(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0007】
図1は、本実施形態にかかるセルフチェックアウト装置1の構成を示す外観斜視図である。セルフチェックアウト装置1は、例えばスーパーマーケットや衣料販売店等の店舗に設置されて用いられる。セルフチェックアウト装置1の本体2(データ処理手段)は、タッチパネル3aが表面に配設されたディスプレイ3bを備えている。ディスプレイ3bとしては例えば液晶表示器が用いられる。
【0008】
また、セルフチェックアウト装置1の本体2には、精算時に客のポイントカードやクレジットカードを挿入するためのカード挿入口4や、レシートを発行するレシート発行口5が設けられている。また、本体2には、精算用の紙幣の入金や釣り紙幣の受け取りを行うための紙幣入出金口6、精算時に硬貨を投入するための硬貨投入口7、釣り硬貨を受け取るための硬貨取出口8等が設けられている。
【0009】
本体2の右側には、商品に付された無線タグ、本例ではRFID(Radio Frequency IDentifier)タグ、特にUHF帯で動作するRFIDタグを読み取るための読取装置10(読取手段、書込手段)が備えられている。読取装置10は、詳しくは後述するが、読取装置10の外部(外界)からの電波を遮蔽し、商品を収納する収納室としての役目も果たしている。
読取装置10は、図示しないケーブル等によりセルフチェックアウト装置1に接続され、商品に付されているRFIDタグから読み取った各種の情報を、セルフチェックアウト装置1に出力(送信)する。こうして読取装置10は、セルフチェックアウト装置1に一体に構成される。
なお、各商品には当該商品を識別するための商品コード等を記録したRFIDタグ(図示せず)が付されているものとする。また、RFIDタグには、後述する登録済フラグを書き込むための記憶領域が用意されているものとする。
【0010】
以下、読取装置10について説明する。
図2は、読取装置10の概略構成を示す外観斜視図である。
図2(a)は、読取装置10の開閉フタ12を開けた開状態を示し、
図2(b)は、読取装置10の開閉フタ12を閉じた閉状態を示している。また、
図3は、開閉フタ12が閉状態の読取装置10の概略断面図である。
【0011】
読取装置10は、読取装置10の主たる外装を構成する筐体11と、筐体11に設けられた買物カゴCの出入り口となる開口部Hを開閉するための開閉フタ12とを有する。筐体11の外形は、略箱型の形状を備え、横幅寸法よりも奥行寸法が大きい、奥行方向に長いプロポーションとなっている。また、筐体11は、その内部に買物カゴCを収納可能な大きさの読取室(収納室)13を有する。
【0012】
筐体11及び開閉フタ12の外壁(外面)は、金属板やモールド材等の電波反射部材、又は電波を吸収する電波吸収材で形成されている。なお、筐体11及び開閉フタ12の内壁(内面)は特に問わないものとするが、電波反射部材又は電波吸収部材で覆う構成としてもよい。
【0013】
開閉フタ12は、筐体11の背面部に設けたヒンジ機構111を中心に矢印X1方向に引き上げることで開状態とすることができる(
図2(a))。また、開閉フタ12は、ヒンジ機構111を中心に矢印X2方向に引き下げることで閉状態とすることができる(
図2(b))。客は、開閉フタ12を開状態とすることで、筐体11の開口部Hを介して、当該筐体11の読取室13内に、商品を入れた買物カゴCを出し入れすることができる。なお、開閉フタ12の開閉速度の緩和や開状態を保持するために、筐体11と開閉フタ12との間にダンパ112を設ける構成とした(
図2(a)参照)。
【0014】
読取室13内において、買物カゴCは、載置台14の上に載置される。載置台14は、木製やガラス等の絶縁性(電波透過性)の板状部材で構成され、筐体11と所定の間隙を有して支持されている。
【0015】
読取室13内には、RFIDタグの情報の読み取りや書き込みを行うためのRFIDアンテナ部として、RFIDアンテナ15−1とRFIDアンテナ15−2が設けられている。RFIDアンテナ15−1とRFIDアンテナ15−2は、共に、送受信兼用のアンテナである。ここでは、それぞれのRFIDアンテナ15−1、15−2として、直方体形状の筐体に平面パッチアンテナを収容したアンテナ装置をそれぞれ用いている。これらは、同軸ケーブルを介するなどしてリーダライタ部などを備えるリーダライタ装置(不図示)とアンテナ用のポートなどを介して接続されている。リーダライタ装置の設置位置は、RFIDタグの情報の読み取りや書き込みに支障のない位置が良い。例えば、読取室13外部の筐体11の周囲やセルフチェックアウト装置1の内部などに設ける。また、読取室13内であれば、載置台14と筐体11底面との間隙などの空きスペースSに設ける。この場合、リーダライタ装置への電波の影響やリーダライタ装置からの外部に対する電波環境の影響を除去又は低減させるためにリーダライタ装置を電波吸収部材などの保護部材で覆うとなお良い。
【0016】
本実施形態において、2つのRFIDアンテナ15−1、15−2は、同図に示すように載置台14において買物カゴCが載置される面Eと対向する面E´(すなわち、底面)側に、読み取りの向き(読取面の向き)を共に矢印Yの向き(図の上向き)にして並べて配設される。ここで読取面は、平面パッチアンテナが電波を放射する放射面のことを差す。これにより、2つのRFIDアンテナ15−1、15−2は共に読取面の前方つまり同図上方に向けて高い強度を示す電波を放射する。
なお、2つのRFIDアンテナ15−1、15−2は、同図に示すように共に同一面に並べて配設しても良いし、載置台14の高さ方向において互いに段違いとなるように、それぞれを異なる面に配設しても良い。
【0017】
図4は、2つのRFIDアンテナ15−1、15−2の配置を載置台14の上方側(
図3の矢印l-l´で示す位置)から透過図で示したものである。同図に示す角度からは、2つのRFIDアンテナ15−1、15−2は載置台14の背後にあって見えない。このため、2つのRFIDアンテナ15−1、15−2を透過線(破線)で示した。また、
