【実施例】
【0032】
実施例を示して、本発明をより詳細に説明する。但し、本発明の技術的範囲はこれら実施例に限定されるものではない。
【0033】
実施例1 2,3−ジフルオロアニリンの製造
(第1工程)2,3−ジフルオロ−6−ニトロアニリンの製造
【0034】
【化12】
1,2,3−トリフルオロ−4−ニトロベンゼン8.85g(50mmol)をエタノール50mlに溶解させた。この溶液に25%アンモニア水13.62g(アンモニア200mmol相当)を添加し、室温で8時間攪拌した。その後、エタノールを留去し、ろ過した。得られた粗結晶を水で洗浄し、次いで減圧乾燥した。2,3−ジフルオロ−6−ニトロアニリン7.94g(45.6mmol、収率91.2%)が得られた。
得られた化合物の
1H−NMR分析結果は以下の通りであった。
1H−NMR(400MHz,CDCl
3)δ7.99−7.95(m, 1H),6.54(ddd,J=16.4,8.8Hz,1H),6.23 (br,2H)
【0035】
(第2工程)1−(2,3−ジフルオロ−6−ニトロフェニル)ピロリジン−2,5−ジオンの製造
【0036】
【化13】
2,3−ジフルオロ−6−ニトロアニリン76.63g(440mmol)、コハク酸57.12g(484mmol)、およびp−トルエンスルホン酸8.37g(44mmol)をキシレン880mlに溶解させ、ディーン・スターク管を使用し、脱水しながら7時間還流した。冷却後、溶媒を留去した。得られた粗結晶を酢酸エチル/ヘキサン=1/1で洗浄し、減圧乾燥した。1−(2,3−ジフルオロ−6−ニトロフェニル)ピロリジン−2,5−ジオン107.82g(420.9mmol、収率95.7%)が得られた。
得られた化合物の
1H−NMR分析結果は以下の通りであった。
1H−NMR (400MHz,CDCl
3) δ8.12−8.08 (m, 1H), 7.46(ddd,J=16.4,8.4Hz, 1H), 3.02 (s, 4H),
【0037】
(第3工程)1−(6−アミノ−2,3−ジフルオロフェニル)ピロリジン−2,5−ジオンの製造
【0038】
【化14】
1−(2,3−ジフルオロ−6−ニトロフェニル)ピロリジン−2,5−ジオン25.61g(100mmol)をメタノール500mlに溶解させた。系内を窒素に置換後、パラジウム/炭素(Pd10%)2.56gを添加した。次いで、系内を水素で置換し、室温で4時間攪拌した。その後、セライトろ過し、溶媒を留去した。1−(6−アミノ−2,3−ジフルオロフェニル)ピロリジン−2,5−ジオン22.5g(99.5mmol、収率99.5%)が得られた。
得られた化合物の
1H−NMR分析結果は以下の通りであった。
1H−NMR (400MHz,CDCl
3) δ7.07(ddd,J=17.6,8.8Hz, 1H), 6.56−6.52(m, 1H), 3.29 (br, 2H), 2.99 (s, 2H), 2.98 (s, 2H)
【0039】
(第4工程)1−(2,3−ジフルオロフェニル)ピロリジン−2,5−ジオンの製造
【0040】
【化15】
濃硫酸1.2mlに亜硝酸ナトリウム0.21g(3mmol)を加え、5℃に冷却した。この溶液に1−(6−アミノ−2,3−ジフルオロフェニル)ピロリジン−2,5−ジオン0.45g(2mmol)の酢酸4.8mlの懸濁液を加え、0.5時間熟成した。次いで、亜酸化銅1.14g(8mmol)のエタノール8mlの懸濁液を調製し、そこへ熟成した懸濁液を添加し、50℃にて1時間熟成した。室温に冷却後、セライトろ過し、塩化メチレンで抽出した。硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を留去した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。1−(2,3−ジフルオロフェニル)ピロリジン−2,5−ジオン0.29g(1.37mmol、収率68.7%)が得られた。
得られた化合物の
1H−NMR分析結果は以下の通りであった。
1H−NMR (400MHz,CDCl
