(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
長方形の開口部を有するコンクリートピット上に配置されてボルトにより該コンクリートピットの開口部の周辺に固定される基礎ベースと、直方体状に形成されて前記基礎ベース上に配置された外箱と、前記外箱内に配置されて前記基礎ベースに対して支持された電気機器の構成要素とを備えている地上設置型電気機器において、
前記外箱は、一側面に開口部を有し、他の3つの側面のそれぞれに窓部を有して前記電気機器の構成要素を内部に収容した状態で前記基礎ベース上に配置された外箱本体と、前記外箱本体の前記開口部を開閉自在に閉じる扉と、前記外箱本体の前記3つの側面にそれぞれ設けられた3つの窓部をそれぞれ閉じる3つの蓋板とを備えて、前記3つの蓋板のうちの一つに前記外箱内の圧力を開放する放圧部が設けられ、
前記外箱の各蓋板は、前記外箱本体の窓部が設けられた3つの側面の何れにも着脱可能に取り付けることができるように構成され、
前記基礎ベースには、該基礎ベースを前記コンクリートピットに対して固定するボルトを貫通させるための4個の取付け孔が、それぞれの中心を正方形の4つの頂点に位置させた状態で設けられていること、
を特徴とする地上設置型電気機器。
前記基礎ベースは、互いに平行に延びるように設けられて前記外箱本体の下端の相対する2辺にそれぞれ沿うように配置された第1及び第2の帯板部と、該第1の帯板部の長手方向の一端と第2の帯板部の長手方向の一端との間を連結するように設けられて、前記外箱本体の下端の前記2辺に対して直角な1辺に沿わせて配置された第3の帯板部とを有して、上方から見た場合にコの字形を呈するように構成され、
前記第1の帯板部の長手方向の両端及び第2の帯板部の長手方向の両端にそれぞれ前記取付け孔が形成されている請求項2に記載の地上設置型電気機器。
前記基礎ベースの取付け孔を貫通させるボルトは、前記コンクリートピットに設けられたアンカーナットに螺合されるボルトである請求項1又は2に記載の地上設置型電気機器。
前記放圧部は、ルーバ又は多数の孔を有して前記3つの蓋板のうちの一つに設けられた窓部を塞ぐように取り付けられた放圧板を備えている請求項1ないし4の何れか一つに記載の地上設置型電気機器。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、地上設置型電気機器は、主として歩道上に設置されていたため、安全に作業をできるのは車が通らない歩道側と決まっており、また望ましい放圧方向は車道側と決まっていた。ところが最近、配電線の地中化が進むにつれて、地上設置型電気機器を公園の植え込み内や駐車場等に設置することも多くなってきた。地上設置型電気機器を歩道以外の場所に設置する場合、安全に作業できる場所や望ましい放圧方向が一様でないため、設置現場の状況によって、外箱の扉の位置や放圧口の位置を変える必要がある。ところが、従来の地上設置型電気機器では、外箱の扉の位置や放圧口の位置を変えようとすると、外箱の仕様も変える必要があったため、機器のコストが高くなるのを避けられなかった。
【0005】
本発明の目的は、外箱の仕様を変えることなく、設置環境に合わせて扉の向きや放圧口の向きを適宜に変更することができるようにして、歩道以外の場所にも容易に設置することができるようにした地上設置型電気機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、長方形の開口部を有するコンクリートピット上に配置されてボルトにより該コンクリートピットの開口部の周辺に固定される基礎ベースと、直方体状に形成されて基礎ベース上に配置された外箱と、外箱内に配置されて基礎ベースに対して支持された電気機器の構成要素とを備えている地上設置型電気機器に係るものである。
【0007】