図3と共通する部分については同一の番号を付している。
RFIDアンテナ15−1、15−2は、同図に示すように、載置台14の長手方向に並べて配置されている。
各RFIDアンテナ15−1、15−2は、UHF帯等の電波を出射することにより、読取室13内に存在するRFIDタグ、つまり買物カゴCに収められた各商品GのRFIDタグTと交信を行う(
図3参照)。
【0018】
このような構造を備える読取装置10によれば、読取室13に各図に示すように買物カゴCを収容することで、買物カゴCの中の商品G(RFIDタグT)をRFIDアンテナ15−1、15−2から一括で読み取ることができる。また、読取装置10(筐体11及び開閉フタ12)の外面を電波反射部材で覆うことで、読取室13内の環境を外部の電波(ノイズ)から遮蔽することができるため、誤動作等の発生を防ぐことができる。
【0019】
次に、セルフチェックアウト装置1及び読取装置10のハードウェア構成について説明する。
図5は、セルフチェックアウト装置1及び読取装置10のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0020】
セルフチェックアウト装置1は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等から構成されるコンピュータ構成の制御部20を備える。ROMは、CPUが実行する各種プログラムや各種データを記憶する。RAMは、CPUが各種プログラムを実行する際に一時的にデータやプログラムを記憶するものである。
【0021】
制御部20には、各種の入出力回路(図示せず)を介して、タッチパネル3a、ディスプレイ3b、カードリーダ21、レシートプリンタ22、紙幣入出金ユニット23、硬貨投入ユニット24及び硬貨排出ユニット25が接続される。
【0022】
カードリーダ21は、カード挿入口4から挿入された客のポイントカードやクレジットカードの情報を読み込むものである。レシートプリンタ22は、会計処理後にレシートを印刷して、これをレシート発行口5から発行するものである。紙幣入出金ユニット23は、紙幣入出金口6から入金または出金される紙幣を処理するものである。また、硬貨投入ユニット24は硬貨投入口7から投入される硬貨を、硬貨排出ユニット25は硬貨取出口8に排出される硬貨を処理するものである。
【0023】
また、制御部20には、各種の入出力回路(図示せず)を介して、記憶部26及び通信I/F27等が接続される。
【0024】
記憶部26は、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等の不揮発性の記憶媒体を備えた記憶装置である。記憶部26は、セルフチェックアウト装置1の動作に係る各種プログラムや各種データを記憶する。記憶部26が記憶するデータとしては、例えば、各商品に関する商品情報を、当該商品を識別する商品コードと対応付けて登録した商品マスタ等が挙げられる。係る商品情報は、例えば、対応する商品の商品名及び価格等を含む。通信I/F27は、読取装置10との間で各種データの送受信を行うためのインタフェースである。
【0025】
一方、読取装置10は、CPU、ROM及びRAM等から構成されるコンピュータ構成の制御部30を備える。ROMは、CPUが実行する各種プログラムや各種データを記憶する。RAMは、CPUが各種プログラムを実行する際に一時的にデータやプログラムを記憶するものである。
また、制御部30には、各種の入出力回路(図示せず)を介して、リーダライタ部31、開閉センサ32、記憶部33及び通信I/F34等が接続される。
【0026】
リーダライタ部31は、制御部30からの指示の下に、複数のRFIDアンテナ15−1、15−2を動作させてRFIDタグTと交信し、データの送受信を行う(制御手段)。
具体的には、リーダライタ部31は、リーダライタ部31に接続されているRFIDアンテナ15−1、15−2から一つのRFIDアンテナ15−1(又はRFIDアンテナ15−2)を択一的に選んで切り替えるアンテナ切り替え部310を備えている。アンテナ切り替え部310は、読み取り動作や書き込み動作の時に2つのRFIDアンテナ15−1、15−2を所定の順番で択一的に選んで切り替える。従って、2つのRFIDアンテナ15−1、15−2は、それぞれ異なるタイミングでRFIDタグと交信し、データの送受信を行う。
【0027】
RFIDタグとの交信は、アンテナ切り替え部310によって切り替えられた一つのRFIDアンテナ15−1(またはRFIDアンテナ15−2)により1サイクルの終了まで一貫して行われる。RFIDタグとの交信のサイクルとして、例えばRFIDタグがパッシブ方式の電池を持たないタイプのものである場合は、次の通りとなる。
一つは、不変調の搬送波を増幅してRFIDアンテナ15−1(またはRFIDアンテナ15−2)から電波(質問波)として放射し、放射された電波の応答範囲のRFIDタグにおいてその反射波(応答波)に乗せられた識別コード等のRFIDタグ情報をRFIDアンテナ15−1(またはRFIDアンテナ15−2)で受信し、そのタグ情報を搬送波から復調して、復調されたタグ情報を制御部30に送信する読取サイクルである。
【0028】
また別の一つは、制御部30からの書き込みの信号により搬送波を変調し、変調後の搬送波を増幅してRFIDアンテナ15−1(またはRFIDアンテナ15−2)から電波として放射し、放射された電波の応答範囲にあるRFIDタグに情報の書き込みを行わせ、その結果を受信して制御部に通知する書込サイクルである。なお、RFIDアンテナ15−1(またはRFIDアンテナ15−2)から放射された電波の応答範囲にあるRFIDタグは、RFIDアンテナ15−1(またはRFIDアンテナ15−2)からの電波をRFIDタグのアンテナで受けて通信チップを起動し、メモリに記憶されているタグ情報を反射波に乗せる。また、書き込み命令に基づいてメモリ内の書き込み領域に情報の書き込みを行う。
