(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
〔第一実施形態〕
以下、
図1〜7を参照して本発明の第一実施形態について説明する。
図1〜3に示すように、この実施形態に係る電子機器1は、収容ケース2と、発熱部3と、を備える。発熱部3は、基板7と、電子部品8と、ピン端子9と、を備える。
基板7には、その厚さ方向に貫通する複数の位置決め孔10Cが形成されている。位置決め孔10Cは、後述する収容ケース2のケース本体5に対して基板7を位置決めする役割を果たす。本実施形態の基板7は、平面視矩形の板状に形成されている。位置決め孔10Cは、基板7のうち互いに向かい合う二つの角部に一つずつ形成されている。
電子部品8及びピン端子9は、基板7の第一主面10aに複数設けられている。電子部品8及びピン端子9は、基板7に形成された配線パターン(不図示)に適宜電気接続され、基板7と共に電子機器1の回路(電子回路)を構成している。
【0012】
各ピン端子9は、電子機器1の回路を外部に電気接続する外部接続端子である。各ピン端子9は、基板7の第一主面10aから突出している。また、各ピン端子9は、その長手方向の中途部において折り曲げられている。これにより、各ピン端子9の突出方向の先端部が、基板7の第一主面10aに沿って延び、基板7の第一主面10aの周縁から外側に突出している。複数のピン端子9は、基板7の一方の長辺に沿ってY軸方向に間隔をあけて配列され、基板7の一方の長辺から突出している。また、基板7から突出する複数のピン端子9の先端部は、互いに平行している。
以上のように構成される発熱部3では、通電によって主に電子部品8や基板7の配線パターンにおいて発熱する。本実施形態の電子機器1は、上記した発熱部3を二つ備えている。
【0013】
収容ケース2は、内部に発熱部3を収容するように構成されている。本実施形態の収容ケース2は、上記した発熱部3の収容空間Sを二つ有しており、各収容空間S(SA,SB)に発熱部3(3A,3B)を一つずつ収容することができる。収容ケース2は、ケース本体(第一部材)5と、ヒートシンク(第二部材)6と、を備える。収容ケース2は、これらケース本体5とヒートシンク6とを固定することで構成される。
【0014】
ケース本体5は、本体部11と、一対の板状壁部12と、を備える。さらに、本体部11は、板状に形成されたベース板部13及び立設壁部14を備える。
本実施形態のベース板部13は、平面視矩形の板状に形成されている。後述するヒートシンク6は、このベース板部13の主面13a,13bに対向して配される。本実施形態では、二つのヒートシンク6がベース板部13の両主面13a,13bに対向して配される。ベース板部13には、その厚さ方向(X軸方向)に貫通する通風孔21が形成されている。通風孔21は、二つの収容空間SA,SBを相互に連通させる。
【0015】
立設壁部14は、ベース板部13や後述するヒートシンク6と共に収容ケース2の壁部を構成するものである。立設壁部14は、ベース板部13の主面13a,13bの周縁(側部)から後述するヒートシンク6の第一主面(配置面)31aに向けて延出している。本実施形態では、立設壁部14がベース板部13の一方の長辺(第一長辺)にのみ設けられている。また、本実施形態では、立設壁部14がベース板部13の主面13a,13bの周縁(側部)からベース板部13の厚さ方向両側に延出している。これにより、本実施形態の本体部11は、断面T字状に形成されている(特に
図3参照)。
【0016】
また、本実施形態の立設壁部14は、平面視矩形の板状に形成されている。立設壁部14は、その短辺方向がベース板部13に対する立設壁部14の延出方向(X軸方向)に一致し、長辺方向がベース板部13の長辺方向(Y軸方向)に一致するように、ベース板部13に設けられている。立設壁部14は、
図3のようにベース板部13に対して着脱可能に連結されてもよいが、例えばベース板部13と一体に形成されてもよい。
【0017】
また、収容ケース2の外面をなす立設壁部14の主面14aには、複数の突起101が形成されている。突起101の高さ寸法は、立設壁部14の主面14aから収容ケース2の外側に突出するピン端子9の突出長さよりも小さく設定されている。複数の突起101は、電子機器1を安定した状態で平坦な面(例えば後述する搭載面)に載置できるように互いに間隔をあけて配列されている。本実施形態において、複数の突起101は、平面視矩形とされた立設壁部14の主面14aの各角部近傍の領域に配されている。
複数の突起101は、立設壁部14の主面14aを実装基板の搭載面(不図示)に対向させた状態で、電子機器1を実装基板に実装(例えばスルーホール実装)する際に、実装基板の搭載面に当接することで、収容ケース2を実装基板の搭載面上に間隔をあけて配置するスペーサの役割を果たす。
図3に示す突起101は、半球体状に形成されているが、任意の形状に形成されてよい。
【0018】
立設壁部14には、発熱部3に備える複数のピン端子9を個別に挿通させるための複数の挿通孔22が形成されている。各挿通孔22は、立設壁部14の厚さ方向(Z軸方向)に貫通して形成されている。また、各挿通孔22は、立設壁部14の延出方向先端に開口すると共に、立設壁部14の延出方向先端から基端に向けて延びるスリット状に形成されている。複数の挿通孔22は、ベース板部13の長辺に沿って配列されている。