本発明においては、上記外箱が、一側面に開口部を有し、他の3つの側面のそれぞれに窓部を有して電気機器の構成要素を内部に収容した状態で基礎ベース上に配置された外箱本体と、外箱本体の開口部を開閉自在に閉じる扉と、外箱本体の3つの側面にそれぞれ設けられた3つの窓部をそれぞれ閉じる3つの蓋板とを備えていて、3つの蓋板のうちの一つに外箱内の圧力を開放する放圧部が設けられる。外箱の各蓋板は、外箱本体の窓部が設けられた3つの側面の何れにも着脱可能に取り付けることができるように構成され、基礎ベースには、該基礎ベースをコンクリートピットに対して固定するボルトを貫通させるための4個の取付け孔が、それぞれの中心を正方形の4つの頂点に位置させた状態で設けられている。
【0008】
上記のように構成すると、地上設置型電気機器を設置する際に、外箱の設置位置をコンクリートピットの開口部の長手方向に沿って並ぶように設定したn個(nは2以上の整数。)の設置位置の中から適宜に選択することができ、各設置位置で、その外箱の扉をコンクリートピットの長手方向に沿った一方の方向及び他方の方向並びにコンクリートピットの幅方向に沿った一方の方向及び他方の方向の4つの方向の何れの方向に向けた状態でも配置することができるため、外箱の設置態様を4×n通りに変更することができる。
【0009】
従って、上記のように構成すると、種々の異なる設置場所に設置する地上設置型電気機器を、同一仕様の外箱を用いて構成することができ、外箱の標準化を図ってコストの低減を図ることができる。
【0010】
また上記のように構成すると、外箱の放圧部を、扉が設けられた面以外の3つの側面の何れの面にも設けることができるため、外箱を歩道上に設置する場合は勿論、歩道以外の場所に設置する場合にも、外箱の仕様を変更することなく、設置箇所の状況に応じて、外箱の扉及び放圧部を安全上支障を来さない向きに向けた状態で配置することができる。
【0011】
また上記のように構成すると、外箱内に必要な電気機器を組み込む際、及び現地に据え付けた後の保守点検や修理の際に、外箱本体の3つの窓部を開口させた状態で作業を行うことができるため、作業性を向上させることができる。
【0012】
本発明の一態様では、上記基礎ベースが、互いに平行に延びるように設けられて外箱本体の下端の相対する2辺にそれぞれ沿うように配置された第1及び第2の帯板部と、第1の帯板部の長手方向の一端と第2の帯板部の長手方向の一端との間を連結するように設けられて、外箱本体の下端の2辺に対して直角な1辺に沿わせて配置された第3の帯板部とを有して、上方から見た場合にコの字形を呈するように構成され、第1の帯板部の長手方向の両端及び第2の帯板部の長手方向の両端にそれぞれ前記取付け孔が形成される。
【0013】
上記基礎ベースの取付け孔を貫通させるボルトは、コンクリートピットに設けられたアンカーナットに螺合されるボルトであってもよく、コンクリートピットに固定されたアンカーボルトであってもよい。
【0014】
上記放圧部は、多数の孔又はルーバーにより通気性を持たせた放圧板により構成することができる。この場合、放圧部を構成する放圧板は、3つの蓋板のうちの一つに設けた窓部を塞ぐように取り付ける。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、種々の異なる設置場所に設置する地上設置型電気機器を、同一仕様の外箱を用いて構成することができるため、外箱の標準化を図ってコストの低減を図ることができる。
【0016】
また本発明によれば、外箱内に必要な電気機器を組み込む際、及び現地に据え付けた後の保守点検の際に、外箱本体の3つの窓部を開口させた状態で作業を行うことができるため、電気機器の組み立て作業及び保守、点検、修理作業を容易にすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下図面を参照して本発明に係る地上設置型電気機器の実施形態について説明する。
本発明に係る地上設置型電気機器は、地上設置型変圧器や、地上設置型多回路開閉器のように、配電線が地中に布設された配電系統に変圧器や開閉器等を接続するために地上に設置されるものである。地上設置型電気機器は、外箱と該外箱内に収容された電気機器の構成要素とにより構成され,外箱が設置箇所に構築されたコンクリートピット上に据え付けられる。