【0029】
図6は、リーダライタ部31の構成例である。
同図に示すようにリーダライタ部31は、2つのポート311−1、311−2と、アンテナ切り替え部310としての切り替えスイッチ310Aと、サーキュレータ312と、送信処理部313と、受信処理部314と、送受信制御部315と、入出力インタフェース部316とを備える。
2つのポート311−1、311−2は、RFIDアンテナ15−1、15−2をリーダライタ装置の外部装置として設けた場合の、RFIDアンテナ15−1、15−2のそれぞれの接続ポートである。
【0030】
ここでは、ポート311−1とポート311−2に、それぞれ、RFIDアンテナ15−1とRFIDアンテナ15−2が同軸ケーブルを介して接続される。
切り替えスイッチ310Aは、例えばダイオードスイッチやFETスイッチなどの電子式のスイッチ、或いは機械式のスイッチなどで構成される高周波スイッチである。
切り替えスイッチ310Aは、RFIDアンテナ15−1とRFIDアンテナ15−2を択一的に選択していずれか一方の伝送経路にスイッチングするための切り替えスイッチである。制御部30からの入出力インタフェース部316を介して入力される読取開始や書込開始を示す信号に基づいて、送受信制御部315が所定順序で切り替え信号を切り替えスイッチ310Aに出力し、RFIDアンテナ15−1が接続されるポート311−1の伝送経路とRFIDアンテナ15−2が接続されるポート311−2の伝送経路とから一つの伝送経路を択一的に切り替える。同図は、そのうちのRFIDアンテナ15−1が接続されるポート311−1の伝送経路が選択された状態が示されている。この場合、RFIDアンテナ15−1が動作することになる。
【0031】
送受信制御部315は、制御部30から入出力インタフェース部316を介して受信した読取開始や読取終了、或いは書込開始や終了などのコマンドに従い、送信処理部313や受信処理部314を制御する。例えば、所定のデータを送信処理部313へ送信し、受信処理部314から送信されたコマンドやデータなどを入出力インタフェース部316を介して制御部30へ送信する。
また、送受信制御部315は、制御部30から入出力インタフェース部316を介して受信した切り替え命令に従い、切り替えスイッチ310Aの切り替えを制御する。この切り替えは所定順序で行う。例えば、始めにポート311−1、次にポート311−2のような所定順序で切り替えスイッチ310AのスイッチのON・OFFを制御してそれぞれの伝送経路を切り替える。
送信処理部313は、主に変調処理を行う。例えば、不変調の搬送波を発生させたり、送受信制御部315から送られてきたデータで搬送波を変調したりする。そして、その搬送波を増幅し、サーキュレータ312を介してRFIDアンテナ15−1、15−2へ送る。
受信処理部314は、主に復調処理を行う。例えば、RFIDアンテナ15−1、15−2で受信し、サーキュレータを通して流れてきた信号を増幅し、搬送波からデータ(タグ情報等)を分離する。そして、搬送波から取り出したデータを送受信制御部315へ送る。
入出力インタフェース部316は、制御部30と送受信制御部315との信号やデータの入出力を行うインタフェース回路である。
【0032】
この構成では、制御部30からRFIDタグの読み取りの命令があると、送受信制御部315を通じて切り替えスイッチ310Aを制御し、ポート311−1の伝送経路とポート311−2の伝送経路とから一つの伝送経路に択一的に切り替える。この伝送経路は所定順序に従って行う。例えば、読み取りの命令があると、最初はポート311−1の伝送経路に切り替える。そして、送信処理部313では不変調の搬送波を増幅してサーキュレータ312に送信する。その信号は切り替えスイッチ310Aにおいて伝送経路として接続されたポート311−1と同軸ケーブルを通ってRFIDアンテナ15−1に送られ、そこで電波(質問波)として放射される。この質問波に対してRFIDタグから応答があると、そのRFIDアンテナ15−1で応答波を受信し、切り替えスイッチ310Aやサーキュレータ312を通じて受信処理部314でその信号を受信する。受信処理部314はその信号を増幅してタグ情報を取出し、送受信制御部315へ送信し、送受信制御部315で生成されたタグ情報が入出力インタフェース部316を介して制御部30へ送信される。
【0033】
また、制御部30からRFIDアンテナの切り替えの命令があると、送受信制御部315を通じて切り替えスイッチ310Aを制御し、今度は、ポート311−2の伝送経路に切り替える。そして、送信処理部313では同様に不変調の搬送波を増幅してサーキュレータ312に送信する。その信号は切り替えスイッチ310Aにおいて伝送経路として接続されたポート311−2と同軸ケーブルを通ってRFIDアンテナ15−2に送られ、そこで電波として放射される。この質問波に対してRFIDタグから応答があると、そのRFIDアンテナ15−2で応答波を受信し、切り替えスイッチ310Aやサーキュレータ312を通じて受信処理部314でその信号を受信する。受信処理部314はその信号を増幅してタグ情報を取出し、送受信制御部315へ送信し、送受信制御部315で生成されたタグ情報が入出力インタフェース部316を介して制御部30へ送信される。
【0034】
なお、制御部30からRFIDタグへの書き込みの命令があった場合も、同様の手続きで行われる。
【0035】