3) δ7.30−7.17 (m, 2H), 7.04−7.00 (m, 1H), 2.96 (s, 4H),
【0041】
(第5工程)2,3−ジフルオロアニリンの製造
【0042】
【化16】
1−(2,3−ジフルオロフェニル)ピロリジン−2,5−ジオン0.42g(2mmol)に6N塩酸4ml加え、1時間還流した。室温に冷却後、得られた生成物を塩化メチレンで抽出した。硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を留去した。2,3−ジフルオロアニリン0.23g(1.78mmol、収率89.1)が得られた。
得られた化合物の
1H−NMR分析結果は以下の通りであった。
1H−NMR (400MHz,CDCl
3) δ6.86−6.80 (m, 1H), 6.55−6.49(m, 2H), 3.82 (br, 2H),
【0043】
実施例2
第1工程および第2工程を下記の工程に変えた以外は実施例1と同じ方法で2,3−ジフルオロアニリンを製造した。
【0044】
(工程)1−(2,3−ジフルオロ−6−ニトロフェニル)ピロリジン−2,5−ジオンの製造
炭酸カリウム2.76g(20mmol)とコハク酸イミド0.99g(10mmol)にDMF10mlを加えた。この懸濁液に1,2,3−トリフルオロ−4−ニトロベンゼン1.77g(10mmol)を添加し、室温で6時間攪拌した。その後、得られた生成物を酢酸エチルで抽出した。有機相を水で洗浄し、次いで、硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を留去した。得られた結晶1.58gには目的物のオルト体と異性体であるパラ体が94:6の比で含まれていた。1−(2,3−ジフルオロ−6−ニトロフェニル)ピロリジン−2,5−ジオン1.58g(6.17mmol、収率61.7%)が得られた。
【0045】
実施例3
第3工程を下記の工程に変えた以外は実施例1と同じ方法で2,3−ジフルオロアニリンを製造した。
(工程)1−(6−アミノ−2,3−ジフルオロフェニル)ピロリジン−2,5−ジオンの製造
1−(2,3−ジフルオロ−6−ニトロフェニル)ピロリジン−2,5−ジオン1.02g(4mmol)をメタノール20mlに溶解させた。この溶液に酢酸3.60g(60mmol)と鉄1.12g(20mmol)を添加し、室温で3時間攪拌した。その後、鉄0.45g(8mmol)追加し、さらに1.5時間攪拌した。28%苛性ソーダ水で中和後、セライトろ過し、得られた生成物を酢酸エチルで抽出した。硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を留去した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。1−(6−アミノ−2,3−ジフルオロフェニル)ピロリジン−2,5−ジオン0.63g(2.78mmol、収率69.6%)が得られた。
【0046】
実施例4
第4工程および第5工程を下記の工程に変えた以外は実施例1と同じ方法で2,3−ジフルオロアニリンを製造した。
(工程)2,3−ジフルオロアニリンの製造
【0047】
【化17】
濃硫酸3.0mlに亜硝酸ナトリウム0.52g(7.5mmol)を加え、5℃に冷却した。この溶液に1−(6−アミノ−2,3−ジフルオロフェニル)ピロリジン−2,5−ジオン1.13g(5mmol)の酢酸12mlの懸濁液を加え、0.5時間熟成した。次いで、亜鉛0.65g(10mmol)のエタノール15mlの懸濁液を調製し、そこへ熟成した懸濁液を滴下し、1.5時間還流した。室温に冷却後、セライトろ過し、得られた生成物を塩化メチレンで抽出した。硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を留去した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。2,3−ジフルオロアニリン0.54g(4.18mmol、収率83.6%)が得られた。