(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記一般式[I]及び[III]において、Xがハロゲン原子であることを特徴とする請求項1〜3いずれか1項に記載の一般式[III]で表される化合物とその二重結合異性体の製造方法。
前記塩基は、元素の周期表の第1A族(1族)、第2A族(2族)又は第3A族(3族)元素の水酸化物であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の一般式[III]で表される化合物とその二重結合異性体の製造方法。
前記塩基が元素の周期表の第1A族(1族)元素の水酸化物であることを特徴とする請求項8に記載の一般式[III]で表される化合物とその二重結合異性体の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の炭素架橋ビスインデン化合物を製造するため、原料、反応溶媒、塩基、反応条件などについて、項目毎に、詳細に説明する。
【0023】
1.インデン化合物
本発明の製造方法に用いる原料のインデン化合物は、下記の一般式[I]で表される特定の置換基を有するインデン化合物である。
一般式[I]で表されるインデン化合物は、5員環部分の二重結合による異性体が存在するが、いずれの異性体も、本発明の製造方法では、各々同様に適応できるため、特に、区別せずに用いることができる。
【0025】
[式中、R
1、R
2、R
3及びR
4は、同一又は異なっていて、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のハロゲン化アルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数1〜6の炭化水素基を有するシリル基、炭素数1〜6の炭化水素基を有するシリル基で置換された炭素数1〜20のアルキル基、−NR
72基、−SR
7基、−OSiR
73基又は−PR
72基であって(このとき、R
7は、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数6〜20のアリール基である。)、R
2〜R
4の隣接基がそれらを連結する原子と一緒になって1つ以上の芳香族環又は脂肪族環を形成していてもよく、Xは、ハロゲン原子又はトリフルオロメタンスルホニルオキシ基である。]
【0026】
一般式[I]において、Xは、ハロゲン原子又はトリフルオロメタンスルホニルオキシ基であって、ハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を表す。Xは、好ましくはハロゲン原子であり、この中でも、塩素原子、臭素原子が特に好ましい。
【0027】
一般式[I]において、炭素数1〜10のアルキル基の具体例としては、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−デシル、(シクロヘキシル)メチル、(1−メチルシクロヘキシル)メチル、(1−メチルシクロペンチル)メチル、(1−エチルシクロヘキシル)メチルなどを挙げることができる。
【0028】
炭素数1〜10のハロゲン化アルキル基のハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ、炭素数1〜10のハロゲン含有アルキル基は、炭素数1〜10のアルキル基の骨格上の水素原子に、ハロゲンが置換されたものである。
具体例としては、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、クロロメチル、ジクロロメチル、トリクロロメチル、ブロモメチル、ジブロモメチル、トリブロモメチル、ヨードメチル、2,2,2−トリフルオロエチル、2,2,1,1−テトラフルオロエチル、ペンタフルオロエチル、ペンタクロロエチル、ペンタフルオロプロピル、ノナフルオロブチル、5−クロロペンチル、5,5,5−トリクロロペンチル、5−フルオロペンチル、5,5,5−トリフルオロペンチル、6−クロロヘキシル、6,6,6−トリクロロヘキシル、6−フルオロヘキシル、6,6,6−トリフルオロヘキシルなどを挙げることができる。
【0029】
炭素数6〜20のアリール基として、具体的には、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、アセナフチル、フェナントリル、アントリルなどを挙げることができる。
【0030】
炭素数1〜10のアルコキシ基の具体例としては、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、i−プロポキシ、n−ブトキシ,i−ブトキシ、s−ブトキシ、t−ブトキシ、n−ペントキシ,n−ヘキソキシ,シクロプロポキシ、シクロペントキシ、シクロヘキソキシ,n−オクトキシ,n−デトキシなどを挙げることができる。
【0031】
炭素数1〜6の炭化水素基を有するシリル基として、具体的には、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、tert−ブチル(ジメチル)シリル基、トリフェニルシリル基などを挙げることができる。
【0032】
炭素数1〜6の炭化水素基を有するシリル基で置換された炭素数1〜20のアルキル基には、具体的に、トリメチルシリルメチル基、トリエチルシリルメチル基、トリフェニルシリルメチル基などを挙げることができる。
【0033】
また、R
7基は、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数6〜20のアリール基であり、好ましいR
7基として、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基である。
好ましい−NR
