特許第6182413号(P6182413)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6182413
(24)【登録日】2017年7月28日
(45)【発行日】2017年8月16日
(54)【発明の名称】工具着脱装置及び工具マガジン装置
(51)【国際特許分類】
   B23Q 3/157 20060101AFI20170807BHJP
【FI】
   B23Q3/157 B
【請求項の数】7
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-203294(P2013-203294)
(22)【出願日】2013年9月30日
(65)【公開番号】特開2015-66640(P2015-66640A)
(43)【公開日】2015年4月13日
【審査請求日】2016年7月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000152675
【氏名又は名称】コマツNTC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】大木 信人
【審査官】 村上 哲
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭57−068732(JP,U)
【文献】 特開2007−054920(JP,A)
【文献】 特開平10−180581(JP,A)
【文献】 米国特許第06149562(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0177512(US,A1)
【文献】 米国特許第4641415(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0217829(US,A1)
【文献】 英国特許出願公告第1166194(GB,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 3/155−3/157
WPI
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
保持部材に対して離脱不能状態に保持された工具の同離脱不能状態を解除するために操作される第1操作レバーと、
工具を前記保持部材から離脱させるために操作される第2操作レバーと、
両操作レバー間に設けられ、第1操作レバーの操作によって、第2操作レバーを操作不能にロックする状態と、ロック状態を解除して第2操作レバーの操作を有効化する状態とに切換えられるとともに、第2操作レバーの操作によって、第1操作レバーを操作不能にロックする状態と、ロック状態を解除して第1操作レバーの操作を有効化する状態とに切換えられるロック機構と
を備えた工具着脱装置。
【請求項2】
前記第1操作レバーの操作によって、工具の離脱不能状態と離脱不能状態の解除とに切換える切換部材と、
第1操作レバーの操作により、前記保持部材に保持された工具を受ける位置とそこから離間する位置とに移動される受け部材と
を設けた請求項1に記載の工具着脱装置。
【請求項3】
前記第2操作レバーと前記受け部材とを連結し、第2操作レバーの操作によって工具を受ける位置の受け部材を移動させて工具を保持部材に対して着脱させる請求項2に記載の工具着脱装置。
【請求項4】
前記ロック機構は、
ロック部材と、
前記第2操作レバーと受け部材との間に連結され、第1レバーの操作による受け部材の移動によって前記ロック部材によってロックされる位置と、ロックが解除される位置との間を移動される被ロック部材とを備え、
被ロック部材のロックが解除された状態において、第2操作レバーの操作により被ロック部材を介して受け部材が着脱方向に移動される請求項3に記載の工具着脱装置。
【請求項5】
工具の離脱不能状態の解除ために操作される第1操作レバーの操作方向と、保持部材から工具を抜き出すために操作される第2操作レバーの操作方向とを異ならせた請求項1〜4のうちのいずれか一項に記載の工具着脱装置。
【請求項6】
請求項1〜5のうちのいずれか一項に記載の工具着脱装置と、
複数の工具を整列状態で保持する工具マガジンと
を備えた工具マガジン装置。
【請求項7】
