(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6182495
(24)【登録日】2017年7月28日
(45)【発行日】2017年8月16日
(54)【発明の名称】エンジンの燃料供給装置
(51)【国際特許分類】
F02D 41/10 20060101AFI20170807BHJP
F02D 41/12 20060101ALI20170807BHJP
【FI】
F02D41/10 380B
F02D41/12 380B
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-80602(P2014-80602)
(22)【出願日】2014年4月9日
(65)【公開番号】特開2015-200245(P2015-200245A)
(43)【公開日】2015年11月12日
【審査請求日】2016年6月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】100087653
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 正二
(72)【発明者】
【氏名】久野 完
(72)【発明者】
【氏名】石井 裕喜
(72)【発明者】
【氏名】喜多 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 丈也
【審査官】
大山 健
(56)【参考文献】
【文献】
特開2006−118388(JP,A)
【文献】
特開2000−170578(JP,A)
【文献】
特開2007−56792(JP,A)
【文献】
特開平8−296475(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02D 41/10
F02D 41/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転数センサ(1)と、アクセル開度センサ(2)と、なまし処理装置(3)と、燃料供給装置(4)と、制御装置(5)とを備え、
アクセル開度センサ(2)で検出された実アクセル開度MAの変化率ΔMAが制御装置(5)で演算(S3)され、この変化率ΔMAの値に応じて、制御装置(5)により実アクセル開度MAの変化率ΔMAを小さくする、実アクセル開度MAのなまし処理が実施(S5)されるとともに、実アクセル開度MAのなまし処理が不実施(S6)とされ、
実アクセル開度MAのなまし値MA´または実アクセル開度MAそのままの値MAと、回転数センサ(1)で検出された実回転数ANとに基づいて、制御装置(5)により指示燃料供給量IQが演算(S7)され、この指示燃料供給量IQに基づいて、制御装置(5)により燃料供給装置(4)から燃焼室(6)に燃料(7)が供給(S8)されるように構成された、エンジンの燃料供給装置において、
アクセル急加速操作(19)中に、実回転数ANと実アクセル開度MAとに対応して予め定められた指示燃料噴射量IQの演算マップまたは演算式に基づいて、制御装置(5)により、実回転数ANと指示燃料噴射量IQから演算アクセル開度BAが逆算(S43)され、実アクセル開度MAが演算アクセル開度BA以下の場合には、実アクセル開度MAのなまし処理が不実施(S6)とされる、ことを特徴とするエンジンの燃料供給装置。
【請求項2】
請求項1に記載されたエンジンの燃料供給装置において、
アクセル急加速操作(19)中に、実アクセル開度MAが演算アクセル開度BAを超えると、実アクセル開度MAのなまし処理が実施(S5)される、ことを特徴とするエンジンの燃料供給装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載されたエンジンの燃料供給装置において、
アクセル急減速操作(20)中に、実回転数ANと実アクセル開度MAとに対応して予め定められた指示燃料噴射量IQの演算マップまたは演算式に基づいて、制御装置(5)により、実回転数ANと指示燃料噴射量IQから演算アクセル開度BAが逆算(S47)され、実アクセル開度MAが演算アクセル開度BA以上の場合には、実アクセル開度MAのなまし処理が不実施(S6)とされる、ことを特徴とするエンジンの燃料供給装置。