72基として、具体的には、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基などを挙げることができる。
また、−SR
7基として、具体的には、メチルスルファニル基、エチルスルファニル基、イソプロピルスルファニル基、フェニルスルファニル基などを挙げることができる。
また、−OSiR
73基として、具体的には、トリメチルシロキシ基、トリエチルシロキシキ基、トリイソプロピルシロキシ基、トリフェニルシロキシ基、tert−ブチル(ジメチル)シロキシ基などを挙げることができる。
さらに、−PR
72基として、具体的には、ジメチルホスフィノ基、ジエチルホスフィノ基、ジイソプロピルホスフィノ基、ジブチルホスフィノ基、ジフェニルホスフィノ基などを挙げることができる。
【0034】
R
1として好ましい置換基として、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基を挙げることができ、特に、好ましいのは水素原子である。
【0035】
また、R
2、R
3、R
4として好ましい置換基として、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基を挙げることができ、特に、好ましいのは水素原子、炭素数1〜10のアルキル基であり、最も好ましいのは水素原子である。
【0036】
本明細書中では、インデン化合物の各炭素原子の位置を表す数字を、上記[化5]の構造において、下記に示すように、ハロゲン原子又はトリフルオロメタンスルホニルオキシ基が4位になるように決め、記載した。
【0038】
2.カルボニル化合物
本発明の製造方法に用いる原料のカルボニル化合物は、下記の一般式[II]で表されるカルボニル化合物である。
【0040】
[式中、R
5及びR
6は、同一又は異なっていて、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のフルオロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数6〜10のフルオロアリール基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数7〜40のアリールアルキル基、炭素数7〜40のアルキルアリール基又は炭素数8〜40のアリールアルケニル基であり、R
5とR
6がそれらを連結する原子と一緒になって1つ以上の環を形成してもよい。]
【0041】
一般式[II]において、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基については、上記一般式[I]で挙げたものと、同様のものなどを挙げることができる。
【0042】
また、炭素数1〜10のフルオロアルキル基は、炭素数1〜10のアルキル基の骨格上の水素原子にフッ素原子が置換されたものである。
具体例としては、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、2,2,2−トリフルオロエチル、2,2,1,1−テトラフルオロエチル、ペンタフルオロエチル、ペンタフルオロプロピル、5−フルオロペンチル、5,5,5−トリフルオロペンチル、6−フルオロヘキシル、6,6,6−トリフルオロヘキシルを挙げることができる。
【0043】
炭素数6〜10のフルオロアリール基には、炭素数6〜10のアリール基の骨格上の水素原子にフッ素原子が置換されたものである。具体例としては、ペンタフルオロフェニル、2−フルオロフェニル、3−フルオロフェニル、4−フルオロフェニル、ジ(トリフルオロメチル)フェニル、ペンタフルオロエチルフェニル、ノナフルオロ−t−ブチルフェニル、1−パーフルオロナフチル、2−パーフルオロナフチルなどを挙げることができる。
【0044】
炭素数2〜10のアルケニル基には、具体的には、ビニル、1−プロペニル、2−プロペニル、3−ブテニル、5−ヘキセニル、7−オクテニルなどを挙げることができる。
【0045】
炭素数7〜40のアリールアルキル基には、具体的には、ベンジル、フェニルエチル、(メチルフェニル)メチル、(tert−ブチルフェニル)メチルなどを挙げることができる。
【0046】
炭素数7〜40のアルキルアリール基には、具体的には、トリル、ジメチルフェニル、エチルフェニル、トリメチルフェニル、t−ブチルフェニルなどを挙げることができる。
【0047】
炭素数8〜40のアリールアルケニル基には、具体的には、ビニルフェニル、(2−プロペニル)フェニル基などを挙げることができる。
【0048】
R
5、R
6として好ましい置換基として、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基又は炭素数7〜40のアリールアルキル基を挙げることができ、さらに好ましいのは水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数7〜40のアリールアルキル基であり、最も好ましいのは炭素数1〜10のアルキル基である。
【0049】
3.反応溶媒
反応溶媒として、好ましいのは極性溶媒であり、その具体例としてはジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ポリエチレングリコール等のポリエーテル類、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール類、ジメチルホルムアミドやジメチルスルホキシドなどを挙げることができる。
中でも、好ましいのはエーテル溶媒であり、さらに好ましいのはポリエーテル類であり、最も好ましいのは非環状ポリエーテルであり、さらに最も好ましいのは1,2−ジメトキシエタンである。
これら溶媒は、反応気質の種類、反応温度あるいは反応時間などによって、適宜選択され、単独で用いても、二種類以上適宜組み合わせても良い。