前記工具マガジンは、複数の工具を放射状に配列するために全体として環状をなし、前記工具着脱装置に対して工具を割り出す請求項6に記載の工具マガジン装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、工具マガジン装置に工具ポット等の保持部材を介して支持された工具を脱着する場合に用いられる工具着脱装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の工具着脱装置としては、例えば特許文献1に開示されている。この従来構成においては、工具ポットに支持された工具の係合溝に係合部材を係合させた状態で、操作レバーを手動によって回動操作することにより、係合部材が回動されて、工具が工具ポットから引き抜かれるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−56547号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、工具マガジン装置においては、通常時には工具ポットに対して工具を離脱不能状態に保持するとともに、工具ポットから工具を引き抜く際には、この工具の離脱不能状態を解除するようにした構成が備えられている。
【0005】
このような構成の工具マガジン装置に前記従来構成の工具着脱装置を適用すると、工具ポットから工具を引き抜くために操作レバーを回動操作する際、その操作に先立って工具ポットに対する工具の離脱不能状態を解除しなければならない。この解除操作は工具の基端側の奥まった位置で行う必要があるため、操作に労力を要するという問題があった。
【0006】
この発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的は、保持部材に対する工具の離脱不能状態の解除と、保持部材からの工具の離脱とを、2つの操作レバーの操作によって容易かつ適正に行うことができる工具着脱装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、この工具着脱装置は、保持部材に対して離脱不能状態に保持された工具の同離脱不能状態を解除するために操作される第1操作レバーと、工具を前記保持部材から離脱させるために操作される第2操作レバーと、両操作レバー間に設けられ、第1操作レバーの操作によって、第2操作レバーを操作不能にロックする状態と、ロック状態を解除して第2操作レバーの操作を有効化する状態とに切換えられるとともに、第2操作レバーの操作によって、第1操作レバーを操作不能にロックする状態と、ロック状態を解除して第1操作レバーの操作を有効化する状態とに切換えられるロック機構とを備えたことを特徴としている。
【0008】
従って、この工具着脱装置においては、第1操作レバーが操作されない通常時にはロック機構により第2操作レバーが操作不能にロックされる。このため、第2操作レバーが単独で操作される誤操作のおそれを防止することができる。そして、保持部材に対する工具の脱着交換に際して、工具の離脱不能状態を解除するために第1操作レバーか操作されると、ロック機構が解除動作されて第2操作レバーの操作が有効化される。この状態で、第2操作レバーを操作すれば、工具が保持部材から離脱される。よって、工具の離脱不能状態の解除と保持部材からの工具の離脱とを簡単な操作によって適切に行うことができる。また、第2操作レバーを操作すると、第1操作レバーは操作不能となり、保持部材から抜き出された工具が落ちたりすることが防止される。
【0009】
また、工具マガジン装置は、前記工具着脱装置と、複数の工具を工具ポットを介して放射状に配列するために全体として環状をなし、前記工具着脱装置に対して工具を割り出す工具マガジンとを備えている。
【0010】
従って、この工具マガジン装置においては、割り出された工具の離脱不能状態の解除と保持部材からの工具の離脱とを前記工具着脱装置により簡単な操作によって適切に行うことができる。
【発明の効果】
【0011】
前記の工具着脱装置及び工具マガジン装置によれば、工具の着脱を2つの操作レバーの操作によって容易に行うことができるという効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】一実施形態の工具着脱装置を備えた工具マガジン装置を示す斜視図。
図2図1の工具着脱装置を右上方から見て示す拡大斜視図。
図3】同工具着脱装置を左上方から見た斜視図。
図4】同工具着脱装置を右下方から見た斜視図。
図5図2の5−5線における断面図。
図6図2の6−6線における断面図。
図7図5の7−7線における拡大断面図。
図8】工具着脱装置の第1操作レバーを操作した状態を右上方から見て示す斜視図。
図9】同工具着脱装置の操作状態を左上方から見た斜視図。
図10】同工具着脱装置の操作状態を右下方から見た斜視図。
図11】同工具着脱装置の操作状態を図5に対応して示す断面図。
図12】同工具着脱装置の操作状態を図6に対応して示す断面図。
図13】工具着脱装置の第2操作レバーをさらに操作した状態を右上方から見て示す斜視図。
図14】同工具着脱装置の操作状態を左上方から見た斜視図。
