(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記組成物は、水性ポリエーテルポリウレタン、溶剤型ポリエーテル/ポリエステル、水性アクリル、スチレンブタジエンゴム、ニトロセルロースラッカーおよび水エマルジョン、酢酸酪酸セルロースラッカーおよび水エマルジョン、セラック、エポキシ、ポリ塩化ビニル、油、ロウ、シリコーン、ならびに、これらの組み合わせのうち少なくとも一つを含む、
請求項4に記載の手袋。
前記非金属の導電剤は、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、グラファイト、PEDOT、カーボンファイバ鎖状構造、ポリマーおよび、これらの組み合わせから選択される、
請求項6に記載の手袋。
前記金属の導電剤は、銀、銅、金、ニッケル、アルミニウム、インジウム、亜鉛、スズ、タンタル、マグネシウム、ナトリウム、ベリリウム、バリウム、カドミウム、カルシウム、ルビジウム、セシウム、リチウム、モリブデン、コバルト、ウラン、クロム、マンガン、鉄、白金、タングステン、オスミウム、チタン、イリジウム、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、鋼、タリウム、鉛、ニオビウム、バナジウム、砒素、アンチモン、水銀、ビスマス、テルル、および、これらの組み合わせまたは合金から選択される、
請求項8に記載の手袋。
カーボンブラックおよびバインダを含む組成物を少なくとも一部分に含侵させており、タッチスクリーンデバイスとの間でやり取りを行うものに形成される場合、10.0ピコファラド(pF)を超える実効キャパシタンスを有する革を含む、
手袋。
カーボンブラックおよびバインダを含む組成物を少なくとも一部分に含侵させており、タッチスクリーンデバイスとの間でやり取りを行うものに形成される場合、離れたグラウンドに対する容量が50pFと500pFとの間である革を含む、
手袋。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明について説明する前に、例えば、pH、温度、時間、濃度および分子量等の数値単位は全て、範囲も同様に、5%の幅で(+または−)変動する近似値である。常に明示的に記載しているものではないが、全ての数値単位は「約」が付くものと理解されたい。また、常に明示的に記載しているものではないが、本明細書に記載する試薬は、単に一例に過ぎず、均等物が関連技術分野において公知であると理解されたい。
【0021】
本明細書および請求項で用いる場合、文脈から明らかにそうでないと分かる場合を除き、名詞は単数および複数の両方を示唆していることに留意されたい。
【0022】
本明細書で用いる技術用語および科学用語は全て、その他の意味を持つと定義されていない限り、本発明の関連技術分野の当業者が通常理解している意味と同じ意味を持つ。本発明を実施または試験する際には本明細書に記載するのと同様または均等な任意の方法および材料を用いるとしてよいが、以下では好ましい方法、デバイスおよび材料について説明する。本明細書で参照する公報は全て、当該公報において報告されている方法論、試薬および道具のうち本発明に関連付けて利用され得るものを説明および開示することを目的として、全内容を参照により本願に組み込む。本明細書の記載内容は、先行発明を理由として本発明が当該記載に先行する発明としての権利を持たないと認めたものと解釈されるものではない。
【0023】
「備える」、「有する」、「含む」という用語は、本明細書で用いる場合、組成物および方法は、記載した要素を含むが他の要素を除外するものではないことを意味するものとする。組成物および方法を定義する際に「本質的に〜から構成する」という表現を用いる場合、使用目的に合った組み合わせに対する重要度が任意の不可欠なレベルである他の要素を除外することを意味するものとする。このように、本質的に本明細書で定義された要素から構成される組成物は、本明細書に開示する組成物の構成要素の分離方法および純化方法に起因する微量汚染物質は除外するものではない。「〜から構成する」という表現は、本発明に係る組成物のその他の原料の微量元素以外も除外することを意味するものとする。こういった接続用語を用いて定義している実施形態を、本発明の範囲内に含むものとする。
【0024】
<材料>
本発明の一側面は、非金属の導電剤およびバインダを含む組成物を、導電性を与えるのに十分な濃度で、少なくとも一部分に含侵させている材料を含む改良材料に関する。「含侵する」という用語は、当該材料に何らかの方法で当該組成物を充填または注入していることを意味する。一部の実施形態によると、当該材料には、接着層を用いることなく、伝導剤がコーティングされている。他の実施形態では、当該組成物は、当該材料の空隙または間隙に充填される。組成物の充填は、さまざまな方法で実現可能であり、これらに限定されるものではないが、噴霧、ロールコーティング、スクリーン印刷、ブラシ、スポンジ、浸漬、乾燥、硬化、ソーキング(soak)、リンス、または、さまざまな処理の組み合わせ等で実現される。例えば、組成物を噴霧法で材料に塗布した後、熱を利用して、または、熱を利用することなく、材料を乾燥させるとしてよい。この点については、次のセクションでより詳細に説明する。
【0025】
本発明に係る材料は、これらに限定されないが、織物、革、不織布、および、革を模した材料を含むものと考えられる。本発明に係る材料は、伝導剤を効果的に含侵させるように、空隙または間隙を含むものと考えられる。このような材料としては、これらに限定されないが、革、人工革、スエード、人工スエード、ポリマー、羊毛、綿、毛皮、ナイロン、フリース(マイクロフリースを含む)、布地、布、織物および編物、ポリエステル、ナイロン、合成布地、ゴム、ラテックス、ネオプレン等が含まれるとしてよい。
【0026】
「伝導剤」という用語は、本明細書で用いる場合、「導電」充填材料とも記載するが、導電性の材料を意味する。一部の実施形態によると、伝導剤は、生体適合性を持ち、つまり、ヒト組織と適合する。特定の実施形態によると、伝導剤は、伝導性粒子および/または伝導性繊維を含む。「非金属の伝導剤」は、これらに限定されないが、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、グラファイト、PEDOTおよびこれらの組み合わせを含む。特定の実施形態によると、伝導剤は、少なくとも一部のものが100ナノメートルを超える長さである複数のカーボンファイバ鎖状構造を含む。他の実施形態によると、伝導剤は、長鎖カーボンブラックである。
【0027】
非金属の伝導剤は、ポリマーであってもよい。代表的なポリマーとしては、ポリ(アセチレン)、ポリ(ピロール)、ポリ(チオフェン)、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリ(p−硫化フェニレン)、および、ポリ(パラ−フェニレンビニレン:PPV)、ポリインドール、ポリピレン、ポリカルバゾール、ポリアズレン、ポリアゼピン(polyazepine)、ポリ(フルオレン)、および、ポリナフタレン、および、これらの組み合わせが挙げられる。
【0028】
「金属の伝導剤」という用語は、さまざまな伝導性の金属を意味する。このような金属としては、銀、銅、金、ニッケル、アルミニウム、インジウム、亜鉛、スズ、タンタル、マグネシウム、ナトリウム、ベリリウム、バリウム、カドミウム、カルシウム、ルビジウム、セシウム、リチウム、モリブデン、コバルト、ウラン、クロム、マンガン、鉄、白金、タングステン、オスミウム、チタン、イリジウム、ルテニウム、ニッケル、ロジウム、パラジウム、鋼、タリウム、鉛、ニオビウム、バナジウム、砒素、アンチモン、水銀、ビスマス、テルル、および、これらの組み合わせまたは合金が挙げられる。特定の実施形態によると、金属の伝導剤は、銀、銅、金、ニッケル、アルミニウム、インジウム、亜鉛、スズ、および、これらの組み合わせまたは合金から成る群から選択されるとしてよい。
【0029】
利用する伝導剤が金属または非金属のいずれであっても、伝導剤は、他の粒子または繊維に対するコーティングとして機能するとしてよい。例えば、銀でコーティングされたガラス球および銀でコーティングされたガラス繊維を本発明に係る材料で利用することができる。また、複数の伝導剤の組み合わせも利用されると考えられる。例えば、銀でコーティングされたガラス球をカーボンブラックと共に利用することができる。
【0030】
必要な伝導剤の量は、当業者であれば、選択した伝導剤の導電率に基づき容易に特定可能である。例えば、一部の伝導剤については、改良材料に含まれる割合が少なくとも約30%(w/w)になると考えられる。例えば、一部の伝導剤については、改良材料に含まれる割合が少なくとも約5%(w/w)になると考えられる。伝導剤の量を選択する際には、所望の導電率を考慮しなければならない。例えば、本発明に係る改良材料は、体積抵抗率が約1.0×10
6Ω−cm未満または約3.0×10
5Ω−cm未満または約1.0×10
5Ω−cm未満または約1.0×10
4Ω−cm未満または約1.0×10
3Ω−cm未満である。また、本発明に係る改良材料は、延伸処理、屈曲処理、変形処理等の任意の製品化前処理を行った後でも体積抵抗率を同様のレベルに維持する。また、本発明に係る材料は約1ヶ月以上利用された後でも伝導率が変わらないと考えられる。本発明に係る改良材料は、少なくとも約6ヶ月または少なくとも1年以上経過した後でも伝導率が変わらないと考えられる。
【0031】