【0050】
4.塩基
本発明の製造方法は、塩基の存在下で行われ、塩基として、元素の周期表の第1A(1)族元素の水酸化物、第2A(2)族元素の水酸化物、第3A(3)族元素の水酸化物、アルカリ金属アルコラート、アルカリ土類金属アルコラート、アルカリ金属ヒドリド、アルカリ土類金属ヒドリド、アルカリ金属アルキル化物、アルカリ土類金属アルキル化物、アルカリ金属アミドなどを挙げることができる。
【0051】
第1A族元素の水酸化物として、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどを挙げることができる。
また、第2A族元素の水酸化物として、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムなどを挙げることができる。
さらに、第3A族元素の水酸化物として、水酸化スカンジウム、水酸化イットリウムなどを挙げることができる。
【0052】
また、アルカリ金属アルコラートとして、リチウムメトキシド、リチウムエトキシド、リチウムプロポキシド、リチウムブトキシド、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムプロポキシド、ナトリウムブトキシド、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド、カリウムプロポキシド、カリウムブトキシドなどを挙げることができる。
さらに、アルカリ土類金属アルコラートとして、マグネシウムメトキシド、マグネシウムエトキシド、マグネシウムプロポキシド、マグネシウムブトキシド、カルシウムメトキシド、カルシウムエトキシド、カルシウムプロポキシド、カルシウムブトキシドなどを挙げることができる。
【0053】
また、アルカリ金属ヒドリドとして、水素化ナトリウム、水素化カリウムなどを挙げることができる。
さらに、アルカリ土類金属ヒドリドとして、水素化マグネシウム、水素化カルシウムなどを挙げることができる。
【0054】
アルカリ金属アルキル化物として、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、トリメチルシリルメチルリチウムなどを挙げることができる。
また、アルカリ土類金属アルキル化物として、ジメチルマグネシウム、ジエチルマグネシウム、メチルマグネシウムクロリド、メチルマグネシウムブロミド、エチルマグネシウムクロリド、エチルマグネシウムブロミド、ベンジルマグネシウムクロリドなどを挙げることができる。
さらに、アルカリ金属アミドとして、リチウムアミド、リチウムジメチルアミド、リチウムジエチルアミド、リチウムジイソプロピルアミド、ナトリウムアミドなどを挙げることができる。
【0055】
塩基の中でも、好ましいのは元素の周期表の第1A族、第2A族又は第3A族元素の水酸化物であり、特に好ましいのは元素周期表の第1A族元素の水酸化物である。
【0056】
5.反応条件(当量、温度など)
本発明において、反応操作は、特に限定されるものではないが、不活性ガス(窒素またはアルゴン)雰囲気下で行うことが好ましい。特に使用する塩基が水素化カリウムやブチルリチウムのような空気や水に不安定なものを使用する場合は、脱水・脱気した非プロトン性の溶媒を使用することが好ましい。
塩基とインデン化合物[I]とのモル比は、任意の範囲で使用することができるが、好ましくは塩基/インデン化合物のモル比は、0.01〜2の範囲であり、さらに好ましくは0.1〜2であり、最も好ましいのは1.0〜1.5である。
また、カルボニル化合物[II]とインデン化合物[I]とのモル比は、任意の範囲で使用することができるが、カルボニル/インデン化合物のモル比は、約0.5であることが好ましい。
【0057】
反応は、一般に−20℃から用いる溶媒系の沸点の範囲で任意に選択することができる。好ましくは0℃から用いる溶媒系の沸点の範囲であり、特に好ましくは25℃から用いる溶媒系の沸点の範囲である。
反応の形式としては、特に限定されるものではないが、
(a)インデン化合物[I]とカルボニル化合物[II]と塩基とを同時に接触させ、1工程の反応で製造する方法、
(b)インデン化合物[I]と塩基を反応させてアニオンを生成させた後、カルボニル化合物[II]を添加する方法、
などを選択することができる。
塩基が水素化カリウムやブチルリチウムのような空気や水に不安定なものを使用する場合は、(b)の方が好ましい。
【0058】
6.架橋ビスインデニル化合物
本発明の製造方法で得られる一般式[III]で表される化合物は、二重結合異性体として、例えば、下記一般式[IV]で表される化合物を含んでおり、一般式[IV]の化合物であってもよい。
【0060】
[式中、R
1、R
2、R
3及びR
4は、同一又は異なっていて、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のハロゲン化アルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数1〜6の炭化水素基を有するシリル基、炭素数1〜6の炭化水素基を有するシリル基で置換された炭素数1〜20のアルキル基、−NR
72基、−SR
7基、−OSiR
73基又は−PR
72基であって(このとき、R
7は、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数6〜20のアリール基である。)、R
2〜R
4の隣接基がそれらを連結する原子と一緒になって1つ以上の芳香族環又は脂肪族環を形成していてもよい。R
5及びR