【請求項4】
請求項3に記載されたエンジンの燃料供給装置において、
アクセル減速操作(20)中に、実アクセル開度MAが演算アクセル開度BA以下になると、実アクセル開度MAのなまし処理が実施(S5)される、ことを特徴とするエンジンの燃料供給装置。
【請求項5】
回転数センサ(1)と、アクセル開度センサ(2)と、なまし処理装置(3)と、燃料供給装置(4)と、制御装置(5)とを備え、
アクセル開度センサ(2)で検出された実アクセル開度MAの変化率ΔMAが制御装置(5)で演算(S3)され、この変化率ΔMAの値に応じて、制御装置(5)により実アクセル開度MAの変化率ΔMAを小さくする、実アクセル開度MAのなまし処理が実施(S5)されるとともに、実アクセル開度MAのなまし処理が不実施(S6)とされ、
実アクセル開度MAのなまし値MA´または実アクセル開度MAそのままの値MAと、回転数センサ(1)で検出された実回転数ANとに基づいて、制御装置(5)により指示燃料供給量IQが演算(S7)され、この指示燃料供給量IQに基づいて、制御装置(5)により燃料供給装置(4)から燃焼室(6)に燃料(7)が供給(S8)されるように構成された、エンジンの燃料供給装置において、
アクセル急減速操作(20)中に、実回転数ANと実アクセル開度MAとに対応して予め定められた指示燃料噴射量IQの演算マップまたは演算式に基づいて、制御装置(5)により、実回転数ANと指示燃料噴射量IQから演算アクセル開度BAが逆算(S47)され、実アクセル開度MAが演算アクセル開度BA以上の場合には、実アクセル開度MAのなまし処理が不実施(S6)とされる、ことを特徴とするエンジンの燃料供給装置。
【請求項6】
請求項5に記載されたエンジンの燃料供給装置において、
アクセル急減速操作(20)中に、実アクセル開度MAが演算アクセル開度BA未満になると、実アクセル開度MAのなまし処理が実施(S5)される、ことを特徴とするエンジンの燃料供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンの燃料供給装置に関し、詳しくは、アクセル急加速操作時の加速遅れや、アクセル急減速操作時の減速遅れを防止することができるエンジンの燃料供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エンジンの燃料供給装置として、回転数センサと、アクセル開度センサと、なまし処理装置と、燃料供給装置と、制御装置とを備え、燃料供給量のなまし処理を行うものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この種の燃料供給装置によれば、アクセル急加速操作時に燃料供給量の急激な増加で黒煙が発生する不具合や、アクセル急減速操作時に燃料供給量の急激な減少でエンストが発生する不具合を防止することができる利点がある。
【0004】
従来の装置では、アクセル急加減速操作時には、常に燃料供給量やアクセル開度のなまし処理が行われ、燃料の急激な増減を抑制している。
例えば、
図4に示すように、ステップ(S1)で実回転数ANが読込まれ、ステップ(S2)で実アクセル開度MAが読み込まれ、ステップ(S3)で実アクセル開度MAの変化率ΔMAが演算され、ステップ(S4)で所定の基準変化率ΔSに対し、実アクセル開度MAの変化率ΔMAの絶対値|ΔMA|がΔSよりも大きいか否かが判定される。ステップ(S4)での判定が肯定された場合には、ステップ(S5)でアクセル開度MAのなまし処理が実施され、判定が否定された場合には、ステップ(S6)でアクセル開度MAのなまし処理が不実施とされる。ステップ(S5)(S6)の後は、ステップ(S7)で、実アクセル開度MAのなまし値MA´または、実アクセル開度MAそのままの値MAと、実回転数ANとに基づいて、指示燃料噴射量IQが演算され、ステップ(S8)で指示燃料噴射量IQに基づいて、燃焼室に燃料が供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−296475号公報(
図1,
図2参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
《問題点1》 アクセル急加速操作時に加速遅れが生じることがある。
従来の装置では、