図15】同工具着脱装置の操作状態を右下方から見た斜視図。
図16】同工具着脱装置の操作状態を図12に対応して示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、工具着脱装置を備えた工具マガジン装置の一実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、この実施形態の工具マガジン装置21においては、図示しない工作機械の本体の上端に設置されたフレーム22上に環状のレール221が水平面内において設置されている。フレーム22には駆動モータ24が固定されている。駆動モータ24の出力軸にはアーム231を介して保持リング23が前記レール221の中心の垂直軸線を中心にして水平面内において割出し回転可能に支持されている。保持リング23には、種類等の異なった複数の工具25が保持部材としての工具ポット26に保持された状態で水平面内における放射方向に延びるように、環状に整列された状態で支持されている。工具25はその延長方向に移動されることによって工具ポット26に対して着脱される。この工具ポット26は、上下方向に移動されることにより、保持リング23に対して着脱可能である。レール221,保持リング23,駆動モータ24により工具マガジンが構成されている。工具ポット26の背面には、保持リング23の内側において前記レール221上を転動されるローラ262が支持されている。前記レール221には、前記ローラ262及び後述の保持機構28が上下に通過可能な分離部222が1箇所に設けられている。
【0014】
図1に示すように、前記レール221の分離部222の位置と対応するように、前記フレーム22には、搬送装置27が設けられている。この搬送装置27は、保持リング23の割出し回転により分離部222の位置に配置された所要の工具25を、ローラ262及び保持機構28が分離部222を通り抜けるようにして、保持リング23上から工具ポット26とともに保持リング23の軸線方向の下方に搬送させる。そして、図示しない工作機械の主軸との間で工具交換を行わせる。また、交換された旧工具25を逆手順で工具ポット26に戻す。
【0015】
図2図5及び図7に示すように、前記工具25の基端部には、首部251、係合溝252及びシャンク253が形成されている。工具ポット26には、工具25のシャンク253を着脱可能に装着するための装着孔261が形成されている。保持リング23の内側に位置する工具ポット26の後面には、工具25のシャンク253を工具ポット26の装着孔261に装着した状態で離脱不能に保持するための保持機構28が設けられている。保持機構28には、工具25の離脱不能状態と同離脱不能の解除状態とに切り換えるための切換ピン281が横方向へ移動可能に貫設されている。そして、切換ピン281が図7に実線で示す一側位置に移動された状態で、保持機構28が工具25の離脱不能状態に切り換えられ、切換ピン281が図7に鎖線で示す他側位置に移動された状態で、保持機構28が工具25の離脱不能の解除状態に切り換えられる。
【0016】
図1に示すように、前記フレーム22上において前記搬送装置27とほぼ90度離れた位置には、工具25を工具ポット26に対して手動で脱着するための工具着脱装置29が配設されている。そして、保持リング23上の工具25の摩耗や加工仕様変更等にともなって、その工具25を交換する必要が生じた場合には、保持リング23の割出し回転により所要の工具25が工具着脱装置29と対応する位置に配置される。この状態で、工具着脱装置29により、前記保持機構28が工具25の離脱不能状態からその解除状態に切り換えられるとともに、工具25が工具ポット26から離脱可能な状態になる。
【0017】
以下に、この工具着脱装置29の構成について詳細に説明する。
図1図5に示すように、前記フレーム22上には、ブラケット30が固定されている。ブラケット30上には、側面形ほぼT字状の支持板31が固定されている。支持板31の前面には、側面形ほぼL字状の昇降部材32がレール33を介して昇降可能に支持されている。昇降部材32の上端前面には、工具ポット26の保持機構28を切り換え動作させるための解除部材としての平面形ほぼU字状の切換部材34が固定されている。切換部材34の両側内面には、保持機構28の切換ピン281を前記2位置に切り換えるための傾斜カム面341,342が形成されている。
【0018】
そして、前記昇降部材32の上昇にともなって、切換部材34が図7に実線で示す下方位置から鎖線で示す上方位置に移動されたときには、一方の傾斜カム面341との係合により切換ピン281が一側位置から他側位置に移動されて、保持機構28が工具25の離脱不能状態から解除状態に切り換えられる。これに対して、昇降部材32の下降にともなって、切換部材34が図7に鎖線で示す上方位置から実線で示す下方位置に移動されたときには、他方の傾斜カム面342との係合により切換ピン281が他側位置から一側位置に移動されて、保持機構28が工具25の離脱不能の解除状態から離脱不能状態に切り換えられる。