6は、同一又は異なっていて、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のフルオロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数6〜10のフルオロアリール基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数7〜40のアリールアルキル基、炭素数7〜40のアルキルアリール基又は炭素数8〜40のアリールアルケニル基であり、R
5とR
6がそれらを連結する原子と一緒になって1つ以上の環を形成してもよい。Xは、ハロゲン原子又はトリフルオロメタンスルホニルオキシ基である。]
【0061】
7.架橋ビスインデニル錯体の利用
本発明の製造方法で得られるインデン環の4位にハロゲン原子を有する架橋ビスインデン化合物は、下記一般式[III]で表される化合物とその二重結合異性体であり、そのまま配位子として、メタロセン錯体の原料として使用することができるが、クロスカップリング反応等でハロゲン原子を置換することにより、4位に多様な置換基を有する炭素架橋ビスインデン化合物の中間原料として利用することができる。
クロスカップリング反応の代表的な反応条件は、公知文献を利用することができる(例えば、Organometallics 2006年,25巻,1217−1229頁.Rus.Chem.Bull.,Int.Ed.2008年,57号,2298−2306頁.特開2012−167032号公報など参照。)。
【0063】
[式中、R
1、R
2、R
3及びR
4は、同一又は異なっていて、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のハロゲン化アルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数1〜6の炭化水素基を有するシリル基、炭素数1〜6の炭化水素基を有するシリル基で置換された炭素数1〜20のアルキル基、−NR
72基、−SR
7基、−OSiR
73基又は−PR
72基であって(このとき、R
7は、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数6〜20のアリール基である。)、R
2〜R
4の隣接基がそれらを連結する原子と一緒になって1つ以上の芳香族環又は脂肪族環を形成していてもよい。R
5及びR
6は、同一又は異なっていて、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のフルオロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数6〜10のフルオロアリール基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数7〜40のアリールアルキル基、炭素数7〜40のアルキルアリール基又は炭素数8〜40のアリールアルケニル基であり、R
5とR
6がそれらを連結する原子と一緒になって1つ以上の環を形成してもよい。Xは、ハロゲン原子又はトリフルオロメタンスルホニルオキシ基である。]
【0064】
一般式[III]において、上記の置換基としてのR
1〜R
6及びXは、前記の原料のインデン化合物とカルボニル化合物の項で説明したとおりである。
【実施例】
【0065】
以下、本発明を、より具体的にかつ明確に説明するために、本発明を実施例及び比較例の対照において説明し、本発明の構成要件の合理性と有意性及び従来技術に対する卓越性を実証する。
1H−NMRの測定は、室温で、溶媒として重クロロホルムを使用し、JEOLの400MHz装置で行った。
実施例および比較例の反応は、非脱水溶媒をそのまま使用し、窒素雰囲気下で行った。合成例2〜6の反応は、すべて窒素雰囲気下で行い、溶媒は、窒素でバブリングして脱気してから使用した。また、合成例7〜8の錯体合成は、すべて関東化学社製の脱水・脱気グレードの溶媒を使用して行った。
実施例および比較例における粗生成物の組成は、
1H−NMRで分析して求めた。組成の値は、原料インデン換算のモル比として算出した。また、組成比が1%未満のものは、「微量」と表記した。
【0066】
[合成例1]
(4−ブロモ−インデンの合成):
4−ブロモ−インデンの合成は、J.Org.Chem.1984年,49巻,4426−4237頁に記載の方法に従って、合成した。
1H−NMR(400MHz,CDCl
3):δ7.35(d,1H),7.33(d,1H),7.16(t,1H),6.92(d,1H),6.62(d,1H),3.40(s,2H),2.08(s,6H),1.75(s,6H).
【0067】
[合成例2]
(4−フェニルインデンの合成):
500mLのガラス製反応容器に、リン酸三カリウム38g(180mmol)、蒸留水100mL、DME100mL、フェニルボロン酸7.50g(61.5mmol)、4−ブロモ−インデン10.0g(51.3mmol)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム1、0g(1.42mmol)、トリフェニルホスフィン747mg(2.85mmol)を、順に加えた後、90℃で4時間加熱還流した。室温まで放却した後、反応液を蒸留水100mLに注ぎ、分液ロートに移して、ヘキサンで3回抽出した。
ヘキサン溶液に室温で濃塩酸10mL加えた後、室温で30分攪拌し、パラジウム化合物を沈殿させた後、ろ紙でろ過し、ろ液を飽和食塩水と蒸留水で3回ずつ洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。硫酸ナトリウムをろ過し、溶媒を減圧留去して、ヘキサン/ジイソプロピルエーテル=20:1に溶解した後、シリカゲルカラムでろ過することで、4−フェニルインデンを、無色液体として9.56g得た(収率97%)。
異性体混合物の
1H−NMR(400MHz,CDCl
3):δ7.60−7.20(m,8H),7.06(m,0.5H),6.94(m,0.5H),6.66−6.52(m,1H),3.48(s,2H).