他の実施形態によると、伝導剤は、バインダで略均一に分散または懸濁している。適切なバインダは、任意の数のバインダで十分であり、当業者であれば塗布対象の材料に基づき容易に決定できる。組成物はさらに任意で、水性ポリエーテルポリウレタン、溶剤型ポリエーテル/ポリエステル、水性アクリル、スチレンブタジエンゴム、ニトロセルロースラッカーおよび水エマルション、酢酸酪酸セルロースラッカーおよび水エマルション、セラック、エポキシ、ポリ塩化ビニル、油、ロウ、シリコーン、ならびに/または、これらの組み合わせを含むとしてよい。その他の成分としては、染料および顔料、イオン添加剤、pHバランス維持剤、堅牢度維持剤、水、接着促進剤、接合剤、芳香族ポリウレタン、脂肪族ポリウレタン、樹脂を含むキャリア、バインダ、架橋剤、アクリル、UV防止添加剤、感触向上剤等が含まれる。
【0032】
特定の実施形態によると、本発明に係る材料は任意で、任意の数のコーティングを追加で含み、例えば、下塗り、中塗り、彩色塗り、および、上塗りまたは仕上げ塗り等を含む。上記のその他の成分は、これらの追加で設けられる任意の数のコーティングに含まれるとしてよい。また、伝導剤を含む組成物は、下塗り、中塗り、彩色塗りおよび/または上塗りで塗布され得る。一実施形態によると、上塗りは酢酸酪酸セルロースを含む。一実施形態によると、下塗りは接着材料を含まない。別の実施形態によると、下塗りは、伝導剤としてカーボンブラックを含む。
【0033】
本発明の一実施形態は、タッチスクリーンデバイスを操作するために電子の流れを静電放電として形成するカーボンブラック等の容量材料を含侵させている革に関する。
【0034】
一実施形態によると、本発明は、電子デバイスに対して有害となり得る静電気を放電させるという独特の機能を持つ手袋または衣料品で用いるべく革をなめすプロセスを提供する。
【0035】
本発明の別の実施形態は、銀面、真皮−銀面間部分、真皮、および、材料全体に広がる伝導構造またはその一部あるいはそのような伝導構造の層を形成する複数の容量粒子から成る、コラーゲンベースの内部繊維マトリクスで構成されるなめし加工された革に関する。容量粒子は、繊維マトリクス内に埋め込まれているか、および/または、革の表面上にあり、材料全体に広がる伝導構造を構成している。容量材料は、十分な量が存在すると、人体が発生させる静電放電と同様の静電放電(ESD)を発生させ、当該革は、人間の皮膚/体に結合することなく、容量型またはその他の種類のタッチスクリーンデバイスのソフトウェアを駆動することができるようになる。
【0036】
本発明の別の実施形態は、衣料品、靴、手袋、財布、かばん、家具、シェルターまたはその他の同様のものといった、上記の革を用いて形成される革製品に関する。最終製品は、特定帯域の無線送信および無線周波数の吸収を防ぐべく、静電気を放電する機能または電磁干渉(EMI)を生成する機能といった独特の性能を持つ本皮である。
【0037】
本発明の別の実施形態は、現在加工されている基質では通常見られない性能を与えるべく、内部繊維マトリクスまたは外部繊維マトリクスを備える材料に含侵させる方法に関する。当該方法は、材料を容器内に入れる段階と、なめし材を容器内に追加する段階と、複数の容量粒子を液体に追加して懸濁液を生成する段階と、懸濁液を容器に追加する段階と、容量粒子が繊維マトリクス中に埋め込まれるまで容器の内容物を攪拌する段階とを備える。十分な量の容量性の材料が埋め込まれることによって、人間の皮膚を接触させることなく容量結合を形成するための放電を発生させるための電子の経路が当該粒子によって形成される。当該方法では、材料は、未加工の皮であってもよいし、なめし加工された革であってもよい。
【0038】
本発明のさらに別の実施形態は、仕上げシステムを用いて材料に含侵させる方法に関する。仕上げシステムは、容量結合、静電放電または電磁干渉を生成することを目的として、革の表面に沿っておよび/または革の容積中で伝導構造を形成するべく、十分に高い濃度で、革の表面にコーティングを施すか、または、繊維マトリクスの上および/または内部に伝導粒子を搬送する、水ベースまたは溶剤ベースの革仕上げシステム、ドライコーティングシステム、または、その他の同様のシステムのさまざまな組み合わせを含み、そのいずれであってもよい。
【0039】
<革材料>
本発明は、これに限定されないが、導電性を持つ黒色革製品および彩色された革製品を含む革製品にも関する。「彩色された革」という表現は、白、赤、マゼンタ、シアン、黒、黄色およびこれらの任意の組み合わせを意味する。本発明に係る革製品または革材料は、以下に記載する方法で作成されるとしてよい。白色の革等、比較的明るい色については、米国特許第5,597,515号(カウフマン(Kauffman)他、1997年1月28日発行)に記載されているように、容量性の二酸化チタン材料、例えば、フッ素または亜鉛がドーピングされた二酸化チタンを用いることができると考えられる。当該特許文献の開示内容は全て、参照により本願に組み込まれる。
【0040】
なめし加工された革(クラスト)を用意する。この革は、クロムおよび/またはアルミニウム塩、植物ベースのタンニン等、従来のなめし加工剤を用いてなめし加工が施されたものであってよい。なめし加工された革はこの後、染料、イオン添加剤、pHバランス維持剤、堅牢度維持剤および/または水のうち1以上を含む溶液を用いて、回転ドラム内でタンブル加工を行うことによって彩色される。
【0041】
彩色プロセスが完了すると、革に対してトグル張りを行う。トグル張りでは、革の最大可能引き伸ばし度の何割かまで、濡れた状態で革を伸ばすことを含む。本発明の革材料の場合、革のトグル張りは、トグル張りの最大値の25%と75%との間の程度まで行われ、50%まで引き伸ばすことが好ましい。引き伸ばしている(トグル張りの)間に革材料を乾燥させる。その後、乾燥させた革を引き伸ばすための固定器具から外す。
【0042】
この後に革材料に対して任意で、下塗りをコーティングする。このような下塗りは、(1)導電性の充填材料(例えば、長鎖状カーボンブラック粒子等のカーボンブラック粒子、銀粒子、銀でコーティングされたシリケート、銀でコーティングされた銅粒子、銅粒子、ニッケル、スズ、または、アルミニウムの粒子またはコーティングされた粒子、コーティングされたまたは伝導性の繊維または粒子等)、(2)接着促進剤、(3)結合剤、(4)塗料またはその他の彩色剤、(5)芳香族ポリウレタン、(6)脂肪族ポリウレタン、(7)これらに限定されないが、樹脂、バインダ、架橋剤、アクリル等を含むその他のキャリアのうち1以上を含む。
【0043】
このコーティングプロセスは通常、上記のコーティングを革の表面に噴霧することによって実行され、上記の添加剤およびバインダによって、下塗りが革材料に結合される。上記の長鎖カーボンブラックは、上記のコーティングが施された革材料が屈曲されたり、引き伸ばされたり、その他の方法で変形したとしても伝導性および容量が変わらないように、コーティング層内および基材である多孔質の革材料の表面で、長い鎖状の導電経路を形成する。このコーティングはこの後、加熱して硬化(乾燥)させるか、または、加熱することなく空気乾燥させる。この結果得られるコーティングは、導電性を持ち(導電率は約1.0×10
6Ω−cm未満)、さらに、革材料に化学的および/または機械的に結合されている。
【0044】
この後、(1)芳香族ポリウレタン、(2)脂肪族ポリウレタン、(3)伝導性充填剤、および/または、(4)水のうち1以上を含む中塗りを任意で塗布する。
【0045】
この中塗りは、加熱して、または、加熱することなく、硬化させる。この中塗りは導電性の充填剤と共に塗布するが、導電性の充填剤が中塗りの厚みにわたって橋渡しをする導電性の柱状構造を形成することによって、中塗りおよび下塗りの表面間で導電性が続くような濃度および方法で塗布する。
【0046】
この後仕上げ塗りまたは上塗りを革材料に塗布して、耐摩耗性、耐水性、耐火性を与え、外観および感触を高めることによって、革材料をさらに整える。利用が適切な耐水剤としては、TFL−DRYWALK(登録商標)(乾燥時の重量で1%)がある。利用が適切な耐火剤としては、FLAMEPROOF難燃剤(FLAMEPROOF 1694、Apexical Inc.社、米国サウスカロライナ州スパータンバーグ)等の臭素塩がある。改良材料はこのような難燃剤と組み合わせて、革材料が最高で約華氏1400度または約華氏1500度以上の温度に対する耐性を持つように、形成し得ると考えられている。このような試薬は、なめし加工プロセス、彩色プロセスおよび/または仕上げプロセスの間に、革または布地に追加することができる。仕上げ塗りは、ポリウレタン、アクリル、バインダ、外観および感触の向上剤、ロウ、シリコーン、導電充填剤、UV防止添加剤、侵入ポリマーおよび/または水のうち1以上から構成されるとしてよい。
【0047】
仕上げ塗りは、下塗りに対する導電性および/または電気容量結合を保証するべく、非常に薄く塗布されるとしてよい。これに代えて、仕上げ塗りは、導電充填剤と共に塗布され、導電充填剤が仕上げ塗りの外面と導電性の中塗りおよび下塗りとの間に、導電性の柱状構造または導電性の経路を形成するとしてよい。
【0048】
この後革材料には、仕上げ塗りを硬化させる最終硬化工程が実施される。最終硬化工程は、通常は加熱して行われるが、加熱なしで行われることもある。革材料は、最終コーティングを形成した後、可撓性、軟性、および/または柔軟性を回復させるべく、タンブラーでタンブル加工を行うことで、ミリング加工を行う。
【0049】
上記の方法は特に革材料に用いられているが、各コーティングおよびコーティングプロセスは、人工革等の他の材料、および、綿、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、ビニル繊維、絹、羊毛、リヨセルまたはその他の天然繊維あるいは人口繊維等の織物または不織布にも利用され得る。
【0050】
上述した本発明に係る方法によれば、体積抵抗率が約1.0×10