【0019】
図1ないし
図6は、本発明に係る地上設置型電気機器の一実施形態の全体的な構成を示したものであり、これらの図において1はコンクリートピット、2は地上設置型電気機器である。本実施形態に係る地上設置型電気機器が設置されるコンクリートピット1は、地面Eから上方に突出させた状態で配置される部分が、
図8に示すように長方形の開口部101を有する枠形の形状を呈するように構成される。コンクリートピット1の下端は配電ケーブルを配置する地下溝(図示せず。)に接続されていて、地下溝から立ち上げられたケーブル(図示せず。)が、コンクリートピット1の内側の孔部102(
図6及び
図8参照)内を通して、コンクリートピット1上に固定された地上設置型電気機器の外箱内に導入される。
【0020】
地上設置型電気機器2は、コンクリートピット1の開口部101の周辺に固定される基礎ベース3と、直方体状に形成されて基礎ベース3上に配置された外箱4と、外箱4内に配置されて基礎ベース3に対して支持された電気機器の構成要素とを備えている。
【0021】
本実施形態に係る地上設置型電気機器2は、地上設置型の多回路開閉器であって、配電系統の幹線に挿入される開閉器や、幹線と複数の分岐線との間をそれぞれ開閉する複数の開閉器を含む開閉器群と、各開閉器を操作する操作機構とを備えた開閉器ユニット5(
図6参照)を、金属製の外箱4内に収容することにより構成される。開閉器ユニット5は、下端が基礎ベース3に固定された据え付けベース6の上に据え付けられた状態で外箱4内に収容される。
【0022】
コンクリートピット1の長方形の開口部101は、地上設置型電気機器2をコンクリ―トピット1上に設置した状態で、外箱4により塞がれることが無い部分が残されるように形成されていて、開口部101の外箱4により塞がれることがない部分は、コンクリートピット1に着脱可能に取り付けられたピット蓋7により閉じられる。
【0023】
図8に示すように、コンクリートピット1の開口部101の周囲には、外箱4を開口部101の長手方向の一端寄りに設定した第1の設置位置に設置する際に基礎ベース3をコンクリートピット1に対して固定するために用いる4個の第1群のアンカーナットn11〜n14と、外箱4を開口部101の長手方向の他端寄りに設定した第2の設置位置に設置する際に基礎ベース3をコンクリートピット1に対して固定するために用いる4個の第2群のアンカーナットn21〜n24と、地上設置型電気機器の外箱4を第1の設置位置に設置した際に、外箱4により塞がれない部分を閉じるピット蓋7を固定するためにのみ用いるアンカーナットn15,n16と、外箱4を第2の設置位置に設置した際に外箱4により塞がれない部分を閉じるピット蓋7を固定するためにのみ用いるアンカーナットn25,n26とが設けられている。各アンカーナットは、その中心軸線をコンクリートピット1の上面(水平面)に対して垂直な方向に向けた状態で設けられている。
【0024】
本実施形態では、外箱4を各設置位置に設置する際に、外箱の前面を90度異なる4つの方向の何れの方向にも向けることができるようにするため、各群の4個のアンカーナットが、それぞれの中心を水平面上で(コンクリートピットの上面上で)正方形の4つの頂点に位置させた状態で配置されている。本明細書では、4個のアンカーナットをこのように配置することを、4個のアンカーナットを正方形配置するという。
【0025】
図示の例では、2個のアンカーナットn11とn13とをコンクリートピット1の長手方向の一端寄りの位置で該コンクリートピットの幅方向に一定ピッチP1で並べ、2個のアンカーナットn11とn12をコンクリートピット1の幅方向の一端寄りの位置で、該コンクリートピット1の長手方向に一定ピッチP1で並べ、2個のアンカーナットn13とn14とを、コンクリートピット1の幅方向の他端寄りの位置で、コンクリートピット1の長手方向に一定ピッチP1で並べ、かつ2個のアンカーナットn12とn14とをコンクリートピットの長手方向の中央部寄りの位置でコンクリートピットの幅方向に一定ピッチP1で並べた状態で、4個の第1群のアンカーナットn11〜n14を正方形配置している。