【0068】
[合成例3]
(4−(3,5−tert−ブチルフェニル)インデンの合成):
500mlのガラス製反応容器に、1−ブロモ−3,5−ジ−tert−ブチルベンゼン17.9g(66.5mmol)、ジメトキシエタン(DME)200mlを加え、ドライアイス−メタノール浴で−78℃まで冷却した。ここに1.65mol/Lのtert−ブチルリチウム−n−ペンタン溶液80.6ml(132mmol)を滴下し、そのまま2時間撹拌した。−78℃で冷却したまま、トリイソプロピルボレート18.0ml(78mmol)を滴下した。滴下後、徐々に室温に戻しながら17時間撹拌した。リン酸三カリウム38g/蒸留水100mL溶液を加え加水分解した後、4−ブロモ−インデン10.0g(51.3mmol)、トリフェニルホスフィン1.30g(4.96mmol)ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム1.80g(2.56mmol)を順に加え、低沸分を除去した後、85℃で6時間加熱した。
放冷後、反応液を蒸留水100ml中に注ぎ、分液ロートに移しn−ヘキサンで3回抽出した、ヘキサン溶液に室温で濃塩酸10mL加えた後、室温で30分攪拌し、パラジウム化合物を沈殿させた後、ろ紙でろ過し、ろ液を飽和食塩水と蒸留水で3回ずつ洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。硫酸ナトリウムをろ過し、溶媒を減圧留去して、ヘキサン/ジイソプロピルエーテル=10:1に溶解した後、シリカゲルカラムでろ過することで、4−(3,5−tert−ブチルフェニル)インデンを、淡黄色オイルとして15.6g得た(収率100%)。
異性体混合物の
1H−NMR(400MHz,CDCl
3):δ7.54−7.20(m,6H),7.08(m,0.5H),6.96(m,0.5H),6.60(m,1H),3.51(m,2H),1.39(s,18H).
【0069】
[合成例4]
(4−(4−イソプロピルフェニル)インデンの合成):
500mLのガラス製反応容器に、リン酸三カリウム38g(180mmol)、蒸留水100mL、DME100mL、4−イソプロピルフェニルボロン酸11.0g(67.1mmol)、4−ブロモ−インデン11.0g(56.4mmol)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム432mg(0.62mmol)、トリフェニルホスフィン323mg(1.23mmol)を順に加えた後、90℃で8時間加熱還流した。室温まで放却した後、反応液を蒸留水100mLに注ぎ、分液ロートに移して、ヘキサンで3回抽出した。ヘキサン溶液に室温で濃塩酸10mL加えた後、室温で30分攪拌し、パラジウム化合物を沈殿させた後、ろ紙でろ過し、ろ液を飽和食塩水と蒸留水で3回ずつ洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。硫酸ナトリウムをろ過し、溶媒を減圧留去して、ヘキサン/ジイソプロピルエーテル=20:1に溶解した後、シリカゲルカラムでろ過することで、4−(4−イソプロピルフェニル)インデンを、無色液体として9.56g得た(収率97%)。
異性体混合物の
1H−NMR(400MHz,CDCl
3):δ7.55−7.20(m,7H),7.10(m,0.5H),6.94(m,0.5H),6.64−6.54(m,1H),3.56−3.44(m,2H),2.97(sept.,1H),1.31(d,6H).
【0070】
[実施例1]
(1,1−ビス(4−ブロモ−インデン−1−イル)シクロブタンの合成):
300mLのガラス製反応容器に、4−ブロモ−インデン10.0g(51.3mmol)、1,2−ジメトキシエタン(以下、DMEと記載)85mL,水酸化カリウム3.16g(56.3mmol)を加え、90℃で2時間加熱還流した。反応液を0℃に冷却し、シクロブタノン1.95mL(25.9mmol)を加えた後、90℃で5時間加熱還流した。反応液を室温まで冷却し、氷浴で冷却しながら濃塩酸で中和した。
生成物をジイソプロピルエーテルで抽出し、得られた有機相を飽和食塩水で2回、蒸留水で2回順に洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶液をろ過し、溶媒を減圧で留去し、1,1−ビス(4−ブロモ−インデン−1−イル)シクロブタンを、茶色固体として11.0g(収率97%)得た。
1H−NMRで分析した結果、原料は、観察されず、フルベン中間体は、1%未満であった。結果の纏めを表1に示す。
1H−NMR(400MHz,CDCl
3);δ7.26(d,2H),7.23(d,2H),7・01(t,2H),6.67(s,2H),3.39(d,4H),2.68(t,4H),2.08(quint.,2H).
