(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
カチオン性脂質が、該核酸と複合体を形成しているか、または中性脂質および/もしくは高分子を組み合わせたものと該核酸との複合体を形成しており、該複合体および該複合体を封入する脂質膜から構成された請求項15記載の脂質ナノ粒子。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の脂質ナノ粒子が含有する、カチオン性脂質は、式(I)
【0011】
【化3】
(式中、R
1およびR
2は、同一または異なって炭素数10〜24の直鎖状または分枝状のアルキル、アルケニルまたはアルキニルであり、
X
1およびX
2は、水素原子であるか、または一緒になって単結合もしくはアルキレンを形成し、
X
3は存在しないか、炭素数1〜6のアルキルまたは炭素数3〜6のアルケニルであり、
X
3が存在しない場合には、
Y
1も存在せず、L
1は単結合であり、R
3は水素原子、炭素数1〜6のアルキル、炭素数3〜6のアルケニル、ピロリジン-3-イル、ピペリジン-3-イル、ピペリジン-4-イルまたは同一もしくは異なって1〜3つのアミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、トリアルキルアンモニオ、ヒドロキシ、アルコキシ、カルバモイル、モノアルキルカルバモイル、ジアルキルカルバモイル、ピロリジニル、ピペリジルもしくはモルホリニルで置換された炭素数1〜6のアルキルもしくは炭素数3〜6のアルケニルであるか、あるいは
Y
1も存在せず、L
1は-CO-または-CO-O-であり、R
3はピロリジン-2-イル、ピロリジン-3-イル、ピペリジン-2-イル、ピペリジン-3-イル、ピペリジン-4-イル、モルホリン-2-イル、モルホリン-3-イルまたは同一もしくは異なって1〜3つのアミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、トリアルキルアンモニオ、ヒドロキシ、アルコキシ、カルバモイル、モノアルキルカルバモイル、ジアルキルカルバモイル、ピロリジニル、ピペリジルもしくはモルホリニルで置換された炭素数1〜6のアルキルもしくは炭素数3〜6のアルケニルであり、該置換基の少なくとも1つは、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、トリアルキルアンモニオ、ピロリジニル、ピペリジルまたはモルホリニルであり、
X
3が炭素数1〜6のアルキルまたは炭素数3〜6のアルケニルの場合には、
Y
1は製薬上許容し得る陰イオンであり、L
1は単結合であり、R
3は炭素数1〜6のアルキル、炭素数3〜6のアルケニル、ピロリジン-3-イル、ピペリジン-3-イル、ピペリジン-4-イルまたは同一もしくは異なって1〜3つのアミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、トリアルキルアンモニオ、ヒドロキシ、アルコキシ、カルバモイル、モノアルキルカルバモイル、ジアルキルカルバモイル、ピロリジニル、ピペリジルもしくはモルホリニルで置換された炭素数1〜6のアルキルもしくは炭素数3〜6のアルケニルである)で表される化合物、および式(II)
【0012】
【化4】
(式中、R
4およびR
5は、同一もしくは異なって炭素数12〜24の直鎖状もしくは分枝状のアルキル、アルケニルもしくはアルキニルであるか、またはR
4およびR
5が一緒になってジアルキルメチレン、ジアルケニルメチレン、ジアルキニルメチレンもしくはアルキルアルケニルメチレンを形成し、
X
4およびX
5は、水素原子であるか、または一緒になって単結合もしくはアルキレンを形成し、
X
6は存在しないか、炭素数1〜6のアルキルまたは炭素数3〜6のアルケニルであり、
X
6が存在しない場合には、
Y
2も存在せず、aおよびbは0であり、L
4は単結合であり、R
6は炭素数1〜6のアルキル、炭素数3〜6のアルケニル、ピロリジン-3-イル、ピペリジン-3-イル、ピペリジン-4-イルまたは同一もしくは異なって1〜3つのアミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、トリアルキルアンモニオ、ヒドロキシ、アルコキシ、カルバモイル、モノアルキルカルバモイル、ジアルキルカルバモイル、ピロリジニル、ピペリジルもしくはモルホリニルで置換された炭素数1〜6のアルキルもしくは炭素数3〜6のアルケニルであり、L
2およびL
3は-O-であるか、
Y
2も存在せず、aおよびbは、同一または異なって0〜3であり、かつaとbがともに0ではなく、L
4は単結合であり、R
6は炭素数1〜6のアルキル、炭素数3〜6のアルケニル、ピロリジン-3-イル、ピペリジン-3-イル、ピペリジン-4-イルまたは同一もしくは異なって1〜3つのアミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、トリアルキルアンモニオ、ヒドロキシ、アルコキシ、カルバモイル、モノアルキルカルバモイル、ジアルキルカルバモイル、ピロリジニル、ピペリジルもしくはモルホリニルで置換された炭素数1〜6のアルキルもしくは炭素数3〜6のアルケニルであり、L
2およびL
3は、同一または異なって-O-、-CO-O-または-O-CO-であるか、
Y
2も存在せず、aおよびbは、同一または異なって0〜3であり、L
4は単結合であり、R
6は水素原子であり、L
2およびL
3は、同一または異なって-O-、-CO-O-または-O-CO-であるか、あるいは
Y
2も存在せず、aおよびbは、同一または異なって0〜3であり、L
4は-CO-または-CO-O-であり、R
6はピロリジン-2-イル、ピロリジン-3-イル、ピペリジン-2-イル、ピペリジン-3-イル、ピペリジン-4-イル、モルホリン-2-イル、モルホリン-3-イルまたは同一もしくは異なって1〜3つのアミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、トリアルキルアンモニオ、ヒドロキシ、アルコキシ、カルバモイル、モノアルキルカルバモイル、ジアルキルカルバモイル、ピロリジニル、ピペリジルもしくはモルホリニルで置換された炭素数1〜6のアルキルもしくは炭素数3〜6のアルケニルであり、該置換基の少なくとも1つは、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、トリアルキルアンモニオ、ピロリジニル、ピペリジルまたはモルホリニルであり、L
2およびL
3は、同一または異なって-O-、-CO-O-または-O-CO-であり、
X
6が炭素数1〜6のアルキルまたは炭素数3〜6のアルケニルの場合には、
Y
2は製薬上許容し得る陰イオンであり、aおよびbは、同一または異なって0〜3であり、L
4は単結合であり、R
6は炭素数1〜6のアルキル、炭素数3〜6のアルケニル、ピロリジン-3-イル、ピペリジン-3-イル、ピペリジン-4-イルまたは同一もしくは異なって1〜3つのアミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、トリアルキルアンモニオ、ヒドロキシ、アルコキシ、カルバモイル、モノアルキルカルバモイル、ジアルキルカルバモイル、ピロリジニル、ピペリジルもしくはモルホリニルで置換された炭素数1〜6のアルキルもしくは炭素数3〜6のアルケニルであり、L
2およびL
3は、同一または異なって-O-、-CO-O-または-O-CO-である)で表される化合物である。
以下、式(I)および式(II)で表される化合物を、それぞれ化合物(I)および化合物(II)ということもある。他の式番号の化合物についても同様である。
【0013】
式(I)の各基の定義において、炭素数10〜24の直鎖状または分枝状のアルキルとしては、例えばデシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、6,10-ジメチルウンデカ-2-イル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、6,10,14-トリメチルペンタデカン-2-イル、ノナデシル、イコシル、ヘニコシル、ドコシル、トリコシル、テトラコシル等があげられる。
【0014】
式(I)の各基の定義において、炭素数10〜24の直鎖状または分枝状のアルケニルとしては、1〜3つの2重結合を含む炭素数10〜24の直鎖状または分枝状のアルケニルであればよく、例えば(Z)-ドデカ-7-エニル、(Z)-テトラデカ-7-エニル、(Z)-テトラデカ-9-エニル、(Z)-ヘキサデカ-4-エニル、(Z)-ヘキサデカ-7-エニル、(E)-ヘキサデカ-7-エニル、(Z)-ヘキサデカ-9-エニル、(7Z,10Z)-ヘキサデカ-7,10-ジエニル、(7Z,10Z,13Z)-ヘキサデカ-7,10,13-トリエニル、(Z)-オクタデカ-6-エニル、(Z)-オクタデカ-9-エニル、(E)-オクタデカ-9-エニル、(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエニル、(Z)-オクタデカ-11-エニル、(9Z,12Z,15Z)-オクタデカ-9,12,15-トリエニル、(Z)-イコサ-11-エニル、(11Z,14Z)-イコサ-11,14-ジエニル等があげられ、好ましくは(Z)-ドデカ-7-エニル、(Z)-テトラデカ-7-エニル、(Z)-ヘキサデカ-4-エニル、(Z)-ヘキサデカ-7-エニル、(E)-ヘキサデカ-7-エニル、(Z)-ヘキサデカ-9-エニル、(7Z,10Z)-ヘキサデカ-7,10-ジエニル、(7Z,10Z,13Z)-ヘキサデカ-7,10,13-トリエニル、(Z)-オクタデカ-9-エニル、(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエニル、(11Z,14Z)-イコサ-11,14-ジエニル等があげられる。
【0015】
式(I)の各基の定義において、炭素数10〜24の直鎖状または分枝状のアルキニルとしては、1〜3つの3重結合を含む炭素数10〜24の直鎖状または分枝状のアルキニルであればよく、例えばデカ-9-イニル、ドデカ-4-イニル、ドデカ-11-イニル、テトラデカ-5-イニル、テトラデカ-6-イニル、ヘキサデカ-7-イニル、ヘキサデカ-3,5-ジイニル、ヘキサデカ-5,7-ジイニル、オクタデカ-9-イニル等があげられる。
【0016】
なお、式(I)において、R
1およびR
2は、同一の炭素数10〜24の直鎖状または分枝状のアルキル、アルケニルまたはアルキニルであることがより好ましい。また、R
1およびR
2が同一または異なるどちらの場合も、炭素数10〜24の直鎖状または分枝状のアルキルまたはアルケニルがより好ましく、炭素数10〜24の直鎖状のアルケニルがさらに好ましい。
【0017】
式(II)の各基の定義において、炭素数12〜24の直鎖状または分枝状のアルキルとしては、例えばドデシル、トリデシル、テトラデシル、2,6,10-トリメチルウンデシル、ペンタデシル、3,7,11-トリメチルドデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、6,10,14-トリメチルペンタデカン-2-イル、ノナデシル、2,6,10,14-テトラメチルペンタデシル、イコシル、3,7,11,15-テトラメチルヘキサデシル、ヘニコシル、ドコシル、トリコシル、テトラコシル等があげられる
【0018】
式(II)の各基の定義において、炭素数12〜24の直鎖状または分枝状のアルケニルとしては、1〜3つの2重結合を含む炭素数12〜24の直鎖状または分枝状のアルケニルであればよく、例えば(Z)-トリデカ-8-エニル、(Z)-テトラデカ-9-エニル、(Z)-ペンタデカ-8-エニル、(Z)-ヘキサデカ-9-エニル、(Z)-ヘプタデカ-5-エニル、(Z)-オクタデカ-6-エニル、(Z)-ヘプタデカ-8-エニル、(Z)-オクタデカ-9-エニル、(E)-ヘプタデカ-8-エニル、(E)-オクタデカ-9-エニル、(Z)-ヘプタデカ-10-エニル、(Z)-オクタデカ-11-エニル、(8Z,11Z)-ヘプタデカ-8,11-ジエニル、(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエニル、(8Z,11Z,14Z)-オクタデカ-8,11,14-トリエニル、(9Z,12Z,15Z)-オクタデカ-9,12,15-トリエニル、(Z)-ノナデカ-10-エニル、(Z)-イコサ-11-エニル、(10Z,13Z)-ノナデカ-10,13-ジエニル、(11Z,14Z)-イコサ-11,14-ジエニル、2,6,10-トリメチルウンデカ-1,5,9-トリエニル、3,7,11-トリメチルドデカ-2,6,10-トリエニル、2,6,10,14-テトラメチルペンタデカ-1-エニル、3,7,11,15-テトラメチルヘキサデカ-2-エニル等があげられ、好ましくは(Z)-ペンタデカ-8-エニル、(Z)-ヘキサデカ-9-エニル、(Z)-ヘプタデカ-5-エニル、(Z)-オクタデカ-6-エニル、(Z)-ヘプタデカ-8-エニル、(Z)-オクタデカ-9-エニル、(8Z,11Z)-ヘプタデカ-8,11-ジエニル、(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエニル等があげられる。
【0019】
式(II)の各基の定義において、炭素数12〜24の直鎖状または分枝状のアルキニルとしては、1〜3つの3重結合を含む炭素数12〜24の直鎖状または分枝状のアルキニルであればよく、例えばドデカ-11-イニル、トリデカ-12-イニル、ペンタデカ-6-イニル、ヘキサデカ-7-イニル、ペンタデカ-4,6-ジイニル、ヘキサデカ-5,7-ジイニル、ヘプタデカ-8-イニル、オクタデカ-9-イニル等があげられる。
【0020】
なお、化合物(II)において、R
4およびR
5は、同一の炭素数12〜24の直鎖状または分枝状のアルキル、アルケニルまたはアルキニルであることがより好ましい。また、R
4およびR
5が同一または異なるどちらの場合も、炭素数12〜24の直鎖状または分枝状のアルキルまたはアルケニルがより好ましく、炭素数12〜24の直鎖状のアルケニルがさらに好ましい。
【0021】
化合物(I)および化合物(II)において、アルキレンとしては、例えばメチレン、エチレン、プロピレン等があげられる。
【0022】
炭素数1〜6のアルキルとしては、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、シクロブチル、シクロプロピルメチル、ペンチル、イソペンチル、sec-ペンチル、ネオペンチル、tert-ペンチル、シクロペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル等があげられ、好ましくはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソペンチル、sec-ペンチル、tert-ペンチル、ネオペンチル、ヘキシル等があげられ、さらに好ましくはメチル、エチル、プロピル等があげられる。
【0023】
炭素数3〜6のアルケニルとしては、例えばアリル、1-プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル等があげられ、好ましくはアリル等があげられる。
【0024】
置換された炭素数1〜6のアルキルにおけるアルキル部分および置換された炭素数3〜6のアルケニルにおけるアルケニル部分としては、それぞれ前記炭素数1〜6のアルキルおよび炭素数3〜6のアルケニルと同義である。
【0025】
ジアルキルメチレン、ジアルケニルメチレン、ジアルキニルメチレンまたははアルキルアルケニルメチレンにおけるアルキル、アルケニルおよびアルキニル部分は、それぞれ前記炭素数12〜24の直鎖状または分枝状のアルキル、炭素数12〜24の直鎖状または分枝状のアルケニルおよび炭素数12〜24の直鎖状または分枝状のアルキニルと同義である。なお、ジアルキルメチレン、ジアルケニルメチレンおよびジアルキニルメチレンにおけるアルキル、アルケニルおよびアルキニル部分は、それぞれ同一であることがさらに好ましい。
【0026】
化合物(I)および化合物(II)において、製薬上許容し得る陰イオンとしては、例えば塩化物イオン、臭化物イオン、硝酸イオン、硫酸イオン、リン酸イオンなどの無機イオン、酢酸イオン、シュウ酸イオン、マレイン酸イオン、フマル酸イオン、クエン酸イオン、安息香酸イオン、メタンスルホン酸イオンなどの有機酸イオン等があげられる。
【0027】
化合物(I)および化合物(II)において、ピロリジン-2-イル、ピロリジン-3-イル、ピペリジン-2-イル、ピペリジン-3-イル、ピペリジン-4-イル、モルホリン-2-イルおよびモルホリン-3-イルは、それぞれ、環中の窒素原子上に結合した水素原子が、メチルまたはエチルに変換されたものを包含する。
【0028】
モノアルキルアミノおよびジアルキルアミノとしては、それぞれ1および同一または異なって2つの、炭素数1〜6のアルキル(前記と同義)または、アミノ、メチルアミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ピロリジニル、ピペリジルもしくはモルホリニルで置換された炭素数1〜6のアルキル(前記と同義)で置換されたアミノであればよく、例えばメチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノ、ブチルアミノ、ペンチルアミノ、ヘキシルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、エチルメチルアミノ、メチルプロピルアミノ、ブチルメチルアミノ、メチルペンチルアミノ、ヘキシルメチルアミノ、アミノエチルアミノ、アミノプロピルアミノ、(アミノエチル)メチルアミノ、ビス(アミノエチル)アミノ等があげられ、好ましくはメチルアミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、アミノプロピルアミノ、ビス(アミノエチル)アミノ等があげられる。
化合物(I)および化合物(II)において、アミノ、モノアルキルアミノおよびジアルキルアミノは、それぞれ、窒素原子上の孤立電子対に、水素イオンが配位して、アンモニオ、モノアルキルアンモニオおよびジアルキルアンモニオを形成していてもよく、アミノ、モノアルキルアミノおよびジアルキルアミノは、それぞれアンモニオ、モノアルキルアンモニオおよびジアルキルアンモニオを包含する。
【0029】
トリアルキルアンモニオとしては、同一または異なって3つの、炭素数1〜6のアルキル(前記と同義)または、アミノ、メチルアミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ピロリジニル、ピペリジルもしくはモルホリニルで置換された炭素数1〜6のアルキル(前記と同義)で置換されたアンモニオであればよく、例えばトリメチルアンモニオ、エチルジメチルアンモニオ、ジエチルメチルアンモニオ、トリエチルアンモニオ、トリプロピルアンモニオ、トリブチルアンモニオ、トリペンチルアンモニオ、トリヘキシルアンモニオ、トリス(アミノエチル)アンモニオ、(アミノエチル)ジメチルアンモニオ、ビス(アミノエチル)メチルアンモニオ等があげられ、好ましくはトリメチルアンモニオ、トリエチルアンモニオ、トリス(アミノエチル)アンモニオ、(アミノエチル)ジメチルアンモニオ、ビス(アミノエチル)メチルアンモニオ等があげられる。
本発明において、アミノ、モノアルキルアミノおよびジアルキルアミノの窒素原子上の孤立電子対に、水素イオンが配位したアンモニオ、モノアルキルアンモニオおよびジアルキルアンモニオ、ならびにトリアルキルアンモニオは、製薬上許容し得る陰イオン(前記と同義)と塩を形成していてもよい。
【0030】
アルコキシとしては、炭素数1〜6のアルキル(前記と同義)または、アミノ、メチルアミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ピロリジニル、ピペリジルもしくはモルホリニルで置換された炭素数1〜6のアルキル(前記と同義)で置換されたヒドロキシであればよく、例えばメトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、ブチルオキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、アミノエトキシ、メチルアミノエトキシ等があげられ、好ましくはメトキシ、エトキシ、アミノエトキシ、メチルアミノエトキシ等があげられる。
【0031】
モノアルキルカルバモイルおよびジアルキルカルバモイルとしては、それぞれ1つおよび同一または異なって2つの、炭素数1〜6のアルキル(前記と同義)または、アミノ、メチルアミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ピロリジニル、ピペリジルもしくはモルホリニルで置換された炭素数1〜6のアルキル(前記と同義)で置換されたカルバモイルであればよく、例えばメチルカルバモイル、エチルカルバモイル、プロピルカルバモイル、ブチルカルバモイル、ペンチルカルバモイル、ヘキシルカルバモイル、ジメチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、エチルメチルカルバモイル、メチルプロピルカルバモイル、ブチルメチルカルバモイル、メチルペンチルカルバモイル、ヘキシルメチルカルバモイル、アミノエチルカルバモイル、アミノプロピルカルバモイル、(アミノエチル)メチルカルバモイル、ビス(アミノエチル)カルバモイル等があげられ、好ましくはメチルカルバモイル、エチルカルバモイル、ジメチルカルバモイル等があげられる。
【0032】
化合物(I)において、X
1およびX
2は、水素原子であることがより好ましい。この場合には、R
1およびR
2は、同一または異なってドデシル、テトラデシル、(Z)-ドデカ-7-エニル、(Z)-テトラデカ-7-エニル、(Z)-ヘキサデカ-4-エニル、(Z)-ヘキサデカ-7-エニル、(E)-ヘキサデカ-7-エニル、(Z)-ヘキサデカ-9-エニル、(7Z,10Z)-ヘキサデカ-7,10-ジエニル、(7Z,10Z,13Z)-ヘキサデカ-7,10,13-トリエニル、(Z)-オクタデカ-9-エニルまたは(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエニルであることが好ましく、同一または異なって(Z)-テトラデカ-7-エニル、(Z)-ヘキサデカ-7-エニル、(7Z,10Z)-ヘキサデカ-7,10-ジエニルまたは(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエニルであることがより好ましく、同一に(Z)-テトラデカ-7-エニル、(Z)-ヘキサデカ-7-エニル、(7Z,10Z)-ヘキサデカ-7,10-ジエニルまたは(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエニルであることが最も好ましい。