【0019】
一対の板状壁部12は、ベース板部13、立設壁部14及びヒートシンク6と共に収容空間Sを画成する収容ケース2の壁部を構成するものである。一対の板状壁部12は、本体部11のベース板部13から同一方向に延びて形成され、互いに間隔をあけて配されている。一対の板状壁部12は、ヒートシンク6を側方から挟み込む役割を果たす。
本実施形態において、各板状壁部12は、
図1〜4に示すように、ベース板部13の主面13a,13bの周縁(側部)からベース板部13の厚さ方向(X軸方向)に延びている。また、各板状壁部12は、平面視矩形の板状に形成されている。また、各板状壁部12の板厚は一定に設定されている。そして、各板状壁部12は、その一対の辺がベース板部13の短辺に平行するように、ベース板部13に設けられている。
【0020】
また、本実施形態では、各板状壁部12がベース板部13の厚さ方向両側に延びている。これにより、本実施形態では、一対の板状壁部12によって、ベース板部13の両主面13a,13b上においてヒートシンク6を一つずつ挟み込むことができる。
【0021】
さらに、本実施形態の各板状壁部12は、一対の板状壁部12の間隔が板状壁部12の延出方向先端に向かうにしたがって小さくなるように設けられている。図示例(特に
図2)では、各板状壁部12が、その延出方向先端に向かうにしたがって、ベース板部13の各主面13a,13bの内側に向かうように傾斜しているが、例えば、湾曲していてもよい。すなわち、ベース板部13の厚さ方向両側に延びる各板状壁部12は、図示例のようにベース板部13との接続部分(連結部分)において屈曲してもよいし、例えば円弧状に湾曲して形成されてもよい。
【0022】
各板状壁部12は、その延出方向先端において、他方の板状壁部12に向けて突出する鉤部23を備える。鉤部23は、本体部11のベース板部13との間にヒートシンク6を挟み込む役割を果たす。
本実施形態において、鉤部23は、ベース板部13の短辺方向(Z軸方向)に間隔をあけて複数(図示例では二つ)配列されている。また、本実施形態では、各板状壁部12がベース板部13の厚さ方向両側に延びているため、鉤部23は、各板状壁部12の両方の先端に設けられている。
【0023】
そして、各板状壁部12には、その厚さ方向に貫通する孔24が形成されている。孔24は、収容空間Sを外部に連通させるものであり、収容ケース2内部に配された発熱部3の熱を収容ケース2の外部に逃がす通気孔として機能する。
本実施形態において、孔24は複数形成されている。また、各孔24は、板状壁部12の延出方向に延びるスリット状に形成されている。複数の孔24は、ベース板部13の短辺方向に間隔をあけて配列されている。一部の孔24は、鉤部23に対して板状壁部12の延出方向に配列されるように形成されている。また、本実施形態では、孔24が、ベース板部13の厚さ方向両側に延出する板状壁部12の各延出部分に形成されている。
【0024】
上記のように各板状壁部12に孔24が形成されることで、各板状壁部12の残部は、ベース板部13に対して弾性的に撓み変形可能なばね部として機能する。板状壁部12の残部は、主に、板状壁部12の延出方向先端部が基端部(ベース板部13との接続部分)に対して一対の板状壁部12の配列方向に動くように弾性的に撓み変形する。
これにより、各板状壁部12は、その弾性力によってヒートシンク6を相対する板状壁部12に向けて押し付ける役割を果たす。すなわち、一対の板状壁部12は、その弾性力によってヒートシンク6を側方から挟み込むことができる。また、前述した鉤部23は、板状壁部12の弾性力を利用してヒートシンク6を本体部11のベース板部13に向けて押し付けることで、ベース板部13との間にヒートシンク6を挟み込むことができる。
【0025】
さらに、本実施形態では、
図2,5に示すように、各板状壁部12が連結部50によって本体部11のベース板部13に対して着脱可能に連結されている。本実施形態の連結部50は、板状壁部12に形成されたキー溝部51と、ベース板部13に形成された鉤状突起部52と、を備える。
キー溝部51は、ベース板部13の側面に対向する板状壁部12の延出方向の基端部に形成されている。キー溝部51は、ベース板部13の短辺方向(Z軸方向)に延びている。
【0026】
キー溝部51の長手方向に直交する断面において、キー溝部51の底部におけるキー溝部51の幅寸法は、キー溝部51の開口部におけるキー溝部51の幅寸法よりも大きく設定されている。本実施形態において、長手方向に直交するキー溝部51の断面は、キー溝部51の開口部から底部に向かうにしたがってキー溝部51の幅寸法が大きくなるように形成されている。図示例では、キー溝部51の断面が台形形状に形成されているが、これに限ることはない。
キー溝部51の長手方向の第一端は、板状壁部12の側面に開口している。一方、キー溝部51の長手方向の第二端は、例えば第一端と同様に板状壁部12の側面に開口してもよいが、例えば開口していなくてもよい。
【0027】
鉤状突起部52は、板状壁部12の延出方向基端部に対向するベース板部13の側面から突出している。鉤状突起部52は、ベース板部13の短辺方向(Z軸方向)に延びるように形成されている。