つまり、制御部30からRFIDタグの書き込みの命令があると、最初はポート311−1の伝送経路に切り替える。そして、送信処理部313で書き込み命令やデータにより搬送波を変調し、変調後の搬送波を増幅してサーキュレータ312に送信する。その信号は切り替えスイッチ310Aにおいて伝送経路として接続されたポート311−1と同軸ケーブルを通ってRFIDアンテナ15−1に送られ、そこで電波として放射される。この電波に対してRFIDタグから書き込みを終えたことの応答があると、そのRFIDアンテナ15−1で応答波を受信し、切り替えスイッチ310Aやサーキュレータ312を通じて受信処理部314でその信号を受信する。受信処理部314はその信号を増幅してタグ情報を取出し、送受信制御部315へ送信し、送受信制御部315で生成されたタグ情報が入出力インタフェース部316を介して制御部30へ送信される。その後、制御部30からRFIDアンテナの切り替えの命令があると、送受信制御部315を通じて切り替えスイッチ310Aを制御し、今度は、ポート311−2の伝送経路に切り替える。そして、RFIDアンテナ15−2の動作による書き込み処理を同様にして行う。
なお、RFIDタグでは、書込みの命令を受信すると、内蔵メモリの所定の記憶領域にデータ(本例では登録済フラグ)を書き込み、その結果をRFIDアンテナ15−1又はRFIDアンテナ15−2に返信する。
【0036】
開閉センサ32は、開閉フタ12の開閉状態を検知するセンサ装置である。開閉センサ32は、開閉フタ12の開閉状態を示す開閉状態情報を制御部30に出力する。開閉センサ32は、例えば、筐体11と開閉フタ12との接触部分や開閉フタ12のヒンジ機構111に設けたマイクロスイッチや磁気センサにより実現することができる。また、開閉フタ12の閉状態において読取室13が暗所となる場合、この読取室13内に設けた光センサにより実現することができる。
【0037】
記憶部33は、HDDやSSD等の不揮発性の記憶媒体を備えた記憶装置である。記憶部33は、読取装置10の動作に係る各種プログラムや各種データを記憶する。読取装置10の動作に係るプログラムとして、RFIDアンテナ15−1(またはRFIDアンテナ15−2)から他方のRFIDアンテナ15−2(またはRFIDアンテナ15−1)に接続を切替えるためにアンテナ切り替え部310に切り替え信号を出力するプログラムなども含まれる。
通信I/F34は、セルフチェックアウト装置1との間で各種データの送受信を行うためのインタフェースである。
【0038】
次に、セルフチェックアウト装置1及び読取装置10の機能的構成について説明する。
図7は、セルフチェックアウト装置1及び読取装置10の機能的構成を示すブロック図である。
【0039】
セルフチェックアウト装置1の制御部20(CPU)は、記憶部26に記憶されたプログラムと協働することで、表示制御部201と、入力受付部202と、通信制御部203と、販売登録部204とを機能部として実現する。
【0040】
表示制御部201は、ディスプレイ3bを制御し、当該ディスプレイ3bに各種画面を表示させる。例えば、表示制御部201は、商品コード(RFIDタグ)の読み取り開始を指示させるための操作子(以下、読取開始ボタンという)や、読み取り終了を指示させるための操作子(以下、読取終了ボタンという)を含んだ画面を表示させる。また、表示制御部201は、読取装置10から送信される商品コードに基づき、当該商品コードに対応する商品情報を商品マスタから読み出し、その商品の商品名や価格、預かり金額や釣銭額等を表示させる。
【0041】
入力受付部202は、タッチパネル3aを介した操作入力を受け付ける。例えば、入力受付部202は、ディスプレイ3bに表示された操作画面において、操作子が操作(タッチ操作)された場合に、その操作子に対応する指示情報を制御部20に出力する。
【0042】
通信制御部203は、通信I/F27を制御し、当該通信I/F27を介して読取装置10との間で各種の情報を送受信する。例えば、通信制御部203は、読取開始ボタンが操作されると、読取開始を指示する指示情報を読取装置10に送信する。また、通信制御部203は、読取装置10から送信された商品コードを受信する。また、通信制御部203は、読取終了ボタンが操作されると、読取終了を指示する指示情報を読取装置10に送信する。また、通信制御部203は、販売登録部204による販売登録が完了すると、登録完了を指示する指示情報を読取装置10に送信する。
【0043】
販売登録部204は、読取装置10から送信された商品コードに対応する各商品について、決済処理により代金の支払いを確認すると、それらの商品コードを顧客が買い上げた商品として販売登録を行う。具体的に販売登録部204は、各商品の商品コードを、預かり金額や釣り銭、取引日時とともに登録用のデータベースに登録する。なお、登録用のデータベースは、セルフチェックアウト装置1の記憶部26が備える形態としてもよいし、セルフチェックアウト装置1と通信可能な外部装置が備える形態としてもよい。
【0044】
一方、読取装置10の制御部30(CPU)は、記憶部33に記憶されたプログラムと協働することで、開閉状態取得部301と、リーダライタ制御部302と、通信制御部303とを機能部として実現する。
【0045】
開閉状態取得部301は、開閉センサ32と協働することで、開閉フタ12が開いた状態にあるか閉じた状態にあるかを示す開閉状態情報を取得する。
【0046】
リーダライタ制御部302は、リーダライタ部31を制御することで、商品に付されたRFIDタグの読み取りと、当該RFIDタグへの書き込みを複数のRFIDアンテナを介して行う。
【0047】
具体的に、リーダライタ制御部302は、セルフチェックアウト装置1から読み取り開始が指示され、且つ開閉状態取得部301が取得した開閉状態情報が開閉フタ12の閉状態を示す場合に、先ず読み取り(読取サイクル)を開始する。この読取サイクルは、リーダライタ制御部302が2つのRFIDアンテナ15−1、15−2を所定の順番でアンテナ切り替え部310に切り替えさせることにより行われる。例えば、リーダライタ制御部302が先ずアンテナ切り替え部310によりRFIDアンテナ15−1を選択する。この状態で読み取り動作を行い、RFIDアンテナ15−1からその応答範囲にあるRFIDタグTのタグ情報を読み取る。その読み取りの開始から一定時間後、今度はアンテナ切り替え部310によりRFIDアンテナ15−1からRFIDアンテナ15−2に切り替える。そして、この状態で同様に読み取り動作を行い、RFIDアンテナ15−2からその応答範囲にあるRFIDタグTのタグ情報を読み取る。なお、RFIDタグTから読み取ったタグ情報(ここでは商品コード)は、随時、リーダライタ制御部302からセルフチェックアウト装置1に送信されるものとする。