【0026】
また図示の例では、2個のアンカーナットn21とn23とをコンクリートピット1の長手方向の他端寄りの位置で該コンクリートピットの幅方向に一定ピッチP1で並べ、2個のアンカーナットn21とn22をコンクリートピット1の幅方向の一端寄りの位置で、該コンクリートピット1の長手方向に一定ピッチP1で並べ、2個のアンカーナットn23とn24とを、コンクリートピット1の幅方向の他端寄りの位置で、コンクリートピット1の長手方向に一定ピッチP1で並べ、かつ2個のアンカーナットn22とn24とをコンクリートピットの長手方向の中央部寄りの位置でコンクリートピットの幅方向に一定ピッチP1で並べた状態で、4個の第2群のアンカーナットn21〜n24を正方形配置している。コンクリートピット1の開口部101の長手方向寸法Lは、L<2×P1の関係を満たし、開口部101の幅寸法Wは、W<P1の関係を満たすように設定されている。
【0027】
第1群のアンカーナットn11ないしn14を用いて基礎ベース3をコンクリートピットに固定する際にピット蓋7を固定するために用いるアンカーナットn25及びn26はそれぞれ、アンカーナットn12とn21との間及びアンカーナットn14とn23との間に、アンカーナットn12及びn14に対して一定間隔P2を隔てた状態で設けられている。アンカーナットn11ないしn14を用いて基礎ベース3をコンクリートピットに固定する際には、アンカーナットn25及びn26とアンカーナットn21及びn23とを用いてピット蓋7をコンクリートピット1に固定する。
【0028】
またアンカーナットn21ないしn24を用いて基礎ベース3をコンクリートピットに固定する際にピット蓋7を固定するために用いるアンカーナットn15及びn16はそれぞれ、アンカーナットn22とn11との間及びアンカーナットn24とn13との間に、アンカーナットn22及びn24に対して一定間隔P2を隔てた状態で設けられている。アンカーナットn21ないしn24を用いて基礎ベース3をコンクリートピットに固定する際には、アンカーナットn15及びn16とアンカーナットn11及びn13とを用いてピット蓋7をコンクリートピット1に固定する。
【0029】
コンクリートピット1に基礎ベース3及びピット蓋7を固定する際には、基礎ベース及びピット蓋に設けられた取付け孔を貫通させたボルトを所定のアンカーナットにねじ込むことにより、基礎ベース3及びピット蓋7をコンクリートピット1に締結する。本明細書では、アンカーナットn11〜n16及びn21〜n26にそれぞれねじ込まれるボルトを符号b11〜b16及びb21〜b26で表わすことにする。なお各アンカーナットとしては、同一規格のものが用いられ、各ボルトとしては、何れのアンカーナットにも螺合し得るものが用いられる。
【0030】
図示の外箱4は、4つの側面4aないし4dと、天井面4fとを有して、全体が直方体状を呈するように構成された外箱本体400(
図6参照)を備えている。本実施形態では、外箱4の側面4aを外箱の正面とし、側面4aと反対側に向いた側面4cを外箱の背面とする。外箱本体400の側面(正面)4aには、外箱内の機器(本実施形態では開閉器ユニット5)を操作する際に用いる操作用開口部401(
図6参照)が設けられ、外箱本体400の他の3つの側面4b〜4dには、作業用開口部として機能する窓部402ないし404が、それぞれの側面の下端寄りに位置させて設けられている。窓部402〜404は、側面4b〜4dを構成する鋼板の一部を矩形状に切り取ることにより構成されている。外箱本体400の底部は、コンクリートピット1の孔部102内に開口させられる開口部となっている。
【0031】
図示の外箱本体400は、例えば、直方体の隣り合う3つの側面4bないし4dをそれぞれ構成するように鋼板をコの字形に折曲げて形成した構造体の上端に天井面4fを構成する天井板を溶接することにより形成した箱体と、この箱体を必要に応じて内側から補強する補強材とにより構成される。
【0032】