鉤状突起部52の長手方向に直交する鉤状突起部52の断面は、上記したキー溝部51の断面に対応する形状に形成されている。すなわち、長手方向に直交する鉤状突起部52の断面において、鉤状突起部52の突出方向の基端部における幅寸法は、鉤状突起部52の先端部における幅寸法よりも小さく設定されている。本実施形態において、長手方向に直交する鉤状突起部52の断面は、鉤状突起部52の突出方向の基端部から先端部に向かうにしたがって鉤状突起部52の幅寸法が大きくなるように形成されている。図示例では、鉤状突起部52の断面が台形形状に形成されているが、これに限ることはない。
【0028】
鉤状突起部52の長手方向の寸法は、ベース板部13の短辺と同等に設定されてもよいが、例えばベース板部13の短辺よりも短く形成されてもよい。
以上のように形成される鉤状突起部52は、キー溝部51に挿入されて係合する。鉤状突起部52は、キー溝部51の長手方向の端部(例えば第一端)の開口部分からキー溝部51に挿入することができる。鉤状突起部52がキー溝部51に係合した状態では、鉤状突起部52がキー溝部51から鉤状突起部52の突出方向に抜け出ることはない。これにより、板状壁部12がベース板部13に連結される。
【0029】
また、
図1,3に示すように、本実施形態では、ケース本体5の本体部11に、一対の板状壁部12の配列方向に延びるレール部25,26が形成されている。
本実施形態において、レール部25,26は、ベース板部13の長辺方向に延びて形成されている。また、レール部25,26は、本体部11のうちベース板部13の短辺方向(Z軸方向)の両端部にそれぞれ形成されている。具体的に説明すれば、第一レール部25は、ベース板部13の一方の長辺(第一長辺)に設けられた立設壁部14の各延出方向の先端に形成されている。本実施形態では、立設壁部14の各延出方向先端に複数の挿通孔22が開口しているため、第一レール部25は、その延在方向に複数に分割して形成されている。第二レール部26は、ベース板部13の各主面13a,13bのうちベース板部13の他方の長辺(第二長辺)の近傍において、この第二長辺に沿って延びている。
【0030】
また、
図1,2に示すように、ケース本体5の本体部11は、付勢部27を備える。付勢部27は、ベース板部13の各主面13a,13bから略C字状に湾曲して延びて形成されており、弾性変形可能とされている。付勢部27は、その延在方向先端にベース板部13の主面13a,13bに近づける方向の外力が作用した際に、湾曲度合が変化するように弾性変形する。この弾性変形に伴い、付勢部27にはベース板部13の主面13a,13bから離れる方向への弾性力が生じる。
付勢部27は、ベース板部13の各主面13a,13b周縁において、各主面13a,13bの周方向に間隔をあけて複数配列されている。本実施形態では、付勢部27が、平面視矩形とされたベース板部13の各主面13a,13bの各辺の中間部分に一つずつ配されている。
【0031】
上記した付勢部27は、鉤部23によるヒートシンク6の押し付け方向と逆方向に付勢して、ヒートシンク6を板状壁部12の鉤部23との間に挟み込む役割を果たす。
また、本実施形態の付勢部27は、ベース板部13の各主面13a,13bに対向するヒートシンク6の第一主面31aに基板7を押し付ける役割を果たす。このため、各付勢部27の延在方向先端部には、ヒートシンク6の第一主面31aと同じ方向に向く基板7の第一主面10aに面接触する押付面27aが形成されている。さらに、各付勢部27の押付面27aには、位置調整突起28が突出して形成されている。位置調整突起28は、基板7が押付面27aに配された状態で、基板7の側部に対向して配される。本実施形態では、基板7が押付面27aに配された状態で、複数の付勢部27の位置調整突起28が基板7を囲むため、複数の位置調整突起28は、ケース本体5に対する基板7の位置を調整する役割を果たす。
【0032】
また、
図1,3に示すように、ケース本体5のベース板部13の各主面13a,13bには、位置決め突起29が突出して形成されている。位置決め突起29は、矩形状に形成されたベース板部13の各主面13a,13bのうち互いに向かい合う二つの角部に配されている。各位置決め突起29は、基板7の各位置決め孔10Cに挿入されることで、ケース本体5に対して基板7を位置決めする役割を果たす。
以上のように構成されるケース本体5は、樹脂材料によって構成される。
【0033】
ヒートシンク6は、例えばアルミニウム等のように、ケース本体5よりも剛性が高く、かつ、熱伝導率の高い材料からなる。本実施形態の電子機器1では、ヒートシンク6がベース板部13の厚さ方向の両側に一つずつ配される。各ヒートシンク6は、
図1〜3に示すように、板状のヒートシンク本体31及びヒートシンク壁部32、を備える。
ヒートシンク本体31は、ヒートシンク6をケース本体5に固定した状態において、ベース板部13の主面13a,13bに対向して配されるものである。ベース板部13に対向するヒートシンク本体31の第一主面31aは、発熱部3を配置する配置面となっている。本実施形態では、基板7の第二主面10bがヒートシンク6の第一主面31aに対向するように、発熱部3がヒートシンク6の第一主面31a上に配される。また、ヒートシンク本体31には、その第二主面31bから突出する複数のフィン33が形成されている。