【0071】
[比較例1]
(1,1−ビス(4−フェニル−インデン−1−イル)シクロブタンの合成):
300mLのガラス製反応容器に、4−フェニルインデン9.56g(49.7mmol)、DME85mL,水酸化カリウム3.07g(54.7mmol)を加え、90℃で2時間加熱還流した。反応液を0℃に冷却し、シクロブタノン1.90mL(25.2mmol)を加えた後、90℃で5時間加熱還流した。反応液を室温まで冷却し、氷浴で冷却しながら濃塩酸で中和した。溶媒を減圧で留去した後、ジイソプロピルエーテルで抽出し、セライトろ過した。得られたろ液の溶媒を減圧留去することで、粗生成物を得た。
粗生成物を
1H−NMRで分析した結果、ビス(4−フェニル−インデン−1−イル)シクロブタンとフルベン中間体と4−フェニルインデンの88:12の混合物であり、フルベン中間体は、1%未満であった。
得られた粗生成物を水中に懸濁し、ろ過した。得られた固体をエタノール、n−ヘキサンで順に洗浄することで、1,1−ビス(4−フェニル−インデン−1−イル)シクロブタンを、黄色固体として8.49g得た(収率78%)。結果の纏めを表1に示す。
1H−NMR(400MHz,CDCl
3):δ7.51(dd,4H),7.46−7.39(m,6H),7.36−7.22(m,2H),7.24(t,2H),7.14(dd,2H),6.07(t,2H),3.49(d,4H),2.78(t,4H),2.11(quint,2H).
【0072】
[実施例2]
(2,2−ビス(4−ブロモ−インデン−1−イル)プロパン合成):
300mLのガラス製反応容器に、4−ブロモ−インデン10.0g(51.3mmol)、DME85mL,水酸化カリウム3.88g(69.1mmol)を加え、90℃で2時間加熱還流した。反応液を0℃に冷却し、アセトン1.90mL(25.8mmol)を加えた後、90℃で5時間加熱還流した。反応液を室温まで冷却し、氷浴で冷却しながら濃塩酸で中和した。溶媒を減圧で留去した後、ジイソプロピルエーテルで抽出し、セライトろ過した。得られたろ液の溶媒を減圧留去することで、2,2−ビス(4−ブロモ−インデン−1−イル)プロパンを、固体として10.7g得た(収率97%)。結果の纏めを表1に示す。
1H−NMRで分析した結果、原料は観察されず、フルベン中間体は1%未満であった。
1H−NMR(400MHz,CDCl
3);δ7.20(d,2H)、7.19(d,2H),6.93(t,2H),6.58(s,2H),3.39(s,4H),1.72(s,6H).
【0073】
[比較例2]
(2,2−ビス(4−(3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)−インデン−1−イル)プロパンの合成):
300mLのガラス製反応容器に、(3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)インデン10.0g(32.8mmol)、DME85mL,水酸化カリウム2.49g(44.4mmol)を加え、90℃で2時間加熱還流した。反応液を0℃に冷却し、アセトン1.20mL(16.3mmol)を加えた後、90℃で6時間加熱還流した。反応液を室温まで冷却し、蒸留水100mLを加えた後、氷浴で0℃に冷却し、濃塩酸6mLを加えた後、室温で15分攪拌した。反応液を分液ロートに移してジイソプロピルエーテルで3回抽出し、得られたジイソプロピルテーテル溶液を飽和食塩水、蒸留水でそれぞれ3回ずつ洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。硫酸ナトリウムをろ過し、溶媒を減圧で留去し、粗成生物を得た。
粗生成物を
1H−NMRで分析した結果、2,2−ビス(4−(3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)−インデン−1−イル)プロパンと副生物であるフルベン中間体と(3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)インデンの74:13:13の混合物であった。フルベン中間体は、2.48ppmと2.33ppmのシグナルをそれぞれMe基の3プロトン分と帰属し、定量に使用した。
混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒、ヘキサン/ジイソプロピルエーテル Stepwise)で精製を試みたが、分離できなかった。結果の纏めを表1に示す。
1H−NMR(400MHz,CDCl
3):δ7.43(m,4H),7.38(d,4H),7.22−7.12(m,4H),6.59(s,2H),3.50(d,4H),1.82(s,6H),1.39(s,36H).
