特許第6182505号(P6182505)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6182505
(24)【登録日】2017年7月28日
(45)【発行日】2017年8月16日
(54)【発明の名称】実装荷重測定装置
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/04 20060101AFI20170807BHJP
【FI】
   H05K13/04 B
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-101684(P2014-101684)
(22)【出願日】2014年5月15日
(65)【公開番号】特開2015-220294(P2015-220294A)
(43)【公開日】2015年12月7日
【審査請求日】2016年11月18日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】駒澤 真一
(72)【発明者】
【氏名】小川 武史
【審査官】 中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−188002(JP,A)
【文献】 特開2006−108384(JP,A)
【文献】 国際公開第2005/027614(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00−13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に部品を実装する実装装置内を、部品が実装される基板と同様に通過させられることで前記実装装置による実装荷重を測定する実装荷重測定装置であって、
前記実装装置による実装動作時の荷重を検出する荷重検出部と、
前記荷重検出部による検出結果を記録する荷重記録部と、
前記荷重記録部に電源を供給するバッテリと、
前記荷重検出部と前記荷重記録部と前記バッテリとを搭載し、前記実装装置が実装動作を行う実装面が設けられる枠体と、を備え、
前記枠体は、前記実装装置において部品を実装可能な幅に収まる大きさであって
前記荷重検出部は、前記実装装置の吸着ノズルが前記実装面に触れることで生じる実装荷重を検出する
ことを特徴とする実装荷重測定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の実装荷重測定装置において、
前記枠体には、基板を載置する基板載置部が設けられ、
前記基板載置部に載置された基板上に前記荷重検出部を設置する
ことを特徴とする実装荷重測定装置。
【請求項3】
前記荷重検出部は、前記実装面に複数設置されている
請求項1又は2に記載の実装荷重測定装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の実装荷重測定装置において、
前記実装面における前記荷重検出部の位置を変更する変位部を備える
ことを特徴とする実装荷重測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板に部品を実装する実装装置による実装荷重を測定する実装荷重測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品をプリント基板等の基板上に実装(搭載)する実装装置では、基板に対して電子部品を適正な荷重で実装することが求められている。このため、実装装置の実装動作における実装荷重が適正であるか確認するための実装荷重を測定する荷重測定装置を備えた実装装置が提案されている(例えば、特許文献1,2参照)。
【0003】
特許文献1に記載の実装装置では、電子部品を吸着し、搭載する吸着ノズルの移動可能範囲内に、ロードセルが設置され、ロードセル上で実装時と同様のノズル動作を行い、実装荷重を測定する。そして、荷重を事前に測定することで実装時の設定荷重を補正している。
【0004】
また、実装装置の実装時の荷重を測定する方法が提案されている(例えば、特許文献3参照)。特許文献3に記載の測定方法は、実装装置の基板保持部に保持された基板に装着されるロードセルと、ロードセルが接続されるパーソナルコンピュータとを備えている。この測定方法は、ロードセル上で実装時と同様のノズル動作が行われることで実装荷重を測定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−108384号公報
【特許文献2】特開2007−220836号公報