図6に見られるように、外箱本体400の開口部401は縁部401a〜401dを有する額縁の形状を呈するように形成されている。額縁の左右の縁部401a,401bは、外箱本体の側面4b〜4dを構成する構造体と一体に形成され、額縁の上端を構成する縁部401cは、天井面4fを構成する天井板と一体に形成されている。開口部401の下端の縁部401dは、後述する扉を閉じた状態にロックする機能を果たす扉押え部材8(
図7参照)により構成されている。扉押え部材8は着脱可能に設けられていて、扉押え部材8を外すことにより(縁部401dを外すことにより)、開口部401の下端を下方に開口させることができるようになっている。
【0033】
外箱本体400の操作用開口部401の縁部401bには、開口部401を開閉自在に閉じる扉410(
図1,2,4,5参照)がヒンジ(図示せず。)を介して取り付けられている。扉410の内側には、扉押え板8に設けられたかんぬき挿入孔に抜き差し自在に挿入されるかんぬきを備えたロック機構が設けられ、該ロック機構を操作する操作ハンドル411が、扉410の外側に着脱可能に設けられている。
【0034】
外箱本体400の窓部402ないし404がそれぞれ形成された3つの側面4bないし4dには、窓部402ないし404をそれぞれ閉じる矩形状の3つの蓋板9Aないし9Cが着脱可能に取り付けられている。本実施形態では、蓋板9Aないし9Cを外箱本体の側面4bないし4cに取り付けるために、外箱本体の側面4bないし4cをそれぞれ構成する側壁の内側に、ナットが設けられたナット板(図示せず。)がネジ止めなどにより固定され、蓋板9Aないし9Cと外箱本体の側面4bないし4cをそれぞれ構成する側壁とを貫通して対応するナット板に設けられたナットにねじ込まれた多数のネジ10により、蓋板9Aないし9Cが、外箱本体の側面4bないし4cに着脱可能に取り付けられている。各蓋板は、外箱本体400の窓部が設けられた3つの側面の何れにも着脱可能に取り付けることができるように構成されている。
【0035】
本発明においては、3つの蓋板9Aないし9Cのうちの一つに外箱4内の圧力を開放する放圧部900(
図3参照)が設けられる。
図3に示された放圧部900は、一つの蓋板(図示の例では蓋板9B)に設けられた放圧部構成用窓部901と、窓部901を塞ぐように取り付けられた放圧板902とからなっている。放圧板902は、通気性を持たせるためにルーバー902aを形成した板からなっていて、蓋板9Bの窓部901の周辺部に溶接されている。なお本実施形態では、放圧板902に通気性を持たせるためにルーバー902aを設けているが、放圧板902に、ルーバー902aに代えて多数の孔を設けてもよい。
【0036】
本実施形態では、外箱本体の背面に放圧部900を備えた蓋板9Bを取り付けているが、蓋板9Bは外箱本体400の3つの側面4c〜4dの何れにも取り付けることができるため、外箱本体400の3つの側面のうちの何れの面にも放圧部900を設けることができる。
【0037】
外箱本体400は、コンクリートピット1に固定された基礎ベース3上に配置されて、その下端が基礎ベース3に対して適宜の手段により固定される。本実施形態で用いる基礎ベース3は、
図9に示されているように、互いに平行に延びるように設けられて外箱本体400の下端の相対する2辺にそれぞれ沿うように配置される第1及び第2の帯板部3A及び3Bと、第1の帯板部3Aの長手方向の一端と第2の帯板部3Bの長手方向の一端との間を連結するように設けられて、外箱本体の下端の前記2辺に対して直角な1辺に沿わせて配置される第3の帯板部3Cとを一体に有して、上方から見た場合にコの字形を呈するように形成されている。
【0038】
図示の基礎ベース3は、その上に外箱本体400の下端を載せた際に、第1及び第2の帯板部3A及び3Bの両端と連結部3Cの一部とが外箱本体400の下端から外側にはみ出すように形成され、基礎ベース3の四隅の外箱本体400の下端からはみ出す部分に、基礎ベース3をコンクリートピット1に固定するためにアンカーナットn11〜n14またはアンカーナットn21〜n24に螺合されるボルトb11〜b14またはb21〜b24を貫通させるための4つの取付け孔ha〜hdが、それぞれの中心を正方形の4つの頂点に位置させた状態で設けられている。図示の例では、第1の帯板部3Aの長手方向の両端及び第2の帯板部3Bの長手方向の両端にそれぞれ取付け孔ha,hb及びhc,hdが形成されている。