【0019】
図2図5に示すように、前記昇降部材32の上面には、側面形ほぼL字状の支持部材35がレール36を介して前後方向へ移動可能に支持されている。支持部材35の上端には、工具25の首部251に係合可能な支持凹部371を有する支持板37、及び工具25の係合溝252に係合可能な湾曲凹状の係合突条381を有する受け部材38が固定されている。そして、昇降部材32の上昇にともなって、支持部材35が図5に示す下方位置から図11に示す上方位置に移動されたとき、支持板37の支持凹部371が工具25の首部251に係合されるとともに、受け部材38の係合突条381が工具25の係合溝252に係合される。これにより、工具25が支持部材35上に支持板37及び受け部材38を介して支持される。
【0020】
図2図5に示すように、前記ブラケット30の一側下部には、第1操作レバー39が支持軸40を介して上下方向に回動可能に支持されている。第1操作レバー39は、基端側の本体部391と、その本体部391の先端に支軸393を介して横方向に回動可能に取り付けられた操作部392とを備えている。本体部391と操作部392との間には、操作部392に一方向の付勢力を付与する押しバネ394が介在されている。第1操作レバー39の本体部391の先端部は、連結ピン41と、前記昇降部材32の下面に突設された連結片42上の長孔421との係合を介して、昇降部材32に連結されている。そして、第1操作レバー39が支持軸40を中心にして上方または下方に回動されたとき、昇降部材32が上昇または下降されるようになっている。
【0021】
図1に示すように、前記フレーム22の前面には、案内板43が固定されている。案内板43の一側部には、第1操作レバー39の上下操作を案内する第1案内溝44が形成されている。第1案内溝44の上下両端には、第1操作レバー39の操作部392が前記押しバネ394のバネ力によって係合される係合溝部441,442が形成されている。そして、第1操作レバー39が支持軸40を中心にして上方位置または下方位置に回動操作された状態で、その操作部392が支軸393を中心にして横方向に回動されることにより、操作部392が係合溝部441,442に係合されて、第1操作レバー39が上方位置または下方位置に係止保持される。
【0022】
図2図4及び図6に示すように、前記ブラケット30の他側下部には、第2操作レバー45が回動軸46を介して上下方向に回動可能に支持されている。第2操作レバー45は、基端側の本体部451と、その本体部451の先端に支軸453を介して横方向に回動可能に取り付けられた操作部452とを備えている。本体部451と操作部452との間には、操作部452に一方向の付勢力を付与する押しバネ454が介在されている。回動軸46には、先端に係合ピン471を有する回動レバー47が固定されている。前記昇降部材32上の支持部材35の側面下部には、回動レバー47上の係合ピン471に係合可能な係合溝481を有する被ロック部材48が固定されている。
【0023】
そして、前記昇降部材32の上昇により、図12に示すように、支持部材35が上方位置に移動された状態で、第2操作レバー45が回動軸46を中心に上方位置から下方位置に回動されたとき、回動レバー47が同図の反時計方向に回動される。このようにすると、係合ピン471と被ロック部材48の係合溝481との係合を介して、支持部材35が前方に移動される。これにより、図16に示すように、工具25が支持板37及び受け部材38を介して支持部材35上に支持された状態で前方に移動されて、工具25のシャンク253が工具ポット26の装着孔261から離脱される。
【0024】
図1に示すように、前記フレーム22上の案内板43の他側部には、第2操作レバー45の上下操作を案内する第2案内溝49が形成されている。第2案内溝49の上下両端には、第2操作レバー45の操作部452が前記押しバネ454のバネ力によって係合される係合溝部491,492が形成されている。そして、第2操作レバー45が回動軸46を中心にして上方位置または下方位置に回動操作された状態で、その操作部452が支軸453を中心にして横方向に回動されることにより、操作部452が係合溝部491,492に係合されて、第2操作レバー45が上方位置または下方位置に係止保持される。
【0025】
