特許第6182440号(P6182440)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6182440
(24)【登録日】2017年7月28日
(45)【発行日】2017年8月16日
(54)【発明の名称】固定構造
(51)【国際特許分類】
   H05K 7/20 20060101AFI20170807BHJP
   H01L 23/40 20060101ALI20170807BHJP
   H05K 5/02 20060101ALI20170807BHJP
【FI】
   H05K7/20 B
   H01L23/40 A
   H05K5/02 P
【請求項の数】5
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-249490(P2013-249490)
(22)【出願日】2013年12月2日
(65)【公開番号】特開2015-106696(P2015-106696A)
(43)【公開日】2015年6月8日
【審査請求日】2016年4月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002037
【氏名又は名称】新電元工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100129403
【弁理士】
【氏名又は名称】増井 裕士
(74)【代理人】
【識別番号】100160093
【弁理士】
【氏名又は名称】小室 敏雄
(72)【発明者】
【氏名】福田 研太郎
【審査官】 白石 圭吾
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/122230(WO,A1)
【文献】 特開2001−237577(JP,A)
【文献】 特開2010−147094(JP,A)
【文献】 特開2004−356523(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 7/20
H05K 5/02
H01L 23/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一部材と、第一部材よりも剛性が高い第二部材とを固定する固定構造であって、
前記第一部材が、ベース板部と立設壁部とを有する本体部と、該本体部の両端から同一方向に延びて形成されると共に互いに間隔をあけて配され、前記第二部材を側方から挟み込むと共に、前記本体部との間に前記第二部材を挟み込む少なくとも一方に通気孔が設けられている一対の板状体をなす爪部と、を備え、
少なくとも一方の爪部が、前記本体部に対して弾性的に撓み変形可能とされており、該爪部は前記第二部材と係合する鉤部を有し、
前記本体部及び前記第二部材の一方に、前記一対の爪部の配列方向に延びるレール部が形成されて、
前記本体部及び前記第二部材の他方に、前記配列方向に延びてレール部に係合する溝部が形成されていることを特徴とする固定構造。
【請求項2】
前記第二部材が、ヒートシンクであり、
前記本体部に対向するように設けられた一対の前記ヒートシンクの配置面上に配される発熱部を備えることを特徴とする請求項1に記載の固定構造。
【請求項3】
前記第一部材及び前記ヒートシンクが、前記発熱部を収容する収容ケースを構成し、
前記ヒートシンクが、前記配置面の上端部付近から前記本体部に向けて突出して前記収容ケースの壁部をなす板状のヒートシンク壁部を備えることを特徴とする請求項2に記載の固定構造。
【請求項4】
前記第一部材及び前記ヒートシンクが、前記発熱部を収容する収容ケースを構成し、
前記本体部が、前記ヒートシンクに対向するベース板部と、前記ヒートシンクに対向する前記ベース板部の主面の周縁から前記配置面に向けて延出して前記収容ケースの壁部をなす板状の立設壁部を備え、
該立設壁部に、前記発熱部に備える複数の外部接続端子を個別に挿通させる複数の挿通孔が形成されていることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の固定構造。
【請求項5】
前記挿通孔は、前記立設壁部の延出方向先端に開口すると共に、該延出方向先端から基端に向けて延びて形成されていることを特徴とする請求項4に記載の固定構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、二つの部材を固定する固定構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、二つの部材を固定する構造には、例えば特許文献1のように、基板(第一部材)をヒートシンク(第二部材)にネジ止めする構造がある。
また、従来の固定構造には、例えば特許文献2のように、ケース(第一部材)に形成されて弾性的に撓み変形可能な係止片(爪部)により基板(第二部材)をケースに固定する構造がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−177017号公報
【特許文献2】実開平5−67075号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のように二つの部材をネジ止めにより固定する場合、ネジ止めの締結トルク管理や、当該管理に伴う工数の増加が生じることがあり、このような固定構造を含む製品の製造効率低下や製造コスト増加を招く虞がある。