さらに、本実施形態のヒートシンク本体31は、ベース板部13や基板7の形状に倣って平面視矩形の板状に形成されている。各フィン33は、ヒートシンク本体31の長辺方向(Y軸方向)に延びている。複数のフィン33は、ヒートシンク本体31の短辺方向(Z軸方向)に互いに平行するように間隔をあけて配列されている。
【0034】
ヒートシンク壁部32は、ヒートシンク本体31の第一主面31aからベース板部13の主面13a,13bに向けて突出しており、収容ケース2の壁部をなす。本実施形態のヒートシンク壁部32は、ヒートシンク本体31の一方の長辺(第一長辺)にのみ設けられている。また、ヒートシンク壁部32は平面視矩形の板状に形成され、その長辺の長さがヒートシンク本体31の長辺の長さと一致している。これにより、本実施形態のヒートシンク6は、断面L字状に形成されている。
【0035】
そして、ヒートシンク6には、前述した一対の板状壁部12の配列方向に延びる溝部34,35が形成されている。溝部34,35は、ヒートシンク6をケース本体5に固定した状態で、ケース本体5の本体部11に形成されたレール部25,26が挿入されることで、レール部25,26に係合するものである。
本実施形態において、溝部34,35は、ヒートシンク本体31の長辺方向に延びて形成されている。また、溝部34,35は、ヒートシンク6に二つ形成されている。具体的に説明すれば、第一溝部34は、ヒートシンク本体31の一方の長辺(第一長辺)に設けられたヒートシンク壁部32の突出方向の先端に形成されている。第二溝部35は、ヒートシンク本体31の第一主面31aのうち、他方の長辺(第二長辺)の近傍において、第二長辺に沿って延びるように形成されている。
【0036】
以上のように構成されるヒートシンク6は、ヒートシンク本体31の第一主面31aがベース板部13の主面13a,13bに対向するように、さらに、ヒートシンク本体31の第二溝部35が立設壁部14の第一レール部25に対向すると共に、ヒートシンク壁部32の第一溝部34がベース板部13の第二レール部26に対向するように、ヒートシンク6を一対の板状壁部12の間に挟み込むと共に、板状壁部12の鉤部23とベース板部13との間に挟み込むことで、ケース本体5に固定される。また、この固定状態では、ヒートシンク本体31が立設壁部14の延出方向先端上に隣り合せて位置する。このため、ヒートシンク本体31の寸法は、
図3のようにヒートシンク本体31が立設壁部14の主面14aから突出しないように、あるいは、立設壁部14の主面14aから突出する長さが小さくなるように設定されることが好ましい。
【0037】
この固定状態では、ベース板部13の主面13a,13bと、該主面13a,13bから同一方向に延びる一対の板状壁部12と、立設壁部14と、ヒートシンク6とによって、発熱部3を収容する収容空間SA,SBが画成される。本実施形態では、発熱部3の基板7が付勢部27によってヒートシンク本体31の第一主面31aに押し付けられるため、発熱部3は、収容空間SA,SB内においてヒートシンク本体31の第一主面31a上に固定される。また、ヒートシンク6の各溝部34,35にケース本体5の各レール部25,26が挿入され、係合する。さらに、立設壁部14の延出方向先端に開口する挿通孔22の開口部分が、ヒートシンク本体31によって塞がれる。
【0038】
さらに、本実施形態の電子機器1は、放熱シート4を備える。放熱シート4は、高い熱伝導率を有し弾性変形可能な材料からなる。放熱シート4は、ヒートシンク6の第一主面31aと基板7との間に設けられる。放熱シート4は、基板7が付勢部27によってヒートシンク6に押し付けられることで、厚さ方向に潰れるように弾性変形する。本実施形態の放熱シート4は、ヒートシンク6の第一主面31aや基板7の形状に倣って平面視矩形状に形成されている。
【0039】
また、放熱シート4には、これを基板7に重ね合せた状態で基板7の各位置決め孔10Cに連通する複数の連通孔41が形成されている。この連通孔41は、ケース本体5の位置決め突起29を挿入させるものであり、放熱シート4を基板7と共にケース本体5に対して位置決めする役割を果たす。なお、
図1に示す連通孔41は、放熱シート4の角部(側部)に開口しているが、この形状に限ることはない。
【0040】
次に、本実施形態の電子機器1を製造する方法(特に収容ケースの組立方法)について説明する。
電子機器1を製造する際には、はじめに、
図6に示すように、ベース板部13の第一主面13a上に第一ヒートシンク6Aを固定することで、ケース本体5及び第一ヒートシンク6Aにより第一収容空間SAを画成すると同時に、第一発熱部3Aを第一収容空間SA内に収容する。以下、具体的に説明する。
【0041】
本実施形態においては、第一ヒートシンク6Aをケース本体5に固定する前に、第一発熱部3Aの第一基板7A及び第一放熱シート4Aをベース板部13の第一主面13a上に順番に配する。この際には、ベース板部13の第一主面13a側に設けられた位置決め突起29が第一基板7Aの位置決め孔10C及び第一放熱シート4Aの連通孔41に挿通されて、第一基板7A及び第一放熱シート4Aがケース本体5に対して位置決めされる(
図1参照)。また、第一基板7Aの第一主面10aの周縁部分が複数の付勢部27の押付面27a上に配されると共に、第一基板7Aが複数の付勢部27の位置調整突起28によって囲まれる。
