明する。また、以下の説明では第1実施形態と同じ部分に関しては第1実施形態と同じ番号を付してその説明を省略する。
【0035】
<水晶デバイス200の構成>
図4(a)は、水晶デバイス200の断面図である。水晶デバイス200は主に、水晶振動片110と、パッケージ220と、リッド板130と、温度センサ141と、により形成されている。
【0036】
パッケージ220は、X軸方向に長辺、Z’軸方向に短辺が形成されている。また、パッケージ220の+Y’軸側の面にはリッド板130がシームリング151を介して接合される接合面221a及び接合面221aから−Y’軸方向に凹んだ第1凹部221が形成されている。接合面221aには、枠状金属膜227aが形成されている。第1凹部221内の−Y’軸側の面である底面221bには一対の接続電極224及びアース金属膜227cが形成されている。一対の接続電極224には導電性接着剤152を介して水晶振動片110が載置される。また、アース金属膜227cはその面積が水晶振動片110の主面よりも広くなるように形成されている。
【0037】
一方、パッケージ220の−Y’軸側の面には水晶デバイス200が実装される実装面222a及び実装面222aから+Y’軸側に凹んだ第2凹部222が形成されている。第2凹部222内の+Y’軸側の面である天井面222bには、サーミスタ等により構成される温度センサ141が配置されている。また、実装面222aには、複数の外部端子225が形成されている。外部端子225は、接地されるアース端子225a及び接続電極224に導通する水晶端子(不図示)等により構成される。
【0038】
パッケージ220は、セラミックを基材としており、第1層220a、第2層220b、及び第3層220cの3つの層が重ね合わされることにより形成されている。第1層220aはパッケージ220の+Y’軸側に配置されており、第1層220aの+Y’軸側の面には接合面221aが形成されている。第1層220aは、第1凹部221の側面を形成する層である。第2層220bは、第1層220aの−Y’軸側の面に接合されており、+Y’軸側の面が底面221bとなり−Y’軸側の面が天井面222bとなる層である。第2層220bは、第1凹部221と第2凹部222との間を仕切る層である。第3層220cは第2層220bの−Y’軸側の面に配置されており、第2凹部222の側面を形成する層である。第3層220cの−Y’軸側の面には外部端子225が形成される実装面222aとなる。
【0039】
水晶デバイス200では、温度センサ141が第2凹部222の天井面222bに配置されるため、温度センサ141がアース金属膜227cからの放射熱を受ける。そのため、温度センサ141の温度を測定することにより水晶振動片110の温度を予測することができ、この温度センサ141の温度を温度制御の参考とすることで水晶振動片110の温度を安定に保つことができ、水晶振動片110の周波数制御を安定したものとすることができる。また、温度センサ141は接着剤によりパッケージに固定される場合があるが、このような場合に水晶振動片110が接着剤から出るガスの影響を受けることがないため、水晶振動片110の長期周波数安定性を保つことができる。
【0040】
<水晶デバイス300の構成>
図4(b)は、水晶デバイス300の断面図である。水晶デバイス300は、主に水晶振動片110と、パッケージ220と、リッド板130と、温度センサ141と、ヒーター回路142と、集積回路143と、により構成され、水晶発振器として使用される。温度センサ141、ヒーター回路142、及び集積回路143は、パッケージ220の天井面222bに配置されている。ヒーター回路142は、例えば加熱抵抗又はパワートランジスタ等により構成される。ヒーター回路142はパッケージ220をY’軸方向に貫通する貫通電極226を介してアース端子225a、アース金属膜227c、及びリッド板130に電気的、熱的に接続される。そのため、ヒーター回路142で発生した熱は貫通電極226を介してアース金属膜227c及びリッド板130に伝えられる。集積回路143は、接続電極224に電気的に接続されて水晶振動片110の振動を制御する。また、集積回路143は温度センサ141及びヒーター回路142にも電気的に接続され、これらの構成部品を制御する。そのため、集積回路143は、温度センサ141が検出した温度に基づいてヒーター回路142の発熱量を調整することで水晶振動片110の温度を調整し、周波数を安定に調整することができる。
【0041】
水晶デバイス300はヒーター回路142を備えることにより、アース金属膜227c及びリッド板130の近くにヒーター回路142が配置されることになるため、アース金属膜227c及びリッド板130をより早く加温することができ、これにより水晶振動片110をより早く加温することができる。また、ヒーター回路142がアース金属膜227c及びリッド板130の近くに配置されることによりヒーター回路142の発熱量の制御結果がアース金属膜227c及びリッド板130に反映されやすい。そのため、アース金属膜227c及びリッド板130の温度制御を行い易く、その制御速度も早くなるため好ましい。
【0042】
<水晶デバイス400の構成>
図5は、水晶デバイス400の断面図である。水晶デバイス400は主に、水晶振動片110と、パッケージ420と、リッド板130と、温度センサ141と、ヒーター回路142と、集積回路143と、により構成され、水晶発振器として使用される。