図4に示すように、アクセル急加速操作(19)時には、常に燃料噴射量やアクセル開度のなまし処理が実施(S5)されているが、
図2(B)に示すように、アクセル急加速操作(19)後、実回転数ANが直ぐに増加せず、しばらくの間、減少するタイムラグ(19a)が有り、加速遅れが生じることがある。
【0007】
《問題点2》 アクセル急加速操作時に加速遅れが生じることがある。
従来の装置では、
図4に示すように、アクセル急減速操作(20)時には、常に燃料噴射量やアクセル開度のなまし処理が行われているが、
図2(B)に示すように、アクセル急減速操作(20)後、実回転数ANが直ぐに減少せず、しばらくの間、増加するタイムラグ(20a)が有り、減速遅れが生じることがある。
【0008】
本発明の課題は、アクセル急加速操作時の加速遅れや、アクセル急減速操作時の減速遅れを防止することができるエンジンの燃料供給装置を提供することにある。
【0009】
本発明の発明者らは、研究の結果、
図3に示すように、アクセル急加速操作(19)中に、実回転数ANと実アクセル開度MAとに対応して予め定められた指示燃料噴射量IQの演算マップまたは演算式に基づいて、制御装置により、実回転数ANと指示燃料噴射量IQから演算アクセル開度BAを逆算(S43)し、実アクセル開度MAが演算アクセル開度BA以下である場合にも、アクセル開度MAのなまし処理を実施(S5)すると、指示燃料噴射量IQの増量が遅れ、
図2(B)に示すタイムラグ(19a)が生じることを発見した。また、
図3に示すように、アクセル急減速操作(20)中に、実回転数ANと実アクセル開度MAとに対応して予め定められた指示燃料噴射量IQの演算マップまたは演算式に基づいて、制御装置により、実回転数ANと指示燃料噴射量IQから演算アクセル開度BAを逆算(S47)し、実アクセル開度MAが演算アクセル開度BA以上の場合にも、アクセル開度MAのなまし処理を実施(S5)すると、指示燃料噴射量IQの減量が遅れ、
図2(B)に示すタイムラグ(20a)が生じることを発見した。
このため、発明者らは、これら改善することで、アクセル急加速操作時の加速遅れや、アクセル急減速操作時の減速遅れを防止できるとの着想を得て、この発明に至った。
なお、演算アクセル開度BAは、実回転数ANと略等価であるため、
図2(A)中の実回転数ANのグラフは、演算アクセル開度BAのグラフとみなして、実アクセル開度MAと対比している。以下の明細書及び、特許請求の範囲においても同様である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(請求項1と請求項5に係る発明に共通する発明特定事項)
請求項1と請求項5に係る発明に共通する発明特定事項は、次の通りである。
図1に例示するように、回転数センサ(1)と、アクセル開度センサ(2)と、なまし処理装置(3)と、燃料供給装置(4)と、制御装置(5)とを備え、
図3に例示するように、アクセル開度センサ(2)で検出された実アクセル開度MAの変化率ΔMAが制御装置(5)で演算(S3)され、この変化率ΔMAの値に応じて、制御装置(5)により実アクセル開度MAの変化率ΔMAを小さくする、実アクセル開度MAのなまし処理が実施(S5)されるとともに、実アクセル開度MAのなまし処理が不実施(S6)とされ、
図3に例示するように、実アクセル開度MAのなまし値MA´または実アクセル開度MAそのままの値MAと、回転数センサ(1)で検出された実回転数ANとに基づいて、制御装置(5)により指示燃料供給量IQが演算(S7)され、この指示燃料供給量IQに基づいて、制御装置(5)により燃料供給装置(4)から燃焼室(6)に燃料(7)が供給(S8)されるように構成された、エンジンの燃料供給装置。
【0011】
(請求項1に係る発明に固有の発明特定事項)
請求項1に係る発明に固有の発明特定事項は、次の通りである。
図3に例示するように、アクセル急加速操作(19)中に、実回転数ANと実アクセル開度MAとに対応して予め定められた指示燃料噴射量IQの演算マップまたは演算式に基づいて、制御装置(5)により、実回転数ANと指示燃料噴射量IQから演算アクセル開度BAが逆算(S43)され、
図2(A),
図3に例示するように、実アクセル開度MAが演算アクセル開度BA以下の場合には、実アクセル開度MAのなまし処理が不実施(S6)とされる、ことを特徴とするエンジンの燃料供給装置。