【0042】
さらに、第一基板7Aをベース板部13の第一主面13a上に配する際には、第一基板7Aの側部から突出する第一発熱部3Aの複数のピン端子9の突出部分が、立設壁部14に形成された複数の挿通孔22に個別に挿通される(
図1,3参照)。ここで、各挿通孔22はベース板部13の第一主面13aの上方に開口しているため、上記のように第一基板7Aをベース板部13の第一主面13a上に配するだけで、各ピン端子9の突出部分を、各挿通孔22の開口部分から挿通孔22に入り込ませるようにして、各挿通孔22に挿通させることができる。この状態では、各ピン端子9の突出部分が各挿通孔22を介してケース本体5の外側に突出している。
【0043】
次いで、第一ヒートシンク6Aをベース板部13の第一主面13a上に固定する。この際には、ヒートシンク本体31の第一主面31aがベース板部13の第一主面13aに対向するように、さらに、第一ヒートシンク6Aの各溝部34,35がケース本体5の各レール部25,26にそれぞれ対向するように(
図1,3参照)、ヒートシンク本体31を一対の板状壁部12の間に挟み込むと共に、ヒートシンク本体31をケース本体5の鉤部23とベース板部13との間に挟み込む。
【0044】
この挟み込みの際には、ベース板部13の第一主面13a側に位置する一対の板状壁部12の延出方向先端同士の間隔が広がるように、また、一対の板状壁部12がベース板部13との接続部分(連結部分)を支点として回動するように、一対の板状壁部12が弾性的に撓み変形する。さらに、ベース板部13の第一主面13a側に位置する各板状壁部12の鉤部23が、ヒートシンク本体31の第二主面31bと側面との角部に引っ掛かることで、一対の板状壁部12の弾性変形に伴う弾性力により、ヒートシンク本体31が、一対の板状壁部12の間に挟み込まれると共に、ベース板部13の第一主面13aに向けて押し付けられる。
【0045】
さらに、本実施形態では、ヒートシンク本体31がベース板部13の第一主面13aに向けて押し付けられることに伴い、付勢部27が弾性変形して、ヒートシンク本体31をベース板部13の第一主面13aから離れる方向に付勢する。このため、ヒートシンク本体31はケース本体5の鉤部23と付勢部27との間に挟み込まれる。以上により、第一ヒートシンク6Aがケース本体5に固定され、ケース本体5及び第一ヒートシンク6Aによって第一収容空間SAが画成される。
【0046】
また、本実施形態では、第一ヒートシンク6Aと付勢部27との間に第一基板7Aが介在しているため、第一ヒートシンク6Aをケース本体5に固定した状態では、第一基板7Aが付勢部27の弾性力によって第一ヒートシンク6Aの第一主面31aに向けて押し付けられる。これにより、第一発熱部3Aは第一収容空間SA内において第一ヒートシンク6Aの第一主面31a上に固定される。この状態では、第一基板7Aの第一主面10aが付勢部27の押付面27aに面接触する。
さらに、本実施形態では、第一基板7Aと第一ヒートシンク6Aとの間に第一放熱シート4Aが介在しているため、第一放熱シート4Aがその厚さ方向に押し潰されるように弾性変形する。これにより、第一ヒートシンク6Aの第一主面31aと第一基板7Aとの間の隙間(空間)が第一放熱シート4Aによって埋められる。
【0047】
そして、第一ヒートシンク6Aをケース本体5に固定した状態では、ケース本体5の各レール部25,26が第一ヒートシンク6Aの各溝部34,35に挿入されて、係合する(
図3参照)。
【0048】
上記のように第一ヒートシンク6Aをケース本体5に固定させた後には、
図7に示すように、第一ヒートシンク6Aの場合と同様にして、第二ヒートシンク6Bをベース板部13の第二主面13b上に固定することで、ケース本体5及び第二ヒートシンク6Bにより第二収容空間SBを画成すると同時に、第二発熱部3Bを第二収容空間SBに収容すればよい。また、本実施形態では、第二ヒートシンク6Bの固定前に、同様にして、第二発熱部3Bの第二基板7B及び第二放熱シート4Bをベース板部13の第二主面13b上に順番に配すればよい。
【0049】
ただし、前述したように、第一ヒートシンク6Aのヒートシンク本体31を一対の板状壁部12の間に挟み込む際には、
図6に示すように、一対の板状壁部12がベース板部13との接続部分(連結部分)を支点として回動している。このため、第二ヒートシンク6Bをベース板部13の第二主面13b上に固定する前の状態においては、ベース板部13の第二主面13b側に位置する一対の板状壁部12の間隔が、第一ヒートシンク6Aの固定前と比較して狭くなる。
これにより、
図7に示すように、第二ヒートシンク6Bをベース板部13の第二主面13b上において一対の板状壁部12の間に挟み込むと、各板状壁部12の両方の先端部が相対する板状壁部12の先端部から離れるように、各板状壁部12が弾性的に撓み変形し、各板状壁部12全体が反る。したがって、第二ヒートシンク6Bのヒートシンク本体31を一対の板状壁部12の間に挟み込んだ後の状態では、各ヒートシンク6に作用する一対の板状壁部12の弾性力が、第二ヒートシンク6Bを挟み込む前において第一ヒートシンク6Aを挟み込む一対の板状壁部12の弾性力と比較して大きくなる。
【0050】