【0043】
パッケージ420は、X軸方向に長辺、Z’軸方向に短辺が形成されている。また、パッケージ420の+Y’軸側の面にはリッド板130がシームリング151を介して接合される接合面421a及び接合面421aから−Y’軸方向に凹んだ第1凹部421が形成されている。第1凹部421内の−Y’軸側の面である底面421bには温度センサ141及びヒーター回路142が配置されており、また、アース金属膜427cが形成されている。一対の接続電極424には導電性接着剤152を介して水晶振動片110が載置される。また、アース金属膜427cはその面積が水晶振動片110の主面よりも広くなるように形成されている。他方、パッケージ420の−Y’軸側の面には水晶デバイスが実装される実装面422a及び実装面422aから+Y’軸側に凹んだ第2凹部422が形成されている。第2凹部422内の+Y’軸側の面である天井面422bには集積回路143が配置されている。また、実装面422aには、複数の外部端子425が形成されており、外部端子425は接地されるアース端子425a及び接続電極424に導通する水晶端子(不図示)等により構成される。
【0044】
パッケージ420は、セラミックを基材としており、第1層420a、第2層420b、第3層420c、及び第4層420dの4つの層が重ね合わされることにより形成されている。第1層420aはパッケージ420の+Y’軸側に配置されており、第1層420aの+Y’軸側の面には接合面421aが形成されている。第2層420bは、第1層420aの−Y’軸側の面に接合されており、第1凹部421内に形成される載置部423及び保持部428を構成する。第3層420cは、第2層420bの−Y’軸側に配置され、+Y’軸側の面が底面421bとなり−Y’軸側の面が天井面422bとなる層である。第3層420cは、第1凹部421と第2凹部422との間に配置され、第1凹部421と第2凹部422とを仕切っている。第4層420dは、第3層420cの−Y’軸側の面に形成されており、第4層420dの−Y’軸側の面には外部端子425が形成されている。第4層420dは、第2凹部422の側面を形成する層である。
【0045】
水晶デバイス400では、水晶振動片110が載置される第1凹部421内に温度センサ141が配置されている。そのため、水晶振動片110の温度をより直接的に測定することができるため、より正確な温度を測定することができ好ましい。また、水晶振動片110が載置される第1凹部421内にヒーター回路142が配置されているため、水晶振動片110の温度の制御速度を早くすることができ、より早く水晶振動片110を安定な温度にすることができるため好ましい。
【0046】
<水晶デバイス500の構成>
図6(a)は、LSI140が載置されたパッケージ120の上面図である。水晶デバイス100(図1参照)は、パッケージ120の底面121aにLSI(Large Scale Integration)140が載置されて水晶デバイス500として形成することができる。LSI140は、温度センサ141、ヒーター回路142、及び集積回路143の機能を集積したものである。
【0047】
図6(b)は、水晶デバイス500の断面図である。図6(b)は、図6(a)のB−B断面を含んでいる。LSI140は第3層120cを貫通する貫通電極(不図示)を介して外部端子125及び接続電極124に電気的に接続される。また、LSI140はリッド板130、金属膜127b、及びアース金属膜127cに熱的、電気的に接続されており、LSI140にて発生した熱がリッド板130、金属膜127b、及びアース金属膜127cに伝熱される。
【0048】
水晶デバイス500では、水晶デバイス100と同様に、リッド板130及びアース金属膜127cからの放射熱、及び金属膜127cに形成される導電性接着剤152を介する水晶振動片110への伝熱により水晶振動片110を加熱し、水晶振動片110の温度を調整することができる。また、水晶振動片110の近くに配置されたLSI140により水晶振動片110の温度が測定されるため、精度よく水晶振動片110の温度を測定することができ、早く安定した温度状態に水晶振動片110を置くことができる。
【0049】
(第3実施形態)
第1実施形態及び第2実施形態では、凹部の底面に形成されるアース金属膜を介して水晶振動片110が加熱されたが、アース金属膜の代わりに接続電極に導通する水晶金属膜を介して水晶振動片110が加熱されても良い。以下に、水晶金属膜が形成された水晶デバイスについて説明する。また、第1実施形態及び第2実施形態と同じ部分に関しては、第1実施形態及び第2実施形態と同じ符号を用いてその説明を省略する。
【0050】
<水晶デバイス600の構成>
図7は、水晶デバイス600の断面図である。図7は、後述の図8(a)から図8(c)のC−C断面を含んだ断面図である。水晶デバイス600は、主に、水晶振動片110と、パッケージ620と、リッド板130と、により形成されている。パッケージ620は、第1層120a、第2層120b、及び第3層620cにより形成されている。第3層620cは、図3に示された第3層120cにおいてアース金属膜127cの代わりに接続電極124に貫通電極126cを介して電気的に接続される水晶金属膜627cが形成された層である。水晶金属膜627cは、水晶振動片110の主面の面積よりも広くなるように形成されている。