図2図4及び図6に示すように、前記第1操作レバー39と第2操作レバー45との間には、第1操作レバー39及び第2操作レバー45を操作不能にロックするためのロック機構50が設けられている。すなわち、図2に示すように、第1操作レバー39が下方位置に配置された通常時には、ロック機構50によって第2操作レバー45が上方位置から下方位置への操作が不能にロックされる。これに対して、第1操作レバー39が下方位置から上方位置に回動操作されたときには、ロック機構50による第2操作レバー45のロック状態が解除されて、第2操作レバー45の上方位置から下方位置への操作が有効化される。また、第2操作レバー45が上方位置から下方位置に操作されたときには、第1操作レバー39が操作不能にロックされ、第2操作レバー45が下方位置から上方位置に操作されたときには、第1操作レバー39のロックが解除されて、操作が有効化される。
【0026】
以下に、このロック機構50の構成について詳細に説明する。図2図4及び図6に示すように、ロック機構50は、前記ブラケット30の下面に固定されたロック部材51と、そのロック部材51に係脱可能な前記被ロック部材48とによって構成されている。ロック部材51には、下方位置の被ロック部材48に係合してその被ロック部材48を移動不能にロックするロック凹所511と、上方位置の被ロック部材48の移動を案内する案内面512とが形成されている。また、ロック部材51の先端には、上方位置の被ロック部材48の移動端を規制する規制片513が形成されている。
【0027】
そして、図5に示すように、第1操作レバー39が下方位置にあって、昇降部材32及び支持部材35が下方位置に配置されているときには、図6に示すように、被ロック部材48が下方位置に配置されてロック部材51のロック凹所511に係合されている。これによって、第2操作レバー45が上方位置から下方位置へ操作できないようにロックされている。これに対して、図11に示すように、第1操作レバー39が下方位置から上方位置に操作されて、昇降部材32及び支持部材35が上方位置に配置されたときには、図12に示すように、被ロック部材48がロック部材51のロック凹所511から上方に離脱される。これにより、第2操作レバー45がロック状態から解除されて、その第2操作レバー45の上方位置から下方位置への操作が有効化される。その後、第2操作レバー45が上方位置から下方位置に操作されたときには、図16に示すように、被ロック部材48がロック部材51の案内面512に沿って前方に移動されるとともに、規制片513との当接によって移動端に位置規制される。この状態においては、ロック部材51が案内面512上に位置しているため、被ロック部材48及び支持部材35は下方へ移動し得ない。このため、この状態においては、第1操作レバー39の下方への回動がロックされており、同レバー39の下方回動が阻止されている。
【0028】
次に、前記のように構成された実施形態の作用を説明する。
図1図6には、第1操作レバー39が下方位置に配置されるとともに、第2操作レバー45が上方位置に配置された通常状態が示されている。この状態においては、昇降部材32が下方位置に配置されて、図7に実線で示すように、切換部材34が工具ポット26の保持機構28から下方に離間して配置されている。このため、保持機構28の切換ピン281が同図に実線で示す一側位置に切り換え配置されて、保持機構28により工具25が工具ポット26に対して離脱不能状態に保持されている。また、この状態においては、図5に示すように、支持部材35が下方位置の昇降部材32上において後方位置に配置され、その支持部材35上の支持板37及び受け部材38が工具25の首部251及び係合溝252から下方に離間して配置されている。
【0029】
さらに、この通常状態では、図6に示すように、下方位置及び後方位置の支持部材35に固定された被ロック部材48がロック部材51のロック凹所511に係合されている。このため、支持部材35の前方への移動が規制されて、第2操作レバー45が上方位置から下方位置へ操作できないようにロックされている。よって、前記のように工具25が工具ポット26に対して離脱不能状態に保持される。従って、工具25が支持部材35によって支持されていない状態で、第2操作レバー45が工具25を工具ポット26から離脱させるために誤操作されるおそれはない。
【0030】
この通常状態において、保持リング23上の工具25の摩耗や加工仕様変更等にともなって、その工具25を手動交換する必要が生じた場合には、駆動モータ24により保持リング23が割出し回転されて、所要の工具25が工具着脱装置29と対応する位置に配置される。この状態で、第1操作レバー39を下方位置から上方位置に回動操作すると、図8図12に示すように、昇降部材32が上方位置に移動される。これにより、切換部材34が図7に実線で示す下方位置から鎖線で示す上方位置に移動され、その切換部材34の一方の傾斜カム面341との係合により、保持機構28の切換ピン281が一側位置から他側位置に切り換え移動されて、工具ポット26に対する工具25の離脱不能状態が解除される。