以上説明したように、本実施形態の電子機器1によれば、ヒートシンク6が、ばね部として機能する板状壁部12の弾性力によって、一対の板状壁部12の間に挟み込まれると共に、板状壁部12の鉤部23とベース板部13との間に挟み込まれることで、ヒートシンク6をケース本体5に固定することができる。すなわち、板状壁部12全体が爪部として機能する。また、板状壁部12に孔24が形成されることで、孔24自体が発熱部3の熱を収容ケース2の外部に逃がす通気孔として機能する。したがって、収容ケース2の壁部をなす板状壁部12を小さく形成することが可能となり、収容ケース2の小型化を図ることができる。
【0051】
また、孔24の形状や大きさ、数を適宜調整することで、ばね部として機能する板状壁部12の弾性率を容易かつ適切に設定することが可能である。例えば、同一の大きさ及び形状の孔24を形成する場合には、孔24の数及び孔24同士の間隔を設定するだけで、板状壁部12の弾性率を容易かつ適切に設定できる。また、板状壁部12の弾性率を容易かつ適切に設定できることで、板状壁部12の剛性も確保しやすくなる。
さらに、板状壁部12の板厚が一定であると、孔24の形状や大きさ、数を適宜調整するだけで、板状壁部12の弾性率をさらに容易にかつ適切に設定できる。
【0052】
さらに、本実施形態の電子機器1によれば、二つのヒートシンク6をベース板部13の両主面13a,13b上において一対の板状壁部12の間に挟み込むことで、各ヒートシンク6に作用する一対の板状壁部12の弾性力が大きくなるため、各ヒートシンク6をケース本体5に対してより強固に固定することが可能となる。
【0053】
また、本実施形態の電子機器1では、一対の板状壁部12の間隔が板状壁部12の延出方向先端に向かうにしたがって小さくなっているため、一対の板状壁部12の間にヒートシンク6を挟み込む板状壁部12の弾性力を向上させることができる。
【0054】
さらに、本実施形態の電子機器1では、板状壁部12が連結部50によってベース板部13に着脱可能に連結されているため、板状壁部12及びベース板部13を個別に成形した後に連結部50によって相互に固定することができる。このため、板状壁部12及びベース板部13を一体に成形する場合と比較して、ケース本体5を容易に製造できる。また、様々な形状のヒートシンク6に対応する複数種類の板状壁部12を同一のベース板部13に取り付けることが可能となるため、収容ケース2の汎用性向上を図ることも可能となる。
【0055】
また、本実施形態の電子機器1では、ヒートシンク6をケース本体5に取り付けた状態において、板状壁部12がベース板部13との連結部分を支点として弾性的に撓み変形するため、板状壁部12のうちベース板部13との連結部分には撓み変形に伴う応力が掛かりやすい。これに対し、本実施形態では、連結部50のキー溝部51が板状壁部12に形成されているため、板状壁部12に連結部50の鉤状突起部52が形成される場合と比較して、板状壁部12におけるベース板部13との連結部分に局所的な応力集中が発生し難くなる。したがって、信頼性の高い収容ケース2を提供することが可能となる。
【0056】
さらに、本実施形態の電子機器1によれば、ヒートシンク6をケース本体5に取り付けた状態において、一対の板状壁部12の配列方向に延びるレール部25,26と溝部34,35とが係合するため、ケース本体5及びヒートシンク6が、本体部11(ベース板部13)とヒートシンク6とを重ね合せた方向に沿う軸線周りに相互にずれることを防止できる。すなわち、ヒートシンク6とケース本体5との相互の回転ずれが発生することを防止できる。
【0057】
さらに、本実施形態の電子機器1によれば、発熱部3の基板7がヒートシンク6の第一主面31a上に配されるため、発熱部3の熱をヒートシンク6に効率よく逃がすことができる。
特に、本実施形態では、基板7が一対の板状壁部12によってヒートシンク6とベース板部13との間に挟み込んで固定されるため、また、基板7が付勢部27の弾性力によってヒートシンク6の第一主面31aに向けて押し付けられるため、基板7とヒートシンク6との間に隙間(空間)が生じることを抑制できる。さらに、基板7とヒートシンク6との間に弾性変形可能な放熱シート4が介在しているため、基板7とヒートシンク6との間の隙間(空間)を埋めることができる。したがって、発熱部3の熱をさらに効率よくヒートシンク6に逃がすことが可能となる。
【0058】
また、本実施形態では、ヒートシンク6が板状のヒートシンク本体31に加え、ヒートシンク壁部32も備えるため、ヒートシンク6の表面積増加を図り、発熱部3の放熱効率の向上をさらに図ることができる。
【0059】
さらに、基板7をヒートシンク6とベース板部13との間に挟み込んで固定した状態では、ケース本体5の位置決め突起29が基板7の位置決め孔10Cに挿通されることで、基板7がケース本体5に対して位置決めされているため、仮にヒートシンク6がケース本体5に対して位置ずれ(例えばレール部25,26の延在方向に位置ずれ)しても、基板7の位置がケース本体5に対してずれることを防止できる。これにより、収容ケース2から外部に突出する発熱部3のピン端子9が、収容ケース2に対してずれることも防止できる。したがって、ピン端子9を実装基板に電気接続して電子機器1を実装基板に実装する際に、実装基板における電子機器1の実装領域がずれるのを防ぐことができる。