【0012】
(請求項5に係る発明に固有の発明特定事項)
請求項5に係る発明に固有の発明特定事項は、次の通りである。
図3に例示するように、アクセル急減速操作(20)中に、実回転数ANと実アクセル開度MAとに対応して予め定められた指示燃料噴射量IQの演算マップまたは演算式に基づいて、制御装置(5)により、実回転数ANと指示燃料噴射量IQから演算アクセル開度BAが逆算(S47)され、
図2(A),
図3に例示するように、実アクセル開度MAが演算アクセル開度BA以上の場合には、実アクセル開度MAのなまし処理が不実施(S6)とされる、ことを特徴とするエンジンの燃料供給装置。
【発明の効果】
【0013】
(請求項1に係る発明)
請求項1に係る発明は、次の効果を奏する。
《効果1》 アクセル急加速操作時の加速遅れを防止することができる。
図3に例示するように、アクセル急加速操作(19)中に、実回転数ANと実アクセル開度MAとに対応して予め定められた指示燃料噴射量IQの演算マップまたは演算式に基づいて、制御装置(5)により、実回転数ANと指示燃料噴射量IQから演算アクセル開度BAが逆算(S43)され、
図2(A),
図3に例示するように、実アクセル開度MAが演算アクセル開度BA以下の場合には、実アクセル開度MAのなまし処理が不実施(S6)とされるので、
図2(A)に示すように、アクセル急加速操作(19)時に実アクセル開度MAにより指示燃料噴射量IQが速やかに増量され、
図2(B)に示すタイムラグ(19a)が無く、アクセル急加速操作(19)時の加速遅れを防止することができる。
【0014】
(請求項2に係る発明)
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明の効果に加え、次の効果を奏する。
《効果2》 加速遅れ防止処理の後の黒煙発生を抑制することができる。
図2(A),
図3に例示するように、アクセル急加速操作(19)中に、実アクセル開度MAが演算アクセル開度BAを超えると、実アクセル開度MAのなまし処理が実施(S5)されるので、加速遅れ防止処理後はなまし処理による緩やかな燃料増量が行われ、黒煙発生を抑制することができる。
【0015】
(請求項3に係る発明)
請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2に係る発明の効果に加え、次の効果を奏する。
《効果3》 アクセル急減速操作時の減速遅れを防止することができる。
図3に例示するように、アクセル急減速操作(20)中に、実回転数ANと実アクセル開度MAとに対応して予め定められた指示燃料噴射量IQの演算マップまたは演算式に基づいて、制御装置(5)により、実回転数ANと指示燃料噴射量IQから演算アクセル開度BAが逆算(S47)され、
図2(A),
図3に例示するように、実アクセル開度MAが演算アクセル開度BA以上の場合には、実アクセル開度MAのなまし処理が不実施(S6)とされるので、
図2(A)に示すように、アクセル急減速操作(20)時に実アクセル開度MAにより指示燃料噴射量IQが速やかに減量され、
図2(B)に示すタイムラグ(20a)が実質的に無く、アクセル急減速操作(20)時の減速遅れを防止することができる。
【0016】
(請求項4に係る発明)
請求項4に係る発明は、請求項3に係る発明の効果に加え、次の効果を奏する。
《効果4》 減速遅れ防止処理後のエンスト発生を抑制することができる。
図2(A),
図3に例示するように、アクセル減速操作(20)中に、実アクセル開度MAが演算アクセル開度BA未満になると、実アクセル開度MAのなまし処理が実施(S5)されるので、減速遅れ防止処理の後は、なまし処理による緩やかな燃料減量が行われ、エンスト発生を抑制することができる。
【0017】
(請求項5と請求項6に係る発明)
請求項5に係る発明は、請求項3の《効果3》と同一の効果を奏する。
請求項6に係る発明は、請求項5に係る発明の効果に加え、請求項4の《効果4》と同一の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の実施形態に係るエンジンの燃料供給装置の模式図を説明する図である。
【