6Ω−cm未満で、および/または、容量が人体と略等しい高伝導性の革材料またはその他の材料が製造される。この容量は、離れたグラウンドに対して、10ピコファラド(pF)以上と低いとしてよく、例えば、約50pF、または、約100pF、または、約200pF、または、約300pF、または、約400pF、または、約500pFであってよい。一部の実施形態によると、この容量は、約10pFと約50pFとの間であり、または、約10pFと約500pFとの間であり、または、約50pFと約500pFとの間である。
【0051】
本発明に係る導電剤料および容量材料は、衣料品およびさまざまな製品、例えば、手袋、上着、シャツ、ズボン、コート、ボディスーツ、ウェットスーツ、ブーツ、ソックス、帽子、その他の衣類、バックパック、ベルト、ストラップ、かばん、パラシュート、家具装飾材料、寝具、カーテン、カーペット、コンピュータ用かばん、旅行かばん、ダッフルバッグ等を製造するための従来の方法または従来以外の方法で利用され得る。
【0052】
本発明に係る完成した伝導性および/または容量性の革材料は、機能、形態および構造において幾つかの特徴を持つ。機能に関する特徴としては第一に、本発明に係る革材料は、当該革材料のコーティングが施された面上の2点間で測定する電気抵抗率が低い点が挙げられる。このようにコーティングが施された革材料の電気抵抗率は、表面抵抗率または体積抵抗率で表されるとしてよい。本発明に係る革材料は、表面抵抗率が1.0×10
6Ω−cm未満であり、体積抵抗率が1.0×10
6Ω−cm未満である。
【0053】
機能に関する特徴として次に挙げるのは、本発明に係る革材料の、離れたグラウンドに対する容量が高い点である。本発明に係る電気容量性の革材料の容量は、10.0pFを超える。
【0054】
機能に関する特徴として次に挙げるのは、本発明に係る革材料は、引き伸ばしたり、ねじったり、屈曲したり、シワ加工したり、磨耗させたり等した場合でも、低電気抵抗率および高容量を大きく劣化させることなく維持することができる点にある。
【0055】
どの1つの理論にも限定されるものではないが、上述した機能上の特徴は以下に挙げる形態および構造の特徴のうち1以上に起因して得られるものと考えられる。形態および構造の特徴として第一に挙げられるのは、下塗りが革材料の多孔質面および/または繊維面に入り込んでいる点である。コーティングプロセスにおいて、1以上の溶媒、キャリア、界面活性剤、ポリマーまたはその他の液体によって、導電性の粒子および/または繊維が革材料の多孔質面に運ばれる。続く硬化プロセスにおいて、上記の溶剤、キャリア、界面活性剤、ポリマーまたはその他の液体のうち1以上が蒸発して、および/または、架橋して、および/または、硬化して、革材料の多孔質面の格子間は導電性の粒子および繊維で略充填された状態となる。また、1以上のポリマー、ロウ、充填剤、バインダ、接着剤またはその他の材料が、硬化後も、革材料の多孔質構造または繊維構造内に、上記の導電性の粒子および繊維と共に残る場合もある。このように格子間に入り込んださまざまな材料は、この導電性材料、上記のバインダ、接着剤、ポリマー、ロウ等のマトリクスを形成し、当該マトリクスは、導電性で、離れたグラウンドに対して容量を持ち、革材料の表面から容易には除去されない。
【0056】
下塗りおよび/または中塗りが、革材料の銀面または肉面を貫通して導電性材料が革の厚み全体に十分に分散しているこのマトリクスを提供すると考えられる。このように分散していることによって、革は、着用により磨耗したり、または、損傷しても、容量維持機能が変わらない。
【0057】
形態および構造に関する特徴として次に挙げるのは、カーボンブラック等の導電剤料の厚い層が革材料の下塗り層の表面上に形成されている点である。このベース層に含まれる導電剤料は、濃度、浮力、表面張力またはその他の特性が、スプレーコーティングプロセスおよび/または硬化プロセスにおいて当該導電剤料で表面層を形成するために十分なレベルであるとしてよい。このような表面層は、革材料上の高導電層として機能し、低電気抵抗率および高電気容量を同時に実現する。
【0058】
形態および構造に関する特徴として次に挙げるのは、導電性の粒子および/または繊維から形成される柱状構造が導電性および容量性を持つ革材料のコーティング層のうち1以上の内部に設けられている点である。コーティングプロセスおよび/または硬化プロセスにおいて、コーティングに含まれる導電性の粒子および/または繊維は、密に詰まった構造をコーティング層内に形成し、電気経路が当該コーティングの厚みにわたって形成され、当該コーティングの表面から当該コーティングの基面まで導電経路マトリクスが形成される。このため、当該コーティングは、ポリウレタン等の誘電性バインダ、および、カーボンブラック等の伝導性充填剤を含むとしてよく、このコーティングプロセスおよび硬化プロセスが完了すれば非常に低い電気抵抗率を維持するとしてよい。
【0059】
形態および構造に関する特徴として次に挙げるのは、完成した革材料が持つコーティング層のうち1以上の内部に導電性の繊維および/または粒子が存在する点である。この長い繊維(例えば、長鎖カーボンブラックまたは銀でコーティングされたポリマー繊維)は、コーティング層内に、繊維および/または粒子が互いに重なりあっている構造を形成するが、当該コーティングに対しては、引っ張り歪み、圧縮歪み、またはせん断歪み(変形)が発生しても、導電性を大きく低減させることはない。革材料およびコーティング層が変形すると、これらの繊維および/または粒子は、相対的に位置がわずかにずれるが十分な導電性を維持するので、革材料全体では所望の導電率および容量を維持し続ける。
【0060】
本明細書に記載する本発明の一実施形態例によると、体積抵抗率が1.0×10
3Ω−cmと1.0×10
4Ω−cmとの間であり、離れたグラウンドに対する容量が50pFと500pFとの間である黒色革材料が製造される。なめし加工された牛皮を例に挙げると、クロム塩を用いた従来の革なめし加工でなめし加工が行われている。なめし加工された革はこの後、カーボンブラック革用顔料、水、イオン添加剤およびpHバランス維持剤を含む溶液を用いて回転ドラム内で彩色される。他のクロムなめし加工または他の基本的な鉱物なめし加工または植物なめし加工も、事前なめし加工方法として利用することができる。硫酸クロム、ジルコニウム、アルミニウムおよび植物タンニンも同様に、本発明で利用され得る。
【0061】
この後革を回転ドラムから取り出して、最大引き伸ばしレベルの50%まで引き伸ばしてトグル張りをする。トグル張りをしている革は、トグル張りされた状態で、乾燥プロセスを加速するためのヒータを利用して乾燥させる。
【0062】
トグル張りをして乾燥させた革はこの後、トグル張り用固定器具から取り外して、下塗りを塗布する。当該下塗りは、以下の要素を含む。
160部 脂肪族ポリウレタンおよび任意でバインダ
160部 水
60部 酢酸ブチルセロソルブ
72部 伝導性の長鎖カーボンブラック粒子
84部 カーボンブラックをベースとする革用顔料
【0063】
この下塗りは、革の表面上に、均一に革材料の全面をコーティングするようにスプレーされる。このようにコーティングが施された革材料をこの後、硬化プロセスを加速するための熱を利用して硬化させる。
【0064】
この後、上記のコーティングが施された革に中塗りを塗布する。この中塗りは以下の要素を含む。
1部 脂肪族ポリウレタン、任意でバインダと共に
1部 芳香族ポリウレタン、任意でバインダと共に
1部 水
【0065】
この中塗りは、上記のコーティングが施された革に対して、均一に革材料の全面をコーティングするようにスプレーコーティング法で塗布される。この中塗りを形成した革を、硬化プロセスを加速するために加熱しつつ硬化させる。
【0066】
この後、コーティング処理および硬化処理が施された革材料に対して仕上げ塗りを塗布する。仕上げ塗りは、以下の要素を含む。
200部 酢酸酪酸セルロース
100部 水
18部 ロウの感触向上剤
【0067】
この仕上げ塗りは、上記のコーティングが施された革材料に対して、均一に革材料の全面をコーティングするようにスプレーコーティング法で塗布される。この仕上げ塗りを形成した革を、硬化プロセスを加速するために加熱しつつ硬化させる。
【0068】
最後に、このようにコーティング処理が施された革は、可撓性および柔軟性を復元するために、コーティング処理および硬化処理が施された革をタンブラーでタンブル加工を行うことで、ミリング加工を行う。
【0069】
本明細書に記載する本発明の第2の実施形態例によると、体積抵抗率が1.0×101Ω−cmと1.0×10
5Ω−cmとの間であり、離れたグラウンドに対する容量が50pFと500pFとの間である赤色革材料が製造される。なめし加工された牛皮を例に挙げると、クロム塩を用いた従来の革なめし加工でなめし加工が行われている。なめし加工された革はこの後、カーボンブラック革用顔料、水、イオン添加剤およびpHバランス維持剤を含む溶液を用いて回転ドラム内で彩色される。
【0070】
この後革を回転ドラムから取り出して、最大引き伸ばしレベルの50%まで引き伸ばしてトグル張りをする。トグル張りをしている革は、トグル張りされた状態で、乾燥プロセスを加速するためのヒータを利用して乾燥させる。
【0071】
トグル張りをして乾燥させた革はこの後、トグル張り用固定器具から取り外して、下塗りを塗布する。当該下塗りは、以下の要素を含む。
66.6部 脂肪族ポリウレタン、任意でバインダと共に
160部 水
60部 酢酸ブチルセロソルブ
3.33部 Ashbury 5303、伝導性長鎖カーボンブラック
30部 銀でコーティングされたガラス球
【0072】
この下塗りは、革の表面上に、均一に革材料の全面をコーティングするようにスプレーされる。このようにコーティングが施された革材料をこの後、硬化プロセスを加速するための熱を利用して硬化させる。
