特許第6182496号(P6182496)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6182496ガラス基板保護パッドおよびガラス基板包装コンテナ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6182496
(24)【登録日】2017年7月28日
(45)【発行日】2017年8月16日
(54)【発明の名称】ガラス基板保護パッドおよびガラス基板包装コンテナ
(51)【国際特許分類】
   B65D 81/113 20060101AFI20170807BHJP
   B65D 85/48 20060101ALI20170807BHJP
   B65D 85/86 20060101ALI20170807BHJP
【FI】
   B65D81/06
   B65D85/48
   B65D85/38 R
【請求項の数】10
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-83523(P2014-83523)
(22)【出願日】2014年4月15日
(65)【公開番号】特開2014-205522(P2014-205522A)
(43)【公開日】2014年10月30日
【審査請求日】2016年4月19日
(31)【優先権主張番号】10-2013-0040952
(32)【優先日】2013年4月15日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】502411241
【氏名又は名称】コーニング精密素材株式会社
【氏名又は名称原語表記】Corning Precision Materials Co., Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100070024
【弁理士】
【氏名又は名称】松永 宣行
(74)【代理人】
【識別番号】100159042
【弁理士】
【氏名又は名称】辻 徹二
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(72)【発明者】
【氏名】李 範 魯
(72)【発明者】
【氏名】金 錫 雄
(72)【発明者】
【氏名】文 相 球
(72)【発明者】
【氏名】李 圭 桓
【審査官】 秋山 誠
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−011478(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3128961(JP,U)
【文献】 特開2002−225949(JP,A)
【文献】 特開2007−073678(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 57/00−59/08、81/00−81/17
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス基板に密着された状態でガラス基板を保護するガラス基板保護パッドであって、
多層からなり、
前記多層のうち前記ガラス基板に向けて密着される後層が発泡ポリマーを含み、
前記ガラス基板保護パッドは、前記後層の前方に前層をさらに含み、
前記後層と前記前層との間に内層をさらに含み、
前記後層と前記内層との間および前記前層と前記内層との間の少なくとも一つにインサートをさらに含み、
前記インサートは、前記後層、前記内層および前記前層よりも大きな強度を有することを特徴とするガラス基板保護パッド。
【請求項2】
前記後層は、前記ガラス基板に密着される後層の後面がエンボッシングを有することを特徴とする、請求項1に記載のガラス基板保護パッド。
【請求項3】
前記エンボッシングは、ストライプパターンまたはドットパターンを有することを特徴とする、請求項2に記載のガラス基板保護パッド。
【請求項4】
前記インサートは、フレーム構造からなることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のガラス基板保護パッド。
【請求項5】
前記インサートは、上下対称および左右対称の構造を有することを特徴とする、請求項に記載のガラス基板保護パッド。
【請求項6】
前記インサートの上端および下端は、それぞれ前記ガラス基板保護パッドの上辺および下辺から離隔するように形成されることを特徴とする、請求項4または5に記載のガラス基板保護パッド。
【請求項7】
記前層は、発泡ポリマーを含むことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載のガラス基板保護パッド。
【請求項8】
記内層は、その隅部に貫通孔を含み、
前記ガラス基板保護パッドは、前記貫通孔に形成される弾性体をさらに含み、前記弾性体は、前記層、前記内層および前記後層よりも弾性が大きな材質からなることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載のガラス基板保護パッド。
【請求項9】
前記発泡ポリマーは、EVA、EPPまたはEPEであることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載のガラス基板保護パッド。
【請求項10】
内部に複数のガラス基板を積載した状態で包装するガラス基板包装コンテナであって、