図2】
図1の装置による制御を説明する図で、
図2(A)は
図1の装置の制御のタイムチャート、
図2(B)は比較例となる従来技術の制御のタイムチャートである。
【
図3】
図1の装置による制御のフローチャートである。
【
図4】比較例となる従来技術の制御のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1〜
図3は本発明の実施形態に係るエンジンの燃料供給装置を説明する図であり、この実施形態では、立形のコモンレール式直列4気筒ディーゼルエンジンについて説明する。
【0020】
このエンジンの概要は、次の通りである。
図1に示すように、このエンジンは、4本のシリンダ(8)と、シリンダヘッド(9)とを備え、シリンダヘッド(9)の左右一側には吸気マニホルド(10)が、他側には排気マニホルド(11)が組み付けられている。シリンダ(8)を備えたシリンダブロック(図外)の後部にはフライホイール(12)が配置されている。
シリンダヘッド(9)には、シリンダ(8)毎にインジェクタ(13)が配置され、各インジェクタ(13)はコモンレール(14)に接続されている。コモンレール(14)には、燃料サプライポンプ(15)を介して燃料タンク(16)の燃料(7)が圧送される。各インジェクタ(13)の電磁弁は、制御装置(5)に接続され、制御装置(5)からの制御信号で、開弁タイミングと開弁期間が制御され、所定のタイミングで所定量の燃料(7)が燃焼室(6)に供給される。
制御装置(5)は、エンジンECUである。エンジンECUは、エンジン電子制御ユニットの略称であり、マイコンである。
吸気マニホルド(10)に吸気を供給する吸気経路(17)には吸気流量センサ(18)が配置されている。
【0021】
図1に例示するように、このエンジンの燃料供給装置は、回転数センサ(1)と、アクセル開度センサ(2)と、なまし処理装置(3)と、燃料供給装置(4)と、制御装置(5)とを備えている。
図3に示すように、アクセル開度センサ(2)で検出された実アクセル開度MAの変化率ΔMAが制御装置(5)で演算(S3)され、この変化率ΔMAの値に応じて、制御装置(5)により実アクセル開度MAの変化率ΔMAを小さくする、実アクセル開度MAのなまし処理が実施(S5)されるとともに、実アクセル開度MAのなまし処理が不実施(S6)とされている。
図3に示すように、実アクセル開度MAのなまし値MA´または実アクセル開度MAそのままの値MAと、回転数センサ(1)で検出された実回転数ANとに基づいて、制御装置(5)により指示燃料供給量IQが演算(S7)され、この指示燃料供給量IQに基づいて、制御装置(5)により燃料供給装置(4)から燃焼室(6)に燃料(7)が供給(S8)されるように構成されている。
なまし処理装置(3)は、制御装置(5)の演算処理部である。
【0022】
図3に示すように、アクセル急加速操作(19)中に、実回転数ANと実アクセル開度MAとに対応して予め定められた指示燃料噴射量IQの演算マップまたは演算式に基づいて、制御装置(5)により、実回転数ANと指示燃料噴射量IQから演算アクセル開度BAが逆算(S43)され、
図2(A),
図3に示すように、実アクセル開度MAが演算アクセル開度BA以下の場合には、実アクセル開度MAのなまし処理が不実施(S6)とされる。
【0023】
図2(A),
図3に示すように、アクセル急加速操作(19)中に、実アクセル開度MAが演算アクセル開度BAを超えると、実アクセル開度MAのなまし処理が実施(S5)される。
【0024】
図3に示すように、アクセル急減速操作(20)中に、実回転数ANと実アクセル開度MAとに対応して予め定められた指示燃料噴射量IQの演算マップまたは演算式に基づいて、制御装置(5)により、実回転数ANと指示燃料噴射量IQから演算アクセル開度BAが逆算(S47)され、
図2(A),
図3に示すように、実アクセル開度MAが演算アクセル開度BA以上の場合には、実アクセル開度MAのなまし処理が不実施(S6)とされる。
【0025】
図3に示すように、アクセル減速操作(20)中に、実アクセル開度MAが演算アクセル開度BA未満になると、実アクセル開度MAのなまし処理が実施(S5)される。
【0026】
制御装置(5)による処理の流れは、次の通りである。