【0073】
この後、上記のコーティング処理および硬化処理が施された革材料に彩色塗りを塗布する。この彩色塗りは以下の要素を含む。
10部 脂肪族ポリウレタンおよび任意でバインダ
5部 赤色顔料
10部 銀でコーティングされたガラス球
1部 伝導性長鎖カーボンブラック
10部 水
【0074】
この彩色塗りは、上記のコーティングが施された革に対して、均一に革材料の全面をコーティングするようにスプレーコーティング法で塗布される。この彩色塗りを形成した革を、硬化プロセスを加速するために加熱しつつ硬化させる。
【0075】
この後、上記のコーティングが施された革に中塗りを塗布する。この中塗りは以下の要素を含む。
10部 脂肪族ポリウレタン、任意でバインダと共に
10部 芳香族ポリウレタン、任意でバインダと共に
10部 銀でコーティングされたガラス球
1部 伝導性長鎖カーボンブラック
10部 水
【0076】
この中塗りは、上記のコーティングが施された革に対して、均一に革材料の全面をコーティングするようにスプレーコーティング法で塗布される。この中塗りを形成した革を、硬化プロセスを加速するために加熱しつつ硬化させる。
【0077】
この後、コーティング処理および硬化処理が施された革材料に対して仕上げ塗りを塗布する。仕上げ塗りは、以下の要素を含む。
200部 酢酸酪酸セルロース
100部 銀でコーティングされたガラス球
10部 伝導性長鎖カーボンブラック
100部 水
18部 ロウの感触向上剤
10部 UV防止添加剤
【0078】
この仕上げ塗りは、上記のコーティングが施された革材料に対して、均一に革材料の全面をコーティングするようにスプレーコーティング法で塗布される。この仕上げ塗りを形成した革を、硬化プロセスを加速するために加熱しつつ硬化させる。
【0079】
最後に、このようにコーティング処理が施された革は任意で、可撓性および柔軟性を復元するために、コーティング処理および硬化処理が施された革をタンブラーでタンブル加工を行うことで、ミリング加工を行う。この時点での材料を、本明細書では、「完成した」または「完成形」であると呼ぶ。
【0080】
<他の材料>
また、同様の手順を、ビニルおよび可塑剤を通常利用する標準的なビニル製造プロセスを利用して、ビニル樹脂に利用するとも考えられる。ビニルおよび可塑剤は、容器内で一緒に攪拌した後、AZO化合物(炭素および窒素を含む)と混合して加熱し、ホットケーキ生地の固さを持つ発泡体を形成する。この後、銀、銅、ニッケルおよび/またはカーボンブラックの粉末を、他の顔料に加えて、ベースポリマーに追加するとしてよい。このスラリーはこの後、フェルト、フリース(マイクロフリース)、スエードまたはベルベット状のけば立った表面等の適切な支持シート上に、強度および可撓性を与えるべく、広げられるとしてよい。この後、逆ロールコーティング機械に投入して、ビニル樹脂が可塑剤を吸収して落ち着き始めるまでオーブンで加熱されるとしてよい。シートはこの後、革の感触または銀面をビニル材料に刻印するように構成されているプレートを備える印刷機械を通過させるとしてよい。さらに彩色が所望されている場合は、導電率に影響を及ぼさないようにしつつ追加で着色剤をスプレーする工程を実行するとしてよい。一部の実施形態によると、糸を用いて改良材料を製造する。尚、糸の少なくとも一部分は容量を持つ糸である。一部の実施形態によると、容量性の糸を持つ改良材料は、これ以外に導電剤料による処理またはコーティングを行わない。別の実施形態によると、容量性の糸を持つ改良材料は、当該材料内で導電率が均一になるような織り方で織られる。
【0081】
織物材料または編物材料は、金属酸化物、金属繊維またはカーボンブラックをベースとする材料等の伝導性材料を含侵させることができる。含侵工程は、当該伝導性材料が一反の容量性の布地の製造に利用されるように実行される。例えば、伝導性の繊維を、綿、ナイロン、ポリエステル等の有機材料または無機材料と混合させて、容量性の糸を作成する。この後で容量性の糸を、綿、ナイロン、ポリエステル等の有機材料または無機材料の非容量性の糸と共に織るか編んで、容量性の布地を形成する。
【0082】
容量性の糸に利用するのが適切な伝導性材料としては、硫化銅がアクリル繊維およびナイロン繊維と化学結合している有機繊維であるThunderon(登録商標)(Static Faction,Inc.社)、SHIELDEX社の銀をベースとする伝導性の縫糸および金属化された糸、および、導電性の炭素粒子が構造の一部を成しているナイロン繊維であるResistat(登録商標)(Jarden Applied Materials社)が挙げられる。伝導性の糸は、良好な伝導性を維持しつつも、有機糸材料または無機糸材料の強度および可撓性を持つことが理想的である。
【0083】
容量性の織物または編物の糸のうち容量性の糸が占める割合は、少なくとも約0.6%から約23%となる必要があり、表面抵抗率は少なくとも約3×10
5Ω−cmとなる必要がある。この量は、利用する伝導性材料の種類に応じて変わる。例えば、銀をベースとする糸等の高伝導性材料を用いる場合、必要な伝導性の糸の量は少なくなる。しかし、炭素をベースとする糸が用いられる場合、所望の抵抗率を実現するためには割合を高くする必要があるとしてよい。例えば、85%の非容量性の糸(例えば、ポリエステル)と15%の容量性の糸(例えば、Resistat(登録商標))とを用いて、一反の布地を織るまたは編むことによって、容量性の材料を得ることができる。容量性の糸はこのため、伝導性の織物または編物全体に均一に分散することになる。このため、上述の伝導性の布地から製造される手袋等の衣料品は、全体にわたって容量を持つ。また、本明細書で開示する伝導性の布地は、伝導性に観測可能な劣化を生じさせることなく、標準的な洗濯/乾燥サイクルで複数回(つまり、10回以上、または、50回以上、または、100回以上)洗濯することが可能である。
【0084】
伝導性の布地は、タッチスクリーンデバイスとの間でやり取りを行うように構成されており、タッチスクリーンデバイス用の手袋等の衣料品を製造するために利用することができる。しかし、タッチスクリーンの伝導結合は、伝導性材料に対して形成されるものであり、伝導性材料と接触している手または体の一部に対して形成されるのではない。一部の実施形態によると、手袋は、内部に人間の手が入っていなくてもタッチスクリーンデバイスを操作する。このため、本明細書で開示しているような伝導性の布地で製造された手袋は、手足を失った人も利用できる。
【0085】
一実施形態に係る改良材料は、体積抵抗率が約3.0×10
5Ω−cm未満、またはこれに代えて、約3.0×10
6Ω−cm未満、またはこれに代えて、約1.0×10
6Ω−cm未満であり、および/または、表面抵抗率が約3.0×10
5Ω−cm未満、またはこれに代えて、約3.0×10
6Ω−cm未満、またはこれに代えて、約1.0×10
6Ω−cm未満である。
【0086】
<手袋の実施形態>
本発明に係る改良材料は、上述したように多くの機能を実現するべく利用することができ、ユーザは容量性タッチスクリーンを操作することができるようになる。簡潔にまとめると、採用されているタッチスクリーン技術に関わらず、容量方式および容量方式投影型のタッチスクリーンデバイスおよびその他の任意の種類のタッチスクリーンデバイスに対する容量結合を実現する導電剤料および/または化学処理を含む改良材料が提供される。当該改良材料によると、接点に対して当該材料を介して人体の容量を投影させることができるか、または、織物自体に直接容量結合を形成することができるので、タッチスクリーンまたはタッチパッドを操作する際に人間がタッチする必要がなくなる。本発明に係る改良材料は、手袋等の織物または編物から作られる製品など、機能性衣類物品を製造する際に、高機能化することができる。当該伝導剤料は、PCTデバイスに対して橋渡しをすることが可能である。当該伝導剤料は、容量結合を形成する際に人体を必要とすることなくPCTデバイスに対して接続を形成する一体化された複数の構成要素または複数の化学処理を含む。図示しているように、本発明に係る改良材料の実施形態は、ユーザが着用したままタッチスクリーンデバイスを操作できるような伝導性の手袋として具現化される。本発明に係る手袋はさらに、既に汚染されたタッチスクリーン表面を操作中に容易に伝染し得る特定のウィルス、細菌および菌に対するバリアとなる。
【0087】
図1は、導電手袋の一実施形態を示す断面図である。本実施形態は、裏地110と、伝導絶縁体120と、外側シェル130とを備える。
図1は手袋の少なくとも一部分の断面を示しているものと理解されたい。つまり、手袋全体を
図1に示すような構成を持つものとして製造する必要はない。ある用途では、この手袋はタッチスクリーンデバイスのユーザが着用する。一実施形態では、手袋のうち、ユーザがタッチスクリーンデバイスを制御する際に利用する部分が
図1の断面図に示すような構成を持つように製造される。
【0088】
一実施形態によると、裏地および外側シェルは、厚みが2mm未満または1mm未満または0.5mm未満で、および/または、体積抵抗率が1.0×10
6Ω−cm未満であり、および/または、表面抵抗率が1.0×10
6Ω−cm未満である。体積電気抵抗率のレベルが1.0×10
6Ω−cm未満であり、または、表面抵抗率が1.0×10
6Ω−cm未満である材料は、伝導剤料の範囲を満たしていると広くみなされている。この特性が望ましいのは、伝導性を持たない裏地および/または外側シェルの厚みが0.5mmより厚く、伝導剤料を材料としない場合には、タッチスクリーンとの間に容量結合が形成できないためである。
【0089】