【0048】
また、リーダライタ制御部302は、セルフチェックアウト装置1から読み取り終了が指示されると、リーダライタ部31による読み取りを終了する。そして、リーダライタ制御部302は、セルフチェックアウト装置1から登録完了が指示されると、リーダライタ部31を制御し登録済フラグの書き込み(書込サイクル)を開始する。ここで、登録済フラグは、販売登録が完了したことを示す情報であって、RFIDタグTが有する所定の記憶領域に書き込まれるものとする。
【0049】
リーダライタ制御部302の書込サイクルは、読取サイクルと同様に、2つのRFIDアンテナ15−1、15−2を所定の順番でアンテナ切り替え部310に切り替えさせることにより行う。例えば、リーダライタ制御部302が先ずRFIDアンテナ15−1に切り替える。この状態で登録済フラグの書き込み動作を行い、RFIDアンテナ15−1からその応答範囲にあるRFIDタグTに書き込みの命令を送信し、書込みの結果を受信する。その書き込みの結果を全て受信した後、今度はRFIDアンテナ15−2に切り替える。そして、この状態で同様に書き込み動作を行い、RFIDアンテナ15−2からその応答範囲にあるRFIDタグTに書き込みの命令を送信し、書込みの結果を受信する。
【0050】
さらに、リーダライタ制御部302は、RFIDタグTの読み取りを開始してから登録済フラグを書き込むまでの間に、開閉フタ12が開状態となった場合、読み取りを終了し、それまでに読み込んだ商品コードをリセットするリセット処理を実行する。このリセット処理により、セルフチェックアウト装置1に送信された商品コードもリセットが行われるものとする。そして、リーダライタ制御部302は、開閉フタ12が再び閉状態になったことを確認すると、RFIDタグの読み取りを再度実行する。
【0051】
これにより、決済処理の完了前に、RFIDタグが未読取の商品が買物カゴ(読取室13)内に追加された場合であっても、その商品の読み取りをより確実に行うことができる。なお、開閉フタ12が開状態となったことをセルフチェックアウト装置1に通知することで、セルフチェックアウト装置1のディスプレイ3bに、開閉フタ12が開状態であることを報知する画面を表示させる形態としてもよい。
【0052】
通信制御部303は、通信I/F34を制御し、当該通信I/F34を介してセルフチェックアウト装置1との間で各種の情報を送受信する。例えば、通信制御部303は、セルフチェックアウト装置1から送信された読取開始を指示する指示情報を受信する。また、通信制御部303は、リーダライタ制御部302がRFIDタグから読み取った商品コードを、セルフチェックアウト装置1に送信する。また、通信制御部303は、セルフチェックアウト装置1から送信された読取終了を指示する指示情報を受信する。また、通信制御部303は、セルフチェックアウト装置1から送信された登録完了を指示する指示情報を受信する。
【0053】
次に、セルフチェックアウト装置1及び読取装置10の動作について説明する。
図8は、セルフチェックアウト装置1及び読取装置10の動作例を説明するためのフローチャートである。
【0054】
セルフチェックアウト装置1を操作する顧客は、読取装置10の開閉フタ12を開け、商品を入れた買物カゴを読取室13内に収容する。次いで、顧客は、セルフチェックアウト装置1のディスプレイ3bに表示された読取開始ボタンを操作することで、本処理が開始される。
【0055】
セルフチェックアウト装置1では、入力受付部202が読取開始ボタンの操作を受け付けると、通信制御部203は、読み取り開始を指示する指示情報を読取装置10に送信する(ステップS11)。
【0056】
読取装置10では、通信制御部303が読み取り開始を指示する指示情報を受信すると、リーダライタ制御部302は、開閉状態取得部301が取得した開閉状態情報に基づき、開閉フタ12が閉状態にあるか否かを判定する(ステップS21)。ここで、リーダライタ制御部302は、開閉フタ12が開状態にあると判定すると(ステップS21;No)、当該開閉フタ12が閉状態となるまで待機する。なお、ステップS21の待機時に、リーダライタ制御部302がセルフチェックアウト装置1の表示制御部201と協働することで、開閉フタ12を閉じることを促す画面を表示させる形態としてもよい。
【0057】
ステップS21において、開閉フタ12が閉状態にあると判定すると(ステップS21;Yes)、リーダライタ制御部302は、RFIDタグの読み取りを開始する(ステップS22)。なお、読取装置10の起動時は、初期化処理においてアンテナ切り替え部310がデフォルトのRFIDアンテナ15−1に選択されるものとする。従って、この段階では、RFIDアンテナ15−1による読み取りが行われる。次いで、リーダライタ部31は、RFIDタグから商品コードを読み取ったか否かを判定する(ステップS23)。ここで、商品コードが読み取られた場合(ステップS23;Yes)、通信制御部303は、その商品コードをセルフチェックアウト装置1に順次送信し(ステップS24)、ステップS25に移行する。
【0058】
続くステップS25において、リーダライタ制御部302は、開閉状態取得部301が取得する開閉状態情報に基づき、開閉フタ12が閉状態にあるか否かを判定する(ステップS25)。閉状態にあると判定した場合(ステップS25;Yes)、リーダライタ制御部302は、セルフチェックアウト装置1から読み取りの終了が指示されたか否かを判定する(ステップS28)。ここで、読み取り終了の指示がない場合には(ステップS28;No)、ステップS23に戻る。
【0059】
次に、ステップS23において、商品コードが読み取れない場合(ステップS23;No)、ステップS23−1に移行する。
