特許第6182466号(P6182466)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社吉野工業所の特許一覧

<>
  • 特許6182466-吐出容器 図000002
  • 特許6182466-吐出容器 図000003
  • 特許6182466-吐出容器 図000004
  • 特許6182466-吐出容器 図000005
  • 特許6182466-吐出容器 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6182466
(24)【登録日】2017年7月28日
(45)【発行日】2017年8月16日
(54)【発明の名称】吐出容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 83/00 20060101AFI20170807BHJP
   B65D 83/20 20060101ALI20170807BHJP
   B65D 47/34 20060101ALI20170807BHJP
   B05B 11/00 20060101ALI20170807BHJP
【FI】
   B65D83/00 K
   B65D83/20
   B65D47/34 110
   B05B11/00 101B
   B05B11/00 101E
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-16930(P2014-16930)
(22)【出願日】2014年1月31日
(65)【公開番号】特開2015-143114(P2015-143114A)
(43)【公開日】2015年8月6日
【審査請求日】2016年8月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 一男
【審査官】 長谷川 一郎
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/009017(WO,A1)
【文献】 特開2003−190848(JP,A)
【文献】 特開2004−299727(JP,A)
【文献】 実開昭62−062651(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 83/00
B65D 47/34
B65D 83/20
B05B 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物が収容される容器本体と、
上方付勢状態で前記容器本体に向けて下方移動可能に立設されたステム、及び、径方向外側に向けて延在して先端に内容物が吐出される吐出孔が形成されると共に前後移動可能に配設されたノズル筒を有する吐出ヘッドを備えており、前記容器本体の口部に装着された吐出器と、
前記吐出ヘッドの上方において前記吐出ヘッドに対して下方移動可能に配設された操作ヘッドを有し、前記吐出ヘッドを収容すると共に前記ノズル筒が前後移動に伴って出没する通過孔が形成された外容器と、を備え、
前記操作ヘッドが、当該操作ヘッドの前記吐出ヘッドに対する下降移動に伴って前記ノズル筒に摺接して前記ノズル筒を前方に移動させる操作部と、前記吐出ヘッドを押下する押下部と、を有し、
前記吐出ヘッドが、前方に移動した前記ノズル筒を後方へ復元移動させる付勢部材を有することを特徴とする吐出容器。
【請求項2】
前記操作ヘッドを前記吐出ヘッドに対して上方に復元移動させる第2付勢部材を備えることを特徴とする請求項1に記載の吐出容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吐出容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の吐出容器としては、前方に向けて延在すると共に前後移動可能に配設されたノズル筒を有する吐出ヘッドと、吐出ヘッドを囲み、吐出ヘッドの前後動に伴ってノズル筒が出没する通過孔が形成されたカバー体と、を備えるものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
