特許第6182470号(P6182470)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6182470
(24)【登録日】2017年7月28日
(45)【発行日】2017年8月16日
(54)【発明の名称】吐出容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 83/00 20060101AFI20170807BHJP
   B65D 47/34 20060101ALI20170807BHJP
【FI】
   B65D83/00 K
   B65D47/34 110
【請求項の数】2
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-17147(P2014-17147)
(22)【出願日】2014年1月31日
(65)【公開番号】特開2015-143121(P2015-143121A)
(43)【公開日】2015年8月6日
【審査請求日】2016年8月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】當麻 徹
【審査官】 長谷川 一郎
(56)【参考文献】
【文献】 実開平04−118376(JP,U)
【文献】 実開平01−063685(JP,U)
【文献】 実開昭63−037587(JP,U)
【文献】 特開2002−347859(JP,A)
【文献】 特開平03−148480(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 83/00
B65D 47/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物が収容される容器本体と、
径方向の外側に向けて突出し前端に吐出孔が形成されたノズル筒を有する押下ヘッドを備えるとともに、前記押下ヘッドの押下により、前記吐出孔から内容物が吐出される吐出器と、
前記押下ヘッドの上方に前記押下ヘッドに対して下降移動自在に配設された操作ヘッドを備えるとともに、前記容器本体および前記吐出器を収容する外容器と、を備え、
前記外容器には、前記ノズル筒が出没可能な通過孔が形成され、
前記外容器には、前記ノズル筒が前記通過孔を通過するように前記容器本体を揺動自在に支持する支持部材と、前記容器本体が、前記ノズル筒が前記通過孔から突出する突出姿勢のときに、前記支持部材を復元変位させる付勢部材と、が備えられ、
前記操作ヘッドには、下方に向けて突設され、前記操作ヘッドの前記押下ヘッドに対する下降移動に伴い、前記容器本体、前記吐出器または前記支持部材に突設された第1係合突部に摺接して、前記容器本体を前記突出姿勢にする第1操作突片と、前記操作ヘッドの前記押下ヘッドに対する下降移動に伴い、前記押下ヘッドを押下する押下部と、が備えられていることを特徴とする吐出容器。
【請求項2】
前記第1操作突片は、前記押下部が前記押下ヘッドを押下するときに、前記第1係合突部に摺接することで、前記支持部材が復元変位するように前記容器本体が揺動することを規制することを特徴とする請求項1記載の吐出容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吐出容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば下記特許文献1に示されるような、前方に向けて延びるノズル筒を有し、かつ前後動自在に配設された押下ヘッドと、押下ヘッドを囲い、かつ押下ヘッドの前後動に伴い、ノズル筒が出没する通過孔が形成されたカバー体と、を備える吐出容器が知られている。
この吐出容器においては、内容物を吐出する前の待機状態で、ノズル筒をカバー体の内側に収容しておくので、ノズル筒が邪魔にならないばかりでなく、吐出容器の見映えの悪化を防ぐこともできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第2539181号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の吐出容器では、内容物の吐出に際し、押下ヘッドをカバー体に対して前進移動させる操作、及び押下ヘッドを押下する操作の双方を行う必要があり、また、内容物の吐出後も、押下ヘッドをカバー体に対して後退移動させる操作が必要になるため、操作性を向上させることに改善の余地があった。