ステップS23−1では、時間をカウントするパラメータiの値をインクリメントする。なお、パラメータiには、読取装置10の起動時に行われる初期化処理において「0」の値が設定されるものとし、本処理の開始時には、パラメータiに「0」の値が既に設定されているものとする。
【0060】
ステップS23−1に次いで、パラメータiが所定時間を示す値以上であるか否かを判定する(ステップS23−2)。所定時間を示す値は、読取装置からの送信のタイミングやRFIDタグからの応答速度などに応じて適宜決めて良い。ここでは、一例として3秒に設定する。
【0061】
ステップS23−2において、3秒未満と判定した場合には(ステップS23−2;No)、ステップS25に移行する。
ステップS23−2において、3秒以上と判定した場合には(ステップS23−2;Yes)、RFIDアンテナの切り替え処理を実行する(ステップS23−3)。RFIDアンテナの切り替え処理は、具体的には、読取装置10の制御部30が、アンテナ切り替え部310により選択されているRFIDアンテナ15−1(又はRFIDアンテナ15−2)を他方のRFIDアンテナ15−2(又はRFIDアンテナ15−1)に切り替えるものとして行われる。
【0062】
ステップS23−3以降は、パラメータiの値を「0」に初期化して(S23−4)、ステップS25からの処理に移行する。
また、ステップS25において、開状態にあると判定した場合(ステップS25;No)、リーダライタ制御部302は、RFIDタグの読み取りを停止する(ステップS26)。そして、リーダライタ制御部302は、これまでに読み取った商品コードをリセットするリセット処理を行い(ステップS27)、ステップS21に再び戻る。
【0063】
なお、読取室13が空の状態でRFIDタグの読み取りが開始されたような場合には、RFIDタグが一つも読み取れないままステップS23〜S25及びS28のループが続くことになる。そこで、このような状態を回避するため、RFIDタグが一つも読み取れないまま、所定時間が経過した場合、ここで所定時間とはアンテナの切り替えを行うか否かの判定基準となる時間(ステップS23−2の3秒)やアンテナ切り替えの動作時間等を含む合計時間を超えるような時間のことで、本例では5秒とするものであり、この場合において、RFIDタグの読み取りを強制的に終了させる形態としてもよい。また、ステップS23〜S25及びS28のループを所定回数実行した場合においても、RFIDタグの読み取りを強制的に終了させる形態としてもよい。この場合、リーダライタ制御部302は、セルフチェックアウト装置1の表示制御部201と協働することで、RFIDタグを読み取ることができない旨のメッセージを表示させることが好ましい。
【0064】
セルフチェックアウト装置1では、通信制御部203が読取装置10から商品コードを受信すると、表示制御部201は、その商品コードに対応する商品情報を商品マスタから読み出し、ディスプレイ3bに表示する(ステップS12)。
【0065】
顧客は、ディスプレイ3bに表示された商品情報を参照し、買物カゴに入れた全ての商品が表示されたことを確認すると、そのディスプレイ3bに表示された読取終了ボタンを操作する。そして、入力受付部202が読取終了ボタンの操作を受け付けると、通信制御部203は、読み取り終了を指示する指示情報を読取装置10に送信する(ステップS13)。
【0066】
読取装置10では、通信制御部303が読み取り終了を指示する指示情報を受信すると、リーダライタ制御部302は、読み取りの終了が指示されたと判定する(ステップS28;Yes)。次いで、リーダライタ制御部302は、RFIDタグの読み取りを停止する(ステップS29)。
【0067】
続いて、リーダライタ制御部302は、セルフチェックアウト装置1から登録完了が指示されたか否かを判定する(ステップS30)。登録完了の指示がない場合(ステップS30;No)、リーダライタ制御部302は、開閉状態取得部301が取得する開閉状態情報に基づき、開閉フタ12が閉状態にあるか否かを判定する(ステップS31)。
【0068】
ここで、閉状態にあると判定した場合(ステップS31;Yes)、ステップS30に戻る。また、開状態にあると判定した場合(ステップS31;No)、リーダライタ制御部302は、ステップS27と同様のリセット処理を行い(ステップS32)、ステップS21に再び戻る。
【0069】
セルフチェックアウト装置1では、販売登録部204が、登録候補として表示された各商品について決済処理が完了すると(ステップS14)、これら各商品の販売登録を行う。そして、通信制御部203は、登録完了を指示する指示情報を読取装置10に送信し(ステップS15)、処理を終了する。
【0070】
読取装置10では、通信制御部303が登録完了を指示する指示情報を受信すると、リーダライタ制御部302は、登録完了が指示されたと判定する(ステップS30;Yes)。そして、リーダライタ制御部302は、リーダライタ部31を制御することで、各商品のRFIDタグに登録済フラグを書き込み(ステップS33)、本処理を終了する。
ステップS33では、先ずRFIDアンテナ15−1を選択し、RFIDアンテナ15−1からRFIDタグに登録済フラグを書き込み、その後、今度はRFIDアンテナ15−2に切り替えて、RFIDアンテナ15−2からRFIDタグに登録済フラグを書き込む。また、全てのRFIDタグから書込みの結果を受信する。
【0071】
なお、登録済フラグを書き込む間、リーダライタ制御部302がセルフチェックアウト装置1の表示制御部201と協働することで、開閉フタ12を閉じたままでいることを伝える画面を表示させる形態としてもよい。また、登録済フラグの書き込みが終了した場合に、リーダライタ制御部302がセルフチェックアウト装置1の表示制御部201と協働することで、開閉フタ12を開けることを促す画面を表示させる形態としてもよい。
【0072】
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0073】