手袋を着用したまま、スタイラスまたはこの用途のために特別に作成されるほかの実施形態等のデバイスを利用することなく、容量性タッチスクリーンデバイスを適切に操作するためには、手袋自体が人間の皮膚に対して容量結合を形成する必要がある。この要件は、本明細書で説明する、人間の皮膚面に対する伝導性を遮断しない材料を採用/利用することで満足させることができる。厚過ぎる、または、1.0×10
6Ω−cmを超える体積抵抗率および/あるいは1.0×10
6Ω−cmを超える表面抵抗率の布地または材料を用いる場合、当該材料は電気損失を発生させるか、または、絶縁性であり、伝導性を持たないので、この用途には向かない。
【0090】
裏地のさまざまな実施形態としては、厚みが0.5mm未満であり、および/または、体積表面抵抗率が1.0×10
6Ω−cm未満であり、および/または、表面抵抗率が1.0×10
6Ω−cm未満である、レーヨン、アセテート、ナイロン、モダクリル、オレフィン、PLAYポリエステル、羊毛、綿、絹、アクリル、混合体または任意の種類の伝導繊維を混合した織物、金属繊維または銅、銀、カーボンブラック、カーボンファイバ、ニッケル、スズまたはその他の伝導性材料で処理した繊維のうち少なくとも1つが挙げられる。
【0091】
一実施形態によると、導電性の絶縁層が裏地に隣接して設けられている。さらに、本実施形態は、導電性の絶縁層の抵抗が1.0×10
6Ω−cm未満であることを含む。
【0092】
導電性の熱絶縁層の実施形態としては、体積抵抗率が1.0×10
6Ω−cm未満であり、および/または、表面抵抗率が1.0×10
6Ω−cm未満である、伝導性の発泡体、繊維、マイクロファイバ、マイクロフィラメント、プラスチック、金属、ゴムまたは通気性断熱材が挙げられる。
【0093】
伝導性の繊維、マイクロファイバ、マイクロフィラメントまたは通気性の断熱材、導電性の断熱材の構成としては、複数のポリマーの、主には、ポリエチレンテレフタレートのさまざまな混合物、または、ポリエチレンテレフタレートおよびポリプロピレンの混合物を原料とする材料が挙げられる。他の材料としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタル酸コポリマー、および、アクリルのうち、伝導性コーティングと組み合わせられたもの、または、表面抵抗率が1.0×10
6Ω−cm未満の伝導剤料が含侵したもの、内蔵したもの、化合したもの、またはメッキしたものが挙げられるとしてよい。このような構成は、カーボンブラック、銅、銀、金、ニッケル、スズまたはその他の伝導金属物質の分子をホストである繊維の分子と結合させる化学反応を利用することで、または、これらの伝導物質のいずれかをホストである繊維にメッキまたは化合することで実現できる。
【0094】
導電性の絶縁層の他の実施形態としては、伝導性の発泡体、ゴム、繊維、マイクロファイバまたはマイクロフィラメントが挙げられる。
【0095】
一実施形態によると、導電性の絶縁層に隣接して外側シェルが形成されている。また、本実施形態に係る外側シェルは、厚みが2mm未満であり、および/または、体積抵抗率が1.0×10
6Ω−cm未満である。
【0096】
この構成が望ましいのは、伝導性を持たない裏地および/または外側シェルが、厚みが0.5mmより大きく、伝導剤料を原料としない場合にはタッチスクリーンとの間に容量結合が形成されないためである。
【0097】
手袋を着用したまま、スタイラスまたはこの用途のために特別に作成されるほかの実施形態等のデバイスを利用することなく、容量性タッチスクリーンデバイスを適切に操作するためには、手袋自体が人間の皮膚に対して容量結合を形成する必要がある。この要件は、人間の皮膚面に対する伝導性を遮断しない種類の布地またはその他の材料を採用または利用することで満足させることができる。厚過ぎる、または、体積抵抗率および/あるいは表面抵抗率が1.0×10
6Ω−cmを超える布地または材料を用いる場合、当該材料は電気損失を発生させるか、または、絶縁性であり、伝導性を持たないので、この用途には向かない。
【0098】
外側シェルの実施形態としては、レーヨン、アセテート、ナイロン、モダクリル、オレフィン、PLA、ポリエステル、羊毛、綿、絹、アクリル、混合体または任意の種類の伝導繊維を混合した織物、金属繊維または銅、銀、カーボンブラック、カーボンファイバ、ニッケル、スズまたはその他の伝導性材料で処理した繊維、動物の皮、ビニル、ゴム、ラテックスまたはシリコーンが挙げられる。
【0099】
図1に示す実施形態は、例えば、羊毛、綿または絹の布地を裏地として利用し、この布地を、例えば、導電性の断熱性の発泡体の層または導電性の断熱性のマイクロファイバ絶縁体の層に取り付けて、この絶縁体を外側シェルに取り付けることで製造することができる。手袋の構成要素は全て、厚みおよび伝導性の両方の仕様を満たしている。これら3つの層に対して皮膚を強く押し当てることだけで、タッチスクリーンデバイスに対して誘電面および伝導面を介して容量結合を形成するという望ましい結果が得られ、ユーザは、素手でタッチスクリーンデバイスにタッチしているかのようにタッチスクリーンデバイスを利用することが可能となる。
【0100】
図2は、導電手袋の別の実施形態を示す断面図である。この実施形態はさらに、少なくとも1つの伝導チャネル210を備える。伝導チャネル210はそれぞれ、外側シェル130の内面から外側シェル130の外面まで延在している。
【0101】
伝導チャネル210の実施形態としては、樹脂、ポリマー、プラスチック、ゴム、発泡体、繊維、金属、エポキシまたは接着剤を含む伝導剤料が挙げられる。伝導チャネルは、ユーザの手の皮膚と、外側シェル130の外面と定義されている手袋の外面との間の伝導性を高める。
【0102】
伝導チャネルを製造する方法の1つとして、導電性の熱絶縁層120および裏地110を含む手袋を製造する前に)外側シェルの材料を穿孔して、この孔に、伝導性の条件を満たす伝導性のゲル、接着剤、樹脂、発泡体、プラスチック、金属または繊維物質を充填する方法が挙げられる。孔の数は、1から所望の数までの範囲に及ぶとしてよく、直径はさまざまな値とすることができる。ユーザが、手袋を着用していない場合と同様に、タッチスクリーンデバイスとやり取りができるために適切な表面積を被覆するように、設定することができる。孔は、ユーザとタッチスクリーンデバイスとの間の伝導性接続によるやり取りを行う機能を損なわない限りにおいて、特定のパターンで互いに離間させることが可能である。これは、見た目の美しさを考慮するため、または、材料内に孔を形成すると通常は強度が低くなってしまう材料のために、材料の強度が低下しないようにと配慮するためである。
【0103】
図3は、導電手袋の別の実施形態を示す断面図である。本実施形態はさらに、外側シェルの外面に隣接して設けられている外側伝導層310を備える。
【0104】
外側伝導層310の実施形態としては、ポリウレタン、ポリエポキシド、塗料、接着剤、封止剤、シリコーン、樹脂、ポリマー、可塑剤、ビニル化合物、金属、またはプラスチック材料の下塗りに、電子伝導性を持つ炭素、銀、ニッケル、銅、スズ、金またはその他の伝導性の金属または合金が、1.0×10
6Ω−cm未満の体積抵抗率を実現する高濃度で添加されているものが挙げられる。尚、外側伝導層は、外側シェルの外面の色、銀面、手触りおよび感触を模倣するために特に用いられるとしてもよいし、その目的で用いられるものではないとしてもよい。
【0105】
外側伝導層310に隣接して、彩色層320を任意で追加する。彩色層の実施形態は、主に見た目の美しさのために設けられ、手袋の色、手触り、銀面または外観を決定するために用いられ得る。
【0106】
図3に図示する構成を持つ手袋を製造する手段は、例えば、ユーザに快適さと保温性とを提供し、導通させつつ水分を逃す手段として機能する有機物または無機物の布地または材料を含む。このような材料は、例えば、綿または羊毛で形成されるとしてよく、必要な厚みおよび伝導性の基準を満たすとしてよい。裏地に隣接させて導電性の熱絶縁材料を設けており、当該絶縁材料に隣接させて導電チャネルを含む外側シェルを設けている。外側シェルに隣接させて外側伝導層を設けている。外側伝導層は、外側シェルの外面と一致するような色または手触りを持つとしてよいし、そうでないとしてもよい。
【0107】
図4は、導電手袋の別の実施形態を示す断面図である。本実施形態は、外側シェル130を備える。同図に示すように、外側シェル130は少なくとも1つの伝導チャネル210を有する。伝導チャネルはそれぞれ、外側シェル130の内面から外側シェル130の外面まで延在する。一実施形態によると、伝導チャネルはそれぞれ、体積抵抗率および/または表面抵抗率が1.0×10
6Ω−cm未満である。
【0108】
(導電性の熱絶縁層120および裏地110を含む手袋を製造する前に)外側シェルの材料を穿孔して、この孔に、伝導性の条件を満たす伝導性のゲル、接着剤、樹脂、発泡体、プラスチック、金属または繊維物質を充填する.孔の数は、1から所望の数までの範囲に及ぶとしてよく、直径はさまざまな値とすることができる。ユーザが、手袋を着用していない場合と同様に、タッチスクリーンデバイスとやり取りができるために適切な表面積を被覆するように、設定することができる。孔は、ユーザとタッチスクリーンデバイスとの間の伝導性接続によるやり取りを行う機能を損なわない限りにおいて、特定のパターンで互いに離間させることが可能である。これは、見た目の美しさを考慮するため、または、材料内に孔を形成すると通常は強度が低くなってしまう材料のために、材料の強度が低下しないようにと配慮するためである。
【0109】
別の実施形態はさらに、外側シェル310の外面に隣接させて1以上の外側伝導層310を備えるとしてよい。伝導層310を追加することによって、利用する孔の数を1個にまで減らすことができる。孔は、手袋の目立たない部分に戦略的に配することが可能で、外側シェルの外面の処理面のどの箇所においても容量結合を形成する。