【0060】
また、本実施形態の電子機器1では、立設壁部14の主面14aに複数の突起101が形成されているため、立設壁部14の主面14aを実装基板の搭載面に対向させて電子機器1を実装基板に実装しても、収容ケース2を実装基板の搭載面上に間隔をあけて配することができる。これにより、立設壁部14の延出方向先端上に位置するヒートシンク本体31が実装基板の搭載面に対向しても、ヒートシンク6が実装基板の搭載面に形成された配線パターンと接触することを防止できる。したがって、ヒートシンク6と実装基板との間で電気的な短絡が生じることを抑制できる。
【0061】
〔第二実施形態〕
次に、
図8を参照して本発明の第二実施形態について説明する。
この実施形態では、第一実施形態の電子機器1と比較して、ケース本体5の板状壁部12の形状のみが異なっており、その他については第一実施形態と同様である。本実施形態では、第一実施形態と同一の構成要素について同一符号を付す等して、その説明を省略する。
【0062】
図8に示すように、本実施形態の電子機器を構成するケース本体5の板状壁部12には、第一実施形態の孔24と同様に、板状壁部12の厚さ方向に貫通する複数の孔124が形成されている。また、複数の孔124は、ベース板部13の短辺方向に間隔をあけて配列されている。また、孔124は、ベース板部13の厚さ方向両側に延出する板状壁部12の各延出部分に形成されている。
ただし、本実施形態の孔124は、鉤部23に対して板状壁部12の延出方向に配列されないように形成されている。また、本実施形態の孔124は、板状壁部12をその厚さ方向から見て円形状に形成されている。
【0063】
孔124は、第一実施形態の孔24と同様に、収容ケース2の収容空間S(
図2,3等参照)を外部に連通させ、収容ケース2内部に配された発熱部3の熱を収容ケース2の外部に逃がす通気孔として機能する。
また、上記のように板状壁部12に孔124が形成されることで、各板状壁部12の残部は、第一実施形態と同様に、ベース板部13に対して弾性的に撓み変形可能なばね部として機能する。
【0064】
本実施形態に係る電子機器によれば、第一実施形態と同様の効果を奏する。
また、本実施形態によれば、孔124が鉤部23に対して板状壁部12の延出方向に配列されないため、板状壁部12の弾性力により、ヒートシンク6をベース板部13と板状壁部12の鉤部23との間に挟み込む際に、板状壁部12にその延出方向への引張応力が作用しても、引張応力による板状壁部12の変形を抑制することができる。すなわち、板状壁部12を弾性的に撓み変形可能としながら、板状壁部12の実質的な剛性を向上させ、引張応力による板状壁部12の劣化を防ぐことができる。
また、孔124が円形状に形成されているため、孔124を、電子機器の回路を外部に接続するためのケーブル等の外部配線を収容ケース2の内外に挿通させる孔として容易に活用することも可能となる。
【0065】
〔第三実施形態〕
次に、
図9を参照して本発明の第三実施形態について説明する。
この実施形態では、第一実施形態の電子機器1と比較して、ケース本体5の板状壁部12の形状のみが異なっており、その他については第一実施形態と同様である。本実施形態では、第一実施形態と同一の構成要素について同一符号を付す等して、その説明を省略する。
【0066】
図9に示すように、本実施形態の電子機器を構成するケース本体5の板状壁部12には、第一実施形態の孔24と同様に、板状壁部12の厚さ方向に貫通する複数の孔224が形成されている。また、孔224は、ベース板部13の厚さ方向両側に延出する板状壁部12の各延出部分に形成されている。
ただし、本実施形態の孔224は、第二実施形態の場合と同様に、鉤部23に対して板状壁部12の延出方向に配列されないように形成されている。さらに、本実施形態の孔224は、板状壁部12の残部がトラス構造となるように形成されている。
【0067】
本実施形態では、各孔224が三角形状に形成されることで、トラス構造をなす板状壁部12の残部が、枠体部261と、縦梁部262と、斜め梁部263(筋交い部)と、を備える。
枠体部261は、板状壁部12の各延出部分における周縁部をなすものである。本実施形態では、枠体部261が矩形環状に形成されている。
縦梁部262は、板状壁部12の延出方向に延びる棒状あるいは帯状に形成され、枠体部261における板状壁部12の延出方向基端部と先端部とを接続している。本実施形態では、縦梁部262がベース板部13の短辺方向に間隔をあけて複数配列されている。縦梁部262は、少なくとも鉤部23に対して板状壁部12の延出方向に配列される位置に設けられればよいが、図示例のように、他の位置にも設けられてよい。
【0068】
斜め梁部263は、棒状あるいは帯状に形成され、枠体部261及び縦梁部262によって画成された各長方形の対角部分を接続するように設けられている。複数の斜め梁部263は、ベース板部13の短辺方向に配列されている。また、ベース板部13の短辺方向に隣り合う二つの斜め梁部263は、互いに逆向きに傾斜している。
さらに、鉤部23に対して板状壁部12の延出方向に配列された縦梁部262のうち板状壁部12の先端側に位置する端部には、複数(図示例では二つ)の斜め梁部263の端部が接続されている。