一方、特許文献2の固定構造において、例えば二つの部材を爪部のみにより固定する場合、上記した製造効率低下及び製造コスト増加は抑えられるが、二つの部材の重ね合せ方向を軸線として、二つの部材がこの軸線周りにずれる、すなわち、二つの部材の間で回転ずれが発生する虞がある。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みたものであって、製造効率低下及び製造コスト増加は抑えながら、二つの部材の相互の回転ずれが発生することも防止できる固定構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題を解決するために、本発明の固定構造は、第一部材と、第一部材よりも剛性が高い第二部材とを固定する固定構造であって、前記第一部材が、ベース板部と立設壁部とを有する本体部と、該本体部の両端から同一方向に延びて形成されると共に互いに間隔をあけて配され、前記第二部材を側方から挟み込むと共に、前記本体部との間に前記第二部材を挟み込む少なくとも一方に通気孔が設けられている一対の板状体をなす爪部と、を備え、少なくとも一方の爪部が、前記本体部に対して弾性的に撓み変形可能とされており、該爪部は前記第二部材と係合する鉤部を有し、前記本体部及び前記第二部材の一方に、前記一対の爪部の配列方向に延びるレール部が形成されて、前記本体部及び前記第二部材の他方に、前記配列方向に延びてレール部に係合する溝部が形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、少なくとも一方の爪部を弾性的に撓み変形させながら第二部材を一対の爪部の間に挟み込むだけで、第二部材を第一部材に取り付けることができる。したがって、製品の製造効率低下及び製造コスト増加を抑えることができる。
さらに、本発明によれば、第二部材を第一部材に取り付けた状態において、レール部と溝部とが係合することで、これら第一、第二部材が、本体部と第二部材とを重ね合せた方向に沿う軸線周りにずれることを防止できる。すなわち、二つの部材の相互の回転ずれが発生することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第一実施形態に係る固定構造を含む電子機器の分解斜視図である。
図2図1に示す電子機器の平断面図である。
図3図1に示す電子機器の正断面図である。
図4図1に示す電子機器の下面図である。
図5】本発明の第二実施形態に係る固定構造を含む電子機器の下面図である。
図6】本発明の第三実施形態に係る固定構造を含む電子機器の正断面図である。
図7】本発明の第四実施形態に係る固定構造を含む電子機器の正断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
〔第一実施形態〕
以下、図1〜4を参照して本発明の第一実施形態について説明する。
図1〜4に示すように、この実施形態に係る電子機器1は、収容ケース2と、発熱部3と、を備える。発熱部3は、基板7と、電子部品8と、ピン端子(外部接続端子)9と、を備える。
基板7には、その厚さ方向に貫通する複数の位置決め孔10Cが形成されている。位置決め孔10Cは、後述する収容ケース2のケース本体5に対して基板7を位置決めする役割を果たす。本実施形態の基板7は、平面視矩形の板状に形成されている。位置決め孔10Cは、基板7のうち互いに向かい合う二つの角部に一つずつ形成されている。
電子部品8及びピン端子9は、基板7の第一主面10aに複数設けられている。電子部品8及びピン端子9は、基板7に形成された配線パターン(不図示)に適宜電気接続され、基板7と共に電子機器1の回路(電子回路)を構成している。
【0010】
各ピン端子9は、電子機器1の回路を外部に電気接続する外部接続端子である。各ピン端子9は、基板7の第一主面10aから突出している。また、各ピン端子9は、その長手方向の中途部において折り曲げられている。これにより、各ピン端子9の突出方向の先端部が、基板7の第一主面10aに沿って延び、基板7の第一主面10aの周縁から外側に突出している。複数のピン端子9は、基板7の一方の長辺に沿ってY軸方向に間隔をあけて配列され、基板7の一方の長辺から突出している。また、基板7から突出する複数のピン端子9の先端部は、互いに平行している。
以上のように構成される発熱部3では、通電によって主に電子部品8や基板7の配線パターンにおいて発熱する。本実施形態の電子機器1は、上記した発熱部3を二つ備えている。
【0011】
収容ケース2は、内部に発熱部3を収容するように構成されている。本実施形態の収容ケース2は、上記した発熱部3の収容空間Sを二つ有しており、各収容空間S(SA,SB)に発熱部3(3A,3B)を一つずつ収容することができる。収容ケース2は、ケース本体(第一部材)5と、ヒートシンク(第二部材)6と、を備える。本実施形態における固定構造は、これらケース本体5とヒートシンク6とを固定する構造である。
【0012】
ケース本体5は、本体部11と、一対の爪部12と、を備える。さらに、本体部11は、板状に形成されたベース板部13及び立設壁部14を備える。
本実施形態のベース板部13は、平面視矩形の板状に形成されている。後述するヒートシンク6は、このベース板部13の主面13a,13bに対向して配される。本実施形態では、二つのヒートシンク6がベース板部13の両主面13a,13bに対向して配される。ベース板部13には、その厚さ方向(X軸方向)に貫通する通風孔21が形成されている。通風孔21は、二つの収容空間SA,SBを相互に連通させる。
【0013】