【特許文献3】特開2009−188002号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記特許文献1,2に記載の実装装置では、荷重測定装置が搭載されている実装装置のみ荷重を測定することが可能である。このため、全ての実装装置において荷重を測定するには、各実装装置に荷重測定装置を搭載しなければならない。また、上記特許文献3に記載の測定方法では、ロードセルが装着された基板が設置された実装装置のみ荷重を測定することが可能である。このため、全ての実装装置において荷重を測定するには、各実装装置にロードセルが装着された基板を設置しなければならない。さらに、特許文献3に記載の測定方法では、ロードセルとパーソナルコンピュータとが接続線によって接続されているため、荷重の測定時に接続線の取り回しを気にしなければならず、煩雑である。そこで、複数の実装装置を備えた実装ラインにおいても実装荷重を容易に測定することができる実装荷重測定装置が求められている。
【0007】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、実装荷重を容易に測定することができる実装荷重測定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について説明する。
上記課題を解決する実装荷重測定装置は、基板に部品を実装する実装装置による実装動作時の荷重を検出する荷重検出部と、前記荷重検出部による検出結果に基づいて実装荷重を測定する荷重測定部と、前記荷重測定部に電源を供給するバッテリと、前記荷重検出部と前記荷重測定部と前記バッテリとを搭載し、前記実装装置が実装動作を行う実装面が設けられ、前記実装装置において部品を実装可能な幅に収まる大きさの枠体と、を備え、前記実装面に前記荷重検出部が設置された前記枠体が前記実装装置内を通過させられることで前記実装装置の実装荷重を測定することをその要旨としている。
【0009】
上記構成によれば、荷重検出部と荷重測定部とバッテリとを搭載した枠体が実装装置内を、部品が実装される基板と同様に通過させられることで、実装面に設置された荷重検出部によって実装動作時の荷重を検出して、実装装置の実装荷重を測定することができる。また、荷重検出部と荷重測定部とが枠体に収まっているので、荷重検出部と荷重測定部との接続線は枠体内に収まり、接続線の取り回しを気にする必要がない。さらに、1台の実装荷重測定装置によって、複数の実装装置に対して連続して実装荷重を測定することができる。よって、複数の実装装置を備えた実装ラインにおいても実装荷重を容易に測定することができる。
【0010】
上記実装荷重測定装置について、前記枠体には、基板を載置する基板載置部が設けられ、前記基板載置部に載置された基板上に前記荷重検出部を設置することが好ましい。
上記構成によれば、基板載置部に基板を載置して、この基板の上に設置された荷重検出部によって実装荷重を検出することで、実際の基板において発生するたわみを加味した実装荷重を測定することができる。
【0011】
上記実装荷重測定装置について、前記荷重検出部は、前記実装面に複数設置されていることが好ましい。
上記構成によれば、荷重検出部が枠体の実装面に複数設置されている。このため、基板に複数の部品を同時に実装することができる実装装置であれば、同時に複数の実装荷重を測定することができ、数量分を測定するよりも測定時間を抑制することができる。また、異なる位置における実装荷重を測定する際に、位置を変更せずに実装荷重を測定することができ、位置を変更して測定するよりも測定時間を抑制することができる。
【0012】
上記実装荷重測定装置について、前記実装面における前記荷重検出部の位置を変更する変位部を備えることが好ましい。
上記構成によれば、変位部によって実装面に対する荷重検出部の位置を変更することができるので、荷重検出部の位置を容易に変更することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、実装荷重を容易に測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実装荷重測定装置の一実施形態の構造を示す斜視図。
図2】同実施形態の実装荷重測定装置の構造を示す上面図。
図3】同実施形態の実装荷重測定装置の一実施形態の構造を示す側面図。
図4】同実施形態の実装荷重測定装置の一実施形態の構造を示す正面図。
図5】同実施形態の実装荷重測定装置によって測定された荷重を示す図。
図6】実装荷重測定装置によって実装荷重を測定する実装ラインの一例を示す図。
図7】実装荷重測定装置の変形例の構造を示す上面図。