このような構成の吐出容器では、内容物を吐出する前の待機状態において、ノズル筒をカバー体の内側に収容しているので、ノズル筒が邪魔にならないばかりでなく、吐出容器の外観の悪化を防ぐことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第2539181号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の吐出容器では、内容物を吐出させるために、吐出ヘッドをカバー体に対して前進移動させる操作と、吐出ヘッドを押下する操作と、の双方を行う必要がある。また、内容物を吐出させた後にも、カバー体の内側にノズル筒を収容するために、吐出ヘッドをカバー体に対して手動で後退させる必要がある。そのため、操作性を向上させることに改善の余地があった。
【0005】
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたもので、待機状態においてノズル筒が邪魔にならず、吐出容器の見栄えの悪化を防ぐだけではなく、優れた操作性を有する吐出容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記のような課題を解決するために以下のような手段を採用した。すなわち、本発明の吐出容器は、内容物が収容される容器本体と、上方付勢状態で前記容器本体に向けて下方移動可能に立設されたステム、及び、径方向外側に向けて延在して先端に内容物が吐出される吐出孔が形成されると共に前後移動可能に配設されたノズル筒を有する吐出ヘッドを備えており、前記容器本体の口部に装着された吐出器と、前記吐出ヘッドの上方において前記吐出ヘッドに対して下方移動可能に配設された操作ヘッドを有し、前記吐出ヘッドを収容すると共に前記ノズル筒が前後移動に伴って出没する通過孔が形成された外容器と、を備え、前記操作ヘッドが、当該操作ヘッドの前記吐出ヘッドに対する下降移動に伴って前記ノズル筒に摺接して前記ノズル筒を前方に移動させる操作部と、前記吐出ヘッドを押下する押下部と、を有し、
前記吐出ヘッドが、前方に移動した前記ノズル筒を後方へ復元移動させる付勢部材を有することを特徴とする。
【0007】
この発明では、操作ヘッドを吐出ヘッドに対して押し下げると、操作部がノズル筒を前進させてノズル筒を外容器の通過孔から突出させ、さらに操作ヘッドを吐出ヘッドに対して押し下げると、押下部が吐出ヘッドを押し下げて内容物が吐出孔から吐出される。このように、操作ヘッドを吐出ヘッドに対して押し下げる動作によってノズル筒を通過孔から突出させると共に、吐出ヘッドをステムに対して押し下げて内容物をノズル筒の吐出孔から吐出させることができるので、吐出容器の機構を単純化することができる。
また、操作ヘッドの押し下げ状態を解除すると、付勢部材によってノズル筒が後方に復元移動されて通過孔から後退すると共に、この復元移動に伴って操作ヘッドが上昇する。これにより、ノズル筒を後退移動させる必要がなくなり、操作性が向上する。
【0008】
また、本発明の吐出容器は、前記操作ヘッドを前記吐出ヘッドに対して上方に復元移動させる第2付勢部材を備えてもよい。
この発明では、操作ヘッドの押し下げ状態を解除したときに、操作ヘッドを上方に向けてより確実に復元移動させることができる。
【発明の効果】
【0009】
この発明にかかる吐出容器によれば、内容物を吐出した後にノズル筒を手動で後退移動させる必要がないので、操作性が向上する。また、ノズル筒を通過孔から突出させる動作とノズル筒から内容物を吐出させる動作とを操作ヘッドを押し下げる動作によって連続的に行えるので、吐出容器の機構を単純化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態にかかる吐出容器を示す部分断面図である。
図2図1の吐出容器を示す軸方向断面図である。
図3図1の吐出容器を示すA−A矢視断面図である。
図4図1の吐出容器の使用状態を説明する軸方向断面図である。
図5】同じく、図1の吐出容器の使用状態を説明する軸方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明による吐出容器の一実施形態を、図面に基づいて説明する。なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするために縮尺を適宜変更している。
【0012】
本実施形態における吐出容器1は、図1及び図2に示すように、内容物が収容される有底円筒状の容器本体2と、容器本体2に装着され、内容物を吐出させる吐出器3と、吐出器3を外側から囲む有頂円筒状の外容器4と、を備える。