例えば、上記実施形態では、顧客からの操作指示に応じてRFIDタグの読み取りを開始する形態としたが、これに限らないものとする。他の形態としては、例えば、顧客からの操作指示を要さずに、開閉フタ12が閉状態に切り替わるのに連動してRFIDタグの読み取りを自動的に開始する形態としてもよい。
【0074】
また、上記実施形態では、RFIDタグの読み取りを開始してから登録済フラグを書き込むまでの間に、開閉フタ12が開状態となった場合には、読み取りを終了してリセット処理を実行する形態としたが、これに限らないものとする。他の形態としては、例えば、読取装置10の筐体11と開閉フタ12との接触部分に、開閉フタ12の閉状態を保持するためのロック機構を設け、開閉フタ12が開けられないよう制御してもよい。具体的には、RFIDタグの読み取りを開始してから登録済フラグを書き込むまでの間は、リーダライタ制御部302がロック機構を制御することで、開閉フタ12が開けられないよう閉状態を保持する。これにより、決済処理の完了前に、RFIDタグが未読取の商品が買物カゴ(読取室13)内に挿入されてしまうことを未然に防ぐことができる。
【0075】
また、上記実施形態では、顧客からの終了指示に応じてRFIDタグの読み取りを終了する形態としたが、これに限らないものとする。他の形態としては、例えば、顧客から指示された個数(商品数)分のRFIDタグを読み取ると、その読み取りを自動的に終了する形態としてもよい。
【0076】
また、上記実施形態の読取装置10では、2つのRFIDアンテナ15−1、15−2を、それぞれ、載置台14の長手方向に並べて配置した。しかしながら、この構成に限るものではない。一つのRFIDアンテナだけでは応答が得られない位置にあるRFIDタグから、応答を受けられるようにするために、更なるRFIDアンテナを設けているので、例えば読取装置10の筐体11の構造や、買物カゴCの広さ又は深さや、買物カゴCの中の商品のRFIDタグのバラツキなどに応じて、RFIDアンテナを3つ、4つと必要なだけ増やし、配置も様々に設定してよい。
【0077】
従って、例えば、2つのRFIDアンテナ15−1、15−2のそれぞれの読取面の広さを互いに異ならせる形態としてもよい。
また、2つのRFIDアンテナ15−1、15−2を載置台14の短手方向に並べて配置しても良い。
また、2つのRFIDアンテナ15−1、15−2のそれぞれの読取面の向きを互いに異ならせて配置しても良い。
また、上述した各形態を複合的に組み合わせてもよい。
以下、変形例として2つのRFIDアンテナ15−1、15−2のそれぞれの読取面の向きを互いに異ならせた形態の読取装置10について説明する。
なお、上記実施形態の読取装置10の構成と共通する部分の説明は適宜省略する。
【0078】
[変形例]
図9は、変形例に係る読取装置10´の、RFIDアンテナの配置を示した図である。
同図に示すRFIDアンテナ15−1A、15−2Aは、2つのRFIDアンテナ15−1A、15−2Aをそれぞれの読取面M1、M2が互いに直交するようにして配置されたものである。なお、同図においては、RFIDアンテナ15−1A、15−2Aの直交配置についての理解を助けるために、4つのRFIDタグt1〜t4を示している。
同図に示す例では、RFIDタグt1〜t4が密集し、一方向Y2からは一つのタグにより別のタグが陰になって見えない状態のものを示している。
【0079】
このような状態において、RFIDタグt1〜t4のそれぞれからタグ情報を漏れなく読み取る場合に、2つのRFIDアンテナ15−1A、15−2Aをそれぞれの読取面M1、M2を互いに異ならせて配置する構成が適している。
このような密集したRFIDタグの配置において、先ず、RFIDタグt1にはRFIDアンテナ15−2Aからの電波が十分に及ぶため、RFIDアンテナ15−2AはRFIDタグt1からの応答を十分に受信できる。
【0080】
一方、その他のRFIDタグt2〜t4については、RFIDアンテナ15−2Aの方向からはRFIDタグt1の陰に位置し、またRFIDタグt1を含めてRFIDタグt2〜t4はそれぞれが密集していて互いの間隔が狭くなっている。このため、一つのRFIDタグが他のRFIDタグの背面に位置すると、それらの相互距離や電波の周波数などとの関係から、陰になるRFIDタグに電波が回り切らないことや、応答するための十分な電波が行き渡らないこととなる。つまり、この例では、RFIDアンテナ15−2Aのような読取面M2の向き(点線矢印Y2)から放射する電波をRFIDタグt2〜t4に十分に回り込ませることが困難になる。
【0081】
これに対し、RFIDアンテナ15−1Aは、読取面M1の向き(点線矢印Y1)がRFIDアンテナ15−2Aとは異なる向きに配置されている。本例は、その特徴を十分に示すために、最大傾斜角の90°、つまり、RFIDアンテナ15−2Aの読取面の向きに直交するように配置したものである。
【0082】
この配置では、同図に示すように、RFIDアンテナ15−1AからはRFIDタグt2〜t4を遮る他のRFIDタグは一切なく、従って電波が回り切らないなどの問題は解消され、その電波が十分に及ぶことになる。この配置では、RFIDアンテナ15−1AがRFIDタグt2〜t4からの応答を受信できる。
【0083】
各RFIDタグt1〜t4のタグ情報の読み取りや書き込みは、実施形態の読取装置と同様にして行う。例えば読取サイクルにおいては、先ずRFIDアンテナ15−2Aを動作させてRFIDタグt1のタグ情報を読み取り、次にRFIDアンテナ15−1Aを動作させてRFIDタグt2〜t4のそれぞれのタグ情報を読み取る。また、書込サイクルにおいては、先ずRFIDアンテナ15−2Aを動作させてRFIDタグt1に登録済フラグを書き込み、次にRFIDアンテナ15−1Aを動作させてRFIDタグt2〜t4のそれぞれに登録済フラグを書き込む。
【0084】
なお、変形例では、2つのRFIDアンテナ15−2A、15−1Aのそれぞれの読取面M2、M1のなす角度を90°としたが、これに限るものではない。例えば60°、45°、30°などのように緩やかな傾斜にしていったとしても、効果は得られる。