【0039】
外箱4をコンクリートピット1に固定する際に、外箱4の扉410を90度異なる4つの方向の何れの方向にも向けることができるようにするため、前述のように、基礎ベース3をコンクリートピット1に固定するために用いる4個の第1群のアンカーナットn11〜n14及び第2群のアンカーナットn21〜n24が、それぞれの中心を水平面上に仮想される正方形の4つの頂点に位置させた状態で設けられるとともに、基礎ベース3の4個の取付け孔ha〜hdが、4個の第1群のアンカーナットn11〜n14及び第2群のアンカーナットn21〜n24の何れにも整合し得るように設けられている。
【0040】
本実施形態では、開閉器ユニット5を基礎ベース3に対して支えるために、基礎ベース3に据付ベース6が固定される。
図6に示されているように、据付ベース6は、基礎ベース3の第1の帯板部3A及び第2の帯板部3Bのそれぞれの長手方向に沿って伸びる(
図6の紙面と直角な方向に伸びる)ように設けられた一対のベース金具601,602と、一方のベース金具601の長手方向に間隔を隔てて並ぶように設けられて、該一方のベース金具601の長手方向の両端に下端が固定された2本の脚部603,603(図には2本の脚部603の一方のみが現れている。)と、他方のベース金具602の長手方向に間隔を隔てて並ぶように設けられて、該他方のベース金具602の長手方向の両端に下端が固定された2本の脚部604,604(図には2本の脚部604の一方のみが現れている。)と、これら4本の脚部603,603,604,604の上端に固定された枠部605とを備えている。据付ベース6は、その一対のベース金具601,602をそれぞれ基礎ベース3の第1の帯板部3A及び第2の帯板部3Bにボルト止めすることにより基礎ベース3に固定され、枠部605の上に開閉器ユニット5が支持されている。
【0041】
前述した扉押え部材8は、
図7に示すように、基板部801と、基板部801の幅方向の一端から上方に起立した起立部802と、起立板部802の上端から基板部801側に直角に折曲げられた折曲げ部803と、基板部801の下面に溶接された位置決め板804とを備えている。扉押え板8は、その基板部801を基礎ベース3の第1及び第2の帯板部3A及び3Bの先端部(外箱本体400の前面から外部に突出した部分)の上に載せ、位置決め板804を基礎ベース3の第1及び第2の帯板部3A及び3Bの先端部の間に嵌め込んだ状態で配置されて、起立部802の両端に設けられた取付け孔805,805を貫通させたボルト806,806を据付ベース6のベース金具601,602に設けられたネジ孔にねじ込むことにより据付ベース6に固定される。
【0042】
本実施形態の地上設置型電気機器をコンクリートピット1に設置する際には、先ず現地の状況に応じて、外箱4の扉410を向ける向きと、コンクリートピット1の開口部の長手方向に対する外箱4の位置とを決定し、基礎ベース3の取付け孔ha〜hdを外箱4を設置する位置に応じて、コンクリートピット1に固定された第1群のアンカーナットn11〜n14又は第2群のアンカーナットn21〜n24に整合させて、基礎ベース3の取付け孔ha〜hdをそれぞれ貫通させたボルトを所定のアンカーナットにねじ込むことにより、基礎ベース3をコンクリートピット1に固定する。
【0043】
図1ないし
図6に示した例では、コンクリートピット1の開口部101の長手方向の一端寄りの位置(
図5において上端寄りの位置)に、外箱4の扉410を開口部101の長手方向の他端側(
図5において下側)に向けた状態で設置するものとして、基礎ベース3の取付け孔ha,hb,hc及びhdをそれぞれアンカーナットn11,n12,n13及びn14に整合させ、基礎ベース3の取付け孔ha〜hdをそれぞれ貫通させたボルトb11〜b14をアンカーナットn11〜n14(アンカーナットの配置については