【0074】
[比較例3]
(1,1−ビス(4−(4−イソプロピルフェニル)−インデン−1−イル)シクロブタンの合成):
300mLのガラス製反応容器に、4−(4−イソプロピルフェニル)インデン12.7g(54.2mmol)、DME85mL,水酸化カリウム4.11g(75.9mmol)を加え、90℃で2時間加熱還流した。反応液を0℃に冷却し、シクロブタノン2.05mL(27.2mmol)を加えた後、90℃で6時間加熱還流した。反応液を室温まで冷却し、蒸留水100mLを加えた後、氷浴で0℃に冷却し、濃塩酸6mLを加えた後、室温で15分攪拌した。反応液を分液ロートに移してジイソプロピルエーテルで3回抽出し、得られたジイソプロピルテーテル溶液を飽和食塩水、蒸留水でそれぞれ3回ずつ洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。硫酸ナトリウムをろ過し、溶媒を減圧で留去し、粗成生物を得た。
粗生成物を
1H−NMRで分析した結果、1,1−ビス(4−(4−イソプロピルフェニル)−インデン−1−イル)シクロブタンと4−(4−イソプロピルフェニル)インデンの86:14の混合物であり、フルベン中間体は、1%未満であった。
得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒、ジイソプロピルエーテル:ヘキサン=1:20)で精製することで、1,1−ビス[4−(4−イソプロピルフェニル)−インデン−1−イル]シクロブタンを、オレンジ固体として11.0g得た(収率78%)。結果の纏めを表1に示す。
1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ7.44(d,4H),7.39(d,2H),7.29(d,4H),7.22(t,2H),7.13(d,2H),6.69(s,2H),3.50(s,4H),2.97(sept,2H),2.78(t,4H),2.11(quint,2H),1.31(d,12H).
【0075】
[比較例4]
(1,1−ビス[4−(3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)−インデン−1−イル]シクロブタンの合成):
300mLのガラス製反応容器に、4−(3,5−ジ−t−ブチルフェニル)インデン15.7g(51.6mmol)、DME85mL,水酸化カリウム3.18g(56.7mmol)を加え、90℃で2時間加熱還流した。反応液を0℃に冷却し、シクロブタノン1.95mL(21.9mmol)を加えた後、90℃で6時間加熱還流した。反応液を室温まで冷却し、濃塩酸6mLと蒸留水100mLを加えた後、分液ロートに移してジイソプロピルエーテルで3回抽出し、得られたジイソプロピルテーテル溶液を蒸留水で3回洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。硫酸ナトリウムをろ過し、溶媒を減圧で留去し、粗成生物を得た。
粗生成物を
1H−NMRで分析した結果、1,1−ビス(4−(3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)−インデン−1−イル)シクロブタンと4−(3,5−ジ−t−ブチルフェニル)インデンの86:14の混合物であり、フルベン中間体は、1%未満であった。
この粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒ヘキサン)で2回精製することで、1,1−ビス[4−(3,5−ジ−t−ブチルフェニル)−インデン−1−イル]シクロブタンを、オレンジ固体として13.6g得た(収率80%)。結果の纏めを表1に示す。
1H−NMR(400MHz,CDCl
3):δ7.41(d,2H),7.40(s,2H),7.34(s,4H),7.24(t,2H),7.16(d,2H),6.68(s,2H),3.48(s,4H),2.78(t,4H),2.09(quint,2H),1.35(s,36H).
【0076】
[合成例5(参考例1)]
(1,1−ビス(4−フェニル−インデン−1−イル)シクロブタンの合成):
500mLのガラス製反応容器に、リン酸三カリウム34.5g(163mmol)、蒸留水91mL、DME91mL、フェニルボロン酸6.82g(55.9mmol)、実施例1で合成したビス(4−ブロモ−インデン−1−イル)シクロブタン10.3g(23.3mmol)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム862mg(1.23mmol)、トリフェニルホスフィン646mg(2.46mmol)を順に加えた後、90℃で8時間加熱還流した。室温まで放却した後、反応液を蒸留水100mLに注ぎ、分液ロートに移して、ジイソプロピルエーテルで3回抽出した。ジイソプロピルエーテル溶液に室温で濃塩酸12mL加えた後、室温で30分攪拌し、パラジウム化合物を沈殿させた後、ろ紙でろ過し、ろ液を飽和食塩水と蒸留水で3回ずつ洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。
硫酸ナトリウムをろ過し、溶媒を減圧留去することで、1,1−ビス(4−フェニル−インデン−1−イル)シクロブタンを、黒色固体として10.1g得た(収率99%)。
【0077】
[合成例6(参考例3)]
(2,2−ビス(4−(3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)−インデン−1−イル)プロパンの合成):