請求項1〜9のいずれか一項に記載の前記ガラス基板保護パッドが前記複数のガラス基板の前面に密着されることを特徴とするガラス基板包装コンテナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス基板保護パッドおよびガラス基板包装コンテナに関する。より詳細には、ガラス基板の破損率を大幅に下げることのできるガラス基板保護パッドおよびガラス基板包装コンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
ディスプレイパネル等に使用されるガラス基板を多数枚包装するための手段として、包装コンテナが使用されている。たとえば、ガラス基板メーカーは、製造された多数枚のガラス基板を、包装コンテナに包装してディスプレイパネルメーカーに納品している。こうしたガラス基板包装コンテナは、ガラス基板の間を間紙および/またはフィルムを介在させた状態で、たとえば、180〜240枚のガラス基板を内部に積載する。このとき、ガラス基板を保護するために、積載された180〜240枚のガラス基板の前面にガラス基板保護パッドが密着される。
【0003】
しかし、従来のガラス基板保護パッドは、面圧/突刺に起因する破損率が高いという問題があった。また、ガラス基板の大型化(たとえば、本発明のガラス基板包装コンテナは、縦横の長さが2mを超えるガラス基板の包装にも使用される)に伴ってガラス基板保護パッドの重量が重くなるため、包装および包装解体の作業性が良くないという問題点があった。また、こうした操作性の低下は、包装および包装解体の際、作業者による作業ミスにつながり、ガラス基板、特にガラス基板の下端部位の破損につながるという問題点があった。また、ガラス基板保護パッドの耐久性が良くないため、長期の使用に伴って、特にエッジ部が摩耗し、ガラス基板の破損を引き起こすという問題点があった。また、従来のガラス基板保護パッドにおいては、面圧によってガラス基板保護パッドと面接触するフィルム、間紙またはガラス基板がくっ付いてきて剥がれるため、作業性が良くないという問題点があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上述したところのような従来技術の問題点を解決するために案出されたものである。本発明の目的は、ガラス基板保護パッドの破損率を低減させることのできるガラス基板保護パッドを提供することにある。本発明の他の目的は、ガラス基板の包装および包装解体作業の作業性を向上させることのできるガラス基板保護パッドを提供することにある。本発明のまた他の目的は、ガラス基板の破損率を低下させることのできるガラス基板保護パッドを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記した目的を達成するために、本発明は、ガラス基板に密着された状態でガラス基板を保護するガラス基板保護パッドであって、多層からなり、前記多層のうち前記ガラス基板に密着される後層が発泡ポリマーを含むことを特徴とするガラス基板保護パッドを提供する。
【0006】
また、本発明は、複数のガラス基板を内部に積載した状態で包装するガラス基板包装コンテナであって、前記ガラス基板保護パッドが前記複数のガラス基板の前面に密着されることを特徴とするガラス基板包装コンテナを提供する。
【発明の効果】
【0007】
上述した構成によれば、本発明は、発泡ポリマー材質の後層を採用することにより、保護パッドに起因するガラス基板の破損を大幅に下げることができる効果がある。
【0008】
また、本発明は、高強度のインサートを含めて保護パッドの変形を防止することにより、保護パッドの破損を防止することができる効果がある。これにより、保護パッドに起因するガラス基板の破損を大幅に下げることができる効果がある。
【0009】
また、本発明は、保護パッドの重量減少を通じて、作業性を向上させる効果がある。これにより、作業中のガラス基板破損率を大幅に下げることができる効果がある。
【0010】
また、本発明は、隅部(corner)に弾性体を適用することにより、保護パッドの隅部の破損を防止することができる効果がある。これにより、保護パッドに起因するガラス基板の破損を大幅に下げることができる効果がある。
【0011】
本発明は、後層の後面にエンボッシングを採用するため、面圧によってフィルム、間紙またはガラス基板がくっ付いてくる現象を改善する効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明の第1実施例に係るガラス基板包装コンテナを示す斜視図である。
図2図2は、本発明の第2実施例に係るガラス基板保護パッドを示す斜視図である。
図3図3は、図2のガラス基板保護パッドの分解斜視図である。
図4図4は、図2のガラス基板保護パッドの隅部を拡大した拡大側面図である。
図5図5は、図2のガラス基板保護パッドの隅部を拡大した拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下においては、添付された図面を参照しつつ、本発明の実施例について詳細に説明する。
【0014】
図1は、本発明の第1実施例に係るガラス基板包装コンテナを示す斜視図である。図示したように、図1のガラス基板包装コンテナ100は、LCD、PDP、OLED、TSP(タッチスクリーンパネル)といったディスプレイパネルの製造に使用される多数枚のガラス基板10を包装するのに使用される。
【0015】
図1のガラス基板包装コンテナ100は、積載部110およびカバー部120を備える。
【0016】
積載部110は、包装コンテナ100の基本構造を成し、ガラス基板10が積載されるように、ガラス基板10の下端と後面を支持する構成部である。(本明細書おいて、「前後」、「上下」および「左右」は、説明の便宜のために相対的に設定した方向である。)