これら容器本体2及び外容器4は、それぞれの中心軸線を共通軸上に位置した状態で配設されている。以下、この共通軸を容器軸Oと称し、図1において容器軸Oに沿って容器本体2に対する吐出器3側を上側、その反対側を下側とし、この容器軸Oから見た平面視で容器軸Oに直交する方向を径方向、容器軸O回りで周回する方向を周方向と称する。また、径方向に延在している後述するノズル筒43の先端側を前側、その反対側を後側とし、平面視において前後方向に直交する方向を左右方向と称する。
【0013】
容器本体2は、図1に示すように、内容物が収容される円筒状の胴部11と、胴部11の下端部の内側に嵌合された有底円筒状の底部12と、胴部11の内周面に上下摺動可能に嵌合された中皿13と、を有する。
胴部11の上端部には、図2に示すように、吐出器3が装着される口部14が形成されている。また、胴部11の下端部の外径は、図1に示すように、胴部11の上下方向の中央部分よりも縮径しており、胴部11のうちこの縮径した部分の上方には、前方に向けて突出する案内リブ部11Aが設けられている。
【0014】
吐出器3は、図2及び図3に示すように、上方付勢状態で下方移動可能に起立した後述する円筒状のステム26を有する円筒状のポンプ本体21と、ポンプ本体21を容器本体2の口部14に装着させる円筒状の装着キャップ22と、ポンプ本体21に装着された吐出ヘッド23と、を備える。
【0015】
ポンプ本体21は、円筒状のシリンダ25と、シリンダ25に対して上方付勢状態で下方移動可能に立設された円筒状のステム26と、を備える。これらシリンダ25及びステム26は、それぞれの中心軸線を容器軸O上に位置した状態で配設されている。なお、ポンプ本体21は、公知のポンプ機構であるので、その詳細な説明を省略する。また、ポンプ本体21としては、種々のポンプ機構を採用できる。
【0016】
装着キャップ22は、ポンプ本体21のシリンダ25が装着され、上面視で円状の装着筒部31と、装着筒部31の外周縁から上下方向に延在し、下端部が容器本体2の口部14に着脱自在に螺着される円筒状の内周部32と、内周部32よりも径方向外側に配設された円筒状の外周部33と、内周部32及び外周部33の上端同士を接続する上面視で円環板状の接続板部34と、を有する。これら装着筒部31、内周部32、外周部33及び接続板部34は、それぞれの中心軸線を容器軸O上に位置した状態で配設されている。
【0017】
内周部32の前側部分における上側部分には、前方に向けて陥没し、内周部32の上端から装着筒部31との接続部分まで上下方向に延在する案内溝部32Aが形成されている。
外周部33の前側部分には、前方に向けて突出する案内突部33Aが設けられている。また、外周部33の下端は、全周にわたって径方向外側に向けて突出している。案内溝部32A及び案内突部33Aは、それぞれ1つ以上設けられており、複数設ける場合は、周方向に等間隔で配置することが好ましい。
【0018】
吐出ヘッド23は、ステム26の上端に装着されたヘッド本体41と、ヘッド本体41内に収容され、ステム26から流入した内容物が流動する流路42Aが形成された栓筒体42と、栓筒体42に前後摺動可能に外装され、前端に吐出孔43Aが形成されたノズル筒43と、ヘッド本体41内に収容された介装筒44と、ノズル筒43を後方に向けて付勢する第1付勢部材(付勢部材)45と、を備える。
【0019】
ヘッド本体41は、ステム26の上端部に装着された円筒状の内筒部51と、内筒部51よりも径方向外側に配設された円筒状の外筒部52と、内筒部51と外筒部52を繋ぎ、外筒部52よりも前方に向けて延在する円筒状の横筒部53と、を有する。これら内筒部51及び外筒部52は、それぞれの中心軸線を容器軸O上に位置した状態で配設されている。
【0020】
内筒部51の上側部分は、上方から見た径方向の断面視において前方に開口するU字状をなしており、この開口を通して内筒部51の内側と横筒部53の内側とが連通している。なお、内筒部51の上端は、閉塞され、上方に向けては開口していない。
外筒部52の前側部分には、前方に向けて突出する案内リブ部52Aが形成されている。この案内リブ部52Aは、装着キャップ22の案内溝部32Aに収容されており、装着キャップ22に対するヘッド本体41の上下移動を案内すると共に、装着キャップ22に対して吐出ヘッド23が周方向に回転することを規制する。なお、案内リブ部52Aを複数設けても良い。