立設壁部14は、ベース板部13や後述するヒートシンク6と共に収容ケース2の壁部を構成するものである。立設壁部14は、ベース板部13の主面13a,13bの周縁(側部)から後述するヒートシンク6の第一主面(配置面)31aに向けて延出している。本実施形態では、立設壁部14がベース板部13の一方の長辺(第一長辺)にのみ設けられている。また、本実施形態では、立設壁部14がベース板部13の主面13a,13bの周縁(側部)からベース板部13の厚さ方向両側に延出している。これにより、本実施形態の本体部11は、断面T字状に形成されている(特に図3参照)。
【0014】
また、本実施形態の立設壁部14は、平面視矩形の板状に形成されている。立設壁部14は、その短辺方向がベース板部13に対する立設壁部14の延出方向(X軸方向)に一致し、長辺方向がベース板部13の長辺方向(Y軸方向)に一致するように、ベース板部13に設けられている。立設壁部14は、図3のようにベース板部13に対して着脱可能に連結されてもよいが、例えばベース板部13と一体に形成されてもよい。
【0015】
立設壁部14には、発熱部3に備える複数のピン端子9を個別に挿通させるための複数の挿通孔22が形成されている。各挿通孔22は、立設壁部14の厚さ方向(Z軸方向)に貫通して形成されている。また、各挿通孔22は、立設壁部14の延出方向先端に開口すると共に、立設壁部14の延出方向先端から基端に向けて延びるスリット状に形成されている。複数の挿通孔22は、ベース板部13の長辺に沿って配列されている。
【0016】
また、収容ケース2の外面をなす立設壁部14の主面14aには、複数の突起101が形成されている。突起101の高さ寸法は、立設壁部14の主面14aから収容ケース2の外側に突出するピン端子9の突出長さよりも小さく設定されている。複数の突起101は、電子機器1を安定した状態で平坦な面(例えば後述する搭載面)に載置できるように互いに間隔をあけて配列されている。本実施形態において、複数の突起101は、平面視矩形とされた立設壁部14の主面14aの各角部近傍の領域に配されている。
複数の突起101は、立設壁部14の主面14aを実装基板の搭載面(不図示)に対向させた状態で、電子機器1を実装基板に実装(例えばスルーホール実装)する際に、実装基板の搭載面に当接することで、収容ケース2を実装基板の搭載面上に間隔をあけて配置するスペーサの役割を果たす。図3に示す突起101は、半球体状に形成されているが、任意の形状に形成されてよい。
【0017】
一対の爪部12は、本体部11のベース板部13から同一方向に延びて形成され、互いに間隔をあけて配されている。一対の爪部12は、後述するヒートシンク6を側方から挟み込む役割を果たす。また、一対の爪部12は、本体部11との間にヒートシンク6を挟み込む役割を果たす。
本実施形態において、各爪部12は、ベース板部13の主面13a,13bの周縁(側部)からベース板部13の厚さ方向(X軸方向)に延びている。また、各爪部12は、ベース板部13に対して弾性的に撓み変形可能とされている。これにより、一対の爪部12は、ヒートシンク6を側方から挟み込むことができる。さらに、本実施形態の各爪部12は、平面視矩形の板状に形成され、後述のヒートシンク6と共に収容ケース2の壁部を構成している。平面視矩形状に形成された各爪部12は、その一対の辺がベース板部13の短辺に平行するように、ベース板部13に設けられている。
【0018】
また、本実施形態では、各爪部12がベース板部13の厚さ方向両側に延びている。これにより、本実施形態では、一対の爪部12によって、ベース板部13の両主面13a,13b上においてヒートシンク6を一つずつ挟み込むことができる。
さらに、本実施形態の各爪部12は、一対の爪部12の間隔が爪部12の延出方向先端に向かうにしたがって小さくなるように設けられている。図示例(特に図2)では、各爪部12が、その延出方向先端に向かうにしたがって、ベース板部13の各主面13a,13bの内側に向かうように傾斜しているが、例えば、湾曲していてもよい。すなわち、ベース板部13の厚さ方向両側に延びる各爪部12は、図示例のようにベース板部13との接続部分において屈曲してもよいし、例えば円弧状に湾曲して形成されてもよい。
【0019】
各爪部12は、その延出方向先端において、他方の爪部12に向けて突出する鉤部23を備える。この鉤部23が、爪部12の弾性力を利用してヒートシンク6を本体部11のベース板部13に向けて押し付けて、本体部11のベース板部13との間にヒートシンク6を挟み込む役割を果たす。本実施形態において、鉤部23は、ベース板部13の短辺方向(Z軸方向)に間隔をあけて複数(図示例では二つ)配列されている。また、本実施形態では、各爪部12がベース板部13の厚さ方向両側に延びているため、鉤部23は、各爪部12の両方の先端に設けられている。
【0020】
また、各爪部12には、その厚さ方向に貫通する通気孔24が複数形成されている。通気孔24は、収容ケース2内部に配された発熱部3の熱を収容ケース2の外部に逃がす役割を果たす。
以上のように構成される一対の爪部12は、図示例のようにそれぞれベース板部13に対して着脱可能に連結されてもよいが、例えばベース板部13と一体に形成されてもよい。
【0021】
また、ケース本体5の本体部11には、上記した一対の爪部12の配列方向に延びるレール部25,26が形成されている。
本実施形態において、レール部25,26は、ベース板部13の長辺方向に延びて形成されている。また、レール部25,26は、本体部11のうちベース板部13の短辺方向(Z軸方向)の両端部にそれぞれ形成されている。具体的に説明すれば、第一レール部25は、ベース板部13の一方の長辺(第一長辺)に設けられた立設壁部14の各延出方向の先端に形成されている。本実施形態では、立設壁部14の各延出方向先端に複数の挿通孔22が開口しているため、第一レール部25は、その延在方向に複数に分割して形成されている。第二レール部26は、ベース板部13の各主面13a,13bのうちベース板部13の他方の長辺(第二長辺)の近傍において、この第二長辺に沿って延びている。