カバー部120は、積載部110に積載されたガラス基板を覆って外部から隔離させるための構成部である。カバー部120は、積載部110に設置され、積載部110のガイドレール111に沿って摺動可能に設置される。カバー部120は、フロントカバー121を備える。
【0017】
ガラス基板包装コンテナ100は、多数枚のガラス基板を積載した状態で包装する。このとき、ガラス基板保護パッド20は、ガラス基板10の前面に密着されて、ガラス基板を保護する。
【0018】
図2は、本発明の第2実施例に係るガラス基板保護パッド20を示す斜視図であり、図3は、図2のガラス基板保護パッド20の分解斜視図であり、図4は、図2のガラス基板保護パッドの隅部を拡大した拡大側面図であり、図5は、図2のガラス基板保護パッドの隅部を拡大した拡大斜視図である。
【0019】
図示したように、図2のガラス基板保護パッド20は、その後面がガラス基板に密着される。ガラス基板保護パッド20は、ガラス基板を保護するように機能する。ガラス基板保護パッド20は、多層からなる。図2の実施例において、ガラス基板保護パッド20は、前層26、インサート25、内層23、弾性体24、インサート22、および後層21を備える。しかし、本発明のガラス基板保護パッド20の構成は、これに限定されず、後述する特許請求の範囲によって定められるものであることは当然である。図2のガラス基板保護パッド20は、前後対称、左右対称および上下対称の構成を有するので、ガラス基板保護パッド20を裏返して、前後、左右および上下の区別なく使用することができる。しかし、実施例によっては、対称構造を持たない構成も可能であり、この場合、前後、左右および上下は区別されて使用されるであろう。前方から、前層26;インサート25;内層23;弾性体24;インサート22;および後層21の順に配列される。
【0020】
後層21は、ガラス基板に密着される層である。後層21は、発泡ポリマーを含む。好ましくは、EVA(酢酸エチルビニル)、EPP(発泡ポリプロピレン)、EPE(発泡ポリエチレン)等の材質からなってよい。後層21の後面、すなわち、ガラス基板に向けて密着される面は、エンボッシングを有する。エンボッシングは、多様なパターンを有してよい。たとえば、エンボッシングは、ストライプパターンまたはドットパターンを有してよい。
【0021】
インサート22,25は、前層26、弾性体24、内層23および後層21よりも大きな強度を有する。したがって、インサート22,25は、ガラス基板保護パッド20の反りを防止する。インサート22,25は、軽量・高強度の材質、たとえば、アルミニウム薄板、プラスチック薄板等、剛性が維持され得る多様な材質からなってよい。インサート22,25は、フレーム構造(骨格構造)を有する。たとえば、図3に示した梯子構造の他に、2本の垂直棒と2本の水平棒とが交差する構造等、多様な構造を有してよい。インサートがフレーム構造を有することにより、重量を減らすことができるようになる。インサート22,25は、好ましくは、上下対称および左右対称の構造を有する。インサート22,25の上端および下端は、ガラス基板保護パッド20の上辺および下辺から離隔するように形成されてもよい(図4参照)。図3を参照すると、インサート22,25の上端および下端は、前層26、内層23および後層21の上辺および下辺から離隔するように形成されてもよい。したがって、インサート22,25の高さ、すなわち上端と下端の間の長さは、前層26、内層23および後層21の高さ、すなわち上辺と下辺の間の長さよりも短くてもよい。第2実施例においては、前層26と内層23の間および内層23と後層21の間にそれぞれ一つずつ、合計二つのインサート22,25が使用される実施例を示しているが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0022】
内層23は、好ましくは、EVAを使用する。この他に、物理的/化学的に発泡された多様な材質が内層として使用されてよい。内層23は、その角に貫通孔23aを有する。
【0023】
弾性体24は、内層23の貫通孔23aに形成される。弾性体24は、前層26、インサート25、内層23、インサート22および後層21よりも大きな弾性を有する材質からなる。弾性体24は、たとえば、ゴム材質のものが使用されてよい。
【0024】
前層26は、発泡ポリマーを含む。好ましくは、EVA、EPP、EPEなどの材質からなってよい。前層26の前面は、エンボッシングを有する。エンボッシングは、多様なパターンを有してよい。たとえば、エンボッシングは、ストライプパターン、ドットパターンを有してよい。
【0025】
表1は、図2のガラス基板保護パッド20の厚さおよび重量の削減効果を示したものである。
【0026】
【表1】
実施例の保護パッド20は、重量の節減により作業性が向上し、それにより作業者のミスに起因するガラス基板の破損を減らすことができるという効果がある。
【0027】
表2は、表1の実施例および比較例の保護パッドをテストした結果を示す。テスト条件は、最大限苛酷条件において実施した。項目ごとに50回同じように行う再現評価を実施した。
【0028】
【表2】
比較例のガラス基板保護パッドは、ガラス基板のエッジ部位における1回の打撃のみで、ガラス基板の破損が引き起こされた。これに対し、実施例のガラス基板保護パッド20は、3回の打撃によっても破損が発生しなかった。
【符号の説明】
【0029】
10:ガラス基板
20:保護パッド
21:後層
22:インサート
23:内層
23a:貫通孔
24:弾性体
25:インサート
26:前層
100:包装コンテナ
110:積載部
120:カバー部
図1
図2
図3
図4
図5