【0021】
横筒部53は、前後方向に延在する円筒状をなしており、横筒部53の中心軸が容器軸Oと交差するように配設されている。横筒部53の後端には、内筒部51に連結され、横筒部53の後端開口を閉塞する後壁が設けられている。横筒部53の後壁には、後方に向けて延在する一対の案内板部54が設けられている。案内板部54は、内筒部51を挟む左右両側に配設されている。案内板部54は、前後方向から見た上下方向の断面視においてL字状をなしており、案内板部54の下端部は、左右方向で向かい合う他方の案内板部54に向けて突出している。
また、ヘッド本体41の上端には、上方に向けて突出する環状突出部41Aが円状となるように容器軸Oを中心して周方向に間欠的に配設されている。
【0022】
栓筒体42は、下端部が内筒部51内に嵌合され、上下方向に延在する円筒状の直筒部55と、直筒部55の上端部から前方に向けて延在し、前端が閉塞された円筒状の前後筒部56と、を有する。
直筒部55は、その中心軸線を容器軸O上に位置した状態で配設されている。
前後筒部56は、その中心軸線を横筒部53の中心軸上に位置した状態で配設されている。前後筒部56には、ノズル筒43が前後摺動可能に装着されており、ノズル筒43の吐出孔43Aを後方から閉塞する。また、前後筒部56の前端部には、複数の流通孔56Aが前後筒部56の中心軸回りで周回する方向に沿って間隔をあけて形成されている。さらに、前後筒部56のうち流通孔56Aよりも後方の部分には、外側に向けて突出し、ノズル筒43の後述するノズル筒本体61の内周面に当接する係止突出部56Bが全周にわたって設けられている。
【0023】
ノズル筒43は、前後方向に延在する円筒状のノズル筒本体61と、ノズル筒本体61の後方に配設された上面視でU字状の操作体62と、を有する。
ノズル筒本体61は、その中心軸線を横筒部53の中心軸線上に位置した状態で配設されており、ノズル筒本体61の内側は、流通孔56Aを通して流路42Aと連通している。また、ノズル筒本体61の前後方向の中央部には、前後方向から見てノズル筒本体61の中心軸に対して直交する方向に突出するフランジ部63がノズル筒本体61の全周にわたって設けられている。フランジ部63の外周縁部は、介装筒44の内周面に摺接している。
【0024】
また、ノズル筒本体61の前端部における内径および外径は、前方に向かうにしたがって漸次縮径しており、ノズル筒本体61の前端部は、外容器4の後述する操作ヘッド71を押下していない待機状態において、栓筒体42によって後方から閉塞されている。同様に、ノズル筒本体61の後端部における内径および外径も、後方に向かうにしたがって漸次縮径しており、ノズル筒本体61の後端部は、栓筒体42の前後筒部56の外周面に摺接している。
【0025】
操作体62は、前後方向に延在する一対の操作板部65と、操作板部65の後端同士を接続する摺接板部66と、を有する。
操作板部65は、上面視において栓筒体42を左右方向で挟む両側にかつ横筒部53に設けられた一対の案内板部54間に配設されており、横筒部53の後壁に形成された一対のスリットを通して横筒部53内に挿入されている。そして、操作板部65の前端は、ノズル筒本体61のフランジ部63の後面に当接している。操作板部65は、横筒部53の中心軸線回りで周回する方向に沿って弧状に湾曲しており、案内板部54によって下方から支持されている。
摺接板部66は、上下両端部が操作板部65よりも上下方向に突出しており、後方に向かうにしたがって下方に向けて傾斜している。
【0026】
介装筒44は、前後方向に延在する円筒状をなしており、その中心軸線を横筒部53の中心軸線上に位置した状態で横筒部53の内側に嵌合されている。介装筒44の前端には、全周にわたって介装筒44の中心軸線に向けて突出する環状フランジ部が設けられており、この環状フランジ部の内端縁は、後方に向けて折り返されている。
第1付勢部材45は、コイルスプリングであり、介装筒44の内側において介装筒44の前端における上記環状フランジ部とノズル筒本体61のフランジ部63との間に配設されている。
【0027】
外容器4は、吐出ヘッド23を外側から囲む有頂円筒状の操作ヘッド71と、容器本体2及び操作ヘッド71を囲む円筒状の収容体72と、を備える。これら操作ヘッド71及び収容体72は、それぞれの中心軸線を容器軸O上に位置した状態で配設されている。