【0005】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、内容物を吐出する前の待機状態で、ノズル筒が邪魔にならず、吐出容器の見映えの悪化を防ぐことができるだけでなく、優れた操作性を具備させることもできる吐出容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
本発明に係る吐出容器は、内容物が収容される容器本体と、径方向の外側に向けて突出し前端に吐出孔が形成されたノズル筒を有する押下ヘッドを備えるとともに、前記押下ヘッドの押下により、前記吐出孔から内容物が吐出される吐出器と、前記押下ヘッドの上方に前記押下ヘッドに対して下降移動自在に配設された操作ヘッドを備えるとともに、前記容器本体および前記吐出器を収容する外容器と、を備え、前記外容器には、前記ノズル筒が出没可能な通過孔が形成され、前記外容器には、前記ノズル筒が前記通過孔を通過するように前記容器本体を揺動自在に支持する支持部材と、前記容器本体が、前記ノズル筒が前記通過孔から突出する突出姿勢のときに、前記支持部材を復元変位させる付勢部材と、が備えられ、前記操作ヘッドには、下方に向けて突設され、前記操作ヘッドの前記押下ヘッドに対する下降移動に伴い、前記容器本体、前記吐出器または前記支持部材に突設された第1係合突部に摺接して、前記容器本体を前記突出姿勢にする第1操作突片と、前記操作ヘッドの前記押下ヘッドに対する下降移動に伴い、前記押下ヘッドを押下する押下部と、が備えられていることを特徴とする。
【0007】
この場合、内容物を吐出するときには、外容器の操作ヘッドを押下して押下ヘッドに対して下降移動させると、操作ヘッドの第1操作突片が、支持部材の第1係合突部に摺接することで、支持部材が容器本体を揺動させ、吐出器のノズル筒が通過孔から突出する。このような突出姿勢の容器本体において、押下ヘッドが、下降移動する操作ヘッドの押下部により押下されると、吐出器が作動して容器本体内の内容物が吐出孔から吐出される。
内容物を吐出した後、操作ヘッドの押下を解除すると、付勢部材により支持部材が復元変位させられ、通過孔から突出していたノズル筒が外容器内に収容される。
この吐出容器によれば、単に外容器の操作ヘッドを押下することで、ノズル筒を通過孔から突出させて内容物を吐出することができ、かつ、操作ヘッドの押下を解除することで、通過孔から突出していたノズル筒を外容器内に収容することができる。これにより、内容物を吐出する前の待機状態で、ノズル筒が邪魔にならず、吐出容器の見映えの悪化を防ぐことができるだけでなく、優れた操作性を具備させることができる。
また操作ヘッドが、第1操作突片によって容器本体を揺動させる一方、押下部によって押下ヘッドを押下させるので、第1操作突片と押下部とをそれぞれ適宜設計することで、容器本体の揺動および押下ヘッドの押下それぞれの程度を個別に調整することが可能になり、より優れた操作性を具備させることができる。
【0008】
また、前記第1操作突片は、前記押下部が前記押下ヘッドを押下するときに、前記第1係合突部に摺接することで、前記支持部材が復元変位するように前記容器本体が揺動することを規制してもよい。
【0009】
この場合、押下部が押下ヘッドを押下するときに、第1操作突片が第1係合突部に摺接することで、支持部材が復元変位するように容器本体が揺動することを規制するので、操作ヘッドが、押下部を介して押下ヘッドを押下するときに、操作性を確保しつつ容器本体を安定に突出姿勢に保持することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、内容物を吐出する前の待機状態で、ノズル筒が邪魔にならず、吐出容器の見映えの悪化を防ぐことができるだけでなく、優れた操作性を具備させることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1実施形態に係る吐出容器を示す縦断面図であって、容器本体および吐出器を側面図で示したものである。
図2図1に示す吐出容器の平面図である。
図3図1に示す吐出容器を構成する容器本体、吐出器および支持部材を組み合わせたものの平面図である。
図4図1に示す吐出容器において操作ヘッドを押下した状態を示す縦断面図である。
図5図4に示すA−A断面矢視図に相当する横断面図であって、支持部材から容器本体を取り外した状態を示したものである。