図3に示すように、ステップ(S1)で実回転数ANが読込まれ、ステップ(S2)で実アクセル開度MAが読み込まれ、ステップ(S3)で実アクセル開度MAの変化率ΔMAが演算され、ステップ(S41)で所定の正の値の基準変化率ΔST1よりも変化率ΔMAが大きいか否かが判定され、判定が肯定された場合(急加速操作19中であることを意味する)には、ステップ(S42)で指示燃料供給量IQが読み込まれ、ステップ(S43)で実回転数ANと指示燃料供給量AQから演算アクセル開度BAが逆算され、ステップ(S44)に移行する。
【0027】
ステップ(S44)では、実アクセル開度MAが演算アクセル開度BA以下か否かが判定され、判定が否定された場合には、ステップ(S5)に移行し、実アクセル開度MAのなまし処理が実施される。ステップ(S44)での判定が肯定された場合には、ステップ(S6)に移行し、実アクセル開度MAのなまし処理が不実施とされる。
ステップ(S5)とステップ(S6)の後は、ステップ(7)に移行し、実アクセル開度MAのなまし値MA´または、実アクセル開度MAそのままの値MAと、実回転数ANとに基づいて、指示燃料噴射量IQが演算され、ステップ(S8)で指示燃料噴射量IQに基づいて、燃焼室(6)に燃料が供給される。
【0028】
ステップ(S41)での判定が否定された場合には、ステップ(S45)で所定の負の値の基準変化率ΔST2よりも変化率ΔMAが小さいか否かが判定され、判定が肯定された場合(急減速操作20中であることを意味する)には、ステップ(46)で指示燃料供給量IQが読み込まれ、ステップ(S47)で実回転数ANと指示燃料供給量AQから演算アクセル開度BAが逆算され、ステップ(S48)に移行する。
【0029】
ステップ(S48)では、実アクセル開度MAが演算アクセル開度BA以上か否かが判定され、判定が否定された場合には、ステップ(S5)に移行し、実アクセル開度MAのなまし処理が実施される。ステップ(S48)での判定が肯定された場合には、ステップ(S6)に移行し、実アクセル開度MAのなまし処理が不実施とされる。
【0030】
図2(A)に示すタイムチャートを左側から説明すると、アクセル急加速操作がなされると、実アクセル開度MAが演算アクセル開度BAよりも大きいため、なまし処理が実施(S5)され、その後、アクセル急減速操作(20)がなされると、実アクセル開度MAが演算アクセル開度BA以上の間はなまし処理が不実施(S6)とされ、実アクセル開度MAが演算アクセル開度BA未満になると、なまし処理が実施(S5)される。この時、アクセル急減速操作(20)により燃料減量が速やかに行われるため、アクセル急減速操作(20)後、実回転数ANは速やかに低下し、減速遅れの要因となるタイムラグ(20a)は無く、減速遅れ防止処理後はなまし処理により燃料減量が緩やかに行われるため、エンストが抑制される。
【0031】
次に、アクセル急加速操作がなされると、実アクセル開度MAが演算アクセル開度BAよりも大きいため、なまし処理が実施(S5)され、アクセル急減速操作がなされると、実アクセル開度MAが演算アクセル開度BAよりも小さいため、なまし処理が実施(S5)され、その後、アクセル急加速操作(19)がなされると、実アクセル開度MAが演算アクセル開度BA以下の間は、なまし処理が不実施(S6)とされ、実アクセル開度MAが演算アクセル開度BAを超えると、なまし処理が実施(S5)される。この時、アクセル急加速操作(19)により燃料増量が速やかに行われるため、加速遅れの要因となるタイムラグ(19a)が無く、加速遅れ防止処理後はなまし処理による燃料増量が緩やかに行われるため、黒煙発生が抑制される。
【符号の説明】
【0032】
(1) 回転数センサ
(2) アクセル開度センサ
(3) なまし処理装置
(4) 燃料供給装置
(5) 制御装置
(6) 燃焼室
(7) 燃料
(19) アクセル急加速操作
(20) アクセル急減速操作
MA 実アクセル開度
MA´MAのなまし値
ΔMA MAの変化率
AN 実回転数
IQ 燃料供給量
BA 演算アクセル開度
(S3) ΔMAが演算
(S43) 演算アクセル開度BAが逆算
(S47) 演算アクセル開度BAが逆算
(S5) MAのなまし処理が実施
(S6) MAのなまし処理が不実施
(S7) IQが演算
(S8) 燃料が供給