【0110】
外側伝導層を製造する方法は、例えば、スプレー法、塗布法、熱/圧力を利用した結合、または、伝導性接着材料の利用によって、外側シェルの外面に結合される薄い伝導性コーティングを形成することを含む。
【0111】
材料は、伝導性を持つことによって、「完成形態」になったと呼ぶ。
【0112】
別の実施形態は、彩色層320を備える。彩色層320の実施形態は、主に見た目の美しさを考慮して設けられ、手袋の色、手触り、銀面または外観を決定するために用いられ得る。
【0113】
彩色層は、化学的結合、機械的結合を利用して、または、スプレー法、塗布法、熱/圧力を利用した結合または伝導性接着コーティングまたはプライマーコーティングを利用することによって、形成することができる。
【0114】
<手袋のその他の実施形態>
手袋のその他の実施形態を以下で説明する。一実施形態によると、本発明は、以下の構成要素を備える伝導性の手袋に関する。
−厚みが2mm未満であり、および/または、抵抗が1.0×10
6Ω−cm未満である裏地
−裏地に隣接しており、抵抗が1.0×10
6Ω−cm未満である導電性の熱絶縁層
−導電性の熱絶縁層に隣接しており、厚みが2mm未満であり、および/または、抵抗が1.0×10
6Ω−cm未満である外側シェル
【0115】
一実施形態によると、手袋は、ユーザが着用すると、裏地の少なくとも一部分がユーザの手に物理的に接触する。裏地は任意で、厚みが2mm未満である、レーヨン、アセテート、ナイロン、モダクリル、オレフィン、PLAYポリエステル、羊毛、綿、絹、アクリル、混合体または伝導繊維を混合した織物、金属繊維または銅、銀、カーボンブラック、カーボンファイバ、ニッケル、スズまたはその他の伝導性材料で処理した繊維の中から選択される少なくとも1つの構成要素を有するとしてよい。一実施形態に係る材料は、体積抵抗率が約3.0×10
5Ω−cm未満、またはこれに代えて、約3.0×10
6Ω−cm未満、またはこれに代えて、約1.0×10
6Ω−cm未満であり、および/または、表面抵抗率が約3.0×10
5Ω−cm未満、またはこれに代えて、約3.0×10
6Ω−cm未満、またはこれに代えて、約1.0×10
6Ω−cm未満である。
【0116】
導電性の熱絶縁層は、体積抵抗率が1.0×10
6Ω−cm未満であり、および/または、表面抵抗率が1.0×10
6Ω−cm未満である、伝導性の発泡体、繊維、マイクロファイバ、マイクロフィラメント、プラスチック、金属、ゴムまたは通気性断熱材を含む。
【0117】
伝導性の繊維、マイクロファイバ、マイクロフィラメントまたは通気性の断熱材、導電性の断熱材は、複数のポリマーの、主には、ポリエチレンテレフタレートのさまざまな混合物、または、ポリエチレンテレフタレートおよびポリプロピレンの混合物を原料とする材料が挙げられる。他の材料としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタル酸コポリマー、および、アクリルのうち、伝導性コーティングと組み合わせられたもの、または、表面抵抗が1.0×10
6Ω−cm未満の伝導剤料が含侵したもの、内蔵したもの、化合したもの、またはメッキしたものが挙げられるとしてよい。このような構成は、カーボンブラック、銅、銀、金、ニッケル、スズまたはその他の伝導金属物質の分子をホストである繊維の分子と結合させる化学反応を利用することで、または、これらの伝導物質のいずれかをホストである繊維にメッキまたは化合することで実現できる。
【0118】
導電性の熱絶縁層は、伝導性の発泡体、ゴム、繊維、マイクロファイバまたはマイクロフィラメントを含む。
【0119】
外側シェルは、外側シェルの内面から外側シェルの外面まで延在する少なくとも1つの伝導チャネルを有するとしてよい。手袋はさらに、外側シェルの外面に隣接させて外側伝導層を備えるとしてよい。外側伝導層は、ポリウレタン、ポリエポキシド、塗料、接着剤、封止剤、シリコーン、樹脂、ポリマー、可塑剤、ビニル化合物、またはプラスチック材料の下塗りに、電子伝導性を持つ炭素、銀、ニッケル、銅、スズ、金またはその他の伝導性の金属または合金が、1.0×10
6Ω−cm未満の表面抵抗率および/または体積抵抗率を実現する高濃度で添加されているものを含む。尚、外側伝導層は、外側シェルの外面の色、銀面、手触りおよび感触を模倣するために特に用いられるとしてもよいし、その目的で用いられるものではないとしてもよい。
【0120】
手袋はさらに、外側伝導層に隣接させて彩色層を備えるとしてよい。彩色層は、手袋の色、手触り、銀面または外観を決定する。
【0121】
別の実施形態によると、本発明は、外側シェルの内面から外側シェルの外面まで延在し、抵抗率が1.0×10
6Ω−cm未満である伝導チャネルを少なくとも1つ有する外側シェルを備える伝導性の手袋に関する。当該手袋はさらに、外側シェルの外面に隣接させて外側伝導層を1以上備えるとしてよい。
【0122】
別の実施形態によると、厚みが0.5mm未満である非伝導性の誘電性の外側シェルと、裏地に隣接しており、体積抵抗率が1.0×10
6Ω−cm未満である導電性の熱絶縁層と、導電性の熱絶縁層に隣接しており、厚みが2.0mm未満または体積抵抗率が1.0×10
6Ω−m未満である内側裏地とを備える伝導性の手袋が提供される。尚、容量性タッチスクリーンは、導電性の熱絶縁層と容量結合され、導電性の熱絶縁層は、伝導性の内側裏地に対して導電性を持ち、伝導性の内側裏地は、ユーザの皮膚に対して導電性を持つ。伝導層および絶縁層は、手袋のうち特定の箇所、例えば、指の先端にのみ配されている。
【0123】
別の実施形態によると、厚みが0.5mm未満である非伝導性の誘電性の外側シェルと、裏地に隣接しており、体積抵抗率が1.0×10
6Ω−cm未満である導電性の熱絶縁層と、導電性の熱絶縁層に隣接しており、厚みが0.5mm未満である非伝導性の誘電性の内側裏地とを備える伝導性の手袋が提供される。尚、容量性タッチスクリーンは、導電性の熱絶縁層と容量結合され、導電性の熱絶縁層は、ユーザの皮膚に容量結合される。伝導層および絶縁層は、手袋のうち特定の箇所、例えば、指の先端にのみ配されている。
【0124】
さらに別の実施形態では、体積抵抗率が1.0×10
6Ω−cm未満である導電性の外側シェルと、裏地に隣接しており、体積抵抗率が1.0×10
6Ω−cm未満である導電性の熱絶縁層と、導電性の熱絶縁層に隣接しており、厚みが0.5mm未満である非伝導性の誘電性の内側裏地とを備える伝導性の手袋が提供される。尚、容量性タッチスクリーンは、外側シェルに対して導電性を持ち、外側シェルは、熱絶縁層に対して導電性を持ち、熱絶縁層は、ユーザの皮膚に容量結合される。伝導層および絶縁層は、手袋のうち特定の箇所、例えば、指の先端にのみ配されている。伝導性の繊維、マイクロファイバ、マイクロフィラメントまたは通気性の断熱材、導電性の断熱材は、複数のポリマーの、主には、ポリエチレンテレフタレートのさまざまな混合物、または、ポリエチレンテレフタレートおよびポリプロピレンの混合物を原料とする材料を含む。他の材料としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタル酸コポリマー、および、アクリルのうち、伝導性コーティングと組み合わせられたもの、または、表面抵抗率が1.0×10
6Ω−cm未満の伝導剤料が含侵したもの、内蔵したもの、化合したもの、またはメッキしたものが挙げられるとしてよい。このような構成は、カーボンブラック、銅、銀、金、ニッケル、スズまたはその他の伝導金属物質の分子をホストである繊維の分子と結合させる化学反応を利用することで、または、これらの伝導物質のいずれかをホストである繊維にメッキまたは化合することで実現できる。
【0125】
導電性の絶縁層としては、伝導性の発泡体、ゴム、繊維、マイクロファイバまたはマイクロフィラメントが挙げられるとしてよい。
【0126】
外側シェルは、外側シェルの内面から外側シェルの外面まで延在する少なくとも1つの伝導チャネルを有するとしてよい。手袋はさらに、外側シェルの外面に隣接させて外側伝導層を備えるとしてよい。
【0127】
外側伝導層は、ポリウレタン、ポリエポキシド、塗料、接着剤、封止剤、シリコーン、樹脂、ポリマー、可塑剤、ビニル化合物、またはプラスチック材料の下塗りに、電子伝導性を持つ炭素、銀、ニッケル、銅、スズ、金またはその他の伝導性の金属または合金が、1.0×10
6Ω−cm未満の表面抵抗率および/または体積抵抗率を実現する高濃度で添加されているものを含む。尚、外側伝導層は、外側シェルの外面の色、銀面、手触りおよび感触を模倣するために特に用いられるとしてもよいし、その目的で用いられるものではないとしてもよい。
【0128】
手袋はさらに、外側伝導層に隣接させて彩色層を備えるとしてよい。彩色層は、手袋の色、手触り、銀面または外観を決定する。
【0129】
さらに別の実施形態によると、本発明は、外側シェルの内面から外側シェルの外面まで延在し、抵抗率が1.0×10
6Ω−cm未満である伝導チャネルを少なくとも1つ有する外側シェルを備える伝導性の手袋に関する。当該手袋はさらに、外側シェルの外面に隣接させて外側伝導層を1以上備えるとしてよい。
【0130】
本発明はさらに、スクリーンと導電性の熱絶縁材料との間に、または、導電性の熱絶縁材料と指との間に、容量結合を形成する非伝導層を備える手袋を包含する。
【0131】
さらに別の実施形態によると、本発明は、例えば、指の先端等の一部領域でのみ伝導性または容量結合を持つ、伝導性または容量結合用の手袋に関する。伝導層が1層である手袋は、例えば、外側シェルのみを備える。
【0132】