なお、X
1およびX
2が、水素原子である場合には、R
3が水素原子、メチル、ピロリジン-3-イル、ピペリジン-3-イル、ピペリジン-4-イルまたは同一もしくは異なって1〜3つのアミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、トリアルキルアンモニオ、ヒドロキシ、アルコキシ、カルバモイル、モノアルキルカルバモイル、ジアルキルカルバモイル、ピロリジニル、ピペリジルもしくはモルホリニルで置換された炭素数1〜6のアルキルもしくは炭素数3〜6のアルケニルがより好ましく、水素原子、メチルまたは同一もしくは異なって1〜3つのアミノ、ヒドロキシもしくはカルバモイルで置換された炭素数1〜6のアルキルもしくは炭素数3〜6のアルケニルがさらに好ましく、水素原子、メチル等が最も好ましい。
【0033】
また、X
1およびX
2が、一緒になって単結合またはアルキレンを形成する場合には、R
1およびR
2は、同一または異なってテトラデシル、ヘキサデシル、(Z)-テトラデカ-9-エニル、(Z)-ヘキサデカ-9-エニル、(Z)-オクタデカ-6-エニル、(Z)-オクタデカ-9-エニル、(E)-オクタデカ-9-エニル、(Z)-オクタデカ-11-エニル、(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエニル、(9Z,12Z,15Z)-オクタデカ-9,12,15-トリエニル、(Z)-イコサ-11-エニルまたは(11Z,14Z)-イコサ-11,14-ジエニルであることが好ましく、(Z)-オクタデカ-9-エニルまたは(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエニルであることがより好ましく、同一に(Z)-オクタデカ-9-エニルまたは(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエニルであることが最も好ましい。
また、X
1およびX
2が、一緒になって単結合またはアルキレンを形成する場合には、R
3が水素原子、メチル、ピロリジン-3-イル、ピペリジン-3-イル、ピペリジン-4-イルまたは同一もしくは異なって1〜3つのアミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、トリアルキルアンモニオ、ヒドロキシ、アルコキシ、カルバモイル、モノアルキルカルバモイル、ジアルキルカルバモイル、ピロリジニル、ピペリジルもしくはモルホリニルで置換された炭素数1〜6のアルキルもしくは炭素数3〜6のアルケニルがより好ましく、水素原子、メチルまたは同一もしくは異なって1〜3つのアミノ、ヒドロキシもしくはカルバモイルで置換された炭素数1〜6のアルキルもしくは炭素数3〜6のアルケニルがさらに好ましく、水素原子、メチル等が最も好ましい。
また、X
1およびX
2が、一緒になって単結合を形成する場合に、L
1が-CO-または-CO-O-、好ましくは-CO-であることも、本発明のより好ましい形態の1つである。この場合には、R
3がアミノメチル、1,2-ジアミノエチル、2-アミノエチル、1,3-ジアミノプロピル、1,4-ジアミノブチル、1,5-ジアミノペンチル、3-アミノプロピル、4-アミノブチル、5-アミノペンチル等がさらに好ましく、1,2-ジアミノエチル、1,3-ジアミノプロピル、1,4-ジアミノブチル、1,5-ジアミノペンチルであることが最も好ましく、R
1およびR
2は、同一もしくは異なってテトラデシル、ヘキサデシル、(Z)-テトラデカ-9-エニル、(Z)-ヘキサデカ-9-エニル、(Z)-オクタデカ-6-エニル、(Z)-オクタデカ-9-エニル、(E)-オクタデカ-9-エニル、(Z)-オクタデカ-11-エニル、(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエニル、(9Z,12Z,15Z)-オクタデカ-9,12,15-トリエニル、(Z)-イコサ-11-エニルまたは(11Z,14Z)-イコサ-11,14-ジエニルであることが好ましく、(Z)-オクタデカ-9-エニルまたは(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエニルであることがより好ましく、同一に(Z)-オクタデカ-9-エニルまたは(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエニルであることが最も好ましい。
また、X
1およびX
2が、一緒になって単結合を形成する場合に、X
3が炭素数1〜6のアルキルまたは炭素数3〜6のアルケニル、好ましくはメチルであることも、本発明のより好ましい形態の1つである。
【0034】
また、L
1は単結合であることがより好ましい。
また、L
1が単結合の場合には、R
3は水素原子、メチル、ピロリジン-3-イル、ピペリジン-3-イル、ピペリジン-4-イルまたは同一もしくは異なって1〜3つのアミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、トリアルキルアンモニオ、ヒドロキシ、アルコキシ、カルバモイル、モノアルキルカルバモイル、ジアルキルカルバモイル、ピロリジニル、ピペリジルもしくはモルホリニルで置換された炭素数1〜6のアルキルもしくは炭素数3〜6のアルケニルであることがより好ましく、水素原子、メチル、ヒドロキシメチル、2-ヒドロキシエチル、2,3-ジヒドロキシプロピル、2-ヒドロキシプロピル、3-ヒドロキシプロピル、2-ヒドロキシ-3-メトキシプロピル、アミノメチル、2-アミノエチル、3-アミノプロピル、4-アミノブチル、5-アミノペンチル、2-(N,N-ジメチルアミノ)エチル、3-(N,N-ジメチルアミノ)プロピル、2-カルバモイルエチル、2-ジメチルカルバモイルエチル、1-メチルピペリジン-4-イル等がさらに好ましく、水素原子、メチル等が最も好ましい。
【0035】
また、L
1が-CO-または-CO-O-の場合には、R
3はピロリジン-3-イル、ピペリジン-3-イル、ピペリジン-4-イルまたは同一もしくは異なって1〜3つのアミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、トリアルキルアンモニオ、ヒドロキシ、アルコキシ、カルバモイル、モノアルキルカルバモイル、ジアルキルカルバモイル、ピロリジニル、ピペリジルもしくはモルホリニルで置換された炭素数1〜6のアルキルもしくは炭素数3〜6のアルケニルであり、該置換基の少なくとも1つは、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、トリアルキルアンモニオ、ピロリジニル、ピペリジルもしくはモルホリニルであることがより好ましく、R
3はアミノメチル、1,2-ジアミノエチル、2-アミノエチル、1,3-ジアミノプロピル、3-アミノプロピル、1,4-ジアミノブチル、4-アミノブチル、1,5-ジアミノペンチル、5-アミノペンチル、(N,N-ジメチルアミノ)メチル、2-(N,N-ジメチルアミノ)エチル、3-(N,N-ジメチルアミノ)プロピル、1-ヒドロキシ-2-アミノエチル、1-アミノ-2-ヒドロキシエチル等がさらに好ましく、1,2-ジアミノエチル、2-アミノエチル、1,3-ジアミノプロピル、3-アミノプロピル、1,4-ジアミノブチル、4-アミノブチル、1,5-ジアミノペンチル、5-アミノペンチル等が最も好ましい。
【0036】
また、X
3は存在しないか、メチルであることがより好ましく、X
3は存在しないことがさらに好ましい。X
3が、メチルである場合には、R
3はメチルであることがより好ましい。
なお、X
3が存在せず、Y
1も存在せず、L
1が単結合で、R
3が水素原子であることも、本発明のより好ましい形態の1つである。この場合には、R
1およびR
2は、同一または異なってドデシル、テトラデシル、(Z)-ドデカ-7-エニル、(Z)-テトラデカ-7-エニル、(Z)-ヘキサデカ-4-エニル、(Z)-ヘキサデカ-7-エニル、(E)-ヘキサデカ-7-エニル、(Z)-ヘキサデカ-9-エニル、(7Z,10Z)-ヘキサデカ-7,10-ジエニル、(7Z,10Z,13Z)-ヘキサデカ-7,10,13-トリエニル、(Z)-オクタデカ-9-エニルまたは(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエニルであることが好ましく、同一または異なって(Z)-テトラデカ-7-エニル、(Z)-ヘキサデカ-7-エニルまたは(7Z,10Z)-ヘキサデカ-7,10-ジエニルであることがより好ましく、同一に(Z)-テトラデカ-7-エニルであることが最も好ましいうちの1つであり、また(Z)-ヘキサデカ-7-エニルであることが最も好ましいうちの1つであり、また(7Z,10Z)-ヘキサデカ-7,10-ジエニルであることが最も好ましい。
また、X
3が存在せず、Y
1も存在せず、L
1が単結合で、R
3がメチルであることも、本発明のより好ましい形態の1つである。この場合には、R
1およびR
2は、同一または異なってドデシル、テトラデシル、(Z)-ドデカ-7-エニル、(Z)-テトラデカ-7-エニル、(Z)-ヘキサデカ-4-エニル、(Z)-ヘキサデカ-7-エニル、(E)-ヘキサデカ-7-エニル、(Z)-ヘキサデカ-9-エニル、(7Z,10Z)-ヘキサデカ-7,10-ジエニル、(7Z,10Z,13Z)-ヘキサデカ-7,10,13-トリエニル、(Z)-オクタデカ-9-エニルまたは(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエニルであることが好ましく、同一または異なって(Z)-テトラデカ-7-エニル、(Z)-ヘキサデカ-7-エニル、(7Z,10Z)-ヘキサデカ-7,10-ジエニルまたは(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエニルであることがより好ましく、同一に(Z)-テトラデカ-7-エニルであることが最も好ましいうちの1つであり、また(Z)-ヘキサデカ-7-エニルであることが最も好ましいうちの1つであり、また(7Z,10Z)-ヘキサデカ-7,10-ジエニルであることが最も好ましいうちの1つであり、また(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエニルであることが最も好ましい。
【0037】
化合物(II)において、L
2およびL
3は、同一の-O-、-CO-O-または-O-CO-であることがより好ましい。
また、L
2およびL
3の少なくとも1つが、-O-である場合には、-O-に結合するR
4およびR
5は、同一もしくは異なってドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、イコシル、ドコシル、テトラコシル、(Z)-テトラデカ-9-エニル、(Z)-ヘキサデカ-9-エニル、(Z)-オクタデカ-6-エニル、(Z)-オクタデカ-9-エニル、(E)-オクタデカ-9-エニル、(Z)-オクタデカ-11-エニル、(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエニル、(9Z,12Z,15Z)-オクタデカ-9,12,15-トリエニル、(Z)-イコサ-11-エニル、(11Z,14Z)-イコサ-11,14-ジエニル、3,7,11-トリメチルドデカ-2,6,10-トリエニル、3,7,11,15-テトラメチルヘキサデカ-2-エニルであるか、またはR
4およびR
5が、一緒になってジアルキルメチレンもしくはジアルケニルメチレンを形成することがより好ましく、R
4およびR
5が、同一または異なってテトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、(Z)-ヘキサデカ-9-エニル、(Z)-オクタデカ-6-エニル、(Z)-オクタデカ-9-エニル、(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエニルであるか、またはR
4およびR
5が、一緒になってジ(テトラデシル)メチレン、ジ(ヘキサデシル)メチレン、ジ(オクタデシル)メチレン、ジ((Z)-ヘキサデカ-9-エニル)メチレン、ジ((Z)-オクタデカ-6-エニル)メチレン、ジ((Z)-オクタデカ-9-エニル)メチレン、ジ((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエニル)メチレンを形成することがさらに好ましく、R
4およびR
5が、同一または異なってテトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、(Z)-ヘキサデカ-9-エニル、(Z)-オクタデカ-6-エニル、(Z)-オクタデカ-9-エニル、(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエニルであることが最も好ましい。なお、いずれの場合も、R
4およびR
5は、同一であるか、またはR
4およびR
5が、一緒になってアルキル、アルケニルもしくはアルキニル部分が同一であるジアルキルメチレン、ジアルケニルメチレンもしくはジアルキニルメチレンを形成することがさらに好ましい。
【0038】
また、L
2およびL
3の少なくとも1つが、-O-CO-である場合には、-O-CO-に結合するR
4およびR
5は、同一または異なってドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、イコシル、ドコシル、テトラコシル、(Z)-テトラデカ-9-エニル、(Z)-ヘキサデカ-9-エニル、(Z)-オクタデカ-6-エニル、(Z)-オクタデカ-9-エニル、(E)-オクタデカ-9-エニル、(Z)-オクタデカ-11-エニル、(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエニル、(9Z,12Z,15Z)-オクタデカ-9,12,15-トリエニル、(Z)-イコサ-11-エニル、(11Z,14Z)-イコサ-11,14-ジエニル、3,7,11-トリメチルドデカ-2,6,10-トリエニル、3,7,11,15-テトラメチルヘキサデカ-2-エニルであることがより好ましく、同一または異なってテトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、(Z)-ヘキサデカ-9-エニル、(Z)-オクタデカ-6-エニル、(Z)-オクタデカ-9-エニル、(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエニルであることがさらに好ましい。なお、いずれの場合も、R
4およびR
5は、同一であることがさらに好ましい。
【0039】
また、L
2およびL
3の少なくとも1つが、-CO-O-である場合には、-CO-O-に結合するR
4およびR
5は、同一もしくは異なってトリデシル、ペンタデシル、ヘプタデシル、ノナデシル、ヘニコシル、トリコシル、(Z)-トリデカ-8-エニル、(Z)-ペンタデカ-8-エニル、(Z)-ヘプタデカ-5-エニル、(Z)-ヘプタデカ-8-エニル、(E)-ヘプタデカ-8-エニル、(Z)-ヘプタデカ-10-エニル、(8Z,11Z)-ヘプタデカ-8,11-ジエニル、(8Z,11Z,14Z)-オクタデカ-8,11,14-トリエニル、(Z)-ノナデカ-10-エニル、(10Z,13Z)-ノナデカ-10,13-ジエニル、(11Z,14Z)-イコサ-11,14-ジエニル、2,6,10-トリメチルウンデカ-1,5,9-トリエニル、2,6,10,14-テトラメチルペンタデカ-1-エニルであるか、またはR
4およびR
5が、一緒になってジアルキルメチレン、ジアルケニルメチレン、ジアルキニルメチレンもしくはアルキルアルケニルメチレンを形成することがより好ましく、R
4およびR
5が、同一または異なってトリデシル、ペンタデシル、ヘプタデシル、(Z)-ペンタデカ-8-エニル、(Z)-ヘプタデカ-5-エニル、(Z)-ヘプタデカ-8-エニル、(8Z,11Z)-ヘプタデカ-8,11-ジエニルであることがさらに好ましい。なお、いずれの場合も、R
4およびR
5は、同一であるか、またはR
4およびR
5が、一緒になってアルキル、アルケニルもしくはアルキニル部分が同一であるジアルキルメチレン、ジアルケニルメチレンもしくはジアルキニルメチレンを形成することがさらに好ましい。
【0040】
また、aおよびbは、同時に0または1であることがより好ましい。
なお、aおよびbが、同時に1である場合には、X
4およびX
5は、一緒になって単結合もしくはアルキレンを形成することがより好ましい。また、aおよびbが、同時に1であり、L
4が単結合の場合には、L
2およびL
3が、-CO-O-であることも本発明のより好ましい形態の一つである。
【0041】
また、X
4およびX
5は、一緒になって単結合またはアルキレンを形成することがより好ましい。なお、X
4およびX
5が、一緒になって単結合またはアルキレンを形成する場合には、R
6が水素原子、メチル、ピロリジン-3-イル、ピペリジン-3-イル、ピペリジン-4-イルまたは同一もしくは異なって1〜3つのアミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、トリアルキルアンモニオ、ヒドロキシ、アルコキシ、カルバモイル、モノアルキルカルバモイル、ジアルキルカルバモイル、ピロリジニル、ピペリジルもしくはモルホリニルで置換された炭素数1〜6のアルキルもしくは炭素数3〜6のアルケニルがより好ましく、水素原子、メチルまたは同一もしくは異なって1〜3つのアミノ、ヒドロキシもしくはカルバモイルで置換された炭素数1〜6のアルキルもしくは炭素数3〜6のアルケニルがさらに好ましく、水素原子、メチル、2,3-ジヒドロキシプロピル、3-ヒドロキシプロピル、アミノメチル、1,2-ジアミノエチル、2-アミノエチル、1,3-ジアミノプロピル、1,4-ジアミノブチル、1,5-ジアミノペンチル、3-アミノプロピル、4-アミノブチル、5-アミノペンチル、2-カルバモイルエチル等が最も好ましい。
また、X
4およびX
5が、一緒になって単結合を形成する場合に、L
4が-CO-または-CO-O-、好ましくは-CO-であることも、本発明のより好ましい形態の1つである。この場合には、R
6がアミノメチル、1,2-ジアミノエチル、2-アミノエチル、1,3-ジアミノプロピル、1,4-ジアミノブチル、1,5-ジアミノペンチル、3-アミノプロピル、4-アミノブチル、5-アミノペンチル等がさらに好ましく、1,2-ジアミノエチル、1,3-ジアミノプロピル、1,4-ジアミノブチル、1,5-ジアミノペンチルであることが最も好ましい。
また、X
4およびX
5が、一緒になって単結合を形成する場合に、aおよびbは、同一または異なって1〜3、好ましくは1であることも、本発明のより好ましい形態の1つである。この場合に、L
2およびL
3が、同一の-CO-O-または-O-CO-、好ましくは-CO-O-であり、R
6がメチルであることも、本発明のさらに好ましい形態の1つであり、その場合には、R
4およびR
5は、同一もしくは異なって(Z)-ヘプタデカ-8-エニルまたは(8Z,11Z)-ヘプタデカ-8,11-ジエニルであることがより好ましく、同一に(Z)-ヘプタデカ-8-エニルまたは(8Z,11Z)-ヘプタデカ-8,11-ジエニルであることが最も好ましい。
また、X
4およびX
5が、一緒になって単結合を形成する場合に、X
6が炭素数1〜6のアルキルまたは炭素数3〜6のアルケニル、好ましくはメチルであることも、本発明のより好ましい形態の1つである、この場合、L
2およびL
3は、同一の-CO-O-または-O-CO-であることがさらに好ましく、-CO-O-であることが最も好ましい。
【0042】
なお、X
4およびX
5が、水素原子である場合には、R
6が水素原子、メチル、ピロリジン-3-イル、ピペリジン-3-イル、ピペリジン-4-イルまたは同一もしくは異なって1〜3つのアミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、トリアルキルアンモニオ、ヒドロキシ、アルコキシ、カルバモイル、モノアルキルカルバモイル、ジアルキルカルバモイル、ピロリジニル、ピペリジルもしくはモルホリニルで置換された炭素数1〜6のアルキルもしくは炭素数3〜6のアルケニルがより好ましく、水素原子、メチルまたは同一もしくは異なって1〜3つのアミノ、ヒドロキシもしくはカルバモイルで置換された炭素数1〜6のアルキルもしくは炭素数3〜6のアルケニルがさらに好ましく、水素原子、メチル、2,3-ジヒドロキシプロピル、3-ヒドロキシプロピル、アミノメチル、1,2-ジアミノエチル、2-アミノエチル、1-アミノ-2-ヒドロキシエチル、1,3-ジアミノプロピル、1,4-ジアミノブチル、1,5-ジアミノペンチル、3-アミノプロピル、4-アミノブチル、5-アミノペンチル、2-カルバモイルエチル等が最も好ましい。
【0043】
また、L
4は単結合であることがより好ましい。なお、L
4が単結合の場合には、L
2およびL
3は、-O-であることがより好ましい。
また、L
4が単結合の場合には、R
6は水素原子、メチル、ピロリジン-3-イル、ピペリジン-3-イル、ピペリジン-4-イルまたは同一もしくは異なって1〜3つのアミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、トリアルキルアンモニオ、ヒドロキシ、アルコキシ、カルバモイル、モノアルキルカルバモイル、ジアルキルカルバモイル、ピロリジニル、ピペリジルもしくはモルホリニルで置換された炭素数1〜6のアルキルもしくは炭素数3〜6のアルケニルであることがより好ましく、水素原子、メチル、ヒドロキシメチル、2-ヒドロキシエチル、2,3-ジヒドロキシプロピル、2-ヒドロキシプロピル、3-ヒドロキシプロピル、2-ヒドロキシ-3-メトキシプロピル、アミノメチル、2-アミノエチル、3-アミノプロピル、4-アミノブチル、5-アミノペンチル、2-(N,N-ジメチルアミノ)エチル、3-(N,N-ジメチルアミノ)プロピル、2-カルバモイルエチル、2-ジメチルカルバモイルエチル、1-メチルピペリジン-4-イル等がさらに好ましく、水素原子、メチル、2,3-ジヒドロキシプロピル、3-ヒドロキシプロピル、2-アミノエチル、3-アミノプロピル、4-アミノブチル、5-アミノペンチル、2-カルバモイルエチル等が最も好ましく、いずれの場合も、L