図8参照)にねじ込むことにより、基礎ベース3をコンクリートピット1に固定している。
【0044】
コンクリートピット1に固定された基礎ベース3に据付ベース6を固定して、据付ベース6上に開閉器ユニット5を据え付けた後、据付ベース6及び開閉器ユニット5を外箱本体400の内部に収容した状態で外箱本体400を基礎ベース3上に配置し、外箱本体400の下端を据付ベース6のベース金具601,602にボルト止めすることにより、外箱本体400の下端を基礎ベース3に対して固定する。
【0045】
その後、地下溝から立ち上げたケーブルを外箱内に導入して外箱内の開閉器ユニット5に接続し、扉押え部材8をボルト806により据付ベース6のベース金具601,602にボルト止めして外箱本体400の開口部の下端の縁部401dを構成する。このようにして扉押え部材8を据付ベース6に固定した状態で、扉押え部材8に設けられたかんぬき挿入孔807(
図7参照)が、閉位置にある扉410の内側に取り付けられたかんぬきの下端を受入れることができる位置に配置されるように、かんぬき挿入孔807の位置が設定されている。なお
図2及び
図4においては、扉押え部材8の図示が省略されている。
【0046】
上記のようにして外箱4をコンクリートピット1上に設置した後、コンクリートピット1の開口部101の外箱4により塞がれていない部分を、すべり止めのための凹凸部7aが上面に形成されたピット蓋7により閉じる。上記のように外箱を設置する場合、ピット蓋7は、
図10に示すように、その四隅に設けた取付け孔を貫通させたボルトb21,b23,b25及びb26をそれぞれコンクリートピット1に設けられたアンカーナットn21,n23,n25及びn26にねじ込むことによりコンクリートピット1に固定される。
【0047】
本実施形態においては、基礎ベース3を固定するためにコンクリートピット1に設けられた4個のアンカーナット及びこれらのアンカーナットにねじ込むボルトを貫通させるために基礎ベースに設けられた4個の取付け孔が正方形の頂点に位置するように設けられているため、扉410をコンクリートピット1の長手方向に沿った一方の方向及び他方の方向並びにコンクリートピット1の幅方向に沿った一方の方向及び他方の方向の何れの方向に向けた状態でも外箱4をコンクリートピット1に対して固定することができる。
【0048】
例えば、外箱4を
図5の設置位置に対して反時計方向に90度回転させた方向に向けて設置する場合には、基礎ベース3に設けられた取付孔ha,hb,hc及びhdをそれぞれアンカーナットn12,n14,n11及びn13に整合させて、
図11に示したように、基礎ベース3の取付孔ha,hb,hc及びhdをそれぞれ貫通させたボルトb12,b14、b11及びb13をアンカーナットn12,n14,n11及びn13にねじ込むことにより、基礎ベース3をコンクリートピット1に固定するようにすればよい。
【0049】
また基礎ベース3を第2群のアンカーナットn21〜n24を用いてコンクリートピット1に固定することにより、外箱4を上記の実施形態で示した設置位置に対して開口部101の長手方向に一定距離を隔てた第2の設置位置に外箱4を設置することができ、その位置で外箱の扉410を互いに90度異なる4通りの方向に向けることができる。
【0050】
上記のように、本実施形態によれば、コンクリートピット1の開口部101の長手方向に沿った外箱の位置を、開口部101の長手方向の一端側に寄った位置と他端側に寄った位置との2通りの位置に設定することができ、設定した各位置で外箱の扉410を4通りの向きに向けることができるため、
図12(A)〜(D)及び
図13(A)〜(D)に示すように、外箱の仕様を変更することなしに、外箱4とピット蓋7とコンクリートピット1との間に合計8通りの位置関係を持たせることができる。従って、種々の異なる設置場所に設置する地上設置型電気機器を、同一仕様の外箱を用いて構成することができ、外箱の標準化を図ってコストの低減を図ることができる。