【0031】
これとともに、前記昇降部材32の上方位置への移動にともなって、図11に示すように、支持部材35が上方位置に配置され、その支持部材35上に固定された支持板37の支持凹部371が工具25の首部251に係合されるとともに、受け部材38の係合突条381が工具25の係合溝252に係合される。これにより、工具25が支持部材35上に支持板37及び受け部材38を介して軸線方向へ一体移動可能に下方から支持される。また、前記のように支持部材35が上方位置に配置されると、図12に示すように、被ロック部材48がロック部材51のロック凹所511から上方に離脱される。これにより、第2操作レバー45がロック状態から解除されて、その第2操作レバー45の操作が有効な状態に切り換えられる。
【0032】
その後、第2操作レバー45を上方位置から下方位置に回動操作すると、図13図16に示すように、回動レバー47が回動されて、その回動レバー47上の係合ピン471と被ロック部材48の係合溝481との係合を介して、支持部材35が前方に移動される。これにより、図16に示すように、工具25が支持部材35上に支持された状態で前方に移動されて、工具25のシャンク253が工具ポット26の装着孔261から離脱される。よって、この状態において支持部材35上の工具25を、手動により新しい工具25と脱着交換することができる。一方、この状態においては、被ロック部材48が案内面512上に位置していてるため、第1操作レバー39を下方へ操作しようとしても、その操作は阻止される。従って、工具25を受けるための支持板37及び受け部材38は図11の位置に維持される。
【0033】
さらに、交換後の新しい工具25を工具マガジン装置21上の工具ポット26に装着する場合には、新工具25を前方及び上方に位置する受け部材38上に支持し、前記工具25の離脱時と逆順に、まず第2操作レバー45を下方位置から上方位置に回動操作する。このようにすると、図8図12に示すように、支持部材35が上方位置において工具25とともに後方に移動されて、工具25が工具ポット26に装着される。この状態においては、被ロック部材48が案内面512から外れるために、同被ロック部材48の下方移動が可能になり、従って、第1操作レバー39のロックが解除されて、同レバー39の下方回動が可能になる。第1操作レバー39を上方位置から下方位置に回動操作すると、図2図6に示すように、昇降部材32が下方位置に移動されて、支持部材35による工具25の支持が解放される。それとともに、切換部材34が図7に鎖線で示す上方位置から実線で示す下方位置に移動され、その切換部材34の他方の傾斜カム面342との係合により、保持機構28の切換ピン281が他側位置から一側位置に切り換え移動されて、工具25が工具ポット26に対する離脱不能状態に保持される。
【0034】
従って、この実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1) この実施形態においては、保持部材としての工具ポット26に対して離脱不能状態に保持された工具25の同離脱不能状態を解除するために操作される第1操作レバー39が設けられている。工具25を工具ポット26から離脱させるために操作される第2操作レバー45が設けられている。両操作レバー39,45間には、常には第2操作レバー45を操作不能にロックするとともに、第1操作レバー39の操作によって第2操作レバー45のロック状態を解除して第2操作レバー45の操作を有効化するロック機構50が設けられている。
【0035】
このため、この工具着脱装置においては、通常時にはロック機構50により第2操作レバー45が操作不能にロックされて、第2操作レバー45が工具25を工具ポット26から離脱させるために誤操作されるおそれを抑制することができる。また、工具ポット26に対する工具25の脱着交換等に際して、工具25の離脱不能状態を解除するために第1操作レバー39が操作されると、ロック機構50が解除動作されて第2操作レバー45の操作が有効化される。この状態で、第2操作レバー45を操作すれば、工具25が工具ポット26から離脱される。よって、実施形態のように、切換ピン281を有する保持機構28が作業者の手が届き難い保持リング23の内側に配置されていても、工具25の離脱不能状態の解除と工具ポット26からの工具25の離脱とを、簡単な操作によって適正に行うことができる。
【0036】
しかも、工具25を下側から受けるために操作される第1操作レバー39が第2操作レバー45のロックを解除する。言い換えれば、第2操作レバー45のロックを解除するための専用のレバーが不要になるため、構成が簡単で、かつレバーの本数が少なくて済むために、レバー操作が簡単になる。