【0022】
また、ケース本体5の本体部11は、付勢部27を備える。付勢部27は、ベース板部13の各主面13a,13bから略C字状に湾曲して延びて形成されており、弾性変形可能とされている。付勢部27は、その延在方向先端にベース板部13の主面13a,13bに近づける方向の外力が作用した際に、湾曲度合が変化するように弾性変形する。この弾性変形に伴い、付勢部27にはベース板部13の主面13a,13bから離れる方向への弾性力が生じる。
付勢部27は、ベース板部13の各主面13a,13b周縁において、各主面13a,13bの周方向に間隔をあけて複数配列されている。本実施形態では、付勢部27が、平面視矩形とされたベース板部13の各主面13a,13bの各辺の中間部分に一つずつ配されている。
【0023】
上記した付勢部27は、鉤部23によるヒートシンク6の押し付け方向と逆方向に付勢して、ヒートシンク6を爪部12の鉤部23との間に挟み込む役割を果たす。
また、本実施形態の付勢部27は、ベース板部13の各主面13a,13bに対向するヒートシンク6の第一主面31aに基板7を押し付ける役割を果たす。このため、各付勢部27の延在方向先端部には、ヒートシンク6の第一主面31aと同じ方向に向く基板7の第一主面10aに面接触する押付面27aが形成されている。さらに、各付勢部27の押付面27aには、位置調整突起28が突出して形成されている。位置調整突起28は、基板7が押付面27aに配された状態で、基板7の側部に対向して配される。本実施形態では、基板7が押付面27aに配された状態で、複数の付勢部27の位置調整突起28が基板7を囲むため、複数の位置調整突起28は、ケース本体5に対する基板7の位置を調整する役割を果たす。
【0024】
また、ケース本体5のベース板部13の各主面13a,13bには、位置決め突起29が突出して形成されている。位置決め突起29は、矩形状に形成されたベース板部13の各主面13a,13bのうち互いに向かい合う二つの角部に配されている。各位置決め突起29は、基板7の各位置決め孔10Cに挿入されることで、ケース本体5に対して基板7を位置決めする役割を果たす。
以上のように構成されるケース本体5は、例えば樹脂材料によって構成される。
【0025】
ヒートシンク6は、例えばアルミニウム等のように、ケース本体5よりも剛性が高く、かつ、熱伝導率の高い材料からなる。本実施形態の電子機器1では、ヒートシンク6がベース板部13の厚さ方向の両側に一つずつ配される。各ヒートシンク6は、板状のヒートシンク本体31及びヒートシンク壁部32、を備える。
ヒートシンク本体31は、ヒートシンク6をケース本体5に固定した状態において、ベース板部13の主面13a,13bに対向して配されるものである。ベース板部13に対向するヒートシンク本体31の第一主面31aは、発熱部3を配置する配置面となっている。本実施形態では、基板7の第二主面10bがヒートシンク6の第一主面31aに対向するように、発熱部3がヒートシンク6の第一主面31a上に配される。また、ヒートシンク本体31には、その第二主面31bから突出する複数のフィン33が形成されている。
さらに、本実施形態のヒートシンク本体31は、ベース板部13や基板7の形状に倣って平面視矩形の板状に形成されている。各フィン33は、ヒートシンク本体31の長辺方向(Y軸方向)に延びている。複数のフィン33は、ヒートシンク本体31の短辺方向(Z軸方向)に互いに平行するように間隔をあけて配列されている。
【0026】
ヒートシンク壁部32は、ヒートシンク本体31の第一主面31aからベース板部13の主面13a,13bに向けて突出しており、収容ケース2の壁部をなす。本実施形態のヒートシンク壁部32は、ヒートシンク本体31の一方の長辺(第一長辺)にのみ設けられている。また、ヒートシンク壁部32は平面視矩形の板状に形成され、その長辺の長さがヒートシンク本体31の長辺の長さと一致している。これにより、本実施形態のヒートシンク6は、断面L字状に形成されている。
【0027】
そして、ヒートシンク6には、前述した一対の爪部12の配列方向に延びる溝部34,35が形成されている。溝部34,35は、ヒートシンク6をケース本体5に固定した状態で、ケース本体5の本体部11に形成されたレール部25,26が挿入されることで、レール部25,26に係合するものである。
本実施形態において、溝部34,35は、ヒートシンク本体31の長辺方向に延びて形成されている。また、溝部34,35は、ヒートシンク6に二つ形成されている。具体的に説明すれば、第一溝部34は、ヒートシンク本体31の一方の長辺(第一長辺)に設けられたヒートシンク壁部32の突出方向の先端に形成されている。第二溝部35は、ヒートシンク本体31の第一主面31aのうち、他方の長辺(第二長辺)の近傍において、第二長辺に沿って延びるように形成されている。
【0028】
以上のように構成されるヒートシンク6は、ヒートシンク本体31の第一主面31aがベース板部13の主面13a,13bに対向するように、さらに、ヒートシンク本体31の第二溝部35が立設壁部14の第一レール部25に対向すると共に、ヒートシンク壁部32の第一溝部34がベース板部13の第二レール部26に対向するように、ヒートシンク6を一対の爪部12の間に挟み込むと共に、爪部12の鉤部23とベース板部13との間に挟み込むことで、ケース本体5に固定される。
【0029】