2およびL
3は、-O-であることがより好ましい。
なお、X
6が存在せず、Y
2も存在せず、L
4が単結合で、R
6が水素原子の場合には、L
2およびL
3が、同一の-CO-O-または-O-CO-、好ましくは-CO-O-であることも、本発明のより好ましい形態の1つである。この場合には、R
4およびR
5は、同一もしくは異なって(Z)-ヘプタデカ-5-エニルまたは(Z)-ヘプタデカ-8-エニルであることがより好ましく、同一に(Z)-ヘプタデカ-5-エニルまたは(Z)-ヘプタデカ-8-エニルであることが最も好ましい。
【0044】
なお、L
4が-CO-または-CO-O-の場合には、L
2およびL
3は、同一の-CO-O-または-O-CO-であることがより好ましく、-CO-O-であることがさらに好ましい。
また、L
4が-CO-または-CO-O-の場合には、R
6はピロリジン-3-イル、ピペリジン-3-イル、ピペリジン-4-イルまたは同一もしくは異なって1〜3つのアミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、トリアルキルアンモニオ、ヒドロキシ、アルコキシ、カルバモイル、モノアルキルカルバモイル、ジアルキルカルバモイル、ピロリジニル、ピペリジルもしくはモルホリニルで置換された炭素数1〜6のアルキルもしくは炭素数3〜6のアルケニルであり、該置換基の少なくとも1つは、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、トリアルキルアンモニオ、ピロリジニル、ピペリジルもしくはモルホリニルであることがより好ましく、R
6はアミノメチル、1,2-ジアミノエチル、2-アミノエチル、1,3-ジアミノプロピル、3-アミノプロピル、1,4-ジアミノブチル、4-アミノブチル、1,5-ジアミノペンチル、5-アミノペンチル、(N,N-ジメチルアミノ)メチル、2-(N,N-ジメチルアミノ)エチル、3-(N,N-ジメチルアミノ)プロピル、1-アミノ-2-ヒドロキシエチル等がさらに好ましく、1,2-ジアミノエチル、2-アミノエチル、1,3-ジアミノプロピル、3-アミノプロピル、1,4-ジアミノブチル、4-アミノブチル、1,5-ジアミノペンチル、5-アミノペンチル等が最も好ましい。
L
4が-CO-または-CO-O-の場合に、R
6がアミノメチル、1-ヒドロキシ-2-アミノエチル、2-アミノエチル、1,3-ジアミノプロピル、3-アミノプロピル、1,4-ジアミノブチル、4-アミノブチル、1,5-ジアミノペンチル、5-アミノペンチルであり、L
2およびL
3は、同一の-O-であることも、本発明のさらに好ましい形態の1つである。この場合には、R
4およびR
5は、同一もしくは異なって(Z)-オクタデカ-9-エニルまたは(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエニルであることがより好ましく、同一に(Z)-オクタデカ-9-エニルまたは(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエニルであることが最も好ましい。
【0045】
また、X
6は存在しないか、メチルであることがより好ましい。X
6が、メチルである場合には、R
6はメチルであることがより好ましく、L
2およびL
3は、同一の-CO-O-または-O-CO-であることがより好ましく、-CO-O-であることがさらに好ましい。
【0047】
【化5】
(式中、R
7およびR
8は、R
4およびR
5のうちの、同一または異なって炭素数12〜24の直鎖状または分枝状のアルキル、アルケニルまたはアルキニルであり、
L
5およびL
6は、-CO-O-または-O-CO-、好ましくは-CO-O-であり、
aおよびbは、それぞれ前記と同義であり、好ましくは1であり、
R
9はR
6のうちの、水素原子、炭素数1〜6のアルキルまたは炭素数3〜6のアルケニルである)で表される化合物(ii)が、より好ましい化合物(II)の1つとしてあげられる。
【0048】
次に化合物(I)の製造法について説明する。なお、以下に示す製造法において、定義した基が該製造法の条件下で変化するかまたは該製造法を実施するのに不適切な場合、有機合成化学で常用される保護基の導入および除去方法(例えば、グリーン(T.W.Greene)著、"プロテクティブ・グループス・イン・オーガニック・シンセシス(Protective Groups in Organic Synthesis)"、(米国)、第3版、ジョン・ウィリーアンドソンズ・インク(John Wiley&Sons Inc.)、1999年等に記載の方法)等を用いることにより、目的化合物を製造することができる。また、必要に応じて置換基導入などの反応工程の順序を変えることもできる。
【0049】
製造法1
化合物(I)のうち、X
1およびX
2が水素原子であり、L
1は単結合であり、X
3およびY
1は存在しない、化合物(Ia)は以下の方法によって製造することができる。
【0050】
【化6】
(式中、R
1、R
2およびR
3は、それぞれ前記と同義であり、Zは、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、トリフルオロメタンスルホニルオキシ、メタンスルホニルオキシ、ベンゼンスルホニルオキシ、p-トルエンスルホニルオキシ等の脱離基を表す)
【0051】
工程1および2
化合物(IIIb)は、化合物(IIIa)と化合物(IVa)を、無溶媒でまたは溶媒中、必要により好ましくは1〜10当量の塩基の存在下、室温と200℃の間の温度で、5分間〜100時間処理することにより製造することができる。さらに、化合物(Ia)は、化合物(IIIb)と化合物(IVb)を、無溶媒でまたは溶媒中、必要により好ましくは1〜10当量の塩基の存在下、室温と200℃の間の温度で、5分間〜100時間処理し、単離することにより製造することができる。
溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2-ジクロロエタン、トルエン、酢酸エチル、アセトニトリル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,2-ジメトキシエタン、ジオキサン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、ピリジン、水等があげられ、これらは単独でまたは混合して用いられる。
塩基としては、例えば炭酸カリウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、ナトリウムメトキシド、カリウム tert-ブトキシド、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N-メチルモルホリン、ピリジン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン(DBU)等があげられる。
化合物(IIIa)は、市販品または公知の方法(例えば、「実験化学講座14 有機化合物の合成II」、第5版、丸善、2005年、p.351)もしくはそれに準じた方法で得ることができる。
化合物(IVa)および化合物(IVb)は、市販品または公知の方法(例えば、「実験化学講座13 有機化合物の合成I」、第5版、丸善、2005年、p.374)もしくはそれに準じた方法で得ることができる。
R
1とR
2が同一の場合の化合物(Ia)は、工程1において、2当量以上の化合物(IVa)を用いることで得ることができる。
【0052】
製造法2
化合物(I)のうち、X
1およびX
2が、一緒になって単結合もしくはアルキレンを形成し、L
1は単結合であり、X
3およびY
1は存在しない、化合物(Ib)は以下の方法によって製造することができる。
【0053】
【化7】
(式中、R
1、R
2、R
3およびZは、それぞれ前記と同義であり、X
4は単結合もしくはアルキレンを表す)
【0054】
工程3および4
化合物(Vb)は、化合物(Va)と化合物(VIa)を溶媒中、1〜10当量の塩基の存在下、-100℃と100℃の間の温度で、5分間〜100時間処理することにより製造することができる。さらに、化合物(Vc)は、化合物(Vb)と化合物(VIb)を、無溶媒でまたは溶媒中、必要により好ましくは1〜10当量の塩基の存在下、-100℃と100℃の間の温度で、5分間〜100時間処理し、単離することにより製造することができる。
溶媒としては、製造法1と同じものがあげられる。
塩基としては、例えば水素化ナトリウム、水素化カリウム、カリウムtert-ブトキシド、ナトリウムtert-ブトキシド、リチウムジイソプロピルアミド(LDA)、リチウムヘキサメチルジシラジド(LHMDS)などがあげられる。
化合物(Va)は、市販品または公知の方法(例えば、「実験化学講座16 有機化合物の合成IV」、第5版、丸善、2005年、p.146)もしくはそれに準じた方法で得ることができる。
化合物(VIa)および化合物(VIb)は、市販品または公知の方法(例えば、「実験化学講座13 有機化合物の合成I」、第5版、丸善、2005年、p.374)もしくはそれに準じた方法で得ることができる。
R
1とR
2が同一の場合の化合物(Vc)は、工程3において、2当量以上の化合物(VIa)を用いることで得ることができる。
【0055】
工程5
化合物(Ib)は、化合物(Vc)を溶媒中、1当量〜大過剰量の還元剤および必要により好ましくは0.1〜10当量の金属化合物の存在下、-100℃と100℃の間の温度で、5分間〜100時間処理することにより製造することができる。
還元剤としては、例えば水素化リチウムアルミニウム、水素化ホウ素ナトリウム、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム、シアン化水素化ホウ素ナトリウム等があげられる。
金属化合物としては、例えば塩化コバルト、塩化鉄、塩化アルミニウム等があげられる。
【0056】
製造法3
化合物(I)のうち、L
1は単結合であり、R
3は-CHR
AR
B(R
AおよびR
Bは、同一または異なって水素原子、炭素数1〜5のアルキル、炭素数2〜5のアルケニル、ピロリジン-2-イル、ピロリジン-3-イル、ピペリジン-2-イル、ピペリジン-3-イル、ピペリジン-4-イル、モルホリン-2-イル、モルホリン-3-イルまたは同一もしくは異なって1〜3つのアミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、トリアルキルアンモニオ、ヒドロキシ、アルコキシ、カルバモイル、モノアルキルカルバモイル、ジアルキルカルバモイル、ピロリジニル、ピペリジルもしくはモルホリニルで置換された炭素数1〜5のアルキルもしくは炭素数2〜5のアルケニルであるか、または隣接する炭素原子と一緒になってピロリジン-3-イル、ピペリジン-3-イルもしくはピペリジン-4-イルを形成し、R
AおよびR
Bが、ともに水素原子である場合を除き、R
AおよびR
Bのアルキル、置換されたアルキルのアルキル部分、アルケニルおよび置換されたアルケニルのアルケニル部分の炭素数の総和は1〜5であり、R
AおよびR
Bのいずれかが、ピロリジン-2-イル、ピロリジン-3-イル、ピペリジン-2-イル、ピペリジン-3-イル、ピペリジン-4-イル、モルホリン-2-イルまたはモルホリン-3-イルである場合には、該R
AおよびR
Bのもう一方は、水素原子、炭素数1〜5のアルキル、炭素数2〜5のアルケニル、ピロリジン-2-イル、ピロリジン-3-イル、ピペリジン-2-イル、ピペリジン-3-イル、ピペリジン-4-イル、モルホリン-2-イル、モルホリン-3-イルまたは同一もしくは異なって1つもしくは2つのアミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、トリアルキルアンモニオ、ヒドロキシ、アルコキシ、カルバモイル、モノアルキルカルバモイル、ジアルキルカルバモイル、ピロリジニル、ピペリジルもしくはモルホリニルで置換された炭素数1〜5のアルキルもしくは炭素数3〜5のアルケニルであり、R
AおよびR
Bが、置換されたアルキルまたはアルケニルである場合には、該置換基の総数は2または3である)であり、X
3およびY
1が存在しない、化合物(Ic)は以下の方法によって製造することができる。
【0057】
【化8】
(式中、R
1、R
2、R
A、R
B、X
1およびX
2は、それぞれ前記と同義である)
【0058】
工程6
化合物(Ic)は、化合物(Ia)および化合物(Ib)のうちのR
3が水素原子である化合物(Id)を、好ましくは1〜10当量の化合物(VII)と、溶媒中、好ましくは1当量〜大過剰量の還元剤および必要により好ましくは1〜10当量の酸の存在下、-20℃と150℃の間の温度で、5分間〜72時間反応させることにより製造することができる。
溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2-ジクロロエタン、トルエン、酢酸エチル、アセトニトリル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,2-ジメトキシエタン、ジオキサン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、水等があげられ、これらは単独でまたは混合して用いられる。
還元剤としては、例えばトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム、シアン化水素化ホウ素ナトリウム等があげられる。
酸としては、例えば塩酸、酢酸等があげられる。
【0059】
化合物(VII)は、市販品または公知の方法(例えば、「実験化学講座15 有機化合物の合成III」、第5版、丸善、2005年、p.1、「実験化学講座15 有機化合物の合成III」、第5版、丸善、2005年、p.153)もしくはそれに準じて得ることができる。
【0060】
製造法4
化合物(I)のうち、L
1が-CO-で、X
3およびY
1が存在しない、化合物(Ie)は以下の方法によって製造することができる。
【0061】
【化9】
(式中、R
1、R
2、R
3、X
1およびX
2は、それぞれ前記と同義である)
【0062】
工程7
化合物(Ie)は、化合物(Id)と化合物(VIII)とを溶媒中で、-20℃と150℃の間の温度で、1当量〜大過剰量の縮合剤で5分間から100時間処理することにより製造することができる。このとき、必要により好ましくは0.01〜10当量の添加剤の存在下、および/または必要により好ましくは1当量〜大過剰量の塩基を加え、反応を促進させることもできる。
溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2-ジクロロエタン、トルエン、酢酸エチル、アセトニトリル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,2-ジメトキシエタン、ジオキサン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、水等があげられ、これらは単独でまたは混合して用いられる。
縮合剤としては、例えば1,3-ジシクロヘキシルカルボジイミド、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド・塩酸塩、カルボニルジイミダゾール、ベンゾトリアゾール-1-イルオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルホロホスファート、(ベンゾトリアゾール-1-イルオキシ)トリピロリジノホスホニウム ヘキサフルオロホスファート、O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウム ヘキサフルオロホスファート、O-(ベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウム ヘキサフルオロホスファート、ヨウ化 2-クロロ-1-メチルピリジニウム等があげられる。
添加剤としては、例えば1-ヒドロキシベンゾトリアゾール、4-ジメチルアミノピリジン等があげられる。
塩基としては、例えば酢酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、ナトリウムメトキシド、カリウム tert-ブトキシド、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N-メチルモルホリン、ピリジン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン等があげられる。
【0063】
化合物(VIII)は、市販品または公知の方法(例えば、「実験化学講座16 有機化合物の合成IV」、第5版、丸善、2005年、p.1)もしくはそれに準じて得ることができる。
【0064】
製造法5
化合物(I)のうち、L
1が-CO-O-で、X
3およびY
1が存在しない、化合物(If)は以下の方法によって製造することができる。
【0065】
【化10】
(式中、R
1、R
2、R
3、X
1およびX
2は、それぞれ前記と同義である)
【0066】
工程8
化合物(If)は、化合物(Id)を、化合物(IX)と、無溶媒でまたは溶媒中、必要により好ましくは1〜10当量の添加剤の存在下、および/または必要により好ましくは1〜10当量の塩基の存在下、-20℃と150℃の間の温度で、5分間〜72時間反応させることにより製造することができる。
溶媒および添加剤としては、製造法4と同じものがあげられる。
塩基としては、例えばトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N-メチルモルホリン、ピリジン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン等があげられる。
【0067】
化合物(IX)は、市販品または公知の方法(例えば、"ジャーナル・オブ・アメリカン・ケミカル・ソサイアティー(J. Am. Chem. Soc.)"、(米国)、1981年、103巻、p.4194-4199)もしくはそれに準じた方法で得ることができる。
【0068】
製造法6
化合物(I)のうち、L
1は単結合であり、R
3は-CH
2-C(OH)R
CR
D(R
CおよびR
Dは、同一または異なって水素原子、炭素数1〜4のアルキル、炭素数2〜4のアルケニル、ピロリジン-2-イル、ピロリジン-3-イル、ピペリジン-2-イル、ピペリジン-3-イル、ピペリジン-4-イル、モルホリン-2-イル、モルホリン-3-イルまたは同一もしくは異なって1つもしくは2つのアミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、トリアルキルアンモニオ、ヒドロキシ、アルコキシ、カルバモイル、モノアルキルカルバモイル、ジアルキルカルバモイル、ピロリジニル、ピペリジルもしくはモルホリニルで置換された炭素数1〜4のアルキルもしくは炭素数2〜4のアルケニルであり、R
CおよびR
Dが、ともに水素原子である場合を除き、R
CおよびR
Dのアルキル、置換されたアルキルのアルキル部分、アルケニルおよび置換されたアルケニルのアルケニル部分の炭素数の総和は1〜4であり、R
CおよびR
Dのいずれかが、ピロリジン-2-イル、ピロリジン-3-イル、ピペリジン-2-イル、ピペリジン-3-イル、ピペリジン-4-イル、モルホリン-2-イルまたはモルホリン-3-イルである場合には、該R
CおよびR
Dのもう一方は水素原子、炭素数1〜4のアルキル、炭素数2〜4のアルケニル、ピロリジン-2-イル、ピロリジン-3-イル、ピペリジン-2-イル、ピペリジン-3-イル、ピペリジン-4-イル、モルホリン-2-イル、モルホリン-3-イルまたは1つのアミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、トリアルキルアンモニオ、ヒドロキシ、アルコキシ、カルバモイル、モノアルキルカルバモイル、ジアルキルカルバモイル、ピロリジニル、ピペリジルもしくはモルホリニルで置換された炭素数1〜4のアルキルもしくは炭素数2〜4のアルケニルであり、R
CおよびR
Dが、置換されたアルキルまたはアルケニルである場合には、該置換基の総数は2である)であり、X
3およびY
1が存在しない、化合物(Ig)は以下の方法によって製造することができる。
【0069】
【化11】
(式中、R
1、R
2、R
C、R
D、X
1およびX
2は、それぞれ前記と同義である)
【0070】
工程9
化合物(Ig)は、化合物(Id)と化合物(X)を溶媒中または無溶媒で、0℃と230℃の間の温度で、5分間から100時間処理することにより製造することができる。
溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、1-プロパノール、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2-ジクロロエタン、トルエン、酢酸エチル、アセトニトリル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,2-ジメトキシエタン、ジオキサン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド等があげられ、これらは単独でまたは混合して用いられる。
【0071】
化合物(X)は、市販品または公知の方法(例えば、「実験化学講座17 有機化合物の合成V」、第5版、丸善、2005年、p.186)もしくはそれに準じて得ることができる。
【0072】
製造法7
化合物(I)のうち、L
1が単結合であり、X
3が炭素数1〜6のアルキルまたは炭素数3〜6のアルケニルであり、Y
1が製薬上許容し得る陰イオンである化合物(Ih)は以下の方法によって製造することができる。
【0073】
【化12】
(式中、R
1、R
2、R
3、X
1、X
2、X
3、Y
1およびZは、それぞれ前記と同義である)
【0074】
工程10および11
化合物(Ii)は、化合物(Ia)または化合物(Ib)である。
化合物(Ih-A)は、化合物(Ii)と化合物(XI)を溶媒中または無溶媒で、0℃と230℃の間の温度で、5分間から100時間処理することにより製造することができる。化合物(Ih)は、化合物(Ih-A)をY型の陰イオン交換樹脂で処理することにより製造することができる。
溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2-ジクロロエタン、トルエン、酢酸エチル、アセトニトリル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,2-ジメトキシエタン、ジオキサン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、ピリジン等があげられ、これらは単独でまたは混合して用いられる。
【0075】
化合物(XI)は、市販品または公知の方法(例えば、実験化学講座13 有機化合物の合成I」、第5版、丸善、2005年、p.374)もしくはそれに準じて得ることができる。
また、ZとY
1が同一の場合には、工程11を省略することにより(Ih)を製造することができる。
【0076】
化合物(I)におけるR
1、R
2またはR
3に含まれる官能基の変換は、公知の方法(例えば、R.C.ラロック(Larock)著、"コンプリヘンシブ・オーガニック・トランスフォーメーションズ(Comprehensive Organic Transformations)"、(米国)、第2版、ベック・ベルラグスゲセルシャフト・エンベハー(Vch Verlagsgesellschaft Mbh)、1999年等に記載の方法)でまたはそれらに準じて行うこともできる。
上記各製造法における中間体および目的化合物は、有機合成化学で常用される分離精製法、例えば、ろ過、抽出、洗浄、乾燥、濃縮、再結晶、各種クロマトグラフィー等に付して単離精製することができる。また、中間体においては特に精製することなく次の反応に供することも可能である。
【0077】
化合物(I)において、構造中の窒素原子上の孤立電子対に水素イオンが配位してもよく、該窒素原子は、製薬上許容し得る陰イオン(前記と同義)と塩を形成していてもよく、化合物(I)には、該窒素原子上に孤立電子対に水素イオンが配位した化合物も包含する。なお、本発明において、X
3が存在しない場合とは、水素イオンが配位している場合も包含する。
化合物(I)の中には、幾何異性体、光学異性体等の立体異性体、互変異性体等が存在し得るものもあるが、化合物(I)は、これらを含め、全ての可能な異性体およびそれらの混合物を包含する。
化合物(I)中の各原子の一部またはすべては、それぞれ対応する同位体原子で置き換わっていてもよく、化合物(I)は、これら同位体原子で置き換わった化合物も包含する。例えば、化合物(I)中の水素原子の一部またはすべては、原子量2の水素原子(重水素原子)であってもよい。
化合物(I)中の各原子の一部またはすべてが、それぞれ対応する同位体原子で置き換わった化合物は、市販のビルディングブロックを用いて、上記各製造法と同様な方法で製造することができる。また、化合物(I)中の水素原子の一部またはすべてが重水素原子で置き換わった化合物は、例えば、1)過酸化重水素を用い、塩基性条件下にカルボン酸などを重水素化する方法(米国特許第3849458号明細書参照)、2)イリジウム錯体を触媒として用い、重水を重水素源として用いてアルコール、カルボン酸などを重水素化する方法("ジャーナル・オブ・アメリカン・ケミカル・ソサイアティ(J. Am. Chem. Soc.)"、(米国)、 2002年、124巻、10号、p.2092参照)、3)パラジウムカーボンを触媒として用い、重水素源として重水素ガスのみを用いて脂肪酸を重水素化する方法("リピッズ(LIPIDS)、(米国)、1974年、9巻、11号、p.913参照)、4)白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、イリジウムなどの金属を触媒として用い、重水または重水および重水素ガスを重水素源として用いて、アクリル酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸、メタクリル酸メチルなどを重水素化する方法(特公平5-19536号公報、特開昭61-277648号公報および特開昭61-275241号公報参照)、5)パラジウム、ニッケル、銅または亜クロム酸銅などの触媒を用い、重水を重水素源として用いて、アクリル酸、メタクリル酸メチルなどを重水素化する方法(特開昭63-198638号公報参照)などを用いて合成することもできる。
【0078】
化合物(II)は、国際公開第2011/136368号に記載の製造方法と同様の方法で得ることができる。
なお、化合物(II)において、定義した基が該製造法の条件下で変化するかまたは該製造法を実施するのに不適切な場合、有機合成化学で常用される保護基の導入および除去方法(例えば、グリーン(T.W.Greene)著、"プロテクティブ・グループス・イン・オーガニック・シンセシス(Protective Groups in Organic Synthesis)"、(米国)、第3版、ジョン・ウィリーアンドソンズ・インク(John Wiley&Sons Inc.)、1999年等に記載の方法)等を用いることにより、目的化合物を製造することができる。また、必要に応じて置換基導入などの反応工程の順序を変えることもできる。
【0079】
化合物(I)の具体例を表1に示し、化合物(II)の具体例を表2〜12に示す。ただし、本発明における化合物(I)および化合物(II)は、これらに限定されるものではない。
【0092】
また、本発明で用いられる核酸としては、ヌクレオチドおよび/または該ヌクレオチドと同等の機能を有する分子が重合した分子であれば、いかなる分子であってもよく、例えばリボヌクレオチドの重合体であるRNA、デオキシリボヌクレオチドの重合体であるDNA、RNAとDNAとからなるキメラ核酸、およびこれらの核酸の少なくとも一つのヌクレオチドが該ヌクレオチドと同等の機能を有する分子で置換されたヌクレオチド重合体があげられる。また、ヌクレオチドおよび/または該ヌクレオチドと同等の機能を有する分子が重合した分子を少なくとも一つ含む誘導体も、本発明の核酸に含まれる。さらにペプチド核酸(PNA)("アカントス・オブ・ケミカル・リサーチ(Acc. Chem. Res.)"、(米国)、1999年、32巻、p.624)、オキシペプチド核酸(OPNA)("ジャーナル・オブ・アメリカン・ケミカル・ソサイアティ(J. Am. Chem. Soc.)"、(米国)、2001年、123巻、 p.4653)、ペプチドリボ核酸(PRNA)("ジャーナル・オブ・アメリカン・ケミカル・ソサイアティ(J. Am. Chem. Soc.)、(米国)、2000年、122巻、p.6900)等もあげられる。なお、本発明において、RNA中のウリジンUと、DNAにおいてはチミンTとは、それぞれ読み替えることができる。
【0093】
ヌクレオチドと同等の機能を有する分子としては、例えばヌクレオチド誘導体等があげられる。
ヌクレオチド誘導体としては、ヌクレオチドに修飾を施した分子であればいかなる分子であってもよいが、例えばRNAまたはDNAと比較して、ヌクレアーゼ耐性を向上させるかもしくはその他の分解因子から安定化させるため、相補鎖核酸とのアフィニティーをあげるため、細胞透過性をあげるため、または可視化させるために、リボヌクレオチドまたはデオキシリボヌクレオチドに修飾を施した分子等が好適に用いられる。
ヌクレオチド誘導体としては、例えば糖部修飾ヌクレオチド、リン酸ジエステル結合修飾ヌクレオチド、塩基修飾ヌクレオチド等があげられる。
糖部修飾ヌクレオチドとしては、ヌクレオチドの糖の化学構造の一部あるいは全てに対し、任意の置換基で修飾もしくは置換したもの、または任意の原子で置換したものであればいかなるものでもよいが、2’-修飾ヌクレオチドが好ましく用いられる。
【0094】
糖部修飾ヌクレオチドの修飾基としては、例えば、2’-シアノ、2’-アルキル、2’-置換アルキル、2’-アルケニル、2’-置換アルケニル、2’-ハロゲン、2’-O-シアノ、2’-O-アルキル、2’-O-置換アルキル、2’-O-アルケニル、2’-O-置換アルケニル、2’-S-アルキル、2’-S-置換アルキル、2’-S-アルケニル、2’-S-置換アルケニル、2’-アミノ、2’-NH-アルキル、2’-NH-置換アルキル、2’-NH-アルケニル、2’-NH-置換アルケニル、2’-SO-アルキル、2’-SO-置換アルキル、2’-カルボキシ、2’-CO-アルキル、2’-CO-置換アルキル、2’-Se-アルキル、2’-Se-置換アルキル、2’-SiH
2-アルキル、2’-SiH
2-置換アルキル、2’-ONO
2、2’-NO
2、2’-N
3、2’-アミノ酸残基(アミノ酸のカルボン酸から水酸基が除去されたもの)、2’-O-アミノ酸残基(前記アミノ酸残基と同義)等があげられる。また、2’位の修飾基が4’位の炭素原子に架橋した構造を有する架橋構造型人工核酸(Bridged Nucleic Acid)(BNA)、より具体的には、2’位の酸素原子と4’位の炭素原子がメチレンを介して架橋したロックト人工核酸(Locked Nucleic Acid)(LNA)、およびエチレン架橋構造型人工核酸(Ethylene bridged nucleic acid)(ENA)("ヌクレイック・アシッド・リサーチ(Nucleic Acids Research)"、(英国)、2004年、32巻、p.e175)等も本発明における2’位において修飾基で置換されたリボースに含まれる。
糖部修飾ヌクレオチドの修飾基として、2’-シアノ、2’-ハロゲン、2’-O-シアノ、2’-アルキル、2’-置換アルキル、2’-O-アルキル、2’-O-置換アルキル、2’-O-アルケニル、2’-O-置換アルケニル、2’-Se-アルキル、2’-Se-置換アルキルが好ましく、2’-シアノ、2’-フルオロ、2’-クロロ、2’-ブロモ、2’-トリフルオロメチル、2’-O-メチル、2’-O-エチル、2’-O-イソプロピル、2’-O-トリフルオロメチル、2'-O-[2-(メトキシ)エチル]、2'-O-(3-アミノプロピル)、2'-O-[2-(N,N-ジメチル)アミノオキシ]エチル、2'-O-[3-(N,N-ジメチルアミノ)プロピル]、2'-O-{2-[2-(N,N-ジメチルアミノ)エトキシ]エチル}、2'-O-[2-(メチルアミノ)-2-オキソエチル]、2’-Se-メチル等がより好ましく、2’-O-メチル、2’-O-エチル、2’-フルオロ等がさらに好ましく、2’-O-メチル、2’-O-エチルがもっとも好ましい。
また、糖部修飾ヌクレオチドの修飾基は、その大きさから好ましい範囲を定義することもでき、フルオロの大きさから-O-ブチルの大きさに相当するものが好ましく、-O-メチルの大きさから-O-エチルの大きさに相当する大きさのものがより好ましい。
【0095】
糖部修飾ヌクレオチドの修飾基におけるアルキルは、化合物(I)における炭素数1〜6のアルキルと同義である。
糖部修飾ヌクレオチドの修飾基におけるアルケニルは、化合物(I)における炭素数3〜6のアルケニルと同義である。
糖部修飾ヌクレオチドの修飾基におけるハロゲンとしては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子があげられる。
アミノ酸残基におけるアミノ酸としては、例えば脂肪族アミノ酸(具体的には、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン等)、ヒドロキシアミノ酸(具体的には、セリン、トレオニン等)、酸性アミノ酸(具体的には、アスパラギン酸、グルタミン酸等)、酸性アミノ酸アミド(具体的には、アスパラギン、グルタミン等)、塩基性アミノ酸(具体的には、リジン、ヒドロキシリジン、アルギニン、オルニチン等)、含硫アミノ酸(具体的には、システイン、シスチン、メチオニン等)、イミノ酸(具体的には、プロリン、4-ヒドロキシプロリン等)等があげられる。
糖部修飾ヌクレオチドの修飾基における置換アルキルおよび置換アルケニルの置換基としては、例えば、ハロゲン(前記と同義)、ヒドロキシ、スルファニル、アミノ、オキソ、-O-アルキル(該-O-アルキルのアルキル部分は前記アルキルと同義)、-S-アルキル(該-S-アルキルのアルキル部分は前記アルキルと同義)、-NH-アルキル(該-NH-アルキルのアルキル部分は前記アルキルと同義)、ジアルキルアミノオキシ(該ジアルキルアミノオキシの2つのアルキルは同一または異なって前記アルキルと同義)、ジアルキルアミノ(該ジアルキルアミノの2つのアルキルは同一または異なって前記アルキルと同義)、ジアルキルアミノアルキレンオキシ(該ジアルキルアミノアルキレンオキシの2つのアルキルは同一または異なって前記アルキルと同義であり、アルキレン部分は前記アルキルから水素原子が1つ除かれたものを意味する)等があげられ、置換数は好ましくは1〜3である。
【0096】
リン酸ジエステル結合修飾ヌクレオチドとしては、ヌクレオチドのリン酸ジエステル結合の化学構造の一部あるいは全てに対し、任意の置換基で修飾もしくは置換したもの、または任意の原子で置換したものであればいかなるものでもよく、例えば、リン酸ジエステル結合がホスホロチオエート結合に置換されたヌクレオチド、リン酸ジエステル結合がホスホロジチオエート結合に置換されたヌクレオチド、リン酸ジエステル結合がアルキルホスホネート結合に置換されたヌクレオチド、リン酸ジエステル結合がホスホロアミデート結合に置換されたヌクレオチド等があげられる。
塩基修飾ヌクレオチドとしては、ヌクレオチドの塩基の化学構造の一部あるいは全てに対し、任意の置換基で修飾もしくは置換したもの、または任意の原子で置換したものであればいかなるものでもよく、例えば、塩基内の酸素原子が硫黄原子で置換されたもの、水素原子が炭素数1〜6のアルキル基で置換されたもの、メチル基が水素原子もしくは炭素数2〜6のアルキル基で置換されたもの、アミノ基が炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルカノイル基等の保護基で保護されたものがあげられる。
さらに、ヌクレオチド誘導体として、ヌクレオチドまたは糖部、リン酸ジエステル結合もしくは塩基の少なくとも一つが修飾されたヌクレオチド誘導体に脂質、リン脂質、フェナジン、フォレート、フェナントリジン、アントラキノン、アクリジン、フルオレセイン、ローダミン、クマリン、色素など、別の化学物質を付加したものもあげられ、具体的には、5’-ポリアミン付加ヌクレオチド誘導体、コレステロール付加ヌクレオチド誘導体、ステロイド付加ヌクレオチド誘導体、胆汁酸付加ヌクレオチド誘導体、ビタミン付加ヌクレオチド誘導体、Cy5付加ヌクレオチド誘導体、Cy3付加ヌクレオチド誘導体、6-FAM付加ヌクレオチド誘導体、およびビオチン付加ヌクレオチド誘導体等があげられる。
また、ヌクレオチド誘導体は、核酸内の他のヌクレオチドまたはヌクレオチド誘導体とアルキレン構造、ペプチド構造、ヌクレオチド構造、エーテル構造、エステル構造、およびこれらの少なくとも一つを組み合わせた構造等の架橋構造を形成してもよい。
【0097】
本発明で用いられる核酸としては、好ましくは標的遺伝子の発現を抑制する核酸があげられ、より好ましくはRNA干渉(RNAi)を利用した標的遺伝子の発現抑制作用を有する核酸があげられる。
【0098】
本発明で用いられる標的遺伝子としては、mRNAを産生して発現する遺伝子であれば特に限定されないが、例えば、腫瘍または炎症に関連する遺伝子が好ましく、例えば血管内皮増殖因子(vascular endothelial growth factor、以下VEGFと略す)、血管内皮増殖因子受容体(vascular endothelial growth factor receptor、以下VEGFRと略す)、線維芽細胞増殖因子、線維芽細胞増殖因子受容体、血小板由来増殖因子、血小板由来増殖因子受容体、肝細胞増殖因子、肝細胞増殖因子受容体、クルッペル様因子(Kruppel-like factor、以下KLFと略す)、Ets転写因子、核因子、低酸素誘導因子、細胞周期関連因子、染色体複製関連因子、染色体修復関連因子、微小管関連因子、増殖シグナル経路関連因子、増殖関連転写因子、アポトーシス関連因子等のタンパク質をコードする遺伝子等があげられ、具体的にはVEGF遺伝子、VEGFR遺伝子、線維芽細胞増殖因子遺伝子、線維芽細胞増殖因子受容体遺伝子、血小板由来増殖因子遺伝子、血小板由来増殖因子受容体遺伝子、肝細胞増殖因子遺伝子、肝細胞増殖因子受容体遺伝子、KLF遺伝子、Ets転写因子遺伝子、核因子遺伝子、低酸素誘導因子遺伝子、細胞周期関連因子遺伝子、染色体複製関連因子遺伝子、染色体修復関連因子遺伝子、微小管関連因子遺伝子(例えば、CKAP5遺伝子等)、増殖シグナル経路関連因子遺伝子(例えば、KRAS遺伝子等)、増殖関連転写因子遺伝子、アポトーシス関連因子(例えば、BCL-2遺伝子等)等が挙げられる。
【0099】
また、本発明で用いられる標的遺伝子としては、例えば、肝臓、肺、腎臓または脾臓において発現する遺伝子が好ましく、例えば前記の腫瘍または炎症に関連する遺伝子、B型肝炎ウイルスゲノム、C型肝炎ウイルスゲノム、アポリポタンパク質(APO)、ヒドロキシメチルグルタリル(HMG)CoA還元酵素、ケキシン 9 型セリンプロテアーゼ(PCSK9)、第12因子、グルカゴン受容体、グルココルチコイド受容体、ロイコトリエン受容体、トロンボキサンA2受容体、ヒスタミンH1受容体、炭酸脱水酵素、アンギオテンシン変換酵素、レニン、p53、チロシンホスファターゼ(PTP)、ナトリウム依存性グルコース輸送担体、腫瘍壊死因子、インターロイキン等のタンパク質をコードする遺伝子等があげられる。
【0100】
標的遺伝子の発現を抑制する核酸としては、例えば蛋白質等をコードする遺伝子(標的遺伝子)のmRNAの一部の塩基配列に対して相補的な塩基配列を含み、かつ標的遺伝子の発現を抑制する核酸であれば、例えばsiRNA(short interference RNA)、miRNA(micro RNA)等の二本鎖核酸、shRNA(short hairpin RNA)、アンチセンス核酸、リボザイム等の一本鎖核酸等、いずれの核酸を用いてもよいが、二本鎖核酸が好ましい。
標的遺伝子のmRNAの一部の塩基配列に対して相補的な塩基配列を含む核酸をアンチセンス鎖核酸といい、アンチセンス鎖核酸の塩基配列に対して相補的な塩基配列を含む核酸をセンス鎖核酸ともいう。センス鎖核酸は、標的遺伝子の一部の塩基配列からなる核酸そのもの等、アンチセンス鎖核酸と対合して二重鎖形成部ができる核酸をいう。
二本鎖核酸とは、二本の鎖が対合し二重鎖形成部を有する核酸をいう。二重鎖形成部とは、二本鎖核酸を構成するヌクレオチドまたはその誘導体が塩基対を構成して二重鎖を形成している部分をいう。二重鎖形成部を構成する塩基対は、通常15〜27塩基対であり、15〜25塩基対が好ましく、15〜23塩基対がより好ましく、15〜21塩基対がさらに好ましく、15〜19塩基対が特に好ましい。
【0101】
二重鎖形成部のアンチセンス鎖核酸としては、標的遺伝子のmRNAの一部配列からなる核酸、または該核酸において1〜3塩基、好ましくは1〜2塩基、より好ましくは1塩基が置換、欠失もしくは付加され、かつ標的蛋白質の発現抑制活性を有する核酸が好適に用いられる。二本鎖核酸を構成する一本鎖の核酸長は、通常15〜30塩基からなるが、15〜29塩基が好ましく、15〜27塩基がより好ましく、15〜25塩基がさらに好ましく、17〜23塩基が特に好ましく、19〜21塩基が最も好ましい。
二本鎖核酸を構成するアンチセンス鎖、センス鎖のいずれか一方、または両方の核酸は、二重鎖形成部に続く3’側または5’側に二重鎖を形成しない追加の核酸を有してもよい。この二重鎖を形成しない部分を突出部(オーバーハング)ともいう。
突出部を有する二本鎖核酸としては、少なくとも一方の鎖の3’末端または5’末端に1〜4塩基、通常は1〜3塩基からなる突出部を有するものが用いられるが、2塩基からなる突出部を有するものが好ましく用いられ、dTdTまたはUUからなる突出部を有するものがより好ましく用いられる。突出部は、アンチセンス鎖のみ、センス鎖のみ、およびアンチセンス鎖とセンス鎖の両方に有することができるが、アンチセンス鎖とセンス鎖の両方に突出部を有する二本鎖核酸が好ましく用いられる。
また、二重鎖形成部に続いて標的遺伝子のmRNAと一部または全てが一致する配列、または、二重鎖形成部に続いて標的遺伝子のmRNAの相補鎖の塩基配列と一致する配列を用いてもよい。さらに、標的遺伝子の発現を抑制する核酸としては、例えばDicer等のリボヌクレアーゼの作用により前記の二本鎖核酸を生成する核酸分子(国際公開第2005/089287号)や、3’末端や5’末端の突出部を有していない二本鎖核酸などを用いることもできる。
【0102】
また、前記の二本鎖核酸がsiRNAである場合、アンチセンス鎖は、5’末端側から3’末端側に向って少なくとも1〜17番目の塩基の配列が、標的遺伝子のmRNAの連続する17塩基の配列と相補的な塩基の配列であり、好ましくは、該アンチセンス鎖は、5’末端側から3’末端側に向って1〜19番目の塩基の配列が、標的遺伝子のmRNAの連続する19塩基の配列と相補的な塩基の配列であるか、1〜21番目の塩基の配列が、標的遺伝子のmRNAの連続する21塩基の配列と相補的な塩基の配列であるか、1〜25番目の塩基の配列が、標的遺伝子のmRNAの連続する25塩基の配列と相補的な塩基の配列である。
【0103】
さらに、本発明で用いられる核酸がsiRNAである場合、好ましくは該核酸中の糖の10〜70%、より好ましくは15〜60%、さらに好ましくは20〜50%が、2’位において修飾基で置換されたリボースである。本発明におけるリボースの2’位において修飾基で置換されたとは、2’位の水酸基が修飾基に置換されているものを意味し、リボースの2’位の水酸基と立体配置が同じであっても異なっていてもよいが、好ましくはリボースの2’位の水酸基と立体配置が同じである。2’位において修飾基で置換されたリボースは、糖部修飾ヌクレオチドにおける2’-修飾ヌクレオチドに包含され、2’位において修飾基で置換されたリボースの修飾基は、2’-修飾ヌクレオチドの修飾基と同義である。
【0104】
本発明で用いられる核酸には、核酸の構造中のリン酸部、エステル部等に含まれる酸素原子等が、例えば硫黄原子等の他の原子に置換された誘導体を包含する。
【0105】
また、アンチセンス鎖およびセンス鎖の5’末端の塩基に結合する糖は、それぞれ5’位の水酸基が、リン酸基もしくは前記の修飾基、または生体内の核酸分解酵素等でリン酸基もしくは前記の修飾基に変換される基によって修飾されていてもよい。
また、アンチセンス鎖およびセンス鎖の3’末端の塩基に結合する糖は、それぞれ3’位の水酸基が、リン酸基もしくは前記の修飾基、または生体内の核酸分解酵素等でリン酸基もしくは前記の修飾基に変換される基によって修飾されていてもよい。