図8】実装荷重測定装置の変形例の構造を示す上面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図1図6を参照して、実装荷重測定装置の一実施形態について説明する。実装荷重測定装置は、基板に電子部品を実装する実装装置、すなわちチップマウンタ内を基板と同様に通過させられることで、チップマウンタの実装動作時の実装荷重を測定する。
【0016】
図1及び図2に示されるように、実装荷重測定装置は、荷重検出部としてロードセル11と、荷重測定部としてのデータロガー12と、バッテリ13と、これらロードセル11とデータロガー12とバッテリ13とを搭載する枠体14とを備えている。ロードセル11は、チップマウンタに設けられた吸着ノズルが実装する際の荷重を検出する。ロードセル11は、データロガー12に接続線11aを介して接続されている。吸着ノズルは、電子部品を吸着して基板に実装する部材である。データロガー12は、ロードセル11が検出した検出結果を例えば50kHzで断続的に記憶して、実装荷重を測定する。バッテリ13は、電源を供給する二次電池である。枠体14は、上面が開口したコ字状に形成された板材である。バッテリ13は、ビス18によって枠体14に固定されている。
【0017】
枠体14には、チップマウンタが実装動作を行う実装面15が設けられている。この実装面15には、ロードセル11が設置されている。また、枠体14は、チップマウンタにおいて電子部品を実装可能な幅に収まる長さWになっており、チップマウンタ内を基板と同様に通過可能である。ここでの幅とは、チップマウンタにおいて基板が通過する方向と同一平面内で直交する方向における長さである。枠体14に設けられた基板載置部16には、基板17が載置されている。基板17は、ビス18によって四隅が枠体14に固定されている。基板載置部16に載置された基板17上には、ロードセル11が設置されている。ロードセル11の接続線11aは、基板17上に位置して、実装面15とバッテリ13との隙間から枠体14内に引き込まれて、データロガー12に接続されている。基板載置部16に載置された基板17上の四隅には、電子部品の実装位置を認識するための認識マークMが付されている。
【0018】
図3及び図4に示されるように、データロガー12は、枠体14の両側面から挿入されたビス18によって枠体14に固定されている。データロガー12には、ロードセル11が接続されている。また、データロガー12は、バッテリ13に接続されており、電源が供給されている。
【0019】
図5に示されるように、実装荷重測定装置のデータロガー12は、例えば50kHzでロードセル11の検出結果を断続的に記録する。まず、吸着ノズルが基板に接触するノズル接触時に動荷重が発生し、その後、吸着ノズルが基板に摺動するノズル摺動時に静荷重が発生する。記録された動荷重と静荷重とが部品の耐荷重の条件を満たしているか否かを確認することで、電子部品のクラックの発生を未然に防ぐことができる。
【0020】
次に、図6を参照して、上記のように構成された実装荷重測定装置の動作について説明する。例えば、図6に示したような、複数のチップマウンタ34を備えた実装ライン30における、各チップマウンタ34の実装荷重の測定を説明する。
【0021】
実装ライン30は、ローダ31、印刷機32、印刷検査器33、3台のチップマウンタ34、実装検査器35、リフロー炉36、アンローダ37の順に並んでいる。ローダ31は、基板を印刷機32へ供給するものである。印刷機32は、マスクを用いて基板上にクリームはんだを転写するものである。実装検査器35は、チップマウンタ34が基板上に実装部品があるか否か、正しい位置にあるか否かを検査するものである。リフロー炉36は、電子部品を実装した基板を炉内のヒータで加熱してはんだ付けを行うものである。アンローダ37は、はんだ付けが終わった基板をラックへ収納するものである。
【0022】
実装荷重測定装置は、印刷検査器33と最初のチップマウンタ34との間に投入され、最後のチップマウンタ34と実装検査器35との間から回収される。実装荷重測定装置は、図示しない実装ステージに基板と同様に投入されて、各チップマウンタ34内を順に通過する。
【0023】
このとき、チップマウンタ34の実装プログラムは、測定専用のプログラムであって、部品を実装しない設定である。実装荷重の測定時に部品を実装すると、部品が積み重なり実装面が変化してしまうため、実装荷重を測定できなくなるためである。チップマウンタ34は、基準位置に合わせて高さを設定する。すなわち、基板の下面が基準位置であれば基板下面からの高さ、基板の上面が基準位置であれば基板上面からの高さを設定する。また、チップマウンタ34は、認識マークMに基づいて実装位置を決める。
【0024】