操作ヘッド71は、上面視で円板状の天壁部(押下部)75と、天壁部75の外周縁から下方に向けて延在する円筒状の周壁部76と、天壁部75から下方に向けて突設された板状の操作部77と、を有する。
【0028】
天壁部75には、周壁部76よりも径方向内側において、上面視で円環状の環状突出部75Aが下方に向けて突設されており、この環状突出部75Aの径方向内側には、操作ヘッド71を吐出ヘッド23に対して上方に付勢するコイルスプリングである第2付勢部材78の上端部が配設されている。第2付勢部材78の下端部は、環状突出部41Aの径方向内側に配設されている。なお、環状突出部75Aは、上面視で環状突出部41Aと重なる位置に設けられており、上下方向で環状突出部41Aと向かい合っている。
【0029】
周壁部76の前側部分には、ノズル筒43の前後移動に伴ってノズル筒本体61の前端部を周壁部76に対して出没させるための第1通過孔(通過孔)76Aが形成されている。また、周壁部76の前側部分における下端部の内周面には、装着キャップ22の外周部33の案内突部33Aを収容する案内溝部76Bが形成されている。案内溝部76Bは、1つ以上設けられており、複数設ける場合は周方向に等間隔で配置することが好ましい。これにより、装着キャップ22に対する操作ヘッド71の上下移動を案内すると共に、操作ヘッド71が装着キャップ22に対して容器軸O回りに回転することを規制する。また、ノズル筒本体61が後退している待機状態において、案内突部33Aは、案内溝部76Bの下端に係止されており、操作ヘッド71が装着キャップ22に対して上方に移動することを規制する。
操作部77は、吐出ヘッド23の待機状態において、操作体62の摺接板部66の上端部の上方に位置している。操作部77には、操作部77と周壁部76の後端部分との間を接続し、左右方向に間隔をあけて配設された一対の補強リブ部77Aが後方に向けて突設されている。
【0030】
収容体72の下端部は、図1に示すように、容器本体2の底部12に螺着されている。また、収容体72の下端部の内周面には、容器本体2の胴部11の案内リブ部11Aが収容される案内溝部72Aが形成されている。これにより、収容体72が容器本体2に対して周方向に回転することが防止される。
収容体72の上端部は、図1及び図2に示すように、収容体72の上端縁が前後方向の中央部から後方に向かうにしたがって下方に向けて湾曲するように切り欠かれている。これにより、操作ヘッド71の上端部の後側部分が収容体72から外部に露出している。また、収容体72の前側部分には、ノズル筒43の前後移動に伴ってノズル筒本体61の前端部を収容体72に対して出没させるための第2通過孔(通過孔)72Bが形成されている。
【0031】
次に、以上のような構成の吐出容器1を用いた内容物の吐出方法につい説明する。まず、第2付勢部材78の付勢力に抗して、例えば天壁部75など、操作ヘッド71のうち収容体72から露出している部分を吐出ヘッド23に対して押し下げる。操作ヘッド71を押し下げていくと、操作ヘッド71の操作部77は、操作体62の摺接板部66に当接する。この状態で操作ヘッド71をさらに押し下げると、操作部77が摺接板部66に摺接しながら下方に向けて移動する。操作部77が摺接板部66に摺接しているので、操作体62は、操作部77が下降するにしたがって、第1付勢部材45の後方への付勢力に抗して案内板部54に沿って前方に向けて移動し、ノズル筒本体61を前進させる。そのため、ノズル筒本体61は、図4に示すように、介装筒44の内周面に摺接しながら、かつ栓筒体42の前後筒部56の外周面に摺接しながら前進し、ノズル筒本体61の前端部は、操作ヘッド71の第1通過孔76A及び収容体72の第2通過孔72Bを通って前方に突出する。このとき、ノズル筒本体61の吐出孔43Aは、開放される。また、操作ヘッド71の天壁部75の環状突出部75Aは、ヘッド本体41の環状突出部41Aに当接する。
【0032】
ノズル筒本体61の前端部を第1通過孔76Aから突出させた状態で操作ヘッド71をさらに押し下げていくと、操作ヘッド71の天壁部75がヘッド本体41に当接しているので、吐出ヘッド23は、ステム26の上方付勢力に抗して、図5に示すように、操作ヘッド71と共に降下する。このとき、案内突部33Aは、案内溝部76Bの上端に係止されるまたは案内溝部76Bの上端に近接する。