【0051】
水晶デバイス600では、プリント基板150等からアース端子125aを介して金属膜127b及びリッド板130が加熱される。リッド板130の熱は放射熱として水晶振動片110に伝わり、水晶振動片110を加温する。また、金属膜127bは、導電性接着剤152を介して水晶振動片110を加温する。水晶振動片110の熱は接続電極124を介して貫通電極126cに伝わり、さらにその熱は水晶金属膜627cに伝わる。水晶金属膜627cの熱は放射熱として水晶振動片110に伝えられる。
【0052】
図8(a)は、パッケージ620の上面図である。パッケージ620では、底面121aに一対の水晶金属膜627cが形成されている。各水晶金属膜627cは一対の接続電極123に電気的に接続されている。
【0053】
図8(b)は、第2層120b及び第3層620cの上面図である。図8(b)では、底面120aと第2層620bの+Y’軸側の面とが示されている。また、図8(b)では、パッケージ620の−Y’軸側の面に形成される外部端子125が点線で示されている。凹部121の+Z’軸側に形成されている接続電極124は貫通電極126bを介して−X軸側の+Z’軸側に形成される水晶端子125bに導通し、−Z’軸側に形成されている接続電極124は第2層120bの+Y’軸側の面を介して第2層120bの+X軸側の−Z’軸側に引き出され、さらに貫通電極126bを介して+X軸側の−Z’軸側に形成される水晶端子125bに導通する。また、+Z’軸側に形成されている水晶金属膜627cは、+Z’軸側に形成されている接続電極124に貫通電極126bを介して電気的に接続され、−Z’軸側に形成されている水晶金属膜627cは、−Z’軸側に形成される接続電極124に貫通電極126cを介して電気的に接続される。
【0054】
図8(c)は、水晶振動片110が載置されたパッケージ620の上面図である。水晶金属膜627cが形成される合計面積は、水晶振動片110の主面の面積よりも広くなるように形成される。これにより、水晶振動片110は、水晶金属膜627c及びリッド板130から放射熱を受けることにより早く安定な温度状態に置くことができる。そのため、水晶デバイス600では、水晶振動片110を早く安定な周波数を発振する状態に置くことができる
【0055】
水晶デバイス600では、図6(b)に示された水晶デバイス500と同様に、LSI140が凹部121の底面121aにLSI140が配置されても良い。また、図4(a)及び図4(b)に示されるようなパッケージ220においてアース金属膜227cの代わりに水晶金属膜を形成さすることにより水晶デバイスが形成されても良い。さらに、図5に示された水晶デバイス400において、アース金属膜427cの代わりに水晶金属膜が形成されても良い。このとき、ヒーター回路142は貫通電極226に熱的に接続されて金属膜427b及びリッド板130を加温する。また、温度センサ141及びヒーター回路142は、水晶金属膜とは電気的に接続されないように配置される。
【0056】
以上、本発明の最適な実施形態について詳細に説明したが、当業者に明らかなように、本発明はその技術的範囲内において実施形態に様々な変更・変形を加えて実施することができる。
【0057】
例えば、保持部が形成されていない水晶デバイス200等において保持部が形成されても良く、保持部が形成されている水晶デバイス100等において保持部が形成されていなくても良い。また、水晶デバイス100において、保持部128には導電性接着剤152を形成しなくても良く、金属膜127bの熱を放射熱として水晶振動片110に伝えるのみとしても良い。
【符号の説明】
【0058】
100、200、300、400、500、600 … 水晶デバイス
110 … 水晶振動片
111 … 励振電極
112 … 引出電極
120、220、420、620 … パッケージ
120a、220a、420a … 第1層
120b、220b、420b … 第2層
120c、220c、420c、620c … 第3層
121 … 凹部
121a、221b、421b … 底面
122a、221a、421a … 接合面
122b、222a … 実装面
123、423 … 載置部
124、224、424 … 接続電極
125、225 … 外部端子
125a、225a、425a … アース端子
125b … 水晶端子
126a、126b、126c、226 … 貫通電極
127a、227a … 枠状金属膜
127b、427b、627b … 金属膜
127c、227c、427c … アース金属膜
128、428 … 保持部
129 … キャスタレーション
130 … リッド板
140 … LSI(Large Scale Integration)
141 … 温度センサ
142 … ヒーター回路
143 … 集積回路
150 … プリント基板
151 … シームリング
152 … 導電性接着剤
153 … ハンダ
221 … 第1凹部
222 … 第2凹部
222b … 天井面
420d … 第4層
627c … 水晶金属膜
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8