図6図4に示すB−B断面矢視図に相当する横断面図であって、容器本体および吐出器を平面図で示したものである。
図7図4に示す吐出容器において操作ヘッドを更に押下した状態を示す縦断面図である。
図8】本発明の第2実施形態に係る吐出容器を示す縦断面図であって、容器本体および吐出器を、部分断面とされた側面図で示したものである。
図9図8に示す吐出容器の要部の縦断面図である。
図10図8に示す吐出容器において操作ヘッドを押下した状態を示す縦断面図である。
図11図10に示す吐出容器の要部の縦断面図である。
図12図10に示す吐出容器において操作ヘッドを更に押下した状態を示す縦断面図である。
図13図12に示す吐出容器の要部の縦断面図である。
図14図12に示す吐出容器において操作ヘッドを更に押下した状態を示す縦断面図である。
図15図14に示す吐出容器の要部の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第1実施形態)
以下、図1から図7を参照し、本発明の第1実施形態に係る吐出容器を説明する。
図1から図3に示すように、吐出容器10は、内容物が収容される容器本体11と、径方向の外側に向けて突出し前端に吐出孔13aが形成されたノズル筒13を有する押下ヘッド14を備える吐出器15と、押下ヘッド14の上方に押下ヘッド14に対して下降移動自在に配設された操作ヘッド16を備える外容器17と、を備えている。
【0013】
外容器17は、容器本体11および吐出器15を収容している。外容器17は、内部に前記操作ヘッド16が上下摺動自在に嵌合された有頂筒状の本体筒部18と、本体筒部18の開口端部を閉塞する有底筒状の底筒部19と、を備えている。
ここで操作ヘッド16は、有頂筒状に形成されていて、外容器17を構成する操作ヘッド16、本体筒部18および底筒部19の各中心軸は、共通軸上に位置している。以下、この共通軸を外容器軸O1といい、外容器軸O1に沿う操作ヘッド16側を上側、底筒部19側を下側という。さらに、この吐出容器10を、外容器軸O1方向から見た平面視において、外容器軸O1に直交する方向を径方向といい、外容器軸O1回りに周回する方向を周方向という。
【0014】
本体筒部18には、本体孔20と、切欠き部21と、が形成されている。
本体孔20は、本体筒部18の周壁部の上部に形成されていて、ノズル筒13が出没可能とされている。本体孔20は、外容器軸O1方向に長い長穴状に形成されていて、前記平面視において、本体孔20の中心軸は、外容器軸O1に直交する。以下では、前記平面視において、本体孔20の中心軸に沿う方向を前後方向といい、前後方向に沿って外容器軸O1に対する本体孔20側を前側といい、その反対側を後側という。さらに、前記平面視において、本体孔20の中心軸に直交する方向を左右方向という。
切欠き部21は、本体筒部18の頂壁部の中央部から後側に向けて、本体筒部18の周壁部の上部にわたるまで延びている。切欠き部21は、操作ヘッド16の頂壁部を外容器17の外部に露出させている。
【0015】
操作ヘッド16は、有頂筒状に形成され、下側に向けて開口していて本体筒部18内に嵌合されている。操作ヘッド16の頂壁部の一部は、本体筒部18の頂壁部に下側から係合可能となっている。操作ヘッド16には、本体孔20に連通可能な貫通孔22が形成されている。貫通孔22は、操作ヘッド16の周壁部の前部に形成されていて、本体孔20と周方向に同等の位置に形成されている。貫通孔22は、外容器軸O1方向に延びるとともに下側に向けて開口する長穴状に形成されている。
ここで、前記本体孔20および前記貫通孔22は、外容器17に形成されるとともにノズル筒13が出没可能な通過孔35を構成する。
【0016】
底筒部19は、本体筒部18の開口端部である下端部内に嵌合されている。底筒部19には、上方に向けて開口する孔部が形成された軸受部23が立設されている。
【0017】
容器本体11は、内容物が収容され、かつ口部を有する本体部36と、前記口部に装着された装着キャップ12と、を備えている。本体部36は、有底筒状に形成されていて、吐出器15は、押下ヘッド14の押下により、吐出孔13aから内容物を吐出する。なお、容器本体11および吐出器15は、外容器17内に収容される内容器24を構成する。
【0018】