【0106】
一本鎖の核酸としては、標的遺伝子の連続する15〜27塩基、好ましくは15〜25塩基、より好ましくは15〜23塩基、さらに好ましくは15〜21塩基、特に好ましくは15〜19塩基からなる配列の相補配列からなる核酸、または該核酸において1〜3塩基、好ましくは1〜2塩基、より好ましくは1塩基が置換、欠失もしくは付加され、かつ標的蛋白質の発現抑制活性を有する核酸であればいずれでもよい。該一本鎖の核酸長は、15〜30塩基以下、好ましくは15〜29塩基、より好ましくは15〜27塩基、さらに好ましくは15〜25塩基、特に好ましくは15〜23塩基の一本鎖核酸が好適に用いられる。
一本鎖核酸として、上記の二本鎖核酸を構成するアンチセンス鎖およびセンス鎖を、スペーサー配列(スペーサーオリゴヌクレオチド)を介して連結したものを用いてもよい。スペーサーオリゴヌクレオチドとしては6〜12塩基の一本鎖核酸分子が好ましく、その5’末端側の配列は2個のUであるのが好ましい。スペーサーオリゴヌクレオチドの例として、UUCAAGAGAの配列からなる核酸があげられる。スペーサーオリゴヌクレオチドによってつながれるアンチセンス鎖およびセンス鎖の順番はどちらが5’側になってもよい。該一本鎖核酸としては、ステムループ構造によって二重鎖形成部を有するshRNA等の一本鎖核酸であることが好ましい。shRNA等の一本鎖核酸は、通常50〜70塩基長である。
リボヌクレアーゼ等の作用により、上記の一本鎖核酸または二本鎖核酸を生成するように設計した、70塩基長以下、好ましくは50塩基長以下、さらに好ましくは30塩基長以下の核酸を用いてもよい。
【0107】
なお、本発明で用いられる核酸は、既知のRNAまたはDNA合成法、およびRNAまたはDNA修飾法を用いて製造すればよい。
【0108】
本発明の脂質ナノ粒子は、化合物(I)および化合物(II)を含有する脂質ナノ粒子であり、例えば化合物(I)および化合物(II)と核酸等との複合体、または化合物(I)および化合物(II)に中性脂質および/もしくは高分子を組み合わせたものと核酸等との複合体を含有する脂質ナノ粒子、該複合体および該複合体を封入する脂質膜から構成された脂質ナノ粒子等があげられる。脂質膜は、脂質一重膜(脂質1分子膜)でも脂質二重膜(脂質2分子膜)であってもよい。なお、該脂質膜に、化合物(I)、化合物(II)、中性脂質および/または高分子を含有していてもよい。また、該複合体および/または該脂質膜に、化合物(I)および化合物(II)以外のカチオン性脂質を含有していてもよい。
また、本発明の脂質ナノ粒子としては、例えば化合物(I)と核酸等との複合体、または化合物(I)に中性脂質および/もしくは高分子を組み合わせたものと核酸等との複合体および該複合体を封入する脂質膜から構成され、脂質膜に化合物(II)を含有する脂質ナノ粒子等もあげられる。この場合の脂質膜も、脂質一重膜(脂質1分子膜)でも脂質二重膜(脂質2分子膜)であってもよい。なお、該脂質膜に、化合物(I)、中性脂質および/または高分子を含有していてもよい。また、該複合体および/または該脂質膜に、化合物(I)および化合物(II)以外のカチオン性脂質を含有していてもよい。
また、本発明の脂質ナノ粒子としては、例えば化合物(II)と核酸等との複合体、または化合物(II)に中性脂質および/もしくは高分子を組み合わせたものと核酸等との複合体および該複合体を封入する脂質膜から構成され、脂質膜に化合物(I)を含有する脂質ナノ粒子等もあげられる。この場合の脂質膜も、脂質一重膜(脂質1分子膜)でも脂質二重膜(脂質2分子膜)であってもよい。なお、該脂質膜に、化合物(II)、中性脂質および/または高分子を含有していてもよい。また、該複合体および/または該脂質膜に、化合物(I)および化合物(II)以外のカチオン性脂質を含有していてもよい。
また、本発明の脂質ナノ粒子としては、例えば化合物(I)および化合物(II)以外のカチオン性脂質と核酸等との複合体、または化合物(I)および化合物(II)以外のカチオン性脂質に中性脂質および/もしくは高分子を組み合わせたものと核酸等との複合体および該複合体を封入する脂質膜から構成され、脂質膜に化合物(I)および化合物(II)を含有する脂質ナノ粒子等もあげられる。この場合の脂質膜も、脂質一重膜(脂質1分子膜)でも脂質二重膜(脂質2分子膜)であってもよい。なお、該脂質膜に、化合物(I)および化合物(II)以外のカチオン性脂質、中性脂質ならびに/または高分子を含有していてもよい。
【0109】
本発明の脂質ナノ粒子において、化合物(I)および化合物(II)と核酸等との複合体を含有する脂質ナノ粒子、化合物(I)または化合物(I)および化合物(II)と核酸等との複合体および該複合体を封入する脂質膜から構成され、脂質膜に化合物(II)を含有する脂質ナノ粒子、ならびに化合物(I)、化合物(II)、化合物(I)および化合物(II)、または化合物(I)および化合物(II)以外のカチオン性脂質と核酸等との複合体および該複合体を封入する脂質膜から構成され、脂質膜に(I)および化合物(II)を含有する脂質ナノ粒子がより好ましく、化合物(I)および化合物(II)と核酸等との複合体を含有する脂質ナノ粒子、あるいは化合物(I)、または化合物(I)および化合物(II)と核酸等との複合体および該複合体を封入する脂質膜から構成され、脂質膜に化合物(I)および化合物(II)を含有する脂質ナノ粒子がさらに好ましく、化合物(I)と核酸等との複合体および該複合体を封入する脂質膜から構成され、脂質膜に化合物(I)および化合物(II)を含有する脂質ナノ粒子が最も好ましい。なお、該脂質膜に、中性脂質および/または高分子を含有していてもよい。また、該複合体および/または該脂質膜に、化合物(I)および化合物(II)以外のカチオン性脂質を含有していてもよい。
【0110】
複合体の形態としては、いずれの場合も核酸等と脂質一重層からなる膜(逆ミセル)との複合体、核酸等とリポソームとの複合体、核酸等とミセルとの複合体等があげられ、好ましくは核酸等と脂質一重層からなる膜との複合体または核酸等とリポソームとの複合体があげられる。
複合体および該複合体を封入する脂質二重膜から構成された脂質ナノ粒子としては、該複合体および該複合体を封入する脂質二重膜から構成されたリポソーム等があげられる。
なお、本発明の脂質ナノ粒子は、薬物として例えば核酸を含有することができるが、核酸と化学的に近似した化合物も含有することもできる。
いずれの場合も、本発明の脂質ナノ粒子には、化合物(I)および化合物(II)をそれぞれ一種または複数種を使用してよく、また化合物(I)および/または化合物(II)には、化合物(I)および化合物(II)以外のカチオン性脂質を混合してもよい。
化合物(I)および化合物(II)以外のカチオン性脂質としては、例えば、特開昭61-161246号公報(米国特許5049386号明細書)中で開示される、DOTMA、DOTAP等、国際公開第91/16024号および国際公開第97/019675号中で開示される、DORIE、DOSPA等、国際公開第2005/121348号中で開示される、DLinDMA等、国際公開第2009/086558号中で開示される、DLin-K-DMA等があげられ、好ましくはDOTMA、DOTAP、DORIE、DOSPA、DLinDMA、DLin-K-DMA等の2つの非置換アルキル基を有する3級アミン部位または3つの非置換アルキル基を有する4級アンモニウム部位を有するカチオン性脂質であることがあげられ、より好ましくは、該3級アミン部位を有するカチオン性脂質があげられる。該3級アミン部位および該4級アンモニウム部位の非置換アルキル基はメチル基であることがより好ましい。
【0111】
本発明における脂質ナノ粒子は、公知の製造方法またはそれに準じて製造することができ、いかなる製造方法で製造されたものであってよい。例えば、脂質ナノ粒子の1つであるリポソームの製造には、公知のリポソームの調製方法が適用できる。公知のリポソームの調製方法としては、例えばバンガム(Bangham)らのリポソーム調製法("ジャーナル・オブ・モレキュラー・バイオロジー(J.Mol.Biol.)"、1965年、13巻、p.238-252参照)、エタノール注入法("ジャーナル・オブ・セル・バイオロジー(J.Cell Biol.)"、1975年、66巻、p.621-634参照)、フレンチプレス法("エフイービーエス・レターズ(FEBS Lett.)"、1979年、99巻、p.210-214参照)、凍結融解法("アーカイブス・オブ・バイオケミストリー・アンド・バイオフィジックス(Arch.Biochem.Biophys.)"、1981年、212巻、p.186-194参照)、逆相蒸発法("プロシーディングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンス・ユナイテッド・ステイツ・オブ・アメリカ(Proc.Natl.Acad.Sci.USA)"、(米国)、1978年、75巻、p.4194-4198参照)またはpH勾配法(例えば特許第2572554号公報、特許第2659136号公報等参照)等があげられる。リポソームの製造の際にリポソームを分散させる溶液としては、例えば水、酸、アルカリ、種々の緩衝液、生理的食塩液またはアミノ酸輸液等を用いることができる。また、リポソームの製造の際には、例えばクエン酸、アスコルビン酸、システインまたはエチレンジアミン四酢酸(EDTA)等の抗酸化剤、例えばグリセリン、ブドウ糖または塩化ナトリウム等の等張化剤等の添加も可能である。また、脂質等を例えばエタノール等の有機溶媒に溶解し、溶媒を留去した後、生理食塩水等を添加、振とう撹拌し、リポソームを形成させることによってもリポソームを製造することができる。
【0112】
また、本発明の脂質ナノ粒子は、例えば、化合物(I)および化合物(II)、または化合物(I)および化合物(II)と化合物(I)および化合物(II)以外のカチオン性脂質との混合物をクロロホルムに予め溶解し、次いで核酸等の水溶液とメタノールを加えて混合してカチオン性脂質/核酸等の複合体を形成させ、さらにクロロホルム層を取り出し、これにポリエチレングリコール化リン脂質と中性の脂質と水を加えて油中水型(W/O)エマルジョンを形成し、逆相蒸発法で処理して製造する方法(特表2002-508765号公報参照)や、核酸等を、酸性の電解質水溶液に溶解し、脂質(エタノール中)を加え、エタノール濃度を20v/v%まで下げて前記核酸等の内包脂質ナノ粒子を調製し、サイジングろ過し、透析によって、過剰のエタノールを除去した後、試料をさらにpHを上げて透析して脂質ナノ粒子表面に付着した核酸等を除去して製造する方法(特表2002-501511号公報および"バイオキミカ・エト・バイオフィジカ・アクタ(Biochimica et Biophysica Acta)"、2001年、1510巻、p.152-166参照)等によって製造することができる。
本発明の脂質ナノ粒子のうち、化合物(I)および化合物(II)と核酸等との複合体、または化合物(I)および化合物(II)に中性脂質および/もしくは高分子を組み合わせたものと核酸等との複合体および該複合体を封入した脂質二重膜から構成されたリポソームは、例えば、国際公開第02/28367号および国際公開第2006/080118号等に記載の製造方法に従って製造することができる。
【0113】
また、本発明の脂質ナノ粒子のうち、例えば化合物(I)および化合物(II)と核酸等との複合体、または化合物(I)および化合物(II)に中性脂質および/もしくは高分子を組み合わせたものと核酸等との複合体ならびに該複合体を封入する脂質膜から構成され、脂質膜に化合物(I)、化合物(II)、ならびに/または化合物(I)および化合物(II)以外のカチオン性脂質を含有する脂質ナノ粒子、化合物(I)と核酸等との複合体、または化合物(I)に中性脂質および/もしくは高分子を組み合わせたものと核酸等との複合体および該複合体を封入する脂質膜から構成され、脂質膜に化合物(II)または化合物(I)および化合物(II)を含有する脂質ナノ粒子、化合物(II)と核酸等との複合体、または化合物(II)に中性脂質および/もしくは高分子を組み合わせたものと核酸等との複合体および該複合体を封入する脂質膜から構成され、脂質膜に化合物(I)または化合物(I)および化合物(II)を含有する脂質ナノ粒子、および化合物(I)および化合物(II)以外のカチオン性脂質と核酸等との複合体、または化合物(I)および化合物(II)以外のカチオン性脂質に中性脂質および/もしくは高分子を組み合わせたものと核酸等との複合体および該複合体を封入する脂質膜から構成され、脂質膜に化合物(I)および化合物(II)を含有する脂質ナノ粒子等は、国際公開第02/28367号および国際公開第2006/080118号等に記載の製造方法に従って、それぞれの複合体を製造し、水または0〜20%エタノール水溶液中に、該複合体を溶解させずに分散させ(A液)、別途、それぞれの脂質膜成分を、エタノール水溶液中に溶解させ(B液)、等量のA液とB液を混合し、さらに適宜に水を加えることで、得ることができる。なお、A液およびB液中の化合物(I)、化合物(II)、ならびに化合物(I)および化合物(II)以外のカチオン性脂質は、一種または複数種を使用してよく、それぞれを組み合わせて混合して使用してもよい。
【0114】
なお、本発明において、化合物(I)および化合物(II)と核酸等との複合体、または化合物(I)および化合物(II)に中性脂質および/もしくは高分子を組み合わせたものと核酸等との複合体ならびに該複合体を封入する脂質膜から構成され、脂質膜に化合物(I)、化合物(II)、ならびに/または化合物(I)および化合物(II)以外のカチオン性脂質を含有する脂質ナノ粒子、化合物(I)と核酸等との複合体、または化合物(I)に中性脂質および/もしくは高分子を組み合わせたものと核酸等との複合体および該複合体を封入する脂質膜から構成され、脂質膜に化合物(II)または化合物(I)および化合物(II)を含有する脂質ナノ粒子、化合物(II)と核酸等との複合体、または化合物(II)に中性脂質および/もしくは高分子を組み合わせたものと核酸等との複合体および該複合体を封入する脂質膜から構成され、脂質膜に化合物(I)または化合物(I)および化合物(II)を含有する脂質ナノ粒子、および化合物(I)および化合物(II)以外のカチオン性脂質と核酸等との複合体、または化合物(I)および化合物(II)以外のカチオン性脂質に中性脂質および/もしくは高分子を組み合わせたものと核酸等との複合体および該複合体を封入する脂質膜から構成され、脂質膜に化合物(I)および化合物(II)を含有する脂質ナノ粒子等の製造中および製造後に、複合体中の核酸等と脂質膜中のカチオン性脂質との静電相互作用や、複合体中のカチオン性脂質と脂質膜中のカチオン性脂質との融合によって、複合体および膜の構造が変位したものも、それぞれ化合物(I)および化合物(II)と核酸等との複合体、または化合物(I)および化合物(II)に中性脂質および/もしくは高分子を組み合わせたものと核酸等との複合体ならびに該複合体を封入する脂質膜から構成され、脂質膜に化合物(I)、化合物(II)、ならびに/または化合物(I)および化合物(II)以外のカチオン性脂質を含有する脂質ナノ粒子、化合物(I)と核酸等との複合体、または化合物(I)に中性脂質および/もしくは高分子を組み合わせたものと核酸等との複合体および該複合体を封入する脂質膜から構成され、脂質膜に化合物(II)または化合物(I)および化合物(II)を含有する脂質ナノ粒子、化合物(II)と核酸等との複合体、または化合物(II)に中性脂質および/もしくは高分子を組み合わせたものと核酸等との複合体および該複合体を封入する脂質膜から構成され、脂質膜に化合物(I)または化合物(I)および化合物(II)を含有する脂質ナノ粒子、および化合物(I)および化合物(II)以外のカチオン性脂質と核酸等との複合体、または化合物(I)および化合物(II)以外のカチオン性脂質に中性脂質および/もしくは高分子を組み合わせたものと核酸等との複合体および該複合体を封入する脂質膜から構成され、脂質膜に化合物(I)および化合物(II)を含有する脂質ナノ粒子等に包含される。
いずれの場合も、脂質膜に化合物(I)と化合物(II)とを混合して使用することがより好ましい。すなわち、化合物(I)および化合物(II)と核酸等との複合体、または化合物(I)および化合物(II)に中性脂質および/もしくは高分子を組み合わせたものと核酸等との複合体ならびに該複合体を封入する脂質膜から構成され、脂質膜に化合物(I)、化合物(II)、ならびに/または化合物(I)および化合物(II)以外のカチオン性脂質を含有する脂質ナノ粒子、化合物(I)と核酸等との複合体、または化合物(I)に中性脂質および/もしくは高分子を組み合わせたものと核酸等との複合体および該複合体を封入する脂質膜から構成され、脂質膜に化合物(I)および化合物(II)を含有する脂質ナノ粒子、化合物(II)と核酸等との複合体、または化合物(II)に中性脂質および/もしくは高分子を組み合わせたものと核酸等との複合体および該複合体を封入する脂質膜から構成され、脂質膜に化合物(I)および化合物(II)を含有する脂質ナノ粒子、ならびに化合物(I)および化合物(II)以外のカチオン性脂質と核酸等との複合体、または化合物(I)および化合物(II)以外のカチオン性脂質に中性脂質および/もしくは高分子を組み合わせたものと核酸等との複合体および該複合体を封入する脂質膜から構成され、脂質膜に化合物(I)および化合物(II)を含有する脂質ナノ粒子がより好ましく、化合物(I)および化合物(II)と核酸等との複合体、または化合物(I)および化合物(II)に中性脂質および/もしくは高分子を組み合わせたものと核酸等との複合体ならびに該複合体を封入する脂質膜から構成され、脂質膜に化合物(I)、化合物(II)、ならびに/または化合物(I)および化合物(II)以外のカチオン性脂質を含有する脂質ナノ粒子、化合物(I)と核酸等との複合体、化合物(I)に中性脂質および/もしくは高分子を組み合わせたものと核酸等との複合体および該複合体を封入する脂質膜から構成され、脂質膜に化合物(I)および化合物(II)を含有する脂質ナノ粒子がさらに好ましく、化合物(I)と核酸等との複合体、または化合物(I)および化合物(II)と核酸等との複合体および該複合体を封入する脂質膜から構成され、脂質膜に化合物(I)および化合物(II)を含有する脂質ナノ粒子が最も好ましい。
【0115】
本発明の核酸を含有する脂質ナノ粒子において、複合体中の化合物(I)の分子の総数は、核酸のリン原子の数に対して0.5〜8倍であるのが好ましく、1.5〜5倍であるのがより好ましく、2〜3倍であるのがさらに好ましい。また、該複合体中の化合物(I)および化合物(I)以外のカチオン性脂質の分子の総数は、該核酸のリン原子の数に対して0.5〜8倍であるのが好ましく、1.5〜5倍であるのがより好ましく、2〜3倍であるのがさらに好ましい。
本発明の核酸を含有する脂質ナノ粒子において、複合体および該複合体を封入する脂質膜から構成された脂質ナノ粒子中の化合物(I)の分子の総数は、該核酸のリン原子の数に対して1〜15倍であるのが好ましく、2.5〜10倍であるのがより好ましく、3.5〜8倍であるのがさらに好ましい。また、該脂質ナノ粒子中の化合物(I)および化合物(I)以外のカチオン性脂質の分子の総数は、該核酸のリン原子の数に対して1〜15倍であるのが好ましく、2.5〜10倍であるのがより好ましく、3.5〜8倍であるのがさらに好ましい。
【0116】
国際公開第02/28367号および国際公開第2006/080118号等に記載の製造方法に従って、核酸(前記と同義)、好ましくは二本鎖核酸と任意のカチオン性脂質、好ましくは化合物(I)および/または本発明における化合物(I)以外のカチオン性脂質を含有するリポソームとの複合体を製造し、水または0〜20%エタノール水溶液中に、該複合体を溶解させずに分散させ(A液)、別途、任意のカチオン性脂質、好ましくは化合物(I)および/または本発明における化合物(I)以外のカチオン性脂質を、エタノール水溶液中に溶解させ(B液)、等量または体積比1:1のA液とB液を混合すること、または、さらに適宜に水を加えることで、該核酸と該カチオン性脂質を含有する脂質ナノ粒子を得ることができる。該脂質ナノ粒子は、好ましくはカチオン性脂質と核酸との複合体および該複合体を封入する脂質膜を含有する脂質ナノ粒子であり、より好ましくは該核酸と該カチオン性脂質を含有する脂質一重層からなる膜(逆ミセル)との複合体および該複合体を封入する脂質膜を含有する脂質ナノ粒子である。これらの場合の脂質膜は、脂質一重膜(脂質1分子膜)でも脂質二重膜(脂質2分子膜)であってもよい。
また、本開示の該核酸と該リポソームとの複合体中のリポソームは、予め大きさを、平均粒子径10nm〜400nm、より好ましくは30nm〜110nm、さらに好ましくは40nm〜80nmに調節したリポソームが好ましい。また、該複合体および/または脂質膜に、中性脂質および/または高分子を含有していてもよい。また、A液は、リポソームと該核酸との複合体を形成させることができれば、エタノール濃度は、20〜40%であってもよい。
また、等量のA液とB液を混合する代わりに、A液とB液を混合後に複合体が溶解せず、かつB液中のカチオン性脂質が溶解しないエタノール濃度、好ましくは複合体が溶解せず、B液中のカチオン性脂質が溶解せず、かつエタノール濃度が30〜60%のエタノール水溶液になるような比でA液とB液を混合することに代えてもよく、あるいはA液とB液を混合後に複合体が溶解しないようなエタノール濃度になるような比でA液とB液を混合し、さらに水を加えることで、B液中のカチオン性脂質が溶解しなくなるエタノール濃度にすることにしてもよい。
本開示の該A液中での核酸とリポソームとの複合体は、A液とB液を混合し、さらに適宜に水を加えた後には、カチオン性脂質を含有する脂質一重層からなる膜(逆ミセル)と核酸との複合体に形態が変化している。本開示の製造方法で得られる該核酸と該カチオン性脂質を含有する脂質ナノ粒子は、好ましくはカチオン性脂質と核酸との複合体および該複合体を封入する脂質膜を含有する脂質ナノ粒子であり、より好ましくは、カチオン性脂質を含有する脂質一重層からなる膜(逆ミセル)と核酸との複合体および該複合体を封入する脂質膜を含有し、該脂質膜にカチオン性脂質を含有する脂質ナノ粒子であり、その製造性(収率および/または均一性)は優れている。
該A液中での核酸とリポソームとの複合体において、複合体中のカチオン性脂質の分子の総数は、核酸のリン原子の数に対して0.5〜8倍であるのが好ましく、1.5〜5倍であるのがより好ましく、2〜3倍であるのがさらに好ましい。