【0069】
本実施形態に係る電子機器によれば、第一実施形態と同様の効果を奏する。
また、本実施形態に係る電子機器によれば、板状壁部12の残部がトラス構造となっているため、第二実施形態の場合と比較して、板状壁部12を弾性的に撓み変形可能としながら、板状壁部12の実質的な剛性向上をさらに図ることができる。
【0070】
また、本実施形態に係る電子機器によれば、鉤部23が設けられる枠体部261の部分には、縦梁部262だけではなく、複数の斜め梁部263も接続されているため、板状壁部12の弾性力により、ヒートシンク6をベース板部13と板状壁部12の鉤部23との間に挟み込む際に、板状壁部12にその延出方向への引張応力が作用しても、引張応力による板状壁部12(特に枠体部261)の変形をさらに効果的に抑制することができる。すなわち、板状壁部12の実質的な剛性をさらに向上させることができる。
【0071】
〔第四実施形態〕
次に、
図10,11を参照して本発明の第四実施形態について説明する。
この実施形態では、第一実施形態の電子機器1と比較して、板状壁部12に形成される孔の断面形状のみが異なっており、その他については第一実施形態と同様である。本実施形態では、第一実施形態と同一の構成要素について同一符号を付す等して、その説明を省略する。
【0072】
図10,11に示すように、本実施形態の電子機器を構成する板状壁部12には、第一実施形態と同様に、板状壁部12の厚さ方向に貫通する孔324が形成されている。孔324は、第一実施形態の孔24と同様に、収容空間Sを外部に連通させるものであり、発熱部3の熱を収容ケース2の外部に逃がす通気孔として機能する。また、孔324は、第一実施形態と同様に、板状壁部12の残部をベース板部13に対して弾性的に撓み変形可能なばね部として機能させる役割も果たす。
【0073】
ただし、本実施形態では、板状壁部12の各主面12a,12bにおける孔324の開口位置が互いに異なっている。
図10に例示する孔324Aは、板状壁部12の各主面12a,12bから板状壁部12の厚さ方向に窪む二つの窪み部371を備えている。二つの窪み部371は、板状壁部12の主面12a,12bに沿う方向に相互にずらした位置に形成されている。二つの窪み部371は、その一部が板状壁部12の厚さ方向に重なってもよいが、図示例のように重ならなくてもよい。二つの窪み部371が重ならない場合、孔324Aは、二つの窪み部371の底部同士を接続する接続孔部372を備えていればよい。接続孔部372は、板状壁部12の内部において板状壁部12の主面12a,12bに沿う方向に延びるように形成されている。
図11に例示する孔324Bは、その貫通方向が板状壁部12の厚さ方向に対して傾斜している。板状壁部12の各主面12a,12bに開口する孔324Bの二つの開口部分は、その一部が板状壁部12の厚さ方向に重なってもよいが、図示例のように重ならなくてもよい。
【0074】
本実施形態の電子機器によれば、第一実施形態と同様の効果を奏する。
また、本実施形態の電子機器によれば、板状壁部12の各主面12a,12bにおける孔324の開口位置が互いに異なっていることで、収容ケース2の内部が板状壁部12の孔324から視認され難くなる。収容ケース2内部には、電子機器の回路をなす基板7及び電子部品8が収容されているが、これら基板7及び電子部品8が収容ケース2の外部から視認され難くなるため、電子機器の回路の秘匿性を高めることができる。
【0075】
以上、本発明の詳細について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることができる。
例えば、上記実施形態では一対の板状壁部12の両方にその厚さ方向に貫通する孔24,124,224,324が形成されることで、各板状壁部12が弾性的に撓み変形可能となっているが、例えば一方の板状壁部12のみに孔24,124,224,324が形成され、一方の板状壁部12のみが弾性的に撓み変形可能となってもよい。すなわち、他方の板状壁部12は、例えば弾性変形しないように形成されてもよい。
【0076】
また、上記実施形態では、連結部50のキー溝部51が板状壁部12に形成され、鉤状突起部52が本体部11に形成されているが、例えばキー溝部が本体部11に形成され、キー溝部に係合する鉤状突起部が板状壁部12に形成されてもよい。
さらに、上記実施形態では、各板状壁部12が本体部11に対して着脱可能に連結されているが、例えばベース板部13と一体に形成されてもよい。
【0077】
また、収容ケース2は、二つの収容空間SA,SBを有することに限らず、例えば一つの収容空間SAのみを有してよい。すなわち、収容ケース2は、例えば一つのケース本体5及び一つのヒートシンク6のみを備えてもよい。
【0078】
また、上記実施形態では、ケース本体5の本体部11が付勢部27を備えるが、例えば備えなくてもよい。この場合には、一対の板状壁部12の弾性力によりヒートシンク6や発熱部3をベース板部13の主面13a,13bに押し付け、鉤部23とベース板部13との間にヒートシンク6や発熱部3を挟み込めばよい。
【0079】
そして、本発明の収容ケースは、上記実施形態の電子機器1に適用されることに限らず、少なくとも二つの部材を相互に固定することで発熱部3を収容する構造に適用することが可能である。