ここで内容器24では、本体部36および装着キャップ12の各中心軸は、共通軸上に位置している。以下、この共通軸を内容器軸O2という。内容器軸O2は、外容器軸O1に交差していて、内容器軸O2と外容器軸O1とは、容器本体11上で交差している。内容器軸O2は、外容器軸O1と交差する部分よりも上側に向かうに従い漸次、後側に向かうように、外容器軸O1に対して傾斜している。内容器24は、外容器軸O1に対して後側に向けて傾いている。内容器24の後部の外周面は、操作ヘッド16の後部の内周面
よりも前側に位置していて、内容器24の後側において、内容器24と操作ヘッド16とは離間している。
【0019】
装着キャップ12は、本体部36の口部に外装されている。装着キャップ12内には、上方付勢状態で下方移動可能に設けられた図示しないステムが挿通されている。
押下ヘッド14は、有頂筒状に形成され、前記ステムの上端部に装着されていて、前記ステムにより、上方付勢状態で下方移動可能に保持されている。押下ヘッド14は、内容器軸O2と同軸に配置され、装着キャップ12から上側に向けて突出している。
【0020】
ノズル筒13は、押下ヘッド14の外周面から前側に向けて突出している。ノズル筒13の中心軸は、内容器軸O2に交差し、図示の例では直交している。ノズル筒13は、外容器17の内部に収容されていて、ノズル筒13の前端は、操作ヘッド16の貫通孔22内に位置している。
【0021】
押下ヘッド14には、上係合突部(第2係合突部)25が設けられている。上係合突部25は、押下ヘッド14において内容器軸O2を間に挟むように一対設けられていて、各上係合突部25は、押下ヘッド14から左右方向の両側に向けて各別に突出している。上係合突部25は、この吐出容器10を左右方向から見た側面視において、真円形状に形成され、内容器軸O2上に配置されている。
【0022】
外容器17には、支持部材26と、付勢部材27と、が備えられている。
支持部材26は、ノズル筒13が通過孔35を通過するように容器本体11を揺動自在に支持する。支持部材26は、有底筒状に形成され、容器本体11の底部に外側から嵌合している。支持部材26の底壁部には、左右方向に延びる揺動軸部28が一体に形成されている。揺動軸部28は、支持部材26の底壁部から下側に延びる左右一対の板部材の間に架設されていて、外容器17の前記軸受部23内に嵌合されている。支持部材26は、揺動軸部28を中心に前後方向に揺動可能とされている。
【0023】
付勢部材27は、容器本体11が、図4に示すようなノズル筒13が通過孔35から突出する突出姿勢のときに、支持部材26を復元変位させる。図1から図3に示すように、付勢部材27は、支持部材26の底壁部と底筒部19の底壁部との間に配置されている。付勢部材27は、支持部材26と一体に形成されていて、支持部材26から下側に向けて延びる板ばねにより構成されている。付勢部材27は、この付勢部材27の基端部から先端部に向けて、支持部材26から下側に向けて延びた後、後側に向けて湾曲されていて、付勢部材27の先端部は、底筒部19の底壁部上に配置されている。なお図示の例では、付勢部材27は、この吐出容器10が、図1に示すような待機状態であるときは、外力が加えられていない自然長状態、または弾性的に圧縮変形させられた圧縮状態となっている。
【0024】
図1から図3に示すように、支持部材26には、下係合突部(第1係合突部)29が備えられている。下係合突部29は、支持部材26の外周面から突出するように一対設けられていて、支持部材26から左右方向の両側に向けて各別に突出している。下係合突部29は、前記側面視において、真円形状に形成され、内容器軸O2よりも前側に配置されている。
【0025】
ここで外容器17には、第1操作突片30と、第2操作突片(押下部)31と、が備えられている。
第1操作突片30は、操作ヘッド16の押下ヘッド14に対する下降移動に伴い、前記下係合突部29に摺接して容器本体11を突出姿勢にする。第1操作突片30は、操作ヘッド16の周壁部の下端縁から下方に向けて突設されている。第1操作突片30は、支持部材26を左右方向の両外側から挟むように配置されている。第1操作突片30は、前記平面視において前側に向けて開口するC字状に形成されていて、操作ヘッド16の周壁部の内周面および外周面それぞれと面一に形成されている。
【0026】