この固定状態では、ベース板部13の主面13a,13bと、該主面13a,13bから同一方向に延びる一対の爪部12と、立設壁部14と、ヒートシンク6とによって、発熱部3を収容する収容空間SA,SBが画成される。本実施形態では、発熱部3の基板7が付勢部27によってヒートシンク本体31の第一主面31aに押し付けられるため、発熱部3は、収容空間SA,SB内においてヒートシンク本体31の第一主面31a上に固定される。また、ヒートシンク6の各溝部34,35にケース本体5の各レール部25,26が挿入され、係合する。さらに、立設壁部14の延出方向先端に開口する挿通孔22の開口部分が、ヒートシンク本体31によって塞がれる。また、この固定状態では、ヒートシンク本体31が立設壁部14の延出方向先端上に隣り合せて位置する。このため、ヒートシンク本体31の寸法は、図3のようにヒートシンク本体31が立設壁部14の主面14aから突出しないように、あるいは、立設壁部14の主面14aから突出する長さが小さくなるように設定されることが好ましい。
【0030】
さらに、本実施形態の電子機器1は、放熱シート4を備える。放熱シート4は、高い熱伝導率を有し弾性変形可能な材料からなる。放熱シート4は、ヒートシンク6の第一主面31aと基板7との間に設けられる。放熱シート4は、基板7が付勢部27によってヒートシンク6に押し付けられることで、厚さ方向に潰れるように弾性変形する。本実施形態の放熱シート4は、ヒートシンク6の第一主面31aや基板7の形状に倣って平面視矩形状に形成されている。
【0031】
また、放熱シート4には、これを基板7に重ね合せた状態で基板7の各位置決め孔10Cに連通する複数の連通孔41が形成されている。この連通孔41は、ケース本体5の位置決め突起29を挿入させるものであり、放熱シート4を基板7と共にケース本体5に対して位置決めする役割を果たす。なお、図1に示す連通孔41は、放熱シート4の角部(側部)に開口しているが、この形状に限ることはない。
【0032】
次に、本実施形態の電子機器1を製造する方法(固定構造の組み立て方法)について説明する。
電子機器1を製造する際には、はじめに、ベース板部13の第一主面13a上に第一ヒートシンク6Aを固定することで、ケース本体5及び第一ヒートシンク6Aにより第一収容空間SAを画成すると同時に、第一発熱部3Aを第一収容空間SA内に収容する。以下、具体的に説明する。
【0033】
本実施形態においては、第一ヒートシンク6Aをケース本体5に固定する前に、第一発熱部3Aの第一基板7A及び第一放熱シート4Aをベース板部13の第一主面13a上に順番に配する。この際には、ベース板部13の第一主面13a側に設けられた位置決め突起29が第一基板7Aの位置決め孔10C及び第一放熱シート4Aの連通孔41に挿通されて、第一基板7A及び第一放熱シート4Aがケース本体5に対して位置決めされる。また、第一基板7Aの第一主面10aの周縁部分が複数の付勢部27の押付面27a上に配されると共に、第一基板7Aが複数の付勢部27の位置調整突起28によって囲まれる。
【0034】
さらに、第一基板7Aをベース板部13の第一主面13a上に配する際には、第一基板7Aの側部から突出する第一発熱部3Aの複数のピン端子9の突出部分が、立設壁部14に形成された複数の挿通孔22に個別に挿通される。ここで、各挿通孔22はベース板部13の第一主面13aの上方に開口しているため、上記のように第一基板7Aをベース板部13の第一主面13a上に配するだけで、各ピン端子9の突出部分を、各挿通孔22の開口部分から挿通孔22に入り込ませるようにして、各挿通孔22に挿通させることができる。この状態では、各ピン端子9の突出部分が各挿通孔22を介してケース本体5の外側に突出している。
【0035】
次いで、第一ヒートシンク6Aをベース板部13の第一主面13a上に固定する。この際には、ヒートシンク本体31の第一主面31aがベース板部13の第一主面13aに対向するように、さらに、第一ヒートシンク6Aの各溝部34,35がケース本体5の各レール部25,26にそれぞれ対向するように、ヒートシンク本体31を一対の爪部12の間に挟み込むと共に、ヒートシンク本体31をケース本体5の鉤部23とベース板部13との間に挟み込む。
【0036】
この挟み込みの際には、ベース板部13の第一主面13a側に位置する一対の爪部12の延出方向先端同士の間隔が広がるように、また、一対の爪部12がベース板部13との接続部分(連結部分)を支点として回動するように、一対の爪部12が弾性的に撓み変形する。さらに、ベース板部13の第一主面13a側に位置する各爪部12の鉤部23が、ヒートシンク本体31の第二主面31bと側面との角部に引っ掛かることで、一対の爪部12の弾性変形に伴う弾性力により、ヒートシンク本体31が、一対の爪部12の間に挟み込まれると共に、ベース板部13の第一主面13aに向けて押し付けられる。
【0037】
さらに、本実施形態では、ヒートシンク本体31がベース板部13の第一主面13aに向けて押し付けられることに伴い、付勢部27が弾性変形して、ヒートシンク本体31をベース板部13の第一主面13aから離れる方向に付勢する。このため、ヒートシンク本体31はケース本体5の鉤部23と付勢部27との間に挟み込まれる。以上により、第一ヒートシンク6Aがケース本体5に固定され、ケース本体5及び第一ヒートシンク6Aによって第一収容空間SAが画成される。
【0038】
また、本実施形態では、第一ヒートシンク6Aと付勢部27との間に第一基板7Aが介在しているため、第一ヒートシンク6Aをケース本体5に固定した状態では、第一基板7Aが付勢部27の弾性力によって第一ヒートシンク6Aの第一主面31aに向けて押し付けられる。これにより、第一発熱部3Aは第一収容空間SA内において第一ヒートシンク6Aの第一主面31a上に固定される。この状態では、第一基板7Aの第一主面10aが付勢部27の押付面27aに面接触する。