また、多数のRFIDアンテナを買物カゴCに読取面を向けた状態で、それぞれの読取面の角度を少しずつ変えて買物カゴCを中心に周囲を取り囲むように配置しても良い。この場合、買物カゴCの中の各商品に付されたRFIDタグがどのようなポジションにあっても、RFIDアンテナでタグ情報を読み落とす恐れは大幅に低減できる。
【0085】
図10は、上述した読取面が互いに角度をなすRFIDアンテナ15−2A、15−1Aの読取装置内の配置例である。
同図においてRFIDアンテナ15−2Aは、実施形態に示したRFIDアンテナ15−1、15−2と同じく載置台14の底面側つまり読取装置10の筐体11内の底面側に読取面を上向きにして(筐体11の上方に向けて)設けられている。他方のRFIDアンテナ15−1Aは、筐体11内の背面側(同図の右側)に、木材やガラスなどの支持板17に読取面を筐体11の開口部側(同図の左側)に向けて設けられている。つまり、RFIDアンテナ15−2AとRFIDアンテナ15−1Aは読取面の向きが互いに90°に交わる向きに配置され、共に、電波の放射方向が買物カゴCの向きに向けられている。
【0086】
なお、本例では、以下に示す理由によりRFIDアンテナ15−1Aを筐体11の背面に設けたが、筐体11の底面に対して90°をなす面であればその他の面であっても良い。本変形例の場合、筐体11の形状が箱型であり、筐体11の底面に対して90°をなす面は4面(正面、背面、2つの側面)である。従って、RFIDアンテナ15−1Aを、それぞれの内の何れかの面に設ければ良い。
本変形例において、読取装置10´の筐体11は、幅をできる限り小さくし、奥行きを多めにとる設計とした。このようにすることにより、店舗内のレジエリアにおいてセルフチェックアウト装置1、10´を正面に向け、複数台を横に並べて配置するときに、より多くのセルフチェックアウト装置1、10´を設けることができる。
【0087】
読取装置10´の奥行が多めにとられているため、買物カゴCを読取室に収納してもその背面は十分なスペースを確保できる。このスペースを利用して、筐体11内部の背面側にRFIDアンテナ15−1Aを設けることとした。
なお、本変形例では、筐体11内部の背面側にRFIDアンテナ15−1Aを設けることとしたがこの限りではない。読取装置10´の筐体11内部の側面側にRFIDアンテナ15−1Aの設置スペースがある場合は、RFIDアンテナ15−1Aを側面側に設けることが好ましい。
【0088】
読取装置10´の筐体11内部では買物カゴCは載置台14に乗せられている。載置台14は、筐体11内部の底面から所定の高さで支持されている。従って、何れの客が載置台14に買物カゴCを乗せても、買物カゴCと底面のRFIDアンテナ15−2Aとの間隔は略一定である。このため、RFIDアンテナを底面に設けた場合には、事前の定量で得た結果に近いRFIDタグの検出率となるため、何れの面にRFIDアンテナを設けるよりも、最も安定して読み取り処理が行える。
【0089】
一方、他の面においては、読取装置10´の幅をできるかぎり小さく設計することから、筐体11内部において読取室の側面と載置台14に乗せられた買物カゴCの側面との間隔は狭くなる。このため、何れの客が買物カゴCを読取装置10´に収納した場合においても、買物カゴCの幅方向のズレは、所定の誤差範囲内に収まる。つまり、筐体11内部においては底面の次に側面が安定した読み取り処理に適している。
【0090】
従って、読取装置10´の筐体11の設計において幅の制限がない場合は、底面と側面にRFIDアンテナ15−1A、15−2Aをそれぞれ設けることが望ましい。
また、底面と側面と更に背面にRFIDアンテナをそれぞれ設ける、つまり3つ以上のRFIDアンテナを設けるとなお良い。
また、本実施形態及び変形例ではRFIDアンテナ部の形状を直方体としたが、この限りではない。直方体の他にもその他の多面体や円柱形状としても良い。
また、RFIDアンテナ部に平面パッチアンテナを使用したが、この限りではない。その他にも例えば電波方式のアンテナとしてダイポールアンテナなどを利用しても良い。
また、RFIDアンテナ部に送受信兼用のアンテナを使用したが、送信用と受信用を別々に設けても良い。
【0091】
以上のように、本実施形態や変形例のセルフチェックアウト装置は、複数のRFIDアンテナを設けた読取装置を備えることにより、買物カゴの中の商品のRFIDタグを一括で読み取るようにした。
買物カゴの中の商品のRFIDタグは、それぞれ、向きや配置がバラバラである。例えば衣料品などにおいては他の衣料品と混ぜこぜとなり、RFIDタグの向きは一定とはならない。1個所に固定したRFIDアンテナだけでは読み取りが苦手な角度のRFIDタグがあるとそれとは交信が行えないこととなるが、2個所、3個所とRFIDアンテナを増やすことで、増設したRFIDアンテナの読取面においてRFIDタグとの向きを変えることができる。このため、一つのRFIDアンテナでは交信が行えないRFIDタグを別の位置のRFIDアンテナと交信を行わせることが可能になる。
従って、買物カゴの中の商品のRFIDタグの情報を一括で漏れなく読み取る技術が各段に向上する。
【0092】
上記実施形態の各装置で実行されるプログラムは、各装置が備える記憶媒体(ROM又は記憶部)に予め組み込んで提供するものとするが、これに限らず、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。さらに、記憶媒体は、コンピュータ或いは組み込みシステムと独立した媒体に限らず、LANやインターネット等により伝達されたプログラムをダウンロードして記憶又は一時記憶した記憶媒体も含まれる。
【0093】
また、上記実施形態の各装置で実行されるプログラムをインターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよく、インターネット等のネットワーク経由で提供又は配布するように構成してもよい。