チップマウンタ34は、実装荷重測定装置が流れてくると、測定専用プログラムに従ってロードセル11に吸着ノズルが実際に実装する。チップマウンタ34は、搭載された吸着ノズルの数量だけ実装動作を順に実行する。実装荷重測定装置は、実装荷重を継続して測定する。また、実装荷重測定装置は、実装ライン30に設置された各チップマウンタ34内に進入して実装動作による実装荷重をそれぞれ測定する。
【0025】
実装荷重測定装置は、実装ライン30から回収されて、実装荷重の測定が完了すると、データロガー12に設けられたコネクタ19を介して図示しないパーソナルコンピュータと接続することで、測定結果を読み出し、実装荷重を確認する。
【0026】
このように、実装荷重測定装置は、実装ラインに投入されることで、実装ライン30上の全てのチップマウンタ34の実装荷重を継続して測定することができる。また、異なる実装ライン上のチップマウンタ34の実装荷重も1台の実装荷重測定装置によって測定することができる。
【0027】
以上説明したように、本実施形態によれば、以下の効果を奏することができる。
(1)ロードセル11とデータロガー12とバッテリ13とを搭載した枠体14がチップマウンタ内を、電子部品が実装される基板と同様に通過させられることで、実装面15に設置されたロードセル11によって実装動作時の荷重を検出して、チップマウンタの実装荷重を測定することができる。また、ロードセル11とデータロガー12とが枠体14に収まっているので、ロードセル11とデータロガー12との接続線11aは枠体14内に収まり、接続線11aの取り回しを気にする必要がない。さらに、1台の実装荷重測定装置によって、複数のチップマウンタに対して連続して実装荷重を測定することができる。よって、複数のチップマウンタを備えた実装ラインにおいても実装荷重を容易に測定することができる。
【0028】
(2)基板載置部16に基板17を載置して、この基板17の上に設置されたロードセル11によって実装荷重を検出することで、実際の基板において発生するたわみを加味した実装荷重を測定することができる。
【0029】
なお、上記実施形態は、これを適宜変更した以下の形態にて実施することもができる。
・上記構成において、ロードセル11の位置を変更する変位部を備えてもよい。例えば、図7に示されるように、ロードセル11の位置を変更する変位溝21を備えてもよい。このような構成によれば、荷重検出部の位置を容易に変更することができる。
【0030】
・上記構成において、ロードセル11の位置を変更する変位部に沿って変位させる駆動部を備えてもよい。例えば、図7に示されるように、変位溝21に沿ってロードセル11を駆動する駆動部22を備える。このような構成によれば、駆動部22によって実装面15に対するロードセル11の位置を実装荷重測定装置が自ら変更することができるので、ロードセル11の位置変更の作業を省略することができる。また、複数のチップマウンタを連続して通過する際に、位置を変更しながら実装荷重を測定することができる。
【0031】
・上記構成において、ロードセル11が枠体14の実装面15に複数設置してもよい。例えば、図8に示されるように、異なる位置に3個のロードセル11を設置する。このような構成によれば、基板に複数の部品を同時に実装することができるチップマウンタであれば、同時に複数の実装荷重を測定することができ、数量分を測定するよりも測定時間を抑制することができる。また、異なる位置における実装荷重を測定する際に、位置を変更せずに実装荷重を測定することができ、位置を変更して測定するよりも測定時間を抑制することができる。
【0032】
・上記実施形態では、実装面15を基板17によって構成したが、基板17である必要がなければ、板材の材質を任意に設定してもよい。
次に、上記実施形態から把握できる技術的思想をその効果と共に記載する。
【0033】
(イ)請求項4に記載の実装荷重測定装置において、前記枠体には、前記荷重検出部を変位部によって変位させる駆動部を備えることを特徴とする実装荷重測定装置。
上記構成によれば、駆動部によって実装面に対する荷重検出部の位置を実装荷重測定装置が自ら変更することができるので、荷重検出部の位置変更の作業を省略することができる。また、複数の実装装置を連続して通過する際に、位置を変更しながら実装荷重を測定することができる。
【符号の説明】
【0034】
11…ロードセル、11a…接続線、12…データロガー、13…バッテリ、14…枠体、15…実装面、16…基板載置部、17…基板、18…ビス、21…変位溝、22…駆動部、30…実装ライン、31…ローダ、32…印刷機、33…印刷検査器、34…チップマウンタ、35…実装検査器、36…リフロー炉、37…アンローダ、M…認識マーク、W…長さ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8