A液とB液を混合後の該核酸と該カチオン性脂質を含有する脂質一重層からなる膜(逆ミセル)との複合体および該複合体を封入する脂質膜を含有する脂質ナノ粒子においては、該複合体および該複合体を封入する脂質膜中のカチオン性脂質の分子の総数は、該核酸のリン原子の数に対して1〜15倍であるのが好ましく、2.5〜10倍であるのがより好ましく、3.5〜8倍であるのがさらに好ましい。
【0117】
中性脂質としては、単純脂質、複合脂質または誘導脂質のいかなるものであってもよく、例えばリン脂質、グリセロ糖脂質、スフィンゴ糖脂質、スフィンゴイドまたはステロール等があげられるがこれらに限定されない。
本発明の脂質ナノ粒子において中性脂質を含有する場合には、中性脂質の分子の総数は、化合物(I)および化合物(II)、ならびに化合物(I)および化合物(II)以外のカチオン性脂質の分子の総数に対して0.1〜1.8倍であるのが好ましく、0.3〜1.2倍であるのがより好ましく、0.4〜0.9倍であるのがさらに好ましい。本発明における脂質ナノ粒子は、中性脂質を、複合体に含有していてもよく、該複合体を封入する脂質膜に含有していてもよく、少なくとも該複合体を封入する脂質膜に含有していることがより好ましく、該複合体および該該複合体を封入する脂質膜のどちらにも含有していることがさらに好ましい。
【0118】
中性脂質におけるリン脂質としては、例えばホスファチジルコリン(具体的には大豆ホスファチジルコリン、卵黄ホスファチジルコリン(EPC)、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、パルミトイルオレオイルホスファチジルコリン(POPC)、ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)、ジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)等)、ホスファチジルエタノールアミン(具体的にはジステアロイルホスファチジルエタノールアミン(DSPE)、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン(DPPE)、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)、ジミリストイルホスホエタノールアミン(DMPE)、16-0-モノメチルPE、16-0-ジメチルPE、18-1-トランスPE、パルミトイルオレオイル-ホスファチジルエタノールアミン(POPE)、1 -ステアロイル-2-オレオイル-ホスファチジルエタノールアミン(SOPE)等)、グリセロリン脂質(具体的にはホスファチジルセリン、ホスファチジン酸、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルイノシトール、パルミトイルオレオイルホスファチジルグリセロール(POPG)、リゾホスファチジルコリン等)、スフィンゴリン脂質(具体的にはスフィンゴミエリン、セラミドホスホエタノールアミン、セラミドホスホグリセロール、セラミドホスホグリセロリン酸等)、グリセロホスホノ脂質、スフィンゴホスホノ脂質、天然レシチン(具体的には卵黄レシチン、大豆レシチン等)または水素添加リン脂質(具体的には水素添加大豆ホスファチジルコリン等)等の天然または合成のリン脂質があげられる。
【0119】
中性脂質におけるグリセロ糖脂質としては、例えばスルホキシリボシルグリセリド、ジグリコシルジグリセリド、ジガラクトシルジグリセリド、ガラクトシルジグリセリドまたはグリコシルジグリセリド等があげられる。
【0120】
中性脂質におけるスフィンゴ糖脂質としては、例えばガラクトシルセレブロシド、ラクトシルセレブロシドまたはガングリオシド等があげられる。
【0121】
中性脂質におけるスフィンゴイドとしては、例えばスフィンガン、イコサスフィンガン、スフィンゴシンまたはそれらの誘導体等があげられる。誘導体としては、例えばスフィンガン、イコサスフィンガンまたはスフィンゴシン等の-NH
2を-NHCO(CH
2)xCH
3(式中、xは0〜18の整数であり、中でも6、12または18が好ましい)に変換したもの等があげられる。
【0122】
中性脂質におけるステロールとしては、例えばコレステロール、ジヒドロコレステロール、ラノステロール、β-シトステロール、カンペステロール、スチグマステロール、ブラシカステロール、エルゴカステロール、フコステロールまたは3β-[N-(N',N'-ジメチルアミノエチル)カルバモイル]コレステロール(DC-Chol)等があげられる。
【0123】
高分子としては、例えばタンパク質、アルブミン、デキストラン、ポリフェクト(polyfect)、キトサン、デキストラン硫酸、例えばポリ-L-リジン、ポリエチレンイミン、ポリアスパラギン酸、スチレンマレイン酸共重合体、イソプロピルアクリルアミド-アクリルピロリドン共重合体、ポリエチレングリコール修飾デンドリマー、ポリ乳酸、ポリ乳酸ポリグリコール酸またはポリエチレングリコール化ポリ乳酸等の高分子またはそれらの塩の1以上からなるミセルがあげられる。
【0124】
ここで、高分子における塩は、例えば金属塩、アンモニウム塩、酸付加塩、有機アミン付加塩、アミノ酸付加塩等を包含する。金属塩としては、例えばリチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、マグネシウム塩、カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩、アルミニウム塩または亜鉛塩等があげられる。アンモニウム塩としては、例えばアンモニウムまたはテトラメチルアンモニウム等の塩があげられる。酸付加塩としては、例えば塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩またはリン酸塩等の無機酸塩、および酢酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩またはクエン酸塩等の有機酸塩があげられる。有機アミン付加塩としては、例えばモルホリンまたはピペリジン等の付加塩があげられる。アミノ酸付加塩としては、例えばグリシン、フェニルアラニン、アスパラギン酸、グルタミン酸またはリジン等の付加塩があげられる。
【0125】
また、本発明における脂質ナノ粒子はいずれにしても、例えば糖、ペプチド、核酸および水溶性高分子から選ばれる1つ以上の物質の脂質誘導体もしくは脂肪酸誘導体または界面活性剤等を含有することが好ましい。該糖、ペプチド、核酸および水溶性高分子から選ばれる1つ以上の物質の脂質誘導体もしくは脂肪酸誘導体または界面活性剤は、複合体に含有されてもよく、複合体を封入する脂質膜に含有されていてもよく、複合体および該複合体を封入する脂質膜のどちらにもに含有されていることがより好ましい。
本発明の脂質ナノ粒子が、糖、ペプチド、核酸および水溶性高分子から選ばれる1つ以上の物質の脂質誘導体もしくは脂肪酸誘導体を含有する場合には、糖、ペプチド、核酸および水溶性高分子から選ばれる1つ以上の物質の脂質誘導体および脂肪酸誘導体の分子の総数は、化合物(I)、化合物(I)および化合物(I)以外のカチオン性脂質の分子の総数に対して0.05〜0.3倍であるのが好ましく、0.07〜0.25倍であるのがより好ましく、0.1〜0.2倍であるのがさらに好ましい。
【0126】
糖、ペプチド、核酸および水溶性高分子から選ばれる1つ以上の物質の脂質誘導体もしくは脂肪酸誘導体、または界面活性剤としては、好ましくは、糖脂質、または水溶性高分子の脂質誘導体もしくは脂肪酸誘導体があげられ、より好ましくは、水溶性高分子の脂質誘導体または脂肪酸誘導体があげられる。糖、ペプチド、核酸および水溶性高分子から選ばれる1つ以上の物質の脂質誘導体もしくは脂肪酸誘導体、または界面活性剤は、分子の一部が脂質ナノ粒子の他の構成成分と例えば疎水性親和力、静電的相互作用等で結合する性質をもち、他の部分が脂質ナノ粒子の製造時の溶媒と例えば親水性親和力、静電的相互作用等で結合する性質をもつ、2面性をもつ物質であるのが好ましい。
【0127】
糖、ペプチドまたは核酸の脂質誘導体または脂肪酸誘導体としては、例えばショ糖、ソルビトール、乳糖等の糖、例えばカゼイン由来ペプチド、卵白由来ペプチド、大豆由来ペプチド、グルタチオン等のペプチド、または例えばDNA、RNA、プラスミド、siRNA、ODN等の核酸と、前記脂質ナノ粒子の定義の中であげた中性脂質もしくは本発明のカチオン性脂質または例えばステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸等の脂肪酸とが結合してなるもの等があげられる。
【0128】
また、糖の脂質誘導体または脂肪酸誘導体としては、例えば前記脂質ナノ粒子の定義の中であげたグリセロ糖脂質またはスフィンゴ糖脂質等も含まれる。
【0129】
水溶性高分子の脂質誘導体または脂肪酸誘導体としては、例えばポリエチレングリコール、ポリグリセリン、ポリエチレンイミン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、オリゴ糖、デキストリン、水溶性セルロース、デキストラン、コンドロイチン硫酸、ポリグリセリン、キトサン、ポリビニルピロリドン、ポリアスパラギン酸アミド、ポリ-L-リジン、マンナン、プルラン、オリゴグリセロール等またはそれらの誘導体と、前記脂質ナノ粒子の定義の中であげた中性脂質もしくは本発明のカチオン性脂質、または例えばステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸またはラウリン酸等の脂肪酸とが結合してなるもの、それらの塩等があげられ、より好ましくは、ポリエチレングリコール誘導体、ポリグリセリン誘導体等の脂質誘導体または脂肪酸誘導体があげられ、さらに好ましくは、ポリエチレングリコール誘導体の脂質誘導体または脂肪酸誘導体およびそれらの塩があげられる。
【0130】
ポリエチレングリコール誘導体の脂質誘導体または脂肪酸誘導体としては、例えばポリエチレングリコール化脂質(具体的にはポリエチレングリコール-ホスファチジルエタノールアミン(より具体的には1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[メトキシ(ポリエチレングリコール)-2000](PEG-DSPE)、1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[メトキシ(ポリエチレングリコール)-2000](PEG-DMPE)等)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60、クレモフォアイーエル(CREMOPHOR EL)等)、ポリエチレングリコールソルビタン脂肪酸エステル類(具体的にはモノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン等)またはポリエチレングリコール脂肪酸エステル類等があげられ、より好ましくは、ポリエチレングリコール化脂質があげられる。
【0131】
ポリグリセリン誘導体の脂質誘導体または脂肪酸誘導体としては、例えばポリグリセリン化脂質(具体的にはポリグリセリン-ホスファチジルエタノールアミン等)またはポリグリセリン脂肪酸エステル類等があげられ、より好ましくは、ポリグリセリン化脂質があげられる。
【0132】
界面活性剤としては、例えばモノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(具体的にはポリソルベート80等)、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール(具体的にはプルロニックF68等)、ソルビタン脂肪酸エステル(具体的にはソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノオレエート等)、ポリオキシエチレン誘導体(具体的にはポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60、ポリオキシエチレンラウリルアルコール等)、グリセリン脂肪酸エステルまたはポリエチレングリコールアルキルエーテル等があげられ、好ましくは、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、グリセリン脂肪酸エステルまたはポリエチレングリコールアルキルエーテル等があげられる。
【0133】
また、本発明の脂質ナノ粒子には、例えば高分子、ポリオキシエチレン誘導体等による表面改質も任意に行うことができる(ラジック(D.D.Lasic)、マーティン(F.Martin)編,"ステルス・リポソームズ(Stealth Liposomes)"、(米国)、シーアールシー・プレス・インク(CRC Press Inc)、1995年、p.93-102参照)。表面改質に使用し得る高分子としては、例えばデキストラン、プルラン、マンナン、アミロペクチンまたはヒドロキシエチルデンプン等があげられる。ポリオキシエチレン誘導体としては、例えばポリソルベート80、プルロニックF68、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60、ポリオキシエチレンラウリルアルコールまたはPEG-DSPE等があげられる。該表面改質によって、本発明の脂質ナノ粒子、脂質ナノ粒子中の複合体および脂質膜に糖、ペプチド、核酸および水溶性高分子から選ばれる1つ以上の物質の脂質誘導体もしくは脂肪酸誘導体、または界面活性剤を含有させることができる。
また、標的化リガンドを、本発明の脂質ナノ粒子の脂質成分の極性ヘッド残基に共有結合することにより本発明の脂質ナノ粒子の表面に直接結合させることも任意に行うことができる(国際公開第2006/116107号参照)。
【0134】
本発明における脂質ナノ粒子の平均粒子径は、所望により自由に選択できるが、下記する平均粒子径とするのが好ましい。平均粒子径を調節する方法としては、例えばエクストルージョン法、大きな多重膜リポソーム(MLV)等を機械的に粉砕(具体的にはマントンゴウリン、マイクロフルイダイザー等を使用)する方法(ミュラー(R.H.Muller)、ベニタ(S.Benita)、ボーム(B.Bohm)編著、"エマルジョン・アンド・ナノサスペンジョンズ・フォー・ザ・フォーミュレーション・オブ・ポアリー・ソラブル・ドラッグズ(Emulsion and Nanosuspensions for the Formulation of Poorly Soluble Drugs)"、ドイツ,サイエンティフィック・パブリッシャーズ・スチュットガルト(Scientific Publishers Stuttgart)、1998年、p.267-294参照)等があげられる。
【0135】
本発明における脂質ナノ粒子の大きさは、平均粒子径が約10nm〜1000nmであるのが好ましく、約30nm〜300nmであるのがより好ましく、約50nm〜200nmであるのがさらに好ましい。
【0136】
本発明の脂質ナノ粒子を、ほ乳類の細胞に投与することで、本発明の脂質ナノ粒子中の核酸等を細胞内に導入することができる。
インビトロで本発明の脂質ナノ粒子を、ほ乳類の細胞に投与する方法は、インビトロにおいて行うことのできる公知のトランスフェクションの手順に従って行えばよい。
【0137】
インビボで本発明の脂質ナノ粒子を、ほ乳類の細胞に投与する方法は、インビボにおいて行うことのできる公知のトランスフェクションの手順に従って行えばよい。例えば、本発明の脂質ナノ粒子を、人を含む哺乳動物に静脈内投与することで、例えば癌または炎症の生じた臓器または部位へ送達され、送達臓器または部位の細胞内に本発明の脂質ナノ粒子中の核酸等を導入することができる。癌または炎症の生じた臓器または部位としては、特に限定されないが、例えば胃、大腸、肝臓、肺、脾臓、膵臓、腎臓、膀胱、皮膚、血管、眼球等があげられる。また、本発明の脂質ナノ粒子を、人を含む哺乳動物に静脈内投与することで、例えば血管、肝臓、肺、脾臓および/または腎臓へ送達され、送達臓器または部位の細胞内に本発明の脂質ナノ粒子中の核酸等を導入することができる。肝臓、肺、脾臓および/または腎臓の細胞は、正常細胞、癌もしくは炎症に関連した細胞またはその他の疾患に関連した細胞のいずれでもよい。
本発明の脂質ナノ粒子中の核酸等が、RNA干渉(RNAi)を利用した標的遺伝子の発現抑制作用を有する核酸であれば、インビボでほ乳類の細胞内に、遺伝子の発現を抑制する核酸等を導入することができ、遺伝子等の発現の抑制ができる。投与対象は、人であることが好ましい。
また、本発明の脂質ナノ粒子における標的遺伝子が、例えば腫瘍または炎症に関連する遺伝子であれば、本発明の脂質ナノ粒子を、癌または炎症疾患の治療剤または予防剤、好ましくは固形癌または血管もしくは血管近傍の炎症の治療剤または予防剤として使用することができる。具体的には、本発明の脂質ナノ粒子における標的遺伝子が、血管新生に関連する遺伝子等であれば、血管平滑筋の増殖や血管新生等を抑制できるので、本発明の脂質ナノ粒子を、例えば血管平滑筋の増殖や血管新生を伴う癌または炎症疾患の治療剤または予防剤として使用することができる。本発明のカチオン性脂質を、複数種を組み合わせて使用する場合または本発明のカチオン性脂質以外のカチオン性脂質と組み合わせて使用する場合には、個々のカチオン性脂質を単独で使用する場合と比べて減量できるので、カチオン性脂質が原因の好ましくない事象の発生率や程度を減らすことができる。
即ち、本発明は、上記説明した本発明の脂質ナノ粒子を哺乳動物に投与する癌または炎症疾患の治療方法も提供する。投与対象は、人であることが好ましく、癌または炎症疾患に罹患している人がより好ましい。
また、本発明の脂質ナノ粒子は、癌または炎症疾患の治療剤または予防剤に関するインビボの薬効評価モデルにおいて、標的遺伝子を抑制することの有効性を検証するためのツールとして使用することもできる。
【0138】
本発明の脂質ナノ粒子は、例えば血液成分等の生体成分(例えば血液、消化管等)中での前記核酸等の安定化、副作用の低減または標的遺伝子の発現部位を含む組織または臓器への薬剤集積性の増大等を目的とする製剤としても使用できる。
【0139】
本発明の脂質ナノ粒子を、医薬品の癌または炎症疾患等の治療剤または予防剤として使用する場合、投与経路としては、治療に際し最も効果的な投与経路を使用するのが望ましく、口腔内、気道内、直腸内、皮下、筋肉内または静脈内等の非経口投与または経口投与をあげることができ、好ましくは静脈内投与または筋肉内投与をあげることができ、より好ましくは静脈内投与があげられる。
投与量は、投与対象の病状や年齢、投与経路などによって異なるが、例えば核酸に換算した1日投与量が約0.1μg〜1000mgとなるように投与すればよい。
【0140】
静脈内投与または筋肉内投与に適当な製剤としては、例えば注射剤があげられ、上述の方法により調製した脂質ナノ粒子の分散液をそのまま例えば注射剤等の形態として用いることも可能であるが、該分散液から例えば濾過、遠心分離等によって溶媒を除去して使用することも、該分散液を凍結乾燥して使用する、および/または例えばマンニトール、ラクトース、トレハロース、マルトースもしくはグリシン等の賦形剤を加えた分散液を凍結乾燥して使用することもできる。
注射剤の場合、前記の脂質ナノ粒子の分散液または前記の溶媒を除去または凍結乾燥した脂質ナノ粒子に、例えば水、酸、アルカリ、種々の緩衝液、生理的食塩液またはアミノ酸輸液等を混合して注射剤を調製することが好ましい。また、例えばクエン酸、アスコルビン酸、システインもしくはEDTA等の抗酸化剤またはグリセリン、ブドウ糖もしくは塩化ナトリウム等の等張化剤等を添加して注射剤を調製することも可能である。また、例えばグリセリン等の凍結保存剤を加えて凍結保存することもできる。
【0141】
次に、実施例および試験例により、本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれら実施例および試験例に限定されるものではない。
なお、参考例に示されたプロトン核磁気共鳴スペクトル(
1H NMR)は、270MHz、300MHzまたは400MHzで測定されたものであり、化合物および測定条件によっては交換性プロトンが明瞭には観測されないことがある。なお、シグナルの多重度の表記としては通常用いられるものを用いているが、brとは見かけ上幅広いシグナルであることを表す。
【0142】
参考例1
メチルジ((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエニル)アミン(化合物1)
メチルアミン(アルドリッチ(Aldrich)社製、約2 mol/Lテトラヒドロフラン溶液、10.5 mL、21.0 mmol)に(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエニル メタンスルホナート(ニューチェック・プレップ(Nu-Chek Prep,Inc)社製, 1.03 g, 3.00 mmol)を加え、マイクロ波反応装置を用いて150℃で90分間加熱撹拌した。反応液を酢酸エチルで希釈し、2 mol/L水酸化ナトリウム水溶液、ついで飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後ろ過し、減圧下濃縮することでメチル((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエニル)アミンの粗生成物を得た。
得られた粗生成物に(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエニル メタンスルホナート(Nu-Chek Prep,Inc社製, 0.93 g, 2.70 mmol)および50%水酸化ナトリウム水溶液(0.960 g, 12.0 mmol)を加え、油浴上135℃で60分間加熱撹拌した。室温まで冷却後、反応液を酢酸エチルで希釈し、水、ついで飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後ろ過し、減圧下濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール=100/0〜97/3)で精製することにより化合物1(1.07 g, 67.2 %)を得た。
ESI-MS m/z: 529 (M + H)
+;
1H-NMR (CDCl
3) δ: 0.89 (t, J = 6.7 Hz, 6H), 1.29 (br s, 32H), 1.40-1.51 (m, 4H), 1.97-2.06 (m, 8H), 2.20 (s, 3H), 2.30 (t, J = 7.6 Hz, 4H), 2.77 (t, J = 5.8 Hz, 4H), 5.28-5.43 (m, 8H).