第1操作突片30の下端縁は、前記側面視において外容器軸O1に直交する直線状に形成されている。第1操作突片30の前端縁は、前記側面視において外容器軸O1に沿って延びる直線状に形成されている。第1操作突片30の下端縁と前端縁とが連結する角部は切りかかれていて、この角部には、前記側面視において前側に向かうに従い漸次、上側に向けて直線状に延びる傾斜縁30aが設けられている。傾斜縁30aは、下係合突部29に摺動可能に当接していて、操作ヘッド16は、第1操作突片30、下係合突部29および支持部材26を介して底筒部19に支持されている。
【0027】
第2操作突片31は、操作ヘッド16の押下ヘッド14に対する下降移動に伴い、押下ヘッド14を押下する。第2操作突片31は、操作ヘッド16の頂壁部から下方に向けて突設されている。第2操作突片31は、押下ヘッド14を左右方向の両外側から挟むように配置されている。第2操作突片31は、前記平面視において後側に向けて開口するC字状に形成されている。第2操作突片31の両後端部は、両後端部それぞれから左右方向の外側に向けて突出する連結板32を介して、操作ヘッド16の周壁部の内周面に各別に連結されている。
【0028】
第2操作突片31には、挿通孔33と、係合凹部34と、が設けられている。
挿通孔33には、ノズル筒13が前後方向に移動可能に挿通されている。挿通孔33は、第2操作突片31の前部に形成されていて、通過孔35と周方向に同等の位置に形成されている。挿通孔33は、下側に向けて開口している。
係合凹部34は、第2操作突片31の両後端部に各別に形成されている。係合凹部34は、前記側面視において矩形状に形成され、下側および後側に向けて開口している。
【0029】
次に、前記吐出容器10の作用について説明する。
内容物を吐出するときには、外容器17の操作ヘッド16を押下して押下ヘッド14に対して下降移動させると、操作ヘッド16の第1操作突片30が、支持部材26の下係合突部29に摺接する。このとき本実施形態では、第1操作突片30が下降移動しながら、第1操作突片30の傾斜縁30aが、下係合突部29に摺接し、第1操作突片30の下降移動に伴って下係合突部29が前側に移動させられる。これにより、支持部材26が、付勢部材27を弾性変形させながら、容器本体11を揺動軸部28回りの前側に揺動させ、図4から図6に示すように、吐出器15のノズル筒13が通過孔35から前側に突出する。このとき、内容器軸O2は、外容器軸O1よりも前側に位置した状態で、外容器軸O1に沿って延びている。
【0030】
このような突出姿勢の容器本体11において、押下ヘッド14の上係合突部25は、第2操作突片31の係合凹部34内に進入しこの係合凹部34に係合する。図7に示すように、操作ヘッド16が更に下降移動し、押下ヘッド14が、操作ヘッド16の第2操作突片31および上係合突部25を介して押下されると、吐出器15が作動して容器本体11内の内容物が吐出孔13aから吐出される。なおこのとき、第1操作突片30の前端縁が、下係合突部29に摺接することで、付勢部材27による支持部材26の揺動軸部28回りの復元変位が規制され、支持部材26が復元変位するように容器本体11が揺動することが規制されている。
【0031】
内容物を吐出した後、操作ヘッド16の押下を解除すると、押下ヘッド14に作用する上方付勢力により、操作ヘッド16が、押下ヘッド14、上係合突部25および第2操作突片31を介して上昇移動させられる。図4に示すように、下係合突部29が、第1操作突片30の傾斜縁30aに到達するまで、操作ヘッド16が上昇移動すると、付勢部材27の復元力により、下係合突部29が傾斜縁30aに摺接して支持部材26が後側に向けて揺動することで、支持部材26が復元変位し、通過孔35から突出していたノズル筒13が外容器17内に収容されるとともに操作ヘッド16が押下ヘッド14に対して更に上昇移動させられ、この吐出容器10が再び図1に示すような待機状態に戻る。
この吐出容器10では、操作ヘッド16を押下することで、ノズル筒13を通過孔35から突出させて容器本体11を突出姿勢とした後に内容物を吐出し、その後、操作ヘッド16の押下を解除することで、ノズル筒13を外容器17内に収容する。
【0032】
以上説明したように、本実施形態に係る吐出容器10によれば、単に外容器17の操作ヘッド16を押下することで、ノズル筒13を通過孔35から突出させて内容物を吐出することができ、かつ、操作ヘッド16の押下を解除することで、通過孔35から突出していたノズル筒13を外容器17内に収容することができる。これにより、内容物を吐出する前の待機状態で、ノズル筒13が邪魔にならず、吐出容器10の見映えの悪化を防ぐことができるだけでなく、優れた操作性を具備させることができる。