これにより、容器本体2内に収容されている内容物は、ポンプ本体21のポンプ機構によって、内筒部51内に流入し、流路42A内に移送される。そして、流路42A内の内容物は、流通孔56Aを通ってノズル筒本体61内に流入し、吐出孔43Aから外部に吐出される。なお、内容物が外部に吐出されて内容物が減少すると、容器本体2の内圧が減少するので、中皿13が胴部11内で上昇する。
【0033】
次に、操作ヘッド71を押し下げている指などを離し、操作ヘッド71による押下げ状態を解除すると、上方付勢されているステム26が上昇し、ステム26と共に吐出ヘッド23及び操作ヘッド71が上昇する。また、ノズル筒本体61は、第1付勢部材45の後方への付勢力によって、収容体72の第2通過孔72B及び操作ヘッド71の第1通過孔76Aから後退して操作ヘッド71内に収容される。そして、ノズル筒本体61の吐出孔43Aは、栓筒体42によって閉塞される。
さらに、ノズル筒本体61が後退するにしたがって、操作体62も後退し、摺接板部66に摺接している操作部77が上昇する。これにより、操作ヘッド71は、ステム26の上昇移動に加えてさらに上昇する。なお、第2付勢部材78が操作ヘッド71を吐出ヘッド23に対して上方に付勢しているので、操作ヘッド71を吐出ヘッド23に対してより確実に上昇させることができる。
以上のようにして、吐出容器1の内容物を外部に吐出する。
【0034】
本実施形態における吐出容器1によれば、内容物を吐出した後にノズル筒43を別途後方に移動させる必要がないので、吐出容器1の操作性が向上する。また、操作ヘッド71を容器本体2に対して押し下げるだけで、ノズル筒本体61の突出動作と内容物の吐出とが行えるので、吐出容器1の構造を単純化できる。
さらに、第2付勢部材78が操作ヘッド71を吐出ヘッド23に対して上方に向けて付勢するので、操作ヘッド71の押し下げ状態を解除したときに操作ヘッド71を上方に向けてより確実に復元移動させる。
【0035】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることができる。
例えば、吐出容器には操作ヘッドを吐出ヘッドに対して上方に付勢するための第2付勢部材が設けられているが、少なくとも第1付勢部材が設けられていればよく、第2付勢部材を配設しない構成であってもよい。
第1付勢部材は、介装筒の内側において介装筒の前端とノズル筒本体のフランジ部との間に配設されているが、ノズル筒を後方へ復元移動させることができればよく、フランジ部よりも後方に配設されてもよい。第2付勢部材についても同様である。また、第1及び第2付勢部材は、コイルスプリングで形成されているが、他の弾性部材を用いて形成されてもよい。
外容器は、操作ヘッド及び収容体を備えているが、収容体を備えていなくてもよい。また、操作ヘッドは、押下ヘッドを囲むと共に通過孔が形成された構成となっているが、押下ヘッドを囲まずに通過孔が形成されていない構成であってもよい。この場合、収容体が操作ヘッドと共に吐出器を収容しており、収容体には通過孔が形成されている。
吐出器は、ポンプ機構を有するポンプ本体を有しているが、上方に向けて付勢されたステムが設けられていればよく、エアゾールタイプの吐出器であってもよい。
ノズル筒は、ノズル筒本体と操作体とを有しているが、ノズル筒をヘッド本体に取り付けることができれば、両者を一体化した構造としてもよい。
装着キャップは、口部に対して螺着されているが、口部に嵌合するなど、他の方法で装着されてもよい。
容器本体は、内容物の減少に伴って胴部内を上方に向けて摺動する中皿を有しているが、中皿を有する構成に限られない。
操作ヘッドの天壁部が吐出ヘッドを押し下げているが、操作ヘッドに押下部として別の部材を設けてこれにより吐出ヘッドを押し下げてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0036】
この発明によれば、待機状態においてノズル筒が邪魔にならず、吐出容器の見栄えの悪化を防ぐだけではなく、優れた操作性を有する吐出容器に関して、産業上の利用可能性が認められる。
【符号の説明】
【0037】
1 吐出容器、2 容器本体、3 吐出器、4 外容器、14 口部、23 吐出ヘッド、26 ステム、43 ノズル筒、43A 吐出孔、45 第1付勢部材(付勢部材)、71 操作ヘッド、72B 第2通過孔(通過孔)、75 天壁部(押下部)、76A 第1通過孔(通過孔)、77 操作部、78 第2付勢部材
図1
図2
図3
図4
図5