【0143】
参考例2
メチルジ((Z)-ヘキサデカ-9-エニル)アミン (化合物2)
参考例1と同様の方法で、メチルアミン(Aldrich社製、約2 mol/Lテトラヒドロフラン溶液、10.0 mL、20.0 mmol)および(Z)-ヘキサデカ-9-エニル メタンスルホナート(Nu-Chek Prep,Inc社製, 1.21 g, 3.80 mmol)を用い、化合物2(0.491 g, 51.6 %)を得た。
ESI-MS m/z: 477 (M + H)
+;
1H-NMR (CDCl
3) δ: 0.88 (t, J = 6.7 Hz, 6H), 1.29 (br s, 36H), 1.46-1.57 (m, 4H), 1.97-2.05 (m, 8H), 2.33 (s, 3H), 2.45 (t, J = 7.9 Hz, 4H), 5.29-5.41 (m, 4H).
【0144】
参考例3
メチルジ((11Z,14Z)-イコサ-11,14-ジエニル)アミン (化合物3)
参考例1と同様の方法で、メチルアミン(Aldrich社製、約2 mol/Lテトラヒドロフラン溶液、16.0 mL、32.0 mmol)および(11Z,14Z)-イコサ-11,14-ジエニル メタンスルホナート(Nu-Chek Prep,Inc社製, 2.98 g, 8.00 mmol)を用い、化合物3(1.27 g, 54.4%)を得た。
ESI-MS m/z: 585 (M + H)
+;
1H-NMR (CDCl
3) δ: 0.89 (t, J = 6.7 Hz, 6H), 1.27 (br s, 40H), 1.39-1.51 (m, 4H), 2.01-2.09 (m, 8H), 2.20 (s, 3H), 2.30 (t, J = 7.6 Hz, 4H), 2.79 (d, J = 6.3 Hz, 4H), 5.28-5.43 (m, 8H).
【0145】
参考例4
ジ((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエニル)アミン (化合物4)
参考例1と同様の方法で、アンモニア(東京化成工業社製、約2 mol/Lメタノール溶液、18.0 mL、36.0 mmol)および(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエニル メタンスルホナート(Nu-Chek Prep,Inc社製, 2.79 g, 8.10 mmol)を用い、化合物4(0.838 g, 36.2%)を得た。
ESI-MS m/z: 515 (M + H)
+;
1H-NMR (CDCl
3) δ: 0.89 (t, J = 6.9 Hz, 6H), 1.30 (br s, 33H), 1.41-1.54 (m, 4H), 2.01-2.09 (m, 8H), 2.59 (t, J = 7.2 Hz, 4H), 2.77 (t, J = 5.6 Hz, 4H), 5.28-5.43 (m, 8H).
【0146】
参考例5
ジ((Z)-オクタデカ-9-エニル)アミン (化合物5)
参考例1と同様の方法で、アンモニア(東京化成工業社製、約2 mol/Lメタノール溶液、12.0 mL、24.0 mmol)および(Z)-オクタデカ-9-エニル メタンスルホナート(Nu-Chek Prep,Inc社製, 1.87 g, 5.40 mmol)を用い、化合物5(0.562 g, 36.2%)を得た。
ESI-MS m/z: 519 (M + H)
+;
1H-NMR (CDCl
3) δ: 0.88 (t, J = 6.7 Hz, 6H), 1.29 (br s, 45H), 1.41-1.52 (m, 4H), 1.97-2.05 (m, 8H), 2.58 (t, J = 7.2 Hz, 4H), 5.28-5.40 (m, 4H).
【0147】
参考例6
メチルジ((Z)-オクタデカ-9-エニル)アミン (化合物6)
参考例1と同様の方法で、メチルアミン(Aldrich社製、約2 mol/Lテトラヒドロフラン溶液、11.2 mL、22.4 mmol)および(Z)-オクタデカ-9-エニル メタンスルホナート(Nu-Chek Prep,Inc社製, 2.11 g, 6.09 mmol)を用い、化合物6(1.20 g, 70.2 %)を得た。
ESI-MS m/z: 533 (M + H)
+;
1H-NMR (CDCl
3) δ: 0.88 (t, J = 6.6 Hz, 6H), 1.27 (br s, 44H), 1.39-1.50 (m, 4H), 1.97-2.06 (m, 8H), 2.20 (s, 3H), 2.30 (t, J = 7.6 Hz, 4H), 5.28-5.40 (m, 4H).
【0148】
参考例7 trans-1-(tert-ブトキシカルボニル)-3,4-ビス(((Z)-オクタデカ-9-エノイルオキシ)メチル)ピロリジン (化合物145)
国際公開第2006/100036号を参考にして合成したtrans-3,4-ビス(ヒドロキシメチル)ピロリジン-1-カルボン酸tert-ブチル(156 mg, 0.674 mmol)をジクロロメタン(6 mL)に溶解させ、オレイン酸(東京化成工業社製、419 mg, 1.48 mmol)、WSCD(国産化学社製、297 mg, 1.55 mmol)、4-ジメチルアミノピリジン(東京化成工業社製、DMAP (20.6 mg, 0.169 mmol)を加え室温で終夜撹拌した。反応液に飽和重曹水を加えて酢酸エチルで抽出した。有機層を水および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/クロロホルム=50/50〜0/100)で精製することにより化合物145 (280 mg, 54.6%)を得た。
ESI-MS m/z: 761 (M + H)
+;
1H-NMR (CDCl
3) δ: 0.88 (t, J = 6.6 Hz, 6H), 1.25-1.46 (m, 36H), 1.46 (s, 9H), 1.46-1.66 (m, 8H), 1.97-2.04 (m, 8H), 2.27-2.38 (m, 6H), 3.10-3.23 (m, 2H), 3.53-3.66 (m, 2H), 4.03 (dd, J = 10.8, 6.0 Hz, 2H), 4.14 (dd, J = 10.8, 6.0 Hz, 2H), 5.28-5.40 (m, 4H).
【0149】
参考例8 trans-1-(tert-ブトキシカルボニル)-3,4-ビス(((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエノイルオキシ)メチル)ピロリジン (化合物146)
参考例7と同様の方法で、国際公開第2006/100036号を参考にして合成したtrans-3,4-ビス(ヒドロキシメチル)ピロリジン-1-カルボン酸tert-ブチル(150 mg, 0.674 mmol)およびリノール酸(アルドリッチ社製、400 mg, 1.48 mmol)を用い、化合物146 (351 mg, 71.7%)を得た。
ESI-MS m/z: 757 (M + H)
+;
1H-NMR (CDCl
3) δ: 0.89 (t, J = 6.8 Hz, 6H), 1.21-1.45 (m, 26H), 1.46 (s, 9H), 1.47-1.68 (m, 6H), 2.05 (q, J = 6.7 Hz, 8H), 2.26-2.38 (m, 6H), 2.77 (t, J = 5.9 Hz, 4H), 3.10-3.23 (m, 2H), 3.53-3.66 (m, 2H), 4.03 (dd, J = 11.0, 6.0 Hz, 2H), 4.14 (dd, J = 11.0, 6.0 Hz, 2H), 5.28-5.43 (m, 8H).
【0150】
参考例9 trans-3,4-ビス(((Z)-オクタデカ-9-エノイルオキシ)メチル)ピロリジン(化合物110)
参考例7で得られた化合物145 (278 mg, 0.366 mmol)をジクロロメタン(6 mL)に溶解させ、トリフルオロ酢酸(0.563 mL, 7.31 mmol)を加え室温で3時間撹拌した。反応混合物に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、水層をクロロホルムで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後ろ過し、減圧下濃縮した。得られた残渣を少量のメタノールに溶解し、プラスチックカラムに充填したBONDESIL-SCX(ヴァリアン(VARIAN)社製、6 g)の上部に吸着させ、メタノールで洗浄し、次いでアンモニア・メタノール溶液(東京化成工業社製、2 mol/L)で目的物を溶出させた。目的物を含むフラクションを減圧下濃縮することで化合物110 (162 mg, 67.2%)を得た。
ESI-MS m/z: 661 (M + H)
+;
1H-NMR (CDCl
3) δ: 0.88 (t, J = 6.6 Hz, 6H), 1.27-1.35 (m, 40H), 1.56-1.64 (m, 4H), 2.01 (q, J = 5.9 Hz, 8H), 2.09-2.16 (m, 2H), 2.30 (t, J = 7.5 Hz, 4H), 2.72 (dd, J = 11.3, 5.5 Hz, 2H), 3.11 (dd, J = 11.3, 7.1 Hz, 2H), 3.99-4.12 (m, 4H), 5.29-5.40 (m, 4H).
【0151】
参考例10 trans-3,4-ビス(((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエノイルオキシ)メチル)ピロリジン(化合物111)
参考例9と同様の方法で、参考例8で得られた化合物146(350 mg, 0.463 mmol)を用い、化合物111 (224 mg, 73.6%)を得た。
ESI-MS m/z: 657 (M + H)
+;
1H-NMR (CDCl
3) δ: 0.89 (t, J = 6.8 Hz, 6H), 1.26-1.40 (m, 28H), 1.57-1.66 (m, 4H), 2.05 (q, J = 6.6 Hz, 8H), 2.09-2.17 (m, 2H), 2.31 (t, J = 7.5 Hz, 4H), 2.72 (dd, J = 11.3, 6.0 Hz, 2H), 2.77 (t, J = 6.2 Hz, 4H), 3.11 (dd, J = 11.3, 7.3 Hz, 2H), 3.99-4.13 (m, 4H), 5.28-5.43 (m, 8H).
【0152】
参考例11 trans-1-メチル-3,4-ビス(((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエノイルオキシ)メチル)ピロリジン(化合物117)
参考例10で得られた化合物111 (80 mg, 0.12 mmol)を1,2-ジクロロエタン(1.5 mL)、メタノール(1.5 mL)に溶解させ、ホルムアルデヒド(0.091 mL, 1.22 mmol)、ナトリウムトリアセトキシボロヒドリド(アクロス・オーガニクス(Acros Organics)社製、129 mg, 0.610 mmol)を複数回にわたって加え室温で1.5時間撹拌した。反応溶液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、水層を酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後ろ過し、減圧下濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (クロロホルム/メタノール=100/0〜93/7)で精製することで化合物117 (66 mg, 81%)を得た。
ESI-MS m/z: 671 (M + H)
+;
1H-NMR (CDCl
3) δ: 0.89 (t, J = 6.8 Hz, 6H), 1.25-1.40 (m, 28H), 1.57-1.66 (m, 4H), 2.05 (q, J = 6.7 Hz, 8H), 2.13-2.24 (m, 2H), 2.27-2.37 (m, 9H), 2.66 (dd, J = 9.2, 7.3 Hz, 2H), 2.77 (t, J = 5.7 Hz, 4H), 3.99-4.12 (m, 4H), 5.28-5.43 (m, 8H).
【0153】
参考例12 trans-1-メチル-3,4-ビス(((Z)-オクタデカ-9-エノイルオキシ)メチル)ピロリジン(化合物116)
参考例11と同様の方法で、参考例9で得られた化合物110 (50 mg, 0.076 mmol)を用い、化合物116 (47 mg, 92%)を得た。
ESI-MS m/z: 675 (M + H)
+;
1H-NMR (CDCl
3) δ: 0.88 (t, J = 6.6 Hz, 6H), 1.26-1.35 (m, 40H), 1.56-1.65 (m, 4H), 2.01 (q, J = 5.5 Hz, 8H), 2.15-2.24 (m, 2H), 2.27-2.37 (m, 9H), 2.67 (dd, J = 9.3, 7.1 Hz, 2H), 3.99-4.12 (m, 4H), 5.29-5.40 (m, 4H).
【0154】
参考例13 trans-1-メチル-3,4-ビス(((Z)-ヘキサデカ-9-エノイルオキシ)メチル)ピロリジン(化合物118)
国際公開第2011/136368号記載の方法(参考例16)によって得られる(trans-1-ベンジルピロリジン-3,4-ジイル)ジメタノール(2.06 g, 9.31 mmol)のメタノール(3 mL)溶液にヨウ化メチル(東京化成工業社製、26.4 g, 186 mmol)を加え、室温で2時間攪拌した。反応液を減圧下濃縮した。残渣を陰イオン交換樹脂(Dowex 1x-200 塩化物型(ザ・ダウ・ケミカル・カンパニー(The Dow Chemical Company)社製)、約30 mL、水とメタノールでプレ洗浄したもの)にロードし、メタノールで溶出した。溶出液を減圧下濃縮した。残渣に酢酸エチルを加え、生じた結晶をろ取することでtrans-1-ベンジル-3,4-ビス(ヒドロキシメチル)-1-メチルピロリジニウム塩化物(2.53 g, 定量的収率)を得た。
ESI-MS m/z: 236 M
+;
1H-NMR (CDCl
3) δ: 2.67 (m, 2H), 3.08 (s, 3H), 3.28-3.45 (m, 4H), 3.53-3.98 (m, 6H), 4.63 (s, 2H), 7.49-7.63 (m, 5H).
得られたtrans-1-ベンジル-3,4-ビス(ヒドロキシメチル)-1-メチルピロリジニウム塩化物(2.53 g, 9.31 mmol)にパラジウム炭素(約10%含水、0.495 g, 0.465 mmol)とメタノール(25 mL)を加えて、水素ガス雰囲気下50℃で3時間加熱攪拌した。反応液をセライトろ過し、メタノールで洗浄した。ろ液をあわせて減圧下濃縮することで、trans-3,4-ビス(ヒドロキシメチル)-1-メチルピロリジン塩酸塩(1.71 g, 定量的収率)を得た。
ESI-MS m/z: 146 (M+H)
+;
1H-NMR (CDCl
3) δ: 2.42 (m, 2H), 2.89 (s, 3H), 3.22-3.42 (m, 4H), 3.44-3.69 (m, 6H).
得られたtrans-3,4-ビス(ヒドロキシメチル)-1-メチルピロリジン塩酸塩(200 mg, 1.10 mmol)のクロロホルム(8 ml)溶液に(Z)-ヘキサデカ-9-エン酸(東京化成工業社製, 616 mg, 2.422 mmol)、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド・塩酸塩(同仁堂社製485 mg, 2.53 mmol)、トリエチルアミン(東京化成工業社製、0.614 ml, 4.40 mmol)および4-ジメチルアミノピリジン(東京化成工業社製33.6 mg, 0.275 mmol) を加えて室温で終夜撹拌した。反応液に飽和重曹水を加え、クロロホルムで抽出した。有機層を合わせて飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過し、減圧下濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(メタノール/クロロホルム=0/100〜2/98)で精製し、化合物118(163 mg, 24%)を得た。
ESI-MS m/z: 146 (M+H)
+;
1H-NMR (CDCl
3) δ: 0.88 (t, J = 6.6 Hz, 6H), 1.26-1.31 (m, 34H), 1.56-1.64 (m, 4H), 1.97-2.03 (m, 8H), 2.15-2.23 (m, 2H), 2.27-2.38 (m, 9H), 2.67 (dd, J = 9.3, 7.1 Hz, 2H), 3.99-4.12 (m, 4H), 5.29-5.40 (m, 4H).