【0033】
また操作ヘッド16が、第1操作突片30によって容器本体11を揺動させる一方、第2操作突片31によって押下ヘッド14を押下させるので、第1操作突片30と第2操作突片31とをそれぞれ適宜設計することで、容器本体11の揺動および押下ヘッド14の押下それぞれの程度を個別に調整することが可能になり、より優れた操作性を具備させることができる。
【0034】
また、第2操作突片31が押下ヘッド14を押下するときに、第1操作突片30の前端縁が下係合突部29に摺接することで、支持部材26が復元変位するように容器本体11が揺動することが規制するので、操作ヘッド16が、第2操作突片31を介して押下ヘッド14を押下するときに、操作性を確保しつつ容器本体11を安定に突出姿勢に保持することができる。
【0035】
(第2実施形態)
次に、図8から図15を参照し、本発明の第2実施形態に係る吐出容器10を説明する。
なお、この第2実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
【0036】
本実施形態の吐出容器40に係る吐出器15では、押下ヘッド14が押下される前後で、ノズル筒13の上下位置が同等に保持される。
図8および図9に示すように、吐出器15は、容器本体11の本体部36内に配置されたシリンダ41と、上方付勢状態でシリンダ41内に配置されシリンダ41内を上下摺動するピストン42と、ピストン42の上下摺動をガイドするピストンガイド43と、を更に備えている。
【0037】
シリンダ41の上端部は、装着キャップ12によって本体部36の口部に固定されている。シリンダ41の下端部は、本体部36内に連通可能とされていて、この下端部内には、この下端部を、シリンダ41内の圧力に応じて開閉する弁体44が設けられている。
【0038】
ピストンガイド43は、シリンダ41内に挿通された筒状に形成されていて、ピストンガイド43の上端部は、装着キャップ12から上側に突出している。ピストンガイド43の外周面には、フランジ部45が突設されていて、このフランジ部45が、装着キャップ12によって本体部36の口部に固定されている。
ピストン42は、シリンダ41に内側から嵌合し、かつピストンガイド43の外側から嵌合する筒状に形成されている。
【0039】
押下ヘッド14は、ノズル筒13に加えて、ヘッド本体46と、作動部材47と、接続部材48と、弁部49と、を更に備えている。
ヘッド本体46の下部は、前記フランジ部45に形成された複数の貫通開口45aを通してシリンダ41内に進入している。ヘッド本体46は、ピストン42を連係して移動させ、このヘッド本体46の下降移動に伴って、ピストン42を下降移動させる。
【0040】
作動部材47は、有頂筒状に形成されてヘッド本体46の上部に外側から嵌合されている。作動部材47の外周面には、前記上係合突部25が設けられていて、作動部材47は、操作ヘッド16の下降移動に伴って、前記第2操作突片31および上係合突部25を介して下降移動させられる。なお図示の例では、第2操作突片31を、前記平面視において後側に向けて開口するC字状に形成するのに代えて、押下ヘッド14の左右両側に各別に独立して一対設けている。
【0041】
ノズル筒13は、ヘッド本体46の内部から作動部材47を通して前側に向けて突出している。
接続部材48は、ヘッド本体46内に配置されている。接続部材48は、ピストンガイド43に支持されていて、ヘッド本体46とは非連係とされヘッド本体46から独立している。接続部材48は、ピストンガイド43の上端部とノズル筒13の後端部とを接続していて、ピストンガイド43内とノズル筒13内とを連通している。
【0042】
弁部49は、前後方向に延びる棒状に形成されていて、ノズル筒13内および接続部材48内に、前方付勢状態で収容されている。弁部49の前端部は、吐出孔13aを開閉可能に閉塞し、弁部49の後端部は、接続部材48から後側に向けて突出していて、弁部49の前端部は、この弁部49の後端部が後側に向けて移動させられたときに、吐出孔13aを開放する。
そして作動部材47の頂壁部には、この作動部材47のヘッド本体46に対する下降移動に伴って弁部49の後端部を後側に向けて移動させる垂下部50が垂下されている。
【0043】
以上説明したように、本実施形態に係る吐出容器40によれば、外容器17の操作ヘッド16を押下して押下ヘッド14に対して下降移動させると、操作ヘッド16の第1操作突片30が、支持部材26の下係合突部29に摺接することで、支持部材26が容器本体11を揺動させ、図10および図11に示すように、吐出器15のノズル筒13が通過孔35から突出する。