さらに、本実施形態では、第一基板7Aと第一ヒートシンク6Aとの間に第一放熱シート4Aが介在しているため、第一放熱シート4Aがその厚さ方向に押し潰されるように弾性変形する。これにより、第一ヒートシンク6Aの第一主面31aと第一基板7Aとの間の隙間(空間)が第一放熱シート4Aによって埋められる。
【0039】
そして、第一ヒートシンク6Aをケース本体5に固定した状態では、ケース本体5の各レール部25,26が第一ヒートシンク6Aの各溝部34,35に挿入されて、係合する。
【0040】
上記のように第一ヒートシンク6Aをケース本体5に固定させた後には、同様にして、第二ヒートシンク6Bをベース板部13の第二主面13b上に固定することで、ケース本体5及び第二ヒートシンク6Bにより第二収容空間SBを画成すると同時に、第二発熱部3Bを第二収容空間SBに収容すればよい。また、本実施形態では、第二ヒートシンク6Bの固定前に、同様にして、第二発熱部3Bの第二基板7B及び第二放熱シート4Bをベース板部13の第二主面13b上に順番に配すればよい。
【0041】
ただし、前述したように、第一ヒートシンク6Aのヒートシンク本体31を一対の爪部12の間に挟み込む際には、一対の爪部12がベース板部13との接続部分(連結部分)を支点として回動している。このため、第二ヒートシンク6Bをベース板部13の第二主面13b上に固定する前の状態においては、ベース板部13の第二主面13b側に位置する一対の爪部12の間隔が、第一ヒートシンク6Aの固定前と比較して狭くなる。
これにより、第二ヒートシンク6Bをベース板部13の第二主面13b上において一対の爪部12の間に挟み込むと、各爪部12の両方の先端部が相対する爪部12の先端部から離れるように、各爪部12が弾性的に撓み変形し、各爪部12全体が反る。したがって、第二ヒートシンク6Bのヒートシンク本体31を一対の爪部12の間に挟み込んだ後の状態では、各ヒートシンク6に作用する一対の爪部12の弾性力が、第二ヒートシンク6Bを挟み込む前において第一ヒートシンク6Aを挟み込む一対の爪部12の弾性力と比較して大きくなる。
【0042】
以上説明したように、本発明の固定構造を採用した本実施形態の電子機器1によれば、一対の爪部12を弾性的に撓み変形させながらヒートシンク6を一対の爪部12の間に挟み込むだけで、ヒートシンク6をケース本体5に取り付けることができる。したがって、電子機器1(製品)の製造効率低下及び製造コスト増加を抑えることができる。
また、ヒートシンク6をケース本体5に取り付けた状態においては、一対の爪部12の配列方向に延びるレール部25,26と溝部34,35とが係合しているため、ケース本体5及びヒートシンク6が、本体部11(ベース板部13)とヒートシンク6とを重ね合せた方向に沿う軸線周りに相互にずれることを防止できる。すなわち、ヒートシンク6とケース本体5との相互の回転ずれが発生することを防止できる。
【0043】
さらに、本実施形態の電子機器1によれば、発熱部3の基板7がヒートシンク6の第一主面31a上に配されるため、発熱部3の熱をヒートシンク6に効率よく逃がすことができる。
特に、本実施形態では、基板7が一対の爪部12によってヒートシンク6とベース板部13との間に挟み込んで固定されるため、また、基板7が付勢部27の弾性力によってヒートシンク6の第一主面31aに向けて押し付けられるため、基板7とヒートシンク6との間に隙間(空間)が生じることを抑制できる。さらに、基板7とヒートシンク6との間に弾性変形可能な放熱シート4が介在しているため、基板7とヒートシンク6との間の隙間(空間)を埋めることができる。したがって、発熱部3の熱をさらに効率よくヒートシンク6に逃がすことが可能となる。
【0044】
また、本実施形態では、ヒートシンク6が板状のヒートシンク本体31に加え、ヒートシンク壁部32も備えるため、ヒートシンク6の表面積増加を図り、発熱部3の放熱効率の向上をさらに図ることができる。
【0045】
さらに、基板7をヒートシンク6とベース板部13との間に挟み込んで固定した状態では、前述したようにヒートシンク6とケース本体5との相互の回転ずれが防止されるため、例え基板7の位置決め孔10Cとケース本体5の位置決め突起29との嵌め合いが緩くても、基板7の位置がケース本体5に対してずれることを防止できる。このため、収容ケース2から外部に突出する発熱部3のピン端子9が、収容ケース2に対してずれることも防止できる。したがって、ピン端子9を実装基板に電気接続して電子機器1を実装基板に実装する際に、実装基板における電子機器1の実装領域がずれることを防ぐことができる。
【0046】
さらに、本実施形態の電子機器1では、複数のピン端子9が立設壁部14に形成された複数の挿通孔22に個別に挿通されているため、複数のピン端子9を一括して一つの挿通孔に通す場合と比較して、収容ケース2の内部が挿通孔22から視認され難くなる。収容ケース2内部には、電子機器1の回路をなす基板7及び電子部品8が収容されているが、これら基板7及び電子部品8が収容ケース2の外部から視認され難くなるため、電子機器1の回路の秘匿性を高めることができる。
【0047】
また、本実施形態では、ピン端子9を挿通させる立設壁部14の挿通孔22が、立設壁部14の延出方向先端に開口しているため、基板7をケース本体5とヒートシンク6との間に挟み込んで固定する際に、ピン端子9を容易に挿通孔22に挿通させることが可能となる。
【0048】