【0155】
比較例1
参考例1で得られた化合物1を用いて、以下のように製剤を製造した。用いた核酸は、センス鎖[5'-mGmGAAGCUGGCGAUUAUGCAGAUUmUmA-3'(mが付された塩基に結合する糖は、2’-O-メチルで置換されているリボースである)]と、アンチセンス鎖[5'-UAAAUCUGCAUAAUCGCCAGCUUCC-3'(5’末端をリン酸化してある)]の塩基配列からなる、CKAP5遺伝子の発現を抑制するCKAP5 siRNAであり、ニッポンイージーティー社、ジーンデザイン社、インビトロジェン社または北海道システムサイエンス社より、アニール済みの凍結乾燥siRNAを入手し、蒸留水で溶解させることによって24 mg/mLに調製した(以下CKAP5 siRNA溶液という)。
化合物1/1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-(メトキシ(ポリエチレングリコール)-2000)ナトリウム塩(PEG-DMPE Na、N-(カルボニルメトキシポリエチレングリコール2000)-1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン=ナトリウム塩、日油社製)=57.26/5.521 mmol/Lとなるように塩酸およびエタノールを含有する水溶液に懸濁させ、vortex攪拌ミキサーで攪拌および、加温を繰り返して均一な懸濁液を得た。この懸濁液を室温下で0.2 μmのポリカーボネートメンブランフィルターおよび0.05 μmのポリカーボネートメンブランフィルターに通し、リード粒子の分散液を得た。Dynamic light scattering (DLS)で得られたリード粒子の平均粒子径を測定し、30 nmから100 nmの範囲内であることを確認した。得られたリード粒子の分散液に、CKAP5siRNA 溶液を、3:1の割合で混合し、さらに3倍量の蒸留水を加えて混合することでカチオン性脂質/核酸複合体粒子の分散液を調製した。
一方、化合物1/1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-(メトキシ(ポリエチレングリコール)-2000)ナトリウム塩(PEG-DSPE Na、N-(カルボニルメトキシポリエチレングリコール2000)-1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン=ナトリウム塩、日油社製)/ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、日油社製)/コレステロール(日油社製)=8.947/2.943/5.707/11.83 mmol/Lとなるように、各試料を秤量し90 vol%エタノールに溶解させ、脂質膜構成成分の溶液を調製した。
得られた脂質膜構成成分の溶液を加温した後、得られたカチオン性脂質/核酸複合体粒子の分散液を、1:1の割合で混合し、さらに数倍量の蒸留水を混合し、粗製剤を得た。
得られた粗製剤はアミコンウルトラ(Millipore社製)を用いて濃縮し、さらに生理食塩水(生食)に置換し、0.2 μmのフィルター(東洋濾紙社製)を用いてクリーンベンチ内でろ過した。さらに得られた製剤のsiRNA濃度を測定し、siRNA濃度で1.0 mg/mLとなるように生食を用いて希釈した。該製剤中の脂質ナノ粒子の平均粒子径は86.0 nmであった。
【実施例1】
【0156】
参考例1で得られた化合物1と参考例11で得られた化合物117を用いて、以下のように製剤を製造した。
比較例1と同様にしてCKAP5 siRNAならびにリード粒子から、カチオン性脂質/核酸複合体粒子の分散液を調製した。
一方、化合物1/化合物117/1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-(メトキシ(ポリエチレングリコール)-2000)ナトリウム塩(PEG-DSPE Na、N-(カルボニルメトキシポリエチレングリコール2000)-1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン=ナトリウム塩、日油社製)/ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、日油社製)/コレステロール(日油社製)=2.982/5.965/2.943/5.707/11.83 mmol/Lとなるように、各試料を秤量し90 vol%エタノールに溶解させ、脂質膜構成成分の溶液を調製した。
得られた脂質膜構成成分の溶液を加温した後、得られたカチオン性脂質/核酸複合体粒子の分散液を、1:1の割合で混合し、さらに数倍量の蒸留水を混合し、粗製剤を得た。
得られた粗製剤はアミコンウルトラ(Millipore社製)を用いて濃縮し、さらに生理食塩水(生食)に置換し、0.2 μmのフィルター(東洋濾紙社製)を用いてクリーンベンチ内でろ過した。さらに得られた製剤のsiRNA濃度を測定し、siRNA濃度で1.0 mg/mLとなるように生食を用いて希釈した。粒子径測定装置(Zetasizer Nano ZS、マルバーン(Malvern)社製)で製剤中の脂質ナノ粒子の粒子径を測定した結果、該製剤中の脂質ナノ粒子の平均粒子径は93.9 nmであった。
【0157】
試験例1
実施例1で得られた製剤(化合物1、化合物117および核酸を含有する脂質ナノ粒子)および比較例1で得られた製剤(化合物1および核酸を含有する脂質ナノ粒子)を、それぞれ以下の方法によりインビボ mRNAノックダウン評価試験を実施した。
ヒト膵臓癌由来細胞株であるMIA PaCa-2はJCRB細胞バンクより受領し、10%非働化ウシ胎仔血清(GIBCO社製)及び1vol%ペニシリン‐ストレプトマイシン(ナカライテスク社製、26253-84)を含む高グルコース含有DMEM(GIBCO社製, 11995-073)で37℃、5%CO
2条件下で培養した。MIA PaCa-2を(1×10
8 cells / mLの濃度となるようにPBSに懸濁し、この細胞懸濁液100 μLをSCIDマウス(日本クレアより入荷)の背部皮下に移植した(1×10
7 cells /0.1mL PBS /head)。移植6日後、腫瘍体積を指標に一群3匹として群分けを行い、実施例1および比較例1で得られた製剤を10 mg/kg(10mL/kg)でマウスに静脈内投与した。陰性対照として生理食塩水を使用し、10mL/kgで投与した。投与前及び投与48時間後にマウスの体重を測定した。体重測定後にマウスを安楽死させ、皮下腫瘍を摘出した。摘出した腫瘍は直ちに液体窒素で凍結し、使用するまで-80℃に保存した。
得られた腫瘍サンプルについて、サンプルの入った2 mL丸底tubeに1 mLのTrizol reagent (インビトロジェン(Invitrogen)製, 15596-018)及び5mmのジルコニアビーズを添加し、Tissue lyser II (キアゲン(QIAGEN)製)にて1/25 freq, 1.5 min x 2回の条件で破砕した。破砕後遠心(10000 rpm, 10 min)し上清を回収、200 μLのクロロホルムを添加し激しく攪拌後再び遠心(15000 rpm, 15 min)した。得られた上清200 μLから自動核酸抽出機MagNA PURE 96 (ロシュ(Roche)製)にて、Cellular RNA Large Volume Kit (ロシュ(Roche)製, 5467535)を用いてRNAを抽出した。抽出したRNA濃度を微量吸光光度計Dropsense96 (トリニアン(Trinean)製)にて測定、200-1000 ng相当のRNAをTranscriptor (ロシュ(Roche)製、4897030)を用いて逆転写を行った。反応液組成、反応条件は添付文書に従った。得られたcDNAサンプルをdH2Oで10倍希釈し、qPCRの鋳型として用いた。qPCR反応にはTaqMan Gene Expression Master Mix (アプライドバイオシステムズ(Applied Biosystems)製, 4369542), TaqMan Gene Expression Assays(アプライドバイオシステムズ(Applied Biosystems)製, 4331182)を用いた。PCR反応の条件はTaqMan Gene Expression添付の使用説明書に従った。検体のmRNA量は、生理食塩水投与群における、CKAP5のmRNA量を1としたときの相対的な割合として算出した。
図1に、実施例1および比較例1で得られた各製剤について、それぞれsiRNA 10 mg/kg投与後48時間後の腫瘍中CKAP5 mRNA量を示す。縦軸は生理食塩水処置群を1としたCKAP5 mRNA量の相対値を示す。
【0158】
図1から明らかなように、実施例1および比較例1で得られた製剤は、それぞれインビボで薬効評価試験した結果は、極めて強くCKAP5遺伝子の発現を抑制し、インビボでの作用が予想外に強く、いずれもインビボの薬物送達のための脂質ナノ粒子として有用であるという、当業者が予想しない効果を有することが明らかとなった。特に、腫瘍にインビボの薬物送達のための脂質ナノ粒子として有用であるという、より予想できない効果を有することが明らかとなった。
また、
図1から明らかなように、実施例1で得られた製剤(化合物1、化合物117および核酸を含有する脂質ナノ粒子)は、インビボで腫瘍の細胞内に薬物送達することを容易にする化合物1に、化合物117が混合されて、化合物1の使用量が減っているにもかかわらず、比較例1で得られた製剤(化合物1および核酸を含有する脂質ナノ粒子)と比べて、インビボで薬効評価試験した結果は、同程度に極めて強くCKAP5遺伝子の発現を抑制し、抗腫瘍作用が強い。
よって、化合物(I)および化合物(II)を含有する脂質ナノ粒子は、化合物(I)の使用量が減っているにもかかわらず、化合物(I)のインビボで腫瘍の細胞内に薬物送達することを容易にする作用を減弱しないという予想外の作用を有することが明らかとなった。また、インビボで腫瘍の細胞内に薬物送達することを容易にする作用を減弱せずに、化合物(I)の使用量が減らせることにより、化合物(I)に起因する毒性作用は減少することができるので、インビボの薬物送達のための脂質ナノ粒子としてより有用であるという、当業者が予想しない効果を有することが明らかとなった。
【0159】
試験例2
実施例1で得られた製剤(化合物1、化合物117および核酸を含有する脂質ナノ粒子)を、以下の方法により腫瘍増殖評価試験を実施した。
試験例1と同様にして、膵臓癌由来細胞株であるMIA PaCa-2をSCIDマウスに移植したゼノグラフトモデルを用いて実施した。腫瘍体積を指標に一群6匹となるように群分けを実施(Day0)し、Day0及びDay7に実施例1で得られた製剤を10 mg/kg(10mL/kg)で静脈内投与した。生理食塩水は10mL/kgとして投与した。各個体の腫瘍径を、Day0からDay14まで測定し、以下の式を用いて腫瘍体積、体積比を算出した。
(数1)
腫瘍体積(mm
3)= 長径(mm)×短径(mm)×短径(mm)× 0.5
(数2)
体積比(V/V0)=各時点の腫瘍体積(mm
3)÷ Day0の腫瘍体積(mm
3)
図2に、0日目および7日目に10 mg/kg投与した際の腫瘍体積の推移を示す。縦軸は0日目を1とした腫瘍体積の相対値を示す。横軸は実験開始後の経過日数を示す。
【0160】
図2から明らかなように、実施例1で得られた製剤(CKAP5遺伝子の発現を抑制するCKAP5 siRNAと、化合物1および化合物117を含有する脂質ナノ粒子)を、インビボで薬効評価試験した結果は、抗腫瘍作用が強かった。
よって、本発明の脂質ナノ粒子は、核酸を細胞内等に導入することができ、化合物(I)および化合物(II)を含有する脂質ナノ粒子は、インビボで細胞内に良好に薬物送達する、優れた脂質ナノ粒子であることが明らかとなった。
【0161】
比較例2
参考例1で得られた化合物1を用いて、以下のように製剤を製造した。用いた核酸は、市販のEg5遺伝子の発現を抑制するEg5 siRNA(インビトロジェン社製、カタログ番号 HSS105842)であり、センス鎖に5'-CCCAUCAACACUGGUAAGAACUGAA-3'の塩基配列を含み、アンチセンス鎖に5'-UUCAGUUCUUACCAGUGUUGAUGGG-3'の塩基配列を含む。インビトロジェン社より、アニール済みの凍結乾燥siRNAを入手し、蒸留水で溶解させることによって24 mg/mLに調製した(以下Eg5 siRNA溶液という)。
化合物1/1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-(メトキシ(ポリエチレングリコール)-2000)ナトリウム塩(PEG-DMPE Na、N-(カルボニルメトキシポリエチレングリコール2000)-1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン=ナトリウム塩、日油社製)=57.26/5.521 mmol/Lとなるように塩酸およびエタノールを含有する水溶液に懸濁させ、vortex攪拌ミキサーで攪拌および、加温を繰り返して均一な懸濁液を得た。この懸濁液を室温下で0.2 μmのポリカーボネートメンブランフィルターおよび0.05 μmのポリカーボネートメンブランフィルターに通し、リード粒子の分散液を得た。Dynamic light scattering (DLS)で得られたリード粒子の平均粒子径を測定し、30 nmから100 nmの範囲内であることを確認した。得られたリード粒子の分散液に、Eg5siRNA 溶液を、3:1の割合で混合し、さらに3倍量の蒸留水を加えて混合することでカチオン性脂質/核酸複合体粒子の分散液を調製した。
一方、化合物1/1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-(メトキシ(ポリエチレングリコール)-2000)ナトリウム塩(PEG-DSPE Na、N-(カルボニルメトキシポリエチレングリコール2000)-1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン=ナトリウム塩、日油社製)/ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、日油社製)/コレステロール(日油社製)=8.947/2.943/5.707/11.83 mmol/Lとなるように、各試料を秤量し90 vol%エタノールに溶解させ、脂質膜構成成分の溶液を調製した。
得られた脂質膜構成成分の溶液を加温した後、得られたカチオン性脂質/核酸複合体粒子の分散液を、1:1の割合で混合し、さらに数倍量の蒸留水を混合し、粗製剤を得た。
得られた粗製剤はアミコンウルトラ(Millipore社製)を用いて濃縮し、さらに生理食塩水(生食)に置換し、0.2 μmのフィルター(東洋濾紙社製)を用いてクリーンベンチ内でろ過した。さらに得られた製剤のsiRNA濃度を測定し、siRNA濃度で1.0 mg/mLとなるように生食を用いて希釈した。該製剤中の脂質ナノ粒子の平均粒子径は80.3 nmであった。
【実施例2】
【0162】
参考例1で得られた化合物1と参考例11で得られた化合物117を用いて、以下のように製剤を製造した。
比較例2と同様にしてEg5 siRNAならびにリード粒子から、カチオン性脂質/核酸複合体粒子の分散液を調製した。
一方、化合物1/化合物117/1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-(メトキシ(ポリエチレングリコール)-2000)ナトリウム塩(PEG-DSPE Na、N-(カルボニルメトキシポリエチレングリコール2000)-1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン=ナトリウム塩、日油社製)/ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、日油社製)/コレステロール(日油社製)=2.982/5.965/2.943/5.707/11.83 mmol/Lとなるように、各試料を秤量し90 vol%エタノールに溶解させ、脂質膜構成成分の溶液を調製した。
得られた脂質膜構成成分の溶液を加温した後、得られたカチオン性脂質/核酸複合体粒子の分散液を、1:1の割合で混合し、さらに数倍量の蒸留水を混合し、粗製剤を得た。
得られた粗製剤はアミコンウルトラ(Millipore社製)を用いて濃縮し、さらに生理食塩水(生食)に置換し、0.2 μmのフィルター(東洋濾紙社製)を用いてクリーンベンチ内でろ過した。さらに得られた製剤のsiRNA濃度を測定し、siRNA濃度で1.0 mg/mLとなるように生食を用いて希釈した。該製剤中の脂質ナノ粒子の平均粒子径は80.5 nmであった。
【実施例3】
【0163】
参考例1で得られた化合物1と参考例11で得られた化合物117を用いて、以下のように製剤を製造した。
比較例2と同様にしてEg5 siRNAならびにリード粒子から、カチオン性脂質/核酸複合体粒子の分散液を調製した。
一方、化合物117/1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-(メトキシ(ポリエチレングリコール)-2000)ナトリウム塩(PEG-DSPE Na、N-(カルボニルメトキシポリエチレングリコール2000)-1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン=ナトリウム塩、日油社製)/ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、日油社製)/コレステロール(日油社製)=8.947/2.943/5.707/11.83 mmol/Lとなるように、各試料を秤量し90 vol%エタノールに溶解させ、脂質膜構成成分の溶液を調製した。
得られた脂質膜構成成分の溶液を加温した後、得られたカチオン性脂質/核酸複合体粒子の分散液を、1:1の割合で混合し、さらに数倍量の蒸留水を混合し、粗製剤を得た。
得られた粗製剤はアミコンウルトラ(Millipore社製)を用いて濃縮し、さらに生理食塩水(生食)に置換し、0.2 μmのフィルター(東洋濾紙社製)を用いてクリーンベンチ内でろ過した。さらに得られた製剤のsiRNA濃度を測定し、siRNA濃度で1.0 mg/mLとなるように生食を用いて希釈した。該製剤中の脂質ナノ粒子の平均粒子径は79.6 nmであった。
【実施例4】
【0164】
参考例1で得られた化合物1と参考例12で得られた化合物116を用いて、以下のように製剤を製造した。
比較例2と同様にしてEg5 siRNAならびにリード粒子から、カチオン性脂質/核酸複合体粒子の分散液を調製した。
一方、化合物116/1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-(メトキシ(ポリエチレングリコール)-2000)ナトリウム塩(PEG-DSPE Na、N-(カルボニルメトキシポリエチレングリコール2000)-1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン=ナトリウム塩、日油社製)/ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、日油社製)/コレステロール(日油社製)=8.947/2.943/5.707/11.83 mmol/Lとなるように、各試料を秤量し90 vol%エタノールに溶解させ、脂質膜構成成分の溶液を調製した。
得られた脂質膜構成成分の溶液を加温した後、得られたカチオン性脂質/核酸複合体粒子の分散液を、1:1の割合で混合し、さらに数倍量の蒸留水を混合し、粗製剤を得た。
得られた粗製剤はアミコンウルトラ(Millipore社製)を用いて濃縮し、さらに生理食塩水(生食)に置換し、0.2 μmのフィルター(東洋濾紙社製)を用いてクリーンベンチ内でろ過した。さらに得られた製剤のsiRNA濃度を測定し、siRNA濃度で1.0 mg/mLとなるように生食を用いて希釈した。該製剤中の脂質ナノ粒子の平均粒子径は77.6 nmであった。
【実施例5】
【0165】
参考例1で得られた化合物1と参考例13で得られた化合物118を用いて、以下のように製剤を製造した。
比較例2と同様にしてEg5 siRNAならびにリード粒子から、カチオン性脂質/核酸複合体粒子の分散液を調製した。
一方、化合物118/1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-(メトキシ(ポリエチレングリコール)-2000)ナトリウム塩(PEG-DSPE Na、N-(カルボニルメトキシポリエチレングリコール2000)-1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン=ナトリウム塩、日油社製)/ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、日油社製)/コレステロール(日油社製)=8.947/2.943/5.707/11.83 mmol/Lとなるように、各試料を秤量し90 vol%エタノールに溶解させ、脂質膜構成成分の溶液を調製した。
得られた脂質膜構成成分の溶液を加温した後、得られたカチオン性脂質/核酸複合体粒子の分散液を、1:1の割合で混合し、さらに数倍量の蒸留水を混合し、粗製剤を得た。
得られた粗製剤はアミコンウルトラ(Millipore社製)を用いて濃縮し、さらに生理食塩水(生食)に置換し、0.2 μmのフィルター(東洋濾紙社製)を用いてクリーンベンチ内でろ過した。さらに得られた製剤のsiRNA濃度を測定し、siRNA濃度で1.0 mg/mLとなるように生食を用いて希釈した。該製剤中の脂質ナノ粒子の平均粒子径は81.6 nmであった。
【0166】
試験例3
実施例2〜5で得られた製剤(化合物1、および化合物117、116または118ならびに核酸を含有する脂質ナノ粒子)および比較例2で得られた製剤(化合物1および核酸を含有する脂質ナノ粒子)を、それぞれ以下の方法によりインビボ mRNAノックダウン評価試験を実施した。
試験例1と同様にして、膵臓癌由来細胞株であるMIA PaCa-2をSCIDマウスに移植したゼノグラフトモデルを用いて実施した。移植6日後、腫瘍体積を指標に一群3匹として群分けを行い、実施例2〜5および比較例1で得られた製剤を10 mg/kg(10mL/kg)でマウスに静脈内投与した。陰性対照として生理食塩水を使用し、10mL/kgで投与した。投与前及び投与48時間後にマウスの体重を測定した。体重測定後にマウスを安楽死させ、皮下腫瘍を摘出した。摘出した腫瘍は直ちに液体窒素で凍結し、使用するまで-80℃に保存した。
得られた腫瘍サンプルについて、サンプルの入った2 mL丸底tubeに1 mLのTrizol reagent (インビトロジェン(Invitrogen)製, 15596-018)及び5mmのジルコニアビーズを添加し、Tissue lyser II (キアゲン(QIAGEN)製)にて1/25 freq, 1.5 min x 2回の条件で破砕した。破砕後遠心(10000 rpm, 10 min)し上清を回収、200 μLのクロロホルムを添加し激しく攪拌後再び遠心(15000 rpm, 15 min)した。得られた上清200 μLから自動核酸抽出機MagNA PURE 96 (ロシュ(Roche)製)にて、Cellular RNA Large Volume Kit (ロシュ(Roche)製, 5467535)を用いてRNAを抽出した。抽出したRNA濃度を微量吸光光度計Dropsense96 (トリニアン(Trinean)製)にて測定、200-1000 ng相当のRNAをTranscriptor (ロシュ(Roche)製、4897030)を用いて逆転写を行った。反応液組成、反応条件は添付文書に従った。得られたcDNAサンプルをdH2Oで10倍希釈し、qPCRの鋳型として用いた。qPCR反応にはTaqMan Gene Expression Master Mix (アプライドバイオシステムズ(Applied Biosystems)製, 4369542), TaqMan Gene Expression Assays(アプライドバイオシステムズ(Applied Biosystems)製, 4331182)を用いた。PCR反応の条件はTaqMan Gene Expression添付の使用説明書に従った。検体のmRNA量は、生理食塩水投与群における、Eg5のmRNA量を1としたときの相対的な割合として算出した。
図3に、実施例2〜5および比較例2で得られた各製剤について、それぞれsiRNA 10 mg/kg投与後48時間後の腫瘍中Eg5 mRNA量を示す。縦軸は生理食塩水処置群を1としたEg5 mRNA量の相対値を示す。
【0167】
図3から明らかなように、実施例2〜5および比較例1で得られた製剤は、それぞれインビボで薬効評価試験した結果は、極めて強くEg5遺伝子の発現を抑制し、インビボでの作用が予想外に強く、いずれもインビボの薬物送達のための脂質ナノ粒子として有用であるという、当業者が予想しない効果を有することが明らかとなった。特に、腫瘍にインビボの薬物送達のための脂質ナノ粒子として有用であるという、より予想できない効果を有することが明らかとなった。
また、
図3から明らかなように、実施例2〜5で得られた製剤(化合物1、および化合物117、116または118ならびに核酸を含有する脂質ナノ粒子)は、インビボで腫瘍の細胞内に薬物送達することを容易にする化合物1に、化合物117、116または118が混合されて、化合物1の使用量が減っているにもかかわらず、比較例1で得られた製剤(化合物1および核酸を含有する脂質ナノ粒子)と比べて、インビボで薬効評価試験した結果は、同程度に極めて強くEg5遺伝子の発現を抑制し、抗腫瘍作用が強い。
よって、化合物(I)および化合物(II)を含有する脂質ナノ粒子は、化合物(I)の使用量が減っているにもかかわらず、化合物(I)のインビボで腫瘍の細胞内に薬物送達することを容易にする作用を減弱しないという予想外の作用を有することが明らかとなった。また、インビボで腫瘍の細胞内に薬物送達することを容易にする作用を減弱せずに、化合物(I)の使用量が減らせることにより、化合物(I)に起因する毒性作用は減少することができるので、インビボの薬物送達のための脂質ナノ粒子としてより有用であるという、当業者が予想しない効果を有することが明らかとなった。
【0168】
試験例4
実施例2で得られた製剤(化合物1、化合物117および核酸を含有する脂質ナノ粒子)を、以下の方法により腫瘍増殖評価試験を実施した。
試験例1と同様にして、膵臓癌由来細胞株であるMIA PaCa-2をSCIDマウスに移植したゼノグラフトモデルを用いて実施した。腫瘍体積を指標に一群5匹となるように群分けを実施(Day0)し、実施例2で得られた製剤を10 mg/kg(10mL/kg)で静脈内投与した。生理食塩水は10 mL/kgとして投与した。各個体の腫瘍径を、Day0からDay15まで測定し、試験例2と同様に腫瘍体積、体積比を算出した。
図4に、0日目に10 mg/kg投与した際の腫瘍体積の推移を示す。縦軸は0日目を1とした腫瘍体積の相対値を示す。横軸は実験開始後の経過日数を示す。
【0169】
図4から明らかなように、実施例2で得られた製剤(Eg5遺伝子の発現を抑制するEg5 siRNAと、化合物1および化合物117を含有する脂質ナノ粒子)を、インビボで薬効評価試験した結果は、抗腫瘍作用が強かった。
よって、本発明の脂質ナノ粒子は、核酸を細胞内等に導入することができ、化合物(I)および化合物(II)を含有する脂質ナノ粒子は、インビボで細胞内に良好に薬物送達する、優れた脂質ナノ粒子であることが明らかとなった。