【0044】
このような突出姿勢の容器本体11において、押下ヘッド14の上係合突部25は、第2操作突片31の係合凹部34内に進入しこの係合凹部34に係合する。図12および図13に示すように、操作ヘッド16が更に下降移動し、押下ヘッド14が、操作ヘッド16の第2操作突片31および上係合突部25を介して押下されると、まず、作動部材47がヘッド本体46に対して下降移動して、垂下部50が弁部49の後端部を後側に向けて移動させて弁部49が吐出孔13aを開放する。
【0045】
その後、図14および図15に示すように、操作ヘッド16が更に下降移動すると、作動部材47とともにヘッド本体46が下降移動する。すると、ヘッド本体46に連係してピストン42が下降移動してシリンダ41内の圧力が上昇し、シリンダ41内の内容物が、接続部材48およびノズル筒13を通して吐出孔13aから吐出される。このとき、接続部材48およびノズル筒13は下降移動せず、接続部材48およびノズル筒13の外容器軸O1方向に沿った位置は維持され、押下ヘッド14が押下される前後で、ノズル筒13の上下位置が同等に保持される。これにより、更なる操作性の向上を図ることができる。
【0046】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0047】
前記実施形態では、付勢部材27を板バネにより構成したが、本発明はこれに限られない。例えば、付勢部材をコイルスプリング等により構成してもよい。
【0048】
また前記実施形態では、操作ヘッド16が押下ヘッド14を、第2操作突片31および上係合突部25を介して押下するが、本発明はこれに限られない。例えば、操作ヘッドの頂壁部が押下ヘッドの頂壁部を押下してもよく、操作ヘッドは、操作ヘッドの押下ヘッドに対する下降移動に伴い、押下ヘッドを押下する押下部を備えた他の構成に適宜変更することができる。
【0049】
また前記実施形態では、操作ヘッド16を押下することで、ノズル筒13を通過孔35から突出させて容器本体11を突出姿勢とした後に内容物を吐出するが、本発明はこれに限られない。例えば、ノズル筒を通過孔から突出させている途中から内容物を吐出するように構成してもよい。
【0050】
また前記実施形態では、操作ヘッド16が、本体筒部18内に嵌合されているが、例えば、操作ヘッドが、本体筒部に外側から嵌合していてもよい。
【0051】
また前記実施形態では、本体孔20は、外容器軸O1方向に長い長穴状に形成されているが、本発明はこれに限られない。例えば、本体孔が、この吐出容器を前側から見た正面視において、真円形状に形成されていてもよい。
さらに前記実施形態では、貫通孔22は、外容器軸O1方向に延びるとともに下側に向けて開口する長穴状に形成されているが、本発明はこれに限られない。例えば、貫通孔が、下側に向けて開口していなくてもよく、この吐出容器を前側から見た正面視において、真円形状に形成されていてもよい。
さらにまた前記実施形態では、通過孔35が、本体孔20および貫通孔22により構成されているが、本発明はこれに限られない。例えば、通過孔が本体孔のみによって構成されていてもよく、通過孔が貫通孔のみによって構成されていてもよい。
【0052】
また前記実施形態では、ノズル筒13の中心軸は、内容器軸O2に直交しているが、本発明はこれに限られず、ノズル筒の中心軸が、内容器軸に交差する他の構成に適宜変更することができる。
【0053】
また容器本体11として、例えば、ブロー成形容器、中皿摺動式容器、または積層剥離容器等、種々の構成を採用することができる。
また吐出器15として、いわゆるポンプ機構を有する構成に限らず、例えばエアゾール機構を有する構成等を採用しても良い。
【0054】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0055】
10、40 吐出容器
11 容器本体
13 ノズル筒
13a 吐出孔
14 押下ヘッド
15 吐出器
16 操作ヘッド
17 外容器
26 支持部材
27 付勢部材
29 下係合突部(第1係合突部)
30 第1操作突片
31 第2操作突片(押下部)
35 通過孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15