さらに、本実施形態の電子機器1によれば、二つのヒートシンク6をベース板部13の両主面13a,13b上において一対の爪部12の間に挟み込むことで、各ヒートシンク6に作用する一対の爪部12の弾性力が大きくなるため、各ヒートシンク6をケース本体5に対してより強固に固定することが可能となる。
【0049】
また、本実施形態の電子機器1では、一対の爪部12の間隔が爪部12の延出方向先端に向かうにしたがって小さくなっているため、一対の爪部12の間にヒートシンク6を挟み込む爪部12の弾性力を向上させることができる。
【0050】
また、本実施形態の電子機器1では、立設壁部14の主面14aに複数の突起101が形成されているため、立設壁部14の主面14aを実装基板の搭載面に対向させて電子機器1を実装基板に実装しても、収容ケース2を実装基板の搭載面上に間隔をあけて配することができる。これにより、立設壁部14の延出方向先端上に位置するヒートシンク本体31が実装基板の搭載面に対向しても、ヒートシンク6が実装基板の搭載面に形成された配線パターンと接触することを防止できる。したがって、ヒートシンク6と実装基板との間で電気的な短絡が生じることを抑制できる。
【0051】
〔第二実施形態〕
次に、図5を参照して本発明の第二実施形態について説明する。
この実施形態では、第一実施形態の電子機器1と比較して、ケース本体5の立設壁部14の形状のみが異なっており、その他については第一実施形態と同様である。本実施形態では、第一実施形態と同一の構成要素について同一符号を付す等して、その説明を省略する。
【0052】
図5に示すように、本実施形態の電子機器200を構成するケース本体5の本体部11は、第一実施形態と同様に、ベース板部13及び立設壁部14を備える。ただし、本実施形態の立設壁部14には、同一の収容空間Sに配された発熱部3の複数のピン端子9を一括して挿通させる開口孔222が形成されている。開口孔222は、第一実施形態の挿通孔22と同様に、立設壁部14の厚さ方向に貫通して形成されている。また、開口孔222は、第一実施形態の挿通孔22と同様に、立設壁部14の延出方向先端に開口している。このため、立設壁部14の延出方向の先端に形成される第一レール部25は、開口孔222の開口の両端部分の二箇所に分割して形成されている。
この実施形態に係る固定構造を採用した電子機器200によれば、第一実施形態と同様の効果を奏する。
【0053】
〔第三実施形態〕
次に、図6を参照して本発明の第三実施形態について説明する。
この実施形態では、第一実施形態の電子機器1と比較して、ケース本体5及びヒートシンク6のうち収容ケース2の壁部をなす部分の構成のみが異なっており、その他については第一実施形態と同様である。本実施形態では、第一実施形態と同一の構成要素について同一符号を付す等して、その説明を省略する。
【0054】
図6に示すように、本実施形態の電子機器300では、各ヒートシンク6が板状のヒートシンク本体31のみによって構成されている。これに伴い、ケース本体5の本体部11は、板状に形成されたベース板部13及び二つの立設壁部314A,314Bを備える。ベース板部13は、第一実施形態のものと同様である。
各立設壁部314A,314Bは、第一実施形態の立設壁部14と同様に、ベース板部13の主面13a,13bの周縁(側部)からヒートシンク6の第一主面31aに向けて延出しており、収容ケース2の壁部をなす。また、各立設壁部314A,314Bは、ベース板部13の主面13a,13bの周縁(側部)からベース板部13の厚さ方向両側に延出している。各立設壁部314A,314Bは、図示例のようにベース板部13に対して着脱可能に連結されてもよいが、例えばベース板部13と一体に形成されてもよい。
【0055】
二つの立設壁部314A,314Bは、ベース板部13の短辺方向(Z軸方向)に間隔をあけて配列されている。これにより、本実施形態の本体部11は、断面H字状に形成されている。
第一立設壁部314Aは、第一実施形態の立設壁部14と同様である。すなわち、第一立設壁部314Aは、ベース板部13の第一長辺に設けられている。また、第一立設壁部314Aには、複数のピン端子9を個別に挿通させる複数の挿通孔22が形成されている。一方、第二立設壁部314Bは、ベース板部13の第二長辺に設けられている。ただし、第二立設壁部314Bにはピン端子9を挿通させる孔が形成されていない。
【0056】
そして、本実施形態では、各立設壁部314A,314Bの各延出方向の先端に、一対の爪部12の配列方向(Y軸方向)に延びる溝部325,326が形成されている。本実施形態において、各溝部325,326は、ベース板部13の長辺方向(Y軸方向)に延びている。第一立設壁部314Aにはその延出方向先端に複数の挿通孔22が開口しているため、第一立設壁部314Aに形成される第一溝部325は、その延在方向に複数に分割して形成されている。
【0057】
一方、本実施形態のヒートシンク6には、その第一主面31aのうち各立設壁部314A,314Bの溝部325,326に対応する領域において、一対の爪部12の配列方向に延びる二つのレール部334,335が形成されている。各レール部334,335は、ヒートシンク6をケース本体5に固定した状態で、ケース本体5の本体部11に形成された各溝部325,326に挿入されることで、各溝部325,326に係合するものである。本実施形態において、各レール部334,335は、ヒートシンク本体31の長辺方向(Y軸方向)に延びて形成されている。
【0058】
本実施形態の電子機器300によれば、第一実施形態と同様の効果を奏する。