以下に記載する実施形態および方法では、容量性タッチスクリーンとやり取りを行うのに適した導電手袋を説明する。本発明に係る導電手袋は、最初は非伝導性または誘電性の手袋材料に、伝導剤料の薄膜でコーティングまたは処理することによって製造される。手袋の材料は、例えば、革、人工革、スエード、ポリマー、羊毛、綿、毛皮、ナイロン、フリース、または、任意のその他の適切な材料は、手袋の外側に導電面層が形成されるようにコーティングが施される。この導電コーティングは、手袋の材料内に浸透してもしなくてもよいが、コーティングされると導電面または導電面層を形成する必要がある。このように、導電コーティングは、離れたグラウンドまたは容量性タッチデバイスに対して、ユーザまたはその他のグラウンドソースに接地しつつ、または、接地することなく、容量性タッチデバイスが検出するのに十分なレベルの電気容量を形成する。このような電気容量を形成するには、表面積、コーティングの形状、導電性、および/または、導電剤料の体積が、離れたグラウンドまたは容量性タッチデバイスに対して、容量性タッチデバイスが備える容量センサが検出するのに十分な量の電気容量を形成するのに十分な水準に達している。導電コーティングは、ユーザに導電接続されるとしてよく、ユーザに容量結合されるとしてよく、または、電気的に分離されるとしてもよい。
【0133】
上述した導電手袋の製造方法を以下で説明する。手袋の材料は、表面をコーティングするように、手袋の材料に浸透するように、多孔質材料の孔を充填するように、繊維材料の孔を充填するように、繊維材料の繊維をコーティングするように、または、その他の方法で表面上または表面近傍に導電性を与えるように、導電コーティングでコーティングされる。導電コーティング材料は一般的に、キャリア、例えば、可塑剤、アクリル等のバルクポリマー、あらゆる天候に耐性を持つ材料、革調整剤、エナメル、または、その他の任意の適切なキャリアを用いて、当該キャリアに、グラファイトまたはカーボンブラック等の炭素の粉末、銀等の金属の粉末、酸化インジウムスズ(ITO)の粉末、導電ポリマー、または、その他の導電剤料の粉末などの導電媒体を充填することで、製造されるとしてよい。導電剤料はさらに、1以上のキャリアおよび/または溶媒に1以上の導電剤料を溶解させた溶液として製造されるとしてもよい。導電コーティング材料はこの後、手袋の材料の表面をコーティングして、表面に結合して、および/または、表面に浸透して、手袋の材料の表面上または表面近傍に導電面層を形成するように手袋の材料に塗布される。このようにして形成される導電性の手袋の材料は、体積導電率が1.0×10
6Ω−cm未満となることが好ましく、1.0×10
5Ω−cm未満となることがより好ましく、1.0×10
4Ω−cm未満となることが最も好ましい。
【0134】
この後、上記の導電剤料から手袋の形に切り出して、任意の標準的または非標準的な手袋製造プロセスを実行し、好ましくは、完成した手袋の材料のうち1以上の外側に導電面が来るように製造する。しかし、完成した手袋の材料のうち1以上の内側に導電面が来るように製造するとしてもよい。
【0135】
カーボンブラックが含侵している革から、容量結合が必要な手袋またはその他の種類の道具を製造することができる。本明細書に記載するように革を処理することによって、革自体がデバイスとの間に容量結合を形成することができるので、スクリーンから革を通して人体へと容量結合を形成する必要がなくなる。この革は、手袋を初めとして、人間がスクリーンに接触することなく容量結合を形成することが必要なあらゆる製品に適している。したがって、カーボンブラックまたはその他の導電剤が革の繊維マトリクス内に懸濁およびトラップされていて内部容量網状構造が形成されている革が提供される。
【0136】
一実施形態によると、本発明は、内部繊維マトリクスを有するなめし加工された革または革状の材料と、なめし加工された革または革状の材料の内部繊維マトリクスに浸透するようになめし加工された革または革状の材料に結合されている導電剤であって、繊維マトリクスにトラップおよび結合されている導電剤とを備える手袋であって、導電剤は、基質中に容量網状構造を形成して、人体に対して電子で橋渡しすることなくマルチタッチ型の容量性タッチスクリーンとの間に容量結合を形成する手袋に関する。
【0137】
別の実施形態によると、本発明は、本明細書に開示されており繊維マトリクスを有する織物であって、人体に対して電子で橋渡しすることなくマルチタッチ型の容量性タッチスクリーンとの間に容量結合を形成可能な織物を備える衣服に関する。
【0138】
本発明のさらに別の実施形態は、本明細書に開示されており、内部繊維マトリクスを有するなめし加工された革または革状の材料と、内部繊維マトリクスに浸透して、内部繊維マトリクスにトラップされて結合されるように、なめし加工された革または革状の材料に結合されているまたは繊維に充填されている導電剤とを備え、なめし加工された革または革状の材料にトラップされている粒子によって1×10
5以下の静電放電が可能となる衣料品に関する。
【0139】
本発明のさらに別の実施形態は、本明細書に開示されており、内部繊維マトリクスを有するなめし加工された革または革状の材料と、内部繊維マトリクスに浸透して、内部繊維マトリクスにトラップおよび/または結合されるように、なめし加工された革または革状の材料に結合されているまたは繊維に充填されている導電剤とを備え、なめし加工された革または革状の材料に含まれる導電剤によって1×10
5以下の静電放電を実現する履物に関する。
【0140】
<さまざまな例>
本明細書に開示する組成物および方法では以下の構成を利用することができる。
【0141】
<なめし加工の例1:なめし加工および革の用意>
革のなめし加工は、古代から存在する技術であり、紀元前7000年から紀元前3300年の間に南アジアで始まった。革のなめし加工は、さまざまな材料に対して実施されてきた。本明細書に説明するプロセスは、例えば、これらに限定されないが、羊、ヤギ、牛、鹿、馬、爬虫類、鳥類、豚およびカンガルーの皮といった多くの原材料に適用が可能である。どのような革製品を完成させる必要があるかに応じて原材料が決まる。
【0142】
動物の皮膚は全て、水、たんぱく質、脂肪質および無機塩から成る繊維マトリクスで構成されている。これらには、エラスチン、コラーゲン、ケラチン、アルブミン、グロブリン、ムチン、ムコイドが含まれる。たんぱく質は、多くの種類を含み得るが、重要なのはなめし加工されると革となるコラーゲンである。
【0143】
本発明の第1の実施形態に係る方法では、原材料を完全にクロムなめしして、繊維構造を恒久化する。クロムなめしプロセスは、革加工業者ハンドブック(ジェイ・エイチ・シャープハウス(J.H.Sharphouse)、B.S.c.革加工業者組合(Leather Producers Association)、キングズ・パーク・ロード、マルトンパーク、ノーザンプトン、NN3 1JD、英国)で説明しているが、以下に記載する一連のステップを含む。
1.最初に、皮を、毎分回転数を4に設定した回転ドラム内で、摂氏27度、pHが9.0に設定され、非イオン性の表面活性剤を0.1%加えた300%の水に、浸漬する。皮は、6時間から12時間の間、断続的にドラム内で処理する。
2.この後皮を脱水する。
3.皮の肉面に、15%の硫化水素ナトリウム(濃度33%)、50%の水和石灰および35%の水を塗布する。皮を一晩積み重ねて毛を取り除く。
4.次に、600%の水および12%の石灰を容器内に入れて、攪拌用パドルを4時間毎に5分間動かして、24時間これを行う。続いて、12%の硫化ナトリウムを容器に追加して、さらに12時間攪拌を続ける。
5.次に、回転式フレッシング機械で皮の裏面から肉を除去する。
6.続いて、30分間にわたってパドル付き容器内で穏やかに水を流しながら皮を洗浄する。
7.皮を、1.5%の塩化アンモニウムを含む摂氏37度の500%の水を含むパドル付き容器内で脱灰する。パドルは、60分間にわたって動かすか、または、皮から石灰が無くなるまで動かす。
8.このベーチング処理は、パドルを2時間から3時間の間動かしつつ、1%の細菌脱灰液を追加することを含む。
9.続いて、摂氏20度の200%の水と、20%の塩と、2%の硫酸とから成るピックル液を用いてドラム内で皮をピックルする。ドラムは60分間にわたって動作させ、最終的なピックル液の濃度は0.5%の硫酸液となる。この後ドラムから排水して、皮は数日間にわたって熟成のために保存される。
10.クロムなめし液をドラム内にいれる。なめし液は、100%の水、5%の塩、1%の酸化クロム(SO2を還元して、11%の酸化クロムを含み、33%の塩基度であるクロム液の10%として)、および、1%の酸化クロム(クロム液の10%として)を含む。皮はこの後、この溶液内で浸透するまで2時間から6時間にわたってドラム内で処理される。
11.この後に皮を塩基性化する。約3%から約15%の間でなめし加工を完了する。0.5%から1%の重炭酸ナトリウムを4時間かけて慎重に加えて、収縮温度試験を実施する必要がある。なめし加工が完了した時点において、pHは約4.4となっている必要があり、収縮温度は摂氏98度となっている必要がある。
12.この後、24時間に渡って皮を積み上げて脱水する。
13.この後、皮を、150%の水および1.5%の重炭酸アンモニウムを用いてドラムで完全に中和する。
14.最後に、皮をよく洗浄する。この時点で、革は完全にクロムなめしされており、本発明に係る含侵プロセスを利用した再なめしの準備が整ったことになる。
【0144】
上述したクロムなめしプロセスは公知技術である。上述のクロムなめしプロセスは、本発明に係る容量性材料を含侵させるための再なめしプロセスの前に、原料皮に対して実行される主要なめしプロセスの概略として説明した。
【0145】