500mLのガラス製反応容器に、リン酸三カリウム13.1g(61.7mmol)、蒸留水35mL、DME35mL、3,5−ジ−t−ブチルフェニルボロン酸5.0g(21.4mmol)、実施例2で合成したジメチルビス(4−ブロモ−インデン−1−イル)メタン3.81g(8.86mmol)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム648mg(0.924mmol)、トリフェニルホスフィン162mg(0.618mmol)を順に加えた後、90℃で8時間加熱還流した。室温まで放却した後、反応液を蒸留水50mLに注ぎ、分液ロートに移して、n−ヘキサンで3回抽出した。ヘキサン溶液に室温で濃塩酸4mL加えた後、室温で30分攪拌し、パラジウム化合物を沈殿させた後、ろ紙でろ過し、ろ液を飽和食塩水と蒸留水で3回ずつ洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。硫酸ナトリウムをろ過し、溶媒を減圧留去して、ヘキサン/ジイソプロピルエーテル=20:1溶液に溶解してシリカゲルろ過した。
ろ液を減圧乾燥することで、2,2−ビス(4−(3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)−インデン−1−イル)プロパンを、黒色固体として5.71g得た(収率99%)。
【0078】
[合成例7]
(ラセミ−シクロブチリデンビス(4−フェニル−1−インデニル)ジメチルハフニウムの合成):
300mLのガラス製反応容器に、合成例5で合成した1,1−ビス(4−フェニル−インデン−1−イル)シクロブタン4.37g(10.0mmol)、ジエチルエーテル100mlを加え、氷浴で0℃まで冷却した。ここに1.58mol/Lのn−ブチルリチウム−n−ヘキサン溶液13.0ml(20.5mmol)を滴下し、室温で4時間撹拌した。反応液の溶媒を減圧で留去し、トルエン100mlを加え、氷浴で0℃まで冷却した。そこに、四塩化ハフニウム3.20g(10.0mmol)を加えた。その後、徐々に室温に戻しながら18時間撹拌した。このときのラセミ体とメソ体の生成比率は1:1であった。
反応液の溶媒を減圧で留去し、そこにDME26mLを加えて、60℃で5時間攪拌した。反応液を室温まで冷却した後、ガラスフリットでろ過し、固体をDME3mLで2回洗浄した。
得られた粗成生物をジクロロメタン100mLで抽出し、セライトろ過した後、溶媒を減圧留去することで、ラセミ−1,1−シクロブチリデンビス(4−フェニル−インデニル)ハフニウムジクロリドのラセミ体を、橙色固体として2.93g得た(収率43%)。
1H−NMR(400MHz,CDCl
3):δ=7.57(d,4H),7.52(d,2H),7.42(t,4H),7.35(t,2H),7.27(d,2H),7.09(dd,2H),6.66(d,2H),6.07(d,2H),3.60(quartet,2H),3.17(quartet,2H),2.49(quintet,2H).
【0079】
[合成例8]
(ラセミ−イソプロピリデンビス[4−(3,5−ジ−t−ブチルフェニル)−1−インデニル]ハフニウムジクロリドの合成):
300mLのガラス製反応容器に、合成例6で合成した2,2−ビス(4−(3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)−インデン−1−イル)プロパン5.70g(8.78mmol)、ジエチルエーテル90mlを加え、氷浴で0℃まで冷却した。ここに1.58mol/Lのn−ブチルリチウム−n−ヘキサン溶液11.5ml(18.2mmol)を滴下し、室温で4時間撹拌した。反応液の溶媒を減圧で留去し、トルエン90mlを加え、氷浴で0℃まで冷却した。そこに、四塩化ハフニウム2.81g(8.77mmol)を加えた。その後、徐々に室温に戻しながら18時間撹拌した。このときのラセミ体とメソ体の生成比率は3:7であった。
反応液の溶媒を減圧で留去し、そこにDME14mLを加えて、60℃で6時間攪拌した。反応液を室温まで冷却した後、ガラスフリットでろ過し、固体をDME3mLで2回洗浄した。
得られた粗成生物をジクロロメタン100mLで抽出し、セライトろ過した後、溶媒を減圧留去することで、イソプロピリデンビス[4−(3,5−ジ−t−ブチルフェニル)−1−インデニル]ハフニウムジクロリドのラセミ体を、黄色固体として5.02g得た(収率64%)。
1H−NMR(400MHz,CDCl
3):δ=7.79(d,2H),7.50(d,4H),7.41(s,2H),7.32(d,2H),7.13(dd,2H),6.80(d,2H),6.19(d,2H),2.42(s,6H),1.31(s,36H).
【0080】
【表1】
【0081】
【表2】
【0082】
[実施例と比較例の対比結果の考察]
表1の実施例と比較例の対比により、4位にハロゲン原子を有するインデン化合物を用いる炭素架橋反応は、4位にハロゲン原子を有さないインデン化合物よりも、高い転化率で反応が進行することが明らかである。
また、表2の参考例1と2および参考例3と4を比較することにより、本発明の製造方法を利用することによって、高性能錯体の配位子である架橋ビス(4−アリールインデン)化合物を高収率で得ることが可能であることが明らかである。さらに、合成例7、8から明らかなように、得られた配位子は、複雑な精製を行うことなく、メタロセン錯体合成に使用可能である。