【0051】
また上記のように構成すると、外箱4の放圧部900を扉が設けられた面以外の3つの側面4b〜4dの何れの面にも設けることができるため、地上設置型電気機器の外箱4を歩道上に設置する場合は勿論、歩道以外の場所に設置する場合にも、外箱の仕様を変更することなく、設置箇所の状況に応じて、外箱の扉410及び放圧部900を現地の状況に応じて安全上支障を来さない向きに向けた状態で配置することができる。
【0052】
上記の説明では、先ずコンクリートピット1に基礎ベース3を取り付け、基礎ベース3上に据付ベース6を介して開閉器ユニット5を支持した後に外箱本体400を基礎ベース3上に配置して据付ベース6に固定することにより、地上設置型電気機器2をコンクリートピット1上に設置するようにしたが、地上設置型電気機器2の設置の仕方は上記の例に限定されない。例えば、基礎ベース3の上に据付ベース6を介して開閉器ユニット5を支持するとともに、基礎ベース3上に配置した外箱本体を据付ベース6に固定して、地上設置型電気機器2を組立てた後に、該地上設置型電気機器2の基礎ベース3をコンクリートピット1に固定するようにしても良い。
【0053】
上記の実施形態では、基礎ベース3の第1の帯板部3A及び第2の帯板部3Bの両端を外箱本体400の側面の下端から外側にはみ出した状態で設けて、外箱本体の側面の下端から外側にはみ出した第1の帯板部3A及び第2の帯板部3Bの両端に取付け孔ha〜hdを設けたが、基礎ベース3の第1の帯板部3A及び第2の帯板部3Bの両端を外箱本体400の側面の下端から外側にはみ出さないように設けて、取付け孔ha〜hdを外箱本体400の内側に位置させた状態で設けるようにしてもよい。このように構成する場合には、前述の実施形態のように、先ずコンクリートピットに基礎ベース3を固定した後に、該基礎ベース上に据付ベース6を介して開閉器本体5を支持するとともに、外箱本体400を配置して、該外箱本体400を据付ベースに固定する手順により、地上設置型電気機器2を組み立てるようにするのが好ましい。
【0054】
また上記の実施形態では、基礎ベース3をコの字形に形成したが、本発明は、基礎ベース3をコの字形に形成する場合に限定されるものではない。例えば、上方から見た場合に外縁が正4角形を呈するように形成された枠形の基礎ベースを用いることもできる。
【0055】
コンクリートピット1に設けるアンカーナットの配置は、
図8に示した配置に限定されるものではなく、コンクリートピット1上における外箱の所望の設置位置に応じて、アンカーナットの配置を適宜に変更することができる。
【0056】
例えば、コンクリートピット1の長手方向に位置をずらして3以上の設置位置を設定して、各設置位置に基礎ベース3を固定するために、3群以上のアンカーナットをコンクリートピットに設けるようにしてもよい。
【0057】
上記の実施形態では、基礎ベース3をコンクリートピットに固定するために用いるアンカーナットの一部が、ピット蓋をコンクリートピットに固定するために用いるアンカーナットを兼ねているが、ピット蓋をコンクリートピットに固定するために用いるアンカーナットと、基礎ベース3をコンクリートピットに固定するために用いるアンカーナットとを別個に設けるようにしてもよい。
【0058】
上記の各実施形態では、コンクリートピット1にアンカーナットを設けておいて、基礎ベース3に設けた取付け孔を貫通させたボルトをアンカーナットにねじ込むことにより基礎ベース3をコンクリートピット1に固定するとしたが、コンクリートピット1にアンカーボルトを固定しておいて、基礎ベース3に設けた取付け孔を貫通させたアンカーボルトにナットを螺合させることにより、基礎ベース3をコンクリートピット1に固定するようにしても良い。
【0059】
上記の各実施形態では、本発明を適用する地上設置型電気機器として地上設置型の多回路開閉器を例にとったが、地上に設置される外箱内に構成要素を収容することにより構成される他の電気機器、例えば、地上設置型変圧器装置にも本発明を適用することができる。