【0037】
加えて、第1操作レバー39によって第2操作レバー45のロックが解除された状態では、第1操作レバー39の下方へ、つまり復帰方向への操作が不能なロック状態になる。従って、工具25を受けるための支持板37及び受け部材38の下方への移動を阻止した状態で、支持板37及び受け部材38上への新たな工具25の設置を工具25が不本意に落ちたりすることなく、容易に行なうことができる。
【0038】
(3) 以上のように、工具交換に際しては、第1操作レバー39の上方回動及び第2操作レバー45の下方回動を経て、手動工具交換作業が実行され、工具交換後は、第2操作レバー45の上方回動及び第1操作レバー39の下方回動を経て、工作機械の主軸との間で工具交換可能な定常状態になる。従って、手動の工具交換においては、所定の手順を踏むことが必要とされ、作業ミスを防止できる。
【0039】
(3) 第1操作レバー39の操作によって、工具25の離脱不能状態から離脱可能状態に切換える切換部材34が設けられている。また、第1操作レバー39の操作によって工具ポット26上の離脱可能状態の工具25をその下側から受ける受け部材38が設けられている。従って、離脱可能状態の工具25が工具ポット26から意図することなく脱落することを防止できる。
【0040】
(4) 第2操作レバー45を操作することにより、工具25を受けている受け部材38を移動させて、工具25を工具ポット26に対して着脱させるようになっている。従って、工具25を受け部材38に支持した状態で脱落することなく着脱できる。
【0041】
(5) 第2操作レバー45の操作をロックするロック機構50が、ロック部材51と、そのロック部材51によってロックされる被ロック部材48とを備えている。そして、第1操作レバー39の操作により、被ロック部材48がロック解除位置に移動されて、第2操作レバー45の操作が可能になる。このため、第2操作レバー45の操作により受け部材38が工具25の着脱方向に移動される。従って、ロック部材51と被ロック部材48とよりなる簡単な構成によって第2操作レバー45をロック状態に設定することができる。
【0042】
(6) 工具25の離脱不能状態を解除するための第1操作レバー39の操作方向が上方向で、工具ポット26から工具25を抜き出すために操作される第2操作レバー45の操作方向が下方向である。従って、操作レバー39,45の操作を誤ることを抑えて、適切な作業を行うことができる。
【0043】
(変更例)
なお、この実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・ 搬送装置27を有しない工具マガジン装置や、工具25を固定位置において直線状あるいは環状に列設するとともに、工具着脱装置29が所要の工具25の位置に移動してその工具25を着脱する工具マガジン装置において具体化すること。
【0044】
・ 円盤あるいは円盤状部材に対してその回転面に垂直をなす向きに工具25を支持する工具マガジン装置や、環状のチェーンに対してその回転面に対して垂直をなす向きに工具25を支持する工具マガジン装置に本発明を具体化すること。
【0045】
・ 操作レバー39,45の操作がエアシリンダ等のアクチュエータの駆動によって行われるように構成すること。
・ 工具25を上下方向に延びる軸線上において保持する工具マガジン装置、例えば、工具25を先端が下向きの状態で保持する工具マガジン装置に本発明を具体化すること。この場合、支持部材35等の工具25を支持したり、保持したりする部材は前記実施形態とは異なる方向に移動される。
【符号の説明】
【0046】
21…工具マガジン装置、22…フレーム、25…工具、251…首部、252…係合溝、253…シャンク、26…保持部材しての工具ポット、261…装着孔、28…保持機構、281…切換ピン、29…工具着脱装置、30…ブラケット、32…昇降部材、34…切換部材、341,342…傾斜カム面、35…支持部材、37…支持板、38…受け部材、39…第1操作レバー、45…第2操作レバー、47…回動レバー、471…係合ピン、48…被ロック部材、481…係合溝、50…ロック機構、51…ロック部材、511…ロック溝。
図1
図2
図3
図4
図5
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図7
図8
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図10
図11
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図16