他のクロムなめし加工または他の基本的な鉱物なめし加工または植物なめし加工も、事前なめし加工方法として利用することができる。硫酸クロム、ジルコニウム、アルミニウムおよび植物タンニンも同様に、本発明で利用され得る。
【0146】
<製造例1:革>
革(フルグレイン・ヘア・シープスキンにスプレー法で下塗りを2層形成する。第1の下塗り層は、厚みが6.5G/FT
2から7.0G/FT
2(ウェット時)で、その後の第2の下塗り層は、厚みが6.0G/FT
2(ウェット時)であり、その後でメッキされる(サンド、摂氏90度、50Kg)。上塗りは1.5GFT
2から2.0G/FT
2(ウェット時)の厚みまでスプレー方式で形成し、革を摂氏250度(低圧で)で回転プレス機にかける。最後に、革にミリング加工を行って、見た目および織物特性を所望通りにする。
【表1】
【0147】
<製造例2:英国なめし皮>
革(フルグレイン山羊革)に、スプレー方式で下塗りを1層形成し(ウェット)、中塗りを2層形成し、上塗りを1層形成する(中塗り)。この後、革にタンブル加工を行う。
【表2】
【0148】
<製造例3:完成品であるフェルト>
フェルトは、最初に下塗りに浸漬して、摂氏85度のオーブンで乾燥させる。この後、処理後のフェルトにスプレー方式で上塗りを形成する。
【表3】
【0149】
<方法の例1:革への含侵>
1.革は、華氏110度で約1時間にわたって、革の乾燥時重量の200%の水で、溶液槽に1%のギ酸、1%の洗浄剤、1%の湿潤剤および1%のキレート剤を添加して洗浄する。
2.革をこの後、110度で10分間にわたって洗い流す。
3.革をこの後、乾燥時重量の100%に30分間にわたって華氏90度でリフロートさせる。溶液槽には1%のギ酸、10%のグルタルアルデヒド、25%のカーボンブラックを添加する。
4.溶液槽に、乾燥時重量の6%の油を添加する。この油は、パラフィンロウから成る。これは、3時間にわたって行われる。
5.3時間後、20%の自己沈静(self−pacifying)クロムを溶液槽に添加する。これは、3時間にわたって行われる。
6.終了すると、革を、華氏90度で10分間にわたって洗浄して、華氏70度で10分間にわたって冷却する。
7.この時点において、カーボンブラックは、完全に皮の繊維マトリクスに浸透しており、繊維と結合して、革の繊維全体にわたって内部容量網状構造を形成している。他のセント(cent)、および、アルデヒドフェノールおよびナフタレンのESDに基づくものをグルタルアルデヒド溶液のものとして利用するとしてよい。グルタルアルデヒド溶液がプロセスで利用される好ましい実施形態では、割合は1%と7%との間であり、より好ましい範囲としては2%と5%との間であり、さらに好ましくは3%である。水成分は、好ましくは25%と400%との間であってよく、摂氏80度では約20%であり、より好ましくは摂氏40度と60度との間で50%から200%の間の水であり、より好ましくは摂氏50度で100%の水である。カーボンブラック粉末は、さまざまな濃度で混合させることができ、必要な容量および必要な外観の色に応じて10%まで下げることも可能である。カーボンブラックは、1%と25%との間であることが好ましく、10%と25%との間であることがより好ましく、約20%であることがさらに好ましい。使用するカーボンブラック粉末の量は、再なめし加工の対象である皮の物理的特性および利用した主要なめしプロセスに応じて変わる。再なめしプロセスでは適切な量のカーボンブラックを利用することが重要である点に留意されたい。再なめしプロセスで利用するカーボンブラックの量が十分でない場合、革の機能性が得られない。一方で適切な量のカーボンブラックを利用すると、皮革全体に形成された容量網状構造による効果が全て得られる。このため、本発明に係る革は、表面特性が従来の黒色革と同様であっても、マルチタッチ型の容量性タッチスクリーンに対して容量結合を形成することができる。カーボンブラックおよびグルタルアルデヒドのドラム内での処理の時間、および、追加で実行されるギ酸カルシウムのドラム内の処理の時間は、好ましい値を示しており、革のドラム内での処理の範囲について増減し得るものである。
[付記1]
タッチスクリーンデバイスとの間でやり取りを行う導電性の改良材料であって、
内部に複数の空隙または複数の繊維が分散された革材料または革状の材料と、
導電剤と、
バインダ材料と
を備え、
上記革材料または上記革状の材料の少なくとも一部分は、上記改良材料内で導電性および容量をもつのに十分な濃度の上記導電剤および上記バインダ材料に含浸され、
上記改良材料は、1.0×106Ω−cm未満の体積抵抗率を有し、
上記改良材料は、上記タッチスクリーンデバイスとの間でやり取りを行うものに形成される場合、10.0ピコファラド(pF)を超える実効キャパシタンスを有し、
上記改良材料の導電性及び容量は、上記改良材料を上記タッチスクリーンに容量結合させることができる
改良材料。
[付記2]
上記革材料または上記革状の材料は、上記複数の空隙を有し、上記導電剤は、上記革材料または上記革状の材料内の上記複数の空隙の内部に含浸される付記1に記載の改良材料。
[付記3]
上記改良材料は、少なくとも30%の導電剤を含む付記1または2に記載の改良材料。
[付記4]
上記導電剤は、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、グラファイト、PEDOT、ポリアニリン、銀、銅、金、ニッケル、アルミニウム、インジウム、亜鉛、スズ、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される付記3に記載の改良材料。
[付記5]
上記導電剤は、上記革材料または上記革状の材料の内部に配された上記複数の繊維に装填される付記4に記載の改良材料。
[付記6]
上記革材料の内部に配された上記複数の繊維は、コラーゲン繊維である付記5に記載の改良材料。
[付記7]
上記革材料または上記革状の材料内の複数の繊維の少なくとも幾らかは、鎖状のカーボンファイバを含む付記5に記載の改良材料。
[付記8]
上記鎖状のカーボンファイバは、少なくとも100ナノメートルの長さを有する付記7に記載の改良材料。
[付記9]
上記複数の繊維の少なくとも幾らかは、上記改良材料が、上記改良材料内の導電性を大きく低減させることがなく、引っ張り歪み、圧縮歪み、またはせん断歪みに耐えることができるように重なっている付記5から8の何れか1項に記載の改良材料。
[付記10]
上記導電剤は、上記バインダに均質に分散または懸濁している付記1から9の何れか1項に記載の改良材料。
[付記11]
上記導電剤は、上記改良材料上で硬化する付記10に記載の改良材料。
[付記12]
上記改良材料は、完成形態となった後も、1.0×105Ω−cm未満の体積抵抗率を維持する付記1から11の何れか1項に記載の改良材料。
[付記13]
タッチスクリーンデバイスとの間でやり取りを行う革材料または革状の材料を改良する方法であって、
内部に複数の空隙または複数の繊維が分散された革材料または革状の材料を提供する段階と、
上記革材料または上記革状の材料の内部の上記複数の空隙または上記複数の繊維の少なくとも一部分に、上記改良された上記革材料または上記革状の材料に導電性および容量を与えるのに十分な濃度の導電剤を提供する段階と
を備え、
上記革材料または上記革状の材料は、1.0×106Ω−cm未満の体積抵抗率を有し、
上記革材料または上記革状の材料は、タッチスクリーンデバイスとの間でやり取りを行うものに形成される場合、10.0ピコファラド(pF)を超える実効キャパシタンスを有し、
上記革材料または上記革状の材料の導電性及び容量は、上記革材料または上記革状の材料を上記タッチスクリーンと容量結合をさせることができる
方法。
[付記14]
上記革材料を最大引き伸ばし率までトグル張りする段階と、
上記革材料の内部に配された上記複数の繊維に上記導電剤を装填する段階と、
バインダ材料を含む上記革材料の内部に配された上記複数の繊維に、上記導電剤を結合する段階と、
上記革材料、上記導電剤、および上記バインダ材料を共に硬化させる段階と
をさらに備え、
上記革材料は、上記革材料内の導電性および容量を得るのに十分な濃度の導電剤およびバインダ材料に含浸される、付記13に記載の方法。
[付記15]
上記導電剤は、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、グラファイト、PEDOT、ポリアニリン、銀、銅、金、ニッケル、アルミニウム、インジウム、亜鉛、スズ、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される付記13または14に記載の方法。
[付記16]
上記革材料または上記革状の材料は、完成形態となった後も、1.0×105Ω−cm未満の体積抵抗率を維持する付記13から15の何れか1項に記載の方法。
[付記17]
上記改良された革材料をタンブル加工させる段階をさらに備える付記13から16の何れか1項に記載の方法。
[付記18]
上記導電剤の少なくとも幾らかは、鎖状のカーボンファイバを含む付記13から17の何れか1項に記載の方法。
[付記19]
上記鎖状のカーボンファイバは、少なくとも100ナノメートルの長さを有する付記18に記載の方法。
[付記20]
上記導電剤の少なくとも幾らかは、上記革材料または上記革状の材料が、上記革材料または上記革状の材料内の導電性を大きく低減させることがなく、引っ張り歪み、圧縮歪み、またはせん断歪みに耐えることができるように重なっている付記18または19に記載の方法。
[付記21]
水および油脂の混合物内の上記革材料の内部に配された上記複数の繊維に、上記導電剤が運ばれる段階をさらに備える付記20に記載の方法。
[付記22]
付記13から21の何れか1項に記載の方法により準備された、タッチスクリーンデバイスとの間でやり取りを行う導電性の改良された革材料または革状の材料。