上記第二実施形態のように、ケース本体5の本体部11に溝部325,326を形成し、ヒートシンク6に溝部325,326と係合するレール部334,335を形成する構成は、第一、第二実施形態の構成にも適用可能である。
【0059】
〔第四実施形態〕
次に、図7を参照して本発明の第四実施形態について説明する。
この実施形態では、第一実施形態の電子機器1と比較して、ケース本体5及びヒートシンク6のうち収容ケース2の壁部をなす部分の構成のみが異なっており、その他については第一実施形態と同様である。本実施形態では、第一実施形態と同一の構成要素について同一符号を付す等して、その説明を省略する。
【0060】
図7に示すように、本実施形態の電子機器400では、ケース本体5の本体部11が板状のベース板部13のみによって構成されている。これに伴い、各ヒートシンク6は、板状に形成されたヒートシンク本体31及び二つのヒートシンク壁部432A,432Bを備える。ヒートシンク本体31は、第一実施形態のものと同様である。
二つのヒートシンク壁部432A,432Bは、第一実施形態のヒートシンク壁部32と同様に、ヒートシンク本体31の第一主面31aからベース板部13の主面13a,13bに向けて突出しており、収容ケース2の壁部をなす。ただし、本実施形態では、ヒートシンク壁部432A,432Bがヒートシンク本体31の両方の長辺に設けられている。したがって、二つのヒートシンク壁部432A,432Bがヒートシンク本体31の短辺方向(Z軸方向)に間隔をあけて配される。これにより、本実施形態のヒートシンク6は、断面C字状に形成されている。
【0061】
第一ヒートシンク壁部432Aは、第一実施形態のヒートシンク壁部32と同様の位置に配されている。第二ヒートシンク壁部432Bは、第一実施形態の立設壁部14に対応する位置に設けられている。このため、第二ヒートシンク壁部432Bには、例えば第一実施形態の立設壁部14と同様の挿通孔22が形成されてもよいが、ヒートシンク6が導電性を有する場合には、図示例のように挿通孔22は形成されない方がよい。この場合、本実施形態の電子機器400では、発熱部3のピン端子(不図示)を例えば一対の爪部12に形成された通気孔24(図2等参照)に挿通させて、収容ケース2の外部に突出させればよい。
【0062】
そして、本実施形態では、各ヒートシンク壁部432A,432Bの各延出方向の先端に、一対の爪部12の配列方向に延びる溝部434,435が形成されている。本実施形態において、各溝部434,435は、ヒートシンク本体31の長辺方向(Y軸方向)に延びている。
一方、本実施形態のケース本体5の本体部11においては、ベース板部13の主面13a,13bのうち各ヒートシンク壁部432A,432Bの溝部434,435に対応する領域において、一対の爪部12の配列方向に延びる二つのレール部425,426が形成されている。各レール部425,426は、ヒートシンク6をケース本体5に固定した状態で、ヒートシンク6に形成された各溝部434,435に挿入されることで、各溝部434,435に係合するものである。本実施形態において、各レール部425,426は、ベース板部13の長辺方向(Y軸方向)に延びて形成されている。
【0063】
本実施形態の電子機器400によれば、第一実施形態と同様の効果を奏する。
また、本実施形態の電子機器400によれば、第一実施形態のヒートシンク6と比較して、ヒートシンク壁部432A,432Bの数が多く、ヒートシンク6の表面積増加を図ることができるため、発熱部3の放熱効率の向上をさらに図ることができる。
なお、本実施形態の電子機器400においても、例えば第二実施形態と同様に、ケース本体5の本体部11に溝部を形成し、ヒートシンク6に溝部と係合するレール部を形成してもよい。
【0064】
以上、本発明の詳細について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることができる。
例えば、上記実施形態では一対の爪部12の両方が弾性的に撓み変形可能とされているが、少なくとも一方の爪部12のみが弾性的に撓み変形可能となっていればよい。すなわち、他方の爪部12は、例えば弾性変形しないように形成されてもよい。
【0065】
また、収容ケース2は、二つの収容空間SA,SBを有することに限らず、例えば一つの収容空間SAのみを有してよい。すなわち、収容ケース2は、例えば一つのケース本体5及び一つのヒートシンク6のみを備えてもよい。
【0066】
また、上記実施形態では、ケース本体5の本体部11が付勢部27を備えるが、例えば備えなくてもよい。この場合には、一対の爪部12の弾性力によりヒートシンク6や発熱部3をベース板部13の主面13a,13bに押し付け、鉤部23とベース板部13との間にヒートシンク6や発熱部3を挟み込めばよい。
【0067】
そして、本発明の固定構造は、上記実施形態の電子機器1やその収容ケース2に適用されることに限らず、少なくとも二つの部材を相互に固定する構造に適用することが可能である。
【符号の説明】
【0068】
1,200,300,400 電子機器
2 収容ケース
3 発熱部
5 ケース本体(第一部材)
6,6A,6B ヒートシンク(第二部材)
7,7A,7B 基板
9 ピン端子(外部接続端子)
11 本体部
12 爪部
13 ベース板部
14,314A,314B 立設壁部
22 挿通孔
25,26,334,335,425,426 レール部
31 ヒートシンク本体
31a 第一主面(配置面)
32,432A,432B ヒートシンク壁部
34,35,